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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成20年度 委員会会議録 > 平成20年9月1日 健康福祉病院常任委員会 会議録

平成20年9月1日 健康福祉病院常任委員会 会議録

 

健康福祉病院常任委員会

会議録

(閉会中)

 

開催年月日       平成20年9月1日 自 午前10時00分 ~ 至 午前11時46分

会  議  室       501委員会室

出 席 委 員       8名

                          委  員  長            竹上 真人      君

                          副委員長             藤田 宜三      君

                          委   員             中川 康洋      君

                          委   員             後藤 健一      君

                          委   員             田中   博      君

                          委   員             舟橋 裕幸      君

                          委   員             山本 教和      君

                          委   員             萩原 量吉      君

欠 席 委 員       0名

出席説明員

[健康福祉部]

                          部     長                                       堀木 稔生      君

                          副部長兼経営企画分野総括室長  南川 正隆      君

                          福祉政策分野総括室長                渡辺 重和      君

                                                                                         その他関係職員

[生活・文化部]

                          人権特命監         小林 正明      君

その他関係職員

参 考 人        4名

                       特定非営利活動法人「障害」当事者NPOセンター・コンビニハウス

                       代表             杉田 宏 氏

                       特定非営利活動法人三重県精神保健福祉会

                       理事長          一之宮 照長 氏

                       社団法人三重県身体障害者福祉連合会

                       会長             山本 征雄 氏

                       財団法人三重県知的障害者育成会

                       理事長          高鶴 かほる 氏

委員会書記      2名

                        議事課主幹         中村 洋一

                        企画法務課主幹  森岡 賢治

傍 聴 議 員       0名

県政記者クラブ 2名

傍  聴  者       2名

議題

<健康福祉部関係>

1 請願第32号「国連『障害のある人の権利に関する条約』の早期批准及び『「障害者差別禁止法」』の制定と三重県『障害のある人の権利に関する条例』の制定を求めることについて」の審査にかかる参考人からの意見聴取

    (1)開会

    (2)参考人からの意見聴取

    (3)執行部からの意見聴取

    (4)参考人、執行部への質疑応答

    (5)委員間討議

 

【会議の経過とその結果】

〔開会の宣告〕

 

〔審査日程〕

○竹上委員長 本日は健康福祉部関係の審査を行い、継続審査となっております請願第32号「国連『障害のある人の権利に関する条約』の早期批准及び『「障害者差別禁止法」』の制定と三重県『障害のある人の権利に関する条例』の制定を求めることについて」を議題といたします。
 この請願の審査に当たり、本日は参考人として、本請願の提出者を代表して杉田宏様及び一之宮照長様、また、請願提出者以外の方からも広くご意見を伺うため、山本征雄様及び高鶴かほる様にご出席を求め、ご意見を伺うこととしております。
 また、参考人の意見聴取の後、所管部局であります健康福祉部の意見を聴取することといたします。
 なお、本日は所管部局の意見聴取に係る質疑に関連して、生活・文化部の関係職員が出席しておりますので、ご了承願います。

 

〔参考人からの意見陳述〕

○竹上委員長 それでは、参考人からの意見聴取を行います。
 参考人の方におかれては、10分程度で簡潔にご意見を述べていただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、杉田宏様お願いいたします。

○杉田参考人 本日は私たちの思いを聞いていただける場を設けていただきまして、ありがとうございます。
 今日は時間も限られておりますので、なぜ三重県に「障害のある人の権利に関する条例」が必要なのかを中心にお話しさせていただきます。
 既に三重県では、人権に関する問題への取組を推進し、不当な差別のない人権が尊重される明るく住みよい社会の実現を図ることを目的とした「人権が尊重される三重をつくる条例」が平成9年に制定され、さまざまな人権施策に取り組まれています。そして、平成11年には「三重県ユニバーサルデザインのまちづくり推進条例」というのが制定されて、ユニバーサルデザインのまちづくりについての啓発や情報の提供あるいは公共的施設等の整備などの施策が行われています。確かにこの条例によって整備基準に適合していることを示す適合書が張り出されている店舗が増えて、以前に比べれば私たちも随分と出かけられる場所が増えてきたように思っています。しかしながら、このような条例があっても私たちがこの町で生活をしていると、まだまださまざまな場所で生きにくさというものに出会います。
 例えば私自身は、外出をすればじろじろと見られるということは日常茶飯事ですし、重度の障がいのある友人は、ホームヘルプサービスを利用しての通勤や通学をすることが認められていないために、通勤をするという課題がクリアできず、就職することができない状況にあります。もちろん在宅就労という選択肢もありますが、自力で通勤できる人でなければ、障がいのない人とともに働く経験ができないという状況にあるということがまずあります。また、同じく24時間の介助を必要とする友人は、重度であることもあり、車いすであることやパソコンを打つなど手を使った作業ができないとか、あるいはコミュニケーションがとれそうに見えないとか、意思確認ができないように見えるということによって、70社以上の企業から不採用通知が届いたと聞いています。
 こうしたことなどによって、結果として、私たち障がい者の生活する場所は福祉施設や病院などに限定をされて、地域で暮らすという経験すらも地域の受け皿や施策が不十分なために実現せず、健常者と呼ばれる人たちと触れ合う機会やともに生き合う経験が奪われているというのが現状です。
 このような現状を改善し、実質的な形で障がい者の権利を保障するために、国連では合理的配慮という今までの日本にはなかった新たな考え方を「障害者権利条約」に盛り込みました。そして、合理的配慮をしないことは差別に当たるということを国際社会のルールとして位置づけて、2006年12月に国連総会の場で採択をされて、現在、20ヶ国がこの条約に批准したことから2008年5月に条約としての効力を発しました。ちなみにこの条約について日本は批准をしていませんが、2007年9月には批准をする意思を示す署名を行っています。
 先程述べました合理的配慮という概念が「障害者権利条約」を考える場合のポイントであり、条例なので、障がい者の権利を保障していく上でも欠かすことができないものだと思います。合理的配慮ということについては、議員の方々も勉強していただいていると思うのですが、障がい者が地域で生き合い、障がいの程度や種別に左右されることなく社会参加を果たそうとする場合、障がいのある個人の努力のみではやはり限界があり困難です。だからこそ企業や行政、学校などあらゆる機関が1人1人の障がいに応じた環境、もちろんそれは段差をなくすなどのハード面などに限定されないということが必要ですが、それを整備することによって、私たちが感じる障がいや生きづらさをなくしていく。そのことによって、そのことに社会全体で取り組んでいかなければいけないというふうに思います。そのことが、つまりは合理的配慮なのだと考えています。
 合理的配慮を行っていこうとする場合には、1人1人の市民が、障がいのある人がどのような場面で生きづらさを感じているのかを知り、そのことに共感をし、合理的配慮についての合意形成を図っていかなければならないと思います。しかし、障がいのある人がどのような場面で差別というものに出会い、あるいは差別であると感じているのかという調査は、残念ながら今まで県レベルでは実施をされていないのが現状です。だから、障がいのある人がどのような人権状況にあるのかということは把握されていないのです。
 この請願が採択をされて、条例を作る過程においては、その一歩として障がい者本人や家族などからの事例を集めることが何よりも必要だと思います。また、障がいのある人の権利を保障していくためには、合理的配慮を社会のルールとするということだけではなくて、権利を侵害されやすい立場に置かれている私たちにとっては、差別の禁止を理念としてうたうだけでは不十分であると思います。障がい者が差別あるいは虐待だと感じたときに相談をし、救済を図るための機関、仮に調整委員会としますが、その設置あるいは未然にそうした状況を防止するための仕組み、あるいは障がい者を地域でサポートする人材を養成し、制度のはざまを埋めていく仕組みといったものを条例に盛り込んでいくことが必要不可欠だと考えています。
 国が「障害者権利条約」を現在批准しておらず、先進国といわれる国で唯一「障害者差別禁止法」が制定されていない状況にあって、「障害者権利条例」を制定するのはどうかという意見もあるとは思いますが、皆様もご承知ように、千葉県では全国に先駆けて、2006年10月に「障がいのある人もない人もともに暮らしやすい千葉県づくり条例」が制定をされて、2007年7月より施行されています。また、新たな動きとして北海道や岩手県などでも条例制定の動きがあります。私たち1人1人に問われているのは、障がいのあるなしにかかわらず、あるいはその程度や重さというようなものにかかわらず、すべての人が暮らしやすい社会となるために社会や行政はどうあるべきかだと思います。そういう視点で議論していただきたいと思っています。
 最後になりますが、私たちは障がいのある人たちだけが暮らしやすくなるためにこの条例や法律の制定あるいは国際条約への早期批准を求めているのではありません。障がいのある人だけに限らず、多くの人たちがさまざまな生きづらさを抱え、孤立を強いられているのが現状です。「障害者権利条約」でうたわれている合理的配慮の概念がすべての人たちに拡大していけば、私たち1人1人は何にも増してすばらしいということを実感し、多様で豊かなつながりの中で生きていくことができ、誰もが人生の主人公になれる社会の実現へとつながると思います。もちろん条例を作るというのはゴールではなくスタートであるわけですが、作る過程において障がいのある人もない人も当たり前にいるという県民文化を創造していくきっかけも同時に作っていきたいというふうに思っています。
 以上で私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。

