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差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)
開催年月日 令和3年9月15日(水曜日) 午後1時0分~午後3時53分
会 議 室 601特別委員会室
出 席 委 員 11名
委 員 長 北川 裕之
副委員長 山崎 博
委 員 石垣 智矢
委 員 小島 智子
委 員 山内 道明
委 員 山本 里香
委 員 稲森 稔尚
委 員 藤田 宜三
委 員 石田 成生
委 員 東 豊
委 員 中村 進一
欠 席 委 員 なし
出席説明員 出席を求めず
事務局職員 企画法務課政策法務監兼班長 水谷 憲司
委員会書記
議事課 主幹 櫻井 彰
企画法務課 主任 長谷川 智史
傍 聴 議 員 1名
杉本 熊野
県 政 記 者 2名
傍 聴 者 なし
協議事項
1 条例案素案(修正版)の検討について
【会議の経過とその結果】
〔開会の宣言〕
1 条例案素案(修正版)の検討について
〇北川委員長 本日は、条例案素案(修正版)について委員間討議を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、委員間討議に入ります。
前回までにいただいた条例案素案に対する委員意見を反映した修正版をお手元に配付の資料1のとおり、まとめさせていただきました。資料1及びその関連資料である資料2から資料5について、これまでにいただいた質問事項への回答も含め、事務局から説明させます。
〇水谷政策法務監 それでは、資料1以下に基づいて御説明させていただきます。
なお、資料1につきましては、これまで御審議いただいた素案に対する修正部分を、修正した箇所について下線をつけますとともに、削除した部分、言い換えるのではなしに全く削って、ほかに移したような部分につきましては、そのまま消し線といいますか、見えるような形で残したように表記しておりますので、そのようにお読みいただければと思います。
それでは、資料1につきまして、これまでの素案からの修正点につきまして御説明させていただきます。
1ページ目でございますが、まず、条例制定の手法につきましては、特に御意見がございませんでしたので修正点はございません。
続いて条例の題名でございますが、こちらにつきましては差別をなくすとか、差別を許さないといった趣旨を含む表現とすべきといった御意見を頂戴しておりましたが、やはり題名ということで、委員の皆様の関心も高いようでございますが、検討の最初に申し上げておりましたように、条例の題名は、条例案検討の最終段階で改めて御検討をお願いしたいということで、いただいております御意見については反映しておりませんが、また今後の検討に当たっての留意事項ということで、「趣旨等」の最後にいただいた御意見の趣旨を追記しております。
続きまして、おめくりいただいて前文のほうをお願いします。
前文につきまして多数意見をいただいておりましたが、長くて分かりにくいので、もう少し分かりやすくとか、半分ぐらいの量にできないかとか、目的などほかの部分に移行できる部分はないのかといった御意見を頂戴しました。
そこで、5番目の段落にございましたレジリエンスとか、あるいは共生社会に関する部分を第3の基本理念の部分に移行しております。また、「不当な差別」などの定義につきましては、もともとは前文にあったほうがいいということでの御議論が進んでおりましたけれども、別建てにしたほうが簡潔になって分かりやすいのではないかという御意見もございましたので、今回、正副委員長の御判断ということで、「人種等の属性」、「不当な差別」、「人権侵害行為」、「人権問題」の4つにつきまして、その定義を第2の定義のほうに移しました。なお、法的効果としては変わらないと考えておりますので、申し添えます。
また、前文についていただいた意見の中で、世界の情勢にも触れるべき、人権闘争の歴史を踏まえた世界基準的な感覚も盛り込むべきではないかといった御意見もございましたので、第2段落に、下線もつけておりますが、「人権が尊重される社会の実現に向けて世界的に不断の努力が続けられており」ということを追記いたしております。
また、文言整理でございますが、「不当な差別」というのが、この後の第2で定義されることを踏まえ、また「不当な差別の解消」というのは人権尊重の一内容であるとも考えられますので、もとの素案のほうで「差別の解消及び」となっておりました部分について、「不当な差別の解消等の」人権尊重に関するといった形で、少し文言整理をさせていただいております。
第3段落につきまして、「南北にわたる多彩な県土」について、三重県は西側もあるので気になるといった御意見とか、あと第3段落の「古くから様々な交流を通じ」云々というのは観念的なので、むしろ不当な差別等の解消に向けて取り組んできた先人たちの努力について書き込むべきといった御意見をいただきました。南北に関する部分は削除いたしまして、また、「古くから様々な交流を通じ」云々を削りまして、その代わりに、人権問題の解消に向けて取り組んできた先人たちの努力について言及した記載を加えております。
また、新型コロナウイルス感染症のことは10年先にも通用する内容かとか、感染症差別の歴史についても書くべきとの御意見もいただきました。文章を短くするという観点から、新型コロナウイルス感染症のことを含む一文については削除いたしました。また、感染症だけの歴史を書くというのは、分量の制約上、少し困難かなということで反映させておりませんが、内容的になくなったわけではない、この内容の中でも読み込めるのかなというふうに考えております。
第5段落でございます。「人権侵害行為を行った者が当該責任を負うことはもちろん」という表現だと、逆にあまりにも社会の側の責務を強調し過ぎではないかというような御意見も頂戴いたしました。そこで、第5段落の文章を2つに分けて、まず、人権侵害行為を行った者等が当該責任を負わなければならないということを明記した上で、人権問題の多くは社会構造の中で生じており、社会として解決していくことが必要というのを次の文章として記載しております。
また、第5段落の中で「不当な差別その他の他の者」と「他」が2つ続くので、1つにならないかという御意見もございましたが、こちらについては、まず定義規定を第2のほうに移すということで解消するとともに、「他の者」という言い方を民法などの表現に合わせて「他人」ということに修正しておりますので、また第2のほうで御確認いただければと思います。
また、他者への視点が弱いのではないかという意見もございましたので、第5段落に「自他の人権を尊重し」という、この下線部分を追記しております。
あと、第5段落で「人権侵害行為を受けた者」及び「人権侵害行為を行った者」の後ろにそれぞれ「等」をつけております。ちょっと下線とか消し線が多くて見にくいんですが、第5段落の1行目と2行目のそれぞれ後ろのところに「等」とございます。こちらにつきましては、この第5段落の主題が条例制定全体と同様に人権問題のことに言及しておりますので、人権侵害行為に該当しない人権問題、もっと広い意味での人権問題の当事者を含ませるために「等」というものを入れておりまして、具体的な内容につきましては、次の3ページの下の脚注に記載してございます。
あと、第6段落の「いかなる不当な差別」と言っていた「いかなる」を「あらゆる」にできないか、また、主語につきまして、「私たち」が主語なので、言い方を改めてはどうかという御意見をいただきましたので、この点は「あらゆる不当な差別その他の人権侵害行為を許さないと改めて宣言するとともに」という言い方に修正しております。
また、第6段落、「人権侵害を受けることのない」というのは被害者の立場だが、自分が行為者にならないという意味合いを入れてもよいのではないかとの御意見もあり、「誰もが不当な差別その他の人権侵害行為を行うことのない」に修正しております。
人権侵害行為者の内面の変化の可能性を信じていくというような記述をしてはどうかというような御意見もございましたが、この点については、また後ほどの第3の基本理念のところで対応してございます。
また、全般を通じましてですが、前文のほうで、「ですます調」を採用してはどうかとの御意見もございました。これにつきましては、まず、本県では平成12年制定の三重県生活創造圏ビジョン推進条例、平成19年に廃止されておりますが、こちらのほうで住民に分かりやすいということで全体を通じて「ですます調」にした条例がございましたが、それ以外の例はございません。また、他県では17の県におきまして、30条例強で「ですます調」の条例がございまして、うち半分は前文のみを「ですます調」としております。条例の内容としましては観光とか子育て、あるいは交通安全といった内容が半分近くを占めております。
以上、申しましたような修正点を踏まえて、3ページの趣旨等もそれぞれ修正しておるところでございます。
続きまして、第1の目的、5ページのほうをお願いいたします。
こちらにつきましては、前文とか、ほかの条文とのバランスを合わせるという観点から、「不当な差別の解消」となっておりましたのを「不当な差別その他の人権問題の解消」というふうに修正しております。また、「人権侵害行為を受けることのない」ではなく、しないという趣旨にすべき、あるいは差別を解消する側のスタンスを明示すべきといった意見もございましたので、「誰もが不当な差別その他の人権侵害行為を行うことのない」に修正し、その下の趣旨等も同様に修正しております。
続きまして、6ページ目をお願いします。
定義規定でございます。まず、先ほど申し上げたように四角の中の(1)から(4)、「人種等の属性」、「不当な差別」、「人権侵害行為」、「人権問題」につきまして、従来、前文のほうで書いておりました定義をこちらの定義規定に移しております。
その中でも、まず2番目の「不当な差別」につきまして、「不当な差別的取扱い及び差別的言動を含む」というのを、前文の中で括弧書きを重ねておったんですが、分かりにくいという御意見もありましたので、ここにつきましては確認的に入れていた規定でございますので、今回は趣旨等のほうで示すということで、この趣旨等の1ポツ目の中ほどぐらいにございますが、これについては、条文の中で書くのではなしに趣旨等で示しております。
(1)の「人種等の属性」の中で、「被差別部落」について、現在はないとされているので別の言葉に置き換えられないかとの御意見もございましたが、部落差別の重要性に鑑みまして、正副委員長の御判断で「被差別部落」のままとしております。
あと(2)に戻りまして、「不当な差別」の定義において、「不当な区別、排除又は制限であって」という言い方は表現が難しいので、区別、排除又は制限によってこういう効果をもたらすものを不当な差別という、というような言い方では駄目なのかといったような意見も頂戴しましたが、何とかによってという言い方にしますと、目的にはつながりやすいんですが、「目的又は効果を有する」というこの定義の中でも重要な部分につながりにくいので、こちらにつきましては、原案のほうを維持してございます。なお、何とかであって何とかのものという言い方は、法令用語等の中でよく用いられる表現でございますので、原案を維持しておるところでございます。
あと、この後でもまた出てまいりますが、「不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制」の対象において個人を含めるという意見がこれまで大勢を占めていらっしゃいましたので、正副委員長判断で、最終的な判断、結論は引き続き検討するものの、この解決を図るための体制の対象に個人を含めるという方向で今回の修正版を作成しておりまして、また後で御説明しますけれども、これに関連しまして、限定していた行政機関等から、見え消しにしておりますが、行政機関等とか地方独立行政法人、事業者といった、これらが行うものについて対象としておった部分、それを個人も含めるということで、対象者を限定しないということから、逆にこの(1)、(2)、(3)については不要ということで削除しております。
あと、6ページの一番下のところですけれども、「人権問題」についての定義に関しまして、人権に関する社会的な問題とか国際的な人権に関する問題の括弧の中の例示につきまして、事務局のほうで考えた例示をしておったんですが、人権施策基本方針の中で触れられている例示のほうがより適切ということで、この中の括弧書きの部分を修正しております。
