三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成20年度 委員会会議録 > 平成20年7月25日 NPO等ソーシャルビジネス支援調査特別委員会 会議録
N P O 等 ソ ー シ ャ ル ビジ ネ ス 支 援 調 査 特 別 委 員 会
会 議 録
(閉 会 中)
開催年月日 平成20年7月25日(金) 自 午前10時02分 ~ 至 午前11時59分
会 議 室 601特別委員会室
出席委員 12名
委 員 長 稲垣 昭義 君
副委員長 中森 博文 君
委 員 辻 三千宣 君
委 員 笹井 健司 君
委 員 竹上 真人 君
委 員 中嶋 年規 君
委 員 藤田 泰樹 君
委 員 野田勇喜雄 君
委 員 森本 繁史 君
委 員 三谷 哲央 君
委 員 西塚 宗郎 君
委 員 西場 信行 君
欠席委員 なし
参考人 1名
特定非営利活動法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン
町野 弘明 常務理事・事務局長
出席説明員
[政策部]
副部長兼経営企画分野総括室長 渡邉信一郎 君
政策企画分野総括室長 竹内 望 君
地域支援分野総括室長 小林 潔 君
[農水商工部]
副部長兼経営企画分野総括室長 梶田 郁郎 君
商工・科学技術振興分野総括室長 山川 進 君
その他関係職員
傍聴議員 3名
県政記者クラブ 1名
傍 聴 者 2名
議題および協議事項
Ⅰ 調査事項
1.ソーシャル・ビジネスと中間支援組織の現状と課題について
Ⅱ 委員協議
・県外調査について
・今後の進め方について
【会議の経過とその結果】
〔開会の宣言〕
Ⅰ 調査事項
1.ソーシャル・ビジネスと中間支援組織の現状と課題について
○稲垣委員長 それでは、町野様の方からご説明をよろしくお願いいたします。
○町野代表 それでは、座ったまま失礼させていただきます。
本日は、今ご紹介いただきました稲垣委員長のご案内で貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
今回、ソーシャル・ビジネスの支援調査というふうな、非常に先進的な取組をされていらっしゃるというふうなことで、私どもの方でも若干ながら、材料提供をさせていただけるならばというふうに思ってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そうしましたら、パワーポイントの方を使わせていただいてご説明を少しさせていただきたいと思います。
私どもも、お話をするときにやたら片仮名が多いというふうに言われる場合も結構ございます。なかなかやはり今、欧米で進んでいる流れに、この領域が追いつき追い越せというふうな領域がまだありまして、まだまだ片仮名が多い状況がありますが、できるだけ我々としても日本語に訳しながらやっていきたいなというふうに思っておりますので、そのへん、わかりにくいところがあれば、また遠慮なくご質問いただければというふうに思います。
今日お話しする内容としましては、まず、私どもソーシャル・イノベーション・ジャパンという団体がどういう活動をしているのかというふうなことを最初に少しご案内させていただきまして、続いて、今の日本のソーシャル・ビジネスの現状がどうなっていて、どんな課題があるかというふうなことについて少しお話をさせていただいて、その後に、そういうソーシャル・ビジネスを支援する、いわゆる中間支援組織と呼ばれるような組織、団体がどのような状況にあるのかというふうなことについてお話をして、最後に若干、これはご相談しながらと思っておりましたが、三重県さんの方で進められるソーシャル・ビジネス支援というふうなことが、どんな形で当面あり得ようかというふうなことについて、少しご提案的なお話ができればというふうに思っております。
最初に、私どものご紹介というふうなことでありますが、ここに設立趣意書というふうな形のものを挙げさせていただいております。私どもの団体は、一橋大学の方で教授をしております谷本寛治という教員が一応代表理事をやっております。
谷本の方の設立趣意ですが、ここにもいろいろかたい言葉が並んでおりますが、ちょうど真ん中あたりに社会的企業家というふうな言葉を挙げております。これは、括弧してソーシャル・アントレプレナーシップを持った人々というふうに出ておりますが、一般的に欧米では、ソーシャル・アントレプレナーというふうな言葉が使われております。要するに、そういうソーシャル・ビジネスを実践する人たちのことをソーシャル・アントレプレナーというふうに呼んだりしているんですが、それは訳すと、一応、社会的企業家という言葉に、我々は訳語を使っております。
ただ、最近、日本でいろいろ使われる機会には社会起業家という言葉が使われる場合が多いです。前回の委員会でも、井上さんなんかはそういう言葉を使われたかと思うんですが、そのときの社会起業家というのは、起業家の「キ」の字が起こす方の「起」の字なんですね。いわゆるベンチャーという意味での起業家という形で社会起業家、要するに社会的なビジネスをやるベンチャー、起業家ということで社会起業家という言葉が最近は割と使われていて、社会起業家ブームなどとも言われたりしているわけなんですが、我々はあえて社会的企業家ということで、この訳語としては、ややこだわっておりまして、企業家の「キ」の字を起こす方ではなくてあえて企む方の「企」を使わせていただいているというふうなことで、というのは、必ずしもこういう取組をされていらっしゃる方は、ベンチャーとか、いわゆる早い段階で事業を立ち上げている立場の方々だけを指していうべきではないんではないかと。
要は、欧米の動きなんかでは、ソーシャル・ビジネスをやっているところが非常に大企業になっているところが多々あるわけなんですね。例えば、イギリスを発祥とするボディーショップという、これは化粧品を中心にした取組をやられている企業さんで、日本でも結構たくさん展開されていますけれども、ここなんかも社会的企業と言われていますし、あるいはアメリカでパタゴニアという、これは山岳系のアパレル商品を扱われている企業さんですが、このパタゴニアさんなんかも社会的企業、でももうグローバル企業なわけですね。
ある意味、日本でも、じゃ、トヨタさんがああいう環境ビジネスという位置づけでプリウスを展開されている、あるいは福祉車両というふうな形でラウムというふうな商品を展開されている。これをもう立派に商品としてビジネス化されているわけなんですね。ですからある意味、欧米ではトヨタさんはそういう社会的企業というふうなことでの評価も受けています。
ですので、必ずしも社会企業家、ソーシャル・アントレプレナーという言葉を、いわゆるベンチャー企業だけに当てはめるべきではないのではないかと。逆に言うと、十分ソーシャル・ビジネスが地域のコミュニティビジネス、非常に地域だけで完結するコミュニティビジネスではなくて、国内展開、あるいは世界展開をしていくようなビッグビジネスになる可能性もあるんだというふうなことを意図しながら、とらえていくべきじゃないかということで、あえて社会的企業の「キ」の字を起こす方ではなくて企む「企」、要するに、大企業でも社会的企業という位置づけを持ち得るんだというふうなことで、こういう訳語を使っています。
ですので、我々はソーシャル・アントレプレナーというのは社会的企業という訳語を使っていますし、ソーシャル・ビジネスに関しては社会的事業というふうな訳語を使っています。ですので、かなりそういう意味で、コミュニティベースで展開するにしても、大きな展開になり得るんだというふうなことで、そういう広がりを持った言葉を使っているというふうなことです。
そういう意味では、そういう広がりの中で、下の方にも書いてありますが、そういう企業体で、もちろんNPOの場合もあるわけですし、あるいは政府、行政、自治体さんも含めて、いろんなプレーヤー、セクターの方々、分野の方々が協力し合って、そういう事業を進めていくというふうなことで、社会がいい方向に変わっていくんじゃないかというふうな期待を持って、取り組んでいるというふうなことで、そういうふうな連携、連動の仕方をソーシャルイノベーションクラスターというふうな形で新しい産業体を作るんだと、かつて第1次、第2次、第3次産業というふうな形での展開があったわけですが、こういう社会的事業、社会的企業の展開が第4次産業、第5次産業というふうな形で、扱われていくというふうなことが必要なんじゃないかということで、このクラスターという新しい産業クラスターを作るんだというふうな意味合いの言葉として使っているというふうなことであります。
ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな考え方をしているということであります。その中で、我々の方で取り組んでおるのは、やはりそういういわゆる社会的企業家を育てていくというふうなことに対してのいろいろな中間支援の活動をさせていただいているということであります。
1つ目は、ここに書いてあります社会的企業の支援と社会的事業、これはソーシャル・ビジネスですが、この育成をしていくというふうなことで、その社会的企業家が集まるような場を作っていくと。それから実際に人材育成、そういう企業家の方の人材育成をしていく。それから実際の社会的事業、ソーシャル・ビジネスを育てていくというふうなこと、それから2番目に関しては、これはどちらかというと、大企業さんとか中小企業さんとか、いわゆる企業のセクターの方々に対しての支援というふうなことで、最近、企業も、いわゆるこれも片仮名というかアルファベットですが、CSR活動、企業の社会的責任というふうなことを非常に問われていて、展開されているというふうな状況があります。
企業の社会的責任というふうなことでいうと、1つには、法令遵守、コンプライアンスとか言われたりしますけれども、いわゆる最近、偽装の事件なんかも続いておるわけですけれども、まずそういう法律を守るというふうなことが基本にありながらですけれども、それに加えて、いろんなNPOに対しての寄附をしていくとか、あるいは環境に役立つ商品を作っていくとか、そういうふうな動きが非常に進んでいるわけなんですね。テレビとか新聞とか見ていても、環境に優しい、地球に優しい商品というふうな話が非常に増えています。そういう意味では、企業もそういう社会に役立つような取組をしていかなきゃいけないという、そういう動きが非常に進んでおりますので、そういう意味で、企業に対してもそういうふうなNPO、あるいは社会的な領域に対して、もっともっと深く関心を持ってもらうというふうなことを一方で進めていく必要があるんじゃないかというふうなことを2番目に置いています。
ですので、そういう企業とそういういわゆるこれから進めていこうとされているような社会的企業家の方々がうまく融合していって、うまく連携し合って、そういう社会をよくしていくと、ソーシャル・イノベーションを進めていくというふうなことの動きを加速させていければというふうなことであります。これに対して行政の方々がどうバックアップしていっていただけるかというふうなことかなというふうに思います。
そういう活動をいろんな形でやっておりまして、一番下に活動内容として挙げさせていただいておりますが、そういういろいろな、先程申し上げた場づくりというふうなことでの交流ネットワーキング、それから、そういう社会的企業家あるいは企業の社会的責任を担われる形での方々の人材育成、それからいろいろな実際のビジネス育成、それから普及啓発というふうなことについて取り組ませていただいているというふうなことであります。
