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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成24年度 委員会会議録 > 平成24年9月21日 議員提出条例検証特別委員会 会議録

平成24年9月21日 議員提出条例検証特別委員会 会議録 

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議員提出条例検証特別委員会

会 議 録

(開 会 中)

 

開催年月日         平成24年9月21日(金) 自 午後1時1分 ~ 至 午後3時20分

会  議  室       301委員会室

出席委員      9名

                           委  員  長    中嶋 年規

                           副委員長   長田 隆尚

                           委       員   小島 智子

                           委       員   森野 真治

                           委       員   小野 欽市

                           委       員   奥野 英介

                           委       員   服部 富男

                           委       員   中村 進一

                           委       員   永田 正巳

欠席委員      なし

出席説明員         なし

参  考  人           株式会社百五経済研究所 地域調査部 部長 主席研究員 中畑 裕之

                           株式会社宮﨑本店 代表取締役社長 宮﨑 由至

事務局職員         次 長                       神戸 保幸

                           企画法務課長            野口 幸彦

                           政策法務監               山本 道雄

委員会書記         議事課副課長            山本 秀典

                           企画法務課主査       中西 宣之

傍聴議員             1名

                           藤田 宜三

県政記者クラブ    2名

傍  聴  者           3名

協議事項

 1 参考人の出席要求について

 2 県内地域産業の現状と課題について(参考人からの意見聴取)

 3 委員間討議

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

 1 参考人の出席要求について

〇中嶋委員長 最初に、本日の委員会における参考人の出席要求について御協議願います。
 正副委員長で協議した結果、お手元に配付の参考人出席要求候補者名簿のとおり、株式会社百五経済研究所地域調査部部長で主席研究員の中畑裕之様、株式会社宮﨑本店代表取締役社長で「みえ産業振興戦略」検討会議及び三重県経営戦略会議の委員でもいらっしゃる宮﨑由至様のお二人に、お越しいただくことで、調整いたしました。
 お諮りいたします。中畑裕之様及び宮﨑由至様に参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

                〔「異議なし」の声あり〕

〇中嶋委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたしました。

 2 県内地域産業の現状と課題について(参考人からの意見聴取)

