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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成29年度 委員会会議録 > 平成29年7月13日 障がい者差別解消条例策定調査特別委員会 会議録

平成29年7月13日 障がい者差別解消条例策定調査特別委員会 会議録

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               障がい者差別解消条例策定調査特別委員会

                           会議録
                           (開会中)

開催年月日   平成29年7月13日(木曜日)  午後1時32分~午後3時5分
会 議 室    全員協議会室
出席委員     13名
           委員長     杉本 熊野
           副委員長   小林 正人
           委   員   芳野 正英
           委   員   中瀬古 初美
           委   員   岡野 恵美
           委   員   倉本 崇弘
           委   員   田中 智也
           委   員   木津 直樹
           委   員   山内 道明
           委   員   藤田 宜三
           委   員   津田 健児
           委   員   三谷 哲央
           委   員   中森 博文
欠席委員     なし
出席説明員   出席を求めず
事務局職員   
           企画法務課長                  稲垣 雅美
           企画法務課政策法務監兼班長  長﨑 禎和
委員会書記
           議 事 課   主幹  黒川 恭子
           企画法務課  主任  樋口 慎也
傍聴議員     なし
県政記者     1名
傍 聴 者     3名
議題及び協議事項
Ⅰ 調査事項
 1 障がい者差別の解消に関連する条約及び法律の調査・研究について
 2 その他


【会議の経過とその結果】


〔開会の宣言〕

Ⅰ 調査事項
 1 障がい者差別の解消に関連する条約及び法律の調査・研究について
   ①事務局から資料に基づき説明(長﨑法務監)
   ②質問

○杉本委員長 ただいまの事務局からの説明に対しまして御質問等がありましたらお願いいたします。

○三谷委員 かなり各方面にわたってこれからしっかり勉強しなきゃいけないなと、こう思っていまして、不勉強で申しわけないんですが、ちょっと具体例で教えてもらいたいんですが、せんだって、某航空会社で、車椅子に乗った方が飛行機に乗るときに、マニュアルに従ってもらいたいということで、自力でタラップを上がって飛行機に乗られたというケースがあるんですよね。もし客室乗務員とか係の方が、見るに見かねて、例えば担いで上がったり、車椅子ごと持ち上げて入れようとして、それで事故があったときには、当然、その方々は、なぜマニュアルに従わないんですかということで会社から叱られるわけですよね。飛行機そのものに乗ることを、障がいを理由に拒否はしていないわけですが、そういうケースというのは、今御説明いただいたこの法律の中でどこに触れて、何が欠けていたのかというのをちょっと教えてもらえませんか。

○長﨑法務監 先ほどの御質問につきましては、恐らく差別の中にも、この法律では、直接差別で、一応、不当な差別的取り扱いということ、合理的配慮の2つが差別として規定されてございます。先ほど委員の言われました航空会社の事例につきましては、まず1つは、会社のマニュアルがどうなっているかというのはもちろんあるんですけれども、問題といたしましては、例えば、まず合理的な配慮がなされたかどうかというのが一番大きな問題なのかなというふうに、合理的配慮があったかどうかというところが、1つ問題があったのかなというふうに思っております。
 合理的配慮というのは、それぞれ個別の対応、個別の考え方、その人、今回ですと事業者になりますけれども、その中でこれが会社としてどこまで配慮すれば合理的配慮になるのかどうか、それは、障がいのある方の障がいの程度でありますとか、ちょっと一般論で申しわけないですけど、その目的でありますとか手段とか、そういったところで問題になってくるのかなというふうに考えております。
 ですので、今回の事例がどうかというのは、なかなか答えにくい部分はあるんですけれども、そういったところで、会社の規模でありますとか、あるいは、今回なぜしなかったのか、できなかったのかというのはあるかと思うんですけれども、そのあたりで、障がい者が求めていることに対して、事業者の方がどこまでできるのか、あるいはそれが主観的じゃなくて客観的に判断されるものというふうに法律のほうでもありますので、会社が、これは基本的に、客観的に見て必要である部分と、主観的にはできない部分というのは若干切り分けて考える必要があるのかなというところで、その個々の障がい者の状況と会社の事情、あるいは対応の仕方に応じて決まってくるのかなというふうに考えております。