そういう場づくりとして、どういうふうなことをやっているかということで、ここからご説明をさせていただきます。
1つは、ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリングと、これも片仮名でございますが、基本的には、そういう社会的企業家の方々に全国から集まってもらうというふうな形の全国大会的な取組をさせていただいております。これもそういう意味で、イベントとしては、経済産業省さんとか環境省さんなんかにも後援をいただきながら、一方で20社近い企業さんから協賛をいただきながら、そういう意味でいろんなセクターの方に入っていただいて、六本木ヒルズの方で、森ビルさんからも協賛をいただいているものですから、六本木ヒルズで開催するというふうなことで、昨年まで3回程開いてまいりました。全国から400人ぐらい集まっていただきまして、こういう分野に対してのいろんな交流をしていただくというふうなことで、大体400人のうち3分の1ぐらいがやはりそういう、これからソーシャル・ビジネスをやってみようと思われているような方々で、3分の1ぐらいが結構大企業とか中小企業の方々、残りの3分の1ぐらいが研究者とか学生、行政の方々というふうなことで、いろんな立場の方々に集まっていただいて交流をしていただくというふうなことで、昨年はイギリスで、真ん中にちょっと書いてありますが、ビッグイシューという、これは日本でも展開されているビジネスがありますが、いわゆるホームレスの方々が雑誌を作って、それを販売していくというふうな形の取組をされていまして、そのビッグイシューのイギリスでの創設者であるジョン・バードさんをお招きしてというふうなことで、このビッグイシューのビジネスというのも、そういう意味では、日本国内の貧困問題を、ホームレスの問題を雑誌を売っていくというふうなことでできるだけ仕事にしていってもらうというふうな取組をやっているソーシャル・ビジネスですが、そういうことがどうやって起こってきたのかというふうなことなんかをお話いただいたりというふうなことでもあります。
それから、下に書かせていただいてありますが、これはインターネットを使ったウェブサイトで、いわゆるソーシャル・ビジネスに関しての総合情報サイト、ポータルサイトということで、ソーシャルエコーと読みますが、「Social Ecoo」というサイトを、これは三菱東京UFJ銀行さんの協賛によって進めております。ぜひこのここにURLを上げさせていただいておりますので、よろしければ、ぜひインターネット上で見ていただければというふうに思いますが、やはりどうしてもイベントなんかは東京が多かったりするものですから、ぜひ、地域での展開というふうなことについては、こういうインターネットを使って、いろいろな交流をしていただくということで、これを見ていただけると、全国を代表するようなそういうソーシャル・アントレプレナーの方々、それからソーシャル・ビジネスをやられている方々の顔ぶれが生き生きと見られますので、こういうふうな場もぜひ活用していければというふうに思っております。
もう一つは、人材育成というふうなことで、こういう取組をぜひ三重県さんの方でも取り組んでもいただければなというふうに思っておりますが、実際、活躍されていらっしゃるソーシャル・アントレプレナーの方々とか、あるいは中間支援の立場で活躍される方々とか、そういう方々に資するような取組というふうなことであります。
ここに講師が挙がっておりますが、大体、私どもの方で理事ですとかアドバイザー、フェローという立場についていただいている方々にお話をいただいておりますが、例えば、上の方で見ていきますと、2回目に話をしていただいた日野さんなんかは、アットマーク・ラーニングという会社をやられていますが、あわせてホームスクール支援協会というNPOをやられている方ですが、この方は何をやられているかというと、いわゆるインターネットを使った学校の授業をやられているわけですね。今、子どもたちの不登校が非常に増えてきていると。引きこもりでなかなか学校に行けないという子どもたちが非常に増えていますが、日本では学校に行かないと卒業資格を得られないという状況があって、アメリカなんかはインターネットだけで、もう学校に行かなくても卒業資格が取れるということがあるんですけれども、日本ではまだそれはできないということで、それを精力的に進められていると。ですので、そういう学校に行けない、行かない子どもたちのために、インターネットによる学校授業を進めていこうということで、この美川特区アットマーク国際高等学校というのが出ていますが、これは石川県で美川町という町がありまして、そこの町長さんが非常に共鳴されて、特区制度を使って、石川県の美川をベースにしたインターネット高校を立ち上げたと。これは廃校も一部利用されていまして、結局大半はインターネットで学ぶんですが、今の文科省さんの制度の中でいうと、年間2週間程度は、実際学校に足を運んでスクーリングをしないと卒業資格が得られないので、それを石川県まで足を運んでいただいて、美川で学んでもらってというふうな形で、そういうネットスクールを展開されているというふうな方ですね。ですから、ソーシャル・ビジネスの中でも教育ビジネスということで取り組まれている方であったり、あるいは3回目、駒崎さんは、これは前回お話もあったと聞いておりますが、フローレンスという病児保育、病気の子どもたちを保育していく事業を展開されているというふうな方であるとか、あとは、5回目に谷口さん、ここはぱれっと、ぱれっとの話もあったかもしれませんが、知的障がいを持たれている方々がクッキーを作ったり、あるいはレストランをやったりというふうな事業をやられている谷口さんであったり、あと下の回でいうと、例えば、第2回でお話しされた大村さんという方は、安全センターという事業を立ち上げられたわけなんですが、安全センターという事業は、いわゆるひとり暮らしのお年寄りのための緊急通報サービスという事業を、日本で初めて始められた方ですね。やはりどうしてもひとり暮らしのお年寄りの方々が、いつ何が起こってもというような状況の中で、もしものときにそれを通報するというふうな事業モデルを考えて、そうすると、なかなかそれを難しい方法でやろうとするとうまくいかないので、看護師さんたちに電話相談を日常的にしてもらうというふうな中で、何かあったらそれをボタンで通報してもらうというふうな形で、うまく浸透させていくというふうな形の事業モデルをやられた方であったり、あと、4回目にお話しされた鈴木さん、イー・エルダーというNPOは、これはシニアを対象にしたNPOでありまして、ご自身もIBMをやめられて作られたんですけれども、シニアの方に向けてのパソコン教室をやられたり、あるいはパソコンのリサイクル事業なんかをやられている。そういうふうなことを、いわゆるシニアの方々が集まって、そういうパソコン事業の講師もやったり、リサイクル事業のいろいろな世話役をやったりというふうなことをやられている、いわゆるイーというのはエレクトリックのイーですが、エルダーの方々が集まってのシニアの方のソーシャル・ビジネスというふうな形で展開されている。そんな方なんかにもお話をいただきながら、いろいろな事例をお話しいただいて、学んでいただくというふうな講座もやったりしております。
それから、ソーシャル・ビジネス・アワードという形の顕彰事業をやっております。これは、マイクロソフトさんの協賛で進めている事業でありますけれども、ソーシャル・ビジネス賞、ソーシャル・ベンチャー・ビジネス賞、それからソーシャル・ITビジネス賞、それからマイクロソフト奨励賞というふうな賞をお出ししたりしておりますが、ここの受賞者の方々なんかも若干ご紹介しますと、最初に挙がっている太陽の家さん、こちらは大分で展開されている事業ですが、やはり知的障がいの方がいろいろな大企業の製造工程にかかわっていただくようなモデルを作られている。ですので、ホンダさんとか、オムロンさんとか、そういうふうな大企業さんとジョイントされて、知的障がいとあと身体障がいの方々が働く形を作られているというふうな取組をされていらっしゃるとか、あるいは大地を守る会、株式会社大地さんですが、これはもう20年以上も前から有機野菜の宅配事業を始められて、まだまだ有機野菜なんかは当時は全然注目されていなかったわけですが、いわば草分け的な形で、20年来、有機野菜の宅配事業をやられてきているというふうな取組であるとか、あと、ソーシャル・ベンチャー・ビジネス賞は、仙台のはらからさん、こちらも非常に手づくりのおいしい豆腐を障がいのある方々で作ってもらうというふうな取組をやられている事業でありまして、非常に豆腐を全国に通販をされていらっしゃるというふうな形で、立派な事業モデルを作られているというふうなケースであります。
ソーシャル・ITビジネス賞のグローバルコンテンツさんなんかも、これは多言語情報ということで、非常に在日外国人の方々が増えてきているわけですが、そういう方々に対しての行政情報を初めとして、なかなかそういう情報提供がいろんな言葉でできないというふうな状況があって、三重県さんの方でもおありかもしれませんけれども、やはりそういう行政情報を在日外国人の方々向けに翻訳をして、それを情報提供していくというふうな事業をやられている。多言語情報を翻訳家の方々と一緒に進めながらやっていると、そういうふうな事業をやられるとか、あとは、イーココロ!さんというユナイテッドピープルさんという、ここはクリック募金という形で、インターネット上でワンクリックすれば寄附ができるというふうな形の取組をやられているところとか、そんな形ですね。
あとソーシャル・エコビジネス・アワードというふうなものもやったりしていまして、こちらは三菱東京UFJ銀行さんと一緒にやったものですけれども、例えばここでの大賞は、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、北海道グリーンファンドという、北海道で風力発電を市民ファンドで展開されていらっしゃるというふうなことで、風力発電は三重県さんの方でもやられていらっしゃるかと思いますけれども、それを市民が出資する形で風車を作って、それを北海道電力さんに売電していくというふうな形のモデルで、非常に多くの市民のファンドが集まって、きっちり配当も出されているというふうな事業モデルでやられていらっしゃいます。それからアサザ基金、茨城ですけれども、霞ヶ浦という大きな湖がありますが、霞ヶ浦に非常にブラックバスとかそういう外来魚がたくさん入って、いろいろな問題を起こしているわけなんですが、そういう外来魚を取って、それを魚粉にして、地元の農業に生かしていくというふうなモデルでやられていると。湖が喜ぶ野菜ということで、農産物もブランディングして売り出していらっしゃるというふうな形の取組をやられているというところです。
あともう一つ、ピッキオさんという、ここは軽井沢ですけれども、エコツーリズム事業をやられているというふうなことで、こちらは軽井沢の自然をエコツアーというふうな形で見ていただくというふうなことで、地元の星野リゾートというリゾート会社、再生会社さんとも連携しながら、あとはプリンスホテルさんなんかとも連携しながらですが、やはりこれは観光事業というふうなことで、結構いろんな地域で力を入れられていらっしゃるところがあるわけですが、やはり従来型の観光ではなくて、こういう環境、エコを1つきっかけにした観光事業であるとか、最近は農業を切り口にした観光事業、アグリツーリズムとか、あとは伝統芸能なんかを切り口にしたカルチャーツーリズムとか、国土交通省さんはニューツーリズムというふうな言い方をされていらっしゃいますけれども、新しいソーシャルな切り口でのツーリズム事業というふうなものを進めていこうというふうなことなんかもいろいろと進んでおります。ですので、きっと三重県さんでもいろんなエコツーリズム、アグリツーリズムというふうな新しい観光事業、ソーシャルな観光事業というのがあり得るんじゃないかなと思いますが、非常に全国でそういう意味では評価の高いエコツーリズム事業をされているピッキオさんを表彰させていただいたりということであります。
