このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

スマートフォンサイトへ移動

三重県議会 > 県議会の活動 > 本会議 > 議員提出条例 > 三重の木づかい条例 逐条解説

三重の木づかい条例 逐条解説

【前文】
 三重県は県土の約三分の二を森林が占め、優良な木材の産地として発展してきており、県民は古くからその潤沢な森林資源の恵みを受けて、暮らしの中に息づく豊かな木の文化を育んできた。
 人に優しく、また、再生可能で二酸化炭素を貯蔵する機能を有するなど環境への負荷が少ない資源である県産材をはじめとする木材(これを使用した木製品を含む。以下単に「木材」という。)を利用することは、県土及び海洋を含めた自然環境の保全、地球温暖化の防止等の森林の有する多面的機能の持続的な発揮につながるとともに、林業及び木材産業の健全な発展による地域経済の活性化にも資するものであり、とりわけ県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現に寄与するものである。
 しかしながら、高度経済成長期以降、人々の生活様式の変化等により、住宅をはじめとする様々な分野で木材に代わり他の素材等が使用され、木材利用は減少傾向にあり、また、長期にわたって木材価格が低迷するなど、木材利用を取り巻く状況は深刻である。
 一方で、近年、木材利用に係る技術の開発及び木材の新用途への活用が進むとともに、木材が心身にもたらす好ましい効果についての研究成果が明らかにされてきており、また、平成三十年の建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の改正により木造建築物等に係る制限の合理化が図られるなど、木材利用の推進に向けた気運の高まりもみられる。
 このような中、我々は、木材利用の意義を改めて認識し、県民一人一人の人生を豊かなものにするためにも、県、市町等が整備する公共建築物等における木材利用とともに、日常生活及び事業活動における住宅、社屋等への木材利用に積極的に取り組み、様々な形で暮らしの中に木を取り入れることで、三重県において木の文化を継承し、発展させていかなければならない。
  ここに、我々は、三重の森林づくり条例(平成十七年三重県条例第八十三号)と相まって、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるとともに、林業及び木材産業の健全な発展により地域経済を活性化させ、そして県民が健康で快適かつ豊かな暮らしを営むことができるようにするため、県を挙げて木材利用の推進を図り、その中でも県産材を最も優先して利用する「三重の木づかい」を進める社会を実現することを決意し、この条例を制定する。
【趣旨】
 前文では、条例制定の背景や趣旨を明らかにしています。
 第1段落では、条例制定に当たっての三重県の地域的背景として、三重県において県民の暮らしの中に息づく豊かな木の文化が育まれてきたことを述べています。
 第2段落では、県産材をはじめとする木材の人間や環境に対しての優れた特質について触れた上で、その利用の意義として、①森林の有する多面的機能の持続的な発揮につながること、②林業及び木材産業の健全な発展による地域経済の活性化に資すること、とりわけ③県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現に寄与することを挙げています。
 第3段落では、第2段落で述べたような木材利用の意義があるにもかかわらず、高度成長期以降、木材利用を取り巻く状況が深刻であることについて述べています。
 第4段落では、第3段落のような状況の一方で、近年、木材利用の推進に向けた気運の高まりもみられることについて述べています。
 第5段落では、これまでの段落で述べた状況を受けて、我々県民の木材利用の推進に向けた心構えを明らかにしています。
 第6段落では、前文の結びとして、条例を制定する必要性を述べた上で、条例制定に当たっての決意として、一般社団法人全国木材組合連合会及び全国森林組合連合会が提唱している「ウッドファースト社会」(木材を優先して活用する社会)という考え方を踏まえ、「県を挙げて木材利用の推進を図り、その中でも県産材を最も優先して利用する「三重の木づかい」を進める社会を実現すること」を宣言しています。
 
【解説】
1 「木の文化」
 第1段落及び第5段落における「木の文化」は、三重県において、著名な寺社等の文化遺産に活発に木材が使用されてきたというようなことだけではなく、身近に潤沢な森林資源が存在してきたことを背景に、三重の人々の暮らしの中に、家屋や家具、日用品、おもちゃ、燃料など様々な形で木材が取り入れられ、それらを生み出す森林とともに人々の暮らしが営まれてきたという歴史的・文化的実態に着目した概念です。三重の森林づくり条例で規定されている「人と森林との関係から形成される文化」としての「森林文化」とも重なり合うものですが、「木の文化」は、特に暮らしの中で木を使うという側面に焦点を当てたものです。
 
2 「県産材をはじめとする木材(これを使用した木製品を含む。以下単に「木材」という。)」
 本条例の対象となる木材については、①「三重の森林づくり条例」との役割分担の観点からも本条例ではまずは県民及び事業者に他の素材等ではなく木を使っていただくよう対象の裾野を広げるのが適当ではないかということ、②近年、木材を使うことが心身にもたらす好ましい影響についての研究成果が明らかになっており、県産材に限らず、木材を積極的に使うことにより県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現につながることが期待されること、③県内でも県外産材が多く流通している実態があり木材産業事業者等からも県産材にこだわることなく木材の利用の推進を図ってほしいとの声があったこと、④公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(以下「公共建築物等木材利用促進法」)と対象が同一となり、同法に基づく都道府県方針を本条例の木材利用方針として位置付けられるなど、法律との一体的な運用が可能となることなどを考慮し、条例の対象としては「木材全般」にしつつも、本県の森林の有する多面的機能の持続的な発揮や地域振興における重要性という観点から、県産材の利用の推進を最優先とすることとしています。
 本条例で利用の推進を図る木材の筆頭となるものが県産材であることを示すため、第2段落で「県産材をはじめとする木材」という表現を用いていますが、それ以降については「木材」という略称を用いることとしています。
 なお、木材が実際に使用される場面では、原木や製材品だけでなく、家具等の形で製品化しているケースも多いことを踏まえ、「県産材をはじめとする木材」の中には「県産材をはじめとする木材を使用した木製品」が含まれることを明らかにしています。
 
3 「人々の生活様式の変化等により、住宅をはじめとする様々な分野で木材に代わり他の素材等が使用され」
 高度経済成長期以降、人々の生活様式の洋風化が進んだことやプラスチックなどの新たな素材の開発・普及が進んだことなどにより、住宅や社屋、家具、日用品などの様々な分野において木材に代わり、コンクリートやプラスチック、金属などの木材以外の素材やそのような素材を使用した製品が使用されるようになったことを表現しています。
 
4 「木材が心身にもたらす好ましい効果についての研究成果」
 「木材が心身にもたらす好ましい効果についての研究成果」として、次のようなことが報告されています(検討会における三重県木材協同組合連合会からの意見聴取に基づく)。
 ・木材の匂いが、心理的効果や血圧低下効果により、心身をリラックスさせる作用を持つこと。
 ・一部の木材の匂い成分が人体の免疫細胞の働きを上昇させること。
 ・木材の視覚効果として、生理応答や快適感などに好影響を及ぼすこと。
 ・木材を内装や外装に用いると、「あたたかなイメージ」など良好な印象を与えること。
 ・木材の持つ独特の触り心地(接触感)は、人体への生理的なストレスが少ないこと。
 ・内装の木質化率が増えるほど、深睡眠時間が有意に長くなること。
 ・内装に木材を用いることで空間内の湿度をある程度一定に保った過ごしやすい環境づくりが可能になること。

