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平成20年第2回定例会 陳8

受付番号・件名 陳8 三重県情報公開条例一部改正反対について
受付年月日 平成20年11月25日
提出された
定例会
平成20年第2回定例会
所管委員会 生活文化環境森林常任委員会
項目  1 陳情の要旨
  県が計画している三重県情報公開条例の一部改正は、条例の目的である「知る権利」、「請求する権利」、「県の保有する情報の一層の公開」、「説明責任」のいずれにも反している。
  県は主権者である県民の信託を受けており、県民に対して、自らの諸活動を情報公開制度により説明する責務を負っている。しかし、今回の条例の改正は、主権者である県民に不利益のみを課し、「行政文書の開示を請求する権利」を侵害し情報公開を回避しようとしている。県は条例改正の根拠として、情報公開に伴う事務量が膨大なことを主な理由としている。しかし、その根拠となる数字は、朝日新聞などのマスコミの取材に対して、事実と反した過大な数字を偽って提供した。このような改正は、「三重県情報公開条例」、さらには「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(以下、「情報公開法」という。)の趣旨にも反し、時間の歯車を逆行させる、時代錯誤も甚だしく県議会に提案を予定している情報公開条例の一部改正を慎重に審議し、可決しないことを陳情する。

2 陳情の理由
  三重県は、平成20年10月4日付において三重県情報公開条例の改正概要を同20日に改正案を公表した。内容は、第一に現行条例第9条第1項の下段に非開示情報に係る部分をその写しにより行うことができる。第二に現行条例第18条に対する第2項、第3項及び第4項の新設が骨子となっている。このうち第二で開示方法と開示の場所を条例制定から平成20年3月30日まで公文書の開示は、原則として情報公開・個人情報総合窓口及び地域機関(現行条例第18条の規定に準則した解釈・運用第5号)で行いながら従来の確立してきた方式を改正しようとしているのが主たる改正案である。すなわち、改正案第18条第2項及び第4項では、地域機関が保管している事務所で開示を行い、当該地域機関以外で開示するときは原本ではなく写しでおこなうとしている。

 1 地域機関での開示が不合理なこと
   平成8年に発覚した旅費の不正流用の再発防止策として、前知事は情報公開の一層の促進を県民に対して約束した。これにより、従来から、地域機関保有の文書は情報公開・個人情報総合窓口で開示されてきた。これは、開示請求人の利便を優先して考慮したにものである。
   南北に長いという三重県の地理的特徴から、北勢の県民が、志摩や熊野に所在する当該地域機関まで出かけて開示を求めようとすると多大な経済的、時間的な負担を覚悟しなければならず、開示請求人の「開示を請求権」を著しく制限するものである。条例の目的であるすべての県民に対して「知る権利」を保障した情報公開条例の趣旨は空洞化してしまうことになる。
   県は、地域機関が保有する文書を情報公開・個人情報総合窓口で開示するのは地域機関の負担が多すぎるというが、地域機関には、情報公開の開示を受ける環境さえ整備されず、窓口さえない。県は、行政活動の基礎となる行政文書を公開・開示するのは行政者たる県の責務である。そのための労務負担は民主的な県政を担保し、保障されなければならない当然のことである。  

2 県民の権利を無視する開示場所と日時の一方的指定
   改正案では、開示場所の場所と日時について実施機関が指定するとしている。その理由として、現行の情報公開条例において明確な規定がないためとしているが、三重県の定めた「情報公開条例の解釈運用」では、開示場所は原則として情報公開・個人情報総合窓口及び地域機関で行うと明文で記述されている。また、県は情報公開条例の施行以来、20年間にわたり、公文書開示は、情報公開・個人情報総合窓口で行ってきており、請求権者の利便性を考慮して、請求権者の希望に応じ、請求者の居住する地域機関、若しくは情報公開・個人情報総合窓口のいずれかにおいて開示実施が実施されてきたのである。
   三重県生活部長は、総務部長との連名で「情報公開事務に関する円滑な推進について」(平成20年3月31日付、生第03-118号)と題し各所属長宛てに通知した所謂3.31通知は、利害関係人である県民の意見を徴することはなく県民の権利義務に係るルールとなる3.31通知について県は三重県公報掲載による告示義務を怠り、周知期間を置かずに、「本庁が管理する公文書は情報公開・個人情報総合窓口、地域機関が管理する公文書は地域機関で実施すること」と一方的に通知した。これを根拠として各地域機関は当該地域機関での開示を情報公開制度の根幹である『「開示を請求する権利」の行使が実行されていない状況が生じている』(生文第03-号9月19日付回答書)ことを認識しながら違法状態を解消する業務の遂行を懈怠し、放置したのである。情報公開条例は、「県民に対して自らの諸活動を説明する責務」を県に課している。この責務が果たされない場合、主権者である県民は、「情報を得た市民(informed citizenry)」とは言えず、真の主権者とはいえなくなってしまう。因みに実施機関が日時場所を定めたのは北海道、島根、熊本県しかなく、三重県の情報公開条例が改正されれば、情報公開後進県のワースト3の仲間入りとなる。
   「行政機関の保有する情報に関する法律」(情報公開法)第14条第2項には、開示請求者の利便性が優先されている。情報公開法は「開示決定に基づき行政文書の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、当該開示決定をした行政機関の長に対し、その求める開示の実施方法その他政令で定める事項を申し出なければならない」と規定している。開示の場所等の選択権は、開示を受ける者にあることを明文で規定しているのである。情報公開制度が国民のためにあることを考えれば、当然過ぎるくらい当然である。
   前記の指摘のとおり、強権的施行される情報公開条例の一部改正は、公正で民主的な県政の推進に資するとした情報公開制度を形骸化し情報公開制度がなきに等しく、このような改正が実現されれば、形式的な「お飾り」だけのものとなることは避けられず県は不法に職権を濫用して一片の通知で県民の「知る権利」を侵害。その違法性、不当性を県民に指摘されると、今度は議会の承認を得ようとしているのである。その根底には県議会は結局、三重県行政の意のままになるという行政側の奢りが透けて見えるのである。
   県は、「三重県情報公開条例及び三重県個人情報保護条例の一部改正案に係る法的要件について精査していないため、法的要件について記載した文書は作成していない。」(生文第03-266号平成20年11月20日付)と公文書不存在決定書通知書の「処分」をしている。平成19年11月及び12月にした「情報公開等に関する業務状況」(所属長集計表)に数値を誇大し膨らませ改ざんしたことが報道された。地方自治法第14条に規定するいかなる行政行為も法律に反してはならないという法律の留保(法律の根拠、法律による授権)が精査されず、情報公開法に準則しない三重県情報公開条例の一部改正案が議会へ上程され、議決させようとする行政機関の傲慢さを是認しては眠れる議会と化してしまうおそれすらある。
   県民の信託を得た県民の代表である尊厳なる議会軽視は許されるべきものではない。重ねて、不法で不条理な今回の情報公開条例の一部改正を反対し、可決しないことを求めるものである。
   「人民が情報を持たず、それを取得する手段を有しないならば、人民による政府といっても、それは茶番か悲劇の始まりであり、・・・」と米国合衆国憲法の制定に携わった第4代大統領ジェームズ・マディソンが述べている。この言葉は、国民主権を実現化するために、情報公開制度が不可欠であることを端的に表現しているのである。
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