こういうふうな取組というのは、ここにも出ておりますが、いろんな新聞でも取り上げていただいておりまして、そういう意味では、コミュニティビジネスというふうな切り口で今までいろんな流れがあったわけですが、それにやはり加えてソーシャル・ビジネスというふうなことで、いろんな展開があり得るというふうなことで、ここにも右側に日刊工業新聞さんの記事も出ておりますが、中小企業さん、大企業さん、NPOさん、いろんな形で協働しながら、冒頭にお話ししたようにいろんな展開が進んできているというのがソーシャル・ビジネスならではなのかなというふうに思っております。
一応、私どもの活動絡みのお話はこのぐらいにさせていただいて、この後、ソーシャル・ビジネス、それから中間支援組織の現状と課題というふうなことでお話しさせていただきます。
ここに書かせていただいているのは、経産省さんの研究会の報告なので、前回、田尻さんの方からもお話があったかもしれませんので、余り細かくはお話しませんが、要は下に挙げております社会性、事業性、革新性という、この3つのポイントがやはりソーシャル・ビジネスを考える上では大事なのではないかということで、このポイントはもともと、その研究会の座長も務めました私どもの谷本代表の方からの提言に基づいていることなんですが、やはり、社会貢献にもなり、事業としても成り立つ、要するにもうかるということですよね。要するに社会貢献をしながらもうかる、もうけるというふうな、そういうスタンスととっていこうと。今まではどちらかというと、日本でのこういう領域は陰徳とかいう形で、粛々と目立たずやるのがいいというふうな、そういう文化もありましたが、これからは、社会貢献にもなりながら、それをビジネスとしてきっちり収益も得ていくというふうな形があり得ていいんじゃないかというとらえ方をする、あるいは小さな政府、小さな行政というふうな動きが加速しているわけですので、今まで行政が税金を使って担われていた分野を民間がそれを事業としてやっていくというふうな形がやっぱり進んできているわけなので、そういう意味では、今まで公共の方で担われていた領域、それが環境であったり教育であったり福祉だったりするわけですが、それをビジネスでやるというふうなことを積極的にビジネスチャンスとしてとらえていくというふうなことだと思うんですね。
なので、そういう意味で社会性と事業性というものを両立させるというふうなことが、やはり一つのポイントになりますし、それをきっちりとらえていくという、そのとらえ方ですね。ですから、どちらかというと今までNPOの活動というのは、非常にボランティア型で慈善型で、市民活動とか市民運動の上に成り立っているというふうな流れもあったわけですけれども、もちろんそういう活動も一方では必要だというふうなことではありますが、違うタイプの取組として、ビジネスから入っていって、それが今まで公共が担われていたり、社会的な領域だったりしていたところをビジネスにしていこうというふうな発想をしていくのがソーシャル・ビジネスのとらえ方というふうなところでもありますので、今までの市民活動を、例えば行政さんでいえば、生活系の部署の方々が担当されていたというふうなこともありますが、今の自治体さんの動きでは、結構商工系の部署の方々が新しく今までのビジネス育成、ベンチャー支援という文脈の中にソーシャルな領域を取り込まれていくというふうなとらえ方で、新しい産業振興としてソーシャル・ビジネスをとらえていこうというふうな形が進んでもおります。そんな形での一つのきっかけづくりにこのソーシャル・ビジネスという話をできればいいんじゃないかなと思っています。
なので、3番目の革新性というふうなことは、そういう意味で、望ましいモデルづくりがどれだけできるのか、持続していける形で、事業モデルとしてもそうですし、社会モデルとしても、いろいろな公共の事業と連携しながらそういうビジネス、事業を展開していくモデル、そういう意味でのイノベーション、革新というふうなことで、モデルづくりがどれぐらいできるのかというのが3番目に挙げているところでもありまして、右側の図にも挙がっているような、いろんな立場を持っていただきながら、協力し合うような連携の仕方がどうできるかというところだと思います。
いくつかの事例を取り上げております。1つ目は、先程もちょっとお話をしましたが、北海道グリーンファンドさんですね。こちらはもともと、理事長をやられている杉山さかえさんは生活クラブ生協を展開されてきておりまして、1つは生活クラブのネットワークがベースになりながら、立ち上がってきているというふうなところはありますけれども、先程申し上げたような市民出資を募られたというところが非常に評価も高いところでありまして、カタログハウスさんというところが通販生活という雑誌を出されていて、非常に主婦の方々には人気の通販雑誌なんですけれども、そちらでそういう市民出資を募られて、非常に予定を大幅に上回るような出資の申し込みがあって、結構出資される方は、やっぱり自分の子どもとか孫に望ましい環境を残していきたいというふうなお話があったりしていて、ここの右側に若干風車の絵が載っておりますが、これはこれだけでは見えませんけれども、風車に出資された方々のお名前を一人一人書いてあったりということなんですね。自分の孫の名前をぜひ風車に残してほしいということで、風車に孫の名前を残すような形で出資いただいている方とか、そんな方々の思いを集めて風車にして、それをグリーン電気料金制度とうまく組み合わせながら、電力会社さんと協働されながら進めていらっしゃるということで、これなんかは非常にうまくいっていますので、いわゆるソーシャル・ビジネスのフランチャイズ展開をしようというふうなことで、ここにも出ておりますが、秋田とか青森とか茨城、千葉なんかに要請があって、今展開を進めていらっしゃったりというふうなことであります。ですので、非常にこれも北海道というコミュニティから地域からスタートした事業なんですが、十分コミュニティビジネスの枠を出て、全国展開をしていくようなソーシャル・ビジネスになっているというふうな状況ですね。
2番目が、いろどりさんは、これは恐らく前回、井上さんもお話をされていらっしゃると思いますけれども、これも上勝町という徳島の地で、実質、ここの社長さんは上勝町長が担われているようなところもあるわけですが、町を挙げて進められていらっしゃるというふうなことで、実際、おじいちゃん、おばあちゃんが裏山でとってきた木の葉っぱや小枝を全国の料亭、料理店に対してつまものとしてネット販売を進めていらっしゃるというふうなことで、これはマイクロソフトさんがやはりずっと支援をされていらっしゃって、企業と連携をするというふうなことで、非常にうまくいっている事例でもあります。
現地では、おじいちゃん、おばあちゃんがこうやって実際、売り上げを競って、競い合いをするようなそういう状況も生まれていたりというふうなことで、これなんかはそういう意味では、社会的な課題という意味でいうと、もちろん高齢化社会の問題ということもありますが、一方では環境問題にも資する話ですし、場合によっては農協さんもご協力されていて、第1次産業的な農業、林業というふうな形での展開にもつながっているわけですし、非常にソーシャル・ビジネスとしても幅広い展開を持っていらっしゃる、最近は葉っぱビジネスということで本を出されて、テレビにもよく出ていらっしゃいますけれども、横石さんというここのナンバー2の方が非常にリーダーシップも発揮されていらっしゃるというふうなモデルですね。
3番目も、前回ちょっとお話があったかもしれませんが、フローレンスさんという、これは病気の子どもたちを保育する事業ということで、現状は病気の子どもたちというのは、保育園で預かってくれないというふうなことで、いつ熱が出て病気になるかわからないわけで、それを会費制で対応していこうというふうなモデルでやられていると。しかも基本的には保育園という施設を持たずに、非施設型となっていますが、いろいろな子育てOBのママさんとか、小児科医の方々をネットワークして、地域でこういうこどもレスキュー隊というチームを作って、そういう方々の自宅で預かっていただくというふうなモデルで展開させているというふうなことで、ここもそういう意味では、基本的にビジネスモデルを作って、厚労省さんの補助事業という形ではなくて、独自の自立したモデルで展開をされていらっしゃるというふうな事例でありまして、これも今都内に少しずつ広がって、将来的には全国にぜひ展開を広げたいというふうなことを考えられているソーシャル・ビジネスというふうな事例ですね。
下の事例の4番のところは、これは福岡ですね。株式会社フラウさんということで、こちらもそういう意味では、もう20年近く取り組んでいらっしゃる老舗格ですが、「子づれDE CHA・CHA・CHA!」という子育て応援雑誌をずっと出されてきていて、右側にちょっとその雑誌の創刊号の表紙が出ていますけれども、こういう雑誌という媒体、メディアを使って、子育ての情報がベースですけれども、それにいろいろなもっと食育とか環境教育とか、あるいは医療とか、いろんな領域の方々の情報も載せられていくと、そこでネットワークを作りながらさらにいろんなプロジェクトも展開されているというふうなことで、これは一つの地域メディア、地域媒体展開型というようなところもありますが、ベースには子育て支援というふうな社会的課題を持ちながら、媒体を活用しながら横に展開を広げられていらっしゃるというふうなところです。福岡市さんとか福岡県さんともいろいろな連携を図りながら、子育て環境改善というふうなことで、全国にやはり情報発信されているというふうな、そういう事業でもあります。
というような形で、ソーシャル・ビジネスはいろんなテーマでいろんな地域で展開されています。やはり地域ならではの資源を生かしながら、それをコミュニティ、地域で成功させながら、それをひいては全国展開していくというふうなことで、コミュニティビジネスの枠を超えて、そういう社会的テーマに特化していくと、それが場合によっては全国展開につながっていくんだと、地域発の全国ビジネスになるんだというふうな形で展開されているということですので、やっぱりそういう視点をどう築いていけるのかというふうなことがポイントかなというふうに思いますね。
一方で、そういうソーシャル・ビジネスを支援していく中間支援組織というふうなものがどんな形になっているのかというふうなことを少し見ていければと思いますが、1つには、最初に挙げさせていただいた一般的な中間支援組織と呼ばれる、いわゆるNPO支援を少し前からされていらっしゃるNPOセンターとかNPOサポートセンターとか、そういうふうな組織というのは、ここにも内閣府さんの調査で出ておりますが、大体200ぐらい全国にあるというふうに言われていまして、恐らく三重県さんにもおありだと思いますけれども。こちらはやはり先程ちょっとお話しした中で言うと、どちらかというと、市民活動とか市民運動的な形で活動されてきているボランティアあるいはその慈善型のNPOの支援をしていくというふうな、いわゆる生活者支援とか、あるいは市民支援というふうな形の一環で、やられてきているようなNPO支援というふうな形で取り組まれているような中間支援組織があるというふうなことで、ここの図にもちょっとなっていますけれども、そういう受益者とか市民のためのそういういわゆるボランティア活動、慈善活動をどうサポートしていくのかと。官設、民設という2タイプがあるというふうなことではありますけれども、基本的には、どちらかというとビジネスというふうな観点はそれ程強くなくて、市民活動、NPO活動を一般的に支援していくというふうな活動をされていらっしゃるということで、やはり200ぐらいの中間支援という形にはなっていますが、なかなかビジネス支援というふうなところに至っているところは、まだごく一部しかないというふうな状況があります。