  (1)中畑参考人

    ① 参考人の意見陳述

〇中畑参考人 本日は、発言機会をいただきましてありがとうございます。百五経済研究所の中畑と申します。
 今日、資料を若干御用意させていただきましたので、こちらをもとに発言のほうをさせていただきます。「県内地域産業の現状と課題」ということでおつくりさせていただきました。少し字が小さいところがございますが、御容赦ください。
 まず、三重県全体の経済の現状と課題というところで、1枚あけていただきますと、現在の県内企業の業況感というものになります。上のほうの数字でいくと3になりますが、このページのほうに景況調査の状況が出てきておりまして、こちらは年に2回実施しております。
 今、上期につきましては、マイナス2.2ということで、ほぼゼロに近いところへ上がってまいりました。比較対象としていますのが東日本大震災の後の時期ということもございますが、かなり改善をしてきたというところでございます。ただ、下期につきましては、急落とまではいきませんけども下降というような形になる。ですから10月から3月期は、こういうような見通しを企業はしているというところでございます。
 実のことを言いまして、私どものこの調査は、ほとんどが県内の中小企業の方々でございますので、水準的にはなかなかプラスにならないという特性がございまして、マイナス10ぐらいまでの間で数字が行き来してるときというのは、それなりにいい時期に当たるというのが実際でございます。
 その下の4ぺージでございますけども、こちらが各業種ごとということになります。特に平成24年の上期につきましては、輸送用機器、こちらが前年度同期と比べて大きく改善しているということが全体に大きく響いているところがございます。あと運輸倉庫、こちらもサプライチェーンの改善ということもございますし、荷動きもかなりよくなってきたということがございましてプラスになっておりますが、下期に回りますと、輸送用機器がかなり下降ということを事業者は見込んでおみえです。
 実際にこの調査は7月だったのですが、その後、七、八月の終わりから9月の頭に聞いてまいりましたところ、補助金が思ったほど早くなくならなかったということは、小粒でもございましたので、意外と新車販売の効果もあって、がたんと落ちることはなさそうかなというようには最近お伺いはしておりますけども、マインドの面におきましては、かなり弱くなってきているというように感じております。
 あと1つ言っておきますと、観光関係につきましては、この上期はプラスになりまして、下期につきましてもプラスということでございます。1つは御遷宮に向けてというところで、事業者がかなりここに期待をしてみえるというところがございますし、昨年の反動ということもございます。そういうこともあり、プラスというところが出てきております。全体に売り上げ的には今期はかなり改善してきたという事業者が多かったのが実際でございます。
 それから、5ページへ行っていただきまして、地域別になりますけども、上期につきましては、北勢、南勢地域では、ここのところマイナスだったんですけども、プラスになってまいりました。そのほかの地域はマイナスという形ですが、東紀州地域はかなりマイナスの幅が大きいというような状況でございます。ただ、この下期、10月以降ということにつきましては、南勢地域の伊勢志摩のところがプラスマイマスゼロ程度ですけども、そのほかの地域はマイナスになっていくということで下降を見込まれております。
 地域的にいきますと、北勢地域がプラスからマイナスに、それから伊賀地域も大分下がっていくというような形が見込まれております。東紀州はちょっと数が少ないものですから、それと実はこの地域は、この景況調査では常にマイナスという数字が出てきているという地域でございます。今回、地域の産業振興というところがございますので、こういう地域により差の出てきているものを出させていただきました。
 今の足元でいきますと、今後、上期、それから多分年内についてはある程度の水準で企業の景気動向としてはいいのかなというところなんですけども、年末からそれ以降についてはかなり不安な状況というのが見てとれます。
 それと、最近は中国あるいは韓国との情勢がどういう形で響いてくるのかにつきましては新しい懸念材料というところです。ヨーロッパの情勢は少し落ち着いてきましたけども、企業の方、特に製造業の方からすると次から次へ起こってくるというのがございます。
 それでは、その下に行きまして、三重県の経済成長、経済の特性について少しお話をさせていただきます。
 県の産業振興戦略にもございましたけども、三重県の経済は製造業の割合が高いということがございまして、あとは景気の動向としまして、国全体よりも上下へ振れやすいということはございます。ただ、製造業も進出立地と地域の企業の成長というところで三重県の経済はここまでは伸びてきたということはございますので、製造業の重要性ということは変わらないんですけども、最近でいきますと、リーマンショックの時期には、製造業に限らず、観光にしましても全てのところにかかわってきましたけども、非常に深く落ち込み、この表でいきますと赤い線が三重県ということになりまして、青が国全体ということになりますけども、上へ下へと、どうしても振れてしまうことがございます。
 それから、次のぺージへ行ってください。
 概観というとこでございまして、今お話ししましたように、経済に占める製造業の割合が全国と比べてかなり高い。製造業は約3分の1の経済活動といいますか、生産性ということで、付加価値の生産になるんですけども、生み出しているものの割合としては製造業の割合が全国と比べてかなり高いということがここにございます。
 その下の表ですけども、産業別の就業者は昭和35年には第1次産業が4割を超えていたのですが、現在では5%を切るような状況です。それから第2次産業は三重県の場合は途中4割近くまで来ましたけども、今若干減少という形で、割合としては減っているということで第3次産業が増えてきているということになります。ただ、第3次産業の中には製造業にかかわる情報通信の方々も入っておりますし、実際のことを言いますと、第2次産業と第3次産業、この間の分け方も大手企業ですと管理的な部分であったりとかいろんな部分で、外部化していたり分社化したりということも出てきているのが実際ですけども、全体として見れば第3次産業の方々の割合が高くなってきているというところです。
 今、一番多くなっているのは、やはり福祉関係です。介護施設ですとかそういうところが非常に伸びております。あと教育関係も若干伸びておりますが、多くのところでは従業員が減るような状況が見られてるというところでございます。
 先ほど製造業が大きな割合を占めるということをお伝えしましたけども、その下に製造業の内訳がございます。実際にはかなりこの間で、三重県の場合は産業の推移といいますか、産業の変更が比較的うまくいった県になっております。繊維産業が昭和の時代ですと2割近くございましたが、このパーセンテージが非常に低くなっていく。多くの地域ではこのあたりがうまく変われない形でいったんですけども、三重県の場合、その時期から化学工業が入っており、電気機械ですとか、それから特に自動車関係というところの割合が伸びたということがございます。
 自動車関係が3割というところまで来てたんですけども、それ以外にシャープとか東芝、富士通など電子デバイス関係が立地をしてきました。一時は本当に自動車関係が非常に大きな割合を占めて、昔ホンダの鈴鹿工場がもしかすると移転するんじゃないかという話が出たときは大騒ぎになったこともあったんですけども、ある意味、幅が広がったということは言えます。ただ、それらが非常に国際的な経済情勢の影響を受けたり、それからそういうものについての付加価値といいますか、売り上げに対しての雇用率がどちらかといえば低いというところも1つの課題ではありますけれども、そういうところが地域を支えている大きな収入源になっている、税収のもとにもなってきているというところは確かなことというところでございます。
 製造業の割合が高いというのは、どうしても地方の県でいきますと、ある程度雇用を生んでくれるということです。データからいきますと、産業として呼んでくるときには、製造業の誘致というのは非常に重要ということがございます。その中でいきますと、誘致についてはここまで比較的順調に進めてくることができ、最近ですとメディカルバレーの事業ということで医療関係の医薬品ですとか、そういうものの立地等も進んでまいりまして、また地元の企業も規模を拡大してみえるというところで、この中でもう少しパーセンテージを増やしていってもらうことを期待したいなというところでございます。やはり多様性を広げないと非常に厳しいというのがございます。
 それから、9ページへ行きますと、これも先ほど7月に行われた調査の中の1つですけれども、企業の国際展開の状況をお伺いしたものがございます。ここの中で、特に右の下のところに企業規模別の海外進出の時期という表がございますが、大企業の場合は、かなり早い時期から、1980年より前の時期にもかなり分散しておるんですけども、中小企業の場合ですと、2000年代以降というところに4割ぐらい、2010年以降というところ、この2年の間で20%ぐらいが出ているということがございまして、このところ急激に海外進出が増えているというところが伺えます。数自体としては、多くはないんですけども、今出てみえる企業の中でお伺いしますとこういう形になりますので、今後これがぐっと増えていくというところは、私どもがお伺いしているお話の中でも製造業だけに限らず、進出ということに限りませんけども、輸出、輸入というようなところではさらにもっと広がっていくといいますか、そういうところは間違いないところだと考えております。概観として、今の経済の状況はそういうことです。
 その下に、地域別の産業の概況というところで、県内の地域でいきますと大体どれぐらいの割合かなというところで、北勢地域が総生産という経済の指標でいきますと大体5割近く、中勢地域が3割近くということになります。東紀州地域のほうですと、人口等では3%台、面積でいきますと18%近くになりますが、経済は3%台です。面積と人口、それから経済の割合はそういうことです。
 それから、その次のページへ移っていただきまして、事業所数とか従業者数ですが、その上の表が各地域の事業所数と従業者数になっております。北勢地域が5割まではいきませんけども、やはり40数%を占めていると、特に従業者数でいきますとそれぐらい占めてくるということになります。北勢地域と中勢地域で大きな割合を占めております。事業所数も、南勢地域ですとか東紀州地域ということになってきますと少なくなってきているというところがございます。
 それから、各地域別のイメージ、これは三重県の市町民経済計算というのがございます。その地域の中での比率ですので、丸の大きさが同じだからといって、同じ量というわけではないんですけども、三重県全体でいきますと製造業がこのように左の下のように丸く、製造業がかなり飛び出した形で出ている。その次にサービス業が来るという形になります。
 13ページになりますが、北勢地域でいきますと製造業がかなり飛び離れて大きくなりまして、その後にサービス業という形で続いてまいります。建設業などはちょっと小さな割合ということが出てきております。図の上下につきましては、県民経済の計算のときに平成21年度と平成20年度で比較をしたものでございますので、上下のところはあんまり気にせずに、この丸の大きさと位置関係を、特に構成比のところを感覚的に見ていただいたほうがいいと思います。
 伊賀地域につきましても、これはどちらかというと北勢地域と近い構造になっております。製造業が大きく、その次にサービス業が若干の大きさというようなところになります。
 それから、その次のページは、先ほどとは大分様相が変わってくるといいますか、丸が引っついてくる形になってまいります。中南勢地域ですと製造業だけじゃなくサービス業、それから政府サービスというようなところもそれなりの大きさを持ってくると、構成比的には高くなってくるというところがございます。
 伊勢志摩地域にいきますと、一番上位にサービス業がやってまいります。これは観光ということで、宿泊関係ですとか飲食関係ですとか、そういう方々もございますので、このサービス業のところが大きくなってきまして、三重県の中でも地域によってトップの業種も違うということになってまいります。
 そして、17ページの東紀州地域になりますと、サービス業が一番大きいといいましても、構成比としては2割ぐらいというところになります。その次に政府サービス、これがサービス業にかぶるような形で大きさを持ってくるということになりまして、それから建設業が割合的にかなり大きくなってくるということがございます。
 建設業については、今年はちょっと好調というか、昨年の洪水の復旧の工事もございましたし、それから紀勢線の道路工事ですとか中勢、北勢のバイパスですとか、あと病院の建設などもあったり、いろいろ大きな工事も入ってよくなっているんですけども、三重県内全体でいきますと工事量は10年ほど前の大体4割ぐらいしかなく、公共工事とかもありませんので、非常に厳しい状況がございます。そういうところはやはり地方においては大きく出てくると、特に周辺の地域で出てくるというところだと思います。
 18ページは有効求人倍率ですけども、製造業が大きいとか景気の動向の状況もございまして、北勢地域とか伊賀地域については大きく振れやすいというところになります。その片方で、東紀州地域は、実は本当にリーマンショックの後、尾鷲市のハローワークには全国から、なぜ尾鷲市のハローワークはこんなに有効求人倍率が高いんですかというような問い合わせがありました。実はこの地域は非常に閉鎖的といいますか、余りほかの地域と関係がない動きをしておりまして、地域の中で就職をし、求人と求職が行き来しているという形で、少し下がりましたけども比較的幅が狭い動きをしました。それと違いまして、鈴鹿市とか四日市市ですと、製造業でありますが、伊賀の地域で1つお伺いした話でいきますと、大阪の景気が悪くなると伊賀市のハローワークの有効求人倍率が悪化してしまうと。大阪に勤めていた方が戻ってきて、伊賀市に住んでる方は伊賀市のハローワークに求職を出しますので、その方が一遍に膨れ上がったりするというところで、うちらの責任じゃないんだけどなというようなこともございました。この南北に長くて、また若干そういう盆地的な形で離れているところもあるということはございます。そういう差が、地域という形で見ていきますと出てくるというのがございます。
 それから、19ページは、少子化、高齢化の状況ですので、これは皆さんよくご存じのとこだと思いますが、県内では大紀町、南伊勢町あたりが一番高齢化が進んできているところになります。
 その下の20ページですが、今ちょっと懸念されますのは東紀州地域の人口減少が一たん収まりかけたように見えたんですけども、また増え始めました。これはどちらかといいますと、本当に高齢化が進んでお亡くなりになる方が増えているというのが1つございます。一時収まりかけましたのは、ある程度出る方は出られて、残る方は残られてるんじゃないかというような時期もございましたけども、相当に高齢化が進んできたという課題がございます。
 最近では、中勢地域も平成22年の国勢調査ではマイナスになったということが1つショックなことでございました。伊賀地域も少し前からマイナスになりまして、伊賀地域については非常に心配なのは、名張市あたりですと住宅団地、もう少し細かく層を見ていきますと、50代後半、60歳あたりの方もかなりおみえですので、一気に高齢化が進むという、ぱっと見たところ3分類ぐらいではわからないんですけども、団地開発に伴って定住された方々が一気に高齢化することが非常にこれから数字的に出てくるおそれがございます。一部には、年をとられて足が弱ってきたので大阪へ戻られる方も多いということで、不動産業の方々は苦しんでみえるということはお伺いしております。
 ここまで今の概観といいますか、おおよそのところをお話をさせていただきました。それぞれの地域特性で見えるところもあれば県全体で見えるところもあるかと思われます。ですので、またこの条例がどうなるかというところにつきましては、はっきり意見ということはないんですけども、右側の21ページのところに地域産業振興条例に期待することというところで、三重県行政が行う産業振興とか地域活性化の施策に大きな方向性を示すことなのではないかなというところを感じます。
 それと、県の行政として考えてみることもございますでしょうし、議会の方々として、地域のそれぞれの代表でもあるというところで、お考えを示されるというのもあると思います。県行政が行っている施策というのが条例の理念に沿っているのかとか、実施内容とか状況が適切かについて評価する際の指針になるんじゃないかなというところでございます。
 それと、議員の方々に大きな視点で地域産業の振興、地域の活性化に常に関心を持ち、かかわる意識を持っていただくと。県議会の方々はどうするのかというところがちょっと条例の中にないかなと思いましたんですけど、県の方、事業者の方、それから県民の方ということについては、いろいろとどういうことに努めることというのがございます。そういうところについて、議員の方々としてどういう形にかかわるのかなというところは少し気になったところでございます。
 それから、県、事業者、県民が果たすべき役割ということですけども、余り県が過度に枠をはめて、こういうものでないと補助金を出せません、あるいはこういうものでないと支援をしませんというところまでいくと、芽を摘んでしまったり、それからこれが正しいんだという形、1つの方向だけでいきますと、誤った誘導というか、それが外れたときにはどうするのかということもございますので、この条例に沿った内容で発展しようと、あるいは頑張ろうというようなところの企業が行こうと思う方向に、それがあれば使ってもらおうかというようなところのサポートをする役割というところが適当なのではないかと考えております。
 もう片方で、事業者と県民にどのような方向を目指しているのかということを示してアピールしていくということは重要で、環境、グリーン関係の事業とか、エネルギーの問題であるとか、それから産業振興、今回のビジョンの中にもいろいろ書いてございますけども、そういうものをアピールして広めていくといいますか、みんながその方向について関心を持ってもらう方向はいいかと思うんですけども、余りこれでないととか、この方法でないとというようなところまで縛ってしまわれると非常に困るなというのがございます。
 事業者、県民に「努めなければならない」と、条例のほうで表現いただいているんですけども、ちょっとどうなのかなというように思いました。そういう環境を県議会あるいは県の行政のほうで整えていただくのは必要なんじゃないかなということで感じております。第3土曜、日曜の地物一番の日が、本当に定着をしたなというのがございます。実際のことをいいますと、事業者の方々からはその日になると地物がなくなる、市場で買えない、量が足らないということで、なかなか出してもらえないというので、今度は加工品をつくってくれというような話も出てきたりするんです。集め過ぎると、今度は地元の小さなスーパーで、その日は自分のところは地物が入らないからごめんなさいということも出てくることがあるんです。あれは確かに定着したなというふうに思います。少しトーンダウンされているスーパーも出てきているので、時々は何か活を入れるようなことをしてもらわないといけないのかなというところもございます。
 条例の内容のところで、これからということですけども、国際化につきまして、先ほども少しデータを出しましたけども、全ての産業、事業所の方にかかわるような、御自身で輸出をしていない、あるいは輸入をしていないという方々にとってもかなりかかわってくるということがございますので、視野に置いてもらうことが必要かと思います。
 それから、産業が集積している地域、先ほど県の中でも地域で大分違うということがありましたけども、県全体として先進的な取組を行っていく、あるいは高度部材のようなお話であったりとか、それから国際化でいきますと、多分県一本で、全体の対応でいいのかと思います。一部に地域特性として四日市港の問題があったりしますし、伊賀という地域の特性とかを加えた地域のバージョンが必要でしょうけども、大きくは1つでいいのかなと感じます。ただもう片方、その下の24ページのところでお話ししますけども、周辺の地域ではまた少し違うところがあるのかなと。地域の活性化ですとかコミュニティーの維持ですとか、なりわいといいますか、そういうものの継続、人がそこで暮らしていけるような事業の継続というような視点も、実は産業政策のところとかなりかぶさってきてしまうということになるかと思います。
 24ページですけども、北勢地域の四日市市周辺と、鈴鹿市内ですと、産業の政策はそれ自体で打てるでしょうが、コミュニティーの維持といいますか、例えば買い物難民が出てくるとか、交通の便が悪くて高齢者の方はどうするのかとか、そういう福祉に近いようなところのいろんな問題があります。それから地域の産品をどうするのか、例えば松阪市の紅工房では、あの方々が一生懸命漬物を始めながら、自分ところのお嫁さんがパートに車に乗って行かなくてもいいように自分たちのここら辺で何とか時給が500円か600円になれば多分行かないだろうからそれぐらい稼げるようにしたいというようなお話がありました。実はそういう政策と産業政策が、周辺地域ではかなり重なってきてしまうというようなところがあるかと思います。よく似たお話は、熊野市の高菜の生産組合ですね、そういうところでもお伺いしましたけども、そういうことが地方の中では非常に重なってきてしまうというところがございます。ですので、全部一本にしてしまうというよりは、地域の中でのコミュニティーの維持的なところとこういうものが重なったもの、そういうところもあるというのは視点として要るんではないかなと考えております。
 それから、25ページですけども、周辺地域につき補足してということですけども、県の御依頼で超高齢化地域ですとか、自立、持続が難しそうな地域のヒアリング調査をさせていただいておりました。その中で出てきましたのが地方の中心都市というのが、かなり重要な役割を果たしているんではないかなと。特に松阪市、伊勢市、それから津市もそうなんですけども、ここに大体、息子さんなり娘さん、どなたかが残ってみえて、住んでみえて、その方と、松阪市の山奥のほうですとか紀州のほうですとか、それから津市でも奥のほうですとか、そういうところの方々と緩やかに連携して、それによってその方の暮らしが成り立っているような状況がある。それからそこの地域のコア企業と言いましたけども、高校を出たときに愛知県の大手の製造業に就職するというのもあるし、こっちの企業でも就職したらいいよなと思えるような企業さんが残ってるということ、紀州のほうでも熊野精工とか、尾鷲物産、そういう企業だと、愛知県へ行くか、こっちで残って就職するのがいいかというような比較ができるような企業です。万協製薬なんかもそうでしょうし、それからモクモク手づくりファームなんかもそうでしょう。そういう人材を引きとめたり、あるいはU・Iターンしてくるときの受け皿のような企業、三重電子なんかでもかなりU・Iターンした方を受けたりしているようですけども、そういう企業、地域のコア企業が非常に重要かなというところを感じております。そういうところがあることで、ここにいてもある程度先端的なこと、新しいことができるし、生活的にも安定しているという、そういう企業というのは非常に地域に重要です。
 あと、小さくても現金収入は重要ということがございます。高齢者の方々ですと、道の駅でも、大台町の道の駅あたりですと年間3億円ぐらいで会員数が300人ぐらいというふうにお伺いしておりますけども、100万円ぐらい売ってる方々というのはかなりいるような状況です。二、三百万円売る方も多分あるんだと思われます。そういう収入があるというのは、その地域に残るためには非常に重要な収入になってると思われますし、おじいちゃん、おばあちゃんにすれば孫に自転車を買ってあげたとか、そういうことも非常に重要な生きがいになってくるというところでございます。
 南部の漁業や農業の方々は、日常生活であんまり困ることはないんですけども、子どもが大学へ入るという段階になって、現金が要るわということもあるので、そういうところも実はかなり南部のほうでは課題というところがございます。ただ、ハローワークともいろいろ話をするんですけども、向こうの方の今の状況を聞いてますと、1人の方が、あるときはみかん農家でお手伝いをされ、あるときは水産加工場で働きというような形をしながら、自分ところの田んぼや畑、みかん畑をしながら、生活を回しているというようなところがあり、その中の一部の方はいろんな新しいものをつくってお土産にできないかなあというようなことで持ってみえる。そういういろんな形で収入を図るというのも1つの方法かもしれないと考えます。
 多様な形でそこに住めるようなものというものも、ある程度行政としては、このあたりになると多分県というよりは市町の仕事になってくるかもしれませんけども、県としてそういうこともあるというのは知っておく必要があるんじゃないかなということは感じております。
 ちょっとお時間の中で伝え切れなかったことも多いかとは思いますけども、産業の概況と、条例を見せていただきまして、意見を述べさせていただきました。