○竹上委員長 杉田様、ありがとうございました。
 続いて、一之宮照長様、お願いいたします。

○一之宮参考人 私、三重県の精神保健福祉会の理事長を務めております一之宮といいます。今回、私どもといたしましては請願をさせていただいたという立場でございますので、請願書を2つの柱を立てて請願をさせていただきましたが、その事柄について10分という時間でございますので、取りまとめて意見として申し述べたいと思います。
 まず柱の中の1つが、杉田さんの方からもお話がございました「障害者差別禁止法」を作ってくれとか、民法を含めていろいろな法律を変えていただかないと、実質的な、言うならば本当の意味の障がい者の権利を守ることになるのかどうかということも含めて、国に強く働きかけていただきたい、これが1点でございます。
 2点目が、少なくとも地域において障がい者の方が安心して暮らせる、簡単に言えば安心して暮らせる条例を作っていただいて、具体的に事柄を進めていただきたい、この2点についてお願い申し上げたわけでございますが、まず、国に強く働きかけていただきたいと申し上げましたのは、「障害者権利条約」、国連でもって締結されました権利条約というのは、障がいのある人の人権を保障する国際的な基準だろう、こんなふうに私どもとしては認識をいたしておりまして、その意識を持って周囲を見てみますと、いろいろな差別があることがわかります。
 請願理由の中にもありますように、雇用の分野ということからいくと、法定雇用率の1.8%というものについて三重県は非常に低い数字、少なくともワーストワンであると、こういうような話が聞かれております。さらに、1.8%の法定雇用率と申しましても、これは精神障がい者は含まれておりません。規定外でございます。その点におきましても、少なくとも特定な障がいに対する差別というふうに私どもとしては受け取らざるを得ません。したがいまして、そのようなことはやはり法律によって変えていかないといけないという1つの事例であろうかと思います。
 また、精神障がい者の支援法の医療費でございますが、これを見ますと、支援法では1割負担だとうまく言われましたんですが、通院している精神障がいのある方が入院に切り替わりますと3割の負担をする、こういう不合理性がございます。これも法律によって決められた問題でございますから、整理する必要があろうかと思います。
 こういうようなことで、少なくとも政府の一部には法改正をしなくてもこの批准はできるだろう、こんなような話があるというふうに聞いておりますけれども、私どもといたしましては、今申し上げたようなこと、まだたくさんございます。これらを整理しなくては、とても権利条約を批准するような段階にはならないじゃないかというふうに思いますので、批准ができるとおっしゃっている方もあるやに聞いておりますけれども、ぜひとも今申し上げたようなことをするためにも法改正をしていただいて、さらには障がい者の差別禁止法の早期制定をしていただいた後に、早期に条約を批准していただきたいということを強く政府に働きかけていただきたい、こういう意思で請願を1点といたしまして出させていただいたわけでございます。
 それから次に、三重県におきまして、少なくとも県民しあわせプランとか、みえ障がい者福祉プランとか障がい者施策推進のいろいろな諸会議、さらには人権が尊重される三重をつくる合同プラン等の作成、こういうようなことがなされておりまして、一生懸命実現の努力はなされておりますけれども、まだまだ私どもといたしましては、それでもって十分であるというふうには感じておりません。
 したがって、例えば風潮でございますけれども、精神障がい、これ特定な障がいを持った人でもって表現するのはいかがなものかとは思いますけれども、はっきりわかるように申し上げたいと思いますが、精神障がいのある方が、また家族の方が、少なくとも公の場ではっきりとそのことを皆さん方に発言をするといいますか、明言をすることはなかなか困難な状態にございます。そのことが、今、大きな差別を生む因子を持っておるというふうに思っております。私はこういう障がいがありますよということをどこででも、ちゃんとはっきり言えるような、言うならば社会風潮になっていただきたい、こんなふうに思っております。
 もちろん差別は人権を侵害する最大の因子であるというふうに考えますが、このような差別が障がい者と他人の間に起きるということだけじゃないわけです。少なくとも障がいを持つ家庭の中にもあるということです。どういうことかと申しますと、例えば親が、この方はうつ病の方だったというふうに私は理解しておりますが、病院へかかりたいという意思を伝えても親がかかるなということを言われる。これは、まず病気というのは早期発見、早期受診は、これはもうすべての病気の治療基本でございます。この親のとった行為というのは、差別と見える最大の人権侵害であるというふうに私は思いますが、こんなようなことがなぜ起きるんでしょうかということだと思います。このとき我が国における長年にわたって続いた因習によって生じた行為であるというふうに、ある面気の毒だなというふうに思わざるを得ないわけでございますけれども、少なくともこういうような事例があるということをまず認識する必要があろうかと思います。
 それで、私としましては、ほんの一例を申し上げたわけでございますが、このような事例はたくさんございます。しかし、このことを解消していく、それじゃ何をすればいいか。これは正しい知識への改革以外にありません。これはいろいろ理屈を並べてみても意識改革ができるというふうには理解いたしませんので、やはり正しい意識への改革をする何かがないといけない、こんなふうに思います。
 政令の制定は1年前の論議、それから改正後の徹底PRを通じて正しい意識への改革を推進するトリガーになるだろう、こういうふうに私は考えております。
 したがいまして、私は三重県においても障がいのある人がノーマルな社会にあって、ノーマルと私申し上げましたのは、姿の障がいのある人もあるでしょうし、障がいと一口に言いましてもいろいろな障がいを持っておみえになる方がたくさんあって、そしてまた健常の人があって、1つの社会を形成しておる、そのノーマルな社会の中にあって、一般の人と同じように平等な自由、平等な権利を持って、安心して地域住民として生活していくためのこの権利が侵害された場合、そのときには救済を考慮した障がい者の権利に関する三重県条例の制定を早くやっていただきたい、こんなふうに切望して請願をした次第でございます。
 最後になりましたが、条例制定に伴う制定前の論議、それから制定後の徹底PRについて、その内容の徹底等のためには、私どもといたしましても組織を通じて最大限の活動、行動を行っていきたいと考えております。まずは条例を作るということを取り上げていただき、次のステップに進めるよう取り計らっていただきたい、こんなふうに思いまして、私の意見を申し上げた次第でございます。
 以上でございます。