○三谷委員 理由によっては、不当な差別には当たらない場合が出てくるわけですか。

○長﨑法務監 今回の航空会社の事例でどうかというのはちょっと難しいんですけれども、それは対事業主との関係で、ならない場合もあるように読めると。Q&Aなんかの中で、そういうふうに記載もされておりますので、不当な差別かどうかというのは、要するに、正当な理由があるかどうか、正当な理由というのは、正当な目的のもとで、手段が正当か、そこも含めてですけれども、そういう意味では、個々の場合ではならない場合もあるというふうに考えられます。

○三谷委員 正当な理由があるかどうかという等々の判断する場所といいますか、それはどこで判断するんでしょうか。個々の事業主、いろんなケースがあって、事業主は事業主なりの言い分が当然あるわけでしょうし、そういうことになってくると、それが正当であるか不当であるか、そういうところの判断というのはどこがするんですか。

○長﨑法務監 まさにそこがこの法律の問題でございまして、この法律、障害者差別解消法については、差別の規定がありません。それは何でかというと、やはりそういう個々の事情を今後積み重ねていく中で、これが差別であるとか、そういったものを考えていくと。あと、施行後3年の中で見直すというふうに書いてございますので、そういう意味で、先ほど後半で資料のほうで示させていただきました内閣府の事例でありますとか、あるいは県でもそういった事例を国のほうに報告して、事例を積み上げた上で、何が差別であるのかというのがわかってくれば、恐らく法律のほうに載せるというふうな形になっておりますので、そういう状況だというふうに。
 それからもう1点、先ほどの事業主の関係ですけれども、法の、事業主に対しては、合理的配慮というのは、基本的には努力義務という形になっておるんですが、障害者差別解消法の第12条、資料で言いますと、参考資料のほうの40ページでございますけれども、ちょっとごらんになっていただくと、例えばそういう会社のところの主務大臣につきましては、第8条、これは事業主の差別のところでございますけれども、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項につきまして、当該事業者に対して、報告を求め、助言、指導または勧告をすることができるというふうになっておりますので、そういう意味で、努力義務ではございますけれども、例えば事業主が、はっきり差別とはわからないけれども、そういう事案がいろいろ出てくるようであれば、主務大臣のほうがこの権限を行使して報告を求めるとかというような形ができるかと思います。あとまた、この法律以外にもそれぞれ所管する法律がございますので、その法律に基づいて指導、あるいは勧告なりをするということもあるかというふうに思っております。

○杉本委員長 ほかにいかがでしょうか。

○岡野委員 障がい者権利条約が2014年2月に発効していて、それに基づく法整備が事前に行われているわけですけれども、今回、我々が県条例というのをつくるということは、その条約との関係としてはどんなふうに位置づけられますか。ないところも現在まだいっぱいあるわけで、私たちは真ん中ぐらいですか、順番としては。それを、条例をつくることによってどういうふうに担保されるのかというところが具体的にのみ込めないんですけれども。

○長﨑法務監 資料1の7ページをごらんいただきたいと思うんですが、表で、先ほどの差別行為の禁止ということで、この下段のところにございますように、障害者差別解消法につきましては、その対象を行政機関でありますとか事業者を対象にしているというところで、今回のほかの県の条例を見ておりますと、県民を対象にというか、対象をまず県民も含めてどうしていくかというようなことが1点、つくる意義としてはあるのかなというふうに考えております。あと、県条例といたしまして、今、障害者基本法に定める目的と、あるいは障害者差別解消法の目的、その関係をちょっと説明いたしますと、障害者差別解消法というのは、差別に特化してと言ったらおかしいんですけど、差別の解消を目的としてできた法律でございますので、その部分を県としてさらに手厚くするのかというやり方もあれば、あるいは障害者基本法が、障害者差別解消法よりは、全ての者を対象として、差別することその他権利利益を侵害する行為を禁止しているというところでございますので、障害者基本法というような趣旨も踏まえて大きく範囲を広げて、この障害者基本法の目的であります共生社会の実現というところに目的を置いてつくっていくというようなところもございます。
 済みません、ちょっとわかりにくい説明であったかもしれません。障害者差別解消法は、差別の解消法を、具体的にどのように解消するかというところなんですけれども、県条例で条例を、この定める障害者差別解消法より広い範囲で定めるということも可能でございます。上乗せ条例とか横出し条例と言われるのは可能ですので。