    ② 参考人への質疑

〇中嶋委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問等をお願いしたいと思います。

〇小野委員 今日は貴重なお話を伺うことができてありがたいと思いますが、今お話を伺った中で、概観として、三重県の場合、これから先、例えばシャープの影響とか、それからホンダがヤチヨでしたか、一部系列の会社の整理をされたりということで、特に北勢地域で1万人弱の雇用が非常に危ないと言われるようなことも流れておりました。これから先、先ほどのお話ではそこまで心配することないかなというように伺ったんですが、そこら辺はそういうことでよろしいんですか。

〇中畑参考人 シャープとか、東芝、富士通でも、売却の話とかいろいろ出ておりますけども、人員整理というお話としては特に聞いておりません。地元の商工会議所や事業者とも情報交換してるんですけども、今のところ、シャープですと亀山工場にしましても多気工場にしましても、仕事量としてはそれなりにあって、事業者によってはライン設置の手伝いをしてもらえないかというような話が出てきたところもあったということで、タブレット端末ですとかスマートフォンとか、従来は大きなテレビでしたけども、それ以外のものでいろいろと回してみえるんだろうなと見ております。私どもは直接にお話をお伺いできないんで、間接情報しかないので申しわけないんですけども。
 ホンダにつきましては、八千代工業がかなり人員整理をされまして、その一方で、ホンダの鈴鹿工場が期間工の募集をしたりということもあったんですが、こちらについては今のところ軽自動車がかなり好調ということをお伺いしております。ただ、軽自動車になりますと海外輸出というのはなくなると思われますので、そうなった場合には四日市港からの輸出の関係、これまで出していたものがどうなるのかなあというのは若干心配なところでございます。
 今、足元で大きな整理が起こるというようなことはお伺いしていないというところです。ただ、そういうのが出るときというのは多分公式発表でいきなり出るんでしょう。こちらの工場の方々も多分全くご存じないでしょうから、どういう形に最後落ち着くのかというのは、これから推移を見ないと、しようがないというところでございます。

〇小野委員 今シャープの話がありましたが、国際関係の中で、シャープは今台湾の企業との資本投下の話をやってらっしゃって、それの影響も含めて、凸版印刷なんかも形態が変わっていったり、県内企業としても随分影響を受ける、運輸にも影響が出てこようかと思います。そういうのを先んじて見ていって、違うところへ配置をする、運輸なら運輸で配置をしていくとか、流通の違うところに乗せていくというのは、三重県としては何かできるような方策はあるようにお感じになりますか。

〇中畑参考人 運輸業という、物流の拠点という意味合いでは、三重県、それから滋賀県については全国的に見まして非常にいい位置ということで、お話をお伺いすることがございます。ここのところ少しとまっておりますけども、物流の拠点を設ける際、日本全国への配送、それから特に非常に需要が大きい愛知県と大阪府の両方をにらんでということで、位置的にはよいとお伺いしております。ただ、物流の関係ですと、騒音の問題だったり環境の問題、それから地元の市町にしますと、税収的にいうと製造業を呼んでくることに比べると余り上がらないとか、交通事故などのいろいろな問題もあって、製造業の誘致に比べると余り積極的にはしてこなかったというのはあるかと思います。誘致してこなくても立地してきたというのが実際だと思われます。そういうものも増やしていくべきだという考えはあるかと思われます。
 大手の製造業の立地については、県の働きかけでそう簡単には決まらないということはあると思います。事業者としては、今産業の内容が特に電子部品関係については大きく変わるといいますか、どこが生き残るのか、あるいはどういう形で合流、連携が進むのかという状況だと思いますので、その状況によって、本当にドラスティックに変わる可能性もありますし、ある意味、日本の国内で生産拠点を残すとすればどこが一番いいのかという視点での選択になってくると思われます。企業として日本のここに残すということになるかどうかというところです。立地的には、先ほど物流の面も言いましたけれども、全国との配送、海外に向けての輸送についてもいい立地にあるという点は違いないと思います。それから周辺のところで、特に四日市市のコンビナートの企業がいろんな素材の供給というところでも入り込んできておりますので、その意味では、ほかの地域と十分に対抗できる地域であろうと思います。

〇小野委員 もう一点だけ。ここにも書いていただいている国際化なんですが、知事も先日上海とバンコクに行って、窓口をあけてといいますか、三重県全体で中小企業も含めて国際化をやっていかないと生き残れないというような方向性を出しています。1つわからないのは、確かに国際化、グローバリズムの中で生きていかないと、もう三重県だけあるいは東海地方だけ考えていてはとてもやってけないというのはわかります。国際化で中小企業も随分出ていってるのは知ってますけれども、それで三重県の経済が本当に立ち行くのか、あるいは先ほど人口構成の話もありましたが、経済産業省は特に津市を中心にする中勢地域は、これから人口減少の地域になるんだということでお話も伺ったんです。そういう過渡期にありながら国際化をまた進めていくことで、人材もそちらに出ていったり、どんどん収縮をするような方向に向かいつつあることに拍車をかけるような気がしてならないんですが、そこら辺、何かお教えをいただく点があればお願いできますか。

〇中畑参考人 そこは実際、少し時間を見ながらデータを見ていかないといけないんですけども、三重県内の事業者で、海外へ出るということ自体が大きなリスクを持つのは確かです。特に経営資源を分散しますので、経営できる方が向こうにもこちらにも必要になるということです。それから、部品の供給であったり、いかに原材料を仕入れるかと、そこで詰まってしまうときもあります。非常に大きなリスクがあるんですけども、製造業の方々についていいますと、海外に行かれて、そこでうまく回り始めた企業というのは、国内の事業所も規模的には大きくなってるというのは多分確かだろうと思われます。経済産業省の中小企業白書にも、2年ほど前だったと思いますが、そういうデータが載っておりましたけども、県内で言いましてもそういう傾向はあるかと思います。ただ、もう片方で、県内でその事業者の競争相手がいたかどうかわかりませんけども、その事業者の競争力が強まって規模が大きくなったことで、どこかほかのところの仕事を取ってる可能性はあるかもしれません。
 海外に事業所を持つことで、国内と海外とでうまく仕事のすみ分けをしたり、それから片方が忙しくなるといろんな形で部品を融通して向こうへ送って、逆に海外の自分の工場にこちらからつくって送ってるほうが多いよみたいな話が出てきたり、そういう状況もございます。インドネシア、中国、タイであったり、その会社の海外の工場がうまく回り始めると、本体のほうも大きくなってるのは確かなんですが、この企業が、もしかするとほかの企業の仕事を取っているかもしれないというのは、ここまではよくわからないというのがあります。
 例えば自動車産業全体でいきますと、どうしても国内では縮小は免れないということはございまして、その事業者にすると、海外の需要を取り込んでいかないと、なかなか国内だけでは回しにくい。中国、タイの企業とも競争してる状況ですので、一部には本当に出なくても頑張るというか、出なくても向こうが買いに来る会社もあるんですけども、多くの事業者の場合は、海外もにらんだ動きということで、海外にも事業所を持たないといけないだろうなというのが今かなり広がってる意識だと思います。

〇中嶋委員長 ほかにご質問等ございませんでしょうか。

〇中村委員 今日はありがとうございます。
 21ページの三重県地域産業振興条例に期待することということで、幾つか意見を述べていただいております。私ども今回、地域産業振興条例の議論の中で、個人的には三重県の特性としては縦に長いところであり、そして、今日いただいたデータを見せていただいて再確認したんですけれども、地域によって全く産業の構成が違う。そういう現状がある中で、南部中心にそれぞれの地域では、製造業とかはなかなか来にくい中で、そこの産業を元気にしてやらないと、なかなか三重県全体が元気にならないんではないかと、そういった思いの中で、三重県全体の特に地域産業を何とかしようということでこれができたんではないかなと私は思っております。多くの県内の産業のことについて掌握されている中で、こういう発言とデータをいただいております。
 私も、この条例自体が地域活性化施策の大きな方向性を示してもらわなきゃならないと思っておりますし、まさにこれが指針にならなきゃならないと思っています。県も今まで特に南のほうで盛んである森林とか、農業、観光について、それぞれに振興の条例をつくって現在に至ってるわけです。そのことと、この地域産業振興全体を網羅する条例との間にダブりがあれば、この条例自体をどうするのか、もうこの条例をなくしてしまうのか、あるいはまだまだそれなりに意味があるんではないか、そこら辺の議論を今ここでもしているわけなんですけれども、私はここにあるように全体的な方向を示す条例があるべきではないかと思います。地域もいろいろあるけれども、三重県全体の産業の方向性を示すバイブル的な形で残しておいたほうがいいと思うし、それをさらに方向性を示して指針を出せるような形に修正をしていく、そういうことが必要かなと自分では思ってるんです。ただ、いろいろな産業を言いましたけれども、まだ気になっておりますのは、小さな零細企業なんかをどう守っていくか、育成していくかという部分が欠けていると思っております。そういったことも含めまして、さまざまな業種を掌握されている立場から地域産業振興条例を見た思いというか、特にこの21ページについての思いを聞かせていただきたいと思います。

