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三重県議会 > 県議会の活動 > その他 > 第2回 会議録

第2回 会議録

開催年月日  平成18年5月15日(月)  13:00 ~ 15:30
開催場所   東京都千代田区永田町 全国町村会館 2階第3会議室
出席委員   9名
  委 員 長   大住 荘四郎 氏 
  委員長代理   古宮 正章 氏
  委   員   阿曽沼 元博 氏
          熊木 登 氏
          鈴木 裕子 氏
          野田 由美子 氏
          北川 裕之 氏
          石原 正敬 氏
          野田 勇喜雄 氏

【会議の経過とその結果】

1.田中議長挨拶
 本日は、委員の皆様方には何かと御多忙のところ、「三重県議会公営企業事業の民営化検討委員会」に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 御承知のとおり公営企業を取り巻く環境は、行政需要の変化や厳しい財政状況など事業経営に大きな影響を及ぼす様々な課題に加え、公共サービスの民間開放、規制緩和や地方分権の推進など大きく変化しているところであります。
 このような状況におきまして、本県議会といたしましても、県民の視点に近い立場からこの委員会を設置し、平成17年度は水道事業、工業用水道事業及び電気事業を実施している企業庁事業の在り方についてご検討いただき、この答申を受けて3月23日に知事への提言を行ったところです。
 引き続き今年度には、病院事業庁が実施する病院事業の望ましい在り方について検討し、今後一年以内を目処に県民の立場から政策提言していきたいと考えています。
 つきましては、この委員会において、広い視野と将来への展望のもとに、三重県の行う病院事業に関して十分な御審議をいただき、県民にとってよりよい形の在り方について、公営企業事業の民営化という中で答申をお示しいただければ幸いです。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

1.(議題)「病院事業の民営化」について
 ○大住委員長 それでは、お手元の事項書に基づきまして、本日の議題であります「病院事業の民営化」について、御検討いただきたいと思います。
   本日は、4名の委員から情報提供を頂戴する予定で、開催時間を当初より30分延長させていただきましたが、それでも非常にタイトであります。よって、ご説明いただく委員には誠に恐縮ですが、短めに要領よくお願いしたいと思います。
   また、それぞれの情報提供に対する質疑につきましては、ご質問程度に留めていただき、課題や問題点については次回の第3回委員会においてご議論をお願いしたいと思います。
   それでは、まず、はじめに野田由美子委員より「病院PFIの事例紹介」についてご説明をお願いしたいと思います。

