このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

スマートフォンサイトへ移動

平成19年第4回定例会 陳5

受付番号・件名 陳5 三重県が発注した工事における違法行為等について事実の究明及び適法な対策を求めることについて
受付年月日 平成19年11月28日
提出された
定例会
平成19年第4回定例会
所管委員会 県土整備企業常任委員会
項目    三重県県土整備部の発注した流域下水道事業の中核的施設、汚水処理場建設工事において、請負業者JVによる数々の違法行為と不正行為が行われてきたにも関わらず、知事と県土整備部は、ひた隠しにするなど、県民と県議会に対する説明責任を果たしていない。
情報公開による透明性の確保こそが県民の利益と損失防止のために最も有効であるとするなら、議会は有名無実と化してしまう。
ついては、下記の事項について、専門的事項は必要に応じて説明を行うので、県土整備企業常任委員会等関係委員会で審議すると共に、地方自治法第100条に基づく議会調査権を発動し、事実の究明と適法な対策を講じるよう陳情する。
                   記 1 中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)北系水処理施設工事における「杭打ち成績書」の改ざん偽装問題である。
  当該工事概要は次のとおりである。
   工事名:中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)浄化センター北系水処理施設(土木)建設工事
   請負業者:フジタ・日本土建・アイケイディー特定建設共同企業体   
請負金額:4,777,500,000円(税込み)
工期:平成21年5月29日
工事内容:水処理施設等:コンクリート工V=34,639立米
 型枠工A=38,835㎡
 鉄筋工W=3,236t
 杭基礎工(SC・PHC杭)L=12~30m 912本
 土工V=97,050立米、仮設工=一式 その他雑工  
   第1の問題点は、基礎杭品質の不正表示である。
鋼管にコンクリートを巻き立てた強化杭(SC杭)の製造工程と品質に不正処理が行われた。まず、製造工程上の問題点として、使用された鋼管の品質・性能を示す鉄鋼メーカー(クボタ)ミルシートの製造年月日と鋼管を購入してSC杭を製造した杭メーカーの製造年月日に相違がある。
また、品質上の問題点として、現場納入時に鋼管が真っ赤に錆びていたにも関わらず、ケレンや防錆処理をすることなくそのまま打ち込んでいる。
現場は地下水が高く、処理場が稼働すれば、大量の電力を導入し、高圧ケーブルの配管や、大量消費電力によって必然的に生じる、地下に漏れた電流が、最上部の強化鋼管杭部の電喰を促進し、更には塩水の影響も加わるなどして腐食による施設の崩壊に繋がる恐れが指摘されている。
 第2の問題点は、基礎杭施工成績書の偽造である。
杭1本毎の打ち込み記録を示す記録紙に改ざんの跡が多数見られ、所定の支持力が得られたとする証拠とはなり得ないことが解る。
元請のフジタJVから下請した杭施工業者が、県の監督員から提出を求められていなかったが、情報公開請求によって後から慌てて作成したことが読みとれる。
  フジタJVは、「出来高検査」の直前まで、提出を遅らせていた。本来なら日々打ち込み記録を作成しなければならないにも関わらず、怠り、情報公開請求によって後から辻褄合わせをしたことは明白で、記録紙に汚れがないこと、監督員や検査官の書き込みやチェックの跡がないことでも明らかである。
   本来、当該地区の地質調査結果からは、本件杭打ち工法:中堀先端拡張工法、プレボーリング先端拡張工法では、所定の支持力が得られないことが予想されていたにも関わらず、当該工法を採用することを承認し、載荷試験さえ求めず、「杭打ち機録」だけの書面検査で、出来高検査を実施した検査監の無知と、出先事務所の監督体制の不備が、今日の事態を招いたものである。