〇中畑参考人 なかなかそこまで考えがまだ至ってないのが実際なんですけども、県全体というときと、産業が集積していない、過疎化が進んできている地域というのでは、持って行き方が違うのかなというのは思います。そういう地域では、産業の振興と地域の振興と、それから福祉とが、ある意味、混然一体になってしまうというか、そういう形で進めないと、場合によってはまちの雑貨屋さん兼何とか屋さんというところがなくなると、周辺の人たちが大変で困ることが起こるというような、今の方向性となかなか合わないところもあるんです。地域によって聞いた話では、小学校ですとか町内会のときに出すジュースやいろんなものが入札になって、自分のところには回ってこなくなってしまって、それがおばさんのやる気をなくして、もう店を閉めるわという話になってしまったとかいうような、これはそのおばさんから直に聞いたわけではなくて、あるまちの委員会のときに出てきた話なんで、私はまた聞きですので、きっちり言い切れないですけども、やっぱりそういうことも出てくるんだと思います。そこのお店がなくなることで、消しゴムやノートが買えないとか、お父さんに車に乗せてもらわないと行けなくなるというようなこともあるらしいというのはお伺いをしております。それに近いようなお話はお伺いしております。
 そうなると、どちらかというと産業振興ということではなくなってきて、また県の仕事なのか市町の仕事なのかということで変わってくると思うんですけども、生活を維持するということの中に産業のインフラとして残すべきものという考えも1つあるんだと思います。もう片方で、外からお金を稼いでくるための産業も起こさないと生活ができていきませんので、例えば東紀州のギョルメ舎フーズのように、あそこでいろいろと加工もして、香港など海外まで売りに行って苦労してみえますけども、そういう事業者、いわゆる地域商社の方々を育てていくというのは、外部のお金を稼ぎながら地域の方々が生き生きとするためには重要なんだろうなと考えます。
 そういうところについて言えば、多分市町での支援のレベルを超えるところがあると思いますので、県としても、その方々を縛るよりは、頑張ろうとする方向に後押しをするという形がいいんだろうと思います。林業関係でも、今はバイオマス燃料とか、皆さん新しくいろいろ考え始めているのがございますし、価格的にいいますと、外材と遜色なくなってきているという事情もございます。ただ、JAS規格とか、三重の木の規格があり、乾燥の度合いですとか、きちんと強度がはかれないとか、いろんな問題があり、地元の林業の方々が切って、地元の製材所が製材したものですとそれがとれないということもありまして、そうすると大手は買ってくれないということもある。売れないと言っても、どこがネックなのかというのを解きほぐしていかないと売れません。片方は売れないと言い、片方は買えないと言ってる状況がそれぞれにありますので、漁業の関係のものでも、できる量と買いたい量がうまくマッチしないということも出てきますので、そのあたりはかなりきめ細かにやっていかないといけないところだと思います。

〇中村委員 地域によって、漁業の地域もあれば農業あるいは林業とか、観光とか、そういった特性を磨きながら、市町と連携をとりながら、今なおそれぞれ地域づくりの計画立てをやっているのが現状だと思います。そういったところに県が、個々にというか、その地域に応じた産業をどう育てていくかという指針を示せるような条例に変えていくというか、そういうことをしなければならないのかなと私自身はちょっと思ったんです。この条例を読まれた感想として、それに耐えられる条例になっているかというのはどうですか。

〇中畑参考人 ある意味、書き入れていることについては、方向性を示していただいていると思います。基本方針というようなところです。ここにつきましては、こういうことを方針として示していくということについては、問題はないんだと思います。ただ、条例でどの範囲というか、多分この条例ができたときには、今度つくられたような三重県の産業振興戦略にある、どちらかというと先端的なものであったりとか、かなり大きい目のようなものとは違うことを視点に置いてみえるんだと思いました。対象はどういうあたりなのかというところを少し明確にしておいたほうがいいのではないかなと感じます。
 あとは、国際化の対応というあたりは、海外へ向けてどう売っていくかということも、地域のもので意外と出せるものがあるんではないかなと。今JA三重南紀のかんきつについては、タイのほうへ出すという活動をこの2年ほどしておみえですけども、今のところ苦労してるんですけども、現地の検疫ですとか、いろんな規制の問題というのは、事業者に自分で調べろと言われてもこれは厳しいところがございます。いかにきちんと向こうの政府に対応してもらえるようにするのかというあたりは、事業者というよりは、やはり県なり行政というところの役割として果たしてもらう必要があるんじゃないかなと思います。

〇奥野委員 21ページに行政の大きな方向を示すとあるんですけれども、あとで宮﨑社長からも聞きたいと思うんですけど、シャープの件で、行政は金まで出してそこまで行ったと。だけど数年後にアウトになったと。僕もその当時、これはおかしいぞと随分思ったわけなんですけれども、いろんな企業があるのになぜ亀山シャープだけに90億円を出して、結局この文を読ませていただくと大失敗だと思うんです。行政はそこまで手を入れたらいけない。方向性を示して後押しするのが行政の仕事であって、ここまで行ってはいけないのかなと。その点、方向性を示すとここに書かれているんですけど、この後はどんなふうに思われますか。

〇中畑参考人 シャープの誘致が失敗だったのかどうかということについては、まだ決定は行われておりませんし、実際非常に大きな地域への効果があったのは確かでございますので、必ずしも間違いというか、そういうことをしてはいけないということはないと思います。企業誘致というのはかなり重要な施策ではあると考えております。
 もう片方で、大きな方向性を示していただいて、その方向に企業が進んでいくときに使いやすい、その途中で自分が行く方向で使えるような補助金であったり、それからそれができるような条件整備であったり、あるいは支援してくれるような方々のネットワークであったりというようなところを、用意していただくというところがあってはどうかなと。ただ、補助金を使い間違えるというか、補助金に引っ張られて変な方向へ走ることもあるもんですから、それで失敗する事業者もよくあるので、これは本当に難しい薬の加減だなというところはございます。補助金があるので、それに合うように自分の仕事を変えてしまった、当初思っていた計画を変えてしまったような方々もいますが、そうすると大体失敗しますので、なかなかさじ加減が難しいと思います。小さな事業者が何か新しく始めるときには、少しお手伝いをしていただきたいなというところがございます。

〇永田委員 大変いい資料を見せていただきまして、まさしく産業を振興していかなきゃならないということに尽きるだろうと思うんですが、産業振興の条例を他の県とか都市部でやってらっしゃったところについて、何か調べられたことはございますか。

〇中畑参考人 産業振興条例について特に関心を持って見たことはなく、ただいろんな計画づくりをお手伝いをするときに、こういう条例がある、あの県ではこんなのをつくってる、あの市ではつくってるというのを見ることはございます。多くの場合は、ある意味、理念的に地域の産業を振興しないといけない、その中で、例えば農林水産業であったり地域の特性になるものについて特に振興していきましょうというような理念的なものと、もう片方は、本当にそれぞれの業種別に具体的に地域の特産的なもの、美濃焼であったりとか、産地としてのものと、基本的にはその2種類というような感じかなと思います。理念的なものだけでは条例としては弱いのかもしれませんし、もう片方で、余り細かい条例をつくってしまうと、今度は行政が、執行部のほうが非常に動きにくいのかもしれません。自分自身がその立場にはなってないもんですから、ちょっとわかりにくいところではあるんですけども。大体、理念的にこういう方向というのを示す、こういうことを考えないといけないよということを議会で出して、それに加えて特に大きな産地ではそれ用につくってみえたりとか、農業とか林業の場合ですと、そこの市町なり県の思いでつくってみえるところもあるというのが実際です。

〇中嶋委員長 おおむね予定の時間が来ておるんですが、どうしてもこれだけは聞いておきたいという方がみえましたら。よろしいですか。多分お聞きしたいこともたくさんあろうかと思いますが、なければ、今日、中畑部長からの聴き取り調査を終了したいと思います。中畑部長、本当に今日はありがとうございました。

                (休 憩)