5 「平成三十年の建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の改正により木造建築物等に係る制限の合理化が図られる」
 平成30年の建築基準法の改正により、中層木造共同住宅など木造建築物の整備を推進するとともに、防火改修・建替え等を促進するため、次のような木造建築物等に係る制限の合理化が図られました。
 ① 耐火構造等とすべき木造建築物の対象を見直し(高さ13m・軒高9m超→高さ16m超・階数4以上)
 ② ①の規制を受ける場合についても、木材のあらわし等の耐火構造以外の構造を可能とするよう基準を見直し
 ③ 防火地域・準防火地域内において高い延焼防止性能が求められる建築物についても、内部の壁・柱等において更なる木材利用が可能となるよう基準を見直し
 
6 「推進」
 公共建築物等木材利用促進法や他県の木材利用に関する条例では、木材(県産材)の利用の「促進」という文言を用いる例が多いですが、県を含め各関係主体が自ら率先して木材利用を進めていくようにすることが重要という観点から、本条例では全体を通して木材利用の「推進」という文言を用いています。
 
7 「県民一人一人の人生を豊かなものにするためにも」
 木材利用の推進が、林業事業者や木材産業事業者等の特定の関係者のためだけではなく、県民一人一人の人生を豊かなものにすることにもつながることを強調するために表現したものです。なお、「人生」としているのは、前文の他の部分や目的規定(第1条)で用いられている「暮らし」が「その時その時の県民の生活」という意味合いなのに対して、「より長期的・包括的な県民一人一人の営み」というニュアンスを持たせることを意図したものです。
 
8 「県、市町等が整備する公共建築物等」
 「県、市町等」の「等」としては、学校、老人ホーム等の公共建築物を整備する学校法人、社会福祉法人等の民間主体が想定されます(第2条の【解説】5(第4号関係)参照)。
また、「公共建築物等」の「等」としては、建築物以外のガードレール等の工作物や机等の物品などが想定されます。
 
9 「日常生活及び事業活動における住宅、社屋等への木材利用」
 ここでの「等」としては、家具や日用品、オフィス等の内装への木材利用や事業活動における製品開発等での木材利用などが想定されます。

10 「三重の森林づくり条例(平成十七年三重県条例第八十三号)と相まって」
 「県産材の利用の促進」については、平成17年に議員提出条例として制定された三重の森林づくり条例で既に規定されており、他の部分も含め、本条例と三重の森林づくり条例には重複する部分があります。
しかし、三重の森林づくり条例が三重の森林を守り、又は育てることに関する施策を推進するという「川上」の観点からの条例であるのに対して、本条例は木を使う側である「川下」の観点から、県産材をはじめとする木材を利用することが県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現につながるということを重視して木材利用を推進するために制定するものであり、また、利用推進の裾野を広げるために条例の対象も県産材より範囲を広げて木材全般としており、三重の森林づくり条例とは別に制定する意義があると考えます。
一方で、本条例と三重の森林づくり条例は密接な関係を持つものであり、両条例に基づく取組等が一体的に推進されることで、森林の多面的機能の持続的な発揮をはじめとした目的の実現が効果的に図られることが期待されることから、「三重の森林づくり条例(平成十七年三重県条例第八十三号)と相まって」という表現を用いています。

   第一章 総則
 (目的)
第一条 この条例は、木材利用の推進に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、木材利用の推進に関する施策の基本的な事項を定めることにより、県民及び事業者の参加の下、木材利用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって森林の有する多面的機能の持続的な発揮並びに林業及び木材産業の健全な発展による地域経済の活性化に資するとともに、県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現に寄与することを目的とする。
【趣旨】
 本条は、本条例の目的を定めたものです。
 本条例の規定内容を簡潔に要約した上で、そのような規定内容を定めることにより期待する取組方向として、「県民及び事業者の参加の下、木材利用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進」することを挙げ、条例により達成すべき目的として、①「森林の有する多面的機能の持続的な発揮」、②「林業及び木材産業の健全な発展による地域経済の活性化」、③「県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現」を挙げています。達成すべき目的のうち、最も重要視するものとして、③「県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現」を位置付けており、順番として最後に配置するとともに、①、②の「資する」よりも強い表現として「寄与する」につなげています。
 
【解説】
1 「県民及び事業者の参加の下」
 実際に木を使う立場である「川下」における木材のエンドユーザーとしての県民及び事業者が木材利用の推進の主体となることが重要であることから、本条例に基づく取組等が、県や直接的な関係主体だけでなく、県民及び事業者の参加の下に行われることを期待して、目的規定の中にこのような表現を入れています。
 なお、本条例においては、「県民」及び「事業者」については、一般名詞として特に定義を置いていませんが、「事業者」には公共建築物を整備する学校法人、社会福祉法人等をはじめ、法人や個人事業主が幅広く含まれます。
 また、本条例において単に「事業者」という場合は、別途定義を設けている「森林所有者等」、「林業事業者」、「木材産業事業者」、「建築関係事業者」及び「教育関係者等(のうちの事業者)」をも含む概念として用いています。それは、これらの主体は木材利用の推進に密接に関係する主体としての役割のほか、一般の事業者としての役割(社屋等に木材を利用することなど)も期待されるものであり、それぞれの立場としての役割を本条例では求めているためです。
 
 (定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 県産材 三重の森林づくり条例第二条第三号に規定する県産材(これを使用した木製品を含む。)をいう。
 二 木材利用 建築基準法第二条第五号に規定する主要構造部(第十三条第一項において単に「主要構造部」という。)その他の建築物の部分の建築材料、工作物の資材、製品の原材料等として木材を使用することをいう。
 三 森林の有する多面的機能 森林の有する県土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能をいう。
 四 公共建築物 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成二十二年法律第三十六号。以下「公共建築物等木材利用促進法」という。)第二条第一項に規定する公共建築物をいう。
 五 森林所有者等 三重の森林づくり条例第二条第一号に規定する森林所有者等をいう。
 六 林業事業者 森林施業(造林、伐採その他の森林における施業をいう。)を行う者をいう。
 七 木材産業事業者 木材の加工又は流通の事業を行う者をいう。
 八 建築関係事業者 建築物の設計又は施工の事業を行う者をいう。
 九 教育関係者等 教育及び保育(以下この号及び第九条において「教育等」という。)に関する職務に従事する者並びに教育等に関する関係機関及び関係団体をいう。
【趣旨】
 本条は、条例における重要な用語について定義を定めたものです。
 
【解説】
〔第1号関係〕
1 「三重の森林づくり条例第二条第三号に規定する県産材(これを使用した木製品を含む。)」
 三重の森林づくり条例第2条第3号では、「県産材」は、「三重県の区域にある森林から生産された木材をいう」と定義されています。
 前文や基本理念(第3条)で「三重の森林づくり条例と相まって」と(うた)っていることを踏まえ、本条例及び三重の森林づくり条例に基づく取組等が一体的に推進されるよう、本条例における「県産材」の定義は、三重の森林づくり条例における「県産材」の定義と基本的に同様のものとしています。ただし、本条例は「川下」の観点から県産材を使うことに着目した条例であり、県産材が実際に使用される場面では、原木や製材品だけでなく、家具等の形で製品化しているケースも多いことを踏まえ、「これ(県産材)を使用した木製品を含む」ということを明示しています。(なお、三重の森林づくり条例における「県産材」についても、必ずしも製品化されたものが含まれないということはないと解されます。)
 
