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平成24年第1回定例会 陳1

受付番号・件名 陳1 暴力団排除条例の無効決議を求めることについて
受付年月日 平成24年2月14日
提出された
定例会
平成24年第1回定例会
所管委員会 教育警察常任委員会
項目 要旨
 「暴力団排除条例」の無効決議を求めると共に、「暴力団排除条例」の必要性が存在しているのであれば、法律として制定に向けた意見書を国に提出するよう求める。

理由
 平成23年10月1日、東京都の『暴力団排除条例』が施行され、我が国の全ての都道府県で暴排条例が施行されたことになる。
 我が国は、日本国憲法の下、法治国家であるが、いま警察官僚は暴力団規制及び排除の世論を画策かつ悪用して社会及び国民への警察権力及び権益等の益々の拡大を目指す為、立法府の法律制定ではなく、安値な手段で一般国民を利用し、かつ、罰則の対象とし、憲法が国民に保障する権利及び義務条項を侵害する重大な条例を主導的立場で都道府県議会、議員を意のままに操り非民主的な警察国家権益を完成しつつある。

 暴排条例は、平成4年3月に施行された暴力団対策法が基本であり暴対法の補完的要素をもつ条例である。
 警察官僚は、暴力団排除の世論を必要以上に誘導し、国民の権利の制限及び義務の強要の下、暴力団及び同構成員らの人権無視、或いは人権侵害を意に介さず隔離政策を進める。この条例は21世紀の村八分化、否か、村十分化であり、差別廃止の世界の常識に抗する21世紀の差別化社会の構築を企むものである。

 この警察官僚の独善主義的施策による差別化、若しくは阻害することにより、暴力団及び同構成員らに替わり権力及び権益の確保ができる。当、暴力団排除条例問題研究会は、警察官僚の条例制定の意図を憂い、公正な運用が可能であるかを危惧する。
 暴力団は法律的に結社を否定された非合法団体ではなく、法律的に認知された団体であり、法律に違反する行為を除き、構成員らの基本的人権を規制又は、侵害することは人権擁護のうえからも看過出来ない。近代社会の理念は非差別化、差別撤廃を人類の重要な施策とするが、今、我が国は世界の常識、世界の良識に逆行する差別化を推進する条例を国家権力で制定した。

 当、暴力団排除条例問題研究会は、下記の問題点を列記し、この条例施行後に公安委員会及び、警察職員の恣意的判断による弊害執行による人権侵害等を阻止する為、各都道府県議会に対し、暴排条例を廃止する条例廃止条例の制定を求める。
また、仮に暴排条例に替わる法律が必要であれば立法府での『暴力団排除に関する法律』の可否を含め慎重な条項審議を経た法律の制定を求める。

                           記

 1) 暴排条例の制定権と暴力団対策法との問題に付いて

 2) 暴排条例の安値な制定経緯の問題に付いて

 3) 暴排条例の恣意的判断と運用の危惧に付いて

 4) 公安委員会の独立機構の確立と透明性の確保に付いて

 5) 警察官僚の天下り、再就職の規制に付いて



 1) 暴排条例の制定権と暴力団対策法の問題に付いて

 暴排条例は平成4年3月に施行された暴対法が基本法であり、暴対法の補完的要素を持つが、憲法の保障する国民の権利及び義務を都道府県条例で制限若しくは強要する法令であり、当、暴力団排除条例問題研究会は、許容し看過することは出来ない。

 都道府県の暴排条例の制定権については、
 憲法第35条(住居侵入、捜索、押収に対する保障)の国民への保障に対する暴排条例の違反条項があり、条例制定権の存否のみならず、同条例自体の無効に係わる重大な問題である。
即ち、公安委員会及び、警察職員の恣意的判断に基づく、違反者の施設への立入、帳簿等の捜索である。
更に、都道府県の条例の制定は、
憲法第94条の権能として、及び、
地方自治法第14条の条例制定権に基づき
地方自治法第2条第2項第1号の規定を適用する。

 暴排条例の制定趣旨は、公共の秩序及び住民の安全の保持規定を適用の根拠とするが、
地方自治法第14条の権原となる
同法第2条第2項の事務規定の権限逸脱の危惧を抱かざるを得ない。
同条例の制定は憲法及び地方自治法に抵触しかねない条例ではないか、との疑念を抱く。

因って、
当、暴力団排除条例問題研究会は、暴排条例を廃止し立法府での法律化を目指すべきであると提言する。

 2) 暴排条例の安値な制定経緯について

 暴排条例の安値な警察官僚主導の制定過程を東京都の例でみると下記の通りである。

 本来、条例は地域的特殊性ある事象の場合に制定するべきであり、暴力団排除に関しては立法府で法制化の可否を含め慎重審議の上必要であれば法律化すべき案件である。

 平成22年11月15日の都議会警察消防委員会で、
警視庁種谷総務部長が事務事業の説明のなかで、
東京都暴力団排除条例の制定に向けた取り組みに言及したことが初めである。