あと、「不当な差別」等の用語の事例につきまして整理してほしいというようなことも言われておりましたが、それにつきましては、後ほど第4のところで御説明させていただきます。
続きまして、第3の基本理念のほうに参ります。9ページを御覧ください。
繰り返しになりますが、前文から一部の内容を基本理念のほうに移したことによりまして内容が増えましたので、条文の構成を号立ての構成にしております。
これまでにいただきました御意見の中で「人権が尊重されるようにする」と、今回の(1)で見え消しにしている部分ですが、「されるようにする」の「ようにする」は不要ではないかという御意見がありましたので、そこは削っております。
また、趣旨等の、米印にも関係しますが、この意図的なもの、意図的でないものにかかわらずといったものを、その意図に関する部分は、その他の部分でも重要であるというような御意見を頂戴しましたことから、今回(3)のほうで、「人権侵害行為の意図の有無にかかわらず、その解消を図ること」と基本理念の中に1つ号立てを追加しております。
また、素案の前文の検討において、行為者の内面の変化の可能性を信じていくといった記述が必要といった意見があったことを踏まえまして、10ページに引用を追加しております再犯の防止等の推進に関する法律を参考に、第4号として、「人権侵害行為を行った者がその責任を自覚し、及び人権侵害行為を受けた者の心情等を理解することを社会として促進すること」という号を追記することといたしました。
また、前文からの移行部分としましてレジリエンスの部分とSDGsに関する共生社会の部分、これは、前文で元の記載を基に第5号、第6号という形で移してまいりました。
あと、これらの修正を踏まえて、趣旨等についても修正しております。趣旨等の米印の1点目につきましては、先ほどの意図的なという部分を第3号で反映しておりますことから、1つ目の米印は削除しておりますし、2つ目の米印につきましては、後ほど出てまいりますが、適用上の注意という形でも規定しなくなったので削っております。
説明を続けます。
第4の基本理念のところの御説明でございます。
まず、趣旨等の2つ目のアンダーラインを見ていただきますと、前に「身元調査」というふうに言っておりましたものについては、病気の検査などが、ちょっとそれだけでは分かりにくいというふうに考えまして、「情報収集等」という言葉で言い換えております。以下、同じでございます。
あと、この部分に関しまして、先ほどの「情報収集等」の少し後に出てまいりますが、本人の同意のない属性の暴露について、「不当な差別」に当たる場合もあるのではないかという御意見をいただきました。これにつきましては、本人の同意のない属性の暴露について「不当な差別」に当たる場合もあり得るということをこの11ページ下の注意書きに加えております。
また、「人種等の属性」というのが、これだけでは分かりにくいんじゃないかと。この趣旨等の3つ目のなお書きにございますように、書き起こすと長い条文を簡潔に言っているので、分かりやすくできないかという御意見もございましたが、これにつきましては、「人種等の属性」を前文ではなしに定義規定で置くという形で分かりやすく定義するという修正をしておりますので、御理解いただければと思います。
あと、この「不当な差別」等に関しまして、事例等に基づいてもう少し丁寧に検討すべきではないかという御意見もございましたので、それにつきまして、資料2、資料3のほうで御覧いただきたいと思います。
資料2、この横型のポンチ絵みたいなものでございます。
前々回も御覧いただいたものでございますけども、修正部分としまして赤字で書いておりますが、先ほど申し上げました「身元調査」を「情報収集等」にするとか、あと、本人の同意のない属性の暴露について「「不当な差別」に該当することもあり得る」という先ほどの御説明を修正して点線の矢印を実線に変えたりとか、あと一番下とその上、人権に関する社会的な課題とかを人権施策基本方針にのっとったような形の表現に改めておるところでございまして、これらが抽象的な言い方になっておりますので、具体的な内容、事例ということで、次に資料3でまとめております。
資料3は長いんですけれども、ちょっとかいつまんで御説明させていただきます。
資料の構成について申しますと、「不当な差別」、「人権侵害行為」、「人権問題」につきまして、例えば1ページ目ですと、不当な差別のうちの不当な差別的取扱いについて、まず考え方の参考となるもの、いわばメルクマール的なものをお示しして、その後ろに、2ページ目からが性的指向に係る不当な差別的取扱いに関するもの、3ページ目からが外国人差別に係る不当な差別的取扱いに関するものといったような形で項目を分けて、考え方の参考となるものと裁判例とをそれぞれお示ししております。
それでは御説明させていただきますと、まず1ページの不当な差別のうちの不当な差別的取扱いにつきましては、参考といたしまして、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を抜粋しております。これは、障がいを理由とするというふうな記載がついておりますが、考え方としては、障がいに限らないものと考えまして、基本的な考え方としては下線をつけておりますように、正当な理由なく、財・サービスや各種機会の提供を拒否したりする行為、その下の下線も同じですけれども、正当な理由なく、他の者よりも不利に扱うこと、客観的に見て正当な目的の下に行われたものであって、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合が、その正当な理由と言えるといったことを基本方針としてございます。
おめくりいただきまして、裁判例としましては、まず性的指向に係る不当な差別的取扱いに関するものが、平成9年の判決でございますが、青年の家という宿泊施設におきまして、同性愛者の団体の宿泊の利用を拒否したものにつきましての判断でございます。裁判所の判断の下線部分をちょっと抜き書きで読みますと、今回、東京都教育委員会の同性愛者の宿泊利用を一切拒否した不承認処分というのは、同性愛者の利用権を不当に制限し、結果的、実質的に不当な差別的取扱いをしたものであるというふうに判決のほうで言い切っておりますし、また次の3ページから4ページにかけての外国人差別に係る不当な差別的取扱いに関するもの、これは公衆浴場で外国人の利用を拒否したものにつきましての裁判の判決ですが、おめくりいただいて4ページの下線部分のところで、安易に全ての外国人の利用を一律に拒否するのは明らかに合理性を欠くというふうに言われております。
続いて、不当な差別のうちの不当な差別的言動についてでございます。
まず、考え方の参考となるものといたしまして、法務省の通知を引用しております。下線部分を同じく抜き書きいたしますと、インターネット上の不当な差別的言動についての法務省の考え方でございますが、ここでは、1つ目のアンダーライン、「特定の者」に対する不当な差別的言動が削除要請等の救済措置の対象だというふうに言っておりまして、右のページにお移りいただきますと、5ページ目、どのようなものが対象になってくるかといいますと、当該差別的言動が当該集団等に属する者であれば精神的苦痛等を受けるような性質のものであったかどうかを社会通念に照らして客観的に判断するということが述べられております。
不当な差別的言動かどうかというのは、今申し上げた特定の者に対して、先ほどのような社会通念に照らして判断するというふうな考え方がございまして、それに関する裁判例が6ページ目以降です。
まず、部落差別に関する不当な差別的言動に関しまして、この奈良地方裁判所の判決でございますが、水平社博物館の前で、その下のかぎ括弧に書いてありますような、ちょっと読むのもはばかられるような内容の発言を執拗に繰り返したことに関しまして、判決の中では、そういった表現が差別的文言であることは公知の事実であるというふうにして、損害を認めておるようでございます。
続いて、外国人差別に関する不当な差別的言動に関するものでございますが、事案の概要としましては、いわゆる朝鮮人学校に該当する初級学校の隣の公園で、その学校に向かって、この7ページのかぎ括弧の中にあるような発言を行って、それを撮影して公開したということに関しまして、裁判所の判断が7ページの下にほうにございますが、こういった発言というのは、人種差別に該当するというふうに言って、不法行為に該当するのでという損害賠償責任を認めております。
続きまして、8ページ目をお願いします。
続いて、不当な差別よりももう少し幅の広い人権侵害行為全般に関しましてのメルクマールでございますが、2つ目の丸印にありますように、人権委員会設置法案におきまして、「人権侵害行為」とはどのようなものか、政府の解釈ということで、アンダーラインの2つ目です。「憲法の人権規定に抵触する公権力等による侵害行為のほか、私人間においては、民法、刑法その他の人権にかかわる法令の規定に照らして違法とされる侵害行為」が「人権侵害行為」に当たるというふうに言っております。これに関する裁判例等はございませんでした。
この後が、特にこの特別委員会でも御議論のございましたものに関連するものですが、まず、9ページは人権侵害行為のうちでも人種等の属性に関する情報収集等でございます。
鳥取県の条例では、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない」ということで、第3条第1号で、「差別的取扱い」や「差別的言動」を言い、第5号で、「人の依頼を受け、報酬を得て」云々ということで、属性に関する情報を収集する行為ということで、鳥取県では差別とこの属性に関する情報の収集というのを別に整理しておるようでございます。
次の福岡県の条例におきましても、結婚や就職に当たっての身元調査につきましては、「部落差別事象の発生につながるおそれのある行為」という言い方をしておりまして、差別そのものとは異なるというふうな整理をしており、その下の米印にありますように、類似の規定を設ける4府県の条例でも同様の表現を用いておりますが、ただ、和歌山県では、「部落差別の禁止」という条項の中で「結婚及び就職に際しての身元の調査」を禁止しておりますので、以上のように、都道府県によって属性に関する情報収集の位置づけが異なっておるようでございます。
国会答弁におきましては、その下線部分にもありますように、こういった身元調査につきましては、「差別につながるおそれのある身元調査」という言い方をしておりまして、やはり差別そのものではないというふうな整理のようでございます。
裁判例につきまして、10ページを御覧いただきたいと思います。
HIV抗体検査を無断で行った事例でございますが、裁判所の判断の下線部分を御覧いただきますと、本人の意思に反してその情報、HIV感染に関する情報を取得することは、「原則として、個人のプライバシーを侵害する違法な行為」ということで、プライバシー侵害という整理をしております。
一方、被差別部落に係る身元調査に関するものですと、少し古い昭和48年の判決でございますが、次の11ページの下線部分を御覧ください。
「部落出身を理由として他の者と区別した報告をすることは、社会的身分による差別」であるというふうに、こちらの判決では、この身元調査は差別だというふうな整理をしておるようでございまして、以上ちょっと長く引用しましたが、他県、国、あるいは裁判例などにおいて身元調査を不当な差別とするものとプライバシー侵害というふうに考えておるものとが両方混在しておるようでございますが、差別に密接につながるということは明らかでございますので、先ほどの資料2でも、以前にも御説明しましたとおり紛争の解決を図るための体制の対象に、この身元調査のような「情報収集等」を入れておるというところの事例ということになります。
続きまして、人権侵害行為の中でも人種等の属性に関する暴露につきましてが、12ページ以降でございます。これに関する考え方等は見当たらなかったので、裁判例のほうの御紹介でございます。
12ページ、HIV感染の暴露に関するものということで、社員に無断でHIV抗体検査を行って、それについて、事案の概要の最後にもありますように、他の従業員に感染事実を開示したことということでございますが、それに関しては12ページの一番下からにありますように、「これをみだりに第三者に漏洩することはプライバシーの侵害として違法となる」と言っております。
また、次の13ページに被差別部落の出身であることの暴露に関するものということで、事案の概要で、当時大阪府知事の地位にあった者についての記事を掲載して販売したことについて、13ページの一番下の下線をつけておるところでございますが、そういった掲載、販売行為は、「原告のプライバシーを侵害するもの」だと言っております。