〔第2号関係〕
2 「木材利用」
 木材利用に関する法律として、平成22年に公共建築物等木材利用促進法が制定されており、本条例及び公共建築物等木材利用促進法に基づく取組等が一体的に推進されることが効果的な木材利用の推進につながると考えられることから、本条例における「木材利用」の定義は、基本的に公共建築物等木材利用促進法における「木材の利用」の定義と同様のものとしています。
ただし、公共建築物等木材利用促進法における「木材の利用」の定義では明示されている「エネルギー源として木材を使用すること」については、本条例の制定に向けた検討の中で、本条例において利用推進を図る主たる分野とはしないと整理されたことから、本条例における定義では明示しないこととされました。しかし、完全に定義から除かれたわけではなく、「(……)原材料等として」の「等」には「エネルギー源」も含まれます。
(参考)
○ 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律
 (定義)
第二条 (略)
2 この法律において「木材の利用」とは、建築基準法第二条第五号に規定する主要構造部その他の建築物の部分の建築材料、工作物の資材、製品の原材料及びエネルギー源として国内で生産された木材その他の木材を使用すること(これらの木材を使用した木製品を使用することを含む。)をいう。
3 (略)

3 「建築基準法第二条第五号に規定する主要構造部」
建築基準法第2条第5号では、「主要構造部」は、「壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする」と定義されています。
 
〔第3号関係〕
4 「森林の有する多面的機能」
 本条例における「森林の有する多面的機能」の定義は、三重の森林づくり条例や森林・林業基本法における「森林の有する多面的機能」と同様のものとしています。
 
〔第4号関係〕
5 「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(……)第二条第一項に規定する公共建築物」
公共建築物等木材利用促進法第2条第1項では、「公共建築物」は、「次に掲げる建築物(建築基準法第2条第1号に規定する建築物をいう。)をいう」として、次の2つが掲げられています(なお、「建築基準法第2条第1号に規定する建築物」には、附属する門や塀も含まれます。)。
 
 ①国又は地方公共団体が整備する公共の用又は公用に供する建築物
 ②国又は地方公共団体以外の者が整備する学校、老人ホームその他の前号に掲げる建築物に準ずる建築物として政令で定めるもの
 
 ②の「政令で定めるもの」としては、公共建築物等木材利用促進法施行令により次の7つが定められています。
 
 1)学校
 2)老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類する社会福祉施設
 3)病院又は診療所
 4)体育館、水泳場その他これらに類する運動施設
 5)図書館、青年の家その他これらに類する社会教育施設
 6)車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合の用に供するもの
 7)高速道路の通行者又は利用者の利部に供するための休憩所
 
 本条例及び公共建築物等木材利用促進法に基づく取組等が一体的に推進されることが効果的な木材利用の推進につながると考えられることから、本条例における「公共建築物」の定義は、公共建築物等木材利用促進法における「公共建築物」の定義と同様のものとしています。
 
〔第5号関係〕
6 「三重の森林づくり条例第二条第一号に規定する森林所有者等」
 三重の森林づくり条例第2条第1号では、「森林所有者等」は、「森林の所有者又は森林を使用収益する権原を有する者をいう」と定義されています。
 前文や基本理念(第3条)で「三重の森林づくり条例と相まって」と(うた)っていることを踏まえ、本条例及び三重の森林づくり条例に基づく取組等が一体的に推進されるよう、本条例における「森林所有者等」の定義は、三重の森林づくり条例における「森林所有者等」の定義と同様のものとしています。
 
〔第6号関係〕
7 「林業事業者」
  「林業事業者」には、森林組合も含まれます。
 
8 「森林施業(造林、伐採その他の森林における施業をいう。)」
 林業労働力の確保の促進に関する法律や他県の木材(県産材)利用に関する条例では、「森林施業」を「造林、保育、伐採その他の森林における施業」と定義する例が多いですが、「保育」は「保育所等における未就学児に対する保育」との混同されるおそれがあるため、本条例における「森林施業」の定義の中には明記していません。ただし、「その他の森林における施業」という部分で「保育」も読み込めることから、実質的な意味は法律や他県の条例の定義と同様です。
 
〔第7号関係〕
9 「木材の加工又は流通の事業を行う者」
  「木材の加工又は流通の事業を行う者」には、「木材の加工の事業のみを行う者」、「木材の流通の事業のみを行う者」、「木材の加工及び流通の事業を行う者」のいずれもが含まれます。
 
〔第8号関係〕
10 「建築物の設計又は施工の事業を行う者」
  「建築物の設計又は施工の事業を行う者」には、「建築物の設計の事業のみを行う者」、「建築物の施工の事業のみを行う者」、「建築物の設計及び施工の事業を行う者」のいずれもが含まれます。
 
〔第9号関係〕
11 「教育及び保育(……)に関する職務に従事する者並びに教育等に関する関係機関及び関係団体」
  「教育及び保育に関する職務に従事する者」としては、学校の教職員や保育士が想定されます。「教育等に関する関係機関及び関係団体」としては、学校や保育所の設置者や独自の教育活動に取り組むNPO法人等が想定されます。
 なお、教育関係者だけでなく、保育関係者も含めているのは、幼児期の保育は、幼稚園等における教育と同様、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、森林教育に当たっても重要な場になると考えられるためです。
 
 (基本理念)
第三条 木材利用の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
 一 県産材の利用の拡大が三重の森林を守り、又は育てることに資することに鑑み、三重の森林づくり条例と相まって、県産材の利用を最も優先して推進するとともに、森林資源の循環利用を図ることにより、本県の豊かな森林資源が次の世代に継承され、及び森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう行われること。
 二 木材の輸送に係る二酸化炭素の排出量を抑制するよう消費地からできる限り近接した地域にある森林から生産された木材の優先的な利用に努めること等により、環境への負荷の低減に寄与するよう行われること。
 三 林業及び木材産業の健全な発展が地域経済の活性化につながることに鑑み、木材の経済的価値の向上が図られるよう行われること。
 四 木材利用を積極的に行うことが県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現につながることに鑑み、そのような暮らしの実現に資するよう木材の優れた特性を生かすとともに、県民及び事業者の意識の高揚及び自発的な取組を推進するよう行われること。
 五 県、国、市町、森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、教育関係者等並びに県民及び事業者が相互に連携し、及び協力して効果的に行われること。
 【趣旨】
 本条は、木材利用の推進に向けて、県をはじめとする関係主体の進むべき方向の拠り所となる基本的な考え方を定めたものです。前文や目的規定(第1条)の規定内容も踏まえて、基本理念として5点を掲げています。
 1つ目として、木材利用の推進は、本県の豊かな森林資源が次の世代に継承され、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるように行われることを挙げています。そして、そのために、三重の森林づくり条例と相まって、県産材の利用を最も優先して推進するとともに、森林資源の循環利用を図ることを明記しています。
 2つ目として、木材利用の推進は、環境への負荷の低減に寄与するよう行われることを挙げています。そして、そのための手段として、木材の輸送に係る二酸化炭素の排出量を抑制するよう消費地からできる限り近接した地域にある森林から生産された木材の優先的な利用に努めることを例示し、いわゆる「ウッドマイレージ」の考え方を示しています。
 3つ目として、木材利用の推進は、木材の経済的価値の向上が図られるよう行われることを挙げています。そのことにより、林業及び木材産業の健全な発展、ひいては地域経済の活性化につながることを期しています。
 4つ目として、木材利用の推進は、県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現に資するよう木材の優れた特性を生かすとともに、木材のエンドユーザーである県民及び事業者の意識の高揚及び自発的な取組を推進するよう行われることを挙げています。
 5つ目として、木材利用の推進は、県及び木材利用の推進に係る関係主体が相互に連携・協力して効果的に行われることを挙げています。