○竹上委員長 一之宮様、ありがとうございました。
 続いて、山本征雄様、お願いいたします。

○山本参考人 本日はこのような機会をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。また、常日頃からのご指導、ご鞭撻をいただき大変感謝申し上げております。
 そして、本日はこの件について3点か4点になるかと思いますけれども、まず申し上げたいと思います。
 この国連におきますところの権利条約の中にあっては、私もちょうど2年前に国連本部へ傍聴の機会を日本身体障害者団体連合会と日本の障害者フォーラムという中にあって参加させていただく機会がありました。そこでの話なんですけれども、それこそ1条ずつの条文を当事者参画という中にあって、まさしく政府代表が議論し、それからまたNGOの民間の団体がそれぞれ1条ずつ同じ立場で、その条ごとに議論をしながらまとめて、それを議長が参加者全員の同意を得るという中でこの条約ができてきたというところがあります。
 それ等を勉強し、垣間見た中にあって、まさしくこれからの障がい者であり、障がい者ばかりでなく、すべてがやはり当事者主体というんですか、生活実態の中で決める人、守る人ということじゃなくして、本当にどうあるべきかというところを勉強させていただく機会がありました。それ等を含めた中で、障がい者の条約の前に女性の差別撤廃条約というのがありましたね。それ等を私どもは非常に身近な条約の国内での取組であり、身近なところでの取組というところで、非常にそういう内容を参考にした中で、自分たちの団体であり、周囲もそれを先例にする中で取り組んでいきたいなという大きな目標がございました。
 そうした中にあって、三重県での取組というところにおいては、先の杉田さんなんかもおっしゃいましたように、全国に先駆けて千葉県が条例を作った中のものを、そのときの実質的な実行委員長として、差別とはどういうものかというところからいろいろと掘り出し、タウンミーティング的な取組を何回となく実行された毎日新聞の夕刊部長でもいらっしゃる野沢さんという方の講演をいただいたんです。それは、私どもの三重県の身体障害者福祉連合会の総会の席で、福祉フォーラムというところで記念講演をちょうだいしました。この資料は先生方であり、各市町のところへも関係部署には配付させていただき、この地域におけるところの愛知県での取組とか、そういうところにおいても三重県はこういう具合に県民、市民の理解を賜るような、差別とは何かという基本的なところから勉強させていただき、理解を求める活動をしておりますというような内容で、ここに参加していただいております高鶴さんであり、それから一之宮さん含めて、私どもの三重県の社会参加推進センターというのは、それこそ各県にこういう仕組みがあるんですけれども、行政とのコラボレーションをとりながら、そういう機会も設けながら、より定着するがための活動ということをとらせていただいております。
 そうした中で、自分たちもそういう取組をしておった中に、はっきり言ってどちらかというと、前にもお話ししたことがあるかもわかりませんけれども、うちが百貨店とすれば、杉田さんとか、ここにお出しいただいておる方たちは専門的な軽やかな取組ができた中で、うちがもさもさしているうちに、しかるべき内容で提案していただいて非常に感謝申し上げておるんですけれども、とりもなおさず実効性の伴わないもの、絵にかいたもちにならないような仕組みで、ぜひお願いしたいなという具合なことは大きく思っております。
 それには、やはり国も署名はしたものの、批准に向けては、日本の国というのはそれこそある程度約束したことは守れる国だというのは世界の各国からも理解されておるかなという具合に思う中で、この批准をすれば、確か2年ごとにモニタリングという制度があって、明確に進捗状態を管理し報告するような制度にもなっておるわけです。それ等を踏まえた中、千葉県の条例を見ておっても、条例の範囲内の最大限の実効力を出すのには、いろいろな問題点、課題が出たときには知事の指示のもとに指導、勧告というような仕組みが明確にされていたかと思います。そういう等々も含めて三重県が条例を作っていただく中にあって、それこそ実効性の担保という中にあってそのような取組をぜひ、千葉が最高というわけではありませんけれども、それに即したような形で何か課題をとったときの条例の範囲内での指導徹底と勧告というものを明確にしていただきたいなと。
 それと冒頭に申し上げましたけれども、まさしく参画という中にあって、今日傍聴させていただいたり、意見陳述しているこの仲間であり、三重県の障害者社会参加推進センターそのものを使っていただいて、そういう評価なり仕組みの中には、私どもの組織をどっぷりと参画という中でぜひ位置づけていただきたいなということを切にお願いし、それから高鶴さんがおっしゃるかと思いますけれども、まさしく今ありますところの障害者基本法は、はっきり言って理念法であって実定を伴わない法律であるということにおいて、ここにおいてはやはりあとのモニタリング制度を含めて、しかるべき報告ができるような仕組み、それが国内法の1条ずつであり、関係する法令、省令等を含むかもわかりませんけれども、それの基本的なところの見直しであるかと思います。そうした中であって、引き続いて私ども参画できるような中で三重県の条例をよろしくお願いしたいと思います。

○竹上委員長 山本様、ありがとうございました。
 最後に、高鶴かほる様、お願いいたします。

○高鶴参考人 時間もありませんので、前置きは省かせていただきます。
 私たち全国の育成会としては、国連の「障害のある人の権利に関する条約」、これに署名されたことを受けまして、たび重なる虐待事例等を考えますと、国内法の整備等に時間のかかる差別禁止法の制定よりは、高齢者あるいは児童にある虐待防止法を早期に制定してほしいと、それに合わせて県の条例をきちんと整備していただきたい、ただよそにあるから三重県も作りましたというような付け焼き刃ではなく、きちんと議論を重ねて実のあるものにしていただきたい。
 5月16日に野呂知事と、それからちょうど県議会の議長さんの改選の最中で間に合ったかどうかわかりませんけれども、今の議長さんあてに要望書を提出させていただいてあります。私たちは、やはり実効のあるものにしたい。理念だけでは、どうしても見過ごしてしまいますし、虐待防止法というのは、虐待を見つけた場合には通報をする、通報者を守る、これを基本に虐待を許さない、そういう姿勢を貫いていけるようにということで、私も上部団体の全日本手をつなぐ育成会の国会の議員さんに対する働きかけの文書を作るときに、この要望書に添付させていただきました何項目かの文言を同じようにたたき台として作り上げてきた身としては、特に虐待といいますと知的障がいあるいは精神障がい、それから重症心身障がい者という方が一番ひどい目に遭う可能性の高い人たちですので、ここらへんについてきちんと考えていただきたいなと思っております。
 また、三重県育成会では県内選出の国会議員さんに対しても、虐待防止法をどうしても国会の方で成立させていただきたいと、それに伴いまして差別禁止法とかいろいろ言われるものも時間をかけてきちっとしていただきたい中で、特に公務員の採用試験に対する欠格条項として、第1号のところに被後見人、被保佐人、いろいろな法律を見ていきますと、昔、成年後見制度ができる前に禁治産、準禁治産と書かれていましたところが、自動的に被後見人、被保佐人というふうに書き換えられておりますが、見てみますと、どうしてここでこれを言わなければならないのかなというものまで全部書き換えられておりますので、パソコンでこの言葉をこの言葉に直すという形で、ポンとキーボードをたたけば簡単に終わるというものでもありません。そういう中で差別禁止法が成立するには、まだ自民党内でも議論が合意に達していないという状況の中で、早急にという中では付け焼き刃になってしまいますので、自民党、公明党、民主党、それぞれのところで勉強会も進んでおります虐待防止法を国会で正規に成立させていただく上で、また県でも条例をきちんとしていただきながら、今、三重県では障がい者の権利擁護プロジェクトという形で県の障害福祉課のほうに起案書を上げまして、権利擁護センターという、私たちだけで勝手に呼ばせていただいておりますけれども、そういうところで障がい者を守るための成年後見制度の利用促進と、それから虐待防止あるいは差別禁止に対してもきちんと対応のできるものを作っていただくということを三重県育成会が起爆剤になりまして、今年度とりあえず弁護士さん、それから司法書士さん、社会福祉士さんなどの権利擁護していらっしゃる方々に声をかけさせていただきまして、第1回の顔合わせを行いました。来年度に向けては、山本さんのところ、一之宮さんのところにも声をかけさせていただきまして、障がい者団体全員できちんとした方向に持っていきたいなと思っております。
 三重県内できちんとしたシステムができ上がれば、その先には差別禁止法あるいは国連の条約の批准というのが整いましても、地元の足腰がきちんと整っていると思いますので、ここらへんできちんと議会の方で議論を深めていただきまして、私たちが三重県に生まれてよかったね、ここで暮らしてよかったねと言えるような県の状況にしていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○竹上委員長 高鶴様、ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。

 

〔執行部からの意見聴取〕

○竹上委員長 次に、本請願に対する当局の意見があればお願いします。

○堀木健康福祉部長 まず初めに、4名の杉田様、一之宮様、山本様、高鶴様、それぞれの団体の事情を踏まえまして、また貴重な生身のこもった意見をいただきましてありがとうございました。
 障がい者の方の権利保障につきましては、県といたしましても障がい者の方が地域で安心して自立した生活を送ることができるようにということで、さまざまな相談支援とか地域移行支援とか、就労支援の政策をこれまでも取り組んできているところでございます。今回いただきました請願にあります「障害のある人の権利に関する条約」につきまして、国では、現在その批准に向けまして国内法の整備を検討するとともに、労働、雇用分野における対応のあり方に関する研究会を開催するなど取組を行っているというふうに聞いております。これは中央障害者施策協議会の中で、確か山本参考人さんも入っていただいている中でいろいろ国の方でも検討されているそうです。
 この条約では、提案者の方からもご説明がありましたが、重要なポイントといたしまして、合理的配慮という新しい概念、考え方がうたわれております。この合理的配慮の否定も差別に含むというふうに規定されております。しかしながら、現在、国の方でも対応を検討したというふうに聞いておりますが、何が合理的配慮で、何をしなければ合理的配慮を欠く状態なのか、その共通認識がまだ国内では形成されていないという課題が出ています。そういうことから、内閣府の方で調査するというふうにも聞いております。
 また、今回請願いただいている「障害のある人の差別を禁止する法律」の制定に向けた方針も、まだ国の方で、現在そういう状況で理解を深めるということで検討されているということで、国内法の整備に向けて具体的なスケジュールは現在まだ不透明な状況であります。
 請願いただきました条例の制定につきましては、条例を制定する場合には、必要となります差別の定義とか合理的配慮とは何かということにつきまして、知事の方も請願をいただいたときに答弁させていただいておりますけれども、各県なり各自治体間で取扱いが異なるものではなくて、国レベルで共通した認識形成、統一した見解が必要ではないかというふうに考えております。
 こうしたことから、県といたしましても国内法を通しての法律の整備がまず第一点だと考えておりまして、請願いただきました「障害のある人の権利に関する条例」の制定につきましては、その趣旨を否定するものでは決してありませんが、執行部といたしましては、現時点では難しいのではないかというふうに考えております。県といたしましては、先程から実効性のある施策という話が出ておりましたように、まずは障がい者の相談支援や地域移行、就労支援、または虐待防止や成年後見利用支援などの取組を具体的に通じまして、障がい者の権利擁護につきまして推進してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○竹上委員長 ありがとうございました。