続いて14ページ、今度は性的指向の暴露に関するものについてでございますが、そこの事案の概要にもございますように、学生がアウティングをして、それによって最終的には転落死したという事案に関して、遺族が大学に対して損害賠償訴訟を提起した事案に関しまして、裁判所の判断を御覧いただきますと、結果的に遺族の控訴は棄却でございましたが、アウティングそのものについては、転落死したAさんの「人格権やプライバシー権を著しく侵害する」ものというふうに述べております。
以上、人種等の属性に関する暴露につきまして3つ裁判例を御紹介しましたが、これらはいずれも差別という観点ではなしに、プライバシーの侵害というような整理になっております。
最後に、さっきの資料2でいきますと一番広い人権問題に関する事例でございます。
人権問題の全般につきまして、14ページ、まず全般的な考え方の参考となるものでございますが、こちらにつきましては人権施策基本方針、先ほど少し述べましたが、そこの抜粋という形で、「特定の者が特定の者に対してする行為ではない」というものを幾つか抜粋しておりまして、「世界で起きている飢餓や紛争」とか、「不登校や外国籍の児童・生徒への対応」云々ということを15ページまでにかけまして引用してございます。
人種等の属性に関する識別情報の摘示についての事例が15ページ以降でございます。
この「人種等の属性に関する識別情報の摘示」というちょっと分かりにくい表現でございますが、これは、もともと人権擁護法案という成立しなかった法案において、当初、「差別助長行為」という言い方をしていたのが、不明確という批判がありましたので、その後、この次の人権委員会設置法案のほうでは、この「識別情報の摘示」という表現が出てまいりまして、そこでの記載につきましては、15ページから16ページにかけて引用しております「共通の属性を有する不特定多数の者に対して」云々という規定でございます。
この規定につきましての政府解釈が、次の16ページの丸印1つ目のところにございますが、ここでの政府解釈で、メルクマールといたしましては、そこに書いてございますように目的と、対象とする情報、対象とする行為。差別等の助長行為目的であって、属性を容易に識別できる情報を文書の頒布等によって公然と摘示するというやり方、目的、情報内容、行為のそれぞれ側面で要件としておるということでございまして、次の鳥取県の条例のほうでも、この国の規定を踏襲した内容となっております。
あと、法務省で「インターネット上の同和地区に関する識別情報の摘示事案の立件及び処理について」の依命通知を、以下16ページ以降に引用しております。
先ほど「識別情報の摘示」につきましては3つの要件があるというふうな御説明をさせていただいたところですが、この「インターネット上の同和地区に関する識別情報の摘示事案の立件及び処理について」に関しましては、17ページの一番下の下線部分を御覧いただきますと、特定の地域が同和地区である、又はあったと指摘する情報を公にすることにつきましては、同和地区は特別に、そもそも差別を行うこと自体を目的として政策的・人為的につくられたものだからというのが上のほうに書いてあるんですけれども、そういったものを明らかにすることは、人権擁護上許容し得ないものであって、「他の識別情報と性質を異にする」というふうな政府の通知になっております。
最後、18ページに、国会答弁のほうも引用しております。「識別情報の摘示」につきましては「不特定多数の者に対する行為」でありまして、「それ自体は人権侵害には該当しない」というふうに述べられております。
すみません、ちょっと資料3の説明が長くなりましたが、資料2のほうのポンチ絵で文字だけで書いておりました内容につきまして、具体的な例あるいは判断基準につきまして、資料3のほうで御説明させていただきました。
恐れ入ります、ちょっと資料1のほうへお戻りいただけますでしょうか。
先ほど申し上げた11ページでございますが、情報の摘示行為、この第4のマル2につきましては、どうするかの結論が出ていないというふうに認識しておりますので、ただいまの報告内容も御参考に、引き続き御検討をお願いしたいと存じます。
続きまして、14ページ、第5の県の責務のほうを御覧ください。
この後に出てまいります被害者に関する支援のところの中で、県の横断的な連携体制についても規定すべきというふうな御意見があったところですが、県の組織内での横断的な連携というのは被害者支援ではなしに、人権施策全体で求められることというふうに考えられますもので、いただいた御意見のほうは、この第5のマル2におきましての下線部にありますように、「関係部局等の間での連携の強化を図るとともに」というようなことを追記しております。
また、特別委員会での御議論の中で人権施策を検証するという視点が必要ではないかというふうな御意見もございました。ここにつきましては、条文におきましてはマル1の「計画的に推進するものとする」の中に含まれると解されますが、その旨を趣旨等の2つ目のポツ、「計画的に推進する」ということには、施策の評価・検証とか、その後の改善も含まれるということを趣旨等のほうに追記いたしました。
あと、マル2のほうで「事業者」を消しておりますが、ここにつきましては、先ほど来何回か出ておりますが、「差別に係る紛争の解決を図るための体制」の中で個人を含める、言い換えると事業者を特出しする必要は乏しいというふうに考えられまして、この「事業者」を削除しております。もしここで事業者をそのまま入れるんですと、他の県条例との横並びでいくと事業者とか県民とか、あるいは今回でいくとプロバイダーなどのような責務規定のあるものみんなをここに書くというような規定の仕方も考えられるところでございます。
あと、公の施設の利用制限に関する委員間討議の中で、公の施設の利用制限に関して、事前の制限は難しいけれども、何らかの人権侵害行為の防止に関して規定があったほうがいいという御意見が多かったことを踏まえまして、この第5のマル3に、新たに公の施設における人権侵害行為の防止についての県の努力義務ということで、正副委員長の御判断として新たにここに規定を追記いたしまして、それに関する趣旨等の記載も追加しております。
課題として、最後の米印で、マル3のような努力義務規定を追加するということでよいかという課題も、新たに記載させていただいております。
16ページ、17ページの県民の責務、事業者の責務につきましては、それぞれ趣旨等の米印を削っておりますが、ここは「人権を侵害してはならない」は基本理念で規定するということをお決めいただきましたので、課題としては削ったところでございます。
続きまして、19ページの特定電気通信役務提供者の責務につきましてでございます。ここにつきましては、資料4ということで、ポンチ絵とか文字の並んだ縦の資料を御覧いただけますか。
まず、国における違法・有害情報への対応につきましてポンチ絵に簡潔に書いておりますが、総務省においてはプロバイダー責任制限法を中心とした制度整備を行う一方で、この青い網かけですね、個別の案件につきましては事業者団体などによる自主的な取組の支援をしております。
じゃ、プロバイダー責任制限法というのがどのような内容かといいますと、昨年度も委員会のほうで御説明させていただいて少し重複いたしますが、大きく内容が2つございまして、マル1としてプロバイダー等の損害賠償責任の制限というのがございます。何かといいますと、特定電気通信による情報の流通、具体的には掲示板とかSNSの書き込みなどによって他人の権利が侵害されたときに、関係するプロバイダー等がこれによって生じた損害について、こういった場合には賠償責任がないよということを定めたものでございます。言い換えますと、情報の削除を求めることのできる権利を定めるとか、あるいはプロバイダー等に対して、特定の情報に対する削除義務を設けるものではございませんし、またこの法律によって民事上の損害賠償責任が生じるものでもないというふうに言われております。
補足いたしますと、ここでこの法律の対象となります「プロバイダー等」というのは、下の米印1にもありますように、「いわゆるプロバイダーのほか、非営利でサーバの管理・運営を行う企業や大学等や、電子掲示板を管理する個人等も該当する」というふうにいわれております。
「賠償の責めに任じない場合の規定を設ける」ということで、下の米印にもありますように、具体的には、情報が書き込まれたりすることによって権利が侵害された場合に、プロバイター等の不作為、プロバイダー等が何もしなかったことに対して、それによって権利を侵害された者に対する損害賠償責任を制限するものと、逆にプロバイダー等が見られないようにする措置を講じた場合のそのプロバイダーの行為に対して、今度は逆に書き込んだ側に対する損害賠償責任を制限するものの2つでございます。
もう少し分かりやすくしたものが裏側のポンチ絵でございまして、発信者が、例えばここで言う「ヤブ医者」というふうに書き込んで、書き込む先は電子掲示板の管理者のところですが、それに対する被害者が権利侵害だというふうに言った場合なんですけれども、被害者に対する責任として、プロバイダーが、中ほどの矢印にもありますように、削除しなかった場合に被害者側に対して負う責任というのはこのマル1やマル2の場合に限るよと、それ以外は削除しなくても免責されるということを言っており、また逆に、プロバイダー側が削除した場合に発信者、書き込んだ人に対する責任については、マル1のように権利が侵害されていると信じるに足りる理由があった場合などについては削除しても免責されるといったようなことが法律の中で規定されていることでございまして、今回、条例でこの部分について規定する場合について少し検討したのが、その下の2番でございます。
以上のように御説明しましたように、このプロバイダーにおける情報の削除というのが国においては民事上のルールとして定められておりまして、それはその下の国会答弁を引用してございますが、民事上のルールだと、行政による規制とかではないというふうにされておりますが、今回、条例で「プロバイダー等の責務」として規定できるか整理する必要があるというふうに考えられますこと、また、規定するにしても単なる努力義務でなしに、条例上の責務とする場合には、その内容を県が具体的に示す必要があると考えられるといったことが課題として考えられます。
あと、前々回、県内にプロバイダーってどのぐらいあるんだろうかというふうな御指摘をいただきましたので、事務局のほうで調べてみたんですが、明らかに分かるのが、県内のケーブルテレビ事業者が8社ございまして、そこが全てインターネットをやっておりますので、そこがこのプロバイダーに当たるのは間違いないんですが、そのほか通信事業者、例えばNTTとかいろいろございますが、そこらについて県内に営業所があるかどうかによって、そこは変わってまいりますので。県内に営業所がある通信事業者がどれだけあるのかというのは、ちょっとつかみ切れておりません。
さらに、先ほど申し上げた「プロバイダー等」ということで、非営利でサーバの管理・運営を行う企業や大学等、個人等で電子掲示板などを管理しているところの数につきましては、ちょっと把握できないということで、どのくらいのものがあるかということについては、把握しきれないというのがお答えでございます。
資料1の19ページにお戻りください。
条文の中のマル2の規定の仕方なんですが、努力義務ではなしに、「ものとする」というふうに義務化できないかということで複数の御意見をいただきました。「ものとする」というふうに規定しますと、特定のものに義務を課すことになるもので、プロバイダー責任制限法の規定を踏まえて、もう少し規定ぶりを合わす必要があるということで、例えば条文の中の下線部をつけましたように、措置を「講ずることが技術的に可能なとき」といった法律に合わせたような規定の修正をいたしております。また、趣旨等もそれに合わせて修正しております。
また、和歌山県におきましては同様の条文を置かれているけれども、プロバイダー等に意見聴取などは行っていないというふうに聞いておりますが、やはり制定後の実効性を高めるためには、事前に何らかの調整が必要かなというふうに考えられまして、19ページ一番下の米印ということで、課題を1点追記させていただいております。