【解説】
〔第1号関係〕
1 「県産材の利用の拡大が三重の森林を守り、又は育てることに資することに鑑み」
 三重の森林づくり条例の第16条(県産材の利用の促進)において、「県産材の利用の拡大が三重のもりづくり(三重の森林を守り、又は育てること)に資することにかんがみ」と規定されていることを踏まえたもので、三重の森林づくり条例と県産材の利用についての認識を共有していることを示しています。
 
2 「三重の森林づくり条例と相まって」
 前文においても、本条例及び三重の森林づくり条例に基づく取組等が一体的に推進されることで、本条例の目的の実現が効果的に図られることを期待して、「三重の森林づくり条例と相まって」という表現を用いていますが、特に、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を目指すこととそのための県産材の利用の推進は、本条例と三重の森林づくり条例とが密接に関係する部分であることから、第3条第1号においても「三重の森林づくり条例と相まって」ということを基本理念の一部として明記しています。
 
3 「県産材の利用を最も優先して推進する」
 本条例の対象は木材全般としつつ、県産材の利用の推進を最優先としているところですが(前文の【解説】2参照)、「県産材の利用の拡大が三重の森林を守り、又は育てることに資する」、すなわち、県産材の利用の推進が本県の森林の有する多面的機能の持続的な発揮につながることから、第3条第1号において「県産材の利用を最も優先して推進する」ことを基本理念の一部として明記しています。
 
〔第2号関係〕
4 「木材の輸送に係る二酸化炭素の排出量を抑制するよう消費地からできる限り近接した地域にある森林から生産された木材の優先的な利用に努めること等」
 いわゆる「ウッドマイレージ」の考え方を環境への負荷の低減の例示として挙げたものであり、これにより本条例で利用推進を図る木材の中で外国産材は相対的に優先度が低くなることとなります。なお、本規定はあくまで県内で木材利用を行う場合の基本的考え方を示したものであり、県外での木材利用を想定したものではないことから、県産材の県外への移出・輸出を妨げるものではありません。
 地域で生産された木材を当該地域で利用することはウッドマイレージの考え方から望ましいことではありますが、県内という地理的範囲においては、生産地にかかわらず県産材を使用することもウッドマイレージの考え方にかなうと考えられます。
 なお、県境の地域においては、県産材よりも隣接県産材のほうがウッドマイレージの考え方からは望ましい場合もあり得ますが、第3条第1号において「県産材の利用を最も優先して推進する」こととされているため、そのような場合も本条例の考え方としては県産材のほうが優先度は高くなると考えられます。
また、ここでいう「等」としては、木材利用における3R(廃棄物の減少・再利用・再生利用)の推進等が想定されます。
 
〔第3号関係〕
5 「木材の経済的価値の向上」
 木材の品質の向上や有効利用の促進、販路の開拓等により、木材の高付加価値化や需要拡大が図られることを意味しています。
 
 (県の責務)
第四条 県は、基本理念にのっとり、木材利用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、教育関係者等並びに県民及び事業者との協働に努めるとともに、国との緊密な連携を図るものとする。
 【趣旨】
 本条は、木材利用の推進に当たっての県の責務を定めたものです。
 県の責務として、木材利用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な策定・実施(第1項)と、それに当たっての関係主体との協働・連携(第2項)を規定しています。
 
【解説】
〔第2項関係〕
1 「森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、教育関係者等並びに県民及び事業者との協働に努めるとともに、国との緊密な連携を図る」
 三重の森林づくり条例において、「県は、三重のもりづくりを推進するに当たっては、県民、森林所有者等及び事業者との協働に努めるとともに、国及び市町との緊密な連携を図るものとする」(第7条第2項)と規定されていることを踏まえ、行政以外の関係主体については「協働に努める」、行政主体である国について「緊密な連携を図る」と表現していますが、相互の連携協力に努めるという点で両者に大きな違いはないと考えられます。
 なお、市町については、県の協働対象としての重要性に鑑み、別途第11条として「県と市町との協働」についての規定を設けていることから、本規定には含めていません。
 
 (森林所有者等の責務)
第五条 森林所有者等は、基本理念にのっとり、多様な需要に応じた良質な県産材の供給に資するようその森林の適切な整備及び保全に積極的に努めるとともに、県が実施する木材利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
 【趣旨】
 本条は、木材利用の推進の前提として、「川上」の立場である森林所有者等が県産材の供給に大きな役割を果たすことが期待されることから、木材利用の推進に当たっての森林所有者等の責務を定めたものです。
森林所有者等の責務として、①多様な需要に応じた良質な県産材の供給に資するような森林の適切な整備及び保全、②県の施策への協力を挙げています。
 なお、「責務」とはなっていますが、個別具体的な義務を課すというものではなく、表現としても、森林所有者等の自主性を尊重するため、「努めるものとする」としています。
 また、現在、県産材の生産を行っていない森林であっても、バイオマスエネルギー利用のための燃料等を含め、将来県産材の生産が行われる可能性も考えられ、また、隣接する森林で県産材が生産されている場合に県産材の生産を行っていない森林の状況が隣接する森林に影響を及ぼすおそれもあることから、現在、県産材の生産を行っていない森林に係る森林所有者等についても「森林所有者等の責務」の対象としています。
 
【解説】
1 「多様な需要に応じた良質な県産材の供給」
 「川下」側での公共建築物や住宅の建築等において県産材に対する多様な需要があるものの、「川上」側でなかなか対応できていない状況が本条例の制定に向けた検討の中で認識されたことから、このような表現を用いています。「川下」側からの多様な需要に対応した質の高い県産材の供給が適切に行われることが、県産材の利用の拡大にもつながると考えられます。
 なお、森林所有者等や林業事業者の置かれている厳しい状況も踏まえ、本条においては「川下」側の要求に即した「県産材の安定的な供給」までは求めていません。
 
 (林業事業者の責務)
第六条 林業事業者は、基本理念にのっとり、森林の適切な整備及び保全、多様な需要に応じた良質な県産材の供給並びに人材の育成に積極的に努めるとともに、県が実施する木材利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、木材利用の推進の前提として、「川上」の立場である林業事業者が県産材の供給に大きな役割を果たすことが期待されることから、木材利用の推進に当たっての林業事業者の責務を定めたものです。
林業事業者の責務として、①森林の適切な整備及び保全、②多様な需要に応じた良質な県産材の供給、③人材の育成、④県の施策への協力を挙げています。
 なお、「責務」とはなっていますが、個別具体的な義務を課すというものではなく、表現としても、林業事業者の自主性を尊重するため、「努めるものとする」としています。
 
【解説】
1 「多様な需要に応じた良質な県産材の供給」
 第5条の【解説】1と同じ。
 
 (木材産業事業者の責務)
第七条 木材産業事業者は、基本理念にのっとり、多様な需要に応じた木材の有効利用、安定的な供給及び品質確保の推進並びに新用途の開発、その供給する木材に関する正確かつ適切な情報の提供、加工技術の継承及び一層の向上並びに人材の育成に積極的に努めるとともに、県が実施する木材利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
 【趣旨】
 本条は、木材利用の推進において、木材産業事業者が「川中」の立場として、「川上」の立場である森林所有者等や林業事業者と、「川下」のエンドユーザーである県民及び事業者をつなぐという点で大きな役割を果たすことが期待されることから、木材利用の推進に当たっての木材産業事業者の責務を定めたものです。
木材産業事業者の責務として、①多様な需要に応じた木材の有効利用、安定的な供給及び品質確保の推進、②多様な需要に応じた木材の新用途の開発、③供給する木材に関する正確かつ適切な情報の提供、④加工技術の継承及び一層の向上、⑤人材の育成、⑥県の施策への協力を挙げています。
 なお、「責務」とはなっていますが、個別具体的な義務を課すというものではなく、表現としても、木材産業事業者の自主性を尊重するため、「努めるものとする」としています。
 
