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松阪市立歴史民俗資料館

松阪市立歴史民俗資料館 体験レポート 改訂版
2019.8.2公開 2021.2.8改訂 2021.7.14三訂

  
 今回は、以前にご紹介した松阪市立歴史民俗資料館のリニューアルオープンに合わせて、内容を大幅にリニューアルしてレポートいたします。 



<目次>

松阪市立歴史民俗資料館について(企画展等)
1階の常設展(松阪の歴史・文化・産業)
2階の常設展(小津安二郎松阪記念館)

館の概要


 

松阪市立歴史民俗資料館について(企画展等)


 同館は、松坂城跡の敷地の中という、大変わかりやすい場所にあります。

 明治45年から飯南郡図書館として市民に親しまれていた建物を、昭和53年に松阪の産業や文化にまつわる資料を展示する施設へ改装しました。その施設建物は国の登録有形文化財に指定されています。令和3年には「小津安二郎松阪記念館」が同館2階に新設されました。

 



 同館は定期的に内容を替えて企画展を開催しています。

 令和3年の4月3日から6月6日までは、「~リニューアルオープン記念~映画監督小津安二郎企画展 青春のまち松阪展」が開催され、小津が愛用した品々など、映画ファンなら思わず唸るような貴重な品々が展示されていました。

 令和3年6月12日~7月4日までは、「第7回 松阪まちかど博物館展~館の想(おもひ)~」が開催され、松阪市内のまちかど博物館が一堂に集結し、各館の様々な「想い」の込められた所蔵品が展示されました。

 (現在の企画展に関してはこちらからご確認ください。)

 
2021年6~7月「まちかど博物館展」の様子

 

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 1階の常設展(松阪の歴史・文化・産業)

 
 こちらの資料館の1階でのテーマは、大きく、次の3つに分類できます。
 
①蒲生氏郷(がもううじさと)
②松阪木綿(まつさかもめん)
③その他


①蒲生氏郷

 松坂城を築城した氏郷が、後に名だたる豪商を何人も誕生させる松阪という地域の特性を育てるのに、いかなる働きをしたか、その存在を解説することが同館の大きな柱の一つです。

 氏郷は信長・秀吉に仕えた有名武将です。伊達政宗のライバルとして大河ドラマに登場したことが印象に残っている方もおられるでしょう。そこでは秀吉の命を受けて東北の英雄・独眼竜を牽制する役回りが与えられ、必ずしも好意的には描かれていませんでした。しかし、同館の館長さんは、「信長や秀吉に重用され、後の松阪の商業的な躍進の礎を作った人物ですから、政治的、経済的な面において、きわめて有能な人物であったと考えられています」と話されていました。

 今回、同館の展示内容となった小津安二郎も、松阪の豪商の一つである小津家の一族で、安二郎自身も商家の生まれです。「豪商の町」松阪の基礎を作り上げた氏郷は、言うなれば、世界的に評価される映画監督である小津安二郎が誕生する基礎も作ったといえるでしょう。松阪の歴史と産業と文化にとって大きな存在である氏郷は、リニューアル後も「外せない存在」として、様々な資料の展示に大きなスペースがとられています。

 「歴史が好きで、蒲生氏郷の名前は良く知っているけれど、どういう人物だったかについては実はそれほど詳しくない」という方も多いのではないでしょうか。そんな方にぴったりの展示です。

 



松阪木綿
 江戸時代に、大商業都市江戸で、松阪の木綿が大流行しました。松阪の多くの商人が江戸に進出し、三井家をはじめとする複数の豪商を生み出した直接のきっかけになりました。

 館長さんによると、、「江戸時代には松阪は御三家のひとつ紀州藩の領地となったので、将軍家の治める江戸に進出するのに比較的障害が少なかったことと、藩主を頂点とする武士の官僚機構が松阪にはなかったことなどにより、商人たちが自由に活躍できたことが大きいと思われます」ということでした。

 歴史的に松阪を