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令和2年7月31日  差別解消を目指す条例検討調査特別委員会 会議録

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差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)
 

開催年月日   令和2年7月31日(金曜日)午後1時30分~午後4時45分
会 議     全員協議会室
出席     11名
          委員長     北川 裕之
          副委員長    山崎  博
          委員       石垣 智矢
          委員       小林 貴虎
          委員       小島 智子
          委員       山内 道明
          委員       山本 里香
          委員       稲森 稔尚
          委員       藤田 宜三
          委員       東   豊
          委員       中村 進一
欠席    なし
出席説明員   出席を求めず
参考人      1名
          武蔵野大学名誉教授
            株式会社情報文化総合研究所 代表取締役 佐藤 佳弘 氏
委員会書記
          議事課     主査 中西 孝朗
          企画法務課  主任 長谷川 智史
傍聴議員    3名
               中瀬 信之
               中瀬古 初美
               杉本 熊野
県政記者    2名
傍聴者      3名
協議事項
1 参考人からの意見聴取について
2 参考人の出席要求について
3 その他
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 参考人からの意見聴取について
(1)参考人意見陳述

○北川委員長 それでは、参考人からの聞き取りを行います。
 インターネットによる差別や人権侵害の近年の状況等について、ご説明をお願いいたします。

○佐藤参考人 皆さん、こんにちは。本日の委員会を御苦労さまです。
 私は、参考人の佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいまから、お時間をいただきまして、インターネットによる差別や人権侵害について意見陳述をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 2002年に施行されたプロバイダー責任制限法以来、今日までおよそ20年間放置されているネット被害者の現状をお話しいたしますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 今日は、お話を三つに分けて進めさせていただきます。
 最初に、ネット上での人権侵害として、インターネット上で発生している人権侵害の最新の動向を事例とともに御紹介します。
 2番目に、被害者救済の現状、被害者は今どのような状況にあるのかを御紹介します。
 そして、3番目に、インターネット上での差別解消に向けて何ができるのかをお話しさせていただきます。
 この順で、まずネット上での人権侵害の現状をお話しいたします。
 一口にネット人権侵害といいましても、様々な形があります。それを分かりやすく分類しますと、九つに分類することができます。一つに名誉棄損、二つ目に侮辱、信用棄損、脅迫、さらし、ネット上で行われるいじめ、ネットいじめ、児童に対する人権侵害である児童ポルノ、ハラスメント、セクハラ・パワハラは現実社会でもありますが、ネット上でも同様に行われています。そして、様々な差別です。
 どの分野も重要ですので、全てお話をしたいところでありますが、時間の限りがありますし、ここの委員会ではネット上の中傷や差別に着目しているとお伺いしていますので、この中でも名誉棄損の分野と差別の分野を取り上げてお話をさせていただきます。
 まず、ネット上での中傷は名誉棄損になるおそれのあるものです。たくさん発生しています。特に、今、SNSを多くの方が使うようになっていますので、SNSを使った中傷が増えており、SNSの中でも特にインスタグラムが問題になっています。たくさんの事例がある中で、インスタグラムで発生した名誉棄損について御紹介します。
 もう既に皆さんも御存じのように、今年5月、木村花さんが亡くなりました。木村花さんは、ネット上で多くのアンチコメントを受けていた。つまり、これは中傷投稿のことなんですが、アンチコメントを受けて悩んでいたと報じられています。たくさんのアンチコメントがある中で、一つ事例をお話ししますと、こんな書き込みをされていました。
 「おまえが早くいなくなればみんな幸せなのにな。まじで早く消えてくれよ」、このようなことを毎日、何十も書き込まれていたそうです。これを悩んで命を落としたとも報じられています。
 木村花さんは、テレビに出演されていて、皆さんが知っている方だったと思いますが、このような皆さんが知っている人だけでなく、全くの一般人の方もネット上で標的になっています。それもたくさんの事例がある中、皆さんも御存じだと思いますが、去年8月にあった常磐道あおり事件でのこのガラケー女と言われた人、このガラケー女は誰だというのがネット上で犯人探しが始まり、全くの一般の方で、インスタグラムに自撮り写真をアップしていた一般の女性がガラケー女だというふうにされて、実名や写真をさらされてしまっています。この方は仕事もできないような状態になってしまい、大変な被害を受けています。現在、この方は発信者情報開示の手続を進めているところです。
 この後もお話ししますが、被害者の方がこのような手続を進めるときにも、たくさんの壁が存在しています。このような事例を見るにつけ、SNSを多くの方が使うようになった今、誰もがネット上の被害者になるおそれもあるし、加害者になるおそれもあるのが、今のSNSをめぐるネット上の中傷問題です。
 もう一つの分野、差別の分野についてもちょっとお話をさせていただきます。
 差別も、一口に差別といいましても、被害を受けている方は一部の方だけではありません。もちろん同和問題という部落差別も発生していますが、最近では外国人に対する差別、ヘイトスピーチ、障がいのある方、生活困難者の方、女性も標的になる、病気の方、性的マイノリティーの方、最近ではレズビアン、ゲイなどの頭文字を取ってLGBTとも言われています。また、性同一性障がいの方、少数民族の方、アイヌ民族の方々や犯罪被害者などなど、このように考えてみますと、差別・偏見の被害を受けている方というのは、一部の分野の方ではなく、非常に多くの方が被害者になっているということがお分かりになると思います。
 このそれぞれの分野も重要ですので、全て事例をお話ししたいところですが、時間の限りがありますので、特に新型コロナウイルス感染症の被害について触れよというふうに指示をいただいていますので、この中でもコロナ差別に触れさせていただきます。
 ネット上でもコロナ差別が行われています。つまり、感染者に対する偏見・差別がネットで加速されています。感染者が出たと発表があると、SNSでうわさやデマが広まり、その差別を加速させています。これは、感染者になってしまった御本人に対する差別だけではないです。その方の家族の名前や勤務先までがネットにさらされています。
 これもその訴えている書き込みですが、ネットでは自分や家族の名前や自分・家族の勤務先までさらされ、差別的な発言、デマも書かれているというふうに訴えています。御本人、そして家族やそれだけではとどまりません。その方が働いている職場や通学している学校に対する偏見・差別にも発展しています。
 京都産業大学の学生が感染したというニュースがありましたが、そうなりますと、この大学もろともに差別・偏見を持たれ、就職活動をする学生にも影響を及ぼしています。御本人と家族、そしてその勤め先、通学先だけではとどまりません。その方がいる今度は地域に対する差別にも広がっています。
 特に、今は、東京を中心とした首都圏で感染者が多く出ていますので、特に東京差別が言われています。都内のナンバーの車が駐車中に傷つけられたり、石を投げられたりということが発生をしています。これらのことも、うわさ・デマがSNSで加速してしまって、コロナ被害、コロナ差別が広まっていると言えると思います。
 ネット上で行われている様々な人権侵害、一部の事例ですがお話をいたしました。全てお話ししたいところでありますが、時間の限りがありますので、ネット中傷の問題の名誉棄損と差別の中でも、コロナのところを取り上げて現状をお話しいたしました。
 では、被害を受けている方の現状を御紹介します。被害者救済の現状はどうなっているのかです。
 ネット上の被害に対する有名な法があります。プロバイダー責任制限法です。これは、行政が発行しているパンフレットや冊子、ネット人権侵害に関するパンフレット・冊子に必ず紹介されている法律です。これは、2002年5月に施行され、この法律により削除の要請が可能になりました。削除の要請をするときの様式も整備されました。どなたでも手に入れることができます。これが提出されましたら、プロバイダーは対応することになっています。
 法はできました。手続の様式も整備されました。手続もできました。では、これを使って様々な悪質な書き込み、中傷、差別、削除を求めればいいんじゃないかと、多くの人は思っています。しかし、これを使って削除を求めても、削除はされません。削除は義務づけられてないんです。単なる悪口、うわさ、プライバシー侵害程度でこの様式を出しても削除されることはありません。この法律は何かというと、相当の理由がある場合には書き込みを削除しても損害賠償責任を負わないとした法なんです。相当の理由があれば免責するとした法なんです。相当の理由、それは権利侵害の明白性です。これがはっきりしているんだったら削除してもよいということです。
 しかし、この権利侵害の明白性というのは、一事業者であるサービス事業者は証明することはできません。そのことは総務省自身も困難であると認めています。この法律は何かというと、被害者を守った法ではないんです。プロバイダーの損害賠償責任を制限した法であり、むしろネット利用者でなく、プロバイダーを守った法だと解釈したほうが正しいです。しかし、この法があるから救われるんだと思っている方は大変多いです。それは、パンフレットの書き方に問題があると私は思っています。
 また、差別に関しては、2016年に三つの法が相次いで施行されています。差別解消三法です。その三つの法というのは、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法です。一つ一つは解説いたしません。これらの法がインターネット上の書き込みに対して有効なのかどうかをお話しさせていただきます。
 結論を先に申し上げます。障害者差別解消法も、ヘイトスピーチ解消法も、部落差別解消推進法もネット上の差別書き込みには無力です。この法を持ち出してネット上の差別書き込みを禁止することも、制限することも、罰則を与えることもできない状況にある。つまり、日本ではネット上の差別書き込みは違法になってない、書きたい放題の状況になっていると御理解ください。
 では、被害者はどのような状況にあるのか。今、周りの法的な環境をお話ししました。被害者はどのような状況にあるのか。
 まずは、書き込みを削除するという面ではどういう状況にあるのか、法的な手続をするときにはどういう状況にあるのか、被害者の現状をお話しします。
 まずは、悪質書き込みの削除についてはどうなっているのか。被害者が一番やってほしいのは、自分に対する誹謗中傷、差別などの悪質書き込みを早く削除してほしいんです。削除するためには、どんな壁が立ちはだかっているのかを紹介します。
 まず、壁に貼られた中傷ビラを剝がすようには、簡単には削除できません。それは、ネットにはネットの特徴があるからです。その一つが、書き込みの関係者は1人ではないということなんです。複数存在するんです。それはもちろん書き込んだ本人はおりますし、書き込んだ先のブログや掲示板もあります。それを持っている人がいます。これは誰でも持てますので、ネット一般利用者であることはあります。また、SNSなどの場合にはその運営会社がありますし、掲示板、ブログの場合もその提供しているサービス提供事業者がいます。また、書き込んだ人間が書き込むときに使ったインターネット接続事業者、いわゆるプロバイダーが存在しています。書き込んだ人間、その先の管理人、運営者、プロバイダー、少なくとも4者が関係します。また、書き込んだ内容が拡散していた場合や拡散先のサイト、そしてそのサービスを提供しているサービス事業者、この上の二つが拡散しただけねずみ算的に増えているんです。これらを相手に削除の交渉や手続、依頼をする羽目になってしまいます。
 そして、今のネット上では拡散した書き込みを一括して削除する手続は用意されていないんです。それは、この2番目、拡散した書き込みは一括削除の手続なし。案件ごとにやる必要があります。拡散していたら、拡散した数だけ必要になります。
 では、そんなことは面倒だから、発見次第、そのサイトの上や、掲示板の上や、SNS上でその書き込みを消してもらいたいと要求したらいいんじゃないかと、そのようにアドバイスする人もいますが、これはやってはいけない行為です。その書き込みは間違いだから消してもらいたいというふうに要求しますと、相手は匿名をいいことにさらに強く反論してきて、さらにこじれて炎上する羽目になります。ですので、同じ場では闘ってはいけないんです。
 また、5ちゃんねるの悪口を言うつもりはないんですが、日本で最大のネット掲示板、5ちゃんねるがあります。以前は名称が2ちゃんねるでした。今は名称が5ちゃんねるに変わっていますが、この5ちゃんねるは書き込んだ本人さえ削除の機能を持ってないんです。ですから、お酒を飲んだ勢いで悪口を書いてしまって、翌日、ああ、あれは間違ったなと思ってももう消せないということ。5ちゃんねるは自己責任という言葉を使っていますが、これはもう消せない状況にあります。
 また、5ちゃんねるを含めて多くの掲示板やSNSも、正式な削除の手続を用意しています。これは、今紹介した5ちゃんねるが持っている削除依頼の手続で使うフォームです。正式な削除依頼をやれとアドバイスする人もいます。しかし、これはやってはいけない行為です。幾つか掲示板、特に5ちゃんねるなどはこの情報がネットに公開されます。公開されるとまたさらに炎上を招きます。また、せっかく用意されているんですけども、これを出したところで削除してくれませんから逆に危険だということです。過去の数字から、このフォームを出して削除される率は10%と言われています。これを使えというふうにアドバイスする人やネット上の回答もありますが、大変危険な行為になります。
 そして、先ほど言いましたように、プロバイダー責任制限法に基づいて削除申請することは可能です。可能ですが、それで削除はされません。また、このプロバイダー責任制限法が対象にしているのは国内の事業者ですから、多くのSNSまたは5ちゃんねるも、海外法人に対しては、これは通用しません。多くのSNSは外国籍です。そこに対して、もちろんSNSも正式な削除の手続を用意していますから、それにのっとろうと思うと、本国に対してやることになりますので、多くの場合は英文で削除の手続をするということになります。しかし、英文で削除の手続をやっても、削除率は非常に低いです。例えば、ツイッターの場合は削除率は0.2%という数字が出ていますので、ほとんど削除してもらえないという状況ですよね。サーバーが国外にあったならば、その国の手続に従いますので、現地の言語で手続もしなくてはなりません。
 法務省は相談窓口を持っています。人権擁護機関がありますので、そこに相談をしますと、一応と言ったら怒られるんですけども、対応はしてくれるようになっています。その対応は何かというと、あそこに相談しなさいとか、こうやって削除依頼しなさいというふうな助言をしてくれるんですが、それらをやってもなおかつ削除できなかった場合には、法務局が書き込みの違法性を判断してプロバイダーに削除要請を法務局から行うことがあります。法務局から行ったらそれで万歳かというと、これもそうではなく、年間のインターネット上の人権侵犯事件は2000件ほど発生しており、その数に対して法務局から削除依頼が出たのはおよそ4分の1です。しかし、法務局から出たらそれで万歳かというと、そうではないです。法務局が出す削除依頼には強制力がありませんから、削除される保証もありません。5ちゃんねるの削除マニュアルに、法務局から削除依頼が来たら消せなんていうことは一言も入ってないです。まず消さないです。また、法務局から削除依頼を出して、その結果、削除されたのかどうかについては、法務局は答えてくれません。このような状況ですので、どうしたら削除するのかという状況です。
