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三重県議会 > 県議会の活動 > 「障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例」逐条解説

「障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例」逐条解説

【前文】
 平成十八年十二月、障がい者の人権と基本的自由の享有を確保し、障がい者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする障害者の権利に関する条約が採択され、我が国は、平成二十六年一月に同条約を締結した。
 障害者の権利に関する条約は、「障がいが、機能障がいを有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずる」という社会モデルの考え方を基本としている。また、同条約は、合理的配慮の否定を含めたあらゆる形態の差別を障がいに基づく差別とし、この差別を撤廃するための措置をとることを定めるとともに、合理的配慮とは、障がい者の人権と基本的自由の享有を確保するための「必要かつ適当な変更及び調整」であり、恩恵的に施されるものではないことを明らかにした。
 これらの画期的な考え方をはじめとする障害者の権利に関する条約の理念を実現するため、政府は、関係する法律の整備などを行っており、三重県においても、これらを踏まえ、障がい者の権利を守るための取組を進めているところである。
 しかしながら、今なお、障がい者に対する理解や、障がい者との対話を通じて社会的障壁を認識し、除去することの重要性に対する理解が十分に深まっておらず、障がい者はもとより、その家族も様々な偏見や差別に直面し、苦悩している。また、障がい者とその家族は、障がい者が自らの選択に基づき、地域において自立し、社会参加することについて不安を抱えている現状がある。
 このような状況を踏まえ、県民が互いに支え合い、社会全体で常に障がい者との積極的な対話を通じて社会的障壁の除去に取り組み、障がいを理由とする差別や障がい者の自立と社会参加を妨げている諸要因の解消を図らなければならない。我々は、このような取組を進めることによって、障がい者がその個性と能力を発揮し、社会のあらゆる分野に参加し、活躍できることが、県民一人ひとりの幸福の実現につながるものと確信している。
 障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくりは、県民一人ひとりの理想であり、果たすべき使命である。
 ここに、我々は、このような三重県づくりに向けた「未来への新たな一歩」を踏み出し、共生社会を実現することを決意し、この条例を制定する。
【趣旨】
 条例の制定背景や趣旨を明らかにしたものです。
 第一段落では、障害者権利条約の成立と我が国の締結の状況に触れ、障がい者の権利を守るための取組の進展を明らかにしています。
 第二段落では、障害者権利条約が採用した考え方のうち、特に重要とされる障がいの「社会モデル」と差別の禁止(合理的配慮の否定を含む。)の考え方を示しています。
 第三段落では、この条約に基づく国内法の整備等の状況や三重県における取組の状況を明らかにしています。
 第四段落では、委員会における調査結果等を踏まえ、障がい者を取り巻く現状と課題を示し、条例の制定の必要性を明らかにしています。
 第五段落では、第四段落で示した状況を踏まえ、この条例で取り組む事項の要点を明らかにしています。すなわち、①県民が互いに支え合い、社会全体で常に障がい者との対話を通じて社会的障壁の除去に取り組み、②障がいを理由とする差別や障がい者の自立と社会参加を妨げている諸要因の解消を図ることです。そして、このような取組を進めることによって、障がい者がその個性と能力を発揮し、社会のあらゆる分野に参加し、活躍できることが、県民一人ひとりの幸福の実現につながるものである旨を明らかにしています。
 第六段落及び第七段落では、「障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり」は、障がい者をはじめとする県民一人ひとりの理想・果たすべき使命であり、このような三重県づくりに向け、「未来への新たな一歩」を踏み出し、共生社会を実現していく決意を高らかに宣言しています。
 
【解説】
 第5段落の「障がい者がその個性と能力を発揮し、社会のあらゆる分野に参加し、活躍できることが、県民一人ひとりの幸福の実現につながる」とは、障害者権利条約でも示されている「インクルージョン」の観点を踏まえたものであり、一人ひとりが異なる存在として受け入れられ、全体を構成する大切な一人としてその違いが活かされることが重要であるとの考え方に基づくものです。
 第7段落の「未来への新たな一歩」とは、『「障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい」社会を、より良い「未来」・目指すべき「未来」と捉え、その「未来」に向けて、これまで以上に、障がい者差別の解消などの取組を進めていく』という思いを込めた言葉として使用しています。

   第一章 総則
 (目的)
第一条 この条例は、全ての県民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会(以下「共生社会」という。)を実現するため、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策並びに障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策(以下「共生社会の実現に向けた施策」という。)に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、共生社会の実現に向けた施策の基本となる事項を定めること等により、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)その他の関係法令(三重県ユニバーサルデザインのまちづくり推進条例(平成十一年三重県条例第二号)その他の障がい者に関する施策に係る条例を含む。第四条第二項及び第九条において同じ。)と相まって、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
【趣旨】
 条例の目的を明らかにしたものです。
 この条例は、「全ての県民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことを目的に掲げています。これは、障害者基本法や障害者差別解消法においても掲げられており、これにより、この条例がこれらの法律と同じ理念に基づくものであることを明らかにしています。
 条例では、①「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策」、②「障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策」の推進を掲げており、①と②を一括して「共生社会の実現に向けた施策」と称することとしています。
 
【解説】
1 「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策」
 「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策」は、差別的取扱いの禁止・合理的な配慮の提供義務、障がいを理由とする差別を解消するための措置、相談体制・紛争解決を図る体制の整備のことをいいます。
 
2 「障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策」
 「障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策」は、障害者基本法が定める施策の名称と同一であり、条例の施策が障害者基本法に基づく施策を具体化・補完するものであることを明らかにしています。
なお、「障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策」の「等」とは、障がい者に対する理解などを深める啓発活動を想定しています。
 
3 「障害者基本法、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律その他の関係法令(三重県ユニバーサルデザインのまちづくり推進条例その他の障がい者に関する施策に係る条例を含む。)と相まって」
 条例は、障害者基本法、障害者差別解消法などの法律や三重県ユニバーサルデザインのまちづくり推進条例などを前提としつつ、これらの法令とともに障がい者施策の推進を図ることを目指すものです。そこで、関係法令と一体のものであるという趣旨を明確にするため、「障害者基本法、障害者差別解消法その他の関係法令と相まって」としています。また、「相まって」には、これらの法令を具体化・補完するという趣旨も含まれます。
 「その他の関係法令」とは、障害者虐待防止法や障害者雇用促進法などが挙げられます。
 また、「その他の障がい者に関する施策に係る条例」とは、スポーツ振興条例の障がい者スポーツに関する規定、三重県防災対策推進条例の関係する規定、みえの観光振興に関する条例のバリアフリー観光に関する規定などが挙げられます。
 
 (定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 障がい者 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がい及び高次脳機能障がいを含む。)、難病に起因する障がいその他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
 二 社会的障壁 障がいがある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
 三 合理的な配慮 全ての障がい者が障がい者でない者と等しく基本的人権を享有することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものをいう。
 四 行政機関等 地方公共団体(県、県の区域内の市町及び県の区域内の特別地方公共団体をいい、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。次号において同じ。)及び地方独立行政法人をいう。
 五 地方独立行政法人 地方公共団体が設立した地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二十一条第三号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。
 六 事業者 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第二条第七号に規定する事業者をいう。
【趣旨】
 条例における重要な用語についての定義規定です。
 
【解説】
〔第1号関係〕
1 「障がい者」
 障がい者の定義については、障害者基本法及び障害者差別解消法の「障害者」と同一の概念によることとしています。これにより、障がいの「社会モデル」(日常生活等での制限が「機能障害」のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるとする考え方)を採用することを明らかにしています。
 条例の定義と法律の定義との違いは、①「障がい」の定義に「高次脳機能障がい」と「難病に起因する障がい」を加えたこと、②日常生活等の制約に関し、「断続的」を加えたことです。
 追加部分については、障害者基本法等の「障害者」の定義をめぐり、国会(平成23年6月15日衆議院内閣委員会)で審議された点を反映しています。
 