それに対して、ソーシャル・ビジネスの中間支援組織というふうなことで言うと、まだまだ数が少ないんですけれども、そういう中で、見られる課題というふうなことについて言うと、ここに出ているように、まだまだ自立した形での中間支援組織ということでは、やはりまだまだ数が少ないというふうなことがあります。それから、中間支援で実際汗をかいているというか、そこで実際中間支援を担われている方々の人材が、なかなか社会的な地位としてきちんとした形が作られていないと。要するに中間支援をやっていますという方々が、あの人何をやっているんだろうというふうな、やっぱりそういう見られ方をするというふうなことがまだまだあって、経産省さんなんかとのお話では、そこでの中間支援人材というふうなものの一つの職能とか、モデルというものをきちんと作っていかなければいけない。場合によっては、何らかそういう資格制度みたいなことも必要なのかもしれませんが、そういうNPOコーディネーターとか、NPOサポーターとか、あるいはソーシャルプロデューサーとか、いろんな呼び方が出てきておりますけれども、そういう中間支援人材のきちんとした職能の確立というふうなことが一方で必要であろうと。それからここではコミュニティビジネスを訳してCBというふうになっていますけれども、そういうコミュニティベースでのソーシャル・ビジネスのいろんなニーズに応えられる専門性の高い人材がまだまだ少ないというふうなことが挙げられています。
もう一つ、地域の資源をきちんとやっぱりまだまだ拾い切れていなくて、そういう意味で、地域ならではのソーシャル・ビジネスの支援というふうな形がとれていないというふうなところがあります。
そういう意味で、欧米の中間支援モデルを見てみますと、やっぱりそのへんが非常にはっきりしていまして、1つはそういう中間支援組織、後程ちょっと若干ご紹介しますけれども、中間支援組織としてきっちり自立していると。やっぱり立ち上がりの段階では、いろんな行政の方々の支援が必要であったり、いろいろな育てるという観点が必要であっても、その後は、きちんと中間支援組織自身が事業収入を得て、事業的に自立しているというふうな形がやっぱり出てきていますし、あとはいろんなプロジェクトですね。企業さんと協働するプロジェクトとか、行政さんと協働するプロジェクトみたいな形で、プロジェクト単位できちんと自立しているというふうなことがありますし、一方では、専門性の高い、例えばソーシャル・ビジネスを進める上で、資金調達はどうするのかとか、あるいはマネージメントをどうしたらいいのとか、あるいは、じゃ、営業ってどうしたらいいのとか、そういう話って必ずつきまとうわけですけれども、そういうときに、税理士さんあるいは弁護士さん、あるいはそういう経営コンサルタント的な方とか、そういう専門家がある程度、中間支援組織にいないと、なかなかそういうサポートにならないと。頑張ってねということだけではなかなか支援にならないので、そういう専門人材がここで言えば、ベンチャー育成とそんな違わないわけですけれども、やっぱり専門性の高い人材が専属として雇用されているのが欧米、ただ、日本で考えるといきなりそういう専門家の方々が専属というのはほぼ難しいので、オフタイムで協力していただく。例えば我々SIJもそうですけれども、例えば銀行に勤められている方とか、あるいは証券会社に勤めている方がオフタイムで平日の夜とか、あるいは土日とかに、そういうNPOの方々の経営相談に乗るというふうな形のネットワークがうまく作れれば、きっとそういう企業に勤められている方々も今の仕事だけじゃ物足りないと、もうちょっと何か社会に役立つことはできないかと思われている方って、点ではたくさんいらっしゃると思うんですね。そういう方々がオフタイムでちょっとNPOの相談に乗ってやろうじゃないかというふうな形で手伝っていただくというふうな、そんなネットワークが作れると、大分変わってくると思います。
ですので、ぜひそんな形をこちらでも作れるといいんじゃないかなと思うんですが、そういう意味で、地域のいろんな資金もそうですが、あとはいろんな資源を、人材も含めてのいろんな、ここではソーシャル・キャピタルといっていますが、いろんな資源を、地域の公共的な、社会的な資源を活用するようなことが欧米ではできているという感じですね。
なので、3番目に中間支援組織で今後求められる方向性ということでいくつか挙げていますが、下に囲んであるようなところで、まずは情報提供機能というのは非常に大事で、今日、一部ご紹介しているような、例えば徳島だったらこんなことができているよ、北海道だったらこんなことができている、大分ではこんなことがやれているというふうな、そういう成功事例なんかの情報をできるだけ持って、NPOの方々にこういうやり方があるんじゃないのと。例えば観光で何かやりたいと思われている方に、例えばエコツーリズムでこういうところがやっているよというふうな、やっぱりそういう情報をうまく出していけるような情報提供機能ということが必要でしょうし、場合によっては、資源や技術の仲介機能ということで、実際そういう方々とお会いいただいて、引き合わせていただいて、そういう既に成功されているようなソーシャル・ビジネスの成功モデルを、成功ノウハウをうまく移転させるというふうなこともあると思いますし、一方では人材育成ということで、いろんなスクール的なものもやっていくということも必要でしょうし、マネジメント能力の向上支援ということで言えば、先程申し上げたようないろんな企業にいらっしゃる方、もちろん行政にいらっしゃる方々含めて、いろんなオフタイムでのマネージメント的なノウハウをご提供いただくようなネットワーク型の支援機能であるとか、そんなものがあるだろうと。
あとはぜひ、先程のアワード事業みたいなものは一つの取組に過ぎませんが、やっぱりNPOの方々の評価をしてあげるというのは大事ですよね。ですので、ぜひ表彰活動、表彰、顕彰事業というふうなものもやられていくと、年に1回でもいいので、そういうふうな、例えばソーシャル・ビジネス賞みたいなものを設けて、スポットライトを当ててあげると。そうすると、マスメディアの方々も取り上げてもらったりというふうなことにもなりますので、そうすると、そういう方々の地位向上にもつながるというふうなこともありますので、やっぱり評価というのは大事だなというふうに思いますし、あとは、価値創出機能と書いてありますけれども、いずれにしても、そういうことをいかに広げていけるかというふうなことだと思います。
それから、だんだん時間が少なくなってきましたが、そういう中間支援組織で、ある程度成功されているところをいくつが取り上げてみました。1つは、仙台で活動されているせんだい・みやぎNPOセンターさん、こちらの代表理事をされている加藤さんは、私どものアドバイザーもしていただいていますが、こちらも、もう結構長く取り組んでいらっしゃいますけれども、もともとはいわゆるNPO支援というふうな形で立ち上がった中間支援組織さんですが、この後段に書いてあるように、やっぱりいろんな資金だとか、もの、人、それから情報というふうないろんな資源を持つ仙台市内の企業さんとか、あとは専門家の方々に登録していただいて、それをNPOさんとうまく結ぶサポート資源提供システムと書いてありますが、そういうネットワークづくりをされたり、あとはやっぱり市内の企業さん、特に商店街とか、いろいろなサービス系の企業さんと連携して、まちづくりキャンペーンというふうな形でせんだいCARESというようなものを展開されたりというふうなこともやっていますし、今年からは、そういう企業さん相手にCSR活動、社会貢献活動の相談所を作って、企業さんにとってみれば、いろいろそういう社会貢献をやってみたいんだけれども、環境でどこのNPOと組んでいいかわからないとか、福祉、教育で何かやりたいんだけれども、学校に対してどうしていいかわからないとか、そんな企業さんも結構あるんですね。なので、そういう企業さんに、じゃ、こういうNPOと組んでみたらどうですか、ここのNPOはすごくしっかりしているので大丈夫ですよというふうなことで、そういう相談に乗るというふうな、そんな取組なんかも一方ではされたりしていると、やっぱりそういう縁結びをうまくしてあげるというような機能というのは大事で、そのへんを非常に先進的な取組としてこのせんだい・みやぎさんでは取り組まれているというふうな形ですね。
2番目は、北海道NPOサポートセンターで、こちらももともとやはりNPO支援ということで、市民設市民営というふうに書いてありますが、そういう取組を長くやってこられているところです。結構きめ細かく、いろんなNPOさんに対しての相談に乗られているというふうなこともありますが、一方ではNPOバンク的なものを立ち上げられて、地元の金融企業さんと一緒に、NPOに対しての融資を進めるというふうなことなんかもされていらっしゃいますし、やはり先程申し上げた、専門家の方々のネットワークをNPOサポート専門家会議というふうな形で作られて、そういう方々のノウハウに基づいて、実践ガイドというようなマニュアルなんかも作られたりしながら、非常にビジネス的な観点でも視点を持たれながら活動されている。ここの理事長は、北海道グリーンファンドの杉山さんが兼ねてやられているわけなんですが、やはりそういうソーシャル・ビジネスを意識しながらの取組を頑張られているというところです。
3番目はETICさんという、割とここでは社会起業家、いわゆる起こす方の起業家を中心に、しかも若手の方々、学生さんを中心に若手の方々に対しての育成支援というふうなことで、いろいろなインターンシップ・プログラムとか、あるいはそういう人材育成のリーダー育成プログラムというふうなものなんかをやられてきているというふうなことで、NECさんと一緒に社会起業塾というようなものをやられたりもしていますし、フローレンスの駒崎さんなんかは、そこの修了生というふうなことでもあったり、いろんな社会起業家がETICさんのサポートで生まれてきているというふうなこともあります。
あと、もう一つ挙げたのは、ソーシャル・ベンチャー・ネットワークということで、これはアメリカの中間支援組織です。ここももう20年ですか、相当老舗格の中間支援組織ですけれども、もともとやはりアメリカでのソーシャル・ベンチャーが中心になって立ち上げた組織なんですが、もう既に420名というようなところで、当時ベンチャーだった企業がもう十分大企業になったりということで、パタゴニアさんなんかもそうですし、アイスクリームのベン・アンド・ジェリーズさんとか、そういうふうな企業さんなんかが中心になって立ち上げられた組織でありまして、既にもうアメリカだけではなくて、世界的にネットワークも広げられてきているというふうなところです。ここでは、SVNブックシリーズというふうなものを本として出されたりというふうなこともありますし、一方では、オンライン図書館というふうな展開なんかも進められたりというふうなことで、かなりまとまった情報提供をされていらっしゃいますし、ここでもいろいろなイベントなんかも展開されているというふうなことで、今度、私どもの方で9月19日、20日に第4回のソーシャル・アントレプレナー・ギャザリングをやはり六本木ヒルズで開催させていただくんですが、そこにこのソーシャル・ベンチャー・ネットワークの副代表の方に来ていただいたりというふうなことも考えております。