 現存する唯一確実に削除できる方法があります。それは、裁判所からの削除仮処分命令を出してもらうということです。これについては、提出する書類が6種類もあり、これはもう個人では難しいですので、弁護士に依頼することになります。もちろん費用がかかります。先ほど言いましたように、一括処理できませんので、案件ごとにこれをやることになります。つまり、手続も費用も時間も膨大にかかりますので、それを覚悟で被害者の方はこの裁判所の手続を使うということになり、そうやって苦労して削除の仮処分命令書が出れば、これは確実に事業者は削除します。あのと言ったら怒られるんですけども、5ちゃんねる掲示板さえ、これが出れば、翌日には削除をします。そうやって苦労して自分に対する中傷、書き込み、差別書き込みを何とか削除したとしても、再び書き込まれたらまた一からやり直しになるんです。完全な不利ないたちごっこに追い込まれています。
 このように、被害者が求める私に対する中傷書き込み、差別書き込みを削除してもらいたいという望みは一番なんですが、その削除は大変困難な状態にあるということを、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。
 そして、もう一つ被害者ができるものとして、法的な手続があります。この法的な手続についてちょっとお話をいたします。
 刑事告訴や民事訴訟です。法的な手続に入る。これについても大変ハードルが高い、いや、高過ぎるんです。まず、発信者は誰なのかを突き止めないといけない。その手続は本当に困難で、費用も、期間も、精神的な苦痛も、随分それがあります。これも一つ一つ詳しくお話しすると大変なことになりますが、ネット上で接続したならばIPアドレスが残っていますので、IPアドレスを開示させるという裁判所の手続をやり、そのIPアドレスを手に入れたならば、それを持ってプロバイダーに契約者の情報、つまり発信者情報、氏名や住所を出させるという手続が必要になり、これもまた裁判の手続が必要になり、発信者情報が分かったならば、それをもってようやく刑事告訴なり損害賠償請求ができ、またここで裁判ということになります。もう発信者の特定は容易ではありませんし、この手続を我慢してやれば必ず突き止められるかというと、そうではありません。結局突き止められないこともあります。
 SNSの場合も、これは先ほどと同じように、外国籍ですから、情報開示請求は本国の言語で、本国に対して行うことになります。これができるのは、接続記録があるからそれに基づいて追跡できるので、その接続記録はログと言われます。サービス事業者はこのログを保存してないといけませんが、保存の義務はないです。多くのプロバイダーは、通常3か月から6か月と言われていますが、先ほど申しましたように、裁判の手続を何回も繰り返してようやく突き止められるまでには半年はかかりますから、その間にログはなくなる。そもそもログが保存されてないということもあります。
 何とか相手が突き止めて刑事告訴をするとしても、ネット上の悪質書き込みが全て刑事告訴できるかというと、そうではないです。それが違法であるということの根拠のほうがないと、もちろん刑事告訴は無駄です。ネット上の様々な悪質書き込み、被害者の方が悩んでいる悪質書き込み、違法行為でないものはたくさんあります。プライバシー侵害、刑法にプライバシー侵害罪などありません。これを違法とする根拠の法がありません。個人情報の無断掲載、もちろん個人情報保護法はありますが、個人情報保護法が対象にしているのは事業者ですから、ネットの一般利用者が個人情報を幾らネットに載せようとも、何万人の住所録をネットに載せようとも、その行為を禁止したり、制限したり、罰則を与えることもできない状況にあります。肖像権侵害はもちろん、刑法に肖像権侵害罪はありませんから、写真をどれだけ載せられても肖像権侵害になりません。
 また、先ほど言いましたように、差別書き込み、差別解消三法ができましたが、どの法律もネット上の差別書き込みを違法としていませんから、禁止していませんから。これも刑事告訴しても無駄な行為になります。
 このように、刑事告訴は難しい。でも、損害賠償請求はできます。では、損害賠償請求をやろうというときには、そこまで裁判所の手続をやって、ようやく発信者を突き止めて、それから民事訴訟です。費用がまたかかります。そして、そこで認められる損害賠償金は、裁判費用のほうがもっと高くなる。そこまで覚悟して大金を払っていかなくちゃいけないのか。しかも、書き込んだ人間が1人だけだったら、その1人の発信者情報を突き止めるまでのお金でいいですが、10人書き込んでいたら10人分、発信者情報を知るまで何百万円払うんですかということなんです。ですから、そういうことを考えると、もう泣き寝入りして諦める被害者がいかに多いかということです。
 それでも我慢できないからといって損害賠償請求を民事訴訟して、裁判所から損害賠償金支払い命令が出た、やったなんて言えないです。裁判所の支払い命令には強制力がありませんので、相手が払いたくないと言ったらそれまでですから、強制的に払わせることはできないです。それが証拠に、今の5ちゃんねる、昔の2ちゃんねる、あまり悪口を言いたくないんですが、この2ちゃんねる、5ちゃんねるというのはもう人権侵害の宝庫みたいな掲示板で、ですからそれを開設した通称ひろゆき、西村博之さんはたくさんの損害賠償請求を受け、その支払い命令はもう総額5億円を超えているんですが、もう先日でもテレビに出て普通に生活をしています。あの人も言っています、払わなくちゃいけないんだったら払うけども、払わなくちゃいけないという法律はないんだと。
 では、何とか回収しようとして差し押えて強制執行があと最終的な手段として残っていますが、これをやるときには、また裁判所の手続、そのために弁護士の費用がかかりますよね。本当に訴えるということは大変なこと。こうやってきたとしても、先ほどと同じで、その人間が今度はアカウントを書き変えてまた再び書き込んだら、また一からやり直しということになります。つまり、被害者の方が、訴えてやるというのは簡単なんですけども、確実に被害者の方はいばらの道に入るということなんです。それを覚悟していないと、ネット上の悪質書き込みを訴えることはできない。訴えてもそれで完全に解決するわけではないということなんです。被害者救済の現状、実態、お分かりになっていただけましたでしょうか。
 それでは、これから先、ネット上の差別解消に向けて何ができるのかについてお話をさせていただきます。
 まずは、被害者が出ないようにする未然防止としてできるものは何なのか、そして被害者を救済するために何が必要なのか、そもそもこういうことが起きないようにする抑止力、ネット中傷の抑止力はどうするのか、この3点をこの順番にお話をします。
 まず、被害を防ぐため、未然防止のためにできること、それは、それぞれの分野の方にできることがあります。ネットの一般利用者が被害に遭わないようにできる未然防止策、自治体が住民の方が被害に遭わないようにできる未然防止策、教育機関が子どもたちが被害に遭わないようにするためにできる未然防止策、それぞれの分野の方にできる未然防止策があります。
 全てお話をちょっとできませんので、自治体にできることをお話しします。
 自治体にできる未然防止策、それは、教育、啓発が基本です。教育、啓発というのは、すぐに効果を出すのが難しい施策ではありますが、これは毎年度地道に繰り返す必要があります。住民の被害を防ぐために啓発、講演会、セミナー、研修会などをやっていく。そして子どもたちの被害を防ぐために教育、教育機関でのネット安全教室、ネットリテラシー、これは繰り返してやっていく必要があります。私も教育現場にいますので、先生方がネットやスマートフォンなどに詳しくないことをよく分かっておりますので、その場合には専門家を連れてきて話をさせるという教育モデルもぜひ確立していただきたいと思っています。
 そして、二つ目に、被害者の救済は大変難しい。でも、被害者を救済できるようにするために何ができるのかをお話しいたします。
 これも国がやるべきこと、業界にできること、そして自治体にできることがあります。この中でも、自治体にできることをお話しします。
 被害者の救済は、まず書き込みの削除なんです。それが今できない状況にある。それに対して、国がやるべきこと、業界にできること、自治体にできること、これをお話しします。
 自治体にできること、それは削除できるように進めていただく。そのためには、法務省、総務省に働きかけをしていただきたいんです。保護的なことがどうしても必要になります。プロバイダー責任制限法の改正を求めていただきたいんです。免責規定、先ほどお話ししましたが、この免責規定を緩和していただきたい。相当の理由とかいうて言っている間には、もうこれは削除できません。といっても、片や表現の自由がありますので、何でもかんでも緩和するわけにいきません。ですので、分野を限って、差別の分野、障がい者差別、外国人差別、部落差別というふうな限定的でいいですから、そこに免責規定を緩和して削除できるようにしていただきたい。
 これに関しては、私はとても感銘を受けたものがあります。三重県から平成30年に総務省に対する要望書が出ています。平成30年9月に、三重県環境生活部長から総務省に対してインターネット上の人権侵害の対策強化についてという要望書が出ています。
 この中で、ポイントが二つあります。それは、プロバイダー責任制限法の免責規定を緩和してくれ、もうそのとおりです。二つ目に、プロバイダー事業者がモニタリングすべきだ、これもそのとおり、これを義務化してほしいんです。まさに三重県から出されたこの要望書こそが本質を捉えていると私は思っています。
 そして、もう一つが、権利侵害を審査する外部機関をつくっていただきたいんです。有識者会議、あるいは審議会という形でもいいですし、プロバイダーに削除してくれと申請しても、プロバイダーは権利侵害の明白性など判断できません。それをしっかり裏づけをつくってくれる外部機関をつくり、そこで権利侵害を認定していただきたい。あれもこれも全てやると、今度は、片やある表現の自由と対立することになりますので、限定して障がい者差別、外国人差別、部落差別というふうに、差別のところに限定しても結構ですから、そこの権利侵害を認定して、その認定をもってプロバイダーに削除を依頼するという手続をつくっていただきたいと思います。現状では、自治体が条例をつくっても、自治体がモニタリングしてもネット人権侵害は解決しません。削除できるようにしないと解決をしないんです。
 さて、時間が少し迫っていますけれども、事前に要望をいただいていますので、その要望についてもちょっとお答えしておきたいと思います。
 まずは、群馬県の条例についての見解を述べよと言われていますので、群馬県がつくっているSNS中傷被害者支援条例について、ちょっと見解を述べさせていただきます。
 つい先月、6月25日の定例記者会見で知事が発表しました。県独自の被害者支援制度を創設すると。その中身というのは、被害者からの相談を受け付ける一元的窓口をつくるという条例内容です。ここで、弁護士などが削除手続などを助言するというふうになっている。もう一つは、ネットリテラシーを推進するというのが、この条例の骨子になっています。
 これについて、見解を述べさせていただきますと、被害者救済の姿勢を示すという自治体側の効果はあります。しかし、被害者の悩みは助言ではないんです。このあたりを踏み違えてほしくないんです。相談とか助言だったら、もう既に法務省や違法有害情報相談センター、各地の人権センター、セーファーインターネット協会その他で既に実施しているんです。残念ながら、現状では、知事の政治的なポーズにしか私は見えません。結局は、総務省が今進めている開示請求の要件緩和のほうに投げることになります。それが結局のことになってしまいます。
 では、条例をつくるんであれば、どのようなことを中に盛り込むべきなのか。今の群馬県の例でありましたように、実効性のない条例をつくっても被害者を落胆させるだけです。被害者はプロバイダー責任制限法以来、もうおよそ20年間落胆したままなんです。被害者の悩みは何なのかを見てほしい。それは、悪質な投稿を削除できない、発信者を特定できない、繰り返されるという悩みなんです。ですから、被害者に必要な支援は何なのかというと、投稿の削除完了まで弁護士が寄り添って一緒に手続を進めてくれる。助言するだけじゃもうどこでもやっているんですから、一緒に手続を進めてくれる、そしてそのときの弁護士費用を補助する制度、また発信者の特定まで弁護士が一緒に手続を進めてくれる。助言だけはどこでもやっているんです。そして、その弁護士費用を補助する制度、そして先ほどもちょっと御紹介しましたように、権利侵害の明白性を審査してちゃんとそれを認定してくれる審議会、またそのような差別書き込みをした氏名や団体名を公表すると。これについては、大阪市がヘイトスピーチへの対処に関する条例をもう2016年につくって、ヘイトスピーチに関しては、大阪市がこれを進めていて、もう何人かの実名、団体名を公表しています。このようなことが盛り込まれれば、ネット上の人権侵害の被害者を支援する条例になると私は思っています。単なる理念の条例では救済できないんだということをぜひ知っていただきたいと思います。
 そして、もう一つリクエストいただいているのは、自治体独自のネット人権侵害の対応を何かやっているところがあったらということでしたけども、ネット上の人権侵害という分野に限定しますと、独自の取組をしているという自治体は、私は知りません。ネット人権侵害に対する自治体の取組としてやられているのは、やっぱりネット監視、モニタリングです。これは、部落差別解消推進法の以前から、もう多くの自治体がネット上のモニタリングを進めています。もう三重県ももちろん進めてきています。これが2016年の法の後、人権団体からたくさんたくさん要求が出て、今既にもう200を超える自治体がモニタリング調査に着手している状況です。これ以外の独自の効果的な取組は、なかなか今は私も知りません。
 また、参考になればと思い、新型コロナウイルス感染症に関する差別を禁止する条例を皆さんも御存じかもしれませんが、出ていますので、幾つか御紹介しますと、東京都の新型コロナウイルス感染症対策条例、今年4月施行されたものの中に、不当な差別を禁止しています。また、石垣市でも新型コロナウイルス感染症等対策条例の中に、不当な差別を禁止しています。そして、長野県でも条例を7月9日に施行しておりまして、この中で不当な差別、そして誹謗中傷を禁止するというふうに明記されています。沖縄県は、今パブリックコメントを終了した時点ですが、この中でも不当な差別と誹謗中傷を禁止するというふうに中でうたっておりますので、参考になればというふうに思います。
 もう時間過ぎておりますので、最後にネット上の人権侵害の抑止力をどうすべきかを最後にお話をさせていただきたいと思います。
 教育、啓発は基本です。これはもう地道に繰り返さないといけないです。教育、啓発があった、重要ではあるんですが、教育、啓発だけでは限界があります。というのは、社会には精神論や道徳の影響を受けない人が一定数存在するからです。それは、皆さん、まちを歩いていても分かると思います。これほど歩きスマホが言われているのに、いまだに歩きスマホがあります。歩きたばこがこれほど言われているのに、いまだに歩きたばこをしている人がいます。もう精神論や道徳の影響を受けない人というのは一定数存在しますから、その方々に対してどうするか。それは、社会の規範を明示した法の整備や条例の制定をしておく必要があり、これを根拠に指導する必要があります。ただし、法の整備や条例の制定については、ただしなんですけども、法律の専門家いわく、罰則のない法律はごみであると、何の役にも立たないと。罰則がないとなかなかそういう人たちは動いてくれないようですね。ですので、禁止事項と罰則が抑止力になるんだということをお考えいただきたいと思います。
 そのときには、先ほどから何回も言っておりますように、ネット上の書き込みに関しては、表現の自由と対立する場面が出てきます。ですので、投網にかけるような制限はできません。これについては、ドイツの法律も参考になると思います。ドイツ基本法は、もちろん表現の自由を法律が保障しています。しかし、個人的名誉権によって制限されると。つまり、表現の自由よりも人権を優先すると法律の中でうたっています。人権の名において表現の自由は、そこは制限されるんだというふうなのがあります。様々な悪質書き込みや罰則も設けられていますので、参考にしていただければと思います。
 ちょっといただいた時間、超過して申し訳ありませんでした。インターネットによる差別や人権侵害に関して意見陳述をさせていただきました。今回のこの参考人招致を参考にしていただき、差別解消に向けた検討を進めていただきたいと心からお願いしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○北川委員長 佐藤参考人、ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入る前に、申し訳ないですけども、換気のために5分間休憩をしたいと思います。再開を午後2時23分からで、よろしいですか。
 5分間休憩させていただきます。お願いします。
          (休  憩)