○岡野委員 上乗せ、横出しということが可能だということで、三重県民の実態に合わせて、障害者基本法を、障害者差別解消法という法律にのっとって、不足しとるところとか、内容を充実させるところとかというのを具体的に我々が、今の県民の皆さんの状態、それから障がい者の皆さんの実態を見て補足していくとか充実していくとか、そういうような意味で埋めていくというふうに考えたらよろしいですか。

○長﨑法務監 はい。ですので、法律があるからといって、これが全て完全なものではないという御理解でいいかなというふうに思っております。

○岡野委員 何となく具体的イメージがわかってきたんですけれども、個々に事例を明らかにすることによって、具体的にそれをどのように埋めていったらいいかというのがわかってくるかなと思うんですけども、例えば、時々近鉄の駅に障がい者の方が飛び込んでという話があって、例えば、この間、久居駅では、飛び込まれて自殺だということがあったので、それはそれであれなんですけども、具体的にそれをとめるような何かドアとかそういうのがあるといいなというふうな思いはあるけれども、久居駅の場合、本当にそんなドアがつくられてどうなるんや、そんなに乗らへんやないかとかというような、そういうことがあるわけですよね。だからその事例によって、どこまでの範囲をするのかというようなことを、県の条例として具体化するというふうなイメージでよろしいんでしょうか。

○杉本委員長 次回7月28日の委員会は、既に策定された23道府県の条例を、障害者基本法型と障害者差別解消法型に種類分けをして、その特徴をみんなで調査、研究をしたり、その目的やら対象をどういったところにそれぞれの道府県が持っていったのかということも少し勉強して、そして県外視察で千葉県と埼玉県へ行かせてもらいますので、またそのあたりで深めていただいたらいいのではないかなというふうに思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○芳野委員 基本的なことをお聞きしたいんですけど、この本文の6ページの障害者の定義の中に、差別については直接差別と間接差別があるというふうに記載しているところがあるんですけど、僕、理解がよくわかっていないんですけど、この後に出てくる合理的配慮の否定といいますか、合理的配慮がなされていないのは、ここで言う間接差別に当たるのかというのをまずちょっと聞かせてください。

○長﨑法務監 まず、差別の種類というか類型としては、直接差別、それから間接差別、あと関連差別、もう一つ最後に、合理的配慮の否定というか不提供というので、合計4つあるということで、間接差別と合理的配慮は基本的には違うものと理解していただければいいかなというふうに思っております。

○芳野委員 積極侵害か消極侵害かみたいな形で言うと、いわゆる目に見えるような差別的な扱い、それから消極的な侵害というのは、いわゆるそういう配慮をしていないことによる差別と。そういうふうな整理が1つできるのかなというふうに思っているんですけど、そういうふうに分けているような論文というのはないんですよね。

○長﨑法務監 論文というか、委員が言われたように、積極的、あるいは消極的、あるいは法律で言うと、11ページの作為による差別と不作為による差別ということで、類型を分けております。それから、これらに関連する論文と言ったらおかしいんですけれども、注のほうに、あるいは政府参考人答弁なんかは、一応ここでは掲載しておりますけど、これの該当するその論文であるかどうかというのは、まだ確認しておりませんので、また後ほどなり、探して、資料がもしあれば提供させていただきたいと思っています。

○芳野委員 人種による差別の場合も、よくあるように、昔の公民権運動で言うと、合理的に分けてあるんであれば差別でなかったというのが、公民権運動になってくると、そういった分けること自体が差別やというふうに、差別の対応が変わってきていますよね。障がいも同じように、やっぱり今までの直接的な差別だけじゃなくて、合理的配慮をしないことが、そういう不作為による差別として、新しい概念として生まれてきたというふうな捉え方でいいのか、ちょっとその辺の流れ的なものを整理させてもらえないかなと思いまして。
 じゃ、聞き方を変えます。確かに僕も今頭の中がぐちゃぐちゃになっているんですけど、要は、不作為による差別と、ここで言う間接差別というのは、概念的にやっぱりちょっと違ってくる、例えばさっき挙げていただいた4つの差別の中には、不作為でもあるし、作為でもあるし、両方が可能性としてあるということなんですかね。