 

〔参考人・執行部への質疑応答〕

○竹上委員長 ただいまの参考人及び当局のご意見を受けまして、委員の皆さんからご質疑等がありましたらお願いします。
 なお、参考人の方におかれましては、発言する場合は委員長の許可を得てから発言をお願いします。また、参考人から質疑をすることができないこととなっておりますので、ご了承をお願いします。
 それでは、質疑のある委員の方はお願いします。

○舟橋委員 請願は今継続ということになっておりますので、今後、次の常任委員会で採択するかしないかというのを判断しなければならないわけですね。山本参考人の方から賛同の表明をいただいたところでございますけれども、高鶴参考人のほうからは、虐待防止法についての必要性を随分聞かせていただきましたけれども、この請願についてはどう考えてみえるかということをお聞かせいただきたいのが1つと、それから、先例としてあります千葉県のこの条例、それぞれの参考人の皆さんはそれぞれの障がいの分野を中心にご発言されてはみえますけれども、そこらへんをそれなりに現段階では網羅した形の条例となっているのか、それから先程執行部が言われた合理的配慮の基準など、国が今整備を進めなければならない、調整しなければならないと思っている基準は、既にこの中には一定明記がされているのかというところを教えていただけたらと思います。

○高鶴参考人 私たちも早期批准に向けて声を上げていただきたいなと思っておりますし、差別禁止法もやはり全国から声が上がらないと進みませんので、国会の方へ声を上げていただきたいなと思っております。
 でも、私は実をとりたいと思っておりますので、いつまでにできるかどうかわからないものに精根を使い果たすことはやはりちょっと難しい。一歩ずつ進めていって、勝ち取るものを勝ち取りたい。それで虐待防止法と虐待条例の方というふうに言わせていただきましたけれども、この請願そのものを否定するわけではございません。議員さんもやはり成果が欲しいでしょうけれども、私たちはもっともっと欲しいです。

○脇田障害福祉室長 2点いただいたと思うんですが、3障がい網羅かどうかということでありますけれども、千葉の条例につきましては、3障がいに、さらに発達障がいも難病も含めてという障がいの定義をさらに広くつけております。
 それから2点目でありますけれども、国の整備の状況との関係でありますが、千葉としては自治体レベルでの解決の方法ですね、調査委員会ということを持ちまして、なかなか人権擁護とか解決の手段というのは非常に難しいわけでありますし、国の方でも人権擁護法案がまだ制定されておらない中で、自治体レベルで可能なことをやりましょうというのがかなり多いと思います。例えば差別についていろいろなことを支援している方を応援しましょうとか、自治体としてできることをかなり網羅しておるという部分で、国の基準というよりは自治体レベルで可能なことをまちづくりの視点からやりましょうという視点が多いかと思います。
 以上であります。

○舟橋委員 そうすると、2点目の方ですけれども、国が法を整備しなければダブルスタンダードになってしまう危険があるから心配ですというのが執行部の方にあろうかと思うんです。しかし、千葉県として、いわゆる地方自治体としてできる範囲内精いっぱいやろうとした結果、この条例に結びついたと理解していいわけですね。

○脇田障害福祉室長 ご存じだと思うんですが、当初は条例案につきましては相当踏み込んだ部分があったんですけれども、議会の継続審議にもなりましたし、一たん撤回もしまして、そういう経過の中で相当修正をされておるということもございます。

○萩原委員 まず、今の千葉県の条例とのかかわりで、今お話にも出た野沢さんが書かれたこの本、県議会図書室にも買ってもらって読ませてもいただいたし、改めてこの審議の時なので見せてもらっておるんですが、ここでいう、実効性のあるものという点で理念は結構だし、憲法そのものが差別を禁止しているわけですから理念は既にうたわれているという意味では、理念は明確なんだけれども、この実効をどうするんだという点で、やはり非常に難しいご苦労もされたようですけれども、差別解消委員会なんていうのを作るという、こういうようなところで実際に差別があっていいのか。
 先程虐待の話で高鶴さんが、その報告だとか、あるいは報告者の権利も守りながら、やはりそれを実効あるものにということにしていく。ただそこで、虐待なんかの場合には本当に命にもかかわるし、守るということができるんだけれども、やはり差別されているよということについて、こういう解消委員会なんかに報告はしても、あるいは実態調査しても、果たしてそれをどう解消できるのかという実効性という点では、とても大変なご苦労があるんじゃないかなという思いがするわけですけれども、千葉県の実態がわかっておったら当局に聞きたいし、参考人の方の中で、いやこれはこんなふうな事例も、あるいはこういう点で大きくかかわってこの条例が役立っているよというようなお話だとかいただけたら、ぜひ教えてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

○脇田障害福祉室長 千葉は、この条例までに研究会とかいろいろな形で、800ぐらいの事例を福祉分野、教育、労働とかいろいろな企業を含めまして、いろいろな分野の差別事象を集めまして、研究会でいろいろな議論をしながら、あるいはまたタウンミーティングとか議員の方や市民の方、ふだん障がいの方と接していない方も含めまして、相当なタウンミーティングで、何が差別で何が本人たちの生きにくさとか暮らしにくさになっておるかということを随分、そういうことのプロセスといいますか、その過程を大事にしまして、そういうところからやってまいりました。
 ただ、実効性というのがどういうレベルでとか、それについては申し上げたように調整委員会ということがありまして、ただ罰するだけで本当にいろいろな意識とか、障がいがある人とともに暮らすということが実現するのかどうか、まちづくりとか、そういうソフト面も含めまして、第三者が入る中で問題解決のレベルをどう図っていくかということを随分重視されたと思います。ただ単に罰して断罪するだけでは解決しないというところから、こういった事案の解決の仕組みというものを、現実的な問題解決としてやっていきましょうと、多分そういった部分が重視されたんだと思います。
 以上です。

○山本参考人 今、脇田室長の説明があったんですけれども、私も本日の会議に出席させていただいた中にあっても、高鶴参考人がおっしゃったように、国でやること、地域でやることという中にあっては、まさしく千葉の取組は、脇田室長も言われたように、差別とは何かというところから800の事例なりを通じて地域的なコミュニケーションをとりながら、はっきり言って地域の人の理解はやはり地域でしかできないところがありますから、地域で条例を作るという障がい者に対する思いを、また反対に障がい者は一般の社会に対してというような活動の原点は地域にあると思うんです。それをもって国の方針とすり合わせをしていくということですので、条例という中では地域でやるべき方向性、差別とは何かということを県民にわかっていただくことも含めて、そこからあるので、国は国、地域とボトムアップして両者が相まった中で盛り上げていくものだと思うものですから、ぜひこの機会に三重県としてしかるべき方向をとっていただきたいと思いますし、30日には愛知県も同じように先生方に来ていただいて、愛知県の障がい者レベルで条例に対する考え方を県民共有しようというようなものも立ち上がっておるかと思いますし、それから杉田参考人も言われたように、北海道においてはもう4月を目指す中で、議員立法の中でやっていただくようなことも聞いておりますし、なおかつ、確かおっしゃったと思うんですけれども、岩手においても確か議員立法の中でそういう取組があるんだという具合に聞いています。国のことと地域とともにやはり条例をという願いを持っていますし、もう1つ言い換えるならば、市町においても、この考えを県が作っていただければ、市町にも身近なところで障がい者の理解の活動になっていくんではないかなという具合に思っておるわけでございます。よろしくお願いしたいと思います。

○萩原委員 今、教えていただいた千葉の事例で、条例制定の過程そのものが非常に大事だという話は私も全く同感だし、それはなるほどなという思いはするんですけれども、なかなか実効性あるものみたいなところが一番難しいんだと思うんですね。
 例えば今、一之宮参考人が教えていただいたような障がい者の、いわゆる法定雇用率がもう本当に全国最下位で三重県はお粗末な実態なんですよね。これは障害福祉課はじめ、いろいろな労働の仕事のところも含めてずっと各企業にお願いに行っているだけの話でして、大変ご苦労されていることはよくわかるんだけれども低い。一方で、例えばもっと法を変えて、義務づけされているものの雇用率を守っていないところの公開といったって企業すべてすぐさま公開しないわけです。特に悪質なというところじゃないと公開しませんし、それから確か雇用も1人3万円でしたか、今。5万ですか。払ったら、それでもう済んでいくみたいなことになっていくわけですよね。私らはやはりせめてそこの工場の労働者の平均賃金払えと要求しているんですけれども、労働者の平均賃金を払うんだったら、それなら雇用したほうがベターな形になったりするけれども、一方で今や企業が、それこそ利益第一主義だということになっておると、正規社員をどんどん切り捨ててああいう派遣労働みたいなこともあるんですから、これはもうとても大変なというようなことになるんですね。
 だから本当の実効性という点では、そこの法を改正させるとか、やはり守っていない企業をすぐさま公表するとか、そういうことの方がより有効だというふうにも思うんですけれども。これはだから国が大いにやってもらわなあかんのやけれども、そのことと県の条例でそれが何かできるだろうかといったような点、あるいは三重県がしかし全国最下位だというようなことについては、この条例でもし規制できるとすればどんな努力が必要か。なかなか法がある中で三重県だけで法を乗り越えてというわけにいかない面があるので、そのあたりで何か積極的なご意見なり、こんなふうにできるんじゃないかというようなことがあれば教えてほしいなと思うんですけれども、いかがですか。