○北川委員長 休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
 それでは、御質疑ありましたら、挙手にてお願いいたします。

○小林委員 ありがとうございました。
 お聞き及びだと思いますけども、この10月の半ばぐらいに、我々三重県のほうでも後段御紹介いただいた他県の事例と合わせて、同じように感染症に関わるところの条例を制定する予定がありまして、そこの中に恐らくそのインターネット上での誹謗中傷であったり、人権侵害ということを盛り込まれるだろうということになっております。
 当然、常任委員会でそこは審議をされるんですけども、我々特別委員会としても関わりがあることなので、何かしらの提言をするというような方向になっておりますので、それで今回は、若干新型コロナウイルス感染症のことに関しても御説明をいただいたんではないかなというふうに思っています。
 その中でお伺いをしたいことがありまして、特に今回は、様々な差別事例ありますし、その被差別対象者によってその歴史であったり、経緯であったりとか、その動向様々なものが違うので、この新型コロナ感染症というものに関しても、非常に異なった特徴があると思うんですが、それを踏まえた上で、今回、特にインターネット上でのもので結構なんですけども、新型コロナにまつわる被害の実例、あるいはその中での特徴、最後ですが、3点目ですけども、先ほど前段にお話をしました今後、三重県で条例をつくるということに関して、何かしらのサジェスチョンがあればということで、3点、よろしくお願いします。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 コロナに関する被害の実例とかですね、最初御質問いただいたのは。
 コロナに限らないと思うんですけども、ネット上で差別発言だとか、人を実名を挙げてやられますと、周りの人や地域の人たちからやっぱり差別的な目で見られ、結局は引っ越さざるを得なくなったという被害も聞いております。そこの地域で暮らすことができなくなったということを聞いておりますので、そういう事例が実は実際に出ているということはお話ししておこうと思います。
 それを条例にどう入れるかという御質問だったのですけども、もちろん差別だとか誹謗中傷を禁止するということを条例には明記していただきたいと思います。先ほど言いましたように、罰則が実は本当はないと。それは効力をなかなか示すことができませんので、罰則と言っても罰金とかをするのは難しいかと思いますので、大阪市のヘイトスピーチの対応のように、そのようなネット上での差別的な書き込みをやっている者は氏名を公表すると、せめてそのような条項を入れていただきたいと私は思っています。
 何か漏れがありましたら、また言ってください。

○小林委員 事例としてお話ししていただきました引っ越しの件が、あったんではないかという話でした。我々もうわさ程度には聞き及んでおるんですが、もし専門家として何かしらもう少し具体的なことがあればありがたいなというのが、追加質問ですけども。
 漏れということですけども、そのお話をお伺いしたかったのは、ほかの差別事案と違うところ、その新型コロナウイルス感染症差別の特徴で、もし何かおつかみのことがあったらお伺いしたいなと思います。お願いします。

○佐藤参考人 私が知っている被害事例としては、引っ越し、あるいは今日の意見陳述の中でも申し上げましたように、都内ナンバーの車が傷つけられるとか、石を投げられるということが、私がつかんでいるものです。ほかに現地に行って実際に調査したわけではではありませんので、それらもネットや新聞とかでも報じられているかと思いますが、そんなようなものをつかんでいます。
 ほかの差別事例とコロナの事例が何が違うのかと言いますと、その方が感染者だというと、そこからうつされるんではないかという恐怖だとかうわさが流れて、もうその方の活動がかなり制約されるというのが一つのものとしてあると思います。今もソーシャルディスタンスと言われて、近づくことすらもままならない状況ですので、そこの方、御家庭のところに人が近づかないとか、配達に行くのを嫌がるとか、よく言われているのは、そこの家族がほかのところに行くと、その施設を使われるのを嫌がられるとかいうことが出ていますので、コロナがほかの差別とは違うのは、その方からの感染の恐怖が皆さん感じるというのが大本になるかと思います。よろしいでしょうか。

○北川委員長 ほかに、どうぞ。

○中村委員 ありがとうございました。先生、いろいろと難しい部分と、それから現状の厳しい状況を把握させていただきました。
 二つあるんですけども、一つ、私が、いつもこの特別委員会へ参加させてもらった一番のきっかけというのは、コロナで大変多くの方々が新型コロナウイルス感染症絡みで、感染者はもちろんですけれども、御家族も含めて大変な被害に遭っている。単に病気にかかっただけやのに、そのことが非難の対象になっているというか、まるで加害者みたいになってしまっている。そういう状況の中で、人間の持っている差別感みたいなものが拡大してしまったんじゃないかなというふうに捉えています。
 そういった中で、平素から日本にはというか、我々の社会には部落差別とか、あるいはヘイトとか、ほか先生にたくさん事例を聞かせていただいておりますけども、こういったものが今回のこのコロナをきっかけにぐっと広がったと。さらにSNSで拡大が広がっている。そういった現象に対して危機感を持ってこうやって議論をしているという思いなんですけど、まずはその辺の認識といいますか、先生のほうでやっぱりこのコロナ危機で、SNS等、こういった媒体でもって、コロナがきっかけで今までの潜在的な差別というのが思いっ切り広がっている、そういう認識というのは、先生に、その部分について御意見あればお聞かせください、お願いします。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 コロナをきっかけに様々な差別事象がひどくなっているとか、大きくなっているというふうなことではなく、もう既にSNSが普及し始めたときから差別事象はもうどんどん拡大していますので、その中の一つとしてコロナ差別が付け加えられたというふうに考えたほうがよろしいかと思います。SNSはうわさやデマを広めて差別を加速させます。それは様々な差別において、もう発生を既にしているところです。今、御質問の中にありましたような部落差別も、既にSNSやネットが出てきたときからもうネット上に特定の地域の住所を掲げるということが既に行われていますので、それらの中の便利なツールとしてネットが付け加えられたということなんですね。それからコロナが差別があるからほかの差別も一緒にということでなく、もう付け加えられてネットやSNSの普及とともにもうどんどんと拡大している中にあると私は思っています。よろしいでしょうか。

○中村委員 ありがとうございます。
 多くの差別の中の一環として今回のコロナの関係の差別事象が加えられたという、そういう認識ですね。人の心の中にあるいろんな差別の中にこのコロナの関係も出てきたと、そういう捉まえ方ということで理解させてもらいました。
 その中で、なかなか難しいのは削除をするということで、地方自治体、我々からも国に対して法改正を求めていく必要があるんじゃないかなということを感じさせてもらったんですけれども、川崎市のほうで今年ヘイトに対しての差別を、差別発言なり、そういった人々、外国の人々に対するそういった発言があった場合はそれを禁止するという条例ができました。その中には罰則の50万円以下でしたですかね、そういう規定なんかも入っているようなんですけども、もし川崎市のほうのヘイトに対する条例に対してもし御意見等がございましたら、ちょっと聞かせていただければと思います。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 ヘイトに関する御質問でしたら、現在の状況をちょっとお話をさせていただきます。
 ヘイトスピーチのところですよね。ヘイトスピーチ自体も禁止されてない状況の中、自治体が罰則を設けたというのが、川崎市の事例で、大変画期的だったと思います。川崎市とそれから大久保辺りは、特に中国籍の方、韓国籍の方が多いですので、ヘイトスピーチでも多く行われているところです。大変川崎市もそれに関して頭を痛めており、2016年にはヘイトスピーチの集会を行うための公園の使用を不許可にするということをやったことは、大変注目をされました。ああ、これが訴訟に入った場合は本当に勝てるのかという疑問もありましたけれども、実際そこまでは至ってなかったようです。
 大阪市のほうもヘイトスピーチに大変頭を痛めており、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例を2016年7月に施行しました。それは私の意見陳述の中でも御紹介しましたように、氏名、団体名を公表するというものです。それによって何人かの方が公表を受けていると。公表するためには、それがヘイトスピーチなのかどうかを誰が決めたのかということが問題になりますので、この中でもヘイトスピーチ審議会というものを別途立ち上げて、そこで審議をしているという状況になります。
 また、東京都は今回のオリンピックの前に、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を2019年4月に施行しました。この内容は何かといいますと、公の施設の利用を制限するということです。ですから、東京都が管轄している公民館の敷地だとか、公園だとかでのヘイトスピーチの集会をこれで制限するというものなんです。しかし、ヘイトスピーチデモは道路で行いますから、これは東京都でなくて警視庁の管轄になります。ですので、現状では申請さえすればヘイトスピーチデモは公道で堂々と胸を張って行える状態にあります。ですので、完全に抑え込むことはできないですが、東京都として姿勢を示して制限するのは、もうここまでで精いっぱいだったろうと思いますが、それを制限する条例を出しています。
 幸いといいますか、コロナの影響で東京オリンピックが延期されましたけども、実際にオリンピックが開催されている競技場の周りで、また選手村の周りでヘイトスピーチデモができる状態になっているということを、ぜひ皆さんも危機感を持っていただきたいと思います。当然、人権団体は世界から注目を受けるオリンピック期間中にヘイトスピーチデモを行うことを計画しておりますので、来年のオリンピック期間中にどういうことになるのか、私も危惧をしているところです。
 そして、最新の状況としては、川崎市が出した差別のない人権尊重のまちづくり条例です。昨年12月に制定され、今年7月1日に全面施行ですから、もう施行されているはずです。これは先ほどお話ししましたように、大変画期的なもので、50万円以下の罰金とするということを定めています。国が罰金を定めてないのに、市が定めたという画期的なものだと思います。これをするときも、ヘイトスピーチなのかどうかを認定しないといけませんので、これも差別防止対策等審議会をつくり、そこで審議するという方法を取っています。これがヘイトスピーチの対策をしている各自治体に広まっていくのかどうか、私も注目をしているところであります。
 これが、ヘイトスピーチに関する自治体の取組の状況です。