 野田由美子委員より、「病院PFIの事例紹介 -PFIは医療改革に貢献できるか-」資料に基づき説明。

 (質疑・応答)
 ○大住委員長 はい、ありがとうございました。それでは、ただ今の件について、ご質問があればよろしくお願いします。
 ○野田勇喜雄委員 簡単に。ちょっとよく分からないんですが、医療行為とコア業務というのはイコールなんですか。
 ○野田由美子委員 はい。イコールの意味で使ってます。
 ○野田勇喜雄委員 それではですね。この最後から2枚目のこの図(「PFIの対象領域」)で「公的な役割」というか、市とか県とかはどこへ入るのですか。
 ○野田由美子委員 「医療行為」と「病院経営」のところですね。基本的には医療と「病院をどうしていくか」という経営のところは行政が役割を担うと。それに対して、ノンコア、破線で囲っているところを民間事業者がやると。一部「病院経営」のところ破線が掛かっているのは、例えば八尾市とか近江八幡市であったように経営の改善、どういうふうに医療そのものも、経営部分を改善できるかというのも民間に助言してもらうということで、多少PFIの事業の中にも、そこまで含んでいるものもあります。ただ基本は、「医療周辺サービス」と「施設整備関連業務」といったノンコアが対象ということです。
 ○野田勇喜雄委員 医療行為、医師の派遣のところはですね、これは病院の経営に任すと。
 ○野田由美子委員 はい。そういうことです。
 ○野田勇喜雄委員 それとですね。細かいことで申し訳ないんですけど、最後のところ(「PFIは病院経営改革にどう貢献できるのか」)の、「包括発注ということでモレ・ダブリをなくす」ということは良く分かるんですけど、「競争化」ということでは「どう考えているのか」ということと、それと良く分からないのは、中ほどの「コスト削減効果」というのがありますね、「高知4%、近江八幡14%、八尾7%」この「コスト削減効果」の数字というのは何が根拠なんですか。
 ○野田由美子委員 二つ目の方から申し上げますと、あるノンコア業務に関するサービスレベルというのを確定しまして、そのサービスレベルを実現するために、従来の手法でやる場合、これは直営と一部業務委託というのがあると思いますけども、従来どおりにやったらいくら掛かるであろうかという想定をするんですね。例えば従来どおりやると、トータル百億円かかりますというのに対して、民間事業者にそういう業務を委ねた場合に実際にビットが出てくる訳なんですけど、それがいくらだったかというのを比較して、想定される従来型の手法に比べて、民間事業者、例えば高知だとオリックス・グループの提案は96だったと、100に対して96ということで、市・県にとっては4%のトータルのコスト削減が実現されたと、あくまでサービス水準を同じとした場合にどれだけのコストの違いがあるか、というのがバリュー・フォー・マネー(VFM)の考え方です。
   一つ目のご質問は、包括発注と競争についてですが、まず最初の段階では競争の中で選びますので、例えばオリックス・グループと鹿島建設グループと清水建設グループと、もう本当に5つ6つのグループが非常に熾烈な競争をして、一番いい提案をし、なおかつそして一番安い提案というのを総合的に評価して採用する訳なんですが、その後、結局15年から30年という長い期間契約の相手方になりますので、そこで価格が、固定化されてしまうという懸念が当然あるんですね。それをどうやって、特に病院のようにかなりニーズというのが頻繁に変わります、例えば医療機器なんかも非常に技術革新も激しいですし、そういう中でどうやって市場のレベルに常に競争環境を保ちながら、今の選んでしまった事業者が努力をしてくれるかという、努力を誘発するメカニズムを契約の中に入れていくかということが非常に大きな課題になっていまして、例えば陳腐化が激しいような、変化が激しいような業務に関しては「5年ごとに見直しをします」と、その見直しをしたときに、マーケットテストと言うんですけれど、「市場のレベルである」ということをきちんと説明させて、それがあくまでも「そのときのマーケットに照らして合理的な水準である」ということであれば、「そのまま継続しましょう」と。ただそこがきちんと説明されていなければ、そこでその業務は、例えば解約しちゃうとかですね、リプレイスさせるとかっていうそういうものを一応一部入っていると、ただ完璧ではなくてですね、そこがご指摘のようにどうやって30年の契約の中で作り込んでいくということが、まだ課題ではあります。
 ○野田勇喜雄委員 二回目に言って最初に答えていただいた方で、基本的には公的な支出がどれだけ下がるかということで考えたら良いですね。
 ○野田由美子委員 そういうことです。
 ○大住委員長 いかがでしょうか。よろしいですか。それでは引き続きまして、阿曽沼委員より「病院・健全経営の着眼点 ~集団から組織への転換!~」についてご説明をお願いしたいと思います。
 阿曽沼委員より、「病院・健全経営の着眼点 ~集団から組織への転換!~」資料に基づき説明。

