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平成29年定例会2月定例月会議 陳1

受付番号・件名 陳1 自然環境トラスト活動促進事業の仕組み構築を求めることについて
受付年月日 平成29年2月13日
提出された
定例月会議
平成29年定例会2月定例月会議
所管委員会 環境生活農林水産常任委員会
項目

 要旨
  地球温暖化を防止し貴重な自然環境を保全するために、平成27年4月1日に施行された地域自然資産法に基づき、官民が協力して行う自然環境トラスト活動促進事業の仕組み構築を求める。

 理由
  宅地、工場、道路、太陽光発電設備など様々な開発による自然破壊がものすごいスピードで進んでいる。ここ数年は、特に太陽光発電施設設置のための森林伐採が県内各地で目立つようになったが、四日市市で計画されているメガソーラー事業は、四日市ソーラー事業(仮称)が事業予定地約68ha、四日市足見川メガソーラー事業が約95haときわめて広大な面積となっている。
  両事業予定地では、里地里山に生息する猛禽類サシバ(絶滅危惧ⅠB類EN)の営巣の確認があり、事業予定地周辺でオオタカ(準絶滅危惧種・種の保存法により国内希少動植物種として指定)の飛翔も確認されている。特に、四日市ソーラー事業予定地では、『三重県レッドデーターブック2015』に絶滅危惧種や準絶滅危惧種として記載されているニホンリス、フクロウ、オオコオイムシ、ヒメタイコウチ、ムカシヤンマ、トノサマガエル、ホトケドジョウ等多数の希少生物の生息が確認されている。
  オオコオイムシは『三重県レッドデーターブック2015』において既知の生息地は5以下と記載されているが、四日市市はこの5地域に含まれていず四日市市で確認されたことは非常に貴重と言える。またヒメタイコウチは、既知の生息地は10以下とのことで桑名市では天然記念物に指定され、その生息地は県の天然記念物に指定されている。四日市市内の2か所で天然記念物に指定されている東海3県にしか生育していないシデコブシも事業予定地内の長い年月をかけて自然がつくりだした湿地帯に2本見つかっている。
  ヒメタイコウチは桑名市では、市の天然記念物に指定されその生息地は県の天然記念物に指定されている。また四日市ソーラー事業(仮称)予定地近くのシデコブシは四日市市の天然記念物に指定されているが、東海3県における自生地によっては県や国の天然記念物に指定されている。ヒメタイコウチやオオコオイムシ、シデコブシなどが生息あるいは生育している湿地帯は、人の想像が及ばないほどの長い年月にわたる自然の営みによって形成されたものであり、一度破壊してしまえば2度と再生することはできない。このような希少生物の宝庫とも言える里山まで開発するような無秩序な開発が進んでいけば県が発行している『三重県レッドデーターブック』のページ数が増えていくのは必至としか言えない。
  生物多様性基本法で「生物の多様性は、人間が行う開発等による生物種の絶滅や生態系の破壊、社会経済情勢の変化に伴う人間の活動の縮小による里山等の劣化、外来種等による生態系のかく乱等の深刻な危機に直面している。また、近年急速に進みつつある地球温暖化等の気候変動は、生物種や生態系が適応できる速度を超え、多くの生物種の絶滅を含む重大な影響を与えるおそれがあることから、地球温暖化の防止に取り組むことが生物の多様性の保全の観点からも大きな課題となっている。」と述べられている。
  地球温暖化の防止や生態系の保全に取り組むと言うことは、平成27年に閣議決定された水循環基本計画に、「森・川・海を連続した空間と捉え、流域全体を視野に入れた生態系の保全と再生の取り組みを推進すること」、「水循環の基盤である森林が温室効果ガスの吸収源として地球温暖化対策においても重要な役割を果たしていることに鑑み、その整備及び保全を官民協力して推進していくこと」といった旨のことが書かれているように、森林の保全に取り組むということに他ならない。
  平成27年4月1日に地域自然資産法(地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の促進に関する法律)が施行されたが、この法律により都道府県又は市町村は、協議会を設置し自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する地域計画を作成することができ、その計画に基づいて、以下の二つの事業ができるようになった。
①入域料等を経費として充てて行う「地域自然環境保全等事業」
②寄付金等による土地の取得等(自然環境トラスト活動)を促進する「自然環境トラスト活動促進事業」
 現状の既存の個別法では開発による自然破壊を止める事は困難な場合が多々あると見受けられる。森林法等個別法の上位計画として定められている、国土利用計画法の基本理念「公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配慮して健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ること」を認識しつつ、現実問題として四日市ソーラー事業(仮称)予定地のような貴重な自然環境を守るためには、行政機関主導による官民協力してのナショナル・トラスト活動の仕組みを構築し、これを積極的に推進していくことが有効ではないかと考える。

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