  (2)宮﨑参考人

    ① 参考人の意見陳述

〇宮﨑参考人 宮﨑本店の宮﨑でございます。どうぞよろしくお願いします。
 先ほど、中畑部長のお話を聞いていて、非常にアカデミックでありまして、私は全然アカデミックじゃない中小企業の社長なので、膨大な資料は全くございませんが、ひとつお耳汚しということでお聞き願えれば大変ありがたく思っております。
 たまたま昨日、東京へ行ってましたら、新幹線でウエッジに記事が出ているのを見ました。昨日発売になったんですけど、これは「相次ぐ企業撤退 誘致頼みの限界」というウエッジらしい非常にセンセーショナルな書き方なんですけど、私のところに取材に来ました。ウエッジの記者というのはすごいですね。県のホームページを全部見ていまして、シャープがああなったときに三重県は今後どうするんだろうと言って、経営戦略会議を全部見てるんですね。今日もお話ししますけど、私の発言で1000億円の企業を呼ぶ時代は終わった、1000社の企業で1億円ずつ売り上げを上げるほうがいいというのを見て、おもしろいから一遍行こうと言ってうちへ来たんです。もうはっきりしているんです。
 その後、鈴木知事にインタビューをされて、この記事になったようでございます。なかなか鋭いこと、きついことを言ってますけど、今奥野委員が、シャープは失敗だったんですねというのは、私も今中畑部長がおっしゃるように失敗かどうか、もうちょっと時期を見ないとわからないと思います。ただ、私自身、肌感覚から言いますと、シャープだけではなくて、亀山に例えばホテルがいっぱいできたり、そういうところの経営というのはあの中に入ってきてないんです。シャープは、恐らく鴻海で雇用はある程度確保されると思うんです。ところが、あそこに立ったビジネスホテルだとか、いろいろ飲食業を含めた私どもの肌感覚でおつき合いしてるところは、もう行ってしまいますので、それは統計上あんまり入ってこないんです。実はこの辺は私どものような下世話な仕事してると大変だなあというように思います。
 それで、先ほど、何であのときにシャープにあんな金を出したのかというのは、これはだれも責められないと思っています。大企業、デジタルというのが、当時はもうキーワードでした。大企業でデジタルでないと、もうこれから食っていけないと。逆の対比からいうと中小企業はアナログです。おまえらもう終わりだという時代だったんです。ところが、このデジタル化というのは写し絵です、私がいつも言うように写し絵なんです。1つ機械をつくったら、押す人によって全部同じのができちゃうんです。シャープが鴻海に身売りをするというか、株を売るときに、今から二月ほど前に、日本経済新聞でその連載が始まったときの1行目の、小説みたいに書いてあったんですけど、あれうそだと思いますけど、シャープが操業するときに山の上から双眼鏡で3人の男が見ていると。シャープが今日操業したと。よかったな、日本で操業して勝ったなと言ってるのはサムスンの人だったと。あのモデルで中国でやったらサムスンはつぶれていたと。日本でやるところで、これでサムスンが勝ったよねというところから始まるんですけど、これは実に象徴的な話なんです。
 大企業、デジタルというのを当時は誘致しました。しかし、こんなに早くそれが陳腐化するとはだれも思わなかったと思います。恐らくテレビというものは、まだこれからずっとあるとすれば、最後には、アフリカでつくると。こうなることはもう明々白々です。そういう大企業をこれから地方へ誘致してくるというのは、現実にそれは正しいのかというと、これは恐らく誘致合戦になれば、例えばいくら補助金を出す、あるいは税制優遇をすると言っても、コストを考えたらデジタル産業は国外に行くに決まってます。これを無理やりつなぎとめるというのは、相当厳しくて、国内で、例えば福島県で今度復興支援に200億円ぐらいで誘致しようとしていますけど、これもあだ花になると、私自身は非常に危惧しています。
 デジタルをはじめとするイノベーション、技術革新でずっと日本が勝ってきた時代がありました。ところが、今日本でもいろんなイノベーションが起こっています。具体的にいうと、例えばパスモとか、それからここにあるおサイフケータイでイノベーションを起こしたんですけど、これは日本でガラパゴス化して、日本以外にどこも行かないんです。なぜなら、マーケティングとブランディングができなかったんです。同じようなものは誰でもつくるんです。日本は、初めイノベーションができたら勝った時代にあったんですが、韓国とか台湾は、イノベーションは後でもマーケティングとブランディングをやっていますから、勝ってしまうんです。日本はいい技術をしても日本だけしか通用しないガラパゴス化になるという、これは今日本の理科系の間では非常に問題になっている現象です。
 こういうことになると、日本はこれからどうなっていくのかというと、特に三重県で考えれば、私は今まで捨てられてきた中小企業のアナログの時代が来ると思っています。なぜなら、汎用品、英語ではコモディティーと言うらしいですけど、コモディティーというのは、最終的に値段なんです。はっきり言いますと、100円ショップに行って日本製はないでしょう。ほとんどないです。あれはコモディティーです。100円で買える物を集めてきたら全部外国製であったというようなのは非常にわかりやすいんですけど、コモディティーでやっているということは、もう恐らく日本では不可能であると。すると、デジタル大企業からアナログ中小企業の時代に現実に来てると思います。それが理解できるかできないか、これは県の単位でいけば、三重県は相当理解をしていると私はすごくありがたいと思っています。
 経営戦略会議のときに、冒頭に申し上げたのは、今奥野委員がおっしゃったように、失敗とは言いませんでした。失敗とは言いませんでしたけど、これから何百億、千億単位の大企業を誘致するという政策はもう終わりましたと。今ある中小企業の1000社に1億円ずつ売り上げを増やすプログラムを開発してくださいと申し上げたんです。日本中の県は、全部大企業を誘致するプログラムづくしです。固定資産税を3年間免除する、地価税も要らない、それからひょっとしたら土地代も3年間ただとか、そういう誘致するプログラムは日本中いっぱいあるんですけど、従来あった中小企業の売り上げ1000億円を、1億円ずつ1000社上げるというプログラムはどこにもないんです。それをやってくださいよと、知事には経営戦略会議のたびに耳にたこができるほど申し上げましたが、さすが三重県は早くて、去年で1050社、県庁の皆さんが中小企業を訪問されました。こんなことは普通ないんですよ、どの県も。そこの中で、さすが官僚の方はすごく優秀だなと思うんですけど、1050社をお回りになって、問題点が3つ明らかになったと。これまたすごいですね、官僚の方は問題点を浮き彫りにする能力がすごいです。ブレークスルーできるかどうか知りません。突破できるかどうかは知りませんけど、問題を明らかにする能力は極めてある。
 その3つは、1つは日本中の中小企業に当てはまると思うんですけど、三重県は対売り上げ付加価値率が全国47都道府県中下から6番目の42位なんです。売り上げは上がっているんですがもうかっていないと。2つ目は、産学官、あるいは他業種との連携が極めて低いと。3つ目は、今問題になってました海外展開が物すごい少ないと。この3つが、中小企業の売り上げが上がらない、もうからない大きな原因であるというふうに問題点が浮き彫りになったんです。浮き彫りになるだけではいけないので、それをどう解決するのかというのが、今度「みえ産業振興戦略」検討会議で3つの分科会ができまして、付加価値をどう上げていくか、新連携をどうするか、あるいは海外戦略をどうするか。私はたまたま海外戦略の分科会の委員になったんですが、具体的に随分やったんです。海外については、先ほどもありました。知事も先日まで行ってらっしゃったんですか、上海とバンコクに海外事務所ができたんですけど、そんな形で具体的に一歩ずつ進んでおります。
 1億円を中小企業で売り上げを上げるのと、1社で1000億円の売り上げを上げる企業を有するのでは、全く違うのは雇用なんです。1000億円の売り上げを上げるというのは、デジタルの企業しかないですから、それは300人ぐらいです。ところが、1億円を中小企業で上げると3人かかります。すると1000社で3000人の雇用が生まれますので、これは雇用だけ考えても、絶対中小企業で売り上げを上げるべきだと私は思っています。
 さっき言いました浮き彫りになった3つの問題点を、どうやって解決していくのかという具体的な例を若干お話ししようと思うんですけど、売り上げ付加価値率が低いということは、はっきり言いますと下請けなんです。自分ところの会社で値段を決められない企業なんです。親会社がいくらで納入しろと言って、親会社の言ったとおりやればもうかりません。下請構造からどうやって脱却するかと。もう一つ言いますと、例えばこのウエッジに象徴的なことが書いてあるんですけど、デジタル産業が来たときに、一番キーの部分は、キーの技術をブラックボックスにしますので、下請けには絶対公開しません。そうすると、下請けに技術の集積ができないんです。新しいイノベーションの部分は言わないですから、下請けは相変わらずカチンカチンとやっているだけで付加価値はつけようがない。それをどうするかということなんです。自分で値段をつけられる企業にどうやって転換していくか。このためには若干金もかかります。研究開発が要りますので。そういう意味でのお金を出すというのは、僕は必要ではないかと思います。
 それと、新連携です。これも私はいつも申し上げるんですけど、行政の連携は入り口の連携が多いんです。入り口の連携と言ったらかっこいいんですよね。すごく新しい技術と、別の技術の2つが組み合わさったら物すごい夢のような新製品ができましたというシンデレラのようなストーリーなんですけど、こんなのはありません。まずないです。私がいつも言うのは、中小企業がそんな恐ろしい金がかかるような連携はしませんと。できた製品とできたサービスを一緒にして、出口で連携したら、リスクが少なくて売り上げにすぐ結びつくんです。
 具体的にどういうことかといいますと、これは三重県の例じゃないんですけど、すごい例があるんです。これは最高の例なんですけど、スーパーマーケットのイオンが、お酒の業者を始めたんです。イオンリカーという酒屋を始めたんです。私、そのイオンリカーの見学に行ったんです。東京の自由が丘の店へ行ったら、チラシが置いてある。チラシを見て、うちも東京の店には随分最近キンミヤ焼酎でお世話になってますので、その酒屋がこのチラシを見てくれ、イオンが出てきたぞと嫌みな顔して言うもんで、きっとおれの店より安くキンミヤを売っているんじゃないかと、嫌みで持ってきたと思ったら、そうじゃないんです。その裏を見たら、自由が丘の地図にレストランのマーキングをしてあるんです。イオンが入れているレストランをマーキングしてあるのかと思ったら、確かにそうなんです。よく読んでごらんというので、読んだら、びっくりしました。
 イオンリカーで買ったワインをマーキングした店に持ち込むと、持ち込み料は1000円なんです。どんな高いワインでも、そこへイオンで買ったシールを押して持っていくと1000円の持ち込み料で飲めるんです。具体的にどういうことかというと、例えば嫁さんと結婚の20年の記念のときに、よし今日は1万円のドンペリをあけようかって、1万円のドンペリをフランス料理店で飲むと3万円です。嫁さんに3万円はもったいないなと思います。そうするとイオンで8000円で買ってきたやつを持っていっても9000円で飲めるわけです。これは酒屋とレストランの新連携です。酒屋と消費者の新連携、飲み屋、酒屋、お客の3つが提携したと。客にとっては得です。何でも1000円で、10万円のロマネコンティも10万1000円でいいわけですから。これはやっぱり得ですよね。