○中村委員 ありがとうございました。またもう少し研究をしたいと思います。

○北川委員長 よろしいですか。

○中村委員 はい。

○北川委員長 ほかに御質疑はいかがでしょうか。

○小島委員 今日はどうもありがとうございました。
 お聞きをしながら、何て人間は罪深いんだろうという思いと、何でこんなものをつくって、今このやられている側の人たちが一生懸命そのことを解明しようと必死にならなければいけないのかということをずっと考えながら聞かせていただきました。
 お話の中に、教育とか啓発だけでは解決はできないと、そのとおりだと思うんですが、とはいえ、教育や啓発というのは非常にベースとして大切なものなのかなというふうに思っておりますが、今お話いただいたような状況の中で、教育、啓発としてやっぱり何を教え、知らせるべきか、何を伝えるべきなのかということ、もし足らざるところがあるとか、このことがやっぱり絶対的に必要であるというふうなお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 私自身も教育に身を置いている者として、この新しいツールであるインターネットの正しい使い方だとか危険に遭わない方法というのは、もう子どもたちが学んでおくべきだと思っています。今、小学6年生のスマートフォン所有率はもう5割に達しています。ですから、小学生の高学年から教育を始めないと、ネットリテラシーの教育はもう手遅れになると、私は思っています。
 片や、現場にいて私が思うのは、このインターネットの進歩の速さ、スマートフォンの進歩の速さ、次々に出てくるアプリ、これらに現場の先生方が対応していくのは、まさに今ちょっと無理な状態になっています。現場の先生方は本来の業務があります。御自身の授業がありますし、児童・生徒の指導がありますし、学校行事もありますし、保護者対応もありますし、御本人の研究発表もありますし、ネットの教育だけでなく、環境の教育もありますし、防犯・防災の教育もありますし、たくさんのことを抱えて仕事をしている中、インターネットやスマートフォンやアプリのこの発展にも追いついていって子どもを教育せよというのは大変無理なことだと私は思っています。先生自身も、教育にICTを活用することも、今、大変苦労しながら活用・対応しているところなんですよね。
 ですから、そのような教育現場の状況の中、ネット上の差別だとか、人権侵害だとか、そして子どもたち自身がそのような加害者にならないだけでなく、ネット上の様々な犯罪など被害に遭わないようにするための教育がとても遅れています。もちろん、1クラス分のパソコンが整備され、パソコンを使った検索や文書作成や図形を作ったり、使い方は教えられてきていますが、そこにある正しい使い方、モラルやマナー、ネット上のリスク、それらをしっかりと教えることが今できない状態だと、私は思っていますので。
 学校の先生は、あれも、これも、それも教えないといけない状況、その中にネットも対応して人権侵害もしないように、差別もしないように、自らも危険に遭わないように、教えたいのはやまやまでしょうが、それらに対応できない状況ですので、意見陳述の中でも紹介させていただきましたように、先生方に全てをやらせるのは無理ですので、外部の専門家を連れてきて、外部の専門家に話をさせるということをやってほしいんです。交通安全教室が行われているのと同じように、ネット安全教室という名前で自らが被害者にも加害者にもならないということをプログラムに入れていただき、それも児童・生徒は毎年入学し卒業していきますから、ネット安全教室、ネットリテラシー教室は、毎年度繰り返していただきたいと思います。そして、そのときに来た専門家の最新の情報を先生方、そして保護者の方も一緒にそれをいただいてしまうという教育モデルをぜひ確立していただきたいと思っています。御要望ありましたら、私もどこでも喜んで参ります。よろしくお願いいたします。

○北川委員長 小島委員、よろしいですか。

○小島委員 はい。

○石垣委員 先生、本日は貴重なお話ありがとうございました。
 1点だけ質問をさせていただきたいんですが、やはりこのコロナの影響によって、コロナの感染者が増えれば増えるほどこのネットでの差別的な発言や投稿というのが多くなってきているというふうに、前回の参考人招致のほうでもそのお話を伺わせていただきました。
 という中で、じゃ、被害の未然防止という部分で、この今日お話いただいた中では、もちろん地道に繰り返すことが大事、特効薬はないんだということで、いろいろな講演会であったりだとかセミナーを開くという形で、皆さんにまずこの未然防止というところを訴えかけていく必要があるというお話でした。
 先ほど小島委員からもお話いただいたんですけど、やはりこの教育という部分を通した部分で、子どもたちからまず未然防止というところをしっかりと考えていく必要があるよねというところは、非常に共感をさせていただいております。
 しかしながら、このコロナという部分でいくと、非常に今ネットの差別という部分も特効薬的な部分で何とかして抑制をしていかなければ、本当に最悪の場合、先ほど引っ越し等の現状があるというのも、これ本当に非常に大きな問題だと思っていますし、万が一の場合は本当に命にも関わってくる、非常に大きなものがインターネットの被害という部分だと思いますので、ぜひ今このコロナ禍の中で被害を未然に防止するような、早急に対処できるようなものが何かありましたら、またそのような事例もあったらぜひお教えいただきたいなというふうに思います。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症による差別を、特にネット上の差別を何とか防止するよい策はないかということですけども、差別にかかわらず、ネット上の人権侵害をなくすために多くの人たちが頭を悩ませてここまで来ましたが、決定打はないというのが私の現在の見解です。法的にも禁止されてないというのがとても大きな要因になっていると私は思っています。今のところは、ネット上での人権侵害、差別発言、コロナに関するものも同様ですが、書きたい放題の状態になっていると。その中で何とか抑止しようとすると、先ほど御質問出ましたように、やっぱり教育、啓発、意識を変えてもらうことが今できることなんですが、それは教育機関や、それから自治体でのセミナーだとか、あとはマスコミを含めたキャンペーンをやるしかなく、そのようなことをやっても、社会の中には精神論では動かない人が一定数いますので、その人たちを抑えるためには、抑止力は明確な禁止をうたって、そのための罰則を設けるということしか、今は決定打はないと私は思っています。
 もう現在は何でもあり、何をやっても裁かれないという状況ですので、これをそのまま放置したのでは、コロナの差別禁止と言ってもなくならないと私は思っています。
 以上です。

○石垣委員 ありがとうございます。
 やはり、今まで専門家の皆様方等が頭を悩ませても、なかなか決定打というものがないというふうに理解をさせていただいたんですが、みんながみんな差別をするわけではなくて、やはり一部の方々というところなんだと思うんですよね。その一部の方々においても、やはりこういう専門家の皆様方の貴重な御講演であったりお話を聞いても、なかなか現在に至ってもその方々の考えが覆るような形にはなっていかないというのが現状ということなんですかね。

○佐藤参考人 ありがとうございます。
 まさに永遠のテーマですよね。犯罪者をなくすにはどうしたらいいかというようなテーマにも結びつくもので、それを社会の中には精神論や道徳だとかモラルで動かない人が一定数いますので、その方たちをどうやるかということが永遠のテーマだろうと思います。
 もう一つ、何か言いたかったんですが、ちょっと忘れてしまいました。すみません。
 以上です。

○石垣委員 ありがとうございます。
 今日の貴重な御意見をしっかりと少しでも減らせるような対策を我々も考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○北川委員長 他にいかがでしょうか、せっかくの機会ですので。

○山内委員 すみません、今日はありがとうございます。
 ちょっと違う角度になるかもしれませんが、今の石垣委員の質問にもつながるところかなと。私たち、今でもそうかもしれませんけども、子どもの頃からいじめは見て見ぬふりをすると加担しているのと同じだといって教えられてきました。このネット上の中でも、いわゆる非難・中傷を受けた人を擁護しようとする周囲の人々の動き、グループ化であったり守っていこうとする動きがあるのかないのかというところと、いわゆる非難・中傷をされている方を傍観している方もたくさんおられるわけですね。この傍観者の皆様の果たすべき役割というか、そこへの期待というのは、やっぱり持ってもいいものなのかどうなのかというか、微妙なとこやと思うんですけども、そういったところをちょっと何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 まさにいじめでも同じような構造が起きているかと思います。ネット上ではお互いの姿が見えませんので、見えるのはネット上での投稿だとか書き込みだけが見えますので、発言者が目立つんですよね。ネット上のある調査研究のデータとして、ネット上で炎上が起きたり、バッシングが起きていたとしても、書き込んでいるのは0.47%だということを発表した方もいます。声を出した人が目立つ、それがネット上での特徴だと思います。それを逆に利用して、複数のアカウントをつくって、世論であるがごとく、1人の人間がたくさんのバッシングを書き込むという現象も起きています。それもネット上では姿が見えませんので、そうやってまさに大衆の意見であるかのようにバッシングやアンチコメントを書く人間もいます。それはもうネット上の一つの病理かもしれません。
 そういうこともあり、擁護する人はあまり発言しませんから、この点がネット上の弱点かもしれませんね。クラスの中では擁護して目に見えていますから、発言してない人もそこで見えていますので、何か対処があるかもしれませんが、ネットの上では現れたものだけで判断されていますから、それは大変難しいですよね。
 そして、傍観者の人たちに何かやってもらえないだろうかということがあろうかと思います。これは傍観者の中でも発言する人が出てくると、それに賛同する人も出てきます。それは、ツイッターとかで以前ありましたように、ハッシュタグを使って「検察法改正に反対します」というようなあのような動きというのは、これはネット時代、SNSになったからこそ、大衆が意見を述べ、それに多くの人たちが賛同するという手段を持ったということなんですよね。ですから、どなたかからそのような意見を述べると、それに対してネット上で賛同する人はどんどん増えて集まってくるということがネット上でも形として表れますので、1人でたくさんのバッシングをして、あたかも大衆であるかのように、あるいは差別発言をする人がいたとしても、片や今まで傍観している中の人でもそのような活動、行動を起こす人がいれば、その人たちの本当にまた意見が集まると、私は信じています。
 そういう人たちをつくるためにも、先ほどからありました教育、啓発がその裏づけになるかもしれません。よろしくお願いします。

○山内委員 ありがとうございました。

○北川委員長 よろしいですか。
 ほかにはいかがでしょうか。

○藤田委員 いろいろお話ありがとうございました。
 お話を聞いていると、何も法的にできないのかなと、こんな思いをしてしまいました。法律に書けない、法的にそういう禁止項目というようなことを書けないのか、書かないのか。これはどうなんでしょう。ちょっと言い方変えますと、書けない理由があるんでしょうか。

○佐藤参考人 差別だとか中傷、アンチコメントと言われるものは、本来禁止されるべきですけども、法律上、それを明確に禁止したり違法だとしてないのは、やはり片や表現の自由があるからです。言論の自由もありますし、表現の自由もありますので、それを守ろうとすると書けないのが現状ですね。書かないままに、もうこの20年間、ネット上の中傷、差別、様々な人権侵害に関しては、法務省も総務省も現行法で対応できると言い続けてきた。でも、現行法で対応するには、現実的に莫大な費用と手続と大きな精神的な苦痛を伴うんだということは、ようやくこれで分かってきたのではないかと思います。
 ですから、今のように表現の自由が片方にあるので、それを違法にしたり禁止したりできないというふうに言い続けるのは、もはや被害者にこれから先も我慢し続けろと言っているのと同じだと思いますので、この中でもお話をさせていただきましたように、表現の自由を全部投網にかけるように制限するのではなく、その中の差別分野だとかに限って、そこの分野では表現の自由よりも人権を優先するんだというふうな、ドイツの基本法のような考え方をこれから入れて明確に禁止したり、罰則を与えたりすべきだろうと、私は思っております。

○藤田委員 ありがとうございました。
 本当に本質的なお話をいただいたかなというふうに思っております。本当にありがとうございました。

○北川委員長 ほかには皆さんいかがでしょうか。まだ御質問されてない方でもありましたら。

○山本委員 今日はありがとうございました。
 お話を伺っている中で、先ほども出ましたが、作為的な差別的な書き込み、例えばなりすましも含めてというのと、これは啓発啓蒙が足りない、あるいは本人が不勉強だということや、無意識というのが一番怖いとは思いますけれども、無意識な状況でこういった通信機器という簡単に発信できるものを手にしたことによって、無意識に発言した、書き込んだことが大変な重要な問題がはらんでいるということが、またそれが影響がどんどんと広がっていく、無意識ながらに広がっていくというのとが、本当に二通りあると思うんですけれども、今の現状のこの様々な問題を研究してみえる中で、その割合というか、私は、無意識なままで書き込んだことが、安易に書き込めるために、人も書き込んでいるのを見たりすると、それが無意識に、逆のほうの勉強ですよね、悪いほうの勉強ですよね。そういうことになって広がっていっているような傾向も、この機器を手にしたためにあると思うんですが、そこら辺の今の現状は、バランスはどんなものなんでしょうか。