 同年12月7日都議会定例会で、
池田警視総監が1名の議員の質問に答弁する。

 同月30日石原慎太郎都知事が所信表明の中で、暴排条例の制定の準備に触れ、速やかに議会に提案すると約束した。

 その後、平成23年2月4日の都議会警察消防委員会で
警視庁種谷総務部長が暴排条例案を提示し、8分ほど概略説明があり、
 同月8日池田警視総監が2分ほど言及した。

 同年2月15日及び17日の第1回定例会で
民主党、自民党及び公明党らの4名の議員と
池田警視総監との質疑が行われたが、議員の暴排条例の本質に対する認識が希簿で委員会及び定例会を含め延質疑時間は60分乃至、90分程度の迫力に欠ける内容であり、まして修正提案すらない寂しい状況である。

 都議会ですら、この程度の質疑で御茶を濁す粗雑さであり、
他の道府県の制定過程も充分推測できる。

 3) 暴排条例の恣意的判断と運用の危惧に付いて

 暴排条例に限らず法令も制定時の趣旨は立派であるが、運用する機関、或いは執行者の恣意的判断で運用の限度を拡大し、濫用する例が多い。
暴排条例の運用の問題を集約すれば、公安委員会の執行権限は
刑事訴訟法、特に司法第218条(令状による差押え、捜索、検証)同法第199条(逮捕状による逮捕)等を準用規定とすべきで、
国家公安委員会等の違反者に対する措置権限を抑制すべきである。

 現状の公安委員会の実態では、刑事訴訟法を排除した捜査権を
警察職員に付与し、家屋施設の立入、帳簿書類外の検査権、強制的事情聴取が行われることは絶対に在ってはならない。
勿論、警察職員の検査、尋問等は犯罪捜査ではないと明文化するが、違反者の任意性を確保する保証がない。

 公安委員会は、違反者に対し勧告又は命令を行わず逮捕勾留することはなく、先ず、報告若しくは、資料の提供を求め、または勧告若しくは命令を行い、なお違反行為が連続する場合には逮捕勾留もあると解釈できるが、刑事訴訟法を準拠すべきである。

 4) 公安委員会の独立機構の確立と透明性の確保に付いて

 国家公安委員会の法的根拠は、
警察法第4条乃至第14条に規定するごとく、その任務及び所掌事務は広範多岐にわたり、5名程度で組織する委員会での処理は、完全に不可能である。
しかも委員会事務所は警察庁であり、同委員会の庶務は警察庁にて処理する。

 都道府県公安委員会は
同法第38条乃至同法第46条の2に規定があり、国家公安委員会と全く同様である。

 例えば、東京都公安委員会は、同委員会の事務の警視総監等への委任に関する規則を制定(法令化)し、同会の機能を丸投げにし、警視庁の一機関、一部局になり下がったと認識せざるを得ない。

 暴排条例の違反者に対する措置等は、警察御用達委員若しくは『負んぶに 抱っこ』の公安委員会では公正な運用を保持する保障はなく、執行の透明性も担保されない。まして、この公安委員会が警察職員に執行権限を付与する危険を回避できない。

 少なくとも『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律』の第27条乃至第44条で規定する公正取引委員会の如く、独立性と透明性ある機構にすべきである。

 各都道府県の暴排条例制定の議会質問或いは、審議等で
当、暴力団排除条例問題研究会が抱く危惧に気付く議員がいないことは、如何に粗雑な安値な法令であるかが認識できる。

 5) 警察官僚の天下り、再就職の規制に付いて

 暴排条例の施行に伴い、今後、警察機構と一般企業の癒着が益々進み、条例の対象企業等への警察官僚の天下り、警察職員の退職後の再就職の道を開くものである。

 この権益確保の為、警察官僚が暴力団排除を画策する理由がある。企業が警察定年退職者を雇用する事で、暴排条例の履行義務の免除或いは責務免責を得ることになる。

 国家公務員法第106条は
同公務員らの再就職を間接的に規制するが、地方公務員には規制が無い。
その為、多くの企業へ警察職員達が再就職している。

 警察官僚の意図は、まさに国民の犠牲の上に暴力団等の勢力に替り社会全般に浸透する警察王国の構築が目的であり、現に具体的に進行しているのが現状である。

                                   結  論

 よって、地方自治法 第二条 十六項「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。」 十七項「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為はこれを無効とする」の規定により、三重県議会に於いて、憲法違反の「暴力団排除条例」の無効決議を求めると共に、「暴力団排除条例」の必要性が存在しているのであれば、法律として制定に向けた意見書を国に提出するよう陳情する。
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