質疑事項 答弁
①高次脳機能障害は「障害」に含まれるか。 高次脳機能障害は、「精神障害」に含まれる。
②難病に起因する障害も「障害」に含まれるか。 難病に起因する障害は、「その他の心身の機能の障害」に含まれる。
③「継続的に」という語に関し、症状が断続的、周期的に現れるような場合を含むか。 「継続的に」という語の意味としては、断続的なもの、周期的なものも含む。

 追加部分は、障害者基本法等の解釈上認められているものであるため、明示しなくても、解釈で対応することができますが、誰にでも分かりやすい条文を目指すために、これらを明示し、疑義が生じないようにしておくこととしています。
 なお、障害者基本法・障害者差別解消法における「障害者」については、「社会モデル」の考え方を踏まえ、障害者手帳所持者に限られないと解されています。(障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針〔平成27年2月24日閣議決定〕2-3頁)。そのため、「障害者」に当たるかどうかを判断するに当たっては、まずは、「心身の機能の障害」があると言える者かどうかを実態に即して判断することとなります。
 条例の「障がい者」は、これらの法律の「障害者」と同一の概念によることから、同様の取扱いとなります。
 
〔第2号関係〕
2 「社会的障壁」
 社会的障壁については、重要な用語であり、その意味を明確にするため、障害者基本法及び障害者差別解消法の「社会的障壁」と同一の定義を行い、その内容を確認しています。
 障害者基本法及び障害者差別解消法は、「社会的障壁」について、「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」と定義しており(障害者基本法第2条第2号及び障害者差別解消法第2条第2号)、「社会における事物、制度、慣行、観念」については、次のように説明されています。
 
定義
①社会における事物 通行、利用しにくい施設、設備 など
②制度 利用しにくい制度 など
③慣行 障害のある方の存在を意識していない慣習、文化 など
④観念 障害のある方への偏見 など
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け>」(内閣府ホームページ)

 社会的障壁には、障がい者の自立・社会参加を妨げる慣行や観念なども含まれています。その意味において、社会的障壁の除去を実施することは、行政機関等・事業者だけでなく、県民を含む社会全体で取り組むべきことであるといえます。
 
〔第3号関係〕
3 「合理的な配慮」
 「合理的な配慮」が、障害者権利条約においても採用されている障がいの「社会モデル」の考え方に基づくものであることを明確にするため、定義を行い、その内容を確認しています。
 また、「合理的な配慮」の定義を設けることに加え、前文において、「合理的な配慮は恩恵的に施されるものではない」ことを明記するとともに、基本理念において、「合理的な配慮」を行うに当たっての基本的な考え方として、①差別を回避するための措置であり、②障がい者の基本的人権の享有を確保するための措置であることを明らかにすることで、「恩恵的」に行われるものでないことをより明確にしています。
 
〔第4号関係〕
4 「行政機関等」
 行政機関等については、差別的取扱いの禁止・合理的配慮の提供義務の対象となることから、その範囲を明確にする必要があります。
 条例における「行政機関等」は、次のように整理しています。
 
条例における行政機関等の種類
①地方公共団体 三重県、三重県内の市町、三重県内の特別地方公共団体(四日市港管理組合・多気町松阪市学校組合等)
※1 地方公営企業(企業庁・病院事業庁等)を除く。
②地方独立行政法人 ①の地方公共団体が設立する地方独立行政法人(三重県立看護大学)
※2 公営企業型の法人(三重県総合医療センター・桑名市総合医療センター)を除く。

 条例における「行政機関等」の範囲については、①国、都道府県、市町村がそれぞれ独立性を持つ機関であること、②差別の禁止規定が相談体制や紛争解決を図る体制の下での解決を図るべき事案と密接に関わることを踏まえるとともに、③市町が住民に身近な存在であるが故に、かえって市町の相談窓口に相談しづらい場合があるなどの実態があることを考慮し、上記の表のとおり、県のほか、県内の市町・特別地方公共団体等を含めることとしています。
 特別地方公共団体については、一部事務組合や広域連合などを広く含み、主なものとしては、四日市港管理組合や多気町松阪市学校組合があります。
 また、地方公営企業と公営企業型地方独立行政法人は、企業の経済性を発揮することが求められるとともに、原則として業に要する経費を事業収入で賄うことが前提とされていることから、「行政機関等」には含まず、「事業者」として扱うこととしています。これは、障害者差別解消法と同様の考え方に基づくものです。
 
〔第5号関係〕
5 「地方独立行政法人」
 地方独立行政法人は公的主体であることから、行政機関等に含め、差別的取扱いの禁止・合理的配慮の提供義務の対象としています。
 条例における「地方独立行政法人」については、平成30年4月1日現在、県が設立した地方独立行政法人としては、三重県立看護大学があります。
 なお、このほかに、県が設立した地方独立行政法人としては、三重県総合医療センターが、市町が設立した地方独立行政法人としては、桑名市総合医療センターがありますが、これらは、公営企業型地方独立行政法人であるため、「事業者」として扱うこととなります。

〔第6号関係〕
6 「事業者」
 事業者については、差別的取扱いの禁止・合理的配慮の提供義務の対象となることから、その範囲を明確にする必要があります。
 条例における「事業者」は、障害者差別解消法の「事業者」と同一の定義に従うことを明らかにしています。
 障害者差別解消法の「事業者」は、「個人か団体か、営利目的か非営利目的かを問わず、同種の行為を反復継続して行う者であって、国、第二条第四号に規定する独立行政法人等、地方公共団体及び第二条第五号に規定する地方独立行政法人等を除いたものを指す」と解されており、条例においても同様です。
 法人格の有無も問わないので、法人でない社団・財団(いわゆる「権利能力なき社団・財団」)はもちろんのこと、地縁団体などについても、事業性(同種の行為を反復継続して行うこと)の要件を満たす限り、「事業者」に該当することとなります。
 
 (基本理念)
第三条 共生社会の実現は、全ての障がい者が、障がい者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、障害者基本法第三条各号に掲げる事項を旨として図られなければならない。
2 社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮は、これが障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることを回避し、障がい者の基本的人権の享有を確保するために行われるものであるとの考え方にのっとり、行われなければならない。
3 県は、共生社会の実現に向けた施策を講ずるに当たっては、障がい者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

第四条 障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
 一 社会のあらゆる分野における全ての構成員が社会的障壁の除去を実施することにより、障がいを理由とする差別の解消を推進する責務を有するとの認識を踏まえて策定され、及び実施されること。
 二 障がいを理由とする差別の多くが障がい者に対する理解(障がい者に対する肯定的認識を含む。以下同じ。)及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解が十分でないことに起因することを踏まえ、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深める施策と一体的に、策定され、及び実施されること。
 三 社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うためには、現に社会的障壁の除去を必要としている障がい者との対話を通じてその意思の確認が行われることが重要であるとの認識を踏まえて策定され、及び実施されること。
 四 障がい者が障がいを理由とする差別に加え、性別、年齢その他の障がい以外の要因に基づく差別を受ける状況があることに鑑み、障がい以外の要因に基づく差別の解消を図るための施策との密接な連携の下に、策定され、及び実施されること。
2 障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者基本法その他の関係法令に基づく施策と一体のものとして総合的に、策定され、及び実施されなければならない。
 【趣旨】
 条例では、基本理念を「共生社会の実現に関する理念」(第3条)と「施策の基本方針」(第4条)とで構成しています。また、「施策の基本方針」では、①障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策の理念、②障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策の理念に分けて規定しています。これらの構成を図示すると、次のようになります。

【解説】
〔第3条第1項関係〕
1 「全ての障がい者が、障がい者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ」
 この文言は、障害者基本法の文言を採用したものです。
 「個人としての尊厳の尊重」などは、障害者権利条約においても明らかにされた「障害者を保護の客体から権利の主体へ」という考え方への転換を示すものであり、この理念は、障害者差別解消法第1条の目的規定においても踏まえられており、条例においても前提とすべき事項であることから、基本理念において、この点を明記しています。
 