   請負業者JVは、県職員の無知を良いことに、1本づつの杭打ち込みを完結することなく、機械の使用効率のみを優先して複数の杭を同時施工して記録を混同させ、結果杭打ち記録の改ざん偽装に至ったものである。
   下水道事務所とJVは、出来高検査対象以外の100本余の杭打ち記録について未だ開示して居らず、記録作成の補助データとした「野帳」の提示すら行っていない。
    現場には3台の防犯ビデオカメラが設置してあり、工事記録を収録している。「杭打ち記録」に改ざん・偽装が為されて居らず真正のものであるとすれば、撮影記録を全提出して解明に務めるべきである。
  直ちに検査結果を見直し、技術データの検証を行うと共に、不良工事のやり直しをさせるべきである。
   第3の問題点は、ディープウェル工法による地下水位の低下と水質変化についてである。
  地下水位の高い建設地で、地下深く汚水処理施設を建設することから、水を排除する方法としてディープウェル工法が採用されているが、深い井戸と強力なポンプによる地下水汲み上げを行うこの工法では、周辺の地下水位も低下し、地下の鉄分を多く含んだ汚染水や、塩水を汲み上げる事になり、周辺海域や、自然生態系に悪影響を与えるばかりか、地元水産加工業者の営業を直撃する。
 県は、井戸対策と赤水対策に十分配慮していると言うが、本来、契約に際して、リスク負担と技術提案(契約後VE)によって請負業者JVが負担すべきとした「第3者損害」を事実上、県が負担する「事業損失」と見なして、多額の地下水調査費を支出していることは、税金の無駄使いである。
 水産加工業者や、井戸を所有する地元住民に対する十分な説明を行って居らず、工事着手後、4か月程度の「工事中止」に追い込まれたことは、県と請負業者JVの「説明不足」に原因がある。
地下水が汚染されれば、周辺水産加工業者とそれに頼る水産業者は、甚大な被害を被る。直ちに工事を一時中断し、地元説明会を再開させると共に、請負業者の責任を明確にすべきである。
  第4の問題点は、SMW工法による地下連続壁工法についてである。
本工事では、地下深くに設置される浄化施設を建設するため、大規模な土留工事が行われるが、従来工法である鋼矢板工法では強度不足のため、SMW工法というH型鋼を補強柱とする地下連続壁工法が採用され実施された。その際使用されたセメントミルク注入用バラセメントの使用量が、設計数量に比較して大幅に削減された。
 本件SMW工法は指定仮設工法であり、当然設計変更の対象となるにも関わらず、変更契約を行わなかった。基礎杭の大部分と共に、「出来高検査」の対象であるから、変更契約を締結しないまま「検査」を実施、支払対象とすることは、違法な契約・公金支出である。
  また、たとえ添加物を加えることによって、セメント使用量を削減できるとしても、土留壁強度に支障が出るとしたら不適正であり、1,000t以上のセメント量削減の結果がどういう工事施工の安全上の問題を引き起こすか想定して居らず、安易なJV側提案の鵜呑みとなっている。
  第5の問題点は、管廊の施工取り止めに基づく設計変更の未済である。
本件工事には、水処理施設間を結合する管廊が契約に含まれ、施工される予定であったが、隣接するポンプ・機械・管理棟の建設工事が、3度に亘る「談合」疑惑による請負契約の「解除」により施工時期の見通しが付かないことから、本件工事からその部分を除外した。
 管廊工事については基礎工事から土工・仮設土留工など一連の工事が含まれ、減額金額も無視できないにも関わらず、変更契約を締結していない。
減額を前提としたまま当初契約額に基づいた出来高検査による出来高払いの実施は、違法な契約・違法な公金支出に当たる。
  第6の問題点は、失われる海浜の自然資産である。建設地は、伊勢湾に唯一残された自然海浜であり、海浜特有の貴重な生態系が存在することは、地元住民による環境保全活動や、県が実施した「環境アセスメント調査」によっても明らかである。
下水道事業団の指導によって、建設敷地を大幅に縮小するよう計画の見直しが求められたにも関わらず、県は、その指導を悪用し、施設の高度化と拡張に繋がる現計画に変更させた。現在の工事の進め方は、県内最初の高度処理施設として高価格の施