【解説】
1 「多様な需要に応じた木材の有効利用(……)及び品質確保の推進」
 「多様な需要に応じた木材の有効利用」としては、「川下」側の多様な需要に応じた商品化をすることなどにより木材を余すところなく活用するといったことが想定されます。
 「多様な需要に応じた品質確保の推進」としては、「川下」側の品質確保の要求に対応するための検査機器等の整備やそれらによる適切な検査の実施等が想定されます。
 
2 「その供給する木材に関する正確かつ適切な情報の提供」
 「その供給する木材に関する正確かつ適切な情報」としては、当該木材産業事業者が供給できる樹種、品質、数量、価格等の正確かつ適切な情報を建築関係事業者やエンドユーザーである県民及び事業者に提供することが想定されます。
 
 (建築関係事業者の責務)
第八条 建築関係事業者は、基本理念にのっとり、木材に係る知識の習得、木材の活用及び普及、木造建築技術の継承及び一層の向上並びに人材の育成に積極的に努めるとともに、県が実施する木材利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、建築物における木材利用の推進において、建築関係事業者が大きな役割を果たすことが期待されることから、木材利用の推進に当たっての建築関係事業者の責務を定めたものです。
 建築関係事業者の責務として、①木材に係る知識の習得、②木材の活用及び普及、③木造建築技術の継承及び一層の向上、④人材の育成、⑤県の施策への協力を挙げています。
 なお、「責務」とはなっていますが、個別具体的な義務を課すというものではなく、表現としても、建築関係事業者の自主性を尊重するため、「努めるものとする」としています。
 
【解説】
1 「木材に係る知識の習得」
 「木材に係る知識の習得」としては、施主からの木材に関する要望に適切に対応できるよう、それぞれの木材の特性等の知識を習得することが想定されます。
 
2 「木材の活用及び普及」
 「木材の活用及び普及」としては、建築において木材を積極的に取り入れるようにすることや、必要に応じて施主にも木材利用を提案するといったことが想定されます。
 
3 「木造建築技術の継承及び一層の向上」
 特に、文化財をはじめとする伝統的な木造建築に必要とされる技術について、その継承と一層の向上が期待されます。
   
 (教育関係者等の責務)
第九条 教育関係者等は、基本理念にのっとり、森林環境教育及び木育(以下「森林教育」と総称する。)の推進、そのための人材の育成並びに他の森林教育の推進に関する活動を行う者との連携に努めるとともに、その関係する教育等に係る施設において、木材利用に積極的に努めるものとする。
 【趣旨】
 本条は、県民及び事業者が木材利用を積極的に進めることの前提として森林教育(森林環境教育及び木育)が重要であるとの認識の下、その森林教育において教育関係者が大きな役割を果たすことが期待されることから、木材利用の推進に当たっての教育関係者等の責務を定めたものです。
 教育関係者等の責務として、①森林教育の推進、②森林教育のための人材育成、③他の森林教育の推進に関する活動を行う者との連携、④関係する教育等に係る施設における積極的な木材利用を挙げています。
 なお、「責務」とはなっていますが、個別具体的な義務を課すというものではなく、表現としても、教育関係者等の自主性を尊重するため、「努めるものとする」としています。特に、教育関係者等は通常のカリキュラムの遂行や課外活動指導、情報教育等の特定分野の教育の推進等で既に多くの負担を抱えていると考えられることから、①森林教育の推進、②森林教育のための人材育成、③他の森林教育の推進に関する活動を行う者との連携については、できるところから少しずつでも取り組んでいただくことを期待するものです。
 
【解説】
1 「森林環境教育及び木育(以下「森林教育」と総称する。)」
 令和2年10月に本県において「みえ森林教育ビジョン」が策定され、本県が推進する森林環境教育・木育について、双方を一体的な取組にしていけるよう「みえ森林教育」として改めて定義し直していることを踏まえ、「森林環境教育及び木育」を「森林教育」と総称する旨を規定しています。ただし、実際に教育関係者等などが取り組まれている活動について、「森林環境教育」や「木育」という用語を使用することを妨げるものではありません。
 なお、「森林環境教育」及び「木育」については、特に定義を設けていませんがこれは「森林環境教育」と「木育」にはそもそも重なり合う部分があり、それらに取り組む団体等によって取組内容が様々であるという実態も踏まえ、幅広く森林や木材に関わる教育的取組が包含できるよう、あえて定義を置いていないものです。
 「森林教育」の具体的内容のイメージとしては、「みえ森林教育ビジョン」における「みえ森林教育」の定義を参照すると、「森林と私たちの暮らし、経済がともに持続可能で豊かな社会を作っていくために、子どもから大人まで、三重県で暮らす誰もが、森林や木、木材に親しみ、自ら考え、判断して行動できる人(みえの森びと)に育つことを促す教育活動」ということが挙げられます。
 
2 「他の森林教育の推進に関する活動を行う者」
 「他の森林教育の推進に関する活動を行う者」としては、県や、独自に森林教育に取り組むNPO法人等が想定されます。
 
3 「その関係する教育等に係る施設において、木材利用に積極的に努める」
 「その関係する教育等に係る施設」としては、教育関係者等がそれぞれ設置、運営等をしている学校や保育所が想定されます。
 当該施設における木材利用には、当該施設を木造化・木質化するだけでなく、当該施設において、備品や教材等として木材利用を行うことも含まれます。
 
 (県民及び事業者の責務)
第十条 県民及び事業者は、基本理念にのっとり、木材利用の意義について理解を深め、その日常生活及び事業活動を通じて木材利用に積極的に努めるとともに、県が実施する木材利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。。
 【趣旨】
 本条は、実際に木を使う立場である「川下」における木材のエンドユーザーとして、県民及び事業者が木材利用の推進の主体となることが期待されることから、木材利用の推進に当たっての県民及び事業者の責務を定めたものです。
 県民及び事業者の責務として、①木材利用の意義について理解を深めること、②日常生活及び事業活動を通じた積極的な木材利用、③県の施策への協力を挙げています。
 公共建築物の整備を行う学校法人、社会福祉法人等についても、本条における「事業者」に含まれますが、これらの事業者については、公共建築物における木材利用の重要性を踏まえ、特にその整備する公共建築物において木材利用に積極的に努めることが期待されます。
 なお、「責務」とはなっていますが、個別具体的な義務を課すというものではなく、表現としても、県民及び事業者の自主性を尊重するため、「努めるものとする」としています。

【解説】
1 「木材利用の意義」
 「木材利用の意義」としては、前文や目的規定(第1条)で触れているように、木材利用が、①森林の有する多面的機能の持続的な発揮につながること、②林業及び木材産業の健全な発展による地域経済の活性化に資すること、③県民の健康で快適かつ豊かな暮らしの実現に寄与することといったことが想定されます。
 