2 「障害者基本法第三条各号に掲げる事項を旨として」
 障害者基本法第3条は、共生社会の実現に関し、次のような理念を明らかにしています。
①全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
②全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。
③全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
 ここで明らかにされた、(ア)社会参加の確保、(イ)生活場所の選択機会の確保、(ウ)意思疎通手段の選択の機会の確保・拡大、という3つの理念は、共生社会の実現に関する極めて重要な理念であることから、この条例においても踏まえられるべきものであることを明記しています。

〔第3条第2項関係〕
3 「合理的な配慮は、これが障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることを回避し、障がい者の基本的人権の享有を確保するために行われるものであるとの考え方にのっとり、行われなければならない」
 「合理的な配慮」が「恩恵的に施す」ものというイメージで捉えられるとの意見もあることから、基本理念において「合理的な配慮」を行うに当たっての基本的な考え方として、①差別を回避するための措置であり、②障がい者の基本的人権の享有を確保するための措置であることを明らかにすることで、「恩恵的」に行われるものでないことを明確にしています。
 また、「合理的な配慮」については、障害者権利条約の定義を参考にしつつ、第2条第3号で定義を設けるとともに、前文においても、「合理的な配慮は恩恵的に施されるものではない」ことを明記しており、これらの規定とあわせて「恩恵的」に行われるものではないことをより一層明確にしています。
 
〔第3条第3項関係〕
4 「障がい者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない」
 障がい者に関する施策については、「当事者のことを、当事者抜きに決めない(Nothing About Us Without Us)」との理念に従って策定・実施されることが求められていることから、障がい者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めることとしています。
 
〔第4条第1項第1号関係〕
5 「社会のあらゆる分野における全ての構成員が社会的障壁の除去を実施することにより、障がいを理由とする差別の解消を推進する責務を有するとの認識」
 障がいの「社会モデル」の考え方からは、障がい者差別の解消には、「社会的障壁の除去」という形で社会の側からアプローチを図る必要があるとの理解が導かれることとなります。
 また、「社会的障壁」は、移動の支障となる設備の構造などのハード面だけでなく、障がい者の参加を妨げる慣習や障がい者に対する偏見なども含むとされています。その意味においては、社会的障壁の除去を通じた障がい者差別の解消は、行政機関や事業者だけでなく、社会の構成員全てが関わりを持つ事柄であるといえます。
 このような考え方を踏まえ、条例では、「社会のあらゆる分野における全ての構成員が社会的障壁の除去を実施することにより、障がいを理由とする差別の解消を推進する責務を有するとの認識」を障がいを理由とする差別の解消の推進に関する施策の基本に据えることを明らかにしています。
 
〔第4条第1項第2号関係〕
6 「障がいを理由とする差別の多くが障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解が十分でないことに起因することを踏まえ、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深める施策と一体的に、策定され、及び実施されること」
 障がいを理由とする差別については、一人ひとりの障がいに対する知識の不足、障がい者に対する意識の偏りに起因する面も大きいと指摘されていることから、障がい者に対する理解などを深める施策との一体的な策定・実施の重要性を明らかにしています。
 このようなことから、「障がい者に対する理解」には、障がいについての理解と障がい者が置かれている状況に対する理解の双方を含みます。
 なお、「障がい者に対する肯定的認識」は、障害者権利条約第8条の規定を踏まえています。
 
〔第4条第1項第3号関係〕
7 「社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うためには、現に社会的障壁の除去を必要としている障がい者との対話を通じてその意思の確認が行われることが重要であるとの認識」
 合理的な配慮については、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況等に応じて異なるため、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、代替措置の選択も含め、障がい者と行政機関等・事業者との建設的対話による相互理解を通じて対応されることが望ましいとされています。
 そこで、条例では、建設的対話に基づいて合理的な配慮が行われるべきであることを施策の基本に据えることを明らかにしています。
 
〔第4条第1項第4号関係〕
8 「障がい者が障がいを理由とする差別に加え、性別、年齢その他の障がい以外の要因に基づく差別を受ける状況があることに鑑み、障がい以外の要因に基づく差別の解消を図るための施策との密接な連携の下に、策定され、及び実施されること」
 いわゆる「複合差別」の問題を意識しつつ、差別の解消に取り組むことを明らかにしています。
 「複合差別」とは、障がい者が障がいを理由とする差別のほか、女性差別、年齢による差別、性的指向や人種に基づく差別などに直面することをいい、障がいを理由とする差別の解消を推進するに当たっては、これらの問題にも対応を図ることが必要であると言えます。そこで、条例では、女性差別などを含む複合的な差別にも注意を払い、それらの差別の解消を図る施策と連携させていくことを明らかにしています。

〔第4条第2項関係〕
9 「障害者基本法その他の関係法令に基づく施策と一体のものとして総合的に、策定され、及び実施されなければならない」
 障がい者の自立・社会参加の支援等のための施策については、障害者基本法がその基本部分を定めているほか、他の法令にも関係規定が存在しています。そして、条例による施策は、これらの法令に基づく施策を具体化・補完するものであることから、法令に基づく施策と密接に連携させながら展開していく必要があります。そこで、障害者基本法等に基づく施策と一体のものとして策定・実施することを規定し、相互の連携を明らかにしています。
 
 (県の責務)
第五条 県は、前二条に定める基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 県は、自ら設置し、又は管理する施設における障がい者の利用の円滑化及び障がい者の移動の円滑化を図るための環境の整備を行うものとする。
 【趣旨】
 条例における県の責務として、①基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に実施すること、②自ら設置・管理する施設における障がい者の利用・移動の円滑化を図るための環境の整備を行うことを規定しています。
 
【解説】
〔第1項関係〕
1 「前二条に定める基本理念にのっとり、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に実施するものとする」
 共生社会の実現に向けた施策が基本理念を踏まえて実施されるべきことを明らかにしています。
 
〔第2項関係〕
2 「自ら設置し、又は管理する施設における障がい者の利用の円滑化及び障がい者の移動の円滑化を図るための環境の整備を行うものとする」
 県有施設や県内観光地施設の円滑な利用、避難所への避難の安全性確保などの環境の整備を行うべきことを明らかにしています。施設の利用の円滑化や移動の円滑化については、ユニバーサルデザインのまちづくり条例などに基づく施策の実施を通じて推進することが想定されます。
 
 (国等との連携協力)
第六条 県は、共生社会の実現に向けた施策の策定及び実施に当たっては、国、市町、関係機関、関係団体、事業者その他の関係者と連携し、及び協力するよう努めるものとする。
 【趣旨】
 共生社会の実現に向けた施策の策定・実施に当たっては、国、市町、関係機関、関係団体、事業者などとの連携協力を図ることが重要であることから、国等との連携協力について規定しています。
 
【解説】
 「関係機関、関係団体その他の関係者」については、行政機関のほか、障がい者施設、社会福祉協議会など、障がい者の支援等に携わる民間事業者、障がい当事者の団体などが想定されます。
 
 (事業者の役割)
第七条 事業者は、県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、その事業活動を行うに当たっては、共生社会の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。
【趣旨】
 事業者の役割として、①県の施策への協力に努めること、②事業活動を行うに当たって、共生社会の実現に主体的に取り組むよう努めることを規定しています。
 
【解説】
 事業者については、障がいを理由とする差別が禁止されており、差別の解消に必要な措置を講ずることが求められています。他方で、共生社会を実現していくためには、事業者においても、障がい当事者の日常生活や社会生活を支えていくことについて、積極的な役割を果たすことも期待されるところです。
 こうしたことから、事業者の役割として、県の施策への協力に努めることと事業活動を行うに当たって、共生社会の実現に主体的に取り組むよう努めることを規定しています。
 なお、差別の解消に必要な措置を実施することは、差別の禁止規定から当然に導かれるため、「共生社会の実現に主体的に取り組む」ことに含むものと整理しています。
 