 (質疑・応答)
 ○大住委員長 はい、ありがとうございました。それでは、ただ今の件について、ご質問があればよろしくお願いします。
 ○野田勇喜雄委員 一番最初の「専門化」というのと、時々「個別化」という説明もあったように思うんですけども、これは同じような意味で考えたら良いのですか。
 ○阿曽沼委員 そうですね。はい。
 ○野田勇喜雄委員 それとですね、この上段の「集学化」ということが、これは「各治療手段を集学的に検討する」ということが説明書きに書かれてるんですが…。
 ○阿曽沼委員 例えばですね、すい臓癌になりました。病院に行きます。三重の四日市の県立病院へ行きました。このすい臓癌に対して、どういう治療をしますか。手術ですか、抗癌剤ですか、血管内治療ですか。いろいろあります。例えば肝臓癌になりました。肝臓癌が他の臓器に侵蝕していない場合に、手術をしますか、放射線治療をしますか、もしくは血管内で小さくして抗癌剤を入れますか、ものすごい千差万別の治療法があります。これを抗癌剤を使用する内科医、放射線や手術の先生たちが、みんなで合同の場で議論をしながらこの患者さんにとっては、こういう選択肢が必要なのではないか、こういう手術の選択肢が必要なのではないかということを考えていく治療を言います。これは口で言うのは簡単ですが、難しいのは先ず組織の壁、専門化の壁、先生の個人的な壁を越えていかなくてはなりませんね。最近の新しい医療の体系は、必ずこういったことを求めている、という気運になっている。例えば、それはセンター化してみる、消化器内科と消化器外科を消化器医療センターとして内科も外科も同じようにしてひとりの患者さんを診ましょうと。センターのひとつのポイントは「集学化」ということにありますね、呼吸器センターとか。
 ○野田勇喜雄委員 あの、少し理解できましたので。なるほど、そういう風な形の、「センター化」と考えれば良いということでしょうか。
 ○阿曽沼委員 そうですね。「センター化」というものが具体的もある中では、形態としては非常に近いですね。
 ○野田勇喜雄委員 あとですね、もうひとつ、経営=利益追求ということなんですけども、確かに横浜等の資料見せていただいたときに、PFIでということで両方、救急も対応していく、だけど市立病院の方は余計にお金がかかっている。持ち出しが、所謂バリュー・フォー・マネーというかそこら辺がかかっているということなんですけども、この辺のイメージがまだまだ、聞くだけなのでまだ理解が、議論できるということですんで、経営=利益追求ということがですね、病院サイドでも分かんないし、市民ですね、地域の人も分かんないと思うんですね。「そんなにも儲けとんなら、もうちょっと安くせいよ」とかですね、そんな言葉に変わってくるんじゃないかなと思うんですけど、この辺の対応というのは「ペイする程度だから良い」という認識なんでしょうかね。
 ○阿曽沼委員 基本的にはですね、例えば「利益を何に配当しますか」というのが問題ですね。株主に配当しますか、市民に還元しますか、地域に還元しますか、もしくは医療の高度化のために還元しますか、そういうものがきちっと明らかになってないと、ということですね。例えば減価償却前10%の利益が出ましたと、この10%は実は新たな医療機器の更新に使いますと、もしくは新たな人材確保に使います、新たなセンターのために使いますというようなことが明らかになっていれば、説明をして理解を得なければならないが、利益は医療の拡大再生産のために必要なんですという認識が生まれてくると思います…。ですから、言い換えれば「赤字が美徳だ」という学問をするでしょう、ということなんです。
 ○野田勇喜雄委員 ひとつですね、民営化しなくても病院の場合ですね、公的に対応すればそれでも同じじゃないかなというイメージがまだあるんですよね、僕なりに。経営感覚を首長から離して、それこそ病院事務長みたいな形に全権を委任するとか、ヨーロッパのように公募して採用して全権を委任するとか、そういう風な方向で制度というか、病院運営法の制度を変えていけば良いんじゃないかなというふうに思うんですけども、これどうなんですかね。