設計画が実行されており、税金の無駄遣いと、県民負担の増加、自然 環境の破壊が進められている。現場の技術陣は、自然環境保全に熱意が無く、「環境アセスメント」で定められた、生態系保全策を無視して、希少種動植物の絶滅のために狂奔していると言わざるを得ない。現状のまま工事を進めれば、広大なヨシ原は喪失され、生息するオオヨシキリは消滅し、また、希少種植物のミズワラビ・サデクサなども消滅する。
直ちに工事を一時中断し、環境森林部を含めた現地確認を行わせ、「環境アセスメント」が求めた、保全策の完全実施を遵守させなければならない。
  第7の問題点は、建設地でクロスする活断層の危険である。
 三重県は平成14年度から16年度に掛けて実施した「伊勢平野に関する地下構造調査」によって、当該浄化センター建設地直下に「活断層」が存在することを、平成17年3月に取りまとめた報告書で明らかにしている。
以下報告書の文面を引用する。
「バイブレーター(大型起震車)を震源とする反射法地震探査によって、一部では不明瞭であるが、測線全体に亘って、基盤上面に対応すると考えられる反射面が捉えられた。その深度は、測線北端(鈴鹿市野村町)で深度1,700mであり、大きな凹凸を伴い、南に向かって上昇し、河芸町中瀬付近で深度1,000m程度に達する。津市栗真小川町付近では、一旦深度1,500mまで落ち込み、再度南に向かって上昇し、津市江戸橋付近で1,200m程度に達する。基盤以浅の構造は全体として南上がりであるが、津市栗真小川町付近の南北500m間にかけて各層の反射面食い違いが認められる。これは、白子-野間断層の西方上の延長上に当たる可能性がある。」基盤とは、地核を構成するプレートに連なる強固な岩盤層で、伊勢平野はその上に新しい地層が厚く堆積した堆積平野である。反射面とは、この基盤上面を言う。
このことは、従来「白子-野間断層」と呼ばれ、東海・東南海地震が同時に発生したとされる宝永地震が、伊勢湾沿岸で大規模な被害をもたらした際、動いたとされる活断層で、愛知県知多市沖から鈴鹿市白子町付近に掛けて存在し、伊勢湾内で留まっていることが過去の調査(運輸省・海上保安庁での弾性波調査による)で推定されていたが、今回の調査で、その西端部が鈴鹿市野村町付近の最深部1,700mと、津市栗真小川町付近の深度1,200mの測定された2方向に分離して延伸していることが指摘されたものと言える。
報告書に記載された地図からは、白子-野間断層は、津市栗真小川町付近から更に西方に延び、安濃撓曲・布引山地東縁断層帯西部断層に連なるとされている。鈴鹿市野村町付近最深部1,700mは、鈴鹿沖断層の延伸部とも考えられ、今後の調査が望まれる。
  旧河芸町地内に見られる、低い丘陵の連続した地形は、志摩半島のようなリアス式海岸地形が隆起したものと考えられ、平野部の地質は軟弱で、地震の際の液状化の危険性が高いとされる。また伊勢湾三重県側沿岸には、北部から四日市断層が、津市南部には、布引山系東縁断層帯東部断層の存在が確認されていることから、その連続が確認されれば、津市栗真小川町付近で、白子-野間断層とクロスしていることも予測できる。今後同地点での東西方向の測定・調査が望まれる。

  従って、現在工事中の当該浄化センター建設工事を一時中断 して、更なる活断層調査を行い予想される地震強度に見合う耐 震設計を行う必要がある。
  その他、次の(1)ないし(6)等々枚挙に暇が無いほどの違法行為・違法な財務会計行為が横行している。
(1)    工事用借地の農地転用に係る不適正な事案として、地元下請業者に工事用借地を公共補償基準を大幅に下回る低価格で、先行取得させた。また、下請業者に「農地転用」を申請させた。この「借地契約」の実態を調査すれば、JVが早くから地元下請業者を動員して工事用地の借地契約を実施させていたことが解り「談合」を立証する有力な証拠となる。
(2)    公共用財産の廃止、譲渡手続きにおいて不適法な手段を執った。地方分権一括法に基づき国有財産である公共用財産の津市への移管が行われたにも関わらず、不適法な手続きによって処理された。