また、この条文に関しまして、「特定電気通信役務提供者」という規定が分かりにくいので、「プロバイダー」ではいけないのかというふうな御意見もいただきましたが、先ほど御説明しましたみたいに「いわゆるプロバイダー」のほか、ユーザーとインターネットをつなぐ間の仲立をする人とは異なる電子掲示板の開設者とか非営利でサーバの管理・運営を行う大学、企業などが入ってまいりますので、「プロバイダー」と言ってしまうとちょっと疑義、誤解を生む可能性があるので、法律どおりの明確な「特定電気通信役務提供者」という表現でいかせていただきたいと思います。ただ、この資料1のほうの趣旨等につきましては、「いわゆる、プロバイダーなど」といった形で、少し表現を変えさせていただいております。
あと、20ページに特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の条文なども追記しております。あと、趣旨等の1点目の下線をつけましたところで、前回の資料で誤記がございましたので、「特定電気通信役務提供者」を正確な表記に変えております。
説明が長くなって恐縮でございますが、続けさせていただきます。
21ページ、第9の三重県議会の議員、知事その他の県の公務員の責務でございます。知事も対象として明記してはどうかという御意見がございましたので、知事を明記して、それを趣旨等にも反映しております。
前回の資料では課題として2つ挙げてございましたけども、1つ目の責務の対象に市町の議員や職員等を含めない、あるいは責務の対象を公選職に限定することはしないということで御了承いただきましたので、2つとも米印については削除しております。
22ページ、第10をお願いします。
人権施策に差別解消の取組も含まれることを逐条解説に明記すべきではないかという御意見をいただきましたので、趣旨等の4つ目にその旨を追記しております。
23ページをお願いします。
第11の人権施策基本方針でございます。
マル2の(1)人権尊重の基本理念に、不当な差別をはじめとする人権侵害行為の解消を加えるべきというふうな御意見をいただきましたので、そのように修正し、また趣旨等も併せて修正しております。
また、(2)の「人権啓発及び人権教育」というふうにしておりましたところですが、法律等との平仄を合わせて人権教育と人権啓発の順番を入れ替えてございます。
また、実態調査及び情報の収集・蓄積・分析につきまして、下の米印のほうで課題として挙げておりましたが、これらにつきましては、マル2の(5)の「人権施策を推進するために必要な事項」に含まれるということで御了解いただきましたので、この米印については削っております。
続いて相談体制、25ページをお願いします。
〇北川委員長 すみません、1時間経過しましたので、ここで換気休憩を取らせてもらいます。暫時休憩で、再開を14時10分とさせていただきます。
(休 憩)
〇北川委員長 休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
引き続いて水谷法務監、説明をお願いいたします。
〇水谷政策法務監 すみません、もう少し簡潔に御説明させていただくよう心がけます。
第12条の相談体制、25ページのほうをお願いいたします。
マル1の「人権侵害行為」のところに、「不当な差別」ということを明記すべきという御意見をいただきましたので、そのように、マル1のところを修正いたしております。
マル4の人材育成に関しまして、主として人権センターにおいてそれは反映されるべきとの複数の御意見がございましたので、その点は、趣旨等の3つ目のポツのところで、その旨を記載しております。
マル2の(1)の「調査」とか「助言」といった文言につきまして整理すべきといった御意見があり、用語の整理につきましては前回、御報告させていただいたところですが、前々回での御議論も踏まえまして、このマル2の(1)の趣旨をより丁寧に御説明させていただくということで、趣旨等の25ページの一番下でございますが、「助言」、「調査」、「関係者間の調整」は、「必要な対応」の例示であり、それぞれの事案に即した適切な対応を選択することになるといった旨を追記させていただいております。
あと、市町の相談窓口に対する支援も書き込むべきとの御意見もございましたが、これにつきましては、第10の県と市町との協働に趣旨が含まれておるということで御理解いただきたいと思います。
26ページの課題につきましてですが、1つ目の米印につきましては、「説示」等の扱いが確定していなかったのでこの米印を残しておりますが、今回の修正版では、「説示」を不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制に位置づけるということでしておりまして、それで御了承いただけるのであれば、この米印も削除可能というふうに考えられます。
なお、この相談体制の中で事実上の「説示」が行われることも必要な対応の中であり得るというふうに考えられますし、それはこの条文で特に否定もしておらないので、そのように解されるというふうに考えられます。
また、米印の2つ目、相談員の設置については特に規定しないということで御了解いただきましたので、2つ目の米印については削っております。
続きまして、28ページでございますが、第13の助言及びあっせんの申立てのところでございます。
「説示」も位置づけるべきとの御意見がございましたので、「助言」、「あっせん」に加えて「説示」を明記しておりまして、その後も同様でございます。
属性に関する情報収集という部分の定義部分が分かりにくいとの御意見がございましたので、この点につきましては新たにマル2を起こして、「属性情報収集等」、前でいう「本人の意に反する人種等の属性に関する身元調査」ですが、という用語を設けて、その部分を特出しでするということでさせていただきました。
あと、先ほどからございますように、対象となる差別事案の行為主体について個人を含めるというふうにさせていただいていることから、マル1のほうから「行政機関等又は事業者であるものに限る」という限定を取るとともに、前にも申しましたが、「事業者」を特出しする必要がないということで削除しておりますが、この辺につきましては、今後、また会派での御意見なども踏まえて、最終的に引き続き御検討いただくということで正副委員長の御判断をいただいておりますので、このような形の修正とさせていただいております。
あと、先ほどの「属性情報収集等」を含むというものに関して、ちょっと条文の形が違っておりますので見にくいんですが、そういったものも助言・あっせんの申し立ての対象にするということで御了承いただいておりますので、その部分についての元の網かけは取って、課題のほうで書かせてもらっている29ページの2つ目の米印、属性の身元調査に関する課題も削除しております。
あと申立ての除外とすべき事由につきましても、新しいマル4で挙げた(1)から(7)で御了解いただきましたので、3つ目の米印も取っております。
続きまして、32ページ、第14の助言、説示及びあっせんをお願いします。
ここにつきましては、先ほどの第13と同じで「説示」を加えて、条文ないし趣旨等のところ全般に「説示」を新たに加えているところです。
続きまして第15条、34ページです。ここも「説示」を追加しておりますのと、あと勧告についてどのような手段で行うのかという御質問がございました、これにつきましては、現在、既にある障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例のほうでは、施行規則の中で書面により行うというふうにされておりまして、今回のこちらのほうの条例での勧告についても書面で行うことが想定されまして、その旨を趣旨等の2ポツ目に新たに書き加えております。
続きまして、35ページ、第16の意見の聴取でございます。ここで、出頭以外の陳述書等の提出に関しまして、障がい者差別解消条例のほうでは規定がない理由について経緯も踏まえて考えたいということでございました。こちらにつきましては、障がい者差別解消条例のほうでは、同じく施行規則の中で、出頭に代えて意見書及び証拠書類等が提出できるということを書いておりますので、内容的には同じになるのかなと思います。ただ条例で「出頭」とだけ書いて、施行規則のほうで代わりの手段を新たに追加するというのは、ちょっと県民にとって分かりにくいかなというふうにも考えられますので、こちらにつきましては、当初の案どおり条例で出頭以外のもの、代替手段についても書くということでいかがかということで、元の案のとおりとしております。もし御了解いただけましたら、この課題の米印も削除できるかなと思います。
続きまして、第17の助言、説示及びあっせん並びに勧告の状況の公表でございます。
公表の対象に「勧告の状況」も加えるべきとの御意見がございましたので、条文のほうもそのようにし、趣旨等にも反映しております。公表につきまして、前の素案ではできる規定になっておったんですが、「ものとする」とすべきで、もし支障があれば逐条解説などで示すべきとの御意見がございました。御意見を踏まえまして、公表する「ものとする」というふうに条文のほうは修正させていただいておりますが、これにつきましては、37ページに追記しました三重県統計調査条例のように、特別の事情がある場合には公表しないことができるというふうな規定もございますことを参考に、今回、差別事案の中には秘密を除いて公表してもやはり何らか分かってしまうとか、あるいは二次被害の懸念等から、いろいろ公表が適切でない場合も想定されるので、そのような場合には公表しないということの根拠となるように、ただし書きを付すような形の条文案としております。
公表の手段について、年次報告や市町に対して直接行うというふうな扱いとすべきというふうな御意見がございました。これにつきましては、趣旨等におきまして4つ目のポツ、公表の手段としては県ウェブサイトへの掲載や人権施策基本方針に基づく施策の実施状況の年次報告への掲載、市町等の関係者への個別伝達などといったことを追記しております。
続いて38ページ、第18の三重県差別解消調整委員会でございます。
このマル4のところの「人格が高潔であって」というのは不要ではないかという御意見もあり、一方、残しておいてもいいのではないかという御意見もございました。この「人格が高潔」というのは、今回新たに40ページに追記しました人権委員会設置法案とか、あるいは鳥取県の条例などでも採用されておる表記でございまして、ほかの法令でもございますけれども、選任の要件として確かに抽象的あるいは観念的であったり、あと既にある人権施策審議会の選任要件との均衡という観点からも、この「人格が高潔」ということは削除することといたしたいと思います。ただ、そもそもどうやって判断しているのかということにつきましては、既に地方自治法で定められた監査委員などがございますが、それらについては経歴や実績などを勘案して、ほかの要件なども含めて選考されておるようでございますということで、御回答に代えさせていただきます。
先ほども言いました人権施策審議会の選任要件との差につきましてですが、今回その横並びを整理しまして、あるいは鳥取県の条例なども参考にしまして、マル4のほうの委員の選任要件としましては、人権に関して豊かな経験を有するということを追記させていただいております。こちらにつきましては、第26の審議会のほうと基本的には同じなんですが、不当な差別に該当するかどうかの判断等にはより一層の公正性や専門性が求められるというように考えられましたもので、同じような内容ではあるんですが、一層の専門性、公正性ということで「高い識見及び豊かな経験」というふうな案とさせていただいております。
また、委員の選任に関しましては、様々な事案が想定されるので、それぞれの事案に応じた専門性、当事者性のある方を委員とできるような規定とすべきといった御意見もいただきました。これに関しましては、これもまた条文を引用しております40ページの三重県行政不服審査会条例の例を引用しておりますが、その他の県の多くの附属機関の条例の中でも、必要に応じて専門の事項を調査させるための専門委員を置くというふうな例がございまして、このような仕組みをこの三重県差別解消調整委員会のほうでも設けることとしてはどうかということで、今回新たにマル7、マル8、マル9の条項を追記しております。専門の事項を調査審議させるため専門委員を置くことができるとして、学識経験のある者の中から任命する、あくまでもその事項限りの任用であるので、調査審議が終わったら解任されるものとすると、臨時的な職であるということの条項を追記しております。
なお、マル10のほうで専門委員についても守秘義務を課すような形としております。