 ○阿曽沼委員 先程言いましたように、全適でうまくいくことはいくらでもあると思いますし、全適とPFIでうまくやるという手もあると思いますし、公設民営として指定管理者制度をとるということも良いと思います。基本的には今仰ったように、誰が責任をとるのかということ、人事権と予算執行権を持ってそれに対する責任を持っている仕組みをつくり得るか、ということになります。じゃあ果たして行政が、Aさんという人に本当にこの病院の経営を任せられますか。何か分かんないのに、いろいろ言いたくなるじゃないですか。それじゃあなかなか良い人は来ませんよ、というようなこともありますから、その辺は、いろいろ議論を深くしていただく。これ難しいですね、この全適があり、一部適用だ、PFIだ、指定管理者制度だ、民間移譲だってのがあるんですが、あともうひとつは先程言った独立行政法人の非営利・非公務員化と公務員化と、それから鈴木先生がお話になる社会医療法人が受皿で出てきたのがあるんですが、ものすごく今、選択肢が広いです。
 ○野田勇喜雄委員 今の制度はですね、医療が増えていけば当然病院経営はいいんだけれど、増えることによっての負担というのがですね、国民のね、その辺をどういうふうにしていくのかなというのも相対的に考えていかなければいかんのかなという思いがあります。ありがとうございました。
 ○野田由美子委員 大変興味深いことが沢山あるんですが、ちょっと一点だけ教えてください。先程横浜市の市立病院と地域の中核病院の比較というのがありまして、結果としては横浜市の負担も少なくなって、損益も減ったということなんですが、負担の理由としてそもそも「診療機能がどうだったのか」ということがあって、その「不採算医療をするのかしないのか」というような話と、それから「同じ診療機能なんだけれども更に民間ということで柔軟性ですとか効率性とかいうことで良くなってる部分」の、ふたつに大きく分かれるだろうと思うんですけど、その辺のバランスはどんな感じなんでしょうか。
 ○阿曽沼委員 医療体系・体制は殆どまったく変わらないし、むしろ、例えば北部病院の経費の内訳は政策的医療にかける母子の周産期、市民病院と北部病院のどっちがといえば、むしろ北部病院が救急・精神を、周産期、救命救急の提供に対しても北部病院の方が対応していると理解しています。
 ○野田由美子委員 じゃあ同じかそれ以上の診療をしながらも、より少ない負担でできていると。
 ○阿曽沼委員 ここでなぜ、負担があるかということは、ここに救急・母子、救急・周産期、小児救急、救急・精神、地域における行政の役割としてやっていかなければいけないというような医療があるわけですが、これは、事業者との契約の中で、この医療をやりきりなさいという契約の下に、公益の話として指定管理者として経営を任せているので、実はこれを受けている設立形態の母体のやりきる義務なんです。だから、ここはきちんとやらないと、自治体立と殆ど一緒になる。
 ○野田由美子委員 端的に、いろんな要素はあるんでしょうけれども、具体的にどういう理由によって、そういう経営改善が進んだのかっていうのは、どんな感じなんでしょうか。
 ○阿曽沼委員 よく分かりませんけれども、基本的には人事権をその組織が持っている。ということは、所謂PFIはどちらかと言うと、コ・メディカル・スタッフの一部とノン・メディカル・スタッフの人材にしか権限を持たない。だけど、病院の経営は、あくまでもコア業務の人材の人事権を持たない限り経営っていうのは責任もてませんから。そこまで全て経営に含めるっていうことに、やっぱり、重要性があるというふうに思います。ですから、公的病院の医師の人事権ていうのはしょうがない。例えば17年度中に確保するにしても何にしてもしょうがないわけです。
 ○野田由美子委員 人事権の柔軟性によって、医療の質が上がって、そもそも収益の方が増えてるのか、それとももっとお給料を減らすとかコストサイドの方で良くなったのか。
