センター長からのご挨拶
センター長 中西 大介 (なかにし だいすけ)
《プロフィール》
《資格》
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2022年4月1日
『子ども一人ひとりが、その子らしく豊かな人生を送るために』は、当センター開設以来の基本理念です。この理念は、子ども中心であること、一人ひとりの違いに丁寧に向き合うこと、その子の過去から未来に向けての「人生」や「そだち」を思い描きながら治療を行うこと、その三点を職員一同が常に念頭に置きながら、日々、子どもや家族に向き合い、寄り添うことを目指して掲げられています。
センター開設後5年が経過しようとしています。この間、センターが三重県における子ども臨床の拠点としてより適切に機能できるよう、地域で果たす役割について、改めて見直し検討を重ねてきました。その中で、「子ども中心」という考えに加え、「専門病院としての役割を改めて見直し強化する」「県民にできる限り平等なサービスを提供できるよう、地域を支援し地域を育てること」に重点を置き、取り組みを継続してきました。
一方で、社会の情勢や構造が目まぐるしく変化し、子どもたちを取り巻く環境も大きく変わってきています。社会、個人、一人ひとりの生き方など、多様性が尊重され、これまで弱い立場に追いやられてきた人たちに、徐々に光が当たるようになってきた反面、個人が負うことになる責任は益々重くなってきています。そういった中、自ら声を上げなければ、自身の置かれている状況や、本来は受けられる支援に気づくこともできず、困難を抱え続け、自身を責め続けている子どもたちに出会うことも少なくありません。
歴史を振り返ってみると、今になってようやく、そうした子どもの存在や課題に、社会が向き合えるようになったとも言えます。しかし、既存の仕組みで、個人や個々の機関で、困難を抱える子どもやその家族、子どもを取り巻く地域を支えることが限界に達してきているのも実情です。
そのため、当センターが拠点としての役割を果たすためには、今後さらに、地域の子ども臨床に携わる専門職の方々との連携を拡充していくことが重要になってくると考えます。従来から実施している専門職員の地域への派遣に加え、2020年度からは地域の小児科医向けに連続講座を開催し、地域の専門家養成に寄与するとともに、2021年度の秋からは、実際に相互的な連携も開始しています。今後も拡充を図り、地域の子どもたちが平等にかつ必要な時に速やかに支援や治療を受けられるよう取り組んでいきます。
あすなろ学園や草の実リハビリテーションセンターで培われてきた伝統や治療技法を大切にしつつも、今を生きる子どもや家族、支援者のニーズに少しでも応えられるよう組織や機能を見直し、合理的かつ組織的に治療を進めていきます。その過程において、現在の利用者の方には、何かしらのご負担をおかけすることが生じるかもしれません。子ども心身発達医療センターは、三重県の子ども臨床のセンターとして役割を果たせるよう、職員一同、これまで以上に研鑽を深め日々の業務にあたるよう努めてまいります。引き続いてのご理解とご協力をお願い申し上げます。