○長﨑法務監 平成24年度の障害者政策委員会の差別禁止部会でも、先ほどの4つの差別について、具体例というかが載っておりますので、ちょっとそれを御紹介させていただきます。
 まず直接差別というのは、障がい者であることをもって排除するというか、障がい者であることで、例えば入るのを拒否したり、あるいはだめですよというようなことが直接差別に当たるかなということです。間接差別というのは、具体例を申し上げますと、マイカー通勤禁止を定める就業規則があった場合に、普通に通勤をされていた方が、交通事故か何かでマイカー通勤ができなくなったと。そうすると、公共交通機関を利用しないと通勤できないと。一方で、マイカー通勤禁止規定というのは、別に障がい者を目的にその規定があるわけじゃないので、そういった場合に間接差別に当たるんじゃないかと。一般的な規定、例えば外形的に、一般の方も、別に障がい者の方でも対象としない、一般的に中立的な規則がございまして、それを形式的に当てはめた結果、そういう状況になった場合に、それが差別に当たるかどうか。間接差別と関連差別というのは、それが差別に当たるかというのでなかなか議論があるところでございますので、そういう意味では、法律には、作為の直接差別ともう一つのほうの合理的配慮の不提供というところが、今回の法律というようなところで決められておりますので、そういう意味では、間接差別という事例はあるんですけど、それが本当に差別かどうかというのは、社会的な状況とか、あるいはこれからの積み重ねの中で、あるいは個々の事例の中で議論をしていくという形になっております。
 ちょっと曖昧な回答で、申しわけありません。

○芳野委員 イメージはわかりました。資料をまたいただければなと思いますので。

○長﨑法務監 先ほどの間接差別とかの資料もあわせてということでよろしいですか。

○芳野委員 はい。
もう1点だけ。差別の定義という部分と、あとは差別に対する救済という部分、これは人種差別のときと同じようなパラレルで考えているんですけど、要は、直接差別で明確な差別の場合は、積極的な救済というか、目に見えてそれを禁止とすることで積極的救済ができるんですけど、さっきも岡野委員が取り上げられていたような、例えばホームにドアを設けるという、これはなかなか直接的には差別とも言えない部分で、これこそまさに合理的配慮なんですけど、そこをするのは間接的救済で、誰かにそれが差別だと認定されたりとか、これが合理的配慮が欠けているとかという判断をする機関というのはやっぱり必要になってくるのかなと思うんです。それは例えば裁判である事例もありますけど、ほかの条例にもあるように、そこを判断する機関を県が設けて条例の中で明記をして、そこで診断をしてもらうという流れがあるのかなというふうに思うんですけど、それは、法律としてはどこかにそういう判断をする基準というのがあるんですか。

○長﨑法務監 障害者差別解消法で基準というのは、特に掲載されておりません。資料1の17ページをごらんになっていただきますと、先ほど説明させていただきましたように、差別の解消に向けた施策ということで、相談等の体制整備とかいろいろあるんですけれども、その中で県としても、そういった差別に関する相談とかということで、障害者差別解消支援地域協議会を組織するというところで、これが三重県としても設置されているところでございます。あと、何が差別かというところは、先ほど三谷委員のほうにも御回答させていただきましたように、いろんな事例を積み重ねる中で決めていく、あるいはいろいろ比較検討なり、あるいはいろんな議論を踏まえた上で、これが差別であるというようなことがはっきりしていくような形になるんではないかというふうに思っております。

○芳野委員 さっきも説明していただいた、例えば雇用の部分でも、苦情処理とか紛争解決の処理手順とかもありますし、障害者差別解消法もありますけど、そうすると法的には、まず地域間でそういう相談体制をつくり上げながら、その情報収集を踏まえて、最終的には全国的な感じでそういう基準をつくっていこうというふうな形になっていくんですか、この後。

○長﨑法務監 先ほど資料にもなくて最初のほうに説明いたしましたが、国のほうで一応いろんな情報を収集して、いろんな事例が積み上がってきますので、もしかしたら裁判例もあるかもしれませんし、いろんな情報を収集した上で、皆さんが、これが差別だというような共通認識が持てるような一定の基準みたいなものをこれからつくり上げていくんじゃないか、検討していくんじゃないかということで、今はその情報収集の段階ということです。

○芳野委員 最後に、じゃ、それは結局、厚生労働省の中の、例えば障害局やったかな、局とか課で収集をしているのか、例えば厚生労働省がどこかに委託して、そういうところで収集しているのか、どこが最終的にそれをまとめていくとかというのはわかりますか。