 (県民の役割)
第八条 県民は、共生社会を実現する上で障がいを理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めるものとする。
2 県民は、県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、障がい者の意思を尊重しつつ、障がい者の自立及び社会参加への支援を主体的に行い、共生社会の実現に寄与するよう努めるものとする。
 【趣旨】
 「共生社会の実現」に当たっては、県民の理解と協力も重要であることから、県民の役割として、①障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めること、②共生社会の実現に向けた施策への協力・障がい者の自立及び社会参加への主体的な支援を行い、共生社会の実現に寄与するよう努めることを規定しています。
 
【解説】
〔第1項関係〕
1 「共生社会を実現する上で障がいを理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めるものとする」
 障がい者差別の解消が、障がい者に対する理解や社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深める施策と一体的に行われるべきとする基本理念を踏まえつつ、障がい者に対する理解や社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めることを県民の役割としています。
 
〔第2項関係〕
2 「県が実施する共生社会の実現に向けた施策に協力するよう努めるとともに、障がい者の意思を尊重しつつ、障がい者の自立及び社会参加への支援を主体的に行い、共生社会の実現に寄与するよう努めるものとする」
 県が実施する施策への協力、障がい者の意思の尊重に基づいた障がい者の自立・社会参加への主体的な支援を県民の役割としています。
 「自立・社会参加への主体的な支援」は、声掛けによる補助などが典型的なものと言えます。「障がい者の意思の尊重」は、障がい当事者が望んでいないことを「支援」のつもりで行ってしまう事例があることを踏まえています。
 
 (障害者計画の策定に関する基本方針)
第九条 県は、障がい者に関する施策の総合的かつ計画的な推進が図られるよう、障害者基本法、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号)その他の関係法令の理念を踏まえ、障害者基本法第十一条第二項の規定による障害者計画(第三十二条第一項において「障害者計画」という。)を策定するものとする。
【趣旨】
 障害者計画の策定に関する基本方針を定めるものです。
 障害者計画は、県における障がい者施策の総合計画としての側面を有することに鑑み、計画の策定に当たっては、障害者基本法をはじめ、障害者差別解消法や障害者虐待防止法などの関係法令の理念を踏まえて策定するものとしています。
 
【解説】
 障害者計画は障害者基本法に基づいて策定するものであり、その他の障がい者施策に関する法律に基づく取組を全て盛り込むことまでは求められていません。しかし、現状においても、本県における障害者計画では、障害者基本法だけでなく、障害者虐待防止法や障害者雇用促進法などの法令に基づく取組を含めて策定されているところであり、障害者計画は、県における障がい者施策の総合計画としての側面を有しています。
 こうした状況を条例において明文化するために、障害者計画の策定に関する基本方針を定めています。

   第二章 障がいを理由とする差別を解消するための措置
 (行政機関等における障がいを理由とする差別の禁止)
第十条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施を怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的な配慮をしなければならない。

 (事業者における障がいを理由とする差別の禁止)
第十一条 事業者は、その事業を行うに当たり、障がいを理由として障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施を怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的な配慮をするように努めなければならない。
 【趣旨】
 行政機関等と事業者における障がいを理由とする差別の禁止を定めるものです。
 
【解説】
1 この条例における差別の禁止(差別的取扱いの禁止・合理的な配慮の提供)については、障害者差別解消法の規定を基本としています。
 
2 障害者差別解消法における「不当な差別的取扱い」についての基本的な考え方は、下記のとおりとされており、条例においても同様の考え方に立っています。
 
 【基本的な考え方】
  ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。
    なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。
  イ したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」3-4頁
 
 なお、条例においては、どのような行為が「不当な差別的取扱い」等に当たるのかを県民や事業者に分かりやすく伝えるために、障がい者の日常生活及び社会生活に関する分野ごとに、「不当な差別的取扱い」と「合理的な配慮」の事例の具体化を図ることとしています(第13条)。
 
3 合理的な配慮の提供に関しては、障害者差別解消法と同様に、「実施に伴う負担が過重でないとき」という要件を付しています。この点の考え方については、下記のとおりとされており、条例においても同様の考え方に立っています。
 
 【基本的な考え方】
 過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
 ○事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
 ○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
 ○費用・負担の程度
 ○事務・事業規模
 ○財政・財務状況
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」6頁
 
  なお、「過重な負担」については、条例の基本理念において、障がい当事者との建設的対話に基づいて合理的な配慮が行われるべきであることを規定(第4条第1項第3号)していることも踏まえて、個々の事案に応じて判断されることが想定されます。
また、条例においては、次の表のとおり、障害者差別解消法の文言から変更をすることで、「合理的な配慮」の提供が、差別の禁止と表裏の関係にあり、差別的な扱いをすることを回避するための措置にほかならないという趣旨をより明確に表現しています。

【変更箇所】(変更箇所は、太字)
条例(第10条第2項) 障害者差別解消法(第7条第2項)
行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施を怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について合理的な配慮をしなければならない。 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
※事業者の合理的配慮についても同じ。
 
 (県等の地方公共団体等職員対応要領)
第十二条 県(地方公営企業法第三章の規定の適用を受ける県の経営する企業を除く。)の機関及び地方独立行政法人(県が設立したものに限る。第十九条第四項において同じ。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第十条第一項に規定する地方公共団体等職員対応要領を定めるものとする。
 【趣旨】
 県の機関及び県が設立した地方独立行政法人に、障害者差別解消法に規定する地方公共団体等職員対応要領の作成を義務付けるものです。
 地方公共団体等職員対応要領は、障害者差別解消法において、行政機関等での差別の解消を実効的にするための措置の一つとして定められているものです。地方公共団体と地方独立行政法人は、作成が努力義務とされているため、この条例では、それを義務化しています。
 
 (不当な差別的取扱い等の事例の具体化)
第十三条 県は、不当な差別的取扱いをすることによる障がい者の権利利益の侵害の防止等及び社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うことに資するため、障害福祉サービスの提供その他の障がい者の日常生活及び社会生活に関する分野ごとに不当な差別的取扱い及び社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮の事例の具体化を図る措置を講ずるものとする。
 【趣旨】
 不当な差別的取扱い等の事例の具体化を図る措置を定めるものです。
 不当な差別的取扱いについては、「何が差別に当たるのかが分かりにくい」との指摘があり、典型的な事例を条文で規定することも考えられます。一方で、典型的な事例を条文で規定した場合、それが社会情勢の変化によって典型的なものでなくなる場合があるほか、規定した事例以外のものに目が向けにくくなるなどの課題が考えられます。
 そのため、この条例では、県において事例の具体化を図ることにより、相談事例等を踏まえて柔軟に対応することとしています。
 
 (社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮に関する環境の整備)
第十四条 行政機関等及び事業者は、障がい者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があるか否かにかかわらず、社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めるものとする。
 【趣旨】
 いわゆる「事前的改善措置」について定めるものです。
 「事前的改善措置」は、障害者差別解消法第5条において定められているもので、不特定の障がい者を対象に行われるものが想定されている点において、「合理的な配慮」とは異なる位置付けがなされています。この条例における「事前的改善措置」は、同法と同じ趣旨を定めたものです。
 この条例と障害者差別解消法との違いは、「意思の表明があるか否かにかかわらず」との文言を付加している点で、障がい者からの求めがある前に、積極的な改善に努めていくべきものであることを明確にしています。
 
【解説】
 「環境の整備」とは、例示している「施設の構造の改善」や「関係職員に対する研修」のほか、「施設利用者への啓発」を行うことなどが想定されます。
 
 (事業者への支援)
第十五条 県は、事業者に対し、社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うための情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を実施するよう努めるものとする。
【趣旨】
 合理的な配慮に関する事業者への支援を定めるものです。
 この条例では、事業者による合理的な配慮について、障害者差別解消法と同じく、努力義務としていますが、事業者の努力に委ねるだけではなく、合理的な配慮を提供しやすい環境づくりを県において進めていくことが重要であるといえます。そこで、合理的な配慮に関する事業者への支援について規定しています。
 事業者への支援については、情報の提供などのほか、経済的な支援も含みます。