○佐藤参考人 御質問ありがとうございます。
 作為的に書かれたものだとか、無意識で書かれたものの割合はどうなんだろうかというのは、調査結果を私は持ってはおりませんけども、私がこれまで見てきた中においては、無意識、罪の意識がそう多くなく書き込んでいるネット上というか、書き込んだり、拡散しているほうが私は多いと思います。ネット上で差別書き込みだとか人権侵害、中傷の書き込みというのは、無意識もそうなんですけども、実はパターンが三つありまして、無意識でほかの方も書いてあるから、それに賛同するようにリツイートして拡散するというグループがあります。私はこれはとても多いと思うんですけども、片や作為的と言われた、もう悪意を持って書いているグループもいます。そして、3番目に、これはやっかいなんですけども、もう一つある三つ目のグループというのは、本人は正義感で書いているというのがいます、今で言うとマスク警察みたいな。私が社会をよくしてやるんだ、私が懲らしめてやるんだとして、ゆがんだ正義感を持って攻撃している人も、これが3番目にあり、この方々は本当に教育、啓発というか、なかなかやめることができない人たちなので、解決が厄介だというふうに思っています。
 悪意を持って書いている人間というのはどんなグループかというと、書いて相手が困っていたり、反論したりしているのを、反応が楽しいということで、悪意を持って書いているわけです。ですので、今回もお話しさせていただいたように、自分に対する誹謗中傷をネットで見つけたときに、それに対して、それは間違っているとか消してもらいたいというふうに反応する、これは相手の思うつぼなんです。悪意で書いている人間に対しては反応してはならない、これが鉄則になり、その同じ場で闘うのでなく、別途のところでちゃんと自分の正当性を述べたりするというのが正しい対処になってきます。
 その三つグループがあって、今の御質問では、無意識で書いているグループは一番多いだろうと、私は思っています。

○山本委員 ありがとうございます。
 三つに分けられるのではない、そういうふうに考えるというのも認識したところです。
 言われたように、無意識というほど危険なことはないんですけれども、そこへの働きかけというのは、やっぱりまだまだこれからできるというような思いで、全体数を縮めていくということの中で、そこが大きなネックになるのかなと、それは一つ思いました。ありがとうございました。

○北川委員長 ほかにはいかがでしょうか。ほかに御質疑ございませんか、よろしいですか。
          〔発言する声なし〕

○北川委員長 それでは、なければこれにて質疑を終了させていただきます。
 それでは、この際、参考人に対して委員会を代表して一言御礼を申し上げたいというふうに存じます。
 本日はお忙しい中、当特別委員会のために御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。貴重な御意見や御示唆を、たくさん頂戴をいたしました。これからの特別委員会での議論にしっかりと反映させていただきたい、役立てていきたいと思っておりますので、また引き続いていろんな形で御指導も賜ればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。お世話になりました。

○北川委員長 それでは、以上で参考人からの聞き取り調査を終わります。
 参考人はこの後、退出をされますけれども、ここで換気及び委員間討議の会場設営のために15分程度休憩とし、再開は午後3時20分とさせていただきます。
          〔参考人 退席〕

○北川委員長 それでは、暫時休憩をいたします。
          (休  憩)

2 委員間討議

○北川委員長 それでは、委員会を、再開をいたします。
 続いて、委員間討議を予定どおり行わせていただきたいと思います。
 それでは、順次、御意見のある方から御発言をお願いいたします。
 今日の話もそうですし、前回の参考人招致でもそうなんですけど、いろいろ皆さん方、御質問もいただいてやり取りしていただいた中からの意見も、再度、今日はきちんとお話ししておいていただいたほうが、私ども正副委員長も取りまとめやすいですので、あのとき言うたよなとかいうことに終わらずに、改めてお話をいただければありがたいです。いかがでしょうか。

○小林委員 過去の3回のものということではないんですけども、先ほど委員長がお話しされた内容の中で少し気になることがあったんですが、この委員間討議で常任委員会、条例策定に資することの内容があれば正副委員長で取りまとめて伝えさせていただくというお話でしたが、ここの特別委員会で何か取りまとめて常任委員会にその条例の制定に関して報告書を出すということはしないということですか。

○北川委員長 以前からお話しさせていただいているように、前回にもお話しさせてもらいましたけども、ここで出た意見について取りまとめをさせていただきます。ただ、今までの話の中では、委員長報告をさせていただくとか、提言書にまとめてということではなくて、出していただいた意見を基本的にこういう課題なり意見がありましたという形で常任委員長にはお出しをしたいというふうに思っています。現段階で条例の中身についてどういう形のものになっていくかというのは、ちょっと全く見えない状況なので、現段階で我々としてできるのは課題の抽出であったり、様々な課題に対しての方向性であったり、そのところの意見を出していただいて、それを提出させていただくということで、今、正副では考えさせていただいています。

○小林委員 つまり、私が確認させていただいたとおりだということですね。今日こういう参考人からこんな話を聞きました、こういうことをするべきだと、発言する、そういうことがありましたと、それを報告、逐次いただくということで、この委員会でこういうことをすべきだ、こういうことを条例に入れるべきだということをまとめて、書類なり何なりで提出することではないという話ですね。

○北川委員長 そうですね、まだ何も見えてない状態ですので、今はもう皆さんから出していただいた意見を基本的にはそのまま、こういった形の意見や課題がありますよねという形でお出しをしたいというふうに思っています。意見を取りまとめるとか言うと、いろんな相反する意見があったりだとか、感覚があったりだとか、主語があったりだとか、そういう議論まではちょっと今はできない状況かなと思いますので、あくまでも課題や意見を出していただいて、それをお渡しさせていただいて、議論に資するような形で使っていただくという形で今は考えています。

○小林委員 確認をしました。私が理解したものと少し違うということだけお伝えしておきます。

○北川委員長 ほかの皆さんは、どうでしょうか。

○藤田委員 先ほどの小林委員の意見に関してですけども、やっぱり中心は医療保健子ども福祉病院常任委員会で当然やっていただくということですので、やはり、さはさりながら、今日のお話にもあったように、非常に人権に関しての大きな課題を抱えているということも分かりましたので、その点のところは強く特別委員会の中で意見が出たということで、委員長のほうからもお話をしていただきたいなというふうに思います。
 特にこういうことは駄目だというようなことを、やはり文章をといいますか、内容的に言っていただきたいなと。差別、いわゆる新型コロナウイルス感染症による差別というものは駄目ですよ、今でも言っていただいておりますけども、そういう項目をやっぱり入れていただきたいなというふうに思いますし、条例の中では先ほどお話をお聞きしたように、やっぱりきちっとした情報を県が責任持って出していくという視点も、これは大事かなというふうに思っております。
 その他、いろいろ皆さん方にも御意見があろうかと思いますので、私は二つだけ申し上げますけども、差別に関してのことは駄目だ、そして同時に情報というものをきっちり出していく、そのことで不安によっていろんなことも出てきますので、そういうようなところを入れていただきたいなという2点だけちょっとお願いをしておきたいと思います。

○北川委員長 ありがとうございます。
 県の情報と言われるとすごく幅が広い話になっちゃうんですけど、どういう意味合いの県の情報ということですか。

○藤田委員 一つは、やっぱり医療に関しての情報があろうかなというふうに思います。例えば今回の新型コロナウイルス感染症ですと、コロナという病気、ウイルスの持っている性格、そのことに対する正しい情報がまず一つあるのかなというふうに思いますし、個人情報によって、先ほどお話いただいた個人攻撃のないような範囲で、そして同時に県がやっていく医療的な内容については、これは専門の条例ですので、いろいろ項目が出てくるだろうというふうに思いますけども、こういう形で県としては対応するので、皆さん、安心してくださいよ、そういう安心を得るような内容も含めて情報を出していただきたいなというふうには、私は思います。そんな意味で情報というふうに考えておりますが。

○北川委員長 ありがとうございます。
 続いて、御意見どうでしょうか。

○小島委員 コロナに関してというか、全部には波及するんですけれども、新型コロナウイルス感染症、あるいは感染症対策条例への意見として、どうしたらいいということはないですけれども、今いろんな公表をしていただいているので、その公表の仕方で課題がなかったのかどうか、そのことが罹患された方自身の権利侵害につながっていないかどうかということは、やっぱり丁寧にやっていかなくちゃいけないのかなというふうに思います。
 それが1点と、それから多分、感染症の対策本部みたいなのにいろんな方が入っていただいてお進めはいただいているとは思うんですけれども、今回のこの新型コロナウイルス感染症のずっと在り方を見ていると、やっぱり医療が、もちろん病気ですからというか、感染症ですから、先に走っていただくのはもちろんなんですが、やっぱり今度はというか、環境生活部を中心とする本当に人権侵害が起こらない、そういうことをやっぱり県としては大きく同時に発信をいただきたいと思うので。
 そして、もう一つは、学校が休校とかになりました。でも、その中でどうやって子どもたちに伝えるかということは明らかにされずに、なかなか一つのこれをきちっと伝えていこうということが出されなかったように思います。だから、例えば医療保健部、環境生活部、教育委員会等々が同時に走り出す、その体制を整えることが大事だと思います。ただただその本部にどっかの人がその部の人が全部入っていればそれでいいというものではありません。もっと実効のある動き方をやっぱり今後についてはぜひしていただくようにということは、言っていただけるといいのかなというふうに思います。
 3点目が、これ難しいんですけど、病気の相談は保健所とかいろんなところにしていってもらうんだけれども、例えば誹謗中傷を受けたときの相談先はどこかと考えたときに、人権センターというふうにこの新型コロナウイルス感染症については、県民の皆さんにお知らせをいただいていたと思います。けれども、この前の人権センター長の発言にもあったように、その相談をされて、そこからどうするかというのが非常に不明確でした。どうやって精神的にも少しは荷物が軽くなるのかというのがなかなか見えなかったので、そのあたりの相談体制のつくり方というのも大きなやっぱり課題だなと思うので、ぜひその感染症対策条例の中に全てが入れ込めるかどうかは分かりませんけれども、申し上げていただきたいなというふうに思います。

○北川委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○山本委員 よろしくお願いします。
 公表の仕方について、その形がどこまで公表していいかとか、それから本人に配慮をすることとともに、不安をかき立てるようなものが残って、公表の仕方に、発症者のほうが残っていると、その詮索をするみたいな、それから逆に言うと、私たちも聞いてびっくりするようなげなげな話なんかがちまたで出てくる。だから、そういうふうな明確にするのは何か、言えないのは何かというのはあると思うんですが、そこの線引きというか、それをやっぱりきちんとよく考えてもらってやってもらっていたんだと思うんですけれども、再度確認をして、公表の仕方としてはしていただきたいというのが一つです。
 そして、結局不安があるからそういうふうなうわさ話やそういうのが尾ひれがついていくというのであれば、やっぱり不安、感染するかもしれないという不安を払拭するという意味では、これはもう医療保健部のそこの部分ではありますけれども、検査の体制の検査の在り方というのが、近隣の方が発症された方が出た近隣のところで不安でないような検査の仕方がきちんと行われるべきだというふうに思います。今までの状況で見ていると、改善されてきているとはいえ、この検査の仕方がまだまだ不安が残っていると、県民の方にはということがあると思うんです。
 それから、もう一つは、三重県で知事が一生懸命、感染が出てその説明をされたり、それから説得をされたり、本当にこれは素早くやってもらっているとは思うんですけれども、すごいパワーでやってもらっていると思うんですが、ここに三重県としての医療専門家、もちろん医療保健部には医師の方も見えるんですけれども、庁内の医師の方ではなくて、例えば国であったり、それから東京都であったり、あとどこだったかな、医療専門家の方がやはり三重県として本部に入ってもらって不安を払拭するような、それでこういった差別につながっていかないような、そういった発言もしていただくような立場の方をやっぱり本部なんかに入っていただくと。医師はいらっしゃるけれども、今、庁内の方でない、特に三重病院にも感染症の専門の方もいらっしゃるように伺っていますので、そういうところで入っていただくと、より説得力があって正しい怖がり方、正しい認識ができるんじゃないかというふうに思います。

○北川委員長 ありがとうございます。
 できるだけたくさん出していただけたらと思いますけれども。

○中村委員 今日のSNS関係は、非常に勉強になりました。
 この差別の問題については、コロナの差別について、知事が結構いろんな発言の最後に具体的に例を挙げて、新型コロナウイルス感染症に関連するお家に石をほられたとか、貼り紙されたとかそんな話もされたということで、県民の皆さんには非常に具体的に分かりやすく、いい感じやなということでは伝わったとは思うんですけれども、実際には、そやけど、私の周りでは、あれは本当なんかという人もおりますし、これから感染症の関係の条例をつくるに当たって、その差別部分を我々が担当しているみたいなところがあるんですけれども、やっぱり実態の調査というか、本当に具体的な例を分かりやすく、そんなことしたんかということが県民の皆さんに伝わるような形での調査というか、多分そのことを人権課、あるいは教育委員会なりそれぞれで相談を受けたりとかいろんなことをやっているんだと思うんですけど、その辺の統一したものが整備されてないというふうに思いますので、その辺を、しっかりやってもらいたいと思います。
 具体的に、私もある会社の方から聞いたんですけれども、全然関係ないんやけども、やっぱりそこから感染者が出たというだけで、そこの会社に行っている人の子どもが、やっぱり周りから、あんたは、あそこの会社なんやろとか言われたという話も聞きましたし、いろんなところでそうやっていろんな差別みたいなものが発生しているというふうに思いますので、きちっとその辺の調査をしていただくようにお願いしたいのと、それからやっぱりそういう現場の状況というのを、市町というのは、やっぱり民生委員が見えたりとか、あるいはいろんな部署が隣り合わせというか混在している、行政の中でも混在しているので、縦割りは縦割りやけれども、それを越えたところがある。市町が小さくなればなるほどそういうところがあります。そういったことを考えると、先般、市町のほうで情報は多分持っているんだというふうに思うんですけれども、それに対して対応の仕方がそれぞれのやり方でやられていて、きちっと整理をされてないというのはヒューリアみえのときの資料ではあるんですけれども、やっぱり市町との丁寧な、市町の持っている情報量をつかむ、市町との関係をきちっとやっていくということも、これは絶対欠かせない部分かなというふうに思います。
 それから、今日感じたんですけれども、私は新型コロナウイルス感染症がきっかけにいろんな差別がずっと拡大したんかなというふうに思ったんですけども、今までたくさんある差別の中にコロナ差別が入ってきたという先生のお話でしたけれども、やっぱりSNSによって差別の問題がかなり拡大はしたということを、私は前回もそうやったんですけど確認させてもらいましたんで、やっぱりこのSNS対策というのをきちっと伝えていただきたいなというふうに思います。
 それから、最後ですけれども、やっぱり啓発、教育、これはくどく入れていく必要があるんじゃないかなということを感じさせていただきました。
 以上です。