 (県と市町との協働)
第十一条 県は、市町が木材利用の推進に重要な役割を有していることに鑑み、基本理念を踏まえつつ、県とともに公共建築物等木材利用促進法第四条に規定する責務を十全に果たすことができるよう、市町に対し、その地域の特性に応じ、県と協働して、木材利用の推進に関する施策を策定し、及び実施するとともに、その整備する公共建築物等において木材利用に積極的に努めることを求めるものとする。
2 県は、市町が実施する木材利用の推進に関する施策の策定及び実施を支援するため、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
 【趣旨】
 本条は、市町が木材利用の推進に重要な役割を有していることに鑑み、県と市町との協働について定めたものです。
 第1項では、県は、市町に対し、公共建築物等木材利用促進法第4条で規定されている地方公共団体の責務を前提として、その地域の特性に応じ、県と協働して、木材利用の推進に関する施策を策定・実施することと、整備する公共建築物等において積極的に木材利用に努めることを求めるものとすることを規定しています。
 第2項では、県は、市町が実施する木材利用の推進に関する施策の策定・実施を支援するために必要な措置を講ずるものとすることを規定しています。
 
【解説】
〔第1項関係〕
1 「木材利用の推進に重要な役割を有している」
 市町は、住民に身近な基礎自治体として、木材利用の推進においても、公共建築物への木材利用など、大きな役割が期待されているところです。特に、近年、みえ森と緑の県民税及び森林環境譲与税の創設等により、木材利用の推進や森林教育における役割はますます高まっています。「木材利用の推進に重要な役割を有している」とは、このような背景を表現したものです。
 
2 「県とともに公共建築物等木材利用促進法第四条に規定する責務を十全に果たすことができるよう」
 公共建築物等木材利用促進法では、「地方公共団体の責務」(第4条)として「地方公共団体は、その区域の経済的社会的諸条件に応じ、国の施策に準じて木材の利用の促進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるとともに、その整備する公共建築物における木材の利用に努めなければならない」ことが規定されており、県とともに市町がその責務を十分に全うすることを期するということを示しています。

3 「その地域の特性に応じ」
 市町によって、森林資源が豊富で林業等が盛んであったり、都市部で林業等は盛んでないもののエンドユーザー側の木材需要は高かったり、また、県境に近く隣接県産の木材の流入が多くみられたりするなど、木材利用の推進に関する地域事情は様々であることから、それぞれの地域の特性に応じて必要な施策を講じていただければよいということを表現しています。
 
4 「その整備する公共建築物等」
 ここでいう「等」には、ガードレールや公園の(さく)等の工作物や、机、椅子等の物品が含まれます。
 
〔第2項関係〕
5 「その他の必要な措置」
 「その他の必要な措置」には、財政的、人的といった支援措置も含まれ得ると解されますが、実際にどのような支援が講じられるかは、財政事情等も踏まえて、県において判断されることになります。

   第二章 木材利用方針
第十二条 知事は、木材利用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、木材利用方針を定めるものとする。この場合において、木材利用方針は、公共建築物等木材利用促進法第八条第一項に規定する県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針として定めるものとする。
2 前項の木材利用方針(以下単に「木材利用方針」という。)においては、公共建築物等木材利用促進法第八条第二項に規定する事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 木材利用の推進に関する目標(県が整備する公共建築物における木材利用の目標を除く。)
 二 木材利用の推進を図るために必要な施策に関する基本的事項
 三 森林教育、木材利用の推進に係る普及啓発等に関する基本的事項
 四 その他木材利用の推進に関し必要な事項
3 木材利用方針を定めるに当たっては、県産材の利用を最も優先して推進することを基本とするものとする。
4 木材利用方針において定める公共建築物等木材利用促進法第八条第二項第二号の目標については、定量的に定めるよう努めなければならない。
5 知事は、木材利用方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 知事は、毎年一回、木材利用方針に基づく施策の実施状況について議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。
【趣旨】
 本条は、本条例に基づく木材利用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための中核的なツールとして、「木材利用方針」の策定について定めたものです。
 木材利用方針は、公共建築物等木材利用促進法に基づく方針(都道府県方針)として定めるものとしており、同法では「定めることができる」と規定されている都道府県方針の策定を義務化しています(第1項後段)。また、都道府県方針の記載事項として公共建築物木材利用促進法に規定されている事項に加えて、木材利用の推進に関する目標(第2項第1号)など、本条例独自の記載事項を規定しています(2項)。これは、本県では都道府県方針として平成22年に「みえ公共建築物等木材利用方針」が策定されており、それとは別に本条例に基づく新規の方針の策定を規定することは屋上屋を架すこととなり、県執行部にも過重な負担を課すことにもなりかねないことから、既存の「みえ公共建築物等木材利用方針」を本条例に位置付け、更に木材利用の推進に向けて同方針の内容を充実させることを意図したものです。
 「県産材の利用を最も優先して推進する」という本条例の基本理念(第3条第1号)を踏まえ、本条例に基づく施策の推進を図るための中核的なツールとして位置付けられる木材利用方針を定めるに当たっては、県産材の利用を最も優先して推進することを基本とするものとしています(第3項)。
 木材利用方針において定める木材利用の推進に関する目標のうち、県が整備する公共建築物における木材利用の目標について、定量的に定めることを努力義務としています(第4項)。これは、県以外の主体に関する目標については、各主体の自主性の尊重、一律の数値設定の困難性、県の目標管理の実効性等の観点から定量的な目標とすることがふさわしくない場合もあると考えられる一方、県が主体となる目標については、実効性を高めるためにも定量的な目標を定めることが必要と考えられたためです。また、本条例の制定に向けた検討の中で、県が整備する公共建築物における木材利用の目標については、既に公共建築物等木材利用促進法において都道府県方針の記載事項として規定されているものの、それを受けた「みえ公共建築物等木材利用方針」では定性的な目標が掲げられていることにとどまっており、実際に成果も十分に上がっていないのではないかとの指摘があったことも踏まえています。
 公共建築物等木材利用促進法では、都道府県方針の策定又は変更の公表は努力義務となっていますが、木材利用方針の策定・変更の透明性を確保するため、知事に木材利用方針の策定・変更の公表を義務付けています(第5項)。
 木材利用方針に基づく施策の実施状況を議会や県民等が評価・検証できるよう、知事に、毎年1回、木材利用方針に基づく施策の実施状況を議会に報告し、公表することを義務付けています(第6項)。
 
【解説】
〔第1項関係〕
1 「公共建築物等木材利用促進法第八条第一項に規定する県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針」
 公共建築物等木材利用促進法第8条第1項では、「都道府県知事は、基本方針に即して、当該都道府県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針(以下「都道府県方針」という。)を定めることができる。」と規定されています。本県では、この規定に基づき、平成22年に「みえ公共建築物等木材利用方針」を策定しています。
 
〔第2項関係〕
2 「公共建築物等木材利用促進法第八条第二項に規定する事項」
 公共建築物等木材利用促進法第8条第2項では、「都道府県方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする」として、次の4つの事項を挙げています。
 
 ①当該都道府県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進のための施策に関する基本的事項
 ②当該都道府県が整備する公共建築物における木材の利用の目標
 ③当該都道府県の区域内における公共建築物の整備の用に供する木材の適切な供給の確保に関する基本的事項
 ④その他当該都道府県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進に関し必要な事項
 