   第三章 障がいを理由とする差別を解消するための体制の整備
    第一節 相談体制
 (相談)
第十六条 県は、障がい者、障がい者の家族、事業者その他の関係者からの第十条及び第十一条に規定する障がいを理由とする差別(以下「差別事案」という。)に関する相談に応じなければならない。
2 県は、差別事案に関する相談があったときは、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 市町その他の関係行政機関と連携して、必要な助言、調査及び関係者間の調整を行うこと。
 二 関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。
3 県は、前項の業務のほか、市町において応じた障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第十四条に規定する障害を理由とする差別に関する相談に係る事案の解決を支援するため、必要な助言を行うものとする。
4 県は、第二項の業務を行うに当たり、差別事案以外の事案に関する相談を受けた場合において、当該事案が障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律第二条第二項に規定する障害者虐待、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第三十五条に規定する不当な差別的取扱いその他の障がい者の権利利益を侵害するもの(次条第四項において「障がい者の権利利益を侵害するもの」という。)であると認められるときは、障がい者の権利利益の保護が適切に行われるよう、関係行政機関への通告、通報その他の必要な対応を図るものとする。

 (県における相談員の設置)
第十七条 県に、障がい者、障がい者の家族、事業者その他の関係者からの差別事案に関する相談に応じる者として、相談員を置く。
2 相談員は、障がいを理由とする差別の解消に関する知識経験を有する者のうちから、知事が任命する。
3 相談員は、前条第二項及び第三項の業務を行うものとする。
4 相談員は、前条第二項の業務を行うに当たり、差別事案以外の事案に関する相談を受けた場合において、当該事案が障がい者の権利利益を侵害するものであると認められるときは、障がい者の権利利益の保護が適切に行われるよう、関係行政機関への通告、通報その他の必要な対応を図るものとする。
5 相談員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
6 県は、第三項の業務を円滑かつ効果的に行うために必要な人員を確保するとともに、相談員に対し、同項の業務の遂行に必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。
【趣旨】
 差別事案に関する相談体制について定めるものです。
 この条例では、県の担当部局での対応を位置付けるとともに、相談員の設置(相談員が行う業務を含む。)について規定しています。
 
【解説】
1 相談体制の概要
(1)担当部局の相談窓口について
 ①相談ができる者と対象事案
  (ア)障がい者、障がい者の家族、事業者その他の関係者
  (イ)条例に規定する差別事案(不当な差別的取扱い・合理的な配慮の不提供)
 ②県の業務
  (ア)市町その他の関係行政機関と連携して、必要な助言、調査及び差別事案に関する関係者間の調整を行うこと。
  (イ)関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。
  (ウ)障害者差別解消法に基づいて市町が応じた障害を理由とする差別に関する相談に係る事案の解決を支援するための助言
※相談業務を行うに当たり、差別事案以外の事案に関する相談を受けた場合において、当該事案が障害者虐待、雇用における不当な差別的取扱いその他の障がい者の権利利益を侵害するものであると認められるときは、関係行政機関への通告、通報その他の必要な対応を図ることとしています。
 
(2)相談員について
 ①相談ができる者と対象事案
  担当部局の相談窓口と同じ。
 ②資格
  障がいを理由とする差別の解消に関する知識経験を有する者のうちから任命
 ③相談員の業務
  担当部局の相談窓口と同じ。
※相談業務を行うに当たり、差別事案以外の事案に関する相談を受けた場合において、当該事案が障害者虐待、雇用における不当な差別的取扱いその他の障がい者の権利利益を侵害するものであると認められるときは、関係行政機関への通告、通報その他の必要な対応を図ることとしています。
 ④守秘義務
  相談員が非正規の場合を想定し、守秘義務に関し規定しています。
 ⑤相談員の研修
  県は、③の業務を円滑かつ効果的に行うために必要な人員を確保するとともに、相談員に対し、③の業務の遂行に必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うこととしています。
 
〔第16条第1項・第17条第1項関係〕
2 相談を行うことができる者について
 相談を行うことができる者については、(1)障がい者、(2)障がい者の家族、(3)事業者、(4)その他の関係者、としています。
 「その他の関係者」としては、障がい者の介助等を行う支援者などが想定されるほか、行政機関等も含みます。
 
〔第16条第4項・第17条第4項関係〕
3 「差別事案」以外の事案に関する相談への対応について
 相談窓口等には、条例上の差別事案以外のもの(虐待や雇用差別などのほか、県民による差別的対応など)について相談が寄せられることも考えられます。障がい者の権利擁護の観点から見た場合、そのような事案についても、関係行政機関を紹介し、当該機関での解決に結びつけていくことが望ましいといえます。
 そこで、条例では、障がい者虐待、雇用差別など、障がい者の権利利益を侵害する事案の相談が寄せられたときは、関係行政機関につなぐ役割を果たすことを規定しています。
 関係行政機関につなぐ際には、「たらい回し」にならないよう、つなぐ先の関係行政機関が事案の解決に適しているかを確認するなどの対応を図ることが求められます。
 
〔第17条第2項・第17条第6項関係〕
4 相談員について
 相談員については、「障がいを理由とする差別の解消に関する知識経験を有する者」から任命することとしており、市町で身体障害者相談員や知的障害者相談員を務めた経験を有する者などが想定されます。また、障がいのある女性が相談しやすい体制を整備することも重要であり、こうした対応を図ることができる者を相談員とするなどの配慮がなされる必要があります。
 相談員については、多種多様な事案に当たることが想定されるため、スキルアップについても担保しておくことが望ましく、相談業務を遂行するために必要な知識の習得等のための研修の実施を規定しています。
 また、条例では、相談員を設置し、相談に応じることとしていますが、相談員が従事する業務は、助言・あっせんの手続の対象事案を振り分ける機能も有していることから、それが効果的に行われるようにするには、一定の人員が確保されることが望ましいと考えられます。そこで、相談体制が十分に機能し得る人員が確保されるよう、「業務を円滑かつ効果的に行うために必要な人員を確保する」旨を規定しています。

    第二節 紛争の解決を図るための体制
 (助言及びあっせんの申立て)
第十八条 障がい者、障がい者の家族、事業者その他の関係者は、前二条の規定による相談を経ても差別事案の解決が期待できないと認められるときは、知事に対し、当該差別事案を解決するために必要な助言又はあっせんを行うべき旨の申立てをすることができる。
2 障がい者の家族その他の関係者は、障がい者の意思に反して前項の申立てをすることができない。
3 第一項の申立ては、行為の日(継続する行為にあっては、その行為の終了した日)から三年を経過した差別事案に係るものであるときは、することができない。
 【趣旨】
 差別事案の紛争解決(助言・あっせん)の申立てについて定めるものです。
 
【解説】
〔第1項・第2項関係〕
1 助言・あっせんの申立てができる者について
 助言・あっせんの申立てを行うことができる者は、差別事案を相談することができる者と同じで、(1)障がい者、(2)障がい者の家族、(3)事業者、(4)その他の関係者、としています。
 「その他の関係者」としては、障がい者の介助等を行う支援者などが想定されるほか、行政機関等も含みます。
 なお、「障がい者の家族その他の関係者は、障がい者の意思に反して申立てをすることができない」としていますが、「障がい者の意思に反して」については、障がい当事者が助言・あっせんの手続による解決を望まないことを明示している場合を想定しています。障がいの種別や程度によっては、障がい当事者による意思の表明が容易でない場合も考えられ、申立てが不当に制約されないよう、障がい当事者の意思の確認は慎重になされる必要があります。そのため、この要件は、いわゆる「消極要件」として、障がい当事者が助言・あっせんの手続による解決を望まないことを表明している事情が客観的に明らかである場合に限定して運用されることが望ましいと考えられます。
 また、上記の趣旨から、「障がい者の家族その他の関係者」には、事業者などは含まれないと解されます。
 
〔第1項・第3項関係〕
2 助言・あっせんの対象事案について
 助言・あっせんの対象となる事案は、第16条又は第17条の規定による相談を経ても解決が難しい差別事案としています。助言・あっせんは、第三者機関が関与するものであり、相談員による調整などによる解決が容易な事案を対象にすることは、かえって解決に時間を要するなどの問題が生じることがあります。そこで、県の相談体制での相談を経ても解決が難しい差別事案を対象としています。
 また、事案の発生から長期間経過すると、事実の確認などが困難になることもあるため、助言・あっせんの申立ての対象となる事案については、行為の日から3年以内のものとしています。
 
