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三重県議会 > 第3回会議録

第3回 会議録

開催年月日   平成17年6月2日(木)  15:00 ~ 17:00
開催場所    東京都千代田区平河町2丁目6-3 都道府県会館403会議室
出席委員    7名
   委員長      大住 荘四郎 氏
   委員長代理   君浦 康友 氏
   委員        佐野 慶子 氏
              野田 由美子 氏
              森下 隆生 氏
              石原 正敬 氏
              野田 勇喜雄 氏
  オブザーバー   地下 誠二 氏
 欠席委員   0名
 傍聴者    0名
  (注)本会議録中、別添資料の内容については、著作権などの関係で項目のみを記載しています。

【会議の経過とその結果】

(議題)「水道事業民営化に関する国際動向」について
  野田由美子委員より、別添資料に基づき説明。
  EU諸国におけるPFI/PPPの導入状況
  世界の上下水道民営化の形態
  英国及びフランスの水道事業民営化の形態
  我が国の民営化への示唆 他

(主な質疑・応答)
○石原委員 7枚目のスライドについて、英国では水道事業民営化において、3つの監視機関(1.水質の監視、2.汚染防止及び環境管理、3.料金設定・経営監視)を設置しているということだが、これは元々国の機関にあったものを特出ししたものか。
○野田由美子委員 民営化に際し新たに設置したのは、料金設定と経営の監視を行うOFWATで、一般のセクターでもそうだが英国では民営化をするにあたっては、必ずこのような第三者的監視機関を設置する。最初の2つは、おそらく環境省の中でそういう機能を担うセクションをつくったと思う。
○石原委員 第三者機関ということは、国から独立したものか。
○野田由美子委員 省庁の一部ではなく議会直結で設置されている。
○石原委員 9枚目のスライドに、「英国では水道事業民営化の結果、99年には平均約60ポンド値下げ」「民営化地域では22%上昇」とあるが。
○野田由美子委員 「民営化地域では22%上昇」というのは、88年から99年の話であり、「99年には平均約60ポンド値下げ」というのは単年度の話である。基本的には民営化後に経営の安定化を図るために水道料金を値上げしたいという意向があった。その後、経営の効率化を行った結果、99年には値下げすることができたということである。
○石原委員 現在の水道料金の状況は。
○野田由美子委員 おそらく横這いで推移していると思う。
○石原委員 漏水率ということであるが、日本の水道漏水率は悪くないと思う。日本の水道のファクターとしては重要でないと思うが。
○野田由美子委員 日本の水道の漏水率がどれくらいか分からないが、英国の場合、水道に限らず公共サービスの質が低い国である。日本の場合はむしろ効率化によるコスト削減への期待という方が当てはまる。
○石原委員 11枚目のスライドであるが、フランスの水道事業民営化において公共が民間に施設を貸し付け、リース料を受けているが、このリース料は、利用料金による収入見込みから設定しているのか、設備投資に対してリース料を決めているのか。
○野田由美子委員 基本的に料金のあるべき基準があり、そこでマネジメントできる範囲で、民間の利益も考慮し、少し低めに設定している。
○野田勇喜雄委員 我が国の民営化への示唆ということであるが、英国では監視機関を3つ設置し、それが議会に直結しているということであるが、日本(報告を受ける議会)と英国(議会=執行機関という内閣制)の議会制度は少し異なる。どれだけ出資した中で三重県も出資法人の25%以上は報告を義務づけるという制度を総務省におかしいと言われながらも作ったが、国も良いんではないかと認めつつあるので、そういう監視機関もできるのかなと思う。英国とは制度や組織も異なるので制度や条例を変える必要もあり、そうなると総務省も巻き込む必要がある。その辺の問題をどうするのかな。なんとかやれば出来るとも思うが。具体的な対応は。どのように三重県の議会として、日本として取り組めるのか。教えていただきたい。