○長﨑法務監 内閣府が、横断部局というか、国の省庁の横断的なところの部分をよく所管するところでございますけど、そこに今、障害者政策委員会というのもございますし、そこが基本となるように思っております。
 以上でございます。

○芳野委員 わかりました。ありがとうございました。

○杉本委員長 ほかにいかがでしょうか。

○山内委員 関連のところもあるかと思うんですけど、なかなか整理がついていないのでちょっと教えていただきたいんですが、今回、障がい者差別解消条例の策定ということで、先ほど御説明いただきました各種法律、障害者基本法、障害者差別解消法、それから障害者雇用促進法、障害者虐待防止法とありますけれども、先ほど来ちょっとお話がありました、上乗せとか横出しという考え方で、とりあえず、障がい者差別解消条例ですけれども、雇用に関することとか虐待に関することというのも、内容を盛り込んでいっても可能という考え方ですか。

○長﨑法務監 障害者差別解消法につきましては、上乗せ、横出しは可能というふうに考えています。ただ、障害者虐待防止法とか障害者雇用促進法のほうは義務規定がございますし、障害者虐待防止法については、目的が虐待防止という形ですので、特にその部分で、もし何かそれに反するようなものであれば、ちょっと難しいのかなというふうには思っておりますけれども、その目的の趣旨に合えば、条例で定めることは可能というふうに考えております。

○山内委員 そうすると基本的にはまず障害者差別解消法に基づいて条例をつくっていくスタンスという考え方、それも含めてこれから検討していくということですか。

○杉本委員長 そうです。

○山内委員 わかりました。あともう少しあるんですけども、先ほど来の話、合理的な配慮を求めるというところに含まれるのかもしれませんけども、障がいによるバリアですね。合理的な配慮という部分に含まれるのかもしれませんけども、まず初めに、バリアを感じるというイコール、差別が発生しているという感覚でよろしいんでしょうか。

○長﨑法務監 差別を感じて、即それが差別に当たるかというのは、基本的にはそうでない部分もあるのかなと。例えば合理的配慮というのは相手方のある話でございますので、もちろん、ここまでしか配慮できないということで客観的に手段、目的が正当であれば、それは差別には当たらないという場合もございますので、障がい者の方、あるいは差別を受けた方が、自分は差別だと思ったとしても、それがすぐ、これから共通認識される差別に当たるかとなると、それは全てがそうではないというふうに言えるのかなと思います。

○山内委員 ありがとうございます。
 先ほど来、様々な事例が蓄積されていく中で、これから様々な合理的配慮の求められ方も変わってくるという部分では、今のところ、合理的な配慮の範疇には入っていなかったとしても、今後事例が重なってくると、やはりここは合理的な配慮として取り組んでいこうというような機運がどんどん高まってくるという考え方でいいのかなという部分が1つと、あと、障がいによるバリアを積極的に発見していこうというような考え方も、この合理的な配慮という位置づけの中にはある程度含まれていると考えてもいいんでしょうか。

○長﨑法務監 発見されるというのは、どなたが発見されるかというのもあるかと思うんですけれども、例えば公共、要するに行政機関でありますとかそういったところは、発見するというか、積極的に取り組むべきものであるんではないかというふうには思いますけれども。あと、この障害者差別解消法の例えば第5条、38ページの第5条と、あと資料1の15ページです。15ページのアの総則的な対応のところでお話しさせてもらいました。いわゆる、ここに書いてございますように、例えば第5条ですと、行政機関等は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善、設備の整備、あるいは研修などに努めるということですので、誰もが使いやすい、例えばいわゆるUDの関係、バリアフリーの関係で、差別の解消に向けた取組ということで、この規定に基づいて事前的な改善措置をしていくというようなものもございます。例えば日ごろの中で、こういったところはちょっと変えたほうがいいんじゃないかとか、要するに、障がい者にとってここはちょっと使いにくいんじゃないかというような考えを持てば、あるいはそういう視点からそういった施設を見ていけば、ここはこういうふうにあらかじめ直しておけば、例えば職員が段差をわざわざという、もちろんそういう施設の整備がなければ職員がという形になりますけれども、もしそれがバリアフリーな形になっておれば、もうそこら辺は気にする必要がなく、事前にやっておけば差別の解消のための措置になるという形になるかと思います。