 (助言及びあっせん)
第十九条 知事は、前条第一項の申立てがあったときは、助言又はあっせんを行うものとする。ただし、助言又はあっせんを行うことが適当でないと認められるときは、この限りでない。
2 知事は、前条第一項の申立てがあったときは、当該申立てに係る差別事案の事実関係について調査を行うことができる。この場合において、当該申立てをした者(第二十三条及び第二十四条第六項において「申立人」という。)、相手方その他の関係人は、正当な理由がある場合を除き、これに協力しなければならない。
3 知事は、助言又はあっせんを行うに当たり必要があると認めるときは、三重県障がい者差別解消調整委員会の意見を聴くものとする。
4 助言又はあっせんの対象となる差別事案の当事者が県又は地方独立行政法人であるときは、前項の規定にかかわらず、知事は、助言又はあっせんを行うに当たり、三重県障がい者差別解消調整委員会の意見を聴くものとする。
5 知事は、あっせんによっては前条第一項の申立てに係る差別事案の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
 【趣旨】
 助言・あっせんの手続について定めるものです。
 
【解説】
〔第1項関係〕
1 「ただし、助言又はあっせんを行うことが適当でないと認められるときは、この限りでない」
 「助言又はあっせんを行うことが適当でない」については、個々の事案に応じて判断がされますが、例えば、
 ①申立てのあった事案が明らかに差別事案に該当しない場合
 ②申立ての時点で、相談員等による対応(助言、調整など)が十分尽くされていない場合
 ③当事者間の感情的対立が激しく、相手方当事者の参加が当初から期待できない状況にある場合
 ④知事が申立てのあった事案の事実関係を調査しても、事実関係の解明が難しい場合
などが考えられます。
 
〔第2項関係〕
2 知事による事実関係の調査について
 助言・あっせんを行うに当たっては、事実関係の解明が必要となるため、知事において、事実関係の基礎調査を行うことができるようにしています。
 また、事実関係の調査については、関係人の協力義務を定めています。「関係人」という文言を使用しているのは、当事者のほか、従業者などを含める趣旨であり、例えば、事業者による差別事案の場合に、従業者への聴き取りを行うことなどが想定されます。
 
〔第3項・第4項関係〕
3 第三者機関(障がい者差別解消調整委員会)への諮問について
 助言・あっせんについては、知事が実施することとしていますが、第三者機関(三重県障がい者差別解消調整委員会)の意見を聴く(諮問する)仕組みを採用しています。これにより、知事による助言・あっせんの手続の公正中立性を担保しています。
 なお、差別事案の当事者が県や県が設立した地方独立行政法人であるときは、三重県障がい者差別解消調整委員会への諮問を義務付けています。
 
〔第5項関係〕
4 あっせんの打ち切りについて
 あっせんについては、当事者双方の協力が必要な手続であり、これによる解決の見込みがないときは、その手続を継続することが困難となります。そこで、条例では、あっせんの打切りについて規定しています。
 「差別事案の解決の見込みがない」という要件については、個々の事案に応じて判断がされますが、例えば、
  ①申立人の相手方が、あっせんの手続に参加する意思がない旨を表明したとき。
  ②当事者の一方又は双方があっせんの打切りを申し出たとき。
  ③当事者の双方があっせん案を受諾しないとき。
などが考えられます。
 
 (三重県障がい者差別解消支援協議会に対する報告)
第二十条 知事は、助言又はあっせんを行った結果明らかになった課題があると認めるとき又は次項の規定により三重県障がい者差別解消調整委員会から報告を受けたときは、当該課題又は報告について三重県障がい者差別解消支援協議会に報告するものとする。
2 三重県障がい者差別解消調整委員会は、前条第三項及び第四項の規定に基づく知事の諮問に応じて調査審議を行った結果明らかになった課題があると認めるときは、当該課題について知事に報告するものとする。
 【趣旨】
 三重県障がい者差別解消支援協議会に対する報告について定めるものです。
 知事が助言・あっせんを実施する際、事案の解決に関して課題(事業者の財政事情等により、合理的な配慮として対応できることに限界があるなど)の存在が明らかになることもあると考えられます。このような課題については、三重県障がい者差別解消支援協議会でその方策を検討することとしていることから、その課題を同協議会が把握できるよう、知事が、同協議会への課題の報告を行う旨を規定しています。
 また、上記のような課題は、諮問に応じる三重県障がい者差別解消調整委員会においても把握することが考えられるため、同委員会から知事に報告する旨を規定しています。
 
 (勧告)
第二十一条 知事は、助言又はあっせんを行った場合において、差別事案に該当する行為をしたと認められる者が、正当な理由なく当該助言又はあっせんに従わないときは、当該者に対して、必要な措置をとるよう勧告することができる。
 【趣旨】
 助言・あっせんに関する勧告について定めるものです。
 助言・あっせんは、当事者間での自主的な問題解決を援助するためのものであり、助言・あっせんに従うかどうかは、当事者に委ねられています。しかしながら、助言・あっせんに従わないことに正当な理由があると認められないような場合に、何らの措置も行わないこととすると、助言・あっせんの実効性が担保されず、当該手続の意義が損なわれるおそれがあります。
 そこで、正当な理由がないと認められる場合には、差別をしたとされる当事者に助言・あっせんに従うよう勧告し、問題解決のための行動を促すこととしています。
 
 (意見の聴取)
第二十二条 知事は、前条の規定による勧告をする場合には、あらかじめ、期日、場所及び事案の内容を示して、勧告の対象となる者又はその代理人の出頭を求めて、意見の聴取を行わなければならない。ただし、これらの者が正当な理由なく意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで勧告することができる。
 【趣旨】
 勧告を行う前の意見の聴取について定めるものです。
 勧告は、法的な拘束力のないものですが、事業者等の活動に事実上の影響を与えることも考えられることから、手続の適正を担保するため、意見聴取の手続を規定しています。
 
 (助言及びあっせんの状況の公表)
第二十三条 知事は、差別事案の発生の防止又は差別事案が発生した場合における当該差別事案の解決に資するため、助言又はあっせんを行った場合において、申立人、相手方その他の関係人の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。
 【趣旨】
 知事が実施した助言・あっせんの状況の公表について定めるものです。
 助言・あっせんについては、知事が当事者双方の言い分を聞き、三重県障がい者差別解消調整委員会の答申を踏まえるなどしながら行うものであり、どのような行為が差別的取扱いや合理的な配慮の不提供として問題になるのか、また、それらに対してどのような解決策を与えることが望ましいのかについて有力な指針を提供するものと言えます。
 そこで、他の差別事案の発生防止や他の差別事案が発生した場合の自主的解決の基準の形成に資するよう、助言・あっせんの状況を公表することができることとしています。
 
 (三重県障がい者差別解消調整委員会)
第二十四条 第十九条第三項及び第四項の規定に基づく知事の諮問に応じて調査審議を行わせるため、知事の附属機関として、三重県障がい者差別解消調整委員会(以下「調整委員会」という。)を置く。
2 調整委員会は、委員十人以内で組織する。
3 委員は、関係行政機関の職員、学識経験のある者、障がい者、障がい者の福祉に関する事業に従事する者、事業者その他知事が必要と認める者のうちから知事が任命する。
4 前項の規定による委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
6 調整委員会は、調査審議を行うために必要があると認めるときは、申立人、相手方その他の関係人に対し、その出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
7 前各項に定めるもののほか、調整委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
【趣旨】
 三重県障がい者差別解消調整委員会の組織について定めるものです。
 紛争解決を図る体制については、①知事が、必要に応じて第三者機関に諮問しながら助言・あっせんを行うこととし、②諮問を受ける第三者機関として、障がい者差別解消調整委員会を新たに設けることとしています。
 障がい者差別解消調整委員会は、「調停、審査、諮問又は調査のための機関(地方自治法第138条の4第3項)」の性質を有することから、この条例において「知事の附属機関」として設置することとしています。
 障がい者差別解消調整委員会の委員については、様々な立場の意見を反映することができるよう、有識者のほか、障がい当事者や障がい福祉に従事する者、事業者など、様々な立場の人が任命されるようにしています。その他には、教育関係者や労働者の代表などが想定されます。