最後に、こちらで、例えばこんなことを取り組まれてみたらいかがでしょうかというふうなことでの提案を若干させていただいております。1つは、六本木でやっておりますような、そういうイベントを地域で開催していくというふうなことを、この間、我々も進めておりまして、ここには先日5月に九州で開催しました九州ソーシャルビジネス・フォーラム・アンド・スタディーツアーというふうなものを挙げております。やはり九州では、環境ビジネスに関して、北九州なんかもそうなんですが、環境ビジネスに対しての意識が非常に強くて、九州型ということで言うと、環境が中心のソーシャル・ビジネスなのかなという色合いが今は強いですが、一方では、例えば横浜なんかで開催させていただいたソーシャルビジネス・フォーラムですと、横浜はクリエイティブビジネスというようなことで、非常に文化芸術都市というようなものを横浜市さんは目指されているので、ソーシャル・クリエイティブ・ビジネスというふうな、そういうクリエーターとかアーティストの方々が活動しやすいようなソーシャル・ビジネスということで、やっぱりエコ商品を開発していったり、新しい福祉サービスを開発していったりというふうな、そんなことなんかを横浜市さんなんかではやられたり。なので、やっぱり地域ならではのソーシャル・ビジネスの色というか、色合いがあると思うんですが、そういうものを三重県さんでも少し考えられながら、もしか観光なら観光ということでも、例えばではエコツーリズムとか、アグリツーリズムみたいなことで、社会的観光というふうなことなんかを切り口にしてやるということもあるかもしれませんし、何かそういうフォーラムみたいなことが開催できるといいんじゃないかなと思いますし、あと、2番目には、ソーシャル・アントレプレナー育成というふうなことで、先程申し上げたようなスクールですね、そういうソーシャル・ビジネススクールというふうなものを開催されたらどうだろうかというふうなことで、いろんなテーマでいろんな地域で活躍されているアントレプレナーの方々をお連れして、そういう生の経験談をいろいろ語ってもらうというふうなスクールを開催されるのはどうだろうかなというふうに思ったりしています。
最後に、別添資料ということで、九州で展開したフォーラム、あるいはスタディーツアーというふうなもののプログラムと写真をちょっと添付させていただいておりますが、会場が100名会場だったんですが、130名ぐらい来られて、非常ににぎわいました。やはりそういう意味で、若い方もいらっしゃればシニアの方々もいらっしゃる。結構シニアの方々も、企業を卒業されて新しいことをやりたいんだけれども、全くボランティアでNPOをやるのもどうかなと。今まで経理をやられてきた、営業をやられてきて、そういうノウハウを生かしながら、でも今までの金もうけとはちょっと違う、社会に役立つことができればというふうなことで、社会にも役立つし、今まで自分が培ってきたビジネスノウハウも生かせるということで、こういうソーシャル・ビジネスに入ってみようと思われる方々も結構いらっしゃったりというふうなことで、そういうシニアの方々も最近、ソーシャル・ビジネスに関して関心を持たれているというふうなこともあって、当日も結構、そういう方々が九州でも来られていらっしゃいましたけれども、そういう方々からいろいろプレゼンテーションもいただいて、環境まちづくりというようなテーマとか、教育・食・観光というふうな形のテーマであるとか、いろんなプレゼンテーションを聞いていただきながら、交流を深めたというふうな形でありました。ですので、こういうふうなフォーラムの場を、ぜひ三重県さんの方でも持てればなというふうに思っております。
若干、時間が過ぎてしまいましたが、以上で一たん終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○稲垣委員長 どうもありがとうございました。
町野さんの方から今いろいろなお話をいただきまして、この後、委員の皆さんからいろいろ質疑に入っていただきますが、きょうは農水商工部さんと政策部さんも同席をいただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、何かご意見、ご質問等、委員の皆さんの方でございますでしょうか。
○中嶋委員 きょうはご講演ありがとうございました。中間支援組織というものの重要性というか、以前から私ども三重県議会も中間支援組織に対して、やっぱり都道府県はもっと力を入れて支援すべきではないかということも議論してきた中でございますので、非常に示唆に富んだお話であったなというふうに思うところでございます。ありがとうございました。
ちょっとぶしつけなご質問もあって、えらい失礼かもしれませんが、いろいろと教えていただきたいんですけれども、まず御社というか、SIJさんはどうやってもうけていらっしゃるのかなというところを教えていただきたいんですけれども。
○町野氏 私どももそういう意味では中間支援組織として、事業モデルを模索しているというふうなところはあります。それで、現実的には、やはり一部行政さんからの委託事業というふうなこともありますが、一つは先程ご紹介したようなイベントをやるにしても、ギャザリングというイベントをやるにしても、今、企業さん20社さんぐらいから協賛をいただいております。
そういう意味では、民間企業さんにとってみれば、先程ちょっとお話ししたように、何らか企業の社会貢献活動をしていくときに、どういうNPOと組んだらいいかなとか、NPOとつき合う機会というのはなかなかないんですよね。ですから、そういうときに、ああいうイベントに行って、こんなNPOもあるんだ、こんな活動もあるんだというふうなことで、企業さんにしてみれば、そういう出会いの場にしていただいたり、あるいはそこでひいては具体的な相談になったりというふうな、そういう機会にしていただくようなことで協賛をいただいているんですね。
なので、ああいうイベントをやるときに、協賛収入を我々としては民間企業さんからいただいて回していくとか、例えばああいうウエブサイトの「Social Ecoo」というふうな事業も、三菱東京UFJ銀行さんからご協賛をいただいて、協賛収入を得る形で、協賛事業としてやらせていただくとか、あるいはソーシャル・ビジネス・アワードにしても、マイクロソフトさんから協賛をいただいてというふうな形で、それはそれで我々として、いろいろ協賛のために企業さんに営業活動をするわけですが、そういう中で趣旨をご理解いただいて、実際にそういう協賛を決めていただいて、ですから、できれば民民ベースで中間支援の事業というのが成り立つ形をどう作っていけるかというのが大事だと思うんですね。
ですので、もし三重県さんで展開される場合も、最初はやはり行政さんが補助されるとか、助成されるというふうな形での支援が必要だと思いますが、できれば地元の商工会議所さんでもいいですし、何らか企業さんが一緒にちょっとNPOとやっていこうじゃないかと。ひいては企業さんがNPOとやっていくことが、うまく企業さんにとってもPRになったりとか、あるいはそこで社員のモラルアップにつながったりというふうなことが進んでいけば、企業さんにとってもメリットが出てくるような形になってきていますので、できればやはり民民ベースで中間支援の事業が回っていく。ですから、もちろん会費収入というのもあるんですけれども、できれば事業収入として、そういう協賛収入を企業さんからとるような形で、中間支援のモデルが作られるという、そこにうまく持っていけるように行政さんの方が最初うまくきっかけづくりをされて、そういうふうに持っていく。
ですから、できれば立ち上げる段階で、最初から商工会議所さんみたいなところに入っていただいて、民間企業もかかわるという形で中間支援組織を作っていくというのがきっと望ましいと思います。ですから、我々も今20社さん近い企業さんに法人会員ということになっていただいているんですね。だから、我々もNPO法人ですが、NPO法人の法人会員ということで、20社さんぐらい企業に入っていただいているというふうな形で、そういうところとお話をしながら進めているというふうな形ですので、そんな形がぜひ地元でも作れるといいのではないかなと思いますけれども。
○中嶋委員 ありがとうございます。なかなか企業さんからの協賛というと、先程の欧米との違いの話で、欧米はすごく自立しているという、経済的にも自立しているという面においては、財政的にも、社会的な背景とか、企業そのものの考え方、消費者も含めてなんでしょうけれども、そのあたりは随分違うところがあって、なかなか私自身も企業に期待したいところはあるんですが、かつても文化振興とか、1%をそういう社会的なところへ持っていこうよというような動きはかつてあったんですが、それがバブル経済の崩壊で一気になくなって、スポーツなんかもなくなっちゃうというふうな、企業の姿勢というのは、どうしても性善的にばかりもとられないなというところを考えると、なかなか中間支援組織がもうける仕組みというのを確立するのは難しいのかなという気もしているんですが。例えば今はNPOに対する支援の話が中心だったかと思うんですが、小規模企業、いわゆるベンチャー企業、株式企業とか、最近よくふえているLLPとか、LLCとか、そういうところへの支援を通じて、例えばベンチャー・キャピタルじゃないですけれども、そういうところが成功した場合に、事業がもうけとして発生した場合に、その何%を成功報酬として得るとか、そういうふうなやり方をしているような中間支援組織というのは国内外ではないんでしょうか。
○町野氏 そういう意味では、今お話のあった前段の方の話について言えば、確かになかなか企業さんが一時期のバブル期のように非常に利益が上がったので、その一部を寄附に使いましょうというふうな、そういう流れの動きというのは、なかなか今の時代、難しいということはあります。
ただ、一方で、最近の動きとしては、特に環境問題に関して本当にそうなんですが、要するに環境に優しい何々会社、環境に優しい商品を生んでいるどこどこというふうなことが、今、テレビとか新聞を見ていてもいっぱいあるわけです。ことしは洞爺湖サミットもあって、洞爺湖サミットの期間の新聞なんかは、ほとんど環境広告ですよ。要するにメーカーさんなんかも本当そうですけれども、要するに地球に優しい、環境に優しいということをうたわないと、なかなか今や認められないみたいな、そんな形が動いてきていて、企業さんにしてみれば、広告宣伝活動の一部として環境問題を扱うとか、あるいはマーケティング活動の一部として環境問題を扱うことが、企業の本業にもプラスになっていくんだというふうな考え方というのは大分広がってきているんですね。