○一之宮参考人 私は、今、雇用の問題の中には、一番なぜかなというふうに思いますのは、先程も申し上げたように、法定雇用率の1.8%といいましても、これは、精神障がい者はその中に規定されていないわけですね。少なくともこれが規定されれば、これは1.8になるだろうというふうに思っていますけれども、それも法律を変更しないとだめだよ、三重県の条例ではそれはできないということになるのかもしれませんが、私としては、三重県でいろいろ経営なさる企業さんにおいては、少なくとも精神障がいのある人も含めて、1.8の水準を守っていただくような形の推進をすれば、それはそれなりに前向きで行くんじゃないだろうかと、こんなふうに思っていますけれども。

○萩原委員 確かに障害者自立支援法は、3障がい同一でという形の法の体系になっていますから、そういう方向でぜひ精神障がいもというその点ではよくわかりますが、条例を県独自で作るという点で、実は私たちも当然のことながら、国での批准を急ぐことやら、あるいは「障害者差別禁止法」の制定やら、本条例についてもなるほどと、大いに結構なことだという思いはしているんです。ただ率直に言って、紹介議員の中に私たちの会派の名前はありません。よくわからないしというので、審議の中で、それは基本的には賛成だけどという思いをしているんです。障がい者の差別を禁止するということは必要なわけです。絶対にそうなければならないというふうに思っているんですが、ただちょっと気になる点は、それを法や条例でどういうふうに規制できるのかというあたりの点で私はもう1つよくわからない面がある。
 もう1つ率直に言えば、この8団体の方々の名前、名簿を見せてもらいながら、実は三重県では人権、人権という名前で、どちらかといえば障がい者以上に同和差別の問題を前面に出すような、そういう差別禁止というようなことが前面に出て、率直に言ってそういう差別はけしからんというので、確認糾弾会がやられたり、そのもとで校長先生が自殺したりというような事件さえ起こったんです。三重県に人権センターがあるにもかかわらず、この人権は障がい者の人権を受け入れてくれているかということになると、さっきも高鶴さんが率直に、権利擁護センターといったようなものの必要性とおっしゃったけれども、だからそういうものが私は三重県政の中にも、三重県の教育の中にも前面に出ているもので、非常に私はそのことを危惧しています。そして、あわせていえば、この8団体の中に名前そのものは出ていないけれども、そういう関係者の方もおみえになるもので、そこの点で私らはちょっと危惧しちゃっています。率直な私らの心配なんです。
 だから、差別の禁止、許さないぞということは当然なんだけれども、それを大きな問題にして、とにかく確認だ、糾弾だというのは、そんなことは障がい者団体の方ができるはずはないんだけれども、そういったようなことになっていったんでは、かえって差別をなくすことができないのではないかなという、そんな思いが率直にしまして、そういうこととは一切かかわりがないんだというあたりは、これはきちんとしておいてもらいたいなという思いもあったもので、そのことはちょっと確認だけさせておいてほしいなという、そんな思いがあるんですが、もし請願人の中でお答えいただければ教えてほしいなというふうに思います。

○杉田参考人 私たちは、この条例を県民の総意として作り上げていきたいという思いが非常に強くありまして、障がいのある人たちの権利が保障されていけばいいというものでもないというふうに思うんです。もちろん表題は「障害のある人の権利に関する条例」となっておりますけれども、障がいのある人が実際にどんな状況で今暮らしているのかとか、あるいは人権が侵害された場合の法的な救済制度の仕組みが国にないということ、そういうことがやはり大きな壁というものになって、なかなか人権救済というところまでには踏み込めていないというのが、この三重県の状況ではないかというふうに、ある意味での限界性というのがあるとは思いますけれども、しかし障がいのある人が実際やはり施設や病院から抜け出せば、多くの場合いろいろな摩擦というものも生じてくるだろうし、そこでいじめとか、そういったものも起こってくるというふうな、それが、でも実は当たり前ではないか、ある意味では当たり前であって、当たり前だというふうに思うわけですけれども、そうしたときに私たちが相談できるところや場所、あるいはそれをきちっと当事者間だけではなく、第三者が入って、ちゃんとそこでお互いの意見を聞き合いながら、どういった形で解決をするのかというのは今後議論をしていかなければいけないですけれども、そういった場所、そういったところがやはりこの三重県にも、もちろん三重県人権センターもありますし、そこがその役割を担っていくということが大事かとは思いますけれども、そういったことがやはりきちんと条例の中でうたわれなければ、やはりなかなか実効性のあるものにはなっていかないと思いますので、そのあたりをきちんと伝えておきたかったわけですし、この請願をやるに当たっては、知事にも署名活動等もさせていただきましたが、それは特定の団体というのではなくて、多くの人たちの総意に基づいて署名をしていただきましたので、そのあたりについてはきちんと了解をしていただきたいというふうに思っております。
 以上です。

○山本参考人 今、萩原先生の意見なんかもよく理解できたんですけれども、私もくどい人間で、冒頭に申し上げたように、今までの日本の法律は、決めてくる人、守る人というような二元的な中でしか決めていない中で、その延長線上で議論すべきものではないわなと。障がい者の人権は最後のとりでやないですか。いろいろな人権、子どもの人権、女性の差別人権という中にあって、まさしくこれからの日本の真の民主主義の当事者参画はどこにあるかというところから考えたときに、これはそれぞれがみんなの意識を高める必要が非常に大きいんではないかなと。それと、確かに日本は国があって、地方分権といっても何の地方分権もない中にあっても、今年からでしたか、三重県の、高鶴さんがおっしゃったように欠格条項とかいろいろな面でいくと、国の基準でいったら知的障がいの方、はっきり言って採用できない形じゃないですか。それでも、やはり地方分権等を含めた中とかいろいろな取組の中で、一歩ずつでも前に出ていけるような形にしていただいていかないかんし、していくためのこの障がい者の条例がその位置づけにあるかと思いますし、国内法の見直しという中にあっては、それこそ教育の問題であり労働の問題というのは世界各国からも非常に注目されましたし、なおかつ教育の問題だけは、日本は相当よく理解し、守る国やけれども、教育の、特別支援教育を含めた今の日本のやり方は何かと、それに基づいた中での世界の中では少数派の中で、今の特別支援教育もあるんですよね。
 そういうところも踏まえて、地方分権という大きな流れの中で、それでもう1つ雇用の問題で三重県が最低というところで、自分も本当に三重県を代表したり、親善に行った中で恥ずかしい思いをしておるんです。しかし、これ等においてもしかるべきいろいろなところで勉強させていただいた中にあっては、大企業が集中しておる関東とかそういうところは税制も優遇されておるし、所得税の税制、制度も本社のあるところに全部税金が持っていかれる。それで消費税のことにおいても、いろいろな問題がみんな本社一極集中というところになっておるところ等も、基本的に見直しをかけるならば、今までの考え方じゃなくして、特例子会社制度等において、北勢地方においては、三重県においてもそうなるんだと思うんですけれども、シャープを含めて大企業がみんな本社のところへ、障がい者の雇用率も特例子会社という枠の中で全部そこへ吸い上げてしまって、それを実際に三重県で働いておる人がどうかというところの実態を見直した中でというところもあるのではないかなというような、そういういろいろな切り込み、チャンネルをこの条例の中で、地方でできることを1つずつ我々も入れていただいた中で審議させていただくような仕組みにしていただければ、それこそ我々の思うところでもあるという具合に思うんです。

○萩原委員 非常にいろいろ教えていただいて、一層この条例制定は大切なんだな、またそしてその過程が本当に大事なんだなという、そんな思いがいたしましたし、その過程も今当事者主体やなしに、決める人、守る人ではなくて、というお話が山本さんからもされたところだから、私もその点では意を強くしたというか、なるほどなというふうに思いました。
 ただ、私らみたいなかなり年上になってきていますと、小さな時から障がい者の子と一緒に勉強したという場面がないわけです。障がい者は、それこそ学校へ来る必要がなかったわけですもんね。つい最近ですよ、障がい者も一緒に教育しようということになってきたのも。それから、私ちょっと心配なのは、障がいの運動の中で障がい者の施設を造ったり、特別の障がい児学校なり特別支援学校を造ることに、これは差別だみたいな見方も障がい者の運動の中にありますよね、正直言いまして。私は、この流れは安易に施設と分ければいいとか社会復帰を許さないということでは決してないんだけれども、そういったようなことなども大いに論議の中に入れていただきたいというか、私たちも学ばせていただきたいというふうに思うんです。今まで障がい者について十分理解のない人たちの中では、確かに今生きにくいという話もありましたけれども、知らず知らずして、差別しているつもりがないのにということがあったりとかということもあり得るわけで、こういうような人たちに理解をどう広げていくのかということが、この条例づくりの中でも本当に大事なんでしょうし、そのことが、だから差別だ、けしからん、制裁だみたいなことには、これはあってはならないということは言うまでもないことだと思いますし、ぜひ本当にみんなが作る条例でなければというお話がさっき杉田さんからもあったとおりで、ぜひそんな方向でやっていくのがいいなという思いを強くしましたけれども、今いろいろ聞かせていただいた中でよくわかりましたし、一層の実現を目指して私は努力もしたいなと、そんな思いをいたしました。ありがとうございました。