 ○阿曽沼委員 収益が増えている。コストを削減するっていうことは限界ですよね。
 ○野田由美子委員 わかりました。すみません。
 ○阿曽沼委員 人件費は民間の医師の方が明らかに高い。看護師や若い人材が民間に行き、年をとれば公的病院へ移る。コ・メディカル・スタッフは年収2~300万円くらい。民間がやっていけるのはどうしてかと言うと、コ・メディカル・スタッフの人材の流動性が高い。それから、事務部門の流動性も高い。
 ○石原委員 一点だけなんですけども、医療福祉大学の事例を教えていただいたんですが、ケアミックスという部分が出てきたと思うんですね。それで、医師をあれだけ増やしてですね、収益を上げてくというところで、ケアミックスが果たした要因になっているというような、イメージとして教えていただきたいんですけど、ありますかね。
 ○阿曽沼委員 今この例えば熱海ケースでの、専売の三田ケースも継承、あくまでも継続です。ただ当然自治体よりも自由度があるとすれば、特養とか介護施設とかいろんなものが建てられるというところがあるので、それは市の状況を見ながら、例えば介護保険施設とか、ディケアセンターを入れるとかということは出来る。ヒヤリングするとすれば、ディケアセンターとか、在宅のリハビリだとか、そういった地域にサービスを、出て行く方でなくむしろ来ていただく外来のサービスを、良くした。それ以外のところは一緒です。
 ○石原委員 なるほど。余り、現時点では要因としては大きくないということですね。その話でいくと、社会医療法人なんかは、ケアハウスとか老健とか、ああいうことが流動的に出来るというような制度になってこようと思うんですけど、これはちょっとこの議論とは離れるんですけど、戦略としてはですね、その御大学がそういうことを考えながら、こういう民間として出て行くメリットがあると判断されたのでしょうか。
 ○阿曽沼委員 この熱海のケースで言えば、多くの大学、多くの医療機関は、継承義務をしたんですけども、なかなか入れなかったと言って最後に残ったんです。ただですね、誤解しないでいただきたいのが、継承に当たって税金が投入されてます、市に市民病院がありませんから、市の税金が入ります。3年間赤字を補填してくれる、3年以降一切ありません。そういう意味で、市からも補助、そういった役割の中で我々の、すべての経営状況を理解しております。オンブズマンとか経営諮問会議とかで市民の方が入って監視されているという状態です。
 ○野田勇喜雄委員 これ3年終わったらどうなるんで。
 ○阿曽沼委員 今もう監視されています。3年間税金入りますが、それ以降は入りませんので監視から外れる。
 ○石原委員 そうするとそういう監視からは外れる。なるほど。余り、次回からは掘り下げて。
 ○古宮委員 これだけ熱海にお医者さんが戻ってくるというか。驚異的な人数なんですけれど。これは、さっき仰ったように給与ではないと。何がこれ決め手になったのか。
 ○阿曽沼委員 現実的に見るとやっぱりコストと言うんでしょうかねえ、大学病院ですから、大学としての保証、研究ができるという保証ですね。それからもうひとつは、来ていただくための条件提示ですね、例えばこういった技術スタッフ、環境の中で、こういった医療をと、この思いをお話しすることですね。それから一番大きいのが人材確保のための、所謂人材確保委員会をつくりまして、院長先生をはじめ、すべての診療科で毎日のように、各診療科の先生が、自分の思いで、誰かに言ってじゃなくてお話しする、事務官は自分の職場環境の中で、常に医師・看護師を含む全ての職員が毎日のようにやっている。医療機関でそこまで徹底的に人材確保をやるのは、ないと思います。
 ○大住委員長 それでは、熊木委員より「公的病院改革の事例 ~地域医療の完結性と効率性の両立」についてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 熊木委員より、「公的病院改革の事例 ~地域医療の完結性と効率性の両立」資料に基づき説明。