 イオンにとってはどんな得があるのかというと、イオンも得なんです。ワインの客単価が、一遍に5倍になったんです。1000円の持ち込み料で800円のワインは買いません。5000円ぐらいのワインとか1万円のワインを持てば、高くなるほど持ち込み料の割合が低いですから、客単価は5倍ぐらいになったんです。それならレストランはもうかりません。今まで1万円のドンペリが3万円で売れたのにレストランは大損しますよと聞いたら、君は甘いと言われたんです。君、この業界で何年仕事しているんだと言われた。僕は知らなかったんですけど、東京のフレンチレストランへ行くと、ワインの在庫が1000万円なんです。1000万円の在庫を常にワインセラーで温度をきっちりして寝させて、東京電力がパンクして停電になったらパーです。常にキャッシュフローが1000万円は大変です。それを客が持ってきてくれれば、ワインの在庫管理はしなくてもいいと。もっと言うたら、持って来る客が電話して、何のワインを何月何日に持っていくので頼みますと言ってくれると、そのワインに応じたレストランのメニューまでちゃんと用意できてさっと出せる。みんなウイン・ウインなんです。これは全部出口の連携です。物すごく簡単なんです。ここなんです。
 最初に申し上げたのは、海外戦略というと、とち狂ったようにニューヨーク、パリ、ロンドンと思うんです。ニューヨークとかパリ、ロンドンで物が売れるというのを思うわけです。私も昔はそう思ってました。しかし、今世界で最もエキサイティングな都市はどこでしょうか。東京です。私の娘がニューヨークにおりましたけど、ニューヨークの人に聞いて、どこに一番行きたいと言ったら、東京って言います。東京が最もエキサイティングなコスモポリスだそうです。東京で物を売らないで、急にパリやロンドンで売れません。東京をみんな目隠しして、ロンドン、パリ、ニューヨークだと言っているわけです。東京をちゃんとやりましょうというのを、私は言っているわけです。
 そのときに私は何を言ったかといいますと、県の職員が後ろにいらっしゃるので怒られるんですけど、東京事務所は一体何しているんですかと。「みえ産業振興戦略」検討会議では、2回に1回は東京事務所で会議を開いたんです。永田町に近い物すごくいい場所なんです。47都道府県のうち、東京都以外は全部入っているんです。何であんな場所にあるのかって、わかりますよ、陳情と予算獲得のために近いからです。今そんなのはないんじゃないですか。宮﨑さん、いいビルでしょうと言われたんですが、極端なことを言ったら、どの情報を先に持ってくるかということを考えれば、差別化するのならこのビルを先に出ないといけないでしょうと思ったんです。隣の県と同じようなフロアにおって、情報共有って、あほなことを言うたらだめです。情報は自分のところが先に得ないと。私の場合、日本酒造組合中央会のビルに東京支店が入っているみたいなもんですから。そんな横並びの意識でどうするんですかと言ったら、それはできませんと言われて、いまだにしてません。
 東京事務所は、どんなデータベースを持っているんですかと言ったら、いっぱいあると言うんです。私のデータベースを出してくださいと言ったら、はあと言われました。どんなことを言ったかといいますと、三重県出身の飲食店のリストと数、三重県出身のマスコミの記者の数、名前を出してと言った。何をするんですかと言うから、三重県の出身の居酒屋なりレストラン、バーのリストがあったら、その店に三重県の産品を売るのが一番楽でしょう。福岡県の人に売るより楽に決まってます。そこへDMをどんと出して、三重県営業本部がセールスに行けばいいんです。そのデータベースもなくて、どうやって営業本部が営業するんですかと言ったら、そうですよね、行き当たりばったりでは行けませんねと、問題点が浮き彫りになりましたと言うだけです。浮き彫りになってどうするんだと。
 最近、やっと宮﨑本店の東京支店に、宮﨑さんのデータをくださいと言われて、喜んで出しました。もしそれがわかれば、そこへDMを出して、例えば答志島の魚が直に入りますよとやれば、三重県の一気通貫になります。三重県のマスコミの名簿があれば、そのマスコミの人にそういうのができましたと言えば書くに決まってます。三重県出身の思い入れがありますので。お金を何億円もかけてアンテナショップをつくるより、はるかに出口連携をやったほうが安い。私だったらそうします。宮﨑本店は、何億円も金をようかけません。東京の三重県人会ってすごいでしょう。岡三証券からイオン、太平洋証券、皆おるでしょう。三重県人会をその店でやればいいんです。ずっと持ち回りで。この店も三重県の女将なんかとなる。これが海外戦略をやる最初、端緒です。東京は国内だってとんでもない、世界で冠たるコスモポリスです。
 そうやって考えると、やることはたくさんあると思うんです。海外デスクもそうなんですけど、上海は百五銀行にお世話になってますので、私だったら百五銀行の顔がきく日本料理店を100軒紹介してほしいと言います。一番早いので。私は下世話なもんで、そういうことを言っていくほうが早いと思います。
 ここからちょっと、三重県から変わるんですけど、この地域産業振興条例を最初につくっていただくときに、中小企業団体中央会と商工会議所連合会、中小企業家同友会などいろんなところが皆さんにお願いをしてつくっていただいたんですけど、中身があんまりなくて、名前だけできたものと思っていまして、私自身もお願いした手前、すごく反省をしておるんです。永田委員から御質問がありましたけど、今中小企業家同友会が中心になって中小企業振興条例を随分やっています。北海道はほとんどの市町村で中小企業振興条例ができました。
 東北ができていなくて、東日本大震災の後に、私は東北の気仙沼市、南三陸町へお見舞いに行ってまいりました。そのときに、宮﨑さん、震災の前に中小企業振興条例ができとったら変わったと思うわ、今できていないのが悔しいわと言ってました。何かといったら、こないだやっと新聞に載ってましたけど、瓦れき処理です。あれ全部大手が持っていっちゃったわけです。見積もりを出したとき、中小企業のほうが高いんです。大手は安いんです。ところが、結果どうなったかというと、分別を全くしてないので、分別費用を入れたら大手が3倍ぐらい金がかかっているんです。中小企業振興条例があれば、まず最初に地域の業者に、地元の人ですから、瓦れきを処理してよというのができたんだけど、見積もりをとったら大手が安いからとっていって、最後を見たらめちゃめちゃ高いものになったと。あれは失敗しました、あのときにできていたというのは、役員がみんな言ってました。
 もうちょっと言うと、例えば復興のときも、時間がかかってるもんですから、本当の現場の人夫は仕事がないわけです。全部県外へ行ってしまったんです。仕事がないから、東京とか大阪に行ってしまったわけです。そして、仕事があるときになったら人夫が不足して、よそから人夫を雇って、3倍ぐらいの時給になっている。あれは中小企業振興条例があったらもっと早くできて、もっと雇用が確保できたというのは、切歯扼腕をしてました。私どもは、まだそんな不幸な状況になってませんけど、これから東南海地震だとか、いろんなことが危惧される状況でありますと、東日本大震災のことも教訓に入れて、1つの制度をつくっていただくと、安心・安全の面からも大変結構なことではないかなと思います。
 私ども、中小企業振興条例の集大成として、中小企業家同友会は中小企業憲章をつくってくれといって、民主党政権のときに閣議決定までいったんですけど、なかなか国会にかかっておりません。私は行ってませんけど、ヨーロッパの中小企業憲章を視察に行きましたが、ヨーロッパは非常にはっきりしてまして、シンク・スモール・ファーストというような言葉なんです。まず最初に小を考えなさいと。シンク・スモール・ファーストというのが、まず頭にあって、ヨーロッパの場合、ほとんど中小企業で、特にイタリアなんかそうなんです。イタリアはブランド品をみんな中小企業がやってるわけですから、シンク・スモール・ファーストというのはヨーロッパの中小企業憲章の一つのメルクマールみたいなものです。そういったものも若干勉強してきています。
 中小企業の振興条例をつくると、中小企業はすぐに金をくれと言われると思うんですけど、私らはそんなふうに全然思っていません。今回、私は「みえ産業振興戦略」検討会議の委員の端くれに入れていただいてますと、本当にありがたいと思うのは、産業行政を決定していくプロセスに中小企業経営者の声が少しでも入ることです。これがお金よりはるかに私はありがたいと思っています。
 このために私自身も物すごい勉強をしました。思いつきで物を言ってると整合性がありませんので、それなりに自分で勉強しながら、トヨタの奥田さんをはじめとした大企業の経団連の偉い方とちょうちょうはっしのやり合いをしようと思うと、こんな中小企業のおっさんは勉強しなければならない。そういう産業行政の意思決定をしていくプロセスに中小企業の声を反映させていくというのは、すごく大事ではないかと思っています。
 今行政は、マネジメントという言葉を頻繁に使います。マネジメントは結構ですよ。マネジメントからもう一歩先へ行って、マーケティングをやってほしいです。商売人の発想にぜひなってほしいと思います。そうなると行政はドラスティックに変わると思います。
 経営戦略会議でも南をどうするのかという話がしょっちゅう出まして、私が持論でいつも申し上げてるのは、あそこは完全に医療特区にすべきだと思っています。医療特区にして、私の言い方がちょっと極端なんで恐らく採用されませんけど、日本の医師免許を持っていない世界の医者を集めてもいいと思ってますし、100人受けて3人しか通さないより看護師の97人全部をあそこで雇ったほうがいいと思います。かわいそうに97人もクビにして帰してしまうって、あんな非人道的なことをようやるなと。三重県が全部受けてあげろと。そこへ来るのは全部保険が効かない世界中の金持ちだけやったらいいんです。付き添いが来ますから、あそこにリゾートでやればむちゃくちゃもうかるなと思っています。なかなかそんなドラスティックなことはできないと思いますけど。もうちょっと言うと、百五経済研究所の資料を見ると、三重県も非常に特性が分かれています。例えば北勢地区は産業集積がすごいとか、伊勢は観光資源だとか。もうそうなると、ある種の都市別機能を分担したほうがいいと思っています。
 先日も、委員長がたまたま傍聴に来ていただいたときに申し上げたんですけど、四日市でどんなことが起こっているかというと、四日市のホテル稼働率は9割近いんです。いいってもんじゃないですよ。ビジネスホテルも含めて稼働率が89%ぐらいです。物すごい高いわけです。何でそんなに高いんだと。四日市はコンビナートがあって、それからシャープや東芝があって、そんなところに人は来てないです。来てないのに何でこんなに人がたくさん泊まっているんだといったら、四日市は泊まるだけなんです。四日市に泊まって伊勢へ行ってます。四日市に泊まって長島へ行ってます。あそこは、宿場町としてもう一遍復活しているんです。宿場町機能なんです、四日市は。そのための一番の要因、ファンダメンタルズは、四日市に一番街という一番大きな商店街があったんですけど、それがシャッター街になったことなんです。
 シャッター街になってどうしたかというと、もうちょっとでも安くていいから何とかあけてくれと言って、今どうなってると思いますか。今ほとんど居酒屋です。若い人がやってる居酒屋です。夜になると物すごい人なんです。居酒屋がはやるまちっていうのは、間違いなくホテル稼働率が高いんです。ビジネスホテルは、基本的に晩飯がついてませんので。晩飯を好きなときにまちで食えるところじゃないと、ビジネスホテルははやらないんです。四日市は、深夜1時でも2時でも食うところがいっぱいあるので、ビジネスホテルは絶対はやります。
 そういう話をすると、伊勢の人は、伊勢神宮へ行くのに四日市で泊まっているんだったら伊勢にビジネスホテルをつくったらいいじゃないかと言って、東横インとスーパーホテルの誘致をしに行った人がおるらしいんですけど、だめに決まってますよね、8時に飲み屋が閉まるんですから。8時に飲み屋が閉まったら晩飯難民じゃないですか。
 そういうファンダメンタルズが要るんです。四日市は、商店街が疲弊して、疲弊したことを奇貨として復活してそうなったんです。何でもかんでも、そういうふうに現象だけ見てやったらいいというものでもないので、そういうものが整備されると非常にいいと思います。逆にいうと、伊勢は、これは鈴木知事とも話したんですけど、海外ブランドホテルを持ってくればいいと思っています。ウエスティンホテルとかインターコンチネンタルホテルが伊勢にあったら世界中のVIPが泊まります。一泊10万円でも。恐らくそれぐらい極端なことを考えたほうが、都市別機能分担というのも含めて、三重県の再生をお願いしたいなと思っています。
 大体時間が来てしまいましたので、これで終わります。何の数字的な裏づけもない話で済みませんでした。