この部分についての課題でございますが、39ページの米印の1つ目、委員構成の男女割合については前回御了解いただきましたので削除しております。
3つ目のオンラインによる意見聴取等についても御了解いただいておりますので削っておりまして、選任要件の2つ目について、引き続き御検討いただければと思います。
あと、人権施策審議会の委員の選任における充て職の状況ということで御質問をいただいておりました。人権施策審議会に20人の委員がいらっしゃる中で、明確に充て職とされておりますのは3名、そのほか団体推薦という形で事実上の充て職とされていらっしゃるのが11名いらっしゃいましたので報告とさせていただきます。
続きまして、人権教育及び人権啓発につきましてです。
ここも多数御意見を頂戴したところでございますが、まず、人権教育と人権啓発は分けて規定すべき、不当な差別その他の人権問題の解消と当事者の困難克服の支援は同列ではなく分けて書くべき、不当な差別その他の人権問題の解消がまず規定されるべき、あるいは障がい者差別解消条例の規定を参考に全面的に書き換えるべきといった御意見を頂戴しましたので、障がい者差別解消条例の規定も参考に人権教育と人権啓発を書き分けて、5項立ての条文といたしました。
また、学校教育は大切なので、その旨も書くべきという御意見をいただきましたので、マル1のところに「学校教育等を通じて」と書いております。「等」は何かといいますと、人権施策基本方針によりますと、人権教育というのは学校教育だけではなしに社会教育や企業・民間団体における取組も含むというふうに書かれておりましたので、それを考慮して「等」をつけております。
また、人権教育及び人権啓発においては未然防止が重要なので、「解消」ではなく「防止」にすべきといった御意見もいただきましたので、マル1、マル2の中で人権問題の発生を防止するためということで、「防止」という言い方に修正しております。
あとマル4で、前の素案のほうで「県民の自主性の尊重」というふうに書いておった部分が、関心がない人は対象にならないようにも読めるので、県民の自主性の醸成といった表現にならないかという御意見がありました。この点に関しまして、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律の制定過程の議論を見ますと、押しつけにならないように留意しなければならないといった発言がございましたので、そうするとこれまでの特別委員会での御議論の方向性とは異なるので、「自主性の尊重」という表現ではなしに別な表現を取ったほうがいいのかなというふうに考えまして、ちょっとほかにありました法律を参考に、このマル4のところの一番下の行ですが、「自発性の涵養」という言葉が、運動的な取組という趣旨の御意見も取り入れられる表現かなと思いましたので、「自主性の尊重」という言い方ではなしに「自発性の涵養」というふうな表現に修正させていただいております。
ちなみになんですが、涵養という言葉は、ちょっと耳慣れない言葉ではありますが、言葉としては自然にしみ込むように養成するとか、あるいは無理のないようにだんだん養いつくるとかといった意味のようでございまして、そのような意味の言葉ということでここに取り入れさせていただいております。
あと、同じくマル4のところですが、「人権侵害行為の意図の有無にかかわらず」云々という部分につきましては、先ほど御説明させていただいた基本理念のほうに移しましたので、このマル4の条文のほうからは削除しております。これら、以上申し上げた点を趣旨等にも反映させていただいております。
第20、45ページでございます。
この御説明の中で、県の組織内での横断的な連携についての御意見もございましたが、冒頭申し上げた県の責務の第5のほうで、その旨を反映させていただきました。
続きまして46ページ、第21の実態調査でございます。
当事者の声を拾って差別の実態に迫るような調査についても逐条解説などに書き込むべきとの御意見をいただきましたので、それにつきまして、趣旨等の3ポツ目の実態調査の具体的手法として、「不当な差別等の当事者に対する調査」を追記いたしました。
また、実態調査の結果についての公表につきまして、次の第22のところであった御意見と同じ趣旨でございまして、公表すべきといった御意見もございましたので、趣旨等に4ポツ目を新たに設けまして、「実態調査の結果等については、県民に対して公表され、人権教育・人権啓発などに活用されることが期待される」ということを新たに加えました。
47ページ、第22でございます。
情報の収集、蓄積及び分析の結果は公表が必要ということの御意見がございましたので、先ほどと同様に趣旨等の3ポツ目に加えております。また、この第21と第22は1つの条文にできないかというような御意見もいただきましたが、もともとこれまでの委員会での御議論の中で実態調査と情報の収集、蓄積、分析は別のものということで御意見が出されてきた経緯がございますので、正副委員長の御判断として、このままの形としております。
続いて48ページ、第23のインターネットによる人権侵害行為の防止でございます。
この規定を置くかどうかということで、置くことで御了解を得られましたので、条文全体の網かけを取りますとともに、48ページの米印の課題も削除しております。
50ページ、第24の災害その他緊急事態の発生時における人権侵害行為の防止等でございます。
御意見として、平時の対応も重要だが発生時の対応もどちらも必要との御意見がございましたので、趣旨等の3ポツ目を新たに加えまして、災害等の発生時の取組だけでなく、未然防止のために平時から行う啓発等も、この第24で言う「必要な措置」の中には含まれるという旨を記載しております。
災害時にどのような人権侵害行為が発生し得るのかも逐条解説の中で書いて周知すべきという御意見もございましたので、これにつきましては、趣旨等の4ポツ目の下線部分、そういった「災害等の発生時に起こり得る人権侵害行為等やそれを防止するための取組についての周知」も必要だということを記載しております。緊急事態の発生時も対象とするということで、米印のほうは削除としております。
第25の三重県人権施策審議会の設置、51ページですが、ここにつきましては、いただいた御意見として、不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制というのが新たに加わって、それが審議会に報告されるので審議会の役割も変わってくるのではないかとの御意見がございましたので、趣旨等の3ポツ目を新たに追加いたしまして、今回、不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制が整備されることによって、審議会の調査審議の内容にも変化が生じるということを記載しております。
52ページ、第26の審議会の組織等でございます。
この前の第25の三重県人権施策審議会の設置と合わせて1つの条文にできないかという御意見を頂戴しましたが、もともとの既存条例の全部改正であることを踏まえて、既存条例の構成を基本的に踏襲、維持するということで、正副委員長の御判断としてこのままの形で置いております。
54ページ、第27の財政上の措置については、特に御意見がございませんでしたのでそのままです。
第28の適用上の注意につきましては、公権力の行使に関する規定がないので不必要で、逆に悪意ある人に正当化する口実を与えかねないので削除すべきとの御意見がありましたので、全面的に削っております。
56ページ、規則への委任につきましては、特に御意見がなかったので番号をずらしただけで、特に修正はございません。「説示」を加えている程度です。
あと附則につきましては、57ページ、一番下の米印の、「検討」規定を置くということが了解されましたので、2つ目の米印は削っております。
ということで以上、資料1で条例案素案についての修正点について御説明させていただきましたが、最後に、資料5を御覧いただけますでしょうか。
紛争解決体制の対象に係る障がい者差別解消条例の検討の際の経緯についてということで、この委員会でも何回か当時の経緯についての言及がございましたので、今回、会議録とか資料に残っているものを中心に経緯をまとめさせていただきました。それぞれの当時のメンバーの方の認識を示すものではなしに、あくまで文字情報を追っかけたというものでございます。
まず、1つ目の丸としまして、前提として、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が行政機関や事業者による差別を対象としていることについて、内閣府の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集」では、「本法においては、事業者でない一般私人の行為や個人の思想、言論については、法により規制することは不適当と考えられることから対象としていない。一般私人については」、「国や地方公共団体による啓発活動を通じ、本法の趣旨の周知を図っていくこととする」とされております。
2つ目の丸ですが、条例の検討におきましては、平成29年12月18日の特別委員会の際に、条例案の正副委員長案として、「差別禁止の対象」を、法律と同様に、行政機関等・事業者とすることが示されて、その日の委員会での委員討議でも特に議論になることなく、了承されたようでございます。
3つ目の丸ですが、続く平成30年1月18日の特別委員会では、会派意見として、当時の自民党から「あっせんについては、個人間のトラブルは相談を受け付けない、受け付けるのは非常に難しいので配慮をお願いしたい」といった御意見が出されましたが、特に議論にならず、正副委員長案が踏襲されたようでございます。
最後、4つ目の丸ですが、パブリックコメントにおいて「県民等も差別の禁止の対象とすべきである」との意見が複数出されましたが、それに対する回答としましては、「条例案では、個人による差別の形態は、行政機関や事業者による差別の形態と異なるものと考えられることなどから、障害者差別解消法と同様に、行政機関等と事業者における障がいを理由とする差別について禁止規定を設けています。なお、差別の禁止について、県民などへの啓発を進めることは重要であり、条例案では、第8条において県民の役割を規定するほか、第31条において啓発活動の実施などを想定しており、これらを通じて、差別の解消が図られるものと考えています」との回答が行われております。
以上、ちょっと経緯をまとめましたので、また今後の御議論の参考にしていただければと思います。
〇北川委員長 ありがとうございます。ずっといろいろ委員間討議をしていただいた御意見の反映についての説明ということで、少し長くなりましたけれども。
ここからは委員間討議をさせていただくんですが、1つ、2つ前提的なことをお話しさせてもらうと、以前にもお話ししたように、この後、会派で御議論いただくということになりますけれども、そのときは、お渡しする資料は、この棒線とか下線とかは全部消えていきますので。削除しますとしてあるのは、もう消えてしまいますし、下線を引いてあるところも、そういうのは消えていきますので、もう少し読みやすいものになっていくということを説明としてさせてもらっておきます。
それからもう一つは、そのことも含めて、今日も含めてこの後の議論で、全て委員の皆さんから出し尽くしていただいて、その場で修正していくというふうには考えておりませんので。少しスパンを持って、会派の中でも議論いただいてということになりますから、今日この点だけはというのは、もちろん言っていただきたいわけですけれども、全て今日の中で出し尽くしていただかないといけないということではないということも含めて、この後の委員間討議を進めさせていただきたいと思います。
ボリュームも多いことですので、引き返しながらまた1項目ずつやっていますと、また物すごく時間がかかるということもあるので、ブロック別に区切りをつけて、御意見、あるいはまた先ほどの事務局の説明に対しての質問も含めて出していただけたらと思います。
3分割ぐらいということで、まず1つ目は1ページのところから23ページ、24ページの第11条の人権施策基本方針、要は相談体制の手前のところまでで、まず委員の皆さんから、これが入っていないんじゃないかとか、直してもらっているけれども、これは違うんじゃないかとか御意見をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
〇小島委員 前文を書き直していただいて、定義が別出しになっているので、随分見やすくなったかなと思います。ありがとうございます。