○中川委員 今日は大変貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。
 具体的に、参考人の方でも執行部の方でもいいんですが、確認的にちょっとお聞きしたいところが2点ほどあります。1点目は、今話題になっている千葉県の条例の中身の部分が非常に気になってくるわけですけれども、舟橋委員ご質問の中で、いわゆる障がいの定義に関して、発達障がいとか難病まで入れているというところはわかったんですが、室長お答えの中で少しわからなかったところで、この千葉県の条例で差別の定義がしっかりとされているのかというところとか、あと杉田参考人がおっしゃられた、いわゆる合理的配慮というところ、ここの定義なり考え方も明記されているのかというところ、このへんのところをまず確認的にお教え願いたいと思うんですが。どちらでも結構なんですけれども。

○脇田障害福祉室長 千葉県の条例でありますけれども、「『差別』とは」という定義がありまして、条文の中に、ちょっと読み上げますと、次に掲げる行為ということで、「不利益取扱い」、それから今の「合理的な配慮に基づく措置を行わないこと」という、はっきり定義としては書いてあります。じゃ何が差別で何が合理的配慮をしないレベルかというところまでは書いておりません。というところで1点目であります。
 合理的配慮につきましては、国連の条約の中で定義はもらえたわけですけれども、例えば具体的に言いますと、企業で障がいの方を雇用する場合、エレベーターであるとかトイレであるとか、スロープとかそういうことでありますが、もう一方では過度な配慮までは含まないとかそういうことがありまして、まだまだどこまでがどうであってというのはあいまいな部分になっておるというのが内容であります。
 以上であります。

○中川委員 いま少しお答えいただいたところでもあるんですが、もう少しちょっと確認をさせていただきたいと思うんですけれども、この合理的配慮というところで、仮に県独自でこの合理的配慮という内容を検討した場合、最も壁となる問題はどこにあるのかと。今、スロープや云々という話で、やはりハード面の部分が最も壁となるべく問題なのかなということを少し感じるわけなんですが、仮に県独自で検討した場合、国の内容を待っていればいいというところはもう既におっしゃっていただいているんだけれども、最も壁となるような問題はハード面の部分なのか、いわゆる県民の意識の醸成とかいうソフトの面なのか、そのへんのところはどういうふうに考えるのかお教え願いたいと思います。

○脇田障害福祉室長 部長からも意見申させていただきましたように、国レベルの本来の差別禁止法がないわけですし、国が条約に批准をしていない中であります。そういったことで、やはり自治体レベルとか全国レベルの解釈基準がない中では、非常にまだまだ難しいんじゃないかというふうに私どももとらえているところであります。
 ハード、ソフトは、かなり詰めていかなければならない。これは労働とか教育で今研究会というのを内閣府中心にやっておりますけれども、相当なまだ議論の途中ということになっておるようであります。

○中川委員 そうすると、僕は今仮に県独自で検討した場合というところで、既にそれなりの検討なり意識はあるんだろうなと思う中で聞きたかったんだけれども、そこは今日はあえて答えるような状況にないというところで判断させていただきます。
 もう1点いいですか。萩原委員のご質問に関連するところではあるんですが、やはり私も、例えば予算の委員会等でも指摘する中で、障がい者の法定雇用率の状況というのは大変に気になるところでして、これ四日市市議会議員時代も市議会の場で何度か指摘をさせていただいて、しかし、答としてはいろいろな手法が出てくるんですけれども、結果的にそこが高まっていかないというところがやはり現実としてあります。執行部の側は足を使っているとか、いろいろなお話はするんですけれども、やはりそこの問題の根幹となっておるのは、理念的な条例として目指すべき姿はあるんだけれども、やはり結果的に上位法との絡みはあるにしても、それぞれの県とか市において障がい者の権利に関する手続的な条例がやはりないというところで、この法定雇用率の状況1つとってもやはり実効性が伴わないし、企業においても、また県や市においても、そこに対する意識というのが高まらないのかなというふうに思うわけですけれども、そういった意味においては、やはり県とか市、地方自治体において実効性のある条例の制定というのは非常に重要なファクターなり要素であるというふうに思うわけですけれども、その件に関して参考人の方からのお話が伺えればと思うのと、かつ今日は生活・文化部もお越しいただいていますので、生活・文化部としてもそれを実行する側として、実効性ある手続的なものが法としてあった方がいいんだというようなことが答弁として出てくれば内容としては非常にいいんですけれども、執行部側のご意見も伺いたいと思います。

○高鶴参考人 雇用率というのは計算するに当たって従業員数の増減がありまして、知的障がいの場合は54人以上の企業で働いている場合が多いです。一般企業で働いていたとしても、重度の人はダブルカウントされますので、雇用率という率ではあったとしても、人数としては1人しかいないという場合もありますし、いろいろ数字のマジックみたいなものがあります。
 それと山本参考人が言われたように、ここに本社機能がないところが、やはり結構三重県にはありまして、ごっそりと向こうへ持っていかれる。また実際には、三重県に本社機能があるところが雇用率が悪いというのは実態としてあります。ただ、今特に知的障がいの人が働くということを考えますと、事務という言葉では難しいです。現業のところで働いていると、今ほとんどチームワークですので、障がいの人が1人いると、指導に当たる人が1人ついていくと、2人いながら半分の仕事しかできませんから、例えば5人でチーム組むと、3人半ぐらいにしかならない。そういう形で一般企業のところで働いている人に対する同僚の虐待というのがかなり障害者110番の相談のときには出てきました。そこらへんで私が虐待防止法というのが必要なんだなというふうに思ういわれですけれども、実際に雇用率ということを算定するに当たっては、三重県で何人の障がい者が働いているかという実数を把握すべきやと思います。
 三重県育成会は県庁舎における知的障がい者の実習事業というのを実施しておりまして、毎年本庁で1人、地方のところで1人ずつ増やしていただいておりますけれども、実際は事務ができるほどの人は就職をしているのかどうかわかりませんけれども、応募者が厳しいです。今年については、応募者数は多かったですが、半数が明らかに事務では無理よねというレベルの人でした。私たちが特に県庁へ通ってもらうということを前提に津近辺を見ますと、結構就職しております。やはり雇用率、雇用率だけでは無理です。三重県で何人の人が雇用されているかという実数の実態調査をしていただかないと雇用率というところでは無理じゃないかなと思います。
 特に国家公務員とか地方公務員は規定が公表されておりますから、被後見人、被保佐人は試験も受けられないということになっておりますけれども、一般企業でそれがやはりあるのかないのかということも私には実態はわかりません。ただ障害者自立支援法で、一般就労は障がい者の鏡みたいな形で法が作られておりますので、やはり今後、今就労している人でも虐待に遭っている中で、もっと就労が進んでいくと目に見えない形でどんどんどんどん虐待があって、特にレベルの高い人たちが、自分が虐待を受けているということをじかに実感していますと、心身症あるいは精神疾患になりまして、ダブルの障がいを負って、本来ですと能力からいったら一般就労が可能ですのに、二度と一般就労ができないと、そういう子どもの様子を見ていると、親ももうチャレンジいいですというふうになってくる。
 やはりそれというのは可能性を摘んでしまうということからすると、人権というのは確かにおおっぴらに障がい者差別ができなくなりました。国際障害者年あるいはそれ以降の行動の伴う10年の中で、おおっぴらに声に出して障がい者を差別することはできなくなりましたけれども、心の中にまでは立ち入れませんし、先程萩原さんが言われたように、同和教育に対しても同和の方たちに対する差別意識が自分の心の中にあっても、その差別意識を自分の理性で抑える、そういうことが大事なんだという教育がずっと学齢期からされております。やはり差別禁止法なり虐待防止法で、学校の教育の中できちんと人権教育がなされる、そういうシステムの中で権利はどういうものだ、差別はどういうものだ、虐待はどういうものだということがなされてこないと特別支援教育も中身のあるものになりませんし、被害者を増やすだけになりますし、きのう県大会に来ていただいて午前中から参加していただいた方は講演の中身を聞いていただいたと思いますけれども、障がいのある家族、ご兄弟までがいじめに遭って、学区外の学校へ通わなければならないという実態がありますので、やはり障がい者の差別禁止法というのは、その周りにいる家族も守ることになりますし、虐待防止法も周りの人を守ることになると。やはり国の法律ができたとしても、その法律を実際に動かしていくからには、県が当事者意識、行政責任を持ってしていこうと思いますと、条例という裏打ちがあって、それで行動になっていく。県民もそれを守っていく義務を負うという形で、いかに条例が大切かというのはこういう部分にもあると思います。
 以上です。