    ② 参考人への質疑

〇中嶋委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問や御意見も含めておっしゃっていただければと思います。

〇奥野委員 シャープなんですけど、その当時は、確かにおっしゃったとおり賛否両論で、成功かなという気がしたんです。そのとき私は小俣町の町長してたんですけど、小俣町の一般会計の予算は100億円足らずなんです。それをシャープにいくのかと思って、だけど私のまちにもユニチカの工場があって、せいぜいやっても、繊維会社でも30年ぐらいなんです。そしたら今の時代、10年ももつかなと僕は思ったんです。結局シャープは90億円かけてインフラが残っただけで、成功か失敗かわからないとおっしゃられたけど、やっぱり失敗だと僕は思うんですけど、もう一度お答えをいただけますか。

〇中嶋委員長 答えられる範囲で結構ですので、お願いします。

〇宮﨑参考人 県のほうは、入れた金に見合うだけの税収はとりあえずありましたとお答えになってらっしゃるので、成功か失敗かと言ったら一応成功で、もとをとったというような発想なんでしょう。ただ、さっき申しましたけど、それに伴う例えばホテルだとか飲食店、恐らくそういうところの勘定は入ってないので、恨み節はいっぱいあると思います。恐らくこれからは、ああいう形での企業誘致は、ほぼないと思います。企業誘致がもしあるとすれば、それは国内ではなくて、海外移転という形での企業はあると思いますけど、特に先端型企業の国内誘致というのは極めて難しい。失敗か成功か、私が失敗と言ったほうがよろしいなら別に言ってもいいんですけど、そんなことです。

〇小野委員 今のお話、ふんふんと感ずるところもたくさん聞かせていただいておったんです。1つは、津駅前にアストというのを10年前につくりまして、そのときには周辺はシャッター街に近い、飲み屋さんがぱらぱらとあるだけだったんですが、その後の道路交通法の改正も相まって、当たり前の話ですが、もう酒を飲んで運転できないというのがより厳しくなって、駅前に近いところということで、今は夜9時半まで居酒屋があいています。8時には閉めません。ということで、今お客さんが集まってくるという現象で、駅の東西にビジネスホテルができました。しかし、海外ブランドのホテルなんてないんで、一泊6000円ぐらいのビジネスホテルだけなんです。だから津は四日市にとられるんです。もう少し考えればいいと思うんだけど、それはできていない。南北に長い三重県の中で、一時は都市間競争が随分言われたんだけど、今もう都市間競争ができないような状況になってきてます。これを三重県全体の地域産業振興から言うと、じゃあそれどうするんですかということを考えていかなきゃいけないんですが、戦略会議等でお話をしていただいてる中で、こういう地域間格差についての視点は何かございますか。

〇宮﨑参考人 地域間格差についての議論は相当多いです。例えば、さっき言いました南をどうするのか、あるいは伊賀をどうするのかとか、いろんな話がありまして、最後は道州制も含めた議論になります。道州制になったときに、三重県全部が、例えば橋下市長の言うような大阪のほうにいくのか、中京へ行くのか、そうは絶対いかないだろう。恐らく三重県の中で分断されますという話になります。さっき言いましたように、私は都市間の格差は格差として、例えば四日市に観光地がいるのかという議論になるわけです。私は四日市は宿場町でいいと思っています。ところが、各首長は、全部そろえたいんです。それは違うと私は思っています。観光地もいるし、行政の施設もいるし、全部セットで同じようなまちはもう無理だと私は思っています。各都市で、おれのところはこれを売り、あなたのところでこの部分を助けてねというのが、これから県のあり方だと私は思っています。
 何で尾鷲市や熊野市を医療特区にすると言ったかというと、子どもが産めないぐらい病院のないところなのに、そこに病院を持ってくるというほうが絶対大事なんです。今住んでいる人にとっても。むしろそれを持ってきて売りにすべきだというふうに、逆転の発想をしたほうが、ないからこれはどうしようもないから5000万円で産婦人科医を雇うんじゃなくて、そこに物すごい立派な病院をつくって、そこに医療特区をつくるぐらいの発想の転換がないと、ちょっと違うのかなと私は思っています。ですから、その問題は委員によっていろいろ違います。

〇小野委員 南部地域の活性化のところで、去年、本会議で私もお話をさせていただいておるのは、南部地域に介護特区をつくりなさいと。2万人ぐらいの介護ができるような特区をつくったら、もっと活性化します。産業のすそ野が広いから。全体として考えていくようなことをすればいいという話はしてるんですが、そこまでの発想がないんので、今度の鈴鹿市を中心とした医療・福祉の特区だけで、500億円ぐらいでごまかしてしまったんです。三重県の場合、発想が貧困なんです。もう少し、ドラスティックに変えていけばいいと思いますが。さっきもお伺いした国際化の話なんですが、三重県の人というのは、人の中に宝をいっぱい持ってみえると思うんです。例えば、農業者であれば農業をするという技術は体についてるわけです。農薬を置かなくても、農業機械を持ってかなくても頭の中に入ってるわけです。そういうものを海外移転をしていって、ノウハウを持っていって、そこの収穫を持って帰ってくるというか、もう少し大きく交流をしていく。そういう面での国際化というのは、バンコクに今度出ていかれましたけど、出ていくだけではなくて、人的交流という面で、もう少し大きな方向性を出していくべきだと思うんです。

〇宮﨑参考人 おっしゃるとおりだと思います。今小野委員がおっしゃった国際化というと、日本から出ていくことばっかり言うとるわけです。逆に言うと海外の企業を日本に誘致するというのも立派な国際化なんです。例えば私の会社の例を言いますと、私の会社の酒は、今ヨーロッパやアメリカにも輸出させていただいています。ただ、私どもはデジタルではなく完全にアナログなので、いっぱい売れたから私の会社が北京に工場をつくるということはあり得ません。酒なんてまさにアナログの最たるものです。水も米も。ここでつくっているものはここ以外ではつくれませんので、物すごく高い酒なんです。
 4日前まで中国にいまして、北京の飲み屋へ行ってましたけど、北京の飲み屋というのは、1番と2番が非常に高いです。1番と2番は2つとも日本料理店です。1番はシャングリラホテルにある西村という店で、2番目は中国大飯店に入ってるなだ万です。西村となだ万という日本料理店が2つとも断トツで高いです。そこの酒のメニューの中で、一番高い酒が福井県の梵という酒で、2番目に高い酒が宮の雪の入魂大吟醸です。4合瓶で7万円です。これはもう大概にしろと、犯罪的に高いなと思いますけど。私どもは高くないんです。そこがもうけているんです。そういうふうなことが、アナログなんです。一番安いのは松竹梅です。うちの酒の30分の1です。これはデジタル商品だと思っている。北京でつくってますので。そうなったらだめなんです。
 さっき言ったように三重県でつくって、海外、ニューヨークや北京、ロンドンへ持っていくというのは、小さなアナログ商品が数多く、いろんな会社が持っていって集まると大きいです。これが海外デスクをつくった大きな理由の一つだと思うんです。例えば日本料理店に、一番高い酒、米、魚、野菜、一番高い肉はありますよね、ここに。そういうので、三重県の場合は一気通貫で行けるという面で物すごい有利なところにあるんです。そう思うと、三重県はまだ物すごく可能性が高いなと思っています。
 幸か不幸か、ここから産業が出ていって、空洞化していくような大きな会社は三重県にはあんまりないんです。ここでつくったもの、アイデンティティーを世界中へ持っていって、そこでまとまって三重県ブランドでもっていくというのが、私としては最も三重県にとって有利な国際化じゃないかと思っています。

〇服部委員 今日は、どうもありがとうございました。
 ちょっと質問をさせていただきたいのですが、本当にすばらしいお話をいただいて、私は今、戦略企画雇用経済常任委員会の委員長をさせていただいておりまして、今日は本当に戦略企画雇用経済常任委員会かなというようなお話も数多く聞かせていただいています。県議会のほうから条例にどういうふうな形でこれをはめていくか、今都市型の新たないろんな地域の政策とか施策に対して特化したような状況も非常に必要だという部分もよくわかるんですが、それを条例にはめていくこともまた難しいところがあると思うんです。大きな方向性と、それと過度に枠にはめてしまって、成功すれば非常にいいと思うんですが、失敗したときの責任もありますし、そういった点をちょっとアドバイスをお願いしたいんです。条例にどのように少しでも組み入れていけばいいのか、我々も今これを検討中ですので、条例とはこうですよねというような感じで軽いお答えをいただきたいんです。

〇宮﨑参考人 私もよくわかりません。さっき言いましたように、たまたま今回こういう委員の末席を汚させていただいて非常にありがたいと思っているのは、くどいですけど、産業行政の政策決定プロセスに入れさせていただいていることです。例えばいくらかお金をもらって、この事業をやってうまくいきませんでしたね、うまくいきましたねということももちろん大事なんですけど、中小企業として、1億円ずつ1000社が売り上げを上げていくというのは非常にわかりやすい言い方だと思うんです。そのための施策は、恐らく中小企業の業者が一番知っているんです。この部分を非常にわかりやすくいうと、例えばシンガポールへ、ある1社が、1コンテナの食料品を出しましょうといって、酒もあります、それから米も野菜も、魚もありますといったときに、このコンテナの運び賃が、自分のところの業界では出ないと。このうちの半分だけ、県が補助してくれるとありがたいということがもしあったとすると、一気通貫で行けば安いんです。そんなのは業者しかわからないと思うんです。
 そういう決定プロセスに業界の人を入れていただくと、本当に切実なことが出てくると思います。できれば、そういう協議体をつくっていただいたときに、なるべく任期制で1年ごとにかわらないことです。議会も、行政も、それから産業界の人も、できれば3年ぐらいの周期でいてもらうと、政策の継続性があると思うんです。輪番制みたいにころころかわると、政策の一貫性、持続性が失われるような気がします。
 わかりやすく言いますと、例えば東京の六本木ヒルズに新三郎という店があって、これは四日市のハマグリ屋さんです。すごいんですよ、わんこハマグリって言うんです。わんこハマグリってわかりますか。わんこそばは、もういいって言うまでずっとそばが出てきますよね。わんこハマグリっていうのは、もういいっていうまで焼きハマグリがどんどん出てくるんです。ハマグリと魚も、それからお米も酒も、みんな三重県のものです。
 そのとき、例えばシイタケだけが三重県のシイタケは高くて使えないので、どこかのシイタケを使っていると、三重県の一気通貫とは言えないわけです。いくら高いのかと言えば、例えば1袋300円ぐらいしか違わないのであれば、三重県のを使えと300円ぐらいの金を出してもしれてますよね。そういうことは業者じゃないとわかりません。もうあとちょっと出したら、全部三重県の一気通貫の食材になるのに、その部分だけがならないのであれば、金が高いんじゃない、もう出しましょうということです。
 さっき言いましたように、四日市の宿場町として、今すごくホテルの稼働率が高い。その宿場町のスキルをどうやって磨いたらいいかというときは、非常に簡単でして、そこへ1回泊まるたびに飲み屋でしか通用しない500円の地域通貨で返したらいいと思ってるんです。四日市に泊まると500円分の飲み屋がいつもただですよと言ったら、来るに決まってます。しれてますけど、そういうことが補助金の使い方としては生きてます。絶対生きてます。
 そういうことをしないと、補助金にも限りがありますので、議会で500円の地域通貨と一々言わなくても結構ですので、そういう協議体があれば、もうちょっとかゆいところに手が届くような施策ができるような気がします。