○野田由美子委員 OFWATという英国の機関は、国で一つの機関である。個別の自治体ごとに監視機関を作るべきか、それとも国で一本化して設置するべきなのか、日本の場合は分権が進んでいるので、国の機関で監視するのは合理的ではないと思うので三重県として考えていかなければいけない。やはり住民から見て透明性があり、料金などを監視できるような組織体が望まれる。そこに、住民代表やNPOも入り、ニュートラルな立場で監視する必要がある。
○野田勇喜雄委員 民営化というのは、全部民間化ではなく、公設民営化という形態もPPPの中にあるということで、実現の可能性もあると思える。基本的には既設の施設であり、民営化を全部というと色んな心配が生ずる。契約の中でやっていくのかリース料を含め先ほどの説明の中でやっていけば、これまでの投資したお金は返ってくる。それを見ながら何%返したらよいのか等の基準の中で考えれば、市民レベル、議会レベルの中でいっても納得できる範囲内の詰めの段階でやっていけるのかなと思うが、そういうイメージで良いのか。
○野田由美子委員 それで良い。後は、老朽化した施設の将来的な改修を、誰に負担してもらうか、料金の中からなるべく返してもらい足りない部分をどう調整するか、公共で負担するか等、色んな方法がある。基本的には、全部を民間に委ねることが難しければ、改修資金と経営ノウハウをどう活かしていくかをセットで考えないといけない。
○佐野委員 民間の受託者の立場でお聞きしたいが、7頁の3つの機関が監視をし、25年の運営ライセンスが付与されるということであるが、まだ民営化後25年経過していないので、ライセンスの見直し作業の実績は無いと思うが、継続企業という観点であると25年という期限があるが、この間の企業側の防衛策として多角化等何か具体例はあるか。
○野田由美子委員 多角化というより、むしろ対外進出を積極的にしている。英国のテムズウォーターは、今は少し買収されIWEの傘下に入っているが、かなり対外進出している。これはフランスにしても英国にしても自国のマーケットが通風にさらされており、しかも地域分割(地域しか活動できない)という状況の中で、いかに海外で契約をするかというところが大きい。
○佐野委員 運営ライセンスのチェックポイントとして、3つの監視機関がそれぞれ行うなかで、OFWATの経営監視というのは、海外進出も含めた財務体質などを見ることか。
○野田由美子委員 そういうことである。
○佐野委員 所管地域内における業績評価以外に評価されると言うことか。
○野田由美子委員 現実に海外を含めてどこまでということは分からないが、きちんと存続しサービスが供給されるようにという意味で、広く経営監視している。
○佐野委員 25年の間に経営リスクを避けるべく策をとらないといけない。ライセンスの更新ができなければ企業存続ができないという覚悟で行わないといけないことか。
○野田由美子委員 そういうことである。
○大住委員長 8頁に英国の年間水道料金のキャップ制の説明があるが、非民営化地域の水道事業についての料金設定も同じ方式で行っているのか。それとも、総括原価方式という伝統的な手法で行っているのか。
○野田由美子委員 おそらく英国の特性からすると、非民営化地域でも同じ手法で行っているのではないかと思う。
○大住委員長 その時に水道事業の特性を考える必要がある。他の事業であると、売り上げを伸ばす方法があるが、水道についてはそれも期待できない。そうすると利益を伸ばすには経営の効率化しかない。例えば漏水率を下げたり、規模を拡大、広域化により効率性を高めることしかない。さらに水道事業者の方から自発的に料金の値下げには動かない。料金を下げても売り上げは増えないので、このキャップというのはかなり指導的なキャップなのかなと思うが。