第3の基本理念辺りのところだと思うんですが、直接この中身のことというよりは、そもそも1つ足りていないのではないかというふうに、改めてお聞きして思いました。
第3の基本理念を見ると、第1とか第2のところに全体のことが書いてあって、第3以降は人権侵害行為について書いていただいてあります。第1の目的のところを見ると、「この条例は、不当な差別その他の人権問題の解消」というふうに書いていただいてあります。資料2の、この順番になっている図を見てもらうと、不当な差別と、人権侵害行為と、その上に人権問題と書いてあるんですよね。この全ての解消を目指していこうというものだというふうなことを考えると、この人権侵害と人権問題の間にある濃い部分に関する言及がないなと思います。
具体的に申し上げると、例えば東京女子医科大学の問題で、女子が点数を取っていたにもかかわらず合格にされなかったという問題があって、それは不当な差別的取扱いですやんね。この中で言うと不当な差別とか、それから正当に評価されないことは人権侵害行為に当たるわけです。でも、その外側にあるものというのは、例えば社会の理念であったりというものがあると思うんですね。もしかしたら社会的慣習と言えるものもあるのかもしれません。そこにメスを加えない限り、考え方の転換を図らない限り、行動としての人権侵害行為や不当な差別というのは残っていく危険性があると考えたら、この基本理念のところの多分マル1、マル2とマル3の間ぐらいだと思うんですけども、そのもっと大枠のところについて、何らかの書き込みが必要なのではないかというふうに思います。
という意見を言わせていただきたいんですけれども、いいですか。
〇北川委員長 どうぞ。
〇小島委員 よろしいですか。
例えば女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の中では、それを批准している国は「偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現」っていう言葉があるんですよね。そうすると社会を変えることにつながっていく言葉がここに入っているので、そういうニュアンスがこの基本理念に必要かなというふうに思います。
すみません、分かりにくくて。そういう意見を申し上げたいと思います。
〇山本委員 そのことに関わって、前文のところで、そういった社会を変えていく、それはこの条例の中にずっと貫かれている、例えば後のほうにもあるんですけれども、「自発性の涵養」とか、個人個人がそのことを勉強して理解していくだけ、それは個人の集まりが社会なんですけど、それだけでは駄目だということが、今、小島委員の発言にあったんだと思います。
もちろん個人個人の差別をしてはいけない、人権意識を高めましょうということはあるんですけれども、そういう訴えかけ、してはいけませんだけでは駄目ということをどう担保するか。で、県の責務とか市町と協力してということが出てくるんですが、そこの書き込み方をもう少し何か書き込むということは必要だと思います。
それに関わって、後半のことになってくるんですけれども、先にちょっと関連するので言わせていただければ、人権教育、人権啓発、啓蒙のところで、なかなか言葉をいろいろと考えてもらって、ちょっと先に言わせてもらいますけど、マル4のところになるんですけど、「自発性の涵養」、つまり考え方をそこまで強制的にできる部分ではないので、緩やかに自然的にって、本来自発的な、もし問題があれば本人から変わっていくことが必要で、押し付けて解決するものではないんですけれども、ということは逆に言うと、例えば差別はいけないよとか人権侵害はいけないよって私たちは言っているけど、ある人の中に、そんなん、ええやんかということを認めてしまう、考え方はいろいろあるからという意味で認めてしまうようなニュアンスで受け止められたらかなわんと思うんです。社会の中で、私たちはそれぞれの皆さんの生育歴やいろんな中でしみついてきたものもあるような、社会の中の不条理や人権侵害的なことが本人も気づかないまま身についているような社会があって、そういう部分があるとしたときに、そこを、もちろんこの「自発性の涵養」という言葉でいいのかなとか、今言った社会を変えていく、個人だけの努力じゃないという、そこがどこかに表せればいいかなというふうに関連して思いました。難しいと思います。
〇北川委員長 どこにどう表現するのがいいのかというのが、ニュアンスも含めて。
〇小島委員 ですので、第3の基本理念の(2)は、「対話を通じて不当な差別その他の人権問題の解消を図る」と書いてありますよね。ここに「人権問題」という言葉が出てくるんです。だから、この解消を図るためのベースとしてというか、同時に行うこととして、例えば慣習だったり、慣行というのはどうなのかなと思いますけれども、その辺りの見直しを図るとか、考え方の転換を図るとか、意識転換を図るまではちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、その辺りを少し付け加えていただければ、そういうニュアンスが醸し出せるのかなというふうには思いますが、とお考えいただいたらどうかなと思います。
〇北川委員長 例えば、資料2の表の中で言うと、一番外側の人権問題のところに、人権に関する社会的な課題というのがありますよね。人権問題という定義が、「人権に関する問題をいう」としか書いていないので、ここが少し曖昧なのかも分かりませんけれども、いわゆるこういう行為をしてはなりませんよねということと同時に、社会的な、今言われたような慣習や慣行が差別や人権侵害行為を温存していたり、あるいは助長していたりとかという部分について、それは個人の意識改革というのも必要な部分はありますけれども、それ自体を変えていくという活動がないと駄目だというお話に受け止めさせてもらったんですけど、そういうことでよろしいですか。
〇小島委員 それでいいと思うんですね。
で、第4の基本理念とどう違うかというと、これはやっぱり禁止になってくるので、その大きな社会としての在りようを禁止の口調で書くというのは大変難しい。こういうふうにしていくという、何か能動的な書き方のほうが。助長するようなことはやめて意識の転換を図るというようなことは、どちらでもいいんですけど、第3か第4にはあるほうがいいかなというふうには思います。
第4は、マル1は「何人も、不当な差別その他の人権侵害行為をしてはならない」で、マル2については、そういうことを助長し、または誘発する目的で、ある行為をしてはならないというふうに書いてあるわけで、もうちょっと幅広な理念というのは、第3のほうが書きやすいのかなというふうにも思います。
〇北川委員長 9ページということですね。
〇小島委員 はい。
〇北川委員長 そういう意見を小島委員、またそれに関して山本委員からも御意見いただきましたけれども、ほかの委員の皆さん方から御意見はございますか。
第3の基本理念の中で体現するということを少し正副委員長と事務局で考えさせていただくということでよろしいですか。
でも、これは時間的には、もうその次になるんやね。今すぐはあれやもんね。会派に持って帰ってもらうということやね。
表現できれば、させていただくようにします。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
〇東委員 何か今の意見のことを、ちょっと頭が整理できないなと思って聞かせていただいたんですが、タイトルで、改めて聞くんです。委員長に聞くか法務監に聞くかはあれとして、「差別のない人権が尊重される」と、「差別のない」という語をつけようということであるんじゃないですか。「差別のない」とか、「差別をなくす」、「人権が尊重される」というのは、修飾語、つまり何とかのない人権社会ですよね。つまり主語というのが何々のない何とか社会、つまり人権問題というのは包括されているような気がするんですね。人権侵害行為も、それから不当な差別も、全てが含まれているのが人権問題だというふうに位置づけ、横並びではないんじゃないかなと、逆に思わされたんです。なので、資料2の一番上に人権問題というのが書かれているんだと思うんですね。
そうなると、横並びで書くというよりも、やはり問題は、「人権が尊重される」ということが一番大きいんだと思うんです。ですので、その辺で何かお考えがあれば聞かせていただきたい。意見交換みたいな形なんですけれども。何か人権問題、人権侵害行為、不当な差別って並ぶよりも、むしろこの絵のとおりで、人権問題というのは非常に大きい。だから、中村委員も前におっしゃっていましたが、条例名でももっとインパクトのあるような名前をつけたらいいとか、それも気持ちはすごく賛成なんですが、「人権が尊重される」という意味は、差別もない、いろんな行為もないということまで含んだものが「人権が尊重される」というふうに思うんですね。それが1つ。今さらなんですけどもお聞かせいただきたいということが1つ。
もう一つは、翻って、ちょっと後の部分になるかも分かりませんけれども、特に人権啓発とか人権教育とかということになると、人権って分からないんですよね。子どもたちに教える人権教育というのはなかなか具体がない。それを具体的にかみ砕くために違う言葉を持ってくるとか、「人権」という言葉以外の言葉で差別とか何とかって、ちょっと具体例が挙がってきませんけども、そういう形のことが、やっぱり基本はもともと差別がない、上がってきたときに相談を受けるんじゃなくて、もともとなくそうということなので、そこのところを、私自身が何を言おうとしているのが、ちょっとまとめにくいんですけども、何かそういう理念のほうがいいかなというふうに思っているんです。
1番目の人権問題というのは包含するんですかね、どうなんですかねということをお尋ねしたいんです。
〇北川委員長 そういう意味では、一番この委員会のコンセンサスとして取っているのが、現在の人権が尊重される三重をつくる条例の全部改正ですよという位置づけにさせていただいたのは、まさにそういう部分で、まずは全体の人権問題を対象にしていますよということを引き継いでいるわけですので。ただしその中に、この委員会がスタートした時点の着眼点の差別解消という部分が新しく要素として入ってきているということで、特にこの資料2の中で言えば、真ん中の白い部分の不当な差別のところについては、さらに踏み込んで解決の手段まで見ていきましょうよということにはなりましたけれども、東委員がおっしゃったとおり並列のものではなくて、条例の立てつけとしても、まずは全体があってという形になっていますので。ですから基本理念も、まずは「人権尊重」ということを一番に持ってきて、その後に「不当な差別」や「人権侵害行為」を持ってきているという流れに組み立ててはおるんですけれども。
〇東委員 ありがとうございます。意識的には、何かニュアンスが今のやり取りで割とはっきりしました。人権問題というのは大きく包含する、もうこの資料2のとおりだということを踏まえて、出来上がってくると全体的に、やっぱりこのバランスが、正直、昨日これをいただいて、全部読んでよと宿題をいただいたんですけれども、今、御説明いただく中でも、絵みたいなもので全体を見てみると、あ、これでいいのかなという理解と、もう一方で、ちょっと時間を置かせていただいて、もう一回原点に立ち返って、今の人権問題とか差別の問題とか、それから将来、三重県の差別をなくすための方向性ってこれでいいのかなと、私自身はちょっと時間をいただけたらなというような意見です。
〇北川委員長 先ほども申し上げましたように、もちろん、性急にこれを固めるということではございませんので。各会派でゆっくり議論いただく時間も取ってと思っていますので、そういう時間の中で、それぞれの委員の中でも再度練り直しといいますか、思い直しといいますか、考え直しといいますか、作業をやっていただければというふうに思います。
よろしいでしょうか。
〇東委員 はい。
〇北川委員長 ほかの皆さんからはどうでしょうか。
〇小島委員 ほかのところで、第4の基本理念のマル2なんですけど、さっき説明をお聞きして、「文書の頒布、掲示その他これらに類する方法」というのが、条文の中に要るのかなというふうに思ったんですね。というのは、鳥取県はないじゃないですか。だって「文書の頒布」なんですよね、「掲示その他これらに類する方法」って、ここですごく規定しているんだけれども、実は助長したり誘発する目的のものって当然、文書だけではないので、その辺りを条文そのものに書き込む必要があるかなと思いました。なくてもいいんじゃないかなというふうにも思ったんです。