 (質疑・応答)
 ○大住委員長 はい、ありがとうございました。それでは、ただ今の件について、ご質問があればよろしくお願いします。
 ○大住委員長 すみません、一点だけ。岩手県の県立病院の数がこれだけ多いんですが、市町村、基礎自治体の病院は、どういう形で配置されているんですか。
 ○熊木委員 ちょっと分からないですね、すみません。たぶん市町村とかの病院もあると思うんですけれども、県立病院だけでこれだけある。ただ、本当の過疎地へ行きますと、県立病院の人との話で具体的に調べた訳ではないんですけど、かなり岩手県立病院自体が独占している地域が結構あるということでした。だから逆に独占していて効率が悪いってことがですね、何か改善してほかの病院から患者を奪って来るとかそんなようなことが出来る状況じゃないんで、非常にそういう意味で言うと厳しい状況だってことで、これ特に沿岸部とかですね、過疎地の方へ行きますと殆ど県立病院で独占しているような状況です。まだ、盛岡とかああいうところに行けば、民間病院も沢山ある。
 ○北川委員 オープンベッドの話なんですけど、先生にお答えいただけるか、阿曽沼先生にお聞きした方が良かったんですけど、中津市民病院の事例で、民間の医師が市民病院へ行って手術するという場合にですね、入院も伴う場合も実際にはあると思うんですけど、その場合に市民病院側に科目として設置されてない科について、例えば耳鼻咽喉科はそうだったと思うんですけが、手術してその後入院することは、医療法上の制約はあるんでしょうか。それともベッド数なんかも常に確保しておかなきゃならないのか、「空いてればやるよ」というレベルなのか、その辺をもし情報として知ってられたら…。
 ○熊木委員 この例では分からないんですけど、一般的に地域医療支援病院に認定されているところはオープン病床を持っていて、例えば3床とか4床とかに関しては常に空けておくとかいう体制をとっていると思いますね。
 ○阿曽沼委員 地域支援型の病院としても、機能をどういうふうに確立をして、指定を受けるかということがあると思いますし、ただ個別の病気で、病気全体をという訳にはいかないだろうし、機能のサービスレベルに行かないでしょうから、そこはやっぱり常に地域と協調しながら本当に受け入れられるか、受け入れられないかということはどっかでガイドラインを決めておく、若しくはボードメンバーを決めて病院として受けられるか、手術できるかということを常に考えておく。手術の場合だと、お医者さんよりスタッフがものすごく影響されますので、看護師さんとかですね、機材とかですね、ですからすべての病気に対応できるということではないですね。
 ○熊木委員 こういうのは、珍しいと思いますね。手術なんかだと、大学が変わっただけで、手術で扱う機材が違うとかですね、非常に、なかなか環境変わったらそこで手術ができるとかいうのは、今の普通の病院ではなかなかそういう状況じゃないんですが・・・。
 ○阿曽沼委員 大分って昔から、30年位前から大分市の医師会の病院が完全なオープン病院で、日本で初めてつくったんですね。確か菊川先生ですね、何か有名なやっぱり、大分県というそのものがそういう連携というものに関して30年位前からですね、非常に先進的な取組を医師会もしてましたんで、こういうことができたのかなと推察いたします。
 ○北川委員 やっぱり、そういう土壌があるということですね。分かりました。ありがとうございます。
 ○野田勇喜雄委員 先生がいないと診療科ができないという認識、既成概念があったんですけどね。これ、診療報酬が請求っていうのは、診療科を持ってないと駄目ですよね。そういうことではないんですか。ですからひとりぐらい先生おって、連携するっていうのは分かるんですけど、なしでしょ、全然先生がいないのに、外から勤務医だということですから、非常勤で設けることは可・\ですけども、この請求は非常勤になると下がってくとかそういうふうなイメージがあるので、ですから先生が一人いりゃ対応できるんですけど、いないような診療科に対しても同じようなことができるんですか。
 ○熊木委員 外来なんか岩手県の例なんかですけど、全然診療科いないところに、例えば週に一回とか月に一回とか精神科の医師が来て対応するとかやられてます。ただ、問題はその外来だと週に一回とか決めたときに患者さんが来るからできますけど、病棟とか入院は、医師がオーダーできないと、スタッフが動けませんから、入院のところは難しいと思います。
 ○阿曽沼委員 これあの現実的な運用としてはですね、診療科、病気というものを時代時代ごとに、そこの先生の需要を踏まえながら、やっていかなければ。例えば整形外科がないとすれば、整形外科の脊椎の手術がとっても受けられないはずですし、ただ、その脊椎の病院が手術がきちんとできないとしたときに、ほかの麻酔科だとか病理とか放射線の治療の先生が必要だからどうしてもやりたいということになれば、例えば外科で受け入れるとか、脳外科で受け入れるとか、いくらでもやり方があるので、そこは制度的にどう中津市民がやっているかということは、詳細をチェックしないと分かりません。大分知恵を絞られていると思います。
 ○野田勇喜雄委員 イメージとしてはね、しっかりしているというのは分かるんですけど、現実的にやろうとすると、今度は成果の問題でですね、診療点数が下がっていく、同じことをやっても診療報酬が下がっていくとよく言われてますんで、何か難しいということを。偏見というか、成果を身に付けられている中で、そういうことして本当に経営がうまく行くのかなと。先ほど先生も言われたように先端性というものをしっかり考えて行かないと、逆に大きな、先進的な事例だけと、一部は逆方向へ行くようなことではまったく効果がないとか意味がないと思いますんで、また、次回、その辺をお願いします。
 ○大住委員長 それでは、鈴木委員より「社会医療法人制度の活用についてご説明をお願いしたいと思います。