○福田生活・文化部人権・同和室長 雇用の点についてご質問いただきましたけれども、ちょっと雇用の担当室が今日はみえておりませんので、私の方から、わかる範囲内でお答えをしたいと思います。
 雇用につきましては、事業主の啓発とかというのは国と連携をして実施をさせていただいております。それから、あと就業訓練機会の提供とか、それから障がいのある方の職場実習等を引き続き実施をしておりまして、そういう就業定着に対する支援とか人材育成の取組を進めておるところでございます。特に労働局等と連携をして実施をしているところでございます。

○山本参考人 今のまさしくこの労働の問題においては、仕事があって、その仕事というものの定義も大概だと思うんです。ということは、法定雇用率等においてもいろいろな条件をした中で、減耗率とか何かしながら、何とか数字合わせをしておるというような中にあるんですよね。それから、実態として本当に雇用に結びつけて、きっちりと一般雇用という今の定義の中の雇用、就労というか、そこにあっても言葉は正確な使い分けは皆さんしておるんですけれども、実態として1ヶ月15日以上とか何かしら1人の雇用という基準を満たさないことには、雇用率に算定しないじゃないですか、今のやり方は。そうじゃなくして、精神障がいの方も含めて、1日それこそ8時間のうちの10分の1でも労働として働き、社会参加できる仕組みをやはり考えるというところから議論しないと、今までの基準の中で労働とかどうのこうのといって、今までも努力しておってもいかんところの理由がいっぱいあるわけですよね。それを解決しなければ、この問題も定着しないなと思うんです。
 結果、私ども、中川委員も四日市で萩原委員も四日市でおっていただくので、我々の団体としての取組もそうした中にあって、知的障がいの方々、いろいろな方と話をする中にあっても、グループホームとかケアホームも確かにある程度作っていただかなあかんのだけれども、日中の活動する場として、こういう社会が福祉的就労という言い方をしていいのか悪いかわかりませんけれども、そういう視点に当てるならば、ケアホームはやはり重度の方はいると思うんですけれども、グループホームとか日中の居場所づくりとしての感覚で社会参加できる仕組みをやはりこういうところも考えていただいて、今までの概念での雇用率云々と言っておっても解決しないと思うんです。そうした中に我々もお願いしておるところが、小規模通所作業所等を含めて、一般就労へ行ける人は今までいろいろな対策を打ってもらっても1%か2%しかいないじゃないですか。その中でそれだけの今までの議論の積み重ねの中では解決しないと思います。その面でも当事者も参画し、我々の意見も聞いていただいて、福祉的就労も含めて、精神障がいの方は確かに8時間というのは勤務できないんですよ。だから、2時間でも3時間でも、それが法定雇用率に換算できるような仕組みを、これは国が考えるべきことであるかと思うんですけれども、三重県としてそれを先取りする形で、条例の中でも決めていただけたらうれしいなと思うんです。

○中川委員 執行部にはもう少し踏み込んで実は聞きたいところがあったんですが、それ以上にお2人の参考人から本来的な雇用という問題、就労という問題のところの話がありましたので、そこのところ、今回の権利の条例という部分においては盛り込んでいくというところを非常に重要な要素というふうにとらえて、執行部へのこれ以上の質問は取り止めたいと思います。
 以上です。

○山本参考人 いろいろな立場でお願いに上がっておるんですけれども、雇用というものは、やはり社会参加していく源泉でもあるもので、できる範囲内でいろいろ取り組ませていただいておるんです。自分たちの、四日市の場合は四日市身体障害者団体連合会で自動販売機というものを公の機関に置かせていただいて、40台、50台ぐらい先輩から引き続いたやつがずっとあって、それを自分たちで詰めかえもできるぐらいにノウハウを持ってきたんです。今までの定義づけられた雇用という中にあっては換算できないんですけれども、NPOの活動として指定管理者等を含めた中で活動して、活動報告のときに3年間の実績はどうかというような調査もあったり、添付資料があるんです。自分たちは最低雇用賃金程度しか、よく払えていないんですけれども、何とここ指定管理者になって5年目になるんですけれども、市立にしていただいている障がい者の体育センターであり、その自動販売機にかかわった中で、それでまた文化会館の売店にかかわらせていただいた中で、18人ぐらいその事業に障がい者自らがかかわっておるんです。それで、最低賃金的な内容で常勤換算したときに、この19年度は自分たちの努力でもって、皆さんの協力もあったんですけれども、18人で常勤換算すると3.6人工にしかならんのですけれども、そういうような取組をし、ときに労働局のハローワークが四日市の場合、来館者が置いていくごみ箱があるんです。それでも自動販売機は置いていないんです。そうなので置かせていただきたいということを前からお願いしにいって、いろいろな取組をしました。
 結果的に、今は労働局におった課長さんが四日市の所長さんにもなられたこともあって、この間も18日に行ってきて、再度こういう実態でありますから、今までと違って自分たちのことは自分たちでやるということと詰めかえも自分たちでできますから、就労にもなる総合的な取組をしておりますので、ぜひお願いしたいということを何度か言ってきたんです。結果的に国の方からも、もう労働局単位で、電気代含めていろいろな精算があるじゃないですか。それ等はもう労働局単位に任せてあるから、労働局におった総務課長さんが四日市の所長さんになっていただいてるもので、あわせもってそういう1つずつの切り口から、自分たちも努力していきますもので、いろいろな切り込みができる就労の形態をぜひ考えていただきたいなと思うんです。

○舟橋委員 さっきの法定雇用率の話が出たときに、今の1.8%の法定雇用率の枠には精神障がい者を除きますというお話がありました。そして、入れたら現行の1.42から、1.8ぐらいまでいくというご発言だったと思うんです。ということは身体障がい者の方々より精神障がい者の方々の雇用率は高いという認識でいいんでしょうか。

○一之宮参考人 雇用率の問題につきましては、先程からいろいろ話が出ていますように、私どもそこでもって出した数字は、いろいろ議論はあるわけです。あるんですが、全国同じで見ていますから、それで正しいだろうと。低いのはやはり低いんだと、こういうことで1点何がしというのも直させていただきました。
 それで、先程委員の方からいろいろ質問がございました中に、どうしたらもっとそれが上がるかという話の中で、精神障がいの方も加えていただいたらということも先程申し上げましたが、精神障がいの方の就労率というのは、先程山本さんからもいろいろ話が出ていますけれども、今日勤めたら明日具合が悪くなったというのもあるわけです。これはその人の健康状態といいますか、それでもってあるわけでございまして、そうすると雇用率の中には入らないということもございますけれども、今、とてもよく回復してみえる方の1つの事例を申し上げますと、今、県の臨時職員として図書室の整理をやってみえる方もみえますし、そういう方々を大体見てみますと、少なくとももう少し上がるだろうというふうにして、ワーストワンの1.4よりは上がっていくだろうというようなことを申し上げたわけでございます。
 ですから、1.8を超えるかというご質問になりますと、それはやはりやってみないとわからないというのが、私どもの実情だというふうに思います。
 以上でございます。

○高鶴参考人 今言われたのは、現在行政と企業の中に精神疾患を病んでいらっしゃる方がいる。その方々を入れれば上がるかもわかりませんが、その方々は障がい者枠では雇われていませんから、雇用率ということをすると、障がい者枠として雇われているということになってきますと、ちょっと問題が違うと思います。

○竹上委員長 私のほうからもちょっと質問を執行部の方にしたいと思うんですけれども、今、参考人さんから出た、三重県に一体何人働いておるのかと、この話なんですけれども、この実態調査というのは、もしやるとなると可能なのかどうなのか、逆にとてつもない労力がかかるようなものなのか、どうなんですか。ちょっとお答えいただけますか。

○高鶴参考人 5年に1回実態調査をされています、54人以下のところは。5年の調査のときの実数はわかると思います。

○脇田障害福祉室長 つけ加えてですけれども、毎年労働局が雇用の実態ということで6月でありますけれども、今ですと19年6月のデータでありますけれども、301人規模からとか100人、200人規模からとか、それから業種別とかということでは把握しております。あくまで障がい者枠としてです。
 それから、先程精神障がいの問題が出ていましたが、ちょっと私の方でフォローさせてもらうと、実は17年の法改正で精神障がいの方も雇えばカウントに入れましょうということにはなりました。それから短時間労働では0.5でカウントもしましょうと、そういう法改正ができております。
 今回、政局で法案がとびましたけれども、雇用納付金、雇わない場合のこれを
200人あるいは100人規模に落としましょうという法案が出たんですけれども、これは今回は廃案になってしまいました。そういう経過があります。つけ加えさせてもらいます。