○北川委員長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 副委員長、何かありますか。

○山崎副委員長 現状、様々な意見が今出ている中で、やはりこの新型コロナウイルス感染症に対するSNSに対しての誹謗中傷というのが拡散していて、歯止めが利かない状態になっていると。各市町の情報も、中村委員のほうからもお話があったように、情報を共有するというか、県は県、市町は市町で独自の報告の仕方をしているということが、やはり三重県としてどうするべきかということが情報として発信されないというもどかしさがかなりあるんじゃないかと感じています。四日市市でも、やっぱりうわさなのかどうかというところに、近くの地域では、ある例として、病院に感染者が出た、さらにその感染者に伴って看護師さんもうつられたと。そうすると、その病院が休業に追い込まれて、なかなか地域の方もそこに行けなくなったとか、様々な情報が錯綜しているということもありますので、県としてやはりきちっと共有できるような体制を取っていくのが大事だなと感じました。

○北川委員長 ありがとうございます。
 ほかにどうですか、いかがですか。

○小島委員 前回言わせていただいたことですけれども、LGBTQと感染症の関わりで、特段そうやって書いていただかなくても、例えばやっぱりそれぞれいろんな属性があったりして、そこに対する配慮というのは絶対に必要かなというふうに思うんですよね。医療現場もそうですし、そういう意味のことを書きこんでいただければなというふうに思います。
 例えば、会社には1人で暮らしていますよと言っているけれども、実は2人で住んでいてというような例もあって、だから、そのあたりでなかなかPCR検査を受けにくいとかそんな話も、三重県ではありませんけれども、私が聞いたのは、そんな話もあると思いますので、やっぱりそこの想像力をきちっと医療にかかる人たちが持つことというのも非常に大切だというふうに思いますから、そういう属性に関することも、もし記述いただけるのであればどうかなと思います。

○北川委員長 ありがとうございます。
 属性ということは、LGBTQのみならず……

○小島委員 すみません、外国の方もそうかもしれません。言葉がなかなか通じない中で、十分にやっぱり感染症対策が取られるかどうかとかというのも、もちろん人権保障の大きな一環であろうと思いますし、情報保障にもつながると思いますので。

○北川委員長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。

○石垣委員 私からは、やはり皆さんと重複する部分もあるんですが、県行政に対しても、やはりこのコロナウイルスによっていろんな情報やうわさというのが本当に出回り過ぎているぐらいに出回っているなと思っています。その中から、何を信じていいか分からないというところの不安や恐怖というところから、いろんな差別、デマというところに生じていると思いますので、やはり県からの情報発信という部分の、先ほど藤田委員も言っていただいたと思うんですけれども、正確性の部分と、あとスピードを今までも徹底してやっていただいていると思うんですが、やはりそのあたりを、スピードと正確性という部分をさらに強化をしていくという部分は非常に重要なのかなというふうに感じております。
 また、この県の情報というところもそうですし、我々受ける側の県民の皆様に対しても、今日の先生のお話の中にも、ネットに投稿するとか拡散をする方々は無意識で投稿される方というのも非常に多いというのが私は印象的でした。ですので、悪意を持ってだとか、せよと思って投稿されるという中でも、無意識で投稿するという部分は、積極的な啓発によって抑止できる可能性というのは、本当に大きい可能性を秘めているのかなというふうにも思いますので、やはり再三お話をされているような被害を未然に防止する啓発というところは、いろんなアイデアをもってして議論をしていただいた中で、少しでも投稿される方、拡散をされる方を少なくするような形で、コロナによる誹謗中傷の被害であったりだとかを少なくできる方法を取り組んでいただきたいなというふうに、私個人は思っております。
 以上です。

○北川委員長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。

○東委員 今日の聞き取りは非常によかったと思います。SNSのお話でしたが、一つは、絞って言うと、感染症対策条例というのを三重県が出そうとしていることに対して言うと、群馬県の事例を引かれていましたけれども、やっぱり具体的に抑止効果のある条例というのが必要だというふうに思います。抑止効果をどうするのかというのが、条例検討の中で委員会で議論し、全体で議論する場があるかは分かりませんが、具体的に抑止効果を本当に発揮できるような条例にすべきだというふうなのがまず1点、思いました。
 それから、この委員会でどこまで何を議論するのかというのが、私自身は正直ぱきっとは見えてないんですが、この差別解消を目指す条例検討調査特別委員会というと、本当にジャンルが広いです。次回も調査をしていくわけですが、今日の講師のお話のように、全体の差別の中にコロナ差別が加わったというはっきりとしたお話があったので、ああ、そのように整理すればいいのかというふうなことを感じました。
 ここからが2点目なんですけども、この差別は心の中の差別というのと、表へ出る差別というのが明らかに違うんだと思うんですね。例えば新型コロナウイルス感染症でいうと、欧米とかに行くとアジア人が完全に差別されています。日本人だかどうだか分かりませんけど、アジア人だということだけで強烈な差別。それはもう目にも明らかに行為として表れる場合と、心の中で表れる場合とがあるんだと思うんです。これはやっぱり人間はそういうもんだということを仮に前提とすると、やっぱり社会生活がうまく回るためにこの法律とか罰則とかあるんだと思うんですね。自分の自由を行使しようと思うと、相手の自由を妨げてはいけない。なので、さっき講師のお話の中にもありましたけれども、言論の自由、表現の自由、それと言ってはいけない、表してはいけないことを規制していく。それをとがった形で、こういうことは駄目です、こういうことはちゃんと審査会に通して、テーブルに上げて、こういうことは駄目ですということを明らかにしていかないと、倫理規範みたいなものが当然できていかないんじゃないか。非常に悲しい部分なんですけど、そういうことまでやらなきゃ、これは駄目ですよとはっきり言わなきゃいけないというのが悲しいことですけれども、それは行政の中でやる時代であることはもう明らかだと思います。
 もう一つは、ほかの方がいろいろ言ってらっしゃいました啓発の問題ですよね。特に青少年、教育現場でどのように子どもたちを教育していくのか、これこそ一番の基本だと思います。これこそ基本で、教える側もそうだし、教えられる側も双方絶えず追い求めなきゃいけない崇高な理念の下に人間のあるべき姿、尊厳みたいなものを教育の中で植え付けるのに、いろんな種類のいろんな差別の中でそういうことはあってはいけない、それがあるのが当たり前で、いろんな違いがある、肌の色も言語も違う、生い立ちも違う、考え方も違う、そういうものをトータルして受け入れるというのを、教育というか家庭教育も含めて絶えず追い求めていく必要があるというふうに思います。そこまでいくと、議論が多分収まらないんだと思うんですね。
 冒頭1回目から思っていたんですけども、新型コロナウイルス感染症に関して誹謗中傷、特にSNSで客観的な情報じゃない部分も、客観的な情報も玉石混交みたいにして流されるともう訳が分からなくなる。これをどう抑止するのか、罰則も含めて、罰則をつけて抑止をするという条例にしていただけたらなと、私は、この委員会の役割じゃないかなというふうに思います。
 以上です。

○北川委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

○小林委員 次のところで話をしようかなとも少し思っていたんですけども、先ほど東委員も言われたこともありますし、小島委員も教育のことをお話しされていたと思います。
 根本的に、今検討されている感染症に関する条例のことですけども、医療保健の常任委員会でということは当然承知した上での話なんですが、第1回の参考人は人権センターの方が来られて、官のほうの所属になりますよね。医療保健部が来ていただいた。そのときにも少し私はお伝えしたと思いますけども、医療保健の常任委員会で人権センターは呼べないですよね。我々特別委員会だからこそ、今出てきた例えば教育現場ではどうするんだと、あるいは広報足りないじゃないかと、不安をあおるのが問題なんだよねと、情報発信十分できてないんじゃないかということになりますと、総務部が関わってくるんでしょうし、様々な部局にまたがって、具体的な、東委員が言われましたけども、対策を取れるような条例じゃないといけないんじゃないのかと。罰則があるべきかどうかというのは、私は、若干考え方は違うんですけども。なので、だからこそ、我々がここの特別委員会で部局をまたいで、少なくともこの三重県が抱えている状況をもう少し把握する必要があるんじゃないのかなと思うんです。
 あと、地域の実情という話も出てきましたが、これ地域連携に関わってくることですよね。どうやってその地域で起こっている情報を速やかにこちらで集約をしてその是非をただす、本当はこういう情報なんですよ、ここは間違っているんですよと訂正ができるかどうかということも踏まえて具体策だと思います。そこまで盛り込めるような条例をつくっていただきたいと願うのであれば、常任委員会以外の我々、特別委員会で幅広く現状を把握できる場を持って、条例の原案ができている、できていないと関係なしに我々が検討すべきじゃないかと思います。それこそ特別委員会の特殊性なんじゃないのかと思うんですが、よろしくお願いします。

○北川委員長 感染症対策条例について特別委員会で議論を深めたほうがいい条例になるのではないかという御意見をいただいたわけですけれども、委員の皆さん方に、御意見がありましたら。

○藤田委員 ちょっとこれ事務局に確認したいんですが、常任委員会で人権センターの責任者の方は呼べませんか。

○北川委員長 私どもで答えさせてもらいますけれども、その感染症対策条例の中に関わって人権センターの話を聞きたいということであれば、それはいわゆる事務局として来ていただいて、説明なり話を聞かせていただくことは可能だと思います。

○藤田委員 私もそう思うんです。今、小林委員がおっしゃったのは、このいわゆる感染症対策の条例をつくるという視点で、必要であればどの部署でも呼べると私は思っています。特に、私は、環境生活農林水産常任委員でもございます。実はその常任委員会でできれば人権に関わることであるので、合同審査をできないかというお願いもしております。
 小林委員は、常任委員会でこの人権に関わる内容の条項がつくれないように勘違いされているのかなというふうに私は思いますので、これは当然中心になって執行部がやるということで、その担当が常任委員会でやるということであれば、ここからの意見も申し上げることも可能であるし、同時に、それぞれ必要であれば各部門も呼べますので、その辺のところは、僕は心配ないというふうに思っております。
 ここでやるべきは、多くの差別事例があって、そしてその中でも、例えば障がい者に関しての条例は一昨年でしたか、つくらせていただいたというような形で、本来なら部落差別に関しての条例をつくり、それからLGBTについては、これつくっていただけます。そういう各項目でつくるべきだというふうに私も思いますが、しかし、現時点でやれる範囲でこれだけの皆さん方に集まっていただいて特別委員会つくっていますので、やれる範囲で調査をして早急に条例をつくっていく、差別をなくしていくという条例をつくっていくというのが、この特別委員会の使命だと私は思っていますし、今までの協議もそういう形で進んできておるんだというふうに私は思っていますので、ちょっと小林委員の意見には同意しにくいという考え方を持っています。

○小林委員 ありがとうございます。
 反論がございます。
 常任委員会で審議してということになると、今度9月になるわけですよね。常任委員会で審議するものというのは、当然そのときに上程された議案がある中で様々なものがあって、スケジュールがあると思います。今、幸いにして、まだ8月になってない、7月末の段階で、我々は少なくとも三度、差別に関わるところ、そして新型コロナウイルス感染症にまつわることに関しても、参考人からお話を伺うことができたと思っています。この時点で環農でも、それから医療保健でも我々の持っている情報は基本的には持っていないということですので、我々が、その方々が、最終的に審議する方々が持ってない情報を持っていると考えていいと思います。
 加えて、当然、医療保健で、環農、あるいは人権センターの方を呼ぶことは、もちろん全く不可能じゃないと思いますが、じゃ、先ほど話題に上がった当事者というか当事部局、医療、学校、環境、そして総務、地連、警察、最終的に、例えばこれを処罰をするということになって、具体的には投石ということになれば犯罪なわけですから、これをどう取り扱うというのは、警察に来てもらわなきゃいけない話だと思います。しかも、これのことにおいて、現状を知っている方々が県下におって、今まさに第2波と言われる中で新たな感染者も出始めていて、そしてその中で我々が知らないところで、恐らく誹謗中傷であったりデマがあって、場合によっては、今日の参考人が言われた引っ越しをしなきゃいけなかった方がいるかもしれないという話。ただ、その情報源は我々とほぼ変わらないニュース、インターネットを見ての話ですよね。我々もそんな話は聞き及んでいますけども、実態は分からないですよね。
 もちろん、プライバシーのことがあることなので、どこまで開示できるかというのは、当然、県当局で判断してもらわなきゃいけないわけですけども、我々がここの住んでいるこの三重県で起こっていることを、やはりつぶさに把握する必要があると思いますし、我々はその時間が今まだあるんじゃないかと思います、10月のいわゆる条例案が提案されて、そして最初に、医療の委員会で審議されるまでの間において。ですので、我々が今まで携わってきた3回の参考人招致と時間のアドバンテージ、そして審議内容が特化しているということに関して、我々は特別委員会がやるべきことは、もう少しあるんじゃないのかなと思います。