 鈴木委員より、「社会医療法人制度の活用について」資料に基づき説明。

 (質疑・応答)  ○大住委員長 はい、ありがとうございました。それでは、ご質問があればお願いします。
 ○野田勇喜雄委員 一番最初に自治体病院の受皿ということで、何かよく分からないんですけどこれは、社会医療法人というのは所謂人材派遣会社になっても良いということなんですか。
 ○鈴木委員 いいえ。
 ○野田勇喜雄委員 違いますよね。
 ○鈴木委員 はい。
 ○野田勇喜雄委員 それでですね、人件費の抑制とか、良く働く機能性の向上ということの説明していただいたんですけど、御免なさい、ちょっと良く分からない。何が社会医療法人の良いところなんですか。課税…。
 ○鈴木委員 実は、まだないので良く分からないというのは私も同じなんですけど、基本的には、自治体が実際に自分で運営しない場合に、これまで民間の方に運営を委託されてきておりますよね、それを指定管理者等で指定してるっていう今の制度になってきているんですけど、これまでだったら公益法人だったところが、今後は医療法の中で、それに相応しい団体がつくられると、それが社会医療法人になりますので、考えるときはこれまで、例えば医師会、地域の医師会、あれ社団です、に委託していたようなものを、今後は社会医療法人になった団体に委託するという流れに整理されていくと、いう風にお考えいただければいいんじゃないかと思います。
   これまで、公益法人というのは民法上の財団・社団なんですね、が医療も担ってきているんですが、実際そういう団体数多くあるんですけども、実際今あるところを別にすれば、今後公的、公益性の高い医療を担う団体というのは、社会医療法人で整理されてくるだろうと、所謂整理統合の流れですね、という風に制度が構築されてきてますので、…
 ○阿曽沼委員 医療法人て実は複雑なんですね。持分のない医療法人、持分のある医療法人、持分の医療法人社団、医療法人財団がありますね、それと特定医療法人と、特別医療法人があって、それの受皿として所謂出資額限度法人という制度を創ったんですね。そこの中で、所謂特定特別医療法人というのは、それなりに「収益事業をしてもいいよ」ということで、例えば自分の老人ホームで病院がつくった食事を出しても良いよということで、少しずつ自由度が上がったんですが、社会公益性をもっと高めるためにということと、実は医療法人という直接経営手段を持っていませんから、病院債を発行できても、所謂起債のような自治体が発行するような起債のレベルの大きな大型の債券て発行できないんですね、ほとんど私募債ですから、それを所謂「病院債」として公募債が発行できるように組織形態がね、実は今有効じゃないんですよ。それも含めて、なおかつ収益事業もあって、なおかつこういう規制があって、持分がないという透明性と公益性を担保するような医療法人をつくろうということで、医療法人改革ていうのがあって、特別特定医療法人ていうのを整理して、社会医療法人に一本化していこうということなんですが、これはまだ非常に不透明で、今鈴木先生が仰ったように、当然自治体からの受け皿だったり、自治体税金払ってませんから、「無税にしろ」と言ってる訳ですが、当然無税になるなんてありえなくて、財政当局、財務省は20%と言ってるんです。今、特定特別は22%ですから、そうなってきた時にどうするかというのがあって、ただ自治体には無税だったのが、自治体が社会医療法人をつくってくれて、やれば、自治体は税金もないですから、それはもう良いんじゃないか。それから、起債の代わりに病院債を発行できますから、そんなことということで期待されているんですが、まだちょっと不透明な部分がある。
 ○鈴木委員 そうですね。不透明ですね。で、まあ、そうは言っても、やり方自体はいろいろあるので、さっきの公設民営にしとけばある程度、起債内容は自治体がやってというかたちで整理が出来ますし、そういうふうに枠が見えないところでお話してるんで、大変お話し辛いんですが、当初の予定ではさっきの社会医療法人に整理できないかなぁというところで動いております。
 ○野田勇喜雄委員 分からないのはですね、所謂地域の自治体の病院がありますよね。それを担保するようなものではないんですよね、僕は担保できるようなものかなと思ったんですけども。
 ○鈴木委員 いえ、勿論違います。結局、まず自治体がやっていることを自分がやるか、人に任せるかという選択のところで「人に任せますよ」という話が出た場合に、じゃあ誰にというところで選択肢のひとつとして上がってきているというところです。
 ○阿曽沼委員 まあ、社会医療法人というのはまだ影も形もないので、特定医療法人とか特別医療法人とか持分のない医療法人が、自分は要件を揃えて社会医療法人になると言ってなるというケースもあるし、例えば自治体と医師会が出資をして社会医療法人をつくっても良いんじゃないかなというふうに思うんです。だから、今、国立病院機構が、社会医療法人に認可しちゃったらということもあります。ですからそういう公的セクターが、医療法人に移行しやすい受皿をつくったというふうに理解をいただきたいと思います。
 ○野田勇喜雄委員 メリットがね、あんまり良く分かんなかったもんで・・・。
 ○鈴木委員 そうですね。
 ○阿曽沼委員 実際から見れば、起債、普通の医療法人になっちゃえば、所謂公募債とれませんから…。
 ○野田勇喜雄委員 自治体がやってきたところでやれば、対応できる。
 ○阿曽沼委員 そうです。資本力が上がれば、公募債を発行しやすくなる。
 ○鈴木委員 制度自体複雑、自治体の制度も複雑なので、社会医療法人が必ずメリット出せるかと言うと、難しいところではあるんですが、ただ今民法上の財団とかで、新たな設立というのが、基本的に余り予定されていないんですね。同じことをやろうとしたら、多分社会医療法人になってくるんじゃないかなと言われております。
 ○野田勇喜雄委員 田舎の方で、なかなか患者も同じ人が繰り返し来る。難しいなぁと思います。ありがとうございます。

2.委員協議
 ○ 次回の委員会について
   6月26日(月)13時から15時まで、東京にて開催とする。
   議題は「病院事業の民営化について」を議題とする。
   詳細は、事務局から連絡する。

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