〇服部委員 戦略企画雇用経済常任委員会のほうで、しっかりとその点を協議させていただきます。

〇中嶋委員長 ほか、いかがですか。

〇中村委員 ありがとうございます。ずっと講演を聞いていたいぐらいです。
 1点だけ、東日本大震災のときに、中小企業振興条例があったらよかったのになあという声があったということは、宮﨑社長が想定してみえる条例、あるいは被災された方たちが想定してみえる条例というのは、一定の制約というか、何かあったときはまず、地域の中小零細企業をかましてくださいよと、そういった一定の条件みたいなものがあるということを前提におっしゃったんですか。ちょっとその辺を少し教えてください。

〇宮﨑参考人 今中村委員がおっしゃったようなことに近いです。できれば地域の人に最初に声をかけてほしかったなという。物すごい震災で、物すごい瓦れきの量でしたので、どうしてもゼネコンに話が行くと。そのときに、地域の人たちは、仕事が手につかなかったみたいでして、どんどん人夫が仕事がないので出ていってしまった。そのとき、中小企業振興条例が最初にあって、小さいもの、シンク・スモール・ファーストが最初にあれば、もうちょっとスムーズに行ったんじゃないかという意味です。ある種優遇措置と言えば優遇措置だと思います。ああいう大災害のエマージェンシーのときは、パニックになっていましたので、それがあったらうちの人夫は全部首にしなくても済んだという声が随分ありました。そういう声は、何社からも聞きました。

〇永田委員 海外戦略・展開の話というのは、重要ポイントです。この条例の中で、まだ海外戦略・展開についての施策というのはないんです。海外展開については、こうあるべきだというようなアイデアがあったら教えてほしいんです。

〇宮﨑参考人 先ほどの小野委員の御質問で、御懸念があるというのはよく分かるんです。海外戦略というと、何となく日本の企業が外へ出て外で稼いで来ると。それは要するに、私が言う稼ぎ方というのは、私の会社から言えば、日本でつくったものを売って、向こうから金を持ってくるという考え方です。向こうまで全部会社ごと持っていくと、恐らく三重県では税収が上がりませんので、ここでアイデンティティー、トレーサビリティーをきっちり三重県に置いたものをどうやって売っていくか。これをきっちり条例の中に書いていただくというのが非常にいいと思います。
 何でもかんでも海外展開していけばいいと言ったら、下手したら会社ごと持っていってしまって、もう雇用も残らない、あんなことしなければよかったという話になると困ります。ここでつくったものをどうやって海外で売っていくか、そのためにどんなことを県としてやるかというふうにしないと、本末転倒になるような気がします。これは鈴木知事ともよくお話しするんですけど、ここでつくった物をどうやって売っていくのかが大事ですねという話になります。その辺を、あいまいにしておくと、何でもかんでも会社ごと海外に持っていけばいいとなると困ったことになると思います。永田委員の御懸念もごもっともだと思います。

〇中嶋委員長 ほか、いかがですか。

〇小島委員 どうもありがとうございました。
 先ほどの4合、7万円のお酒の話ですが、そのことが最初に言われたブランディングなのかなというふうに思うんです。三重県独自のブランドって、私も三重ブランドとは言ってきましたが、そういう意味でのブランドという使い方を自分自身もしてこなかったなと思うんです。連綿と長い間続いてきてるものというのは海外にもたくさんあって、もちろん日本にもたくさんあって、そういう意味のブランドをつくっていくことってすごく大事だと思うんですが、それには個々の企業の努力ももちろん必要ですし、今ずっとお話を聞いていて、条例の中にどうやって県として売り込んでいくか。例えば協議体をつくって、その中に入っていただいてやっていくだとか、そういう手法を、細かくはないにしても、その理念を書いていくことが必要なのかなあと思って聞かせてもらってたんですが、そういう受け取り方で間違いはないですか。

〇宮﨑参考人 今小島委員がおっしゃったのと非常に私は近い考え方です。さっき言った汎用品とブランドとは、相反する部分がありまして、三重県はそう意味でいうと模範的なブランドが1つあって、それは松阪牛です。非常に狭い範囲で飼育したものしか松阪牛とは呼ばない。もうちょっと言うと、客は全国民ではないんです。松阪牛を食べられるだけの所得のある人しか客として相手にしてないわけです。これは、ある意味でいうと汎用品ではないです。これが本当の意味でいうブランドです。例えばお酒でいえば、紙パックの灘のお酒というのは、もちろんブランドですが、あれはナショナルブランドというブランドです。一方、久保田というのはブランドです。越乃寒梅はブランドです。ナショナルブランドではないです。ここがブランディングの肝でありまして、三重県はどのブランドで行くのか。そう意味からいうと、僕は松阪牛という非常に模範的なブランドがあるわけですから、そのブランドから始めていって、食品というのはある種一くくりで、ナショナルブランドではない本当のブランドを構築できる物すごくいい県なんです。
 僕は、新潟県がすばらしい県だと思っているのは、新潟県のお酒というのは、ある種の、灘や伏見のナショナルブランドとは違うブランドを確立しました。そのブランドにあやかって、魚沼産のコシヒカリがブランドになりました。全部本当のブランディングをやっていったわけです。新潟県というのは、県としてのブランディングでは私は尊敬すべき県だと思っています。ところが、兵庫県は、灘というブランド、ナショナルブランドを勘違いして安売りになって汎用品になった。非常に対照的な県のやり方だと思います。小島委員がおっしゃったのは、私の思っているブランドです。

〇小島委員 そういう考えも、条例の中に書き込みつつ、文章化するとか、そこに至るかどうかわかりませんし、ここで読み取れるねというのであれば、そういう理念を私たちは確認していくことが大切なのかなと思いました。

〇中嶋委員長 ほか、いかがですか。

〇長田委員 いろいろお聞かせいただきましてありがとうございました。
 三重県地域産業振興条例というのは、地域の振興条例なのか、産業の振興条例なのか、よくわからないような位置づけの中で議論されていたんですけども、今お話ししている中で、地域の中小企業振興条例的な位置づけになっているのが一番というお考えなのかだけ聞かせてください。

〇宮﨑参考人 長田委員がおっしゃったとおりです。地域の中小企業を興していかないと、僕はもうもたないと思います。大企業誘致合戦を今から繰り広げていったら、消耗戦ですので、ここにある中小企業がどれだけきっちり地盤を固めて自主自立ができるか。そのために、行政としてお手伝いいただくと大変ありがたい。
 ちょっと時間が過ぎていて申し上げにくいんですけど、例えば四日市は、昭和30年代から40年代にコンビナートが華々しくなった。これについては、それなりに物すごい意義はあるんですけど、地場産業に人材が回ってこなくなったという、負の遺産があります。私の同級生で、当時優秀な人は四日市工業高校へ行ったんです。大学進学率は、今みたいに高くなかったですから、四日市工業高校へ行くっていうのはすごく優秀だったんですけど、そういう人たちが行ったのは、ほとんどコンビナートです。私どものような地場産業には、ほとんどそういう人材が供給されなかったんです。その人たちが、60歳の定年までずっと勤められたかというと、勤められなかったんです。四日市のコンビナートは鹿島へ行きます。行けなくて途中でやめた。僕の同級生で、僕より優秀なやつが、随分60歳まで勤められなくてやめられました。今、奥野委員がおっしゃったように、例えば今からそういうデジタル産業など10年とかいうお話だと、そこへ勤めて、物すごい優秀な人材を大手が誘致した。そこへ勤めた。下手したら30代で職をかわるということになって、その地域の地場産業が枯渇するんです。ということまで産業行政を考えてもらわないと、その地域の本当の振興は生まれない。そういう意味からいうと、雇用という問題もそこまで深く考えていただきたいなと私は思っています。ぜひとも地場の中小企業振興にお力をおかしいただきたいなと思います。

〇中嶋委員長 よろしいですか。ちょっと私も1点だけ。
 実は条例の6条にこういうくだりがあります。「県は、県内の各地域の特性に応じた産業の振興を、地域別に、効果的かつ計画的に推進する」と書いてあるんですが、県が計画的に推進するというのは、今日のお話を全て伺った中では、ちょっとおこがましいんじゃないかなと思うんですが、これに関して御所見があればお聞かせいただきたいです。

〇宮﨑参考人 そうやって言われるとあれですけど、おこがましいですね、本当に。計画的に、この地区がこう行けというのは、それは恐らく無理だと思います。ただ、さっき言ったように、私は都市別の機能分担は絶対すべきだと思っていますので、そういう方向性は1つあるよねというのはいいと思うんですけど、例えば、四日市は宿場町としてしか生きていけないということは言えませんよね。ただ、総花的に、どの都市も同じような機能を持たなきゃならないという発想からは、その呪縛からはもうそろそろ解き放たれたほうがいいという気がしますので、むしろ計画的にじゃないほうがいいかもしれません。

〇中嶋委員長 委員の皆さん、ほかによろしいでしょうか。
 なければ、これで聴き取り調査を終わらせていただきます。宮﨑社長には本当にありがとうございました。

                (休 憩)

 3 委員間討議

〇中嶋委員長 それでは、休憩前に引き続き再開をいたします。
 本日の委員会を受けまして、委員間討議ということなんですが、御意見等ございましたらお願いしたいと思うんですけれども、何かございますでしょうか。

〇奥野委員 さっき委員長が言われたけれども、その部分、何条でしたか。確かにそうであって、この条例を置くとしても、ちょっと修正は必要かな、そこら辺の検討をする必要があるかもわかりません。なしにしないのならば、多少、お話もあったし、修正をかけながら残していくということも考えていただいたらどうですかと思います。

〇小野委員 せっかく委員長からそうやって御指摘もいただいたんですから、次の委員会ではそこの条文の部分をもう一回集中討議を皆さんでして、どうやって持っていくか、話の方向性をまとめていかれたらと思います。

〇奥野委員 委員長、副委員長でその辺のたたき台をつくっていただいて、それで議論したらいかがかなと思います。
 修正をかけるが、そこの部分じゃなくて、この部分もあるんじゃないかということで、さっき指摘された部分を中心に、あればたたき台をつくっていただいて議論するというほうがスムーズに事が運ぶんじゃないかなと思います。

〇中嶋委員長 ほかに御意見等ございませんか。

                〔「なし」の声あり〕

〇中嶋委員長 今御指摘いただいたように、一たん条例の中で議論すべきポイントをもっと明確にして、それはどういう視点で議論するのかということについて、後刻、正副委員長で一度検討させていただいて、それをもとに次回の委員会で、より突っ込んだ議論をさせていただきたいと思います。

 

〔閉会の宣言〕

 

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。

議員提出条例検証特別委員長  中嶋 年規

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