○野田由美子委員 そういうことであると思う。後は、海外に進出するしかないと思う。
○大住委員長 他の公共料金のように、あまり厳密に考えずにプライスキャップをしているものもあると思うが水道はそうではないと思う。
○君浦委員 漏水率は、物事を考える出発点としておもしろい。要は、なぜ民営化して儲かるのか。民間はどんなインセンティブがあって入ってくるのか。儲からないと出ていかない。やはり、漏水率も含めた元々の事業の非効率性が前提となって民間に移管が行われるというストーリーを踏まえないといけない。日本の漏水率は英国ほど、全国的に見てもこんなに高くない。ここが利益の源泉にならない。むしろ、今ある体力の中でやるのであればリストラで、それにも限界がある。さらに行うには、広域化というストーリーを描かないといけない。あと、監視機関、これはキーポイントで、最後は住民に対する説明責任は最大のポイントで、それを別の人が説明する必要がある。英国はこうだが、他にそういう組織を作り、定期的に監視をし必ず住民に説明を継続し行う必要がある。
○石原委員 その議論であるが、現状のオラビアの水道事業体でも説明責任を十分果たしているかは難しいところがある。これから新たにこういうものを作る必要があると認識した。料金設定で民営化しても料金が低くなる可能性は少ないということだが、ガソリンスタンドは民が行っているのに、一斉にあがったりしている。下がっても売れるかということも疑問である。
○森下委員 価格や経営的魅力がないと企業は進出してこないということだが、この事業の性格上、一時の大儲けは出来ないが、かなり安定的に事業を継続できることが見込める。そこに、民の入る余地はあるのではないか。それで、海外の水道事業の話だが日本の場合、水を得るためにダムを設置したりかなりの初期投資がいると思うが、フランスなどは川の水をもらうだけではないのかなと思う。日本の場合、島国なので地下水も少なく、河川も小さい。
○野田由美子委員 たぶん、そうであろう。他の国が完全民営化していても、そのような環境の違いもあり、日本にそのまま適用できない。
○森下委員 上下水道一体で、同じ会社で行っているのか。
○野田由美子委員 同じ会社である。日本でもそうであるが、庁舎管理の整備運営にPFIで民が入ってくるのは、やはり20年、30年と長期契約の中で安定的に収入が得られるからである。特に、英国の民営化は売却型ではなく、今あるものを市民が株を持ち上場して民となり、より効率的な運営を行っている。
○佐野委員 長期的安定収入が得られるのが、民にとって進出するメリットということだが、英国の例でも25年でライセンス付与の見直し、当然、今の日本の評価を見ていても年次評価が入ってくる。25年間黙って見ているのではなく、そうなったときに設備投資をした場合の安定的経営を補償するのは難しいのではないか。むしろリスクを承知した上での企業経営の方が長短期安定経営が見込める。
○森下委員 1社が入ると、他の企業が入ってくるのが結果的に困難であるという意味である。
○佐野委員 それを表に出すと、マンネリ化や効率化に障害が出る。
○野田由美子委員 だからこそ経営値を決め、監視することが重要である。
○君浦委員 水道事業は、住民の数も安定しているので経営も安定している。しかし、これは設備投資が適正になされ供給レベルが保たれていることが前提。一方、資産規模が全国で30兆円あるが、3兆円しか売り上げがない。けっして資産効率が良い事業ではない。厚生労働省の統計でも、年間2兆円の投資を行わないと適正なサービスが維持できないと言われている。ここの投資を誰が負担するのかがポイント。今までは資金調達の心配がないという前提で動いていた事業だった。