   第四章 障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策
 (障害福祉サービス事業に従事する人材の育成の支援)
第二十五条 県は、障害福祉サービス事業を行う者が障害福祉サービス事業の円滑な実施を図ることに資するため、障害福祉サービス事業に従事する人材の育成のために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 【趣旨】
 障害福祉サービス事業に従事する人材の育成の支援について定めるものです。
 障がい者が安心して暮らすことができる社会を実現するに当たっては、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、施設入所支援などの障害福祉サービス事業に従事する者が重要な役割を担うこととなります。しかしながら、現状においては、障害福祉サービス事業に従事する者が十分に確保されておらず、その充実を図る取組が求められています。そこで、人材の育成のための取組について、条例で規定しています。
 
 (教育)
第二十六条 県は、障がいの有無にかかわらず児童及び生徒が共に教育を受けられるようにするために必要な施策を積極的に推進するとともに、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解を深めるための教育を推進するものとする。
2 県は、前項の施策を推進するため、障がい者である児童及び生徒が在籍する学校の設置者及び当該学校、当該児童及び生徒の保護者、地域住民その他の関係者間における連携が図られるよう必要な措置を講ずるものとする。
 【趣旨】
 障がい者である児童・生徒に対する教育について定めるものです。
 
【解説】
 第1項の「障がいの有無にかかわらず児童及び生徒が共に教育を受けられるようにするために必要な施策を積極的に推進する」とは、いわゆる「インクルーシブ教育の推進」をいいます。これには、「特別支援学校等に在籍する児童と当該児童が居住する地域の学校との交流・共同学習」の推進も含まれます。
 第2項では、第1項の施策を推進するために、関係者間の連携が図られるよう必要な措置を講ずる旨を規定しており、「関係者」の例示として、「障がい者である児童・生徒が在籍する学校等 」、「当該児童・生徒の保護者」、「地域住民」を挙げています。
 「その他の関係者」には、「障がい者である児童・生徒が居住する地域の学校」、「特別支援学校等の存する地域の近隣の学校」や「障がい者である児童・生徒の保護者以外の保護者」など、第1項の施策を推進するために必要な関係者が広く含まれます。
 
 (就労の支援に係る情報の共有等)
第二十七条 県は、障がい者の就労の機会の確保及び拡大並びに就労の継続を図るため、関係機関、事業主その他の関係者と緊密に連携して障がい者の就労に関する情報の共有及びその適切な活用を図るものとする。
 【趣旨】
 就労の支援に係る情報の共有等について定めるものです。
 就労の機会の確保に加えて、就労の機会の拡大や就労の継続について関係者間の緊密な連携による情報の共有等を図ることとしています。
 
【解説】
 「就労」とは、雇用契約のある「就業」のみならず、雇用契約のない作業所での労務(福祉的就労)を含むものです。
 「関係機関」とは、行政機関や障がい者施設が想定され、「その他の関係者」とは、社会福祉協議会など障がい者の支援等に携わる民間事業者、障がい者団体、労働者団体などが想定されます。
 
 (情報の利用におけるバリアフリー化等)
第二十八条 県は、障がい者が県政に関する情報を円滑に取得し、及び県に対してその意思を表示することができるよう、点字、要約筆記その他の意思疎通のための手段による情報の発信等に努めるものとする。
2 県は、県政に関する情報をインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて提供する場合において、障がい者が当該情報を支障なく利用することができるよう、平易な表現を用いることその他の措置を講ずるものとする。
3 県は、障がい者に対し、点字、要約筆記その他の意思疎通のための手段による情報の提供等が切れ目なく行われるようにするため、障がい者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
4 手話による情報の発信等及び手話通訳を行う人材の育成等については、三重県手話言語条例(平成二十八年三重県条例第五十号)の定めるところによる。
 【趣旨】
 「情報の利用におけるバリアフリー化等」(いわゆる情報保障)について、次のことを規定しています。
 ①県政に関する情報の円滑な取得と意思表示ができるよう、意思疎通のための手段による情報の発信等に努めるものとすること。
 ②県政に関する情報をインターネット等により提供する場合において、平易な表現を用いることなどの措置を講ずるものとすること。
 ③障がい者の意思疎通を仲介する者の養成・派遣等が図られるよう、必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
 
【解説】
 「その他の意思疎通のための手段」とは、遠隔通訳サービスや音声認識ソフトなどの活用が想定されます。
 
 (災害時等における支援)
第二十九条 県は、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十九条の七第一項に規定する指定避難所(次項において「指定避難所」という。)において、障がい者の円滑な利用の確保、障がい者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制の整備その他の障がい者の良好な生活環境の確保に資する措置が講ぜられるよう、市町に対する情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を実施するよう努めるものとする。
2 県は、災害その他非常の事態の場合に、障がい者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられ、及び指定避難所、災害対策基本法第四十九条の四第一項に規定する指定緊急避難場所その他適切な避難場所への障がい者の避難が適切に行われるよう、市町に対する情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を実施するよう努めるものとする。
 【趣旨】
 東日本大震災では、障がい者の犠牲者の割合について、被災住民全体のそれと比較して2倍程度に上ったと言われており、災害その他の非常事態が発生した場合に、障がい者が取り残されることを防止することが重要な課題となっています。
 また、障がい者など特別な配慮が求められる方々が、必ずしも生活環境が十分に整備されたとはいえない避難所で、長く生活することを余儀なくされた結果として、健康を害するといった事態も見られるところです。
 そのような状況を踏まえ、災害時その他の非常事態における対応について、次のことを規定しています。
 ①指定避難所において、障がい者の良好な生活環境の確保のために、市町に対する情報の提供などの支援を実施するよう努めるものとすること。
 ②災害等の場合に、障がい者の避難が適切に行われるよう、市町に対する情報の提供などの支援を実施するよう努めるものとすること。
 
【解説】
 第2項の「適切な避難場所への障がい者の避難」が行われるためには、市町における避難行動要支援者名簿の作成や利活用が適切に行われることが重要であると考えられます。
 本項に基づく市町への助言等を通じて、市町における避難行動要支援者名簿の作成等の推進が図られることが期待されます。
 
 (選挙等における投票の支援)
第三十条 県は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第四十七条に規定する点字投票その他の選挙人による投票を支援する制度の周知その他の障がい者が円滑に投票できるようにするための取組を推進するため、市町に対する情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を実施するよう努めるものとする。
 【趣旨】
 選挙等における投票の支援について定めるものです。
 この条例では、点字投票等の制度の周知をはじめ、障がい者が円滑に投票できるようにするための取組を推進する旨規定しています。
 
【解説】
 「選挙人による投票を支援する制度」とは、「点字投票」のほか、「代理投票」、「郵便等による不在者投票」が想定されます。
 また、「障がい者が円滑に投票できるようにするための取組」とは、「投票所への移動支援」や「移動投票所」などの取組が想定されます。
 