○山内委員 ありがとうございました。
 いわゆる差別とかバリアとかが顕在化している部分に関しては、対応していこうということで実績が積み重なっていくと思うんですけども、顕在化していない部分、いわゆる聞いて初めて応えていただけるような、声として発せられていないような差別であったりバリアというのは結構あると思うんです。そういったところを積極的に情報としてキャッチしていくようなシステムというのが必要なのかなという思いがあったものですから、ちょっとお聞かせいただきました。
 あともう一つ、障がい者というのはもちろん障がい者御本人なんですけども、家族ですとか日常的に支援をしている支援者という方々も障がい者の中に入るという考え方はないんですけども、そういった位置づけというのは、法律の中ではどのように捉えられていますでしょうか。

○長﨑法務監 基本的には障がい者御本人というふうに法律のほうでは書いておるんですけれども、今回、障害者差別解消法ですと、例えば資料1の10ページで、障害者差別解消法では、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要とする旨の意思表明があった場合に初めてということでございます。ただ、御本人が意思表明できない、あるいは意思表明したくてもなかなかできないという場合は、やっぱり御家族の方、あるいはそれを助けられる方がかわりにというような形で、その意思表明のかわりに補助してもらうという形になっておりますので、そこら辺は、例えば障がい者の御本人と、保護者の方とか補助してみえる方が、どこかの施設に行かれた場合に、障がいがあることによって何か、あるいは、例えば法律で言いますと、先ほどの意思表明に関するところで、国の委員会の審議、答弁の中で、意思表明の手助けになる方も一応含まれるという形になっておりますので、当然、助ける方が家族であるとか、ボランティアの方とかという形は含まれるというふうになっております。

○山内委員 ありがとうございました。

○杉本委員長 家族のところですけれども、障害者基本法の中の相談とか経済的負担の軽減の中で、障がい者の家族が互いに支え合うための活動の支援とか、障がい者を扶養する者の経済的負担の軽減とか、家族の部分は少し入っているかと思います。差別ではありませんけれども、支援という形は、障害者基本法の中にはあると思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○中森委員 本来、委員間討議でお話ししたかったんですけれども、今、機会をちょっと設けてすみません。
 前回は三重県の計画やら具体的な話を聞かせてもらって、三重県での取組を聞いて、今日は、そのもとになる条約から始まって、障害者基本法や各法律、法制度を今こうやってお話しいただいたということで、少なくともこの中身につきましては国で議論されたり、そういう内容だと思いますので、その法律に基づいて三重県がつくられた計画というのを前回お話しいただいて、その中身においても、常任委員会で議論すべき内容だと思うんです。我々は、こうやってせっかく特別委員会を設けたので、三重県独自の、三重県ならではの条例を策定すべきではないかということで、意思が集まって特別委員会を構成しているんだろうと思うんです。多少、会派は違いますので、それぞれの感覚はもしかしたら違うかもわかりませんけども、共通の念は、障がい者の方々が、こうやって三重県内で誰もがひとしく権利を行使できる、幸せな暮らしをできるというのが究極の目的だろうというのは共通しているんではないかなと、このように思うんです。
 つきましては、私が言いたかったのは、網がたくさんあるんです、細かくしていこうとするのかですよ。細かくするっていうことは、わかりますよね。こんなのが抜けているよ、漏れているよ、ここは配慮してほしいよという、細かくしていこうというような条例にするのか。細かくするということは、はっきり言うたら、独自の禁止内容を具体的にもっともっと増やしていくという、三重県ならではの禁止内容。よそではええけど、三重県は非常に厳しいねと、こんな条例にするのか、紛争解決について、三重県の独自の紛争解決がありますよと、独自の、三重県に来たらすぐ問題解決できますよと、こんなような三重県にするのか。こういうことなのかというのが、この法の網を細かくするという意味で申し上げたんです、例として。
 もっともっと違うのは、相談体制で、三重県ならではの相談体制をやって、三重県では必ず、何か問題点があってもこういうのにリストアップされて、きちっとした整理をされて意見が述べられると、理解してくれて解決に向かっていただけると。解決できるかどうかは別として、解決に向かっていただけるような三重県ですよと、よそと違いますよと、このようなものにしたり、もっと具体的に言えば、誰もが県庁へ来れると。よその県では知らんけども、三重県はどこの県民もここへ来れるとか。
 例えば、ほかでいくと、もっとおもしろいのは、今、農福連携全国都道府県ネットワークの会長に三重県知事がなったわけじゃないですか。農福連携で、三重県の障がい者の方々は、日本一の農福連携の県ですよと、どこでも仕事もできて、特別支援学校の卒業生は進学、就職100%、こういうような県にできるとか、このような方向性を議論していただいたらどうですか、もっともっと。私は、委員会として、もっと方向性がいるのかなと。そうすると、県外調査へ行ったらそういう視点で見てきて、三重県はこうしようということを我々で相談して、全部できませんけども、各団体の意見も聞いて、ここの団体はこういうところをしてほしい、この団体はここが弱いとか、御指摘も受けて、我々で相談したほうがいいんではないかと思いますので、今日はこうやって勉強会ということで、宿題として、皆さん、会派内で意見を出し合ったほうがいいんと違いますか。
 という提案です。