なので、要するに今までのように慈善的な思いで寄附するという形でなくて、企業の本業にもつながる、実際それが企業のPRにつながったり、何らかの商品開発につながったりというふうなことで、実際利益につながるような社会貢献活動というのはかなり広がりつつあるんですね。そういう中でNPOだとか、ソーシャル・ベンチャーとパートナーシップを組むことで、いろいろなそういうイメージアップが図れるというふうなことが企業側にもメリットとして生まれてきているというのがこの数年の動きとしては加速しているので、そのへんを企業さんにもぜひご理解いただいて、このNPOと組んで、こんな活動でキャンペーンをやりませんかというふうなことを、環境キャンペーンをやりませんかというふうなことなんかを、例えば我々もいろいろご相談したりしているわけなんですけれども、そんな形で企業さんにぜひ協力してもらうと。企業さんにもメリットがあるんだということをご理解いただいて協力いただくというふうなことができないだろうかというのが一つあります。
あと、後段のご質問に関しては、確かに我々も今ソーシャル・ベンチャー・ファンドというものを作ろうとしていまして、それは投資ファンドなんですね。ベンチャー・キャピタルさんと同じような形で、実際そういうソーシャル・ベンチャーに投資をしていって、上場すれば、上場益を還元してもらうというふうな形の取組みをやろうとしています。欧米では、そういうソーシャル・ベンチャーに向けての投資ファンドというのはあって、結構成果も生まれているんですね。
やはり本来的にソーシャル・ビジネスできちんとリターンをとっていこうとすれば、最低でも投資額が500万円から1,000万円、小さくても、そのぐらいの投資をしていかないと、逆に大きなリターンも生まれないというふうな状況があって、今のいわゆる投資ではなくて、助成制度とか、融資制度というのは、大体多くて300万円とか、そのぐらいの数字が精いっぱいなんですね。
ですから、コミュニティービジネスで非常に地域で展開される範囲ということであれば、そのぐらいの金額でも役に立つかもしれませんが、将来的に場合によっては上場していこうというようなソーシャル・ベンチャーさんにとってみれば、やっぱりまとまった金額がないと、なかなか設備投資もできないし、じゃあ環境ビジネスをやる、環境技術の開発に対しての開発費をどう出すのか。例えばBDFの燃料開発をしていくというふうなときに、当然設備投資が必要なわけですね。そういう場合にやっぱり300万円上限では無理だなという話になったりするわけで、そうしたときにまとまった投資が必要だというふうなことであって、そこに対しての投資の仕組みというのが日本ではまだ十分できていないので、そういう投資ファンドを我々としては立ち上げたいなと思ってはいるところです。
そういうときには、やはりベンチャー・キャピタル的な立場に立てば、どれだけのリターンが見込めるのかということになる。そうしたときにファイナンシャルなリターン、要するに最終的には幾らバックできるのかということがありますし、もう一つは、それに加えてソーシャルなリターンですね。その事業をやることによって、どれだけ社会的な効果が生まれるのかということをできるだけきちんと評価していく。そういう評価の物差し、評価の仕組みが必要でもあって、そのへんの仕組みづくりを経産省さんともご相談させていただいたりしておりますけれども、やっぱりビジネスである以上、ファイナンシャルなリターンは必要だし、ソーシャルなリターンもきちんと生み出せる。だから、これに対して投資しましょうよというふうなストーリーがどれだけ作れるかというところが大事なので、我々的にはぜひそういうものを作りたいなとは思っているところです。
○中嶋委員 非常に今、革新的なところかなと思うのが、一番冒頭におっしゃっていただいたように、ソーシャル・ビジネスというのが、これまでのただのベンチャーとか、企業とは違うところは、事業性だけではなくて、社会性も両立するというところがポイントかなと。実は三重県も野呂知事が「新しい時代の公」という概念で、要は行政がすべて担う時代ではなくなったと。まさに誰もが認めるところで、今まで公が担ってきた部分を社会的な多様な主体が担っていこうよと、その考え方自体は非常に望ましいことですし、私も賛同するところであるんですが、私の問題意識というところは、実はそういうボランティアだけに頼れるような時代でもない。私のところは志摩市というところなんですが、非常に県民所得も県内の中でも低い方ですし、余裕がないんですよね。まず、あした食べることが一生懸命というような、そういう人たちが、新しい時代の公だといって、今まで公共でやってきたことを担ってくれと言っても無理な話。であるならば、公共のことをやることで食べていけるよと、商売にもなるよというところをこれから作っていかなきゃいけない。
そういう意味でソーシャル・ビジネスというところにすごく注目したというのが私の問題意識なんですが、その問題意識を通して考えると、社会性と事業性をどうやって両立させたらいいのかというところが非常に一番ポイントで、多分今おっしゃられたようにファイナンシャルな、もうけのリターンの部分だけでなくて、社会貢献という意味でのリターンも評価しないといけないとなっても、社会貢献はお金にはならないんですよね。そこらへんは、中間支援組織としてやれるところでどこまであるのか。
今、ファンドの話もいただきましたし、ソーシャル・キャピタルという話もあったんですが、もし本当にもうけがあるというところであれば、銀行とかが、いわゆる金融機関がそれこそ中間支援組織的な役割を担って、コンサルティングもやる、お金も貸す、そういうふうなこれまでの一般の企業を育ててきたようなことをやると思うんです。それを金融機関はやらないという今の現状から考えて、御社のような中間支援組織が必要だということになれば、社会的貢献、ポイントはいろいろとるる言いましたけれども、社会性と事業性は本当に両立できるのかなというところなんですが、その点についてちょっと最後にご意見をお聞かせいただきたいのですが。
○町野氏 そういう意味ではなかなか難しいところだろうなとも思いますが、一つは、やはり金融機関さんの立場に立ってみると、結局担保としてどういうものが実際上げられるのかという話になる面が多いんですよね。要するになかなかNPOの場合、特に難しいという面もありますが、ソーシャル・ベンチャーというふうな形にしても、資本金がどれぐらいあるのかとか、あるいは資産がどれぐらいあるのかというふうなことが必ず問われると。なかなかソーシャル・ベンチャーの場合、そのへんが脆弱である場合が多いと。それに対してどう評価できるのかというふうなことが、金融機関さんにしてみれば、社会的にこんなにいいことをやるんですという話をしても、なかなかそれは今までの仕組みの中で言うと認められがたいというふうなところがあるので、やっぱり第三者の評価機関というものを作ることが大事だと思うんです。
要するに信用保証をどうするのかと。ここのNPO、あるいはここのソーシャル・ベンチャーの事業は、こういう形で大丈夫だということを、第三者の信用保証をするような機関がきちんと明らかにしてあげるというようなことが大事で、そういう意味で中間支援組織というのがそういう役割を本当は負っていくというふうな形ができるといいんだろうなと思うんです。
ですから、例えば学識者の方でもいいし、あるいはそういう既にビジネスに取組まれている方でもいいし、金融機関の方にも入ってもらうというふうなことで、何らかの第三者の評価ボード、評価委員会、評価機構みたいなものを作って、場合によっては、そこに行政さんも入るなら入るというふうな形で、実質そこの事業評価、ソーシャル・ベンチャーの事業評価を単純に資本とか資産だけで見るのではなくて、例えばそこの実績評価をどうきちんとしてあげられるか。
例えば行政さんからこういうふうな事業を今まで請け負って、きちんとやられてきているとか、あるいはきちんとこういう方々に対して、受益者に対してきちんと社会的な恩恵を与えられているというふうなことを第三者が目ききをしてあげるというふうなことが結構大事で、そういうことで金融機関さんもじゃあそういう形で信用保証していただけるのであれば融資しましょうというふうな形になる。
欧米の金融機関さんでも、そういうふうな機能を金融機関さん自身がそういう評価機構を持たれているところもありますし、あるいはあえて第三者的にそういう機構を作って連携しながらやられているところもありますし、そういうところがないと、金融機関さんもなかなか今までの仕組みの中では心配で貸せないということになるので、そういうきちんと第三者評価をしてあげるという意味でも、中間支援組織というのは大事なんですよね。ですから、そのあたりのところで打開策がないかなと思うんですけれど。
○中嶋委員 執行部の方にも質問していいんですか。
○稲垣委員長 どうぞ。
○中嶋委員 では、すみません、政策部さんにお尋ねすることになるのかもしれないんですけれども、きょうの資料でいくと9ページのところで、これは前回も経済産業省さんの勉強会というか、研究会で出されたソーシャル・ビジネスの概念を示したイメージ図なんですけれども、今のお話でも、慈善型NPOに対する支援策というのと、今、話が出ているような事業型NPO、ないしはLLCとか、LLPとか、そういった事業性と社会性を求めるところへの支援策と、それらをそれぞれ支援する中間支援組織に対する行政としてのかかわりというか、それぞれやり方、手法も違えば、担うべき目的も違うというふうなことを思うんですけれども、今、県の中でそういったことの役割分担というか、対象と目的というんですか、昔で言うと、対象と意図なのかもしれないですけれども、目的ごとにこういうやり方をするべきだよねという、そういうふうな議論というのは各部横断的に、例えば政策部が中心になってやっていただいたりしているのでしょうか。
○渡邉副部長 基本的にはまだできていないというのがお答えです。なぜかと申し上げますと、やっぱり事業型のNPOというのが本当に最近出始めたのかなと。慈善型、どちらかというと寄附を中心に福祉とか環境、それからいろいろな市民活動にお取組みになっているところ、それが中心に生活文化部がNPO支援という形で進めてきた。まさしく事業性がないものですから、行政がかなりコミットしながら支援していく。今回のソーシャル・ビジネスも含めてなんですけれども、自立していくという、かなり新しい考え方が出てきた中ですので、まさしくここは、例えばきょう出席しています農水商工部、企業からのアプローチということもございますので、こういう民間の中でそういう組織がどこまでこれから立ち上がってくるのか。それと、まさしく私どもの県側でどこまでそういう形でその方々を支援していく方法があるのか。
ただ、そういう分けてというよりも、やっぱり重なったり、非常に重複したりするのは事実でございますので、慈善型のNPOがもう少し事業性を発揮して、事業性を持って自立していくNPOになっていくというようなことも当然ございますので、「これはここが」「これがここは」ということでなくて、やっぱり連携しながら支援を考えていく。ですから、例えば事業性が高ければ、農水商工部の方が少しコミットしていく。これは具体的に話はしておりませんけれども、そういう形になってくるのかなと。したがって、NPO自身も成長されるということがございますので、最初から事業性が全然ないということでなくて、できるだけ事業性を持っていただくというような視点も大事だと思っていますので、今後議論させていただきたいと思っております。
○中嶋委員 私はこれで終わりますけれども、今おっしゃっていただいた、政策部さんでご説明いただいたのは、全くそのとおりだとは思うんですが、一番そこで行政の弱いところで、どうしても縦割りの壁というのがあって、「これはあんたのところやろ」「ここはあんたのところやろ」みたいな、そういうことになりがちなのかなと思うので、私も具体的にこうした方がいいんじゃないですかという提案ができないのが非常に心苦しいんですけれども、前回のこの委員会で聞かせていただいたお話、それから本日、町野さんにお聞かせいただいたお話を踏まえると、なかなか行政がとるべき支援がどこの部なのかなんていうことを議論しても仕方がないなということはよくわかったと思いますし、この点については、もう少し私自身もこの委員会を通じて議論していきたいと思いますので、引き続き政策部もおつき合いのほどお願いしたいと思います。
