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平成22年第1回定例会 陳1

受付番号・件名 陳1 中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)浄化センター北系水処理施設建設工事について
受付年月日 平成22年2月16日
提出された
定例会
平成22年第1回定例会
所管委員会 県土整備企業常任委員会
項目 第1
  上記建設工事は、全国で「談合事件」が摘発される中、平成18年度に落札比率95%という「談合疑惑」を指摘される中で、請負契約を締結したが、地元漁協や水産加工業者との調整が付かないまま、工事中断を繰り返し、予定通りに工事が進捗しないのではないかという不安の中、平成19年度には、フジタ・日本土建・アイケイディーJVが施設の安全性を損なう基礎杭の施工において、基礎杭打ち込みデータを改竄するなどして、工事の中断に至った。
  知事・執行機関は、「杭の支持力・安全性を再確認する。」などとして、2年間に亘ってたった6本の「載荷試験」を行って、「杭の安全性が確認された」として工事施工を再開させた。
  しかし、この試験結果については、杭の施工法の「建設大臣認定」に掛かる疑惑や、地元住民が中心になって行ってきた調査記録等を検証したところ、大きな疑惑が明らかとなった。
  そこで、情報公開によって明らかとなった資料等を添付して、県議会が本件工事に関する疑惑を慎重審議して、100年とされる耐用年数を確保できる施設になるのかどうか、工事を中断した上で、明らかにするよう求める。
  なお、陳情人は、多数蒐集した証拠書・記録を提供する用意があるので、必要な期日に関係委員会に出頭して、意見陳述を行う用意がある。
 
 1 基礎杭工の不正施工
      設計支持力の確認が不明であり、杭継ぎ手の現場溶接の履行確認を怠り、基礎杭上部の構造物の安全性が確保できているという確証が得られないにも関わらず、平成18年度前払金、4億余円、及び、平成21年度前払金、10億余円を支出し、基礎杭の代金及び、施工費用を支出させたことは、地方自治法第234条の2(契約の履行の確保義務)に違反し、同法第242条第1項の「違法な公金の支出」及び、財産の取得に係る「怠る事実」に該当する。

 ① 基礎杭の支持力は、構造計算書に基づいて、1本ずつ確認しなければならない。不正な杭打ち記録改竄後に実施した「載荷試験」は、あくまでも「推計値」であり、[RODEX]工法で施工された杭は、電流計記録を全部の杭について記録し、それを提出して「検査」を受けなければならないから、「杭打ち記録」が改竄された杭について適正な記録がない限り「推定値」を適用することは適わない。
  載荷試験の内「急速載荷試験」いわゆる重錘を落下させ、杭頭を打撃して杭の動向と沈下量を測定する試験方法において、「評価委員会」と試験実施した建設業者及び受注JVは、関与した三重県職員・検査監;監督員の無知につけ込み、落下させた重錘の第1檄のみの測定記録を示した上で、「分析したところ充分な支持力が得られた。」とした。
  しかし、現地で撮影したビデオ記録を元に現地住民らが「委員会記録」と照査したところ、打撃直後に発生する「リバウンド」についての記録は全く除外されており、しかも杭そのものは沈下することなく、却って地上に盛り上がったとする記録は不可解であり、当該職員等はそれらの疑問について何等説明責任を果たしていない。北勢下水道事務所の「打撃式杭打ち工法」による「杭打ち記録・支持力計算書」と比較すれば、今回の「載荷試験」結果には、1回重錘を落下させる度に、3回以上発生する「リバウンド」による杭の動向や、支持力に与える影響が除外されており、現実の試験事実と全く異なる。(載荷試験結果報告、及び、ビデオ映像参照)