3 「木材利用の推進に関する目標(県が整備する公共建築物における木材利用の目標を除く。)」
 これは、県が施策を実施するに当たっての目指すべき拠り所となるものとして、県以外の主体による公共建築物以外も含めた木材利用推進に関する目標を幅広く定めることを意図した事項です。なお、あくまでこれは県が施策を実施するに当たっての目標であり、県以外の主体になんらかの義務付けを行おうとするものではありません。
 本規定に基づく目標は、必ずしも定量的に定めることまでは求めていません。
 「県が整備する公共建築物における木材利用の目標」については、公共建築物等木材利用促進法第8条第2項第2号において都道府県方針に定める事項として規定されており、木材利用方針に定められることが前提となるため、重複を避けるためにこの事項からは除くこととしています。したがって、木材利用方針に「県が整備する公共建築物における木材利用の目標」が定められないというわけではありません。
 
4 「木材利用の推進を図るために必要な施策に関する基本的事項」
 これは、第14条の規定(木材利用の推進)に基づく施策に関する方向性等を記載することを想定した事項です。
 
5 「森林教育、木材利用の推進に係る普及啓発等に関する基本的事項」
 これは、第15条の規定(森林教育、普及啓発等)に基づく施策に関する方向性等を記載することを想定した事項です。
 
6 「その他木材利用の推進に関し必要な事項」
 これは、第16条の規定(顕彰)に基づく施策に関する方向性等や、第17条の規定(体制の整備)に基づく体制整備に関する方向性等を含め、公共建築物等木材利用促進法第8条第2項に規定する事項や本条例の第12条第2項第1号~第3号に規定する事項に該当しない木材利用の推進に関し必要な事項について記載することを想定した事項です。
 
〔第4項関係〕
7 「公共建築物等木材利用促進法第八条第二項第二号の目標」
 「県が整備する公共建築物における木材の利用の目標」のことです。
 
8 「定量的に定める」
 県が整備する公共建築物における木材利用に関し、木造率や県産材使用率、県産材使用量等、なんらかの数値で表せる目標を設定することが求められますが、どのような指標を目標として用いるかは県執行部の裁量に委ねられます。
 
〔第6項関係〕
9 「木材利用方針に基づく施策の実施状況」
 「木材利用方針に基づく施策の実施状況」には、木材利用の推進に関する目標の達成状況も含まれると解されます。

   第三章 基本的施策
 (県の率先利用)
第十三条 県は、その整備する公共建築物において、木材利用方針で定めるところにより、原則として県産材を使用し、木造化(建築物の新築、増築又は改築に当たり、主要構造部の全部又は一部に木材を使用することをいう。)又は木質化(建築物の新築、増築、改築又は模様替に当たり、天井、床、壁、窓枠等の室内に面する部分又は外壁等の屋外に面する部分に木材を使用することをいう。)を行うものとする。
2 県は、その整備する公共土木施設その他工作物及び調達する物品において、自ら率先して県産材の利用に努めなければならない。。
 【趣旨】
 本条は、基本的施策の第一として、県が木材の中でも県産材を率先して利用することを定めたものです。整備する公共建築物において、原則として県産材を使用し、木造化・木質化を行うことを義務付ける(第1項)とともに、整備する工作物や調達する物品において、自ら率先して県産材の利用に努めること(第2項)を定めています。

【解説】
〔第1項関係〕
1 「木材利用方針で定めるところにより」
 県が整備する公共建築物において、どのように木造化・木質化を図っていくかの基準等(積極的に木造化を促進する公共建築物の範囲等)については、木材利用方針で定めることとしています。
 なお、本条例に基づく木材利用方針のベースとなる「みえ公共建築物等木材利用方針」(公共建築物等木材利用促進法に基づく都道府県方針)では、「建築基準法その他の法令に基づく基準において耐火建築物とすること又は主要構造部を耐火構造とすることが求められていない低層の公共建築物において、積極的に木造化を促進するものとする」ことや、「県は、その整備する公共建築物について、木造・非木造にかかわらず、直接又は報道機関等を通じて間接的に県民の目に触れる機会が多いと考えられる部分を中心に、木質化を図ることが適切と判断される部分について、木質化を推進するものとする」ことなどが定められています。
 
2 「原則として」
 「原則として」というのは、木材利用方針で定められる基準等も参照しつつ、建築基準法等の法令による規制、物理的に調達が困難、コストや工期の面でのやむを得ない事情等の県産材を使用しての木造化・木質化を行うことができない合理的な理由がある場合を除き、県産材を使用して、木造化・木質化を行うことを求めています。このため、仮に、県産材を使用できない場合、あるいは木造化・木質化を行えない場合については、対外的に理由を説明できるようにすることが求められると考えられます。
 
3 「木造化(建築物の新築、増築又は改築に当たり、主要構造部の全部又は一部に木材を使用することをいう。)又は木質化(建築物の新築、増築、改築又は模様替に当たり、天井、床、壁、窓枠等の室内に面する部分又は外壁等の屋外に面する部分に木材を使用することをいう。)」
 「木造化」及び「木質化」の定義については、「みえ公共建築物等木材利用方針」における「木造化」及び「木質化」の定義と同様のものとしています。
 「木質化」には、作り付けの棚や机等に木材を使用することも含まれます。
 なお、「木造化又は木質化」としていますが、「木造化」と「木質化」は択一ではなく、「木造化及び木質化」も含まれます。
 
〔第2項関係〕
4 「その整備する公共土木施設その他工作物及び調達する物品」
 「その整備する公共土木施設その他工作物及び調達する物品」は、木材を利用することが可能な公共土木施設やその他工作物、物品を幅広く指しています。「公共土木施設」としては、観光地等のガードレール、治山ダム、公園の(さく)やベンチ等が想定されます。「その他工作物」としては、工事看板等が想定されます。「物品」としては、机、椅子、棚等の備品が想定されます。
 
 (木材利用の推進)
第十四条 県は、木材利用の推進を図るため、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
 一 県以外の者が整備する公共建築物における木材利用の推進に関すること。
 二 公共建築物以外の建築物における木材利用の推進に関すること。
 三 建築物以外の分野における木材利用の推進に関すること。
 四 木材利用の推進に関する研究及びその成果、技術等の普及に関すること。
 五 木材利用の推進に寄与する森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者及び教育関係者等の人材の育成及び確保に関すること。
 六 県産材の魅力の向上の促進及び県産材の国内外への販路拡大に関すること。
 【趣旨】
 本条は、基本的施策の中心的な規定として、木材利用の推進のための具体的施策の方向性を6項目、包括的に列挙して定めたものです。
 
【解説】
〔第1号関係〕
1 「県以外の者が整備する公共建築物における木材利用の推進」
 「県以外の者が整備する公共建築物における木材利用」には、市町が整備する庁舎、学校等における木材利用のほか、学校法人、社会福祉法人等が整備する学校、老人ホーム、病院等における木材利用などが含まれます。
 その「推進」としては、そのような木材利用についての学校法人、社会福祉法人等へのPRや支援などが想定されます。(なお、市町に対する支援については、別途第11条第2項で規定しています。)
 
〔第2号関係〕
2 「公共建築物以外の建築物における木材利用の推進」
 「公共建築物以外の建築物における木材利用」には、住宅における木材利用、事業者の社屋等における木材利用などが含まれます。
その「推進」としては、そのような木材利用についての県民及び事業者へのPRや支援などが想定されます。
 
〔第3号関係〕
3 「建築物以外の分野における木材利用」
 「建築物以外の分野における木材利用」には、(さく)等の工作物における木材利用、家具や日用品、おもちゃ等における木材利用、防災資材における木材利用、木質バイオマスのエネルギー利用等、建築物以外の幅広い分野における木材利用が含まれます。
その「推進」としては、そのような木材利用についての県民及び事業者へのPRや支援などが想定されます。
 