○竹上委員長 ということは、実態の実数の把握は5年に1回は可能で、それも業種別とか企業の大きさ別に、それは把握できますよということでいいんですか。

○脇田障害福祉室長 特に大きな100人、200人、300人の企業は毎年そういう調査が労働局でありますので、それに対して報告は出しております。
 ただ、山本会長が言われたような、例えば短時間とか臨時とか、そのへんのボーダーとか、それから作業所レベルとか、そこの部分がほとんどはまだ、私どもの福祉サイドの部分はわかりますけれども、さらに福祉サイドから一たん入ってやめてしまったとか、定着しないとか、そのへんが少しグレーになっているかと思います。

○竹上委員長 もう1つすみません。もう1つちょっと出たのが、これは公務員の法律を変えないとちょっとおかしいのかなというふうな話も出ておるんですが、欠格条項、これを採用の条件にしている企業の有無というのも把握は可能ですか。

○脇田障害福祉室長 まだそれはわからないと思います。公務員法ではきちっと欠格条項として法律の中で地公法、国公法ありますのであれですけれども、それ以外に成年後見自体が禁治産、準禁治産から平成12年からの施行でありますので、まだまだ企業がそこまで課しておるかどうかというのは、まだわからないと思います。

○竹上委員長 ありがとうございます。
 ほかにご質疑はございませんか。
 なければ、これで請願第32号に対する参考人及び当局の意見聴取及び質疑を終了いたします。

 

〔委員間討議〕

○竹上委員長 次に、本請願に対する委員間討議を行います。
 ご意見のある方、発言をお願いします。

○田中委員 参考人の皆さん、本当にありがとうございました。いろいろ聞かせていただいて、必要な条例という国の方の動きもあれですけれども、三重県として実効性のある条例ということを共通してお話しいただきましたので、やはり合理的配慮の研究とか、それから現実に実際のいろいろな事例、そうした議論を相当していかないと、その中から現実に活動されている県の組織も人権センターが中心になるのかどうか知りませんが、活動していますから、具体的な解決策みたいなものが現実に見えていれば、そのことを条例に起こせますし、そのことをルール化もできるし、相当やはり突っ込んだ調査なり何なりしていかないと、皆さん恐れられる理念条例になってしまうと意味ないということですので、そういう形で私自身今日感じたところですけれども、事例を積み上げていく、合理的配慮というのもいろいろな動きがあるようですから、事例も積み重ねられるかもしれませんが、議論も含めて相当腰を据えてやらないと難しい問題だなという気がしてきましたので、次期の議会でどういう方向性になるかわかりませんけれども、この委員間の皆様方の意見を聞いていると、採択される方向にやがて進んでいくのかなと思うんですが、相当難しいというか、慎重な議論をせねばならないなということを実感として思いましたので、委員間討議になるのかどうか知りませんけれども、実効あるものにしたいという意を強く持ちました。
 ちょっと感想みたいなことで申し訳ないです。

○舟橋委員 請願の団体は身体と精神を中心とした団体でありますけれども、今日聞かせていただいた中では、それぞれの団体から、この条例なり法律の必要性というのは随分訴えられたと思います。県の発言を聞いていますと、国が作らないことには私のところはできませんというようなスタンスでありますので、確かに超えなければならない課題、それから議論しなければならない問題、時間がかかると思うんですけれども、やはり作ろうという意思が働いて初めて議論が始まると思うんです。
 そういった意味では、請願が採択されたから、明日条例ができるものでないというのは十分共通の認識ですけれども、やはり作ろうというベクトルだけ示すべきではないかなというのを感じました。

○萩原委員 これは採択は少し先になるんでしょうけれども、私も大いに、まずは何よりも国連の条約早期批准あるいはまた「障害者差別禁止法」、これに向けた国への意見書を採択していくということと、さらに独自の条例をどう作るんだというような問題が、採択すれば迫られてくるわけで、これはこの委員会中心にやっていくのか、また別の条例検討会でやるのかというあたりはまた今後の論議になるんでしょうけれども、大いに勉強もしながらやっていけるといいなという思いを、今日の話を聞きながら一層私は強くしました。
 それで、とりあえず今出ておったような、例えば教えていただいた北海道や岩手がどんな条例づくりをしているのかも、議員提案でやろうというので案ができているのか、それがこの千葉の条例をどんなふうに発展させられているのかどうかという、そんなのもぜひ勉強もさせてもらうとありがたいと思うし。
 さっき委員長も触れてもらった、あの実態の資料なんかも、これは生活・文化部の、勤労の方のグループでしょうけれども、やはり労働局だけの調査ではなしに、できれば県独自にどう調査するのかとか、あるいはまた障がい者の生活実態みたいなものは、三重県内は調査なんかされているのかとか、毎年1万人アンケートなんていうようなことを言っているけれども、ああいう実態の中で今日いろいろ話が出されてきたような障がいの実態、差別の実態というところを本当に把握されているのかどうなのかというあたりが指摘もされているので、そういうものを過去に調査されたような事例等があれば、それもまた参考に資料などは今後いただきたいなと、そんなふうに思っております。
 とりあえず以上です。

○山本委員 もう各委員の先生方たちが発言されたとおりなんですね。課題になっておる差別の定義とか合理的な配慮というのがどうあるべきか、ここも最初で最後の原点、クリアしなければいけない原点、そんな中で国のレベルの統一した見解というのが必要だというところももう言われたとおりです。
 ですから、例えば地方自治体は厚労省に対して、現場をよく知る、と。だから、これこそ国を挙げてそれぞれの地域へ赴いて、いろいろな実態、事例を積み上げていくということが大事で、そうしなければ、いつまでたっても国の制度がないから、先程舟橋委員がおっしゃったように、制度がないから県は作らないよというようなことで時間が経っていくのかなというふうに思って仕方がないんです。ですから、早急に県が厚労省に対して、地方へ出かけて、早急に地方のいろいろなそういう事例、先程も言ったように積み重ねていくために地方に出かけると、こういうような運動をしていくのも1つの手かなというふうに思います。
 だから先程ダブルスタンダードになってしまうから県はやらないよというようなことではいけないわけで、もっともっと地方へ出かけていくということをやる必要があるのかなと、こんなことです。
 以上です。

○竹上委員長 私も委員長という立場でなくて、一委員として一言発言をしたいと思います。
 執行部の今回の意見の中にあった、いわゆる県独自の合理的配慮なり差別とは何かというようなものを、例えば三重県と愛知県で違うものができ上がってしまう、県で条例をどんどん作ってしまえば47通りの差別ができるというのは、意味はよくわかります。もう1つ、今国の方で障がい者の虐待防止法を作ろうというふうな動きも出ておるやに聞いています。
 今日、参考人の皆さんからお伺いした意見は、総じて申し上げれば、実のあるものを作ってほしいというふうなことなんだろうというふうに私は理解をさせていただきました。なかなか県として条例作りというのは難しいだろうなという執行部の今日の意見としてはよくわかります。しかしながら、これは1つのまた小さな一歩かもしれませんけれども、こういったものを県として取り入れていく、また国に対して意見具申をしていくというような積み重ねが、結局実効性のあるものを作っていくというふうなことになるんだろうと思うんです。
 確か舟橋委員が言われたように、請願を採択してから、明日すぐ条例ができるというわけでも、多分ないかと思いますけれども、我々議会人として、一歩でも半歩でも進むような努力をやはりしていくべきだろうと、そんなふうなことを一委員として思っておりますので、表明をさせていただきます。
 ほかにございませんか。
 なければ、これで委員間討議を終了いたします。

 

〔採決について〕

○竹上委員長 本日は請願第32号「国連『障害のある人の権利に関する条約』の早期批准及び『「障害者差別禁止法」』の制定と三重県『障害のある人の権利に関する条例』の制定を求めることについて」の審査に当たり、参考人各位及び当局からご意見をお伺いしました。
 本請願については、本日のご意見を参考に、次回開催の常任委員会で採決を行うことといたしたいと存じますが、ご異議ございませんか。

〔「異議なし」の声あり〕

○竹上委員長 ご異議なしと認め、本請願については、次回開催の委員会において採決を行うことといたします。
 最後に、委員会を代表して一言お礼を申し上げます。
 参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、本日は委員会のためにご出席いただき、また貴重なご意見をいただきましたことに感謝いたします。
 どうもありがとうございました。

 

〔閉会〕

○竹上委員長 以上で健康福祉病院常任委員会を終了いたします。
 ご苦労さまでした。

 

 

健康福祉病院常任委員長

竹 上 真 人

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