○竹上委員 一つだけ教えてください。全国でこのソーシャル・ビジネスに関して、インキュベーション施設みたいなのを持っているところはありますか。
○町野氏 それは何らかの箱としての施設という意味ですね。そういう意味では中間支援組織として、例えば先程ちょっとご紹介したせんだい・みやぎNPOセンターさんとか、北海道NPOサポートセンターさんなんかは、まずはみずからの事務所機能をきちんと持たれていると。それプラス会議室なり、何らかのセミナールームなりというふうな形のものを借りてやられているというふうな形のケースが多いですね。確かに何らかの自立をして、みずからの資産として、そういう施設を持たれているというところまで展開できている、いわゆるインキュベーション施設的なものを持たれているというところは、まだほとんどないかもしれません。
ただ、考え方としては、従来型の産業振興的な視点での中小企業インキュベーションセンター的な施設というのは、全国に結構あるわけですので、そういうところにソーシャル・ビジネス的な視点も加えて、そこで実際活用していくというふうな発想をすれば、それはそれで活性化とか、有効活用にもつながるというふうなことがあると思いますので、そんな切り口で考えられるといいのではないかなと思うんです。
○竹上委員 私もそんなふうに思いまして、聞けば聞くほど、ベンチャーと非常によく似た話で、全国にいっとき、はやりのようにインキュベーション施設ができたんだけれども、どこも入っていない。もしこういうふうなソーシャル・ビジネスを志そうなんていう人がいれば、そこに入れれば、一石二鳥の話だなと。実際にほとんどのインキュベーション施設はあいているわけですから、NPOの中間支援施設もそこに行ってもうたらできちゃうわというような気がしながら聞いとったんですよ。それはどこかに壁があって、できないのかもわかりませんが、何かそういう方向がやれそうな感じがしませんか。
○町野氏 おっしゃるとおりで、恐らくソーシャル・ベンチャー的な形で会社組織を作られているところは、かなりそこは入りやすい形になっていると思うんですけれども、やっぱり自分たちはNPOという組織にこだわりたいと。でも、事業型NPOでやっていきたい。フローレンスさんなんかもそうなんですけど。そうなると、これは国でもそうなんですが、中小企業の支援制度という中にNPOは入れないというところが結構あるんです。
ですので、それはそういう設備的な面もそうですし、何らかの助成制度的なものも、要するにNPO法人は範囲外ですという話になって、そこではじかれてしまうというふうなケースがあったりするので、きっとそのへんを三重県さんで考えられる場合も、それこそ横断的な形で、うまくそこの助成制度、中小企業の支援制度の中に事業型NPO的なものも入れていくというふうな、そこの恐らく交通整理というのが一つポイントになるのではないかなという気がします。
○竹上委員 もう一つ、20社の協賛企業を集められてやっておられると聞いたんですけど、私が思とるのは、中間支援組織がこれから民間とかかわるというのは、結局いかにIR手法というんですか、出資してもろうた方の対価はこれほどの対価がありましたということを示すところから始めないと、無理だろうなという気がするんですけれども、現実にSIJさんで出資していただいている協賛企業に対して、どういった報告をされていますか。
○町野氏 そういう意味では、確かに20社さんほどいらっしゃいますけれども、やっぱり1企業1企業さん、すごく事情がいろいろ違うんです。なので、非常にトップダウン型でがぁんとやられている企業さんもあるし、一応ちゃんとそういう部署ができてやっていらっしゃるところもあるし、だからテーマもうちは環境ですというところもあるし、うちは次世代育成なので教育ですというところもあるし、非常にさまざまなので、そこは各企業さん各企業さんのこういう領域に関心を持たれているニーズに応じて、いろいろきめ細かくやりとりをさせていただく必要があります。
なので、そういうイベントに参加してもらうとか、研究会に参加してもらうというふうなだけでは、なかなか満足していただけないところがあるので、そういう中で、うちは環境活動をしていて、この分野でNPOを推薦してほしいという話があったりとか、あるいはちょっとこういう社内研修会を開くので、講師として、教育に詳しい方で誰か講師を探してもらえないでしょうかとか、そういうお話に関して、きめ細かく、その中ででも我々のネットワークの中にいるソーシャル・アントレプレナーを推薦して、そういう場合にうまくご紹介するとかというふうなことで、うまくマッチングが図れるというふうなですね。
結構企業さんは最近、先程申し上げたPRとか、商品開発ということもありますが、結構研修という意味で、社員のモラルアップをしたいという企業さんが結構いらっしゃって、日常業務の中だけだと、なかなかモラルアップにつながらないんだけれども、かといって、一時期のように何らか社員旅行に連れていって、福利厚生で何とかということでもなかったりしていて、そういうときに一日ごみ拾い活動を一緒にやろうよというふうなことで、社員の方々の団結心を高めるとか、そういう社会貢献を研修とか福利厚生の延長線上でとらえられる企業さんもいらっしゃって、社員参加が条件ですと。社員参加できるNPOさんのそういう活動を何らか紹介してくださいというケースもあったりするんです。
なので、そういう企業さん企業さんの事情に応じて、きめ細かくやっていく必要が、一方で中間支援組織も必要だということなので、アントレプレナーの方だけ見ているのではなくて、企業さんに対して、そういうきめ細かい対応をしていくということがきっと中間支援には必要なので、企業と全然つき合い方がわからないという方々だけではだめだという面があります。
○辻委員 趣意書のところで谷本さんは、先程説明がありましたとおり、社会的企業家、ソーシャル・アントレプレナーシップを持った人々という定義で、あえて「企てる」という言葉を使ったというふうにご説明がありましたけれども、15ページでETICというところでは、社会起業家の「起」が「起こす」という意味で使われているわけですけれども、そのへんの谷本さんの趣旨と現実にある企業家の存在というか、そのへんの整合性というか、この設立趣意書の後段にも、ソーシャル・イノベーションはイノベーション・クラスターを形成していくという目標を持っているという言葉を見ますと、そういう2つの部分をとにかく一緒にしてしまうと、そういうことを目標にしているというふうに判断していいのでしょうか。その点をもう少し説明していただきたいと思います。
○町野氏 おっしゃる視点はすごく大事な視点でもあって、やはり最終的にはソーシャル・イノベーションということ、社会をよくしていくということを考えているわけなんですけれども、ソーシャル・ビジネスを考える上では、いろいろなそれこそ行政さんが決められる制度、法律もそうですし、法律とか、制度とか、そういうものはすごく密接にかかわっているわけです。ですから、端的に行政の下請を安かろう、悪かろうでNPOが受けるという図式は、決して社会をよくするということに対しては、やっぱり逆効果になりかねない面もあるわけですから、そういう意味では、どこまでを官の方々が税金で担われて、どこからをビジネスとしてアントレプレナーが担うのかというふうなことを一緒に考えていかないと、なかなかいい社会モデルにならないということなんです。
なので、例えばコムスンさんが社会企業家なのかどうかという議論があって、やはりコムスンさんの場合は、社会性と事業性はある意味両立したのかもしれないですが、介護保険制度という制度をある意味いい形ではなく利用されて、悪用と言っていいのかもしれませんが、逆に制度の抜け穴を活用してしまったような形もある。ですから、介護保険制度があって、そのもとで介護ビジネスというソーシャル・ビジネスが成り立つのが、そこでいい形で行政の役割と民間の役割というのがうまく両立するのが望ましいわけですけれども、結局それはどこまでを行政がやって、どこまでを民間がやるかということをもっと話し合いながらやっていかないと、やっぱりああいうケースは起きるわけです。
ですから、ある意味、行政の立場、あるいは政治の立場の方々がどういう制度を作ればいいのか、どういう法律にすればいいのか、民間の方々にどういう役割を担っていただくのがいいのかということをそれぞれの立場で考えながら作っていかないと、いい循環にならないわけなんです。だから、やっぱりそういう意味で、ここで社会的企業家というのを幅広くとっているというのは、一方で行政とか政治のお立場の方々もどういう法律・制度を作るのかということを考えていかなきゃいけないし、民間の方々はビジネスでどこまで回していけるのか考えなければいけない。それぞれの立場で考えていきながら、社会をよくしていく、ソーシャル・イノベーションを起こしていくということが望ましいだろうと。
ですから、みんなで考えるという意味で、社会的企業家でみんなが一緒に同じテーブルに着いて考えていくべきではないかというとらえ方をしているということなんです。ですから、行政とか、政治の立場に立たれている方、またはそういう学識の方も同じテーブルに着きながら、望ましい法律・制度、望ましいビジネスモデルを考えていこうという考え方が必要なのではないかというところだろうと思うんです。そういうとらえ方をしているという感じでいかがでしょうか。
○野田委員 中間支援の組織のあり方というのが大事なことだというのは、いろいろな説明の中で、自分として認識してきた。ただ、13ページのところでご説明いただいた日本における課題、それから欧米等のモデルの成功要因というような形で、4つほど説明はされているんですけれども、どうも社会構造とか、意識、物の考え方。例えば欧米ですと、はっきり言わないと、その時点で物事を言わないと、許してくれているという認識がありますよね。日本の場合は、和をもってというのもありますので、結局わかっているだろうという思い込みで相手を許した。それで、そういうことの確認もしないのに、貸しを作ったような形で、今度は自分がそれに対してごめんなさいと言ったときに許してくれるだろうというような、そういう意識の違いがありますよね。
そうした中で、4つ目のところが、地域の多様な資金とソーシャルキャピタルを活用し、多様な機能を有することがですね、ほかのこともあるんですけれども、日本としては、地域の資源、ソーシャルキャピタルを生かし切れていないということを克服できると思えないんです。あと、今後の中間支援組織の方向性という中で、例えばNPOとか、いろいろなのがあって、環境に対してのもの、先程話がありました介護の問題とか、そういったものを今ソーシャル・ビジネスとして何とかもうけられる持続可能なものとして形づけようという方向だと思うんです。
だけど、そのへんが何かまだちょっと合わないというふうに思いますので、何かそういう日本に合った物のあり方というのをですね、余りはっきり言うと、物事が日本の場合は崩れてしまうところがありますので、そのへんでうまく中間支援組織を活用していくための何かアイデアというんですか、アドバイスとか、お考えがあったら教えていただきたいなというのがあるんですけれども。先程言ったように、地域の多様な資金とか、多様な機能を有するということが、日本で本当にそれができるのかなというふうに思いますので、そのへんちょっと教えていただいたらと思うんですけれども、よろしくお願いします。