(議題)「長野県企業局事業の民営化」について
  大住委員長より、別添資料に基づき説明。
  ガス事業継承会社設立評価会の選考経緯など
  民営化検討委員会の提言(目的、検討方法及び検討結果など) 他

○森下委員 民営化がなされたガス事業に関連し、現に働いている職員の処遇の問題は。
○大住委員長 広義の民営化も含め全ての民営化に言えることであるが、ガス事業に関連し職員に対し「新会社設立後に、その会社で働くか、公務員をとるか」といったアンケートをとった。大半の職員は、事務職のみならず技術職でも公務員を選択。実際は、5年間は県が一定額を出資するので、出向手続きということで県から職員を派遣できる。段階的であるが、5年後は県職員の新会社への就業者はゼロになる。5年間で気が変わる人が出てくるかもしれないので、そういう人については、基本条件にも書いているが、本人の希望があれば雇用補償するようにしている。
○野田由美子委員 全体の職員の内、県から派遣されている職員はどれくらいか。
○大住委員長 たぶん、80%くらいであると思う。
○佐野委員 長野モデルの場合、ガス事業についての評価・監視はどうするのか。
○大住委員長 5年間は県が出資とともに監査役を派遣する。5年後に出資を止めるので、後は通常の公共料金(公益事業)の面での関与が残る。
○佐野委員 監査役以外の役員構成は。県の関与はどれぐらいあるのか。
○大住委員長 新会社を設立するときにやりとりはあったと思うが、監査役一人のみ県である。
○野田勇喜雄 電気事業、水道事業について、三重県企業庁の今の課題であるが、長野モデルを参考に三重県としてどのように取り組むのか。
○大住委員長 電気については、債務超過である。多目的ダムをいくつか造っておりその償却費用が負担となり、電気の単価が高くなっている。とはいってもかなり前に造ったダムはそれなりに大丈夫なものもある。おそらく中部電力に売却の交渉を行ったときに対象の選別をされる可能性がある。おそらく県の電気事業に関する情報を中電は持っている。多目的ダムを造るときに他の用途もあるが、ダムを造り発電事業を行いそれを中部電力が買い取ることは明らかであるので、中部電力に丸ごと買い取ってもらうのが通常。有利子負債額をどれくらい上回っているのかというだけ。それが中部電力の受入許容範囲内かどうかということである。水道事業については、おそらく市町村へ広域化する形で移管するという形になると思う。
○野田勇喜雄 電気事業、水道事業について、なかなか完全な民営化はあり得ないという気がする。電気事業の場合は長野と違い少し考えやすいと思う。水道事業の場合は、三重県としては卸をやめて、地域の公共に変わると言うだけで、あまり民営化がみえてこない。今日の話の中で、部分的な民営化はあり得ると思えるが、三重県としての切り口は。
○大住委員長 一番の重要なポイントは、事業継続の可能性である。規制緩和などが無く、事業環境が変わらなければこのままでも良いが、電気もこのままでは行かない。ガスについては天然ガスを家庭にストレート供給に替えるための設備投資が必要となる。公営ガスの場合、ノウハウがないので民に委託する必要がある。委託して設備投資をするよりも民にやってもらう方が良い状況。水道もそうかもしれない。今のままでは、どんどん需要が減ってくる。広域化による効率化、場合によっては部分的に民営化をし効率化を行いコストを下げるしかない。事業の継続性という視点で、個々の事業の洗い出しをし、論点を整理し、問題点をどういう手段で回避するのか。回避する手段として、水道の場合、広域化と民営化手法がある。電力の場合、小売りがないので、電力事業者に買ってもらうしかない。あるいは、事業の継続性という点で十分耐えられるなら、そのままでも良い。電力の場合も平成22年以降になるとどうなるか分からない。電力会社への売電単価が下がる可能性がある。

(その他)
1)委員会での検討スケジュール(案)について
 2月までに、これまでの分も含め10回の検討会を行い、民営化への提言を行うこととする。
 6月7日には、企業庁において「第1回検討会」が行われる予定で、現時点では「検討会の進め方等」について協議される予定。
 企業庁の検討会の動向も踏まえながら、議題の変更などを行い臨機応変に対応する。電気事業の検討は、1回で良い。

2)次回の委員会について
 7月19日(火)10時30分から2時間程度、東京にて開催する。
 議題は、総務省より「民営化施策の動向等」を、企業庁より「企業庁の課題及び事業展開方針」をご説明いただく予定。最後に、これまでの検討会において検討された水道事業における民営化についての論点整理に基づき検討を行う。
 詳細は、事務局から連絡する。
 なお、次々回は、8月8日か23日のいずれかで、三重県で開催する。
(後日、調整)

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