〔第4号関係〕
4 「木材利用の推進に関する研究及びその成果、技術等の普及」
 「木材利用の推進に関する研究及びその成果、技術等の普及」としては、県林業研究所における木材の有効利用、高付加価値化等のための研究及びその成果のPRや、民間で開発された木材利用に係る新技術等の普及のための取組などが想定されます。
 
〔第5号関係〕
5 「木材利用の推進に寄与する森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者及び教育関係者等の人材の育成及び確保」
 「木材利用の推進に寄与する森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者及び教育関係者等の人材の育成及び確保」としては、「みえ森林・林業アカデミー」等におけるそれぞれの関係主体に応じた適切な木材利用に係る知識やノウハウを有する人材(例えば、県産材をはじめとする木材の特質についての知識を持ち、中大規模建築物等における木造・木質化に対応できる建築関係事業者など)の育成及び確保のための講座の開設などが想定されます。
 
〔第6号関係〕
6 「県産材の魅力の向上の促進」
 「県産材の魅力の向上の促進」としては、県産材のブランド化の促進や県産材を使用した魅力的な商品開発の促進などが想定されます。
 
7 「県産材の国内外への販路拡大」
 「県産材の国内外への販路拡大」としては、県産材の輸出の促進に向けた取組や首都圏等の県外の木材消費地への県産材のPRなどが想定されます。
 
 (森林教育、普及啓発等)
第十五条 県は、森林教育、普及啓発等の積極的な実施を通じて、木材利用の推進に関する県民及び事業者の理解を深めるとともに、木材利用の推進に向けた県民及び事業者の気運の醸成に努めなければならない。
 【趣旨】
 本条は、森林教育、普及啓発等の積極的な実施を手段として、木材利用の推進に関する県民及び事業者の理解の増進や気運の醸成を図ることを定めたものです。
 
【解説】
1 「森林教育、普及啓発等」
 県が取り組む「森林教育」としては、森林教育に気軽にアクセスできる場や機会の拡大、保育や教育への森林教育の更なる普及、大人や企業を対象とした森林教育の拡充、子どもから大人まで一貫した教育体系の構築、森林教育を実践できる指導者の養成等が想定されます。
 「普及啓発」としては、県民及び事業者に向けた木材利用の意義やメリット等の広報、木材利用の優良事例の紹介、本条例の内容のPRなどが想定されます。
 「森林教育、普及啓発等」の「等」としては、木材利用の推進に関する県民及び事業者からの相談対応や県民運動の促進などが想定されます。
 
 (顕彰)
第十六条 県は、木材利用の推進に関し特に優れた取組を行った者の顕彰に努めなければならない。
 【趣旨】
 本条は、基本的施策として、木材利用の推進に関する顕彰について定めたものです。
 
【解説】
1 「木材利用の推進に関し特に優れた取組を行った者」
「木材利用の推進に関し特に優れた取組を行った者」としては、木材利用の普及に積極的に取り組んでいる木材産業事業者等の関係事業者、効果的な森林教育に積極的に取り組んでいる教育関係者等、県民への木材利用のPRにもつながる形で事業活動において木材利用を積極的に行っている事業者などが想定されます。
 
2 「顕彰」
「顕彰」としては、木材利用の推進に関し特に優れた取組を行った者に対する表彰制度の創設や木材利用の推進に関するコンクールの開催などが想定されます。

   第四章 施策の推進
 (体制の整備)
第十七条 県は、木材利用の推進に関する取組の円滑かつ効果的な実施を図るため、国、市町、森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、教育関係者等並びに県民及び事業者との協議の場を設けるなど、県及びこれらの者が相互に連携し、及び協力することができる体制の整備に努めなければならない。
2 県は、木材利用の推進に関する施策を県の部局等の枠を超えて総合的かつ計画的に推進するために必要な体制の整備に努めなければならない。
 【趣旨】
 本条は、木材利用の推進を図るための体制の整備について定めたものです。
 第1項では、県及び木材利用の推進に係る関係主体の連携・協力体制の整備について規定しています。これは、木材利用の推進に当たっては「川上」から「川下」までの関係主体の間での連携や協力が重要であるものの、本条例の制定に向けた検討の中で、県及び関係主体間での協議の場等があまりなく、県及び関係主体間での連携が必ずしも十分にとられていない現状が認識されたことを踏まえたものです。
 第2項では、木材利用の推進に向けた県庁内の体制整備について規定しています。これは、本県では木材利用を県関係部局等の連携により一層推進するため、平成17年から「三重県県産材利用推進本部」を設置していますが、本条例の制定に向けた検討の中で、農林水産部以外の部局等の木材利用の推進に対するコミットメントが必ずしも十分ではないのではないかとの指摘があったことを踏まえ、この規定により「三重県県産材利用推進本部」の体制強化が図られることを念頭においたものです。

【解説】
〔第1項関係〕
1 「国、市町、森林所有者等、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者、教育関係者等並びに県民及び事業者との協議の場を設けるなど」
 「協議の場」については、必ずしも挙げられている全ての関係主体が一同に会する協議体である必要はなく、適時適切な組合せでの関係主体との協議の場が設けられることも含むものです。また、「協議」には、関係主体との情報共有も含まれます。
 「など」としては、関係主体との連絡体制の整備等が想定されます。
 
〔第2項関係〕
2 「県の部局等」
 「県の部局等」の「等」には、企業庁、病院事業庁、教育委員会等の行政委員会、警察本部が含まれます。
 
 (財政上の措置)
第十八条 県は、木材利用の推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、条例に基づく施策を実効的に推進するためには一定の財政措置が必要になることから、その点を担保するため、財政上の措置について定めたものです。

   附 則
 (施行期日)
1 この条例は、令和三年四月一日から施行する。ただし、第十二条の規定は、同年十月一日から施行する。
 【趣旨】
 本条は、本条例の施行期日について定めたものです。
 本条例は、原則として、本条例制定後の新年度の開始に合わせて令和3年4月1日から施行することとしていますが、木材利用方針の策定に係る規定(第12条)については、執行部において現行の「みえ公共建築物等木材利用方針」を本条例に基づく木材利用方針として改定するために一定の期間を要すると考えられることから、令和3年10月1日から施行することとしています。
 
 (経過措置)
2 この条例の施行の日から前項ただし書に規定する規定の施行の日の前日までの間における第十三条第一項の規定の適用については、同項中「木材利用方針」とあるのは、「公共建築物等木材利用促進法第八条第一項の規定に基づく県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針」とする。
 【趣旨】
 本条は、本条例の経過措置について定めたものです。
 「県の率先利用」について定めた第13条第1項においては「木材利用方針で定めるところにより、原則として県産材を使用し、木造化又は木質化を行うものとする」こととなっていますが、附則第1項ただし書で木材利用方針の策定に係る規定(第12条)の施行期日を令和3年10月1日としたことで、原則的な施行期日である令和3年4月1日から令和3年9月30日までは第13条第1項における「木材利用方針」が存在しないこととなってしまうため、当該期間における同条の適用については、「木材利用方針」を、そのベースとなる「公共建築物等木材利用促進法第8条第1項の規定に基づく県の区域内の公共建築物における木材の利用の促進に関する方針」(「みえ公共建築物等木材利用方針」)と読み替えることとしています。
ページの先頭へ