○町野氏 今のお話もなかなか難しい課題ですよね。それで、資金循環という面で言うと、例えば先程お話に出ていたような事業型NPOに対して、中小企業になされているような融資制度が受けられないというような壁があったりとか、あるいは金融機関さんが融資制度をやられている中で、いわゆる社会的な貢献をしているということが全然信用保証の仕組みの中に入ってこないとか、結局そういうハードルがまだまだいろいろなところであると思うんです。ですから、本来そこで事業型NPOとして事業をやっていく上で、何らかそういう助成が受けられる、融資が受けられるというふうな仕組みが、いろいろなところでまだ今までの慣習のもとでハードルになっているところがあると思うんです。
やっぱりNPO法人というもの自身がまだ新しい組織形態なので、なかなか社会の中でまだ受け入れられない。ただ、非常にニーズは高くて、3万以上のNPOはできてしまったと。ですから、内閣府さんの方でも、このNPOに対してどういう制度設計をしていけばいいのかということも、まだ国としても検討中だと思うんですけれども、やっぱり地域地域でもそういうことをどう変えていけるのかということをそれぞれの制度の中で考えていくということが大事だろうなと思うんです。
それで、これはちょっと参考になるかどうかわからないんですが、例えばこの前、九州フォーラムを開きましたと。その中で一つ話題として、福岡県に川崎町という炭鉱のあった町で、非常に今やはり元気のない町がありまして、そこは非常に財政的にも追い込まれていて、何とか変えていかなければいけないと。これは環境ということ、あるいは教育というふうなことをバネにして、何とか変えていけないかというふうなことで、廃校利用、廃小学校があって、その学校を使って、何らか変えていけないかということで、さっきちょっとご紹介したアットマーク・ラーニングというインターネットを使った学校授業をやられている日野さんと相談が始まった。
もともとさっきちょっとお話ししたように、石川特区で美川町、今は市町村合併でなくなってしまった町なんですが、美川町でやはり新しいインターネットスクールをつくるんだというふうなことで、町長さんが旗を振って盛り上がって、でもその時点で文科省さんはやはりインターネットだけでの卒業資格は認められないというふうな話になって、じゃあ特区制度を使って、特区制度の中ではインターネットだけでも卒業資格を出せるというふうなことを実験的に考えましょうというふうな話を石川県ではやった。同じようなことを川崎町でもやれないだろうかと、福岡でやれないだろうかというふうな話で、つい先日、町長の方でもやりましょうと、川崎町長の方でもやりましょうというふうな話に今なってきつつあるんです。
ですので、今までのそれこそ制度、今の学校制度との兼ね合いの中で、そういうひきこもりの子どもたち、不登校の子どもたちがインターネットで通える学校というふうなことに対してのハードルというのはまだまだ大きいんですが、でも地域でやりたいと。そういう廃校を使ってやろうという話になって、じゃあ特区制度を使ってでも、地域から始めようよというふうな話で動いていくというふうな動き方もあるんだと思うんです。なので、必ずしも国の制度だけがハードルになって進められないということではなくて、地域からでも特区制度みたいなものを使ってでもやっていけると。そこで制度を変えていこうというぐらいの動きというのはやっぱり作れるんだと思うんです。なので、やっぱりいろいろなハードルというのは国にもあるし、自治体さんにもあると思いますけれども、そういう制度を変えていこうという思いがあれば、変えていく形というのはあり得ると思うんです。
なので、そういうところでいろいろなハードルがある。特区制度をやるときにも、本当に日野さんは何度も何度も特区室に通って、いくら自治体のトップがオーケーと言ったからといって、職員の方々が皆さんオーケーというわけではなくて、そこも説得を何度も何度もして、それでやりましょうというふうな話になって、石川では進んでいったというふうな話もあるわけなんですが、やっぱりそういうものを一つ一つハードルを越えていく中で、よりいい制度に変えていって、その制度のもとで、いい事業が回っていく、それで地域が元気になっていくというふうな、そういう動き方なんだろうなと思うんです。なので、それは一例にすぎないかもしれないんですけれども、やっぱりそういう中でどれだけいろいろな地域の資源、あるいは地域の状況に合わせた形が作れるのかということを模索していくことが必要なのかなと思うんですけれども、ちょっと答えになっているかどうかわからないんですけど。
○野田委員 今のお話を聞いていますと、竹上委員が言ったように、ベンチャービジネスと余り変わらないのかなというふうな意識でおったんですけれども、そうじゃなくて、地域おこしの別な切り口で、企業責任としての支援とかですね。日本のセレブというと、お金だけたくさん持っていて、ぜいたくをするという意識ですけれども、やっぱりヨーロッパ、欧米なんかは、セレブというと、いろいろな慈善活動ができる人というふうな意識なんです。そういった大きな意識の違いというのがある。
今、町野先生の方からもおっしゃられたように、意識、制度が違うというか、そんなところのハードルがたくさんありますので、そのへんをクリアすることによって、地域にあるもの、いわゆるキャピタルゲインというか、資源の価値、このへんがやはり足らないのかなと、改めて今のお話で認識させていただいたかなと。地域としては、そうした地域おこしというものをもう一度見直す大きな手段かなというふうに考えましたので、ありがとうございました。そういう認識でよろしいということですか。
○町野氏 例えば今の川崎町のお話なんかは、本当に炭鉱で潤ってきた町で、ある意味、炭鉱がなくなって、逆に非常に落ち込んだ状況があって、資源がないと。炭鉱の資源がなくなって、どうしようというところから、でも廃校になった小学校だって、それは資源として見れるじゃないかと。その学校を一部使って、そういうインターネットスクールをやるということで、廃校で資源じゃないと見られていたものがある意味新しい資源に生まれ変わるじゃないかと。教育ビジネスという観点で、インターネットというものを使うことによって、そういう資源に変えられるじゃないかというような発想から、いわば逆転の発想みたいなところなのかもしれませんが、やっぱりそういう見直しによって、新しい地域おこしの資源発掘につながっているということだと思うんです。
ですから、こういうソーシャルな資源というのは、今まで資源だと思われていたものだけではなくて、実は資源だと思われていなかったものがそういう形に見直せるというきっかけにもなるということだと思うんです。ですから、そういう見方を持つというのがすごく大事なのかなという感じがしているんです。
○森本委員 9ページの図表なんですけれども、9ページの図表で教えてほしいんですけれども、例えば10ページの株式会社いろどりというのがありますけれども、これがソーシャル・ビジネスとして、会社そのものがそういう意識でもって打ち込んでおられるのか。ここでいくと一般企業に入ってくるのか、事業型NPOなのか。いわゆる高齢者を対象にしたものだとしても、高齢者でない人たちもいないのかどうか。会社としての意識がどうなのか。ここへ挙げられて、判定した基準というのはどうなんですか、そこらがちょっとよくわからんのです。
○町野氏 おっしゃるとおり、ある意味、先程の社会的企業家とか、ソーシャル・ビジネスというのはすごく幅広くとっているというところで言うと、どこまでがソーシャル・ビジネスで、どこからが一般ビジネスかという線引きをあえてする必要があるのかという面もあると思っているんです。ある意味発想の仕方というふうなことがあって、ソーシャル・ビジネスという発想をすることによって、先程の話のように、今まで価値のなかったものが新しい価値を生むとか、今までビジネスになりそうにないようなものがビジネスになり得るんだというふうに発想できるかどうか、そういう新しい切り口として持てるかどうかということだと思っていて、ある意味、我々はこれが一つのムーブメント、運動になっていけばいいなと思っているところもあります。
ですから、いろどりさんの事業に関しても、今までおじいちゃん、おばあちゃんが、裏山にいっぱい落ちているカエデの葉っぱとか、松の葉っぱとかというふうなものが、東京の料亭の料理のつまものとして、それが出されるなんて発想は毛頭なかったわけです。だから、当然今まで資源だと思っていなかったものが、ある意味それが十分、これも一つの発想の勝利ということで言うと、インターネットを使って、全国の料亭にネット通販をしていくというところがいわばビジネスモデルのやっぱりポイントになっているわけなんです。それをマイクロソフトさんがずっと支援をされてきたわけなんですが、そういう企業さんと協働することによって、そういう発想を持って、今まで落ちていたものが商品になり得るというふうな見方に変わり得ると。
ここの上勝町というのは、非常に高齢化率の高い町で、今までそういう新しいビジネス開発とか、地域おこしができるなんていう発想はなかったわけですけれども、実はそれがそういう形でビジネスになり得ると。おじいちゃん、おばあちゃんが実際そこで競争し合いながら、商品を集めてきて、それを販売していくというふうな形になったというふうなことで考えると、非常に今までなかった発想がそういう新しい発想によって生まれ変わるんだというふうなことでもありますし、やっぱり高齢化問題というふうなものの解決の仕方、高齢化に関しての社会的な課題の解決の仕方ということが、今まではどちらかというと福祉の文脈でしかなかなか見れなくて、要するに公共がどう助けていくのかという発想しかなかったところに、こういう新しいビジネス原理が成り立ち得て、それで全然公共が補助しなくても、会社の形で十分それがおじいちゃん、おばあちゃんの生きがいになって、競い合う状況が生まれてというふうなことで、いわゆる公共の税金を使わないでも、十分地域おこしにつながっているという、そういう発想に切りかわったというところだと思うんです。
なので、引いて見れば、高齢化社会の問題というものが、ここでこういう新しいネット通販のビジネスモデルで解決につながったというふうな見方ができるというふうなことで評価していったらいいのではないかと。ですから、これが本当にソーシャル・ビジネスと言っていいのかどうかという議論もあるのかもしれないんですが、そうやってとらえて、それをほかの地域でもやっていこうよというふうになるのが一ついいことなのではないかなというふうなことでとらえさせてもらっているというところでしょうか。
○稲垣委員長 それでは、ほかご質問はどうですか。時間も大分押してきていますので、もしこの際というのがあれば、よろしいですか。
それでは、まだまだ意見もあるかもわかりませんが、時間も限りがありますので、これで質疑の方は終了させていただきたいと思っております。参考人をお呼びしての質疑を終了させていただきます。
町野様におかれましては、ご多忙の中、本日は本当にどうもありがとうございました。大変お世話になりました。
Ⅱ 委員協議
・県外調査について 資料配付
・今後の進め方について 正副委員長に一任
〔閉会の宣言〕
以上、会議の要綱を記し、ここに押印する。
平成20年 7月25日
NPO等ソーシャルビジネス支援調査特別委員長 稲 垣 昭 義