 (啓発活動)
第三十一条 県は、不当な差別的取扱いをすることによる障がい者の権利利益の侵害の防止等及び社会的障壁の除去の実施についての合理的な配慮を的確に行うことに資するための措置に関する広報その他の啓発活動を行うものとする。
2 県は、障がい者が基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することについての理解を深め、その権利を行使するために必要な知識を習得することができるようにするための啓発活動を行うものとする。
3 県は、障がい者に対する理解及び社会的障壁の除去の重要性に対する理解が深められるよう、障がい者への対応の仕方の分かりやすい説明、社会的障壁の除去の重要性に関する意識の啓発その他の啓発活動を行うものとする。
4 県は、県民による障がい者の自立及び社会参加への主体的な支援が円滑になされるよう、当該支援の重要性に関する意識の啓発、障がい者の自立及び社会参加を促進するための取組及び制度の周知その他の啓発活動を行うものとする。
【趣旨】
 差別の解消を図る上で、啓発活動が重要となります。しかしながら、啓発活動が十分な効果を上げていない、障がい者に対する理解や社会的障壁の除去の重要性に対する理解が十分でない状況があります。そこで、啓発活動について、次のことを規定しています。
 ①差別的取扱いの防止等や合理的な配慮を的確に行うことに資するための措置に関する広報などを行うものとすること。
 ②障がい者が自らの権利についての理解を深め、その権利を行使するために必要な知識を習得することができるようにするための啓発を行うものとすること。
 ③障がい者への対応の仕方の分かりやすい説明、社会的障壁の除去の重要性に関する意識の啓発など行うものとすること。
 ④県民による主体的な支援の重要性に関する意識の啓発や障がい者の自立及び社会参加を促進するための取組や制度の周知を行うものとすること。
 
【解説】
 第4項の「当該支援の重要性に関する意識の啓発」を通じて、障がい者の困難を自らの問題として認識し、心のバリアを取り除き、主体的に支援を行うという、いわゆる「心のバリアフリー」の醸成が図られることが期待されます。
 また、「障がい者の自立及び社会参加を促進するための取組及び制度」とは、「思いやり駐車場」や「ヘルプマーク」などの取組等が想定されます。

   第五章 共生社会の実現に向けた施策の推進
 (共生社会の実現に向けた施策に関する計画)
第三十二条 県は、障害者計画において、共生社会の実現に向けた施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。
2 知事は、前項の施策について定めようとするときは、あらかじめ、三重県障害者施策推進協議会の意見を聴かなければならない。
3 前項の規定は、第一項に規定する施策の変更について準用する。
 【趣旨】
 障害者基本法では、都道府県は障害者計画を定めることとしており、障がい者に関する施策は障害者計画に基づいて実施されます。
 この条例の施策は、障害者基本法その他の関係法令と相まって施策を展開するものであることから、障害者基本法などに基づく施策と条例の施策とを一体的に運用していくことが望ましく、そのような観点から、条例の施策を障害者計画に定め、施策の一体性を担保しています。
 また、障害者計画は、三重県障害者施策推進協議会の意見を聴いて策定され、その実施状況が同協議会によって監視・評価されることになっているため、障害者計画に条例の施策を定めることで、三重県障害者施策推進協議会による施策の推進体制を確保することができます。
 
 (三重県障がい者差別解消支援協議会)
第三十三条 障がいを理由とする差別を解消するための取組を推進するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第十七条第一項の規定に基づき、三重県障がい者差別解消支援協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
2 委員は、関係行政機関の職員、学識経験のある者、障がい者、障がい者の福祉に関する事業に従事する者、事業者その他知事が必要と認める者のうちから知事が任命する。
3 協議会は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第十八条第一項に規定するもののほか、同項に規定する事項の処理の結果明らかになった課題及び第二十条第一項の規定により知事から報告を受けた課題を解決するための方策について調査研究を行うものとする。
4 協議会は、差別事案に関する相談並びに助言及びあっせんに係る事例を踏まえた障がいを理由とする差別を解消するための取組を推進するため、障がい者その他の関係者及び県民の参加の下に、当該差別事案の処理状況の検証を定期的に行うとともに、その結果について県民に周知するものとする。
5 協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。
【趣旨】
 障害者差別解消法は、地方公共団体等の関係機関は、「障害者差別解消支援地域協議会」を組織することができると規定しています(第17条第1項)。本県では、これに基づき、三重県障がい者差別解消支援協議会を設置しているところです。
 しかし、同法は、「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を任意としていることから、条例で設置を義務化しておくことが効果的と考えられます。
 そこで、条例では、三重県障がい者差別解消支援協議会の設置の義務化について規定しています。
 三重県障がい者差別解消支援協議会は、相談事例の共有等障がい者差別の解消に向けた取組の推進のほか、助言・あっせんの手続で取り扱った紛争などを通じて明らかになった課題(費用の問題により設備の改善までは実現できない状況があるなど)について調査研究を行うこととしています。
 相談体制や紛争解決を図る体制を充実させるなど、障がい者差別の解消に向けた取組を進めるに当たっては、差別事案の相談や助言・あっせんがどのように処理されたかを検証していくことが重要であり、その点を条例で担保すべきであり、また、それらの処理状況の検証が、障がい当事者や県民の参加を含めた多角的な視点で検証されることが望ましいと考えられます。
 そこで、同協議会において、相談等の実施状況の検証やその結果の周知も行うこととしています。

   第六章 雑則
 (財政上の措置)
第三十四条 県は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
 【趣旨】
 条例に基づく施策を推進するに当たっては、一定の財政措置が必要になることから、その点を担保するため、財政上の措置について規定しています。
 
 (規則への委任)
第三十五条 この条例に定めるもののほか、条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
【趣旨】
 条例では、助言・あっせんの手続を定めており、申立ての書式を定めるなどの必要があるため、これらの処理を円滑に行うため、規則への委任について規定しています。

   附 則
 (施行期日)
1 この条例は、平成三十年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第三十二条及び第六章並びに附則第二項の規定 公布の日
 二 第三章(第十六条を除く。)、第四章及び第三十三条並びに附則第三項の規定 平成三十一年四月一日
 【趣旨】
 条例の施行に際しては、県民・事業者に対し、条例の目的、基本理念、施策等の内容を十分に周知しておく必要があります。また、条例で規定するものの中には、相談体制や紛争解決を図る体制など、その準備に一定の期間を要するものがあります。
 そこで、①条例の基本となる部分については、平成30年10月1日から施行、②相談体制など、準備期間が必要なものについては、平成31年4月1日から施行、という考え方で施行期日を整理しています。
 なお、準備のために必要な行為については、公布の日から施行することとしています。
 
 (準備行為)
2 相談員並びに調整委員会及び協議会の委員の選任のために必要な行為、第二十四条第七項の規則の制定その他の準備行為は、附則第一項第二号に掲げる規定の施行の日前においても行うことができる。
 【趣旨】
 条例の施行時に、相談体制や紛争解決を図る体制を速やかに発足させるためには、相談員の任命などを事前に進めておく必要があるため、相談体制等の規定を施行する前から準備作業を行えることとしています。
 
 (助言又はあっせんの申立てに関する期間の特例)
3 この条例の公布の日から平成三十一年三月三十一日までの間に、第十八条第三項に規定する期間が経過することとなる差別事案については、同項の規定にかかわらず、平成三十一年四月一日から起算して六月以内に限り、同条第一項の申立てをすることができる。
【趣旨】
 紛争解決を図る体制については、平成31年4月1日から施行することとしており、その間に申立期間(行為の日から3年)を経過してしまうことが考えられます。そのような場合、申立てができなくなることを当事者の責めに帰すことができないことから、申立期間を延長する措置を講じ、申立権を保障しています。
 具体的には、条例の公布の日から平成31年3月31日までの間に、差別事案が発生した日から3年が経過してしまうものについては、平成31年4月1日から6月以内に限り、助言・あっせんの申立てをすることができることとしています。




 
 (検討)
4 この条例の規定については、この条例の施行後おおむね三年ごとに、この条例の施行の状況、障害者基本法、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律その他の関係法律の見直しの状況等を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
【趣旨】
 障害者基本法、障害者差別解消法その他の関係法律の見直しが、条例の施策に影響を与えることが想定されるため、これらの関係法律の見直しの状況を勘案し、条例の規定について検討を行うことを規定しています。
 見直しの主体については、特定のものを明示せず、知事、議会のどちらが見直しを行ってもよいものとしています。これは、知事が、集積した相談事例、相談体制の運用状況や法律の改正動向を踏まえて見直すことを想定したものです。
 また、見直しの時期については、障害者計画が3年ごとに改定されることを踏まえ、3年を目安としています。
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