インターネットは後から出てくるので、インターネットはここに入るのか入らないのかとか、あるのかなと。
〇北川委員長 この部分は趣旨等の米印にあるように、取ってきているのは、成立はしていませんけれども、人権委員会設置法案の中にあるところの内容になりますけれども、特に「部落地名総監」の発行等の情報の摘示ということで、ここで挙げておるんですね。それを何とか条例上、駄目ですよねと禁止の対象にしておきたいということで、ただし、条例自体が包括的な条例なので、それに特化した表現というわけにはいかないので、人権委員会設置法案の13ページの内容を含みながら、ここに挙げているということですので、先ほどお話の出ている慣習や慣行的な部分について述べているというよりは、極めてターゲットが限定的に想定されている内容だと思っています。
ただ一方で、とはいうもののあらゆる「人種等の属性」に関わって幅広く読み込めるようにもなっていますので、ここの部分について網かけをしてあるというのは、要はそういうあらゆる属性に対して、こういう条項の設置がいいかどうかというところも議論の余地があるということで。
「文書の頒布、掲示」、そこの例示だけを取ればいいということですね。分かりました。
〇藤田委員 これで上は「人権侵害行為をしてはならない」と、明確にしているわけですよね。そういう考え方でいくんであれば、ここの基本理念というのは、人権侵害行為をすることを助長したり誘発したりすることも、行為をしてはならないという表現のほうが。ここまで限定する必要があるのかなという思いがあるんです。
先ほどおっしゃったように掲示をするとかというのは例があって、その例を禁止したいという意味も分からないではないですけども、要は属性に対してのいわゆる人権侵害行為を行う、それは駄目ですよとまず書いてあるんだったら、何遍も言いますけども、その次に、それを助長したり誘発するような行為ということも駄目ですよというふうに書いたほうがシンプルで分かりやすいんと違うかなと僕は思うんですが、皆さんの御意見はいかがでしょうかね。
〇北川委員長 ちょっと私のほうの頭の中の受け止め方が違っていたので。小島委員、そして藤田委員からも、この部分について、具体的な手法について言及する必要はなくて、どちらかというと助長や誘発をする目的でこうした行為をしてはならないという禁止の項目に、すっきりしてしまってはどうかという御意見がございますけれども、ほかの皆さんはどうですか。
〇中村委員 すみません、今さらながらなんですけれども。この条文の中にこういうのを入れたほうがいい、あるいは外したほうがいいという議論があるんですけども、ちょっと教えてほしいんですけども、この趣旨等を読むと、あ、これはこういうことなんかということが大体分かるように書いてもらってあるんですけれども、いわゆる逐条解説とこの趣旨等との関係というか、今さら申し訳ないですけども、今も文書の話とか、抜いたらええという話が出ますけども、条例で抜かしてしまったりすると、そういった思いというか、具体的なものというのはどういう形で反映されるのかなと思ったり、ここでは、あ、これはもう抜いといたほうがええ、あるいはこちらも抜いたほうがええという話が出たときに、それというのは後で、この条例が動き始めたときに、一体これはどうなのやというのを、ある程度載せていくのが逐条解説かなと思ったりはするんですけども、その辺だけ、これは逐条解説へ残したほうがええとか、そういう議論っていうのか、そういったものはどうなんでしょうか。
〇北川委員長 前にもお話ししたかも分かりませんけども、ここの趣旨等に書いていることは、全部が全部というわけではありませんが、一定、逐条解説につながる文章だというイメージで見ていただいたら結構かと思うんですが。とはいえ、逐条解説は逐条解説なので、書いてあったからといって、それが条例の条文ほどの効力があるかと言われると、後で法務監にもお聞きしますけど、それはそこまでのものはないんだろうと、あくまでも期待であったり要望であったりという部分も含んだものになりますので、執行する側には、一定の、そのとおりというものを求めるのであれば、やっぱり条文でだとは思いますし、逐条解説というのはそのレベルのものかなという、ワンランク落ちるものではないかと委員長では思っているんですが。法務監。
〇水谷政策法務監 委員長がおっしゃったとおりかと思います。逐条解説のほうでは、条例案検討に当たっての経過なり、あるいは委員長がおっしゃった期待するものとかを書くことは可能であっても、拘束力といいますか、やはり限界があるので、大事なことは条文に書くというのが必要かと思いますが、経過など、こういったものを想定して議論したということは書けるかとは存じます。
〇中村委員 ありがとうございます。実際、動き出すと具体的な例が挙がってきて、ここの条文に当てはまるかどうかというので悩まんでええような、そんな逐条解説が要るなと、ちょっと思いながら聞かせてもらったんで。
あと、先ほど小島委員がおっしゃった、いわゆる社会的というか慣習とか慣行とか、そういった意味ではそうしたものを具体的に。具体的にどんな形の、具体例というのか、例えばどんなことをおっしゃったのか、もう一遍確認させていただきたいんですが。
〇小島委員 例えばというのは女性差別を挙げました。例えば、意識調査はしていただいていますよね。女性は家にいて、ずっと働いて子育てをするほうがいいですかというのを多分、今までの意識調査でもやられていますよね。駄目だということではないんですが、そういう意識がどのぐらいあるかによって恐らく違ってくるだろうと、実際に起こってくることの認められ方といったら変ですけれども、受容のされ方が変わってくるだろうと思うんですよね。
なので、人権侵害行為などを助長したり誘発することにつながる、例えば、社会意識の変化を促すだとか、そういうことが必要なんだろうと思うんですね。先ほど藤田委員が助長するとか、誘発する行為とおっしゃったけれども、私は助長したり誘発する行為って何というのがよく分からない。だから人権侵害行為を起こしてしまい得るような社会意識であったり雰囲気をつくることを止めなくちゃいけない、変えなくちゃいけないというふうに思うんです。
おっしゃることは分かるんですけど、助長したり誘発する行為と言われると、じゃ、その行為はどういう行為ですかって聞きたい気がします。
〇藤田委員 質問されたので具体的に。今の女性の問題を例に取るならば、今は大分直っていますけど、小学校のときに男子、女子、これを分けていますよね。最近は、学籍順は男子、女子関係なくなっています。この男子と女子を分ける行為、あるいは学校の授業の中で、私は小学校6年生のときに家庭科で料理もやりましたし、技術的なこともやりました。中学校へ行ったら男子は技術、女子は家庭、こういうふうに分けて、家庭科の授業というのを男子は受けなかったし、女子は技術の授業を受けなかった、こういう行為そのもの、これは学校教育の中でそういうものがあったんだというふうに思いますけれども、これはいろんな場合、どんどんどんどん減ってきてはおるとは思うんですけども、今言われたような女子はこうあるべき、男子はこうあるべきというような社会的な行為がいっぱいあるんだろうと。そういうものに対しても、やっぱり基本理念として注力していく必要があるんですよということを、ある意味警鐘として、ここに書き込むということもいいのかなと。
ここに書くのがいいのかどうか分かりませんけど、前文でそういうことを書くという、個人の行為に限るわけではなしに、社会的な行為も含めての意味で言わせてもろたんです。そういうことも考えることが対象になっていくのかなというふうに思ったもんですから、申し上げました。
以上です。回答になっていますか。
〇小島委員 分かりました。そういう意味なら理解はします。
ここに書いてある、人権侵害行為を助長する、また誘発するような土壌を変えることが必要なんかなと思うので、その辺の理念がどこかに書き込めたらええなというふうに思っているんですよね。それは行動なのか分からんし、意識なのか分からんし、やけれども、そういうものをちょっと変革するようなことというのは、やっぱりどうしてもベースとして必要だなというふうに思うので、どこに書くかは別ですけれども、あるといいなと思います。
すみません、答えになっていなくて。
〇北川委員長 基本的には、やはり9ページの第3条の基本理念のところかなというふうには……。
〇山内委員 今、委員長が言われたような中かなという思いの中で、小島委員のお話は非常に大事やなというふうに思っていて、私もどうやって書き込むといいのかなって考えておったんですけど、これは県の人権施策の推進における基本理念なもんですから、非常に難しい大きな課題だなというふうに見ていたら、(6)の「人権問題の解消を図ることにより、多様性が尊重され、誰一人取り残されることのない共生社会の実現に寄与する」というところには、その考え方は一定程度含まれるのかなと思いつつ、ただ、多様性が尊重されるとかという表現では、小島委員の言われたことに対しては少し弱い表現なのかなという思いがある中で、一定、先ほど政策法務監が言われたように、SDGsの理念がここで体現されているということをおっしゃったというふうに思うんですけれども、SDGsは17のゴールがありますので、例えば明確にSDGsという単語を用いてはどうかなと。そこに先ほどの小島委員の課題とかは全部包含されてくると思うんですけども、そういったのはどうかなというふうな、前文を見ていても、SDGsという単語そのものを使ってもいいんじゃないかな、使ったほうがいいんじゃないかなというのが、かねてからの考え方なんですけれども。意見なんですけれども。
〇稲森委員 小島委員と藤田委員、それから山内委員からも非常に勉強させてもらって、ちょっと最近あった嫌なことを思い出した、嫌なことというか、すっきりせえへんことを思い出したんですけども。前の知事が退任され、新しい知事を迎えられたと思うんですけども、花束贈呈を必ず女性職員が、この県庁というパブリックな空間で、それが多分何も考えずに行われているような気がして、すごくもやもやしているので、そういうこともちゃんと考えながらやっていけるような県政にこれからなっていったらいいなというような基本理念を、ここへ入れてほしいなというふうに思います。
もう一つですけれども、話は変わりますけども、前文のところで、いろいろ入れていった、かなり苦労されて見直していただいたと思うんですけども、何かもう少しすっきりしたらいいなというのがあって、僕がこの前文の中に入れたいなという考え方の基にあるのが、日本国憲法の第97条というのをまた見ていただけたらと思うんですけれども、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」というふうにあるんですけども、何かそういうニュアンスというか、そういう精神というのをここへ織り交ぜてほしいなというふうに思っています。
〇北川委員長 その条の特にどの部分ですか。
〇稲森委員 全体の雰囲気、スタンスというか。
〇北川委員長 分かりました。
ごめんなさい、ちょっと換気休憩の時間を超過してしまっています。
先ほど言われた、いわゆる慣習や社会的に残っている差別を助長したり、誘発したりすることにつながっていくようなものをどう書き込むかというのは、ちょっと工夫させていただいて、基本的には基本理念の前段の前のほうで表現させていただけたらなというふうに思いますのと、同じくその第4のマル2の部分は、このまま残していくということでよろしいですか。文言の整理で言われたようなところはありますけれども、残していくということで委員の合意ということでよろしいですか。
〇藤田委員 限定するということですね。要は一つの、ここに書いてある、例えばインターネットに住所を載せるとか、そういうことを含めた行為に限定した上での理解ということで残すということですか。
〇北川委員長 ここはあくまでも禁止事項の項目なので。
〇藤田委員 ああ、そういうことか。
〇北川委員長 できれば、そういう類いのものに限定しておきたいというふうに思います。
ですので、先ほど出ているようなお話は、どちらかというと前段の基本理念の中で反映できたかなというふうに思いますが。
〇藤田委員 でも、助長したり誘発する行為というのは、結構幅広いものがあると思うんですけども、それを鳥取県のやられている禁止事項をこういう表現で、あらゆる属性に対して、我々の条例は書かなければならないという理由でここへ書き込むということですよね。