○藤田委員 おっしゃることよく分かるんですが、それゆえに、例えば部落差別の問題であるとか、あるいはヘイトスピーチの問題であるとか、これをじゃどこでやっていくんだという話に私はつながると思うんですよ。おっしゃるように、一日の長は常任委員会と特別委員会と比べたときに、確かにあろうかなというふうに思います。しかし、医療でやっている原案は、既に執行部の中である程度調査をしてやっていただいておるわけです。だから、その部分を比較したときに、果たしてどちらが先行しているかというのは、現段階で判断はしづらいのと違うかなというふうに私は思いますけども。
 今おっしゃったように、確かに総合的にならざるを得ないということは分かりますが、我々がやるべき差別を解消していく条例を検討していくのとは、若干、僕は趣旨が違うというふうに思います。

○北川委員長 私の立場で申し上げると、前にこの委員会の中でお話しさせていただいたかどうかはちょっと記憶は定かではないので、初めてお話しさせてもらうんかも分かりませんけれども、この特別委員会が代表者会議を経て5月に立ち上がった以降に、感染症対策の条例について、知事からこれを執行部でつくっていくんだという話があって、1回目の我々の特別委員会が終わってから、これについては医療保健子ども福祉病院常任委員会で審査をしてもらう議案になるというふうに聞かせていただいたわけですよね。感染症対策条例自体が医療保健子ども福祉病院常任委員会で審議をされるということは、採決も含めて、もちろん最終は議会全体で判断するわけですけれども、常任委員会で一旦判断をされるということを考えると、私たちがその条例の中身について、是非も含めて議論をするという立場には残念ながらないので、あくまでも感染症の誹謗中傷や差別につながる部分について、我々が調査をし得た分についてしっかりと意見を出していくというのが、特別委員会の仕事ではないかというふうに、委員長としては思っています。
 併せて、ここからちょっと私見になりますけども、医療保健部で感染症対策の条例を議論していただくときに、例えば今日出たお話でも、公表、情報の提供の仕方をどうしていくかというお話があったと思うんですよね。感染者の方の情報をどう流していくかということについては、単に誹謗中傷の議論、側面だけじゃなくて、当然ながら、医療体制との関わりも出てくるので、そういうことも鑑みながら、あるべき情報の提供の仕方はどういうものなのかということも議論しなきゃいけない。これは、当然、医療保健部の範疇で考えていく話だというふうに思うんですよね。
 だから、そういう意味で、医療体制自体は、当然、感染症対策条例の何割を占めるのかちょっと分かりません。それが半分、誹謗中傷対策が半分かも分かりませんし、七、八割方が医療体制に関わった部分になるのか、これは、今何も見えてないので、どの程度のものが出てくるのかというのは分からないんですけれども、仮に半々にしたとしても、その中で医療体制に関わっての議論というのは、私は誹謗中傷の部分に関わっても非常に重要な部分だと思っていて、そこの部分は、しっかりと医療保健部を相手にして常任委員会がきちんと考え方を出していくというのは、私は筋だと思っている、これは私見ですけどね、二つ目の。
 そういうことも含めて、特別委員会の立場としては、こういった課題がある、こういった課題のこの今の大変な状況の中で、この解決だけはきちんとやってもらわないと駄目よということをきちんと審議をしていくということが求められているものだというふうに私は思っているので、御理解をいただきたいなというふうに思います。

○小林委員 藤田委員が言われたそのほか部落差別の問題、LGBTの問題、それから山内委員が当初から言われている女性の問題だったり、いろいろ関わらなきゃいけない、審議しなきゃいけないものがたくさんあるんだということが、私も重々承知しているつもりですし、だからこそ、冒頭で2段階という形で我々の総意を得て理解をしたんじゃないのかなというふうに思っています。ですから、10月以降、6月までということなんで、十分時間は、十分かどうかは分からないですけども、あるんではないかと思いますし、そこで当然しかるべき審議をすればいいのではないかと思います。ただ、今現在、感染が広がっている中で、喫緊の課題だということがやっぱりあるので、だからこそコロナを最初に審議をすべきだろうということだというふうに認識をしています。
 その上で、じゃ、特別委員会がどうあるべきかということですけども、常任委員会は原案が出されて、それに対して審議をするんだろうと思います。その前段階で調査をするべきが特別委員会ではないかということです。特別委員会において、我々は様々な調査をして、それで条文に書かれてない段階だからこそ、こういうことがあるんじゃないか、こういうことを検討すべきじゃないかと言えるのが特別委員会じゃないかと思います。だからこそ、今の段階で幅広い情報収集をここでしたらできるんじゃないかということでお伝えしたつもりです。ですので、条文が出てから、原案ができてから医療保健の委員会でやってもらったらいいんだと思います。
 加えて、じゃ、執行部がたくさん情報を持っているじゃないか、そのとおりだと思います。執行部はたくさんの情報を持っていて、いろいろ検討を今の段階でもしていると思います。でも、執行部がやっているんだから、執行部が調査したものを我々は条文として出てきたものを見て審議すればいいよねということであれば、我々の存在意義は疑われるんじゃないかと思います。我々だからこそ、ここに担当部局を呼んで、現状を聞かせてくれないかと言えるんだと思いますので、そこは我々議員としての立場として譲るべきではないんじゃないかと思います。

○藤田委員 そのことを僕は、否定しているわけではないんです。要は、差別全体をテーマに取り上げた特別委員会、その中でもおっしゃったように、今新型コロナウイルス感染症という問題が出てきて、その中で差別という問題が出てきた。特にSNSに絡んで今日の内容を聞いたように出てきていると。これに対して、じゃ、我々の範疇でコロナに対して、今やってきた、それを今現在、持ち得る情報を持って提案もしていくということでいいんではないか。
 警察に関して、恐らく警察の担当の常任委員会、あるいは学校の担当の委員会の中でもコロナの問題というのは出てくると私は思うんです。そこで出てきた内容、人権に絡んで、あるいは教育の内容、情報の発信の内容については、常任委員会の中で出てきた内容を取り入れていただければいいんだろうなというふうに私は思っています。別段ここで情報を集めるということには否定しているわけではないですけども、ただ、我々がやろうとしとるのは、差別に対して我々がどういう対応をしていくんだということを条例という形にするのか、ほかのやり方でするのか含めて対応していこうというのが、私はこの特別委員会だというふうに思っていますので、その辺でもし見解の違いがあれば、それはそれで仕方のないことだというふうには思いますけども、ここであえてコロナに関する差別の全てをここで一元化してやるというのはいかがなものなかというふうに私は思うということを申し上げているだけの話です。
 以上です。ほかの皆さん方もいろいろお話をどうぞ。

○山本委員 今日も少しの先生からお話がありましたけど、様々な差別とかそういった問題の中でコロナが一つ加わった。コロナの問題は、今回クローズアップをすごくされましたけれども、その差別の中の一つとして加わったということだと思うんですね。私たちは、差別解消を目指す条例検討委員会は大きな意味の差別全体のことも、見直しも含めてやっていこうという中に、その一つであって、今まで勉強した中で意見も出たんですけど、今回のその医療保健部でやっていただく条例は、その医療、いろいろなコロナに対する中の一つとして、差別というか、いろいろ問題事例のことについて記述はされるので、差別全体としては、罰則とかそういうのをもし今後から考えていくとしても、これは今回ここで検討する委員会で、その中の一つがそこにいっていると。
 私はさっきも申しましたけど、同じ差別の中でもコロナが違うのは、不安、医療系の不安が大きいから増幅されていると思うんです、ほかの差別との違いは。医療系のことが不安だからということだったら、そのコロナ対策に関わる医療保健部でやるところについては、それを解決するためにどうするべきかというところの広い論議までそっちはしていただかなあかんし、ここでそこまでをすることではないと思うんですね。ですから、区分けて考えれば、今ここでコロナのことは大変だという認識の下で意見交換をして勉強したことの中で、今の時点で医療の委員会のほうがやるよりも前の時点で意見をとにかく出したのをまとめたものを提供させていただくということで、そういう認識で始まったような気が、私はそう捉えていますので、ある一定のところで、コロナに関することのここの意見をお渡しするということでいいんではないかと思います。区分けをきちんとする、どういう立場なのかということを見れば、そうではないかなと思います。

○小島委員 小林委員の言うことも分かるんですけど、例えばこの前の、医療保健部とそれから環境生活部とか人権センター長とかが来ていただいた委員会のことを思い出すと、それぞれがもう自分のことで精いっぱいだったし、特に医療保健部は本当に今どうやって感染症に向き合うかということでもういっぱいいっぱいだった。そこの横の連携、これから条例の中で差別の問題をどうしていくかということがまだ全く話し合われていない状態でした。あれから新型コロナウイルス感染症がどんどん今の状態に拡大していって、なかなか9月の委員会でといっても、実は難しい状況が中にはあるんだろうなと想像します。
 例えば、地域連携部と言われたけれども、本当に今そこまでなかなか難しい状況かなというふうに思うんですけれども、コロナ禍でいろんな人権意識が見えるようになって、今日もありましたけれども、その中に新たな違うこととしてコロナのことが出てきたと先生はおっしゃっていましたよね。今までいろんなインターネットの差別はあったけれども、コロナという一つの形で新たな問題が加わったんだろうとおっしゃっていました。だから、このコロナだけではない感染症対策条例ですけれども、この中で全ての差別問題に関する私たちの考え方が書き込めるわけでは恐らくないだろうと思っているので、6月1日の話合いの中の何か二段ロケットで執行部がつくろうとしている条例に対してどういうことを入れ込んでいくかというのが第一段階でという話だったというふうに私は書いてあるんですけれども、なので、ここから先は、SNSの土壌だったり、それから自分にはないと思っていた意識が浮き彫りになって深く潜っている意識というのがあると思うんで、そこにずっとスポットを当てていくというのがこれからの作業だというふうに思いますから、何言っているか分からなくなりましたけど、ずっとぐっとこのことで深く行っても、もっと実は幅広くなっていくと思うので、今は、私は今までの話の中で一つまとめをしておいたらどうかなというふうには思います。

○北川委員長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
 あまり委員長はしゃべり過ぎるといかんのですけども、確認をさせておいていただきたいのは、まず一つは、我々のミッションは様々な差別の解消を目指してというところがまず第一義的にあるということと、その次に、当然ながら、もう詳しいのはおっしゃっていただいたように、新型コロナウイルス感染症に関わる誹謗中傷も含めてこの問題というのは非常に大きいので、先に失礼ながら、常任委員会には失礼だけれども、先に調査も始めて意見も出していこうという形にはさせてもらいました。条例の中身が見えてない中でと何度も申し上げていますけども、今の段階で先んじて我々が感じたような課題とかいうところについてはきちんと整理をして、早く出してしまうということは大事だというふうに思っています。
 ただ、一方で、さっきも申し上げましたように、医療全体の関わっている中で誹謗中傷をどう見ていくかという視点と、我々に求められているのは、コロナと部落差別を研究したり、女性差別や性差別を勉強したり、外国人の差別の問題を勉強したりという中で見えてくる差別解消の在り方というのは当然あるわけなので、それは当然コロナにも共通してくる話だと私は思っているので、特別委員会としては、様々な差別の解消に向けて課題はどこにあるんだということを研究していく中で、それはコロナの感染症に対しても、その視点から見えるものというのは当然あると思うので、我々が求められている視点というのはそういうところだと思っているので、まずは今の段階では勉強したことを意見として出していく。その上で様々な差別の実態を勉強していく中で、改めて、コロナのこんなことも大事やよねとか、こういうことが抜けているよねということもあると思うんですよね。そういうことをまたフィードバックしながら、意見をまた機会があれば常任委員会に対して述べていくということも、これは私見ですけど、ありかなというふうに思っています。
 ただ、何度も申し上げているように、医療体制も含めてその中で見ていくという意味では、常任委員会が条例についての基本的な審議はすべきだと思っているので、今なすべきは、まずは一旦勉強したことを意見として出して、そして様々な差別の実態をずっと見ていく中で、またコロナも含めて条例のあるべき姿を見ていく。
 これはもっとごめんなさいですが、私見の私見になりますけども、お許しをいただけるんであれば、感染症対策条例は執行部がつくると言っているので、うちがつくるわけにはいかないんですよね、議提で。ですから、そういう意味では、もし足らざるものがあれば、我々がもし条例をつくるという結論に至るのであれば、その中で足らざる部分をまた補完していく、強化をしていくという考え方もあると思うんですよね。これはちょっと言い過ぎかも分かりませんけれども、そういう流れの中で、やっぱり我々は今条例の検討をしていくべきだと思っているので、もし賛同いただけるのであれば、そういうことで御理解いただきたいなというふうに思います。