 ② 既成杭の現場継ぎ手の検査は、全数を対象としなければならないが、現状は行われていない。検査確認対象を全数としながら、その記録がないことは、適正に施工が行われたことと「確認」は出来ないし、「仕様書」に違反する。
  名古屋市は、「守山区スポーツ施設建設工事」において、類似の既成杭工法で、杭の継ぎ手(突き合わせ)溶接を「3層の肉盛りによる」とされている仕様書に違反して「1層肉盛り施工」としたことは「仕様書に違反する」として全数の杭を引き抜き、引き抜いた後の杭孔を埋めさせ、地盤改良を行った上で、再施工をさせた。
  もちろん最初に施工した杭は全数廃棄させた。
  ただし、三重県は、仕様書に定めのある項目について現場における目視検査や、測定値を確認することなく、「検査合格」としたことは、「履行確認を怠る違法」に当たるから、検査結果とそれに伴う工事の進捗、工事代金の支払いを停止させ、若しくは返還を求めるべきである。

 ③ 知事と三重県検査監は、杭の出来高検査において、「載荷試験による支持力推定方法についての報告書」なるものを追認したのみで、本来検査対象とする杭頭天端の高さの基準値との比較値や、杭芯の柱心との偏芯量についての計測結果を確認することなく検査合格とした。前回「改竄」発覚後に「取り消した」とするこれらの品質管理結果については、土中に杭が埋まったままでの推定値であったから、掘削後の実測値であるこれらの品質管理に係るデータを確認することなく、「検査合格」とした。
  従って、三重県監督・検査要領に基づかない「載荷試験結果」を基にした「検査」は無効である。

 ④ 建設大臣認定工法の疑惑
   本件工事で施工された埋め込み杭工法は、日本コンクリート(株)が開発したRODEX工法・及びNAKS工法は共に、建設大臣認定工法として、建築物の基礎工法として多用されているという。
  しかし、「大臣認定」に当たって、同社が建設大臣宛提出したとされる「申請書」に添付された「実証データ記録」は、現国土交通省には保管されておらず、また、各都道府県建築指導課長宛通知された建設省住宅局発行の公文書さえ、三重県庁の何処にも保存されていないのである。しかも、「大臣認定制度」に関して規定された建築基準法第38条は、平成12年の法改正によって廃止されている。
  従って、技術的根拠の明確でない、本件工事における工法の埋め込み杭は信用性がないことになる。

  三重県が、総数902本の杭をたった6本の「載荷試験」で、「設計支持力」を満たしていると「判定」させ、不正に改竄された「電流値記録紙」の無いまま384本を「合格」と判定し、杭継ぎ手の「全数検査」を履行せず、また、「継ぎ手部記録写真について全数撮影」とした仕様書に違反し、検査基準値と比較すべき杭頭天端の基準高及び、杭芯偏芯量を測定することなく「合格」と判定し、本件工事の再開・続行を行わせたことは地方自治法、及び、工事請負契約約款に反するから、「違法な契約」に当たり、また「履行確認」を怠る違法事実に当たる。
  その上、変更契約に伴い支払った、平成21年度「年割額の4割に当たる前払金」は「違法な公金の支出」に当たる。

第2
  流総計画の見直しに伴う計画規模縮小の為の法的手続きを行わないまま当初契約通りの規模の「浄化センター」を建設することは、地方自治法違反の最小費用最大効果の原則に違反する。
  現在、工事が再開された「浄化センター」は、現行計画の見直しに伴う設計変更が為されておらず、当初契約に基づく工事の続行は、地方自治法に定められた最小費用最大効果の原則に違反するものであるから、直ちに工事を中止し、必要な再設計を行い、現在の3槽規模から2槽規模に縮小せよ。

  「流総計画」見直しに伴う汚水発生量の大幅減少
  三重県は、国が定めた「流域別下水道整備総合計画」(以下単に「流総計画」という。)は、本件工事が発注される以前の平成17年度には、国の新たな計画指針が提示され、現行計画の見直しに着手していた。
  平成19年度中には、「流総計画の見直しに伴う各流域下水道事業毎の見直し」が調査結果として取りまとめられ、その結果は、平成20年3月には、流域関連公共下水道事業を実施する市町に対して報告された。
  その結果によると、当該(志登茂川)流域下水道事業における発生汚水量は、将来の人口減少や、環境保護意識の向上に伴う節水効果により、原計画に比し、2/3に減少することが判明した。