○杉本委員長 その点については、正副委員長と事務局で打ち合わせをするレクチャーの段階で、どの段階でそういう話し合いをしていこうかという話し合いをさせてもらいました。まず今日は勉強で、次回もまだ勉強で、勉強しながら少しずつ議論が深まっていくかなというレベルで、今のところ打ち合わせをしているんです。ですが、今、中森委員がおっしゃったところをどこかでぐっと、まず1回目、2回目としていく必要があると思いますので、そのあたりをもう一度、事務局と正副委員長で検討させていただいて、次回の委員協議のところあたりでお示しさせていただけたらなというふうに思っております。私たち正副委員長も、それをどの段階で議論するかというのが実は一番の悩みでございましたので、ありがとうございます。今後また整理させていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○芳野委員 次回の講師も。講師というか。

○杉本委員長 次回も事務局に講師となっていただいて、23道府県の条例を整理して、先ほど申し上げたように、目指すところやらいろんなパターンというか、それをちょっと勉強させていただきたいと思います。その中で、先ほど中森委員がおっしゃったところも、一人ひとりの考えが少し出てくるのではないかなというふうに思います。
 小林副委員長のほうから、次回の委員間討議ぐらいかなという話でしたので、まず第1回目をそこでさせていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

              〔発言の声なし〕

○杉本委員長 今日は大もとの条約と4つの法律について勉強させていただきました。今回、社会モデルへ転換されたということで、社会の側に対応を求めるということで、合理的配慮というキーワードを、もう一度みんなで勉強を深めさせていただきました。ただ、質問の中で明らかになってきたのは、何が差別かは、これから個々の事例を積み重ねながら明らかにしていくと。そういう中で、国も情報を集めて共通認識をしていく中で、法改正のときにまたそのあたりが積み上がっていくんであろうというようなことも今日わかったところではないかというふうに思います。まだまだ私たちが勉強したり調査することがたくさんありますので。ありがとうございました。
 それでは、なければ、障がい者差別の解消に関連する条約及び法律の調査・研究についてを終了いたします。

 2 委員間討議

○杉本委員長 次に、委員間討議を行います。
 まず、県外調査についてであります。これにつきましては、8月21日、22日に、既に障がい者差別の解消に関する条例を制定している千葉県、埼玉県の取組状況等の調査を中心に行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。詳細につきましては、後ほど委員協議で御説明させていただきます。
 次に、次回の委員会の開催について御協議願います。
 次回は、本日の障がい者差別の解消に関連する条約及び法律の調査・研究に引き続き、ほかの道府県で制定している障がい者差別の解消に関する条例の概要や内容等について調査、研究を行いたいと考えております。現在、障がい者の差別の解消に関する条例は、全国23道府県で制定されています。次回は、ほかの道府県の条例等について分類を整理しながら、差別への対応等を中心に調査・分析を行い、本委員会での条例の方向性を考える上での参考にしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

              〔「異議なし」の声あり〕

○杉本委員長 ありがとうございます。
 なお、日程につきましては、7月28日の午後から開催いたしたいと存じますが、いかがでしょうか。

              〔「午後でしょうか」の声あり〕

○杉本委員長 午後です。28日午後で調整させていただきました。午後から開催いたしますので、よろしくお願いいたします。

 3 その他

○杉本委員長 御協議いただく事項は以上でございます。本日の調査内容を踏まえ、特に何か御意見がございましたらお願いいたします。

              〔「なし」の声あり〕

〔閉会の宣言〕

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
障がい者差別解消条例策定調査特別委員長 
杉本 熊野
                              

                                                            

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