○小林委員 あまり繰り返しても平行線なのであれなんですが、議提で条例をつくるわけではないと、だからこそいろんな意見があって、いろんなものを集約してということをおっしゃられました、最後に。だからこそ、我々が調査をして、その上で条例が出来上がってくる前に様々な我々が集約した情報を各部署、部署をまたいで集約してそれを提示する、それが形になっている必要は全然ないと思うんですね。こういったことがありまして、こういったことが懸念されています、それだけでいいんじゃないかなというふうに私は思っています。それは見解の相違ということで結構です。
 あともう一つ、差別をどうするのかというもう少し根本的な話で1つだけお伝えしようと思うんですが、今話題に上がっているだけでも、外国人、同和、LGBT、女性、いろいろありました。それぞれ背景が違うんですよね。最終的に事象としてその被差別、差別を受けた方々が人権侵害だと感じる、不条理だと感じるという結果は共通しているかもしれませんが、根本が違うものは対策も変わってくるんだろうと思うんです。我々は何かしら精神論を語る場所ではないので、あくまでも議会ですから、結果として条例であったり、何かしらの対策、具体例、つまり解決方法を模索していくべき立場じゃないかと思うんです。
 だとするならば、はっきり言えば、原因が違うものは対策も違ってくると思います。ですからこそ、コロナに関しては、突発的に起こってきたこと、今まで被差別対象じゃなかった方が突然新型コロナウイルス感染症ということになって差別される対象になったということは、前にも少しお話ししたと思いますけども、外国籍である、生まれであったりだとか、あるいは自分がなぜかそのように生まれた性的指向によって差別されることとは違ってくると思うんですね。当然、SNSという我々が今生きるこの時代の中で起こってくる現象として、その差別的行為を行う土壌がSNSということで共通しているところもあるでしょう。ただ、根本的な解決はやはり掘り下げていく必要があると思いますし、だからこそ、コロナに関してはコロナで特化して検討していく。LGBTであればLGBTに関して特化して検討をしていくべきではないかというふうに、重ねてお伝えしておきたいと思います。

○北川委員長 御意見としては承りました。
 いろいろ御意見をいただきましたけれども、基本的に、この後、委員協議でもお話をさせていただきますが、たくさん出していただいた意見を、一度、正副委員長でまとめさせていただいて、文書でお渡しをしようと思っていますので、それをまた見ていただいて、また改めて御意見もいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、ここで本日の委員間討議を終了させていただきたいと思います。
 なお、この後、委員協議でまた意見の取りまとめについては確認をさせていただこうと思います。
 
2 参考人の出席要求について

○北川委員長 次に、参考人の出席要求について御協議を願います。
 今後の参考人招致については、当委員会の活動計画書の重点調査項目に基づいて順番に進めていく旨、前回の委員会においてもお話をさせていただきました。
 次回の参考人招致の人選について正副委員長で協議をした結果、お手元に配付の資料1、参考人出席要求候補者名簿のとおり、3名の方、部落解放同盟三重県連合会執行委員長の松岡克己様、津市反差別青少年友の会の原田朋記様、高校生青年友の会・レベラーズの苗村祥代様、以上、3名の方に8月24日月曜日にお越しをいただけることで調整をさせていただきました。
 参考人招致に当たっては、手洗い・手指消毒、密閉・密集・密接といった3密の回避などの感染防止対策を、今日もそうですけれども、きちんと徹底を行った上で行いたいと考えております。
 したがって、次回は部落差別をテーマにということで、記載の3名の方に参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

○小林委員 先ほどお話ししたことの繰り返しみたいになって申し訳ないんですが、この松岡さん、原田さん、苗村さん、部落解放のことに関してお話をいただけるんだろうと思うんですが、この方々から新型コロナウイルスに関して、何かしら特段の所見をお伺いできるような要素はあるんでしょうか。

○北川委員長 まだこれから詰めさせていただくところになりますけれども、当然ながら、コロナに関わってのお話もしていただこうと。3名の方全員かどうかは別にしても、そういう要請も委員の皆さんからいただければ要請をさせていただきたいというふうに思います。

○小林委員 いや、僕がお伺いしたのは、要するに、繰り返しですけども、感染症の条例が具体的に実効性があるものにしていくための我々が提言をするその材料として、我々が知り得ない新型コロナウイルスに関する現状をこの方々から提供いただけるのかということなんですけど。

○北川委員長 さっきも申し上げたように、ミッションとしては様々な差別ということですから、テーマとしては、次は部落差別というテーマにはなりますけれども、コロナの感染症に関わってのお話もいただくように要請はさせていただきます。そういうことで理解いただきたいというふうに思います。よろしいですか。

○小林委員 言われることはもちろん、おっしゃられることはよく分かります。繰り返しになりますけども、10月以降は掘り下げるべき課題だと思います。今、2次感染が広がっていて、91例が出て、昨日の段階で、今日も恐らく発表があるでしょう。その中で我々が力点を置くべきところは別のところにあるんじゃないかというふうに思っています。別の方の参考人の招致があってもよかったんじゃないか。この方に来ていただく必要はないとは言ってないです。ぜひお話も聞きたいですが、10月半ばでしたか、前回決めたとき以降でよろしいんじゃないかというふうに思っています。

○北川委員長 ほかの皆さん、委員は、いかがですか。

○石垣委員 今回この形で、部落問題について次の議題にされるというお話だったと思うんですけど、そうすると、これを今度参考人招致でお話をしていただいた次は、子ども差別に対しての参考人招致でそれぞれのテーマについていろいろと議論を聞いていくという形になっていくのか、ちょっとそのあたりお伺いしてもよろしいですか。

○北川委員長 活動計画にも上げさせてもらったとおりで、承認をいただいているわけですけれども、その全てを上げていくわけにはいかないので、限られた時間ですから、あと部落差別と女性差別と性差別、それから外国人差別というところまで上げさせていただきましたよね。時間的なことも、前回、前々回お話しさせてもらったように、それをまずは様々な差別の実態を調査して、課題を抽出して、その上で1番の第一段階のポイントである10月前後の日程にはめていますけれども、今後、条例をどうしていくのかという議論をしていただかなきゃなりません。今も既に人権に関わっては、条例があるということもありますし、そのままでええやないかというのか、いや、その条例を変えたらええやないかというのか、いや、新しくつくったらええやないかと、これはいろんな考え方があると思うんですよね。その議論をして方向性をつけるということで、10月前後の日程に入れてここで決めていきましょうということは既に決めていただいた話ですから、そこまでは議論をするための材料をそろえていきましょうということですから、それを参考人招致で差別の実態としてつかんでいきましょうと。ただし、限られた時間ですから、それは執行部のときのヒアリングのように、上げれば高齢者から犯罪者からどんどん広がっていくわけですけれども、それは全ては無理なので、今の段階では、恐らくあと2回から3回ぐらいかなという日程の中では、部落差別と女性・性差別と外国人差別とというところまでこなせれば、何とか10月で皆さんの討議を深めてもらえるんではないかということで活動計画も正副委員長で提案させていただいて認めていただいたという形なので、順番は、その流れはそんな形になります。

○石垣委員 前に決めさせていただいた第1回目か第2回目に決めさせていただいたような形で、第二段階の状況でやっていくと。
 重点調査項目に入っているところのテーマのこの勉強をさせていただくような形だと思うんですけど、その中で、なので、今回のもう2回まででコロナの重点的な調査というのはおしまいにして、この次からは違うテーマで順次いくと。先ほど2回から3回というのは、あくまでもコロナではない部分で、もう今回でコロナは終わります、参考人招致としてはもう終わりで、次からは違うテーマのという、そういう解釈でということでよろしいんでしょうか。

○北川委員長 そうですね、その意味では。

○石垣委員 そうなってくると、正直まだまだコロナウイルスというものが未知であるという非常に難しいところの中で、僕自身は正直、実態調査というところがまだまだ不十分な気がしてならないというところが非常に大きく思っております。そういう意味では、もう一回でも2回でも、前には月に2回でも3回でも参考人招致やってみたらどうですかという話もさせてもろたんですけど、そういう意味では、今回のこの新型コロナウイルス感染症というのがまだまだ分からない状況の中でさらなる感染が広がっているというところで、もっともっと実態調査を我々がこの特別委員会でするべきことじゃないのかなというのをすごく思っているので、できればさらにコロナウイルスの部分での実態調査というところをもう少しさせていただきたいというのが私の本音です。

○北川委員長 御意見としては承らせていただきますけども、限られた時間ですので。
 参考人招致自体は、ごめんなさいですが、こんな言い方したら怒られるかも分かりませんけど、皆さんの都合が合えば何回でもやろうと思えばやれるので、今のスケジュール感では今申し上げたような流れですけれども、いや、こんなところの話を聞きたいということで、逆に提案をいただけるのであれば、それはまた事務局ともう一度正副委員長で詰めて考えていくことはやぶさかではありませんので。ただ、時間が限られているのと、あと、前にもお話ししたかも分かりませんけれども、いわゆる当事者絡みのところというのは、なかなかこの問題で、お話を聞ける状態はつくりにくいと思っていて、既に医療保健部なり環境生活部もお話はさせてもらったんですけれども、当然ながら病院はシークレットですから、どの病院がやっているかということについては言えない、公表しないという形になっていますから、じゃ、そこの方お呼びしてお話というわけにいきませんし、それから感染者やその家族云々という分についても、これはどんなまたセカンド何とかじゃないですけど、また実際に出てきていただくこと自体がまず難しいと思うし、当事者自身は。そういう面でいくと、なかなか対象として参考人としてお呼びできるのは、やはり少し限られてくるのかなという中で、今2回参考人招致をさせていただいたというところなので、もしこんな、この人ならしゃべってくれるでとまた提案いただけるのであれば、それはそれでまたやらせていただくことは検討はさせていただきますけれども、今のタイムスケジュールの中に入れてやっていくということは、できないことはないと思いますので、我々で準備ができた参考人としてお呼びができる方というのはこのところかなというところで、今はとどまったというのが現状なので。よろしいですか。

○石垣委員 はい。

○小林委員 先ほど石垣委員の発言に対してお答えがありましたので、この方がということであれば、繰り返しですけども、携わっている執行部の方々、先ほどお話ししたように、教育であったり、地連であったり、総務であったり、警察であったり、当事者である必要はないと思いますが、今回のコロナに関して関わっている県の職員で熟知している方々に来てもらえれば、非常にすばらしい聞き取りができるんじゃないかと思います。

○北川委員長 委員の皆さんは、何か御意見ありますか。

○山内委員 ありがとうございます。
 今日も参考人の方からいろんな話を聞きましたので、1点だけ。
 前回のヒューリアみえの松村事務局長と少しここは違うなと思ったところが、今回はコロナというものがいろんな差別に対して一つ増えたという言い方をされていましたけども、松村事務局長は、このコロナを契機に様々な差別が非常に助長されたという表現をされていたと思うので、その点は少し感覚が違うのかなというところは確認はしておきたいなというふうに思っています。
 先ほど来、小林委員等が様々言われていることは非常に重要なことであるというふうに思っておりますが、それとともに、本日のインターネットに関する差別でも、やはりコロナの話がたくさん出てまいりましたし、この次回の部落差別に関してのお話の中でも、委員長のほうからコロナに対しての話もしていただくことができるという話です。
 私が声を挙げさせていただいた女性に対する差別という部分も、私の中ではコロナを機に新しい課題が見えてきたという部分で声を上げさせていただきました。コロナに関しては、感染に関する恐怖から差別が助長されるというお話も今日ありましたけども、プラスアルファ社会に分断をつくっていく、コミュニケーションがどんどん不足をしていくところから来る、今コロナ鬱という問題が社会でもありますが、そういったことが見えてきている部分でありますとか、新しい生活様式で社会変容が今促されておりますけども、そういったところからまたそれぞれの差別が助長されていく、場合によっては新しい差別が生まれてくるかもしれませんけども、そういったことからいくと、今のこの流れの中でヒアリングをしていく中で、テーマは違えど必ずコロナに関する差別とかそういった要因というのが出てこようかというふうに思いますが、そういった部分は非常に大事なところかなと思って、まさにこの特別委員会でしか聞き取りがなかなかできないような要素がふんだんにあるんではないかなという思いの中では、このやり方でも十分にこの特別委員会で意見集約をして、今執行部がつくろうとされている条例にはなかなか抜け落ちそうな部分がきちっと提言できるんではないかなという期待は少し持っています。
 以上ですけれども。

○北川委員長 いろいろと御意見をいただきましたけれども、先ほども申し上げたように、もしこういうところということであれば、また小林委員からも御意見もいただきましたので、また正副委員長のほうで検討はさせていただきますけれども、既に前回もお話しさせていただいたように、スケジュールとして決めてやっていく分については、この分については、10月の議論にするためにきちんと進めたいと思いますので、24日のこの参考人招致については御了解をいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
          〔「はい」の声あり〕

○北川委員長 ありがとうございます。
 当然ですけれども、緊急事態宣言等がまた出されるとか新たな状況が発生しましたら、参考人招致を場合によっては中止させていただくとか延期をさせていただく、そういう事態も起こり得ることは御理解をいただきたいというふうに存じます。
 次に、参考人招致当日の委員会の運営方法ですが、こちらのほうは正副委員長に御一任をお願いしてもよろしいでしょうか。
          〔「はい」の声あり〕

○北川委員長 では、そのようにさせていただきます。
 以上で委員間討議を終了いたします。
 
3 その他

○北川委員長 最後に、次回の委員会についてですが、今決定をいただいたとおり、8月24日月曜日に参考人からの聞き取りのための委員会を開催いたします。
 時間等の詳細については、この後の委員協議で調整をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 御協議いただく事項は以上でございますが、特に何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
          〔発言する声なし〕
 
〔閉会の宣言〕
                          三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
                                        差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
                                                               北川 裕之


 

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