僕は現実の問題として、助長し、誘発する行為というのは、もっといろいろあるんではないかというふうに思っているんです。そういう視点からいったときに、後の文言を入れることによって限定し過ぎないか、そういう思いがありますので、意見として申し上げます。
〇北川委員長 マルマルの禁止という条項にはなっていませんけれども、基本理念とはさせていただきながらも、中身は禁止事項なので。したがって極めて定義的にはきちんとしておくべきだという思いが正副委員長にはありまして。したがって、この「不当な差別」とか「人権侵害行為」というのは前のところで定義させていただいているということにしておるわけですけども、お話に上がっているような様々な社会的な慣習や慣行は課題としてあって、それが差別を助長したり誘発している現実もあるという中で、一方で、それが全ての人にとって、そうですよねということになるのかどうかということも含めて、そこはきちんと定義づけをしないと、禁止事項のところに持ってくるのは、少し、しんどいという表現がいいのかどうか分かりませんが、ではないかなというふうに思っていまして、それよりは幅広く、基本理念の中でそれを解消していく流れをつくっていくというふうに表現したほうがいいのではないかなと、勝手ながら、委員長の個人的な意見としては思っておりますので、藤田委員の思いも含めて、意見として表現ができるように頑張りたいというふうに思います。
よろしいでしょうか。ごめんなさい、ちょっと時間が経過してしまって、5分だけ休憩を取らせていただきたいと思います。再開を15時35分とさせていただきます。
(休 憩)
〇北川委員長 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
人権施策基本方針までのところで、あと、県の責務のところに施設の利用についての努力義務を入れさせていただいていますが、この点についてはいかがでしょうか。一旦、案としてはこの形で置かせていただいてよろしいですか。
それでは、もう時間が時間ですので、3分割と申し上げましたが、残り、相談体制から最終ページまで御意見のある方がありましたら出していただきたいというふうに思います。
〇小島委員 第19の人権教育及び人権啓発のところで、どうやって書けばいいかなとか随分考えたんですけど、結論から申し上げると、まだ出ていないんですが、例えば人権教育及び人権啓発の推進に関する法律というのがあって、そこの第2条の定義のところに、人権教育とはどういうことで、人権啓発というのはどういうことだというふうに分けて書いていただいてあるんですね。その辺りで、どういうふうに違いを持たせて人権教育の中身を書くか、目的を書くかというのが第19のマル1に特に必要なんだと思うんです。
その際に参考にしたらいいと思うのが、三重県人権教育基本方針というのが出されていて、学校で人権教育を行うためのベースになる考え方が書かれています。そこに人権教育の目的として、「「自分の人権を守り、他者の人権を守るための実践行動ができる力」を育み、人権文化を構築する主体者づくりをめざす」って書いてあるんです。だから、差別を解消し、みんなが住みよい社会をつくるための主体者をつくるのが人権教育の目的だと思うので、その辺りを書き込んでいただければ、少し人権啓発と違ったニュアンスが出てくるのではないかなと思います。
そして、「学校教育等」と書いていただいてあるのでいろんな場所があるんですけれども、例えば家庭とか学校とか地域とか、いろんな関係するところがあって、相互に有機的な連携、協力関係を一層強化するなどというようなことも、この三重県人権教育基本方針の基本的な考え方の中に書かれているので、その辺りで、その目的は何か、何のためにこの人権教育を進めるかということの文言等を取っていただいたらいいのではないかなというふうに思います。
〇北川委員長 三重県人権教育基本方針ですか、それを参考にこの人権教育と人権啓発の中身を充実させてはどうかという御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
〇石田委員 正副委員長の御判断で一緒にならんと言っていたやつ、これは一緒にならんのかなと思うやつ、審議会の第25と第26、これは何で一緒にできやんのかなと思って。
〇北川委員長 正副委員長のほうで深く考えたというよりは、現条例の全部改正ということも含めて、踏襲できる部分はそのまま踏襲しておきたいという思いもあったものですから、そうさせていただいたと説明させていただいたんですけれども、逆に石田委員のほうで、まとめたほうがよりいいという部分についての思いがありましたら、それはそれで受け止めさせていただこうと思いますが、めちゃくちゃこだわりがあるわけではありません。
〇石田委員 法務監から、全部改正なので、それを基にというのがありましたから、全部改正なら逆にこだわらんでもいいのかなと思って。両方、審議会の内容で、それぞれボリュームがでかいのなら分ける必要もあるのかなと思いますが、それぞれそんなにボリュームもでかくないので、1つのほうがさっぱりするなと思っていましたんですが。
〇北川委員長 再検討させていただきます。分かりました。
ほかにはいかがでしょうか。
〇小島委員 最後です。第21に実態調査があって、第22に情報の収集、蓄積及び分析があります。この条例をつくる大きな意味は、やっぱり差別解消に資するということやと思うんですね。そうしたら具体的に県として何ができるかということを考えたときに、今、人権施策基本方針に沿って第四次人権が尊重される三重をつくる行動プランがつくられ、その年次報告は出されています。けれども、これからはこういう条例が出来上がることによって、どういう事例があって、どういうふうに解決が困難であったかとか、どういうふうに解決が図られたかということも報告があってしかるべきだと思うし、それを共有して初めて具体の解決につながっていくというふうに思います。ですので、項を起こすかどうかは別ですけれども、私は報告についてもきちんと書き込んでいただきたいと思います。
今、どこにもその年次報告をするとかが、人権が尊重される三重をつくる条例にはあったんでしたっけ、なかったんでしたっけ、でも、その辺りはきちっと書き込んで。だって、事例共有することこそ実効性のあるものにつながるというふうに思うので。本当は報告という項目があったらなというふうにも思うところです。どこかにありましたっけ。
〇北川委員長 人権基本方針のところに。第11ですね。これは皆さんから御意見があって、議会への報告を義務づけるべきということで、「施策の実施状況」の中に、おっしゃっている例えば相談、それから助言、あっせん、勧告での事例、それから実態調査、それから情報の蓄積、分析、それぞれの情報について、もちろん個人情報は除かれますけれども、差別解消に資するために議会であったり、それから関係市町であったり、部局横断的であったりという情報共有と、共有だけじゃなくて、それが生かされなくてはなりませんので、PDCAに生かされるということが、もう少し分かるような書きぶりがどこかに入ればいいんでしょうかね。
〇小島委員 すみません、見落としていました。それであれば、これは条例ができてからになると思うんですけれども、相談体制の仕組みがどうなっているかと、差別解消のPDCAをどう回すかということを、関係者も知事とか三重県差別解消調整委員会とかいうのを明示しながら図示すれば、どういうふうに回って、どうやって解決に向かうかというのを、みんながイメージできるんじゃないかと思うので、その辺りは、またきっと概要版とかを作るじゃないですかね、いろんなもの、その中にぜひ入れていただけたらなと思います。
〇北川委員長 多分にこんな言い方をして、別に逃げるわけではないんですけれども、PDCAを回すのは基本的に執行部を中心に回していく部分もありますので、もちろん議会も関与しますけれども、今度の執行部との聴き取りの中でも、どういうふうにそれを回していくかというのは、少し議論していただくのもいいのかなというふうには思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
そういう図示ができれば一番分かりやすいというふうには思います。
ほかにはいかがでしょうか。
1点、確認しておきたいのは、三重県差別解消調整委員会の設置の中で専門性だとか当事者性というところをいかに確保していくかということで、その委員の選定の仕方についていろいろ御意見をいただいた中で、今回の案では、専門委員を都度任命して対応していくという仕組みを案として出させていただいています、このことについてはいかがでしょうか。今日決めてしまうというわけではないですけれども、一定、委員の皆さんから。課題の一つではあったので。
一応この案で会派に持って帰っていただいて御議論いただくということでよろしいですか。
〔発言の声なし〕
〇北川委員長 ほかに、全体的にどうでしょうか。これは言うとかないかんとか、これは入っとらんとか、これは直してもらったけど、違うぞというふうなことはございませんか。
〔発言の声なし〕
〇北川委員長 なければ、再三申し上げていますように、この後も議論は続きますので、御意見をまたまとめておいていただければというふうに思います。
残りの少しの時間で、同じく確定できるのであれば、まず、今回、新たに和歌山県の事例調査をいただいた中で、「説示」ということが出てまいりました。それについて活用してはどうかということで、今回、この条例の中では、相談体制の中ではなくて、勧告につながるという意味も含めて、いわゆる申立てによる解消の仕組みのところに「説示」を入れさせていただいています、そういう取扱いで、案として確認させていただいてもよろしいですか。これも会派に持ち帰っていただいて御議論ということになりますけれども、委員会としては、取りあえずこの案で持ち帰っていいよということであれば。
〔発言の声なし〕
〇北川委員長 よろしいでしょうか。
それともう一つが、細かい話で申し訳ないですが、これは第16、35ページの意見の聴取のところで、出頭に代えて陳述書、証拠書類等を提出することができるということにさせていただいています。これは、障がい者差別解消条例でも施行規則でそうなっておってということの説明でしたよね。であるならば、きちんともう条例に書き込んどいて、同様の形にしておいたらどうかということで、事務局で整理していただいたわけですが、これも、これでよろしいですか。
〔発言の声なし〕
〇北川委員長 じゃ、そのように進めさせていただきます。
ほかに、これはというのはございませんか。
〇小島委員 39ページにもありますけれども、多様性に関する要件は必要ないか。米印を取るんですよね。
〇北川委員長 はい。これはまあ……。
〇小島委員 私は、ないでいいと思いますけども。
〇北川委員長 何か御意見がございますか。
〇小島委員 多様性って物すごく、それこそ多様なので。属性は全部書けません、挙げられませんので必要ないということでいいかと思いますが。
〇北川委員長 多様性というよりは、そもそも正副委員長で思っていたのは、御意見の出ていた当事者性、専門性の部分を指して考えていたことなので、そういう意味では専門委員を置いてということで解決していくので、正副委員長的には、この項目はなくても、おっしゃったようにいいのかなというふうに思いますが、外させてもらってよろしいですか。
〔発言の声なし〕
〇北川委員長 では、そのようにさせていただきます。39ページのところですね。
ほかにはいかがでしょうか。
抜けているところがありましたら、また会派に持ち帰って議論いただいた中で、また出していただいたら結構ですので。
では、以上で条件案素案についての本日の委員間討議を終了いたします。
なお、本日いただいた御意見をできる限り反映した形で条例案素案(修正版)のさらなる修正を行いますが、これはちょっとまだ限界がございますので、できるところまでということで御理解いただいて、後ほど各委員に配付いたしますので、それを基に各会派での意見聴取を行っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、次回の委員会ですが、会派での意見も踏まえて、本日に引き続き条例案素案(修正版)についての委員間討議を行いたいと存じますが、日程等の詳細については、この後の委員協議で御協議いただきたいと存じますので御了承願います。
本日御協議いただく事項は以上でございますが、特に何か御意見がございましたらお願いします。
〔発言の声なし〕
〔閉会の宣言〕
三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
北川 裕之