(3)    工事現場に最も近接した河芸町影重地区住民に対し、「工事説明会」を開催しなかった。
(4)    工事用排水による周辺井戸への影響対策を契約後VEに盛り込みながら地下水調査として巨額の業務委託を別途発注している。
(5)    掘削残土を2期計画地に「仮置き」すると称して、別途工事を発注し、環境アセスメントにおいて「オオヨシキリの営巣地として確保すべき」とされたヨシ原を伐採し、新たに発見された希少種植物「サデグサ」の絶滅に繋がる生育環境の改変を強行した。
(6)    掘削残土については、霞北埠頭埋立用土として再利用を計画しておきながら、民間用に売却する危険のある下請業者所有地に「捨て土」させ、県道敷地を不法占用させるなどの違法行為を容認した。
  知事及び県議会は、元々、「談合」疑惑が指摘され、株式会社 フジタが、「新潟下水道談合」事件や、「防衛施設庁官製談合」事件で立件されていることを承知しながら、昨年9月議会で契約議決を強行したことの責任と併せ、知事及び、県議会は、現地を視察し、上記指摘事項を確認した上で、知事部局・県土整備部に対する改善指導を行うよう求めるものである。
 また、検査官室の帰属について組織改編が取り沙汰されている今日、県の監督・検査体制の不備について、検証する最も適した対象であるから直ちに必要な措置を執るよう求める。
2 松阪建設事務所における河川法違反の事案である。
 県土整備部と松阪建設事務所が実施中の国道166号「田引バイパス」建設事業に於いて重大な法令違反が明らかとなった。
 国道166号「田引バイパス」の事業概要は、「事業延長L=5,000m、幅員:車道=6.5m、歩道=3.0m、道路工(新設)L=5,000m、橋梁工(新設)11橋、事業採択1994年度、事業着手1994年度、事業完了2010年度、全体事業費77億円、実施済事業費55.55億円」である。
 事業区間の1級河川櫛田川に架橋が計画され、既に工事が完了した3橋、及び、つい先日工事発注がされ、当会が提供した「談合」情報によって、契約が保留されている1橋について、河川法で定められている占用許可、工作物の設置、河川管理者以外の行う工事などの規定について、三重県知事の許可が為されていないにも関わらず工事を実施したというもので、法令違反をした道路管理者三重県知事及び、松阪建設事務所職員に対して、法定の罰則を適用した場合、「懲役1年以下・罰金50万円以下」という重い内容の法令違反である。
 この量刑は、改正された道路交通法の飲酒運転に対する罰則と同程度であり(「罰金50万円以下・懲役1年以下」)、既に、県は飲酒運転を犯した県職員は「懲戒免職」に処するという厳しい懲戒処分を行ってきたことと併せると、本件に関与した三重県職員は、知事自身の減給処分も含め、多数「懲戒免職」の処罰を下さなければならなくなる。
 この法令違反の事実は、当会が情報公開を進める中で明らかとなったもので、現在の所、知事はその事実を公表していない。
知事及び三重県職員が、法令を遵守し、業務を通じて、橋梁の架設や樋門・樋管の設置での市町への指導、建設業者や砂利採取業者、開発業者らに河川法の規定を守るよう指導する立場に
ありながら重大な法令違反・犯罪を犯していたことは、今後の河川行政に与える影響は非常に大きいため、ひた隠しにしていることが考えられる。
 議会は、知事部局の行った違法行為と、隠蔽工作について、議会の権限に於いて調査し、県民の前に公表すると共に、関与した知事及び県職員の懲戒処分と法的措置を講じること、再発防止についての改善策を講じなければならないから直ちに現地を視察し、事実関係を把握するよう求めるものである。
 なお、本件道路事業工事に係る鋼橋仮設工事2本の入札契約については、たった2社しか応募しない不明瞭な業界の対応があり、2社で分け合うという「談合」が行われた。県土整備部「公正入札調査委員会」は、例によって判で押したように「談合とは確認できなかった」として「仮契約」に持ち込んでいる。
 1本は議決案件でもあり、議会が契約案件を議決しないよう求める。
ページID:000018844
ページの先頭へ