  7処理槽が4処理槽に縮小可能
  浄化センターの汚水処理施設は原計画が7組の処理槽であることから、第1期計画が当該請負工事による3槽、第2期工事が4槽の原計画が、処理水槽の寸法を微調整することにより、第1期計画が2槽、第2期計画が2槽となることで充分処理能力が確保できることが判明した。

  幹線管渠工は「蛇が卵を呑んだ形状」
  「流総計画の見直し」に伴う施設計画の変更は、先ず、汚水が流入する幹線管渠工事に影響し、既に、完成している幹線管渠の管径が、もっと細くても良かったということが判明している。
  安濃幹線・志登茂幹線・河芸幹線が合流し、浄化センター直前の、最下流部で管径が縮小されるわけで、さしずめ、「蛇が卵を呑んだ」様な管路形状となる。

  開催されなかった「住民説明会」と1年余延期された都市計画変更の手続き
  そのため、知事・執行機関は、未完成の最下流部で、浄化センターに流入する区間だけを見直し、上流部より管径を細くするという下水道法に基づく事業認可の申請を国土交通省に申請するに当たり、都市計画法に基づき、幹線管渠計画の変更に伴う「三重県都市計画の変更」手続きを行うため、平成21年2月には、地元住民への「説明会」を行い、意見を取りまとめた上で、同年3月末の「県都市計画審議会」に諮問し、「答申」を経た上で、「三重県都市計画の変更」を行うことを決定した。
  しかし、「住民説明会」に先立つ、県・津市・自治会役員等で構成する「下水道環境対策協議会」なるもので、事前説明を行ったところ、朝日新聞が「杭打ちデータ改竄で工事中断」とする報道を行った直後でもあり、「今更縮小すると言えば住民に混乱が生じる」などの意見が出て、説明会は中止された。
  未だに「説明会」は開催されていない。結果として「三重県都市計画決定の変更」手続きは未了となっている。
  従って、「変更事業認可」も行われていないことから、施設規模の縮小が必要であることが判明しているにも関わらず、原計画を続行施工させていることは、県民に将来の損害を与える結果となり、法人格のある地方公共団体の長が法律の規定を順守せず、いたずらに放漫な事業を行い、県民の負担する税金を浪費することは、法人の代表者たる知事は「特別背任」に当たる。

  周辺井戸対策と称して320mの深井戸掘削も水質不良で中断
  杭打ち記録改竄によって、知事・執行機関は、工事を中止しながら、何とか現契約を続行しようと、「杭支持力評価委員会」を「専門家」なる3名の人物を委嘱し、「載荷試験」を行ったことは、前述したが、「載荷試験を行うには、現地盤沈下に埋め込まれた杭の頭部を出さなければならない。そのために掘削をすると、地下水をくみ出すディープウェルを稼動させなければならず、地下水位の低下と水質に影響を与え、周辺井戸水が枯渇したり、水量が減少する恐れがある。そのための代替井戸を掘削して水位低下と水質悪化に対処する。」として3,000万円の巨額の公費を支出し、深さ320mの深井戸を前県議会議長岩名秀樹氏の後援企業である東邦地水(株)掘削させた。しかし、所定の深さにいたっても水産加工には使用出来ない腐敗臭を伴った、水しか採水できず、工事が中断したまま現在に至っている。このことは、違法な公金の支出に当たる。

  「流総計画の見直し」に基づく「施設整備計画」の再検討(変更設計)を行うことなく当初契約通りの規模としたことは、将来の第2期施工の規模にさえ影響を与え、結果として無駄な施設規模に繋がる。
  このことは、地方自治法第2条第14項に規定された「最小費用最大効果の原則」に違反するから、現契約は違法な契約・違法な公金の支出に当たる。上記の通り事実関係を必要な証拠を添えて、陳情するので、貴議会が、地方自治法に基づいて必要な措置を執り、議会調査権を行使して、事実解明と知事・執行機関に対し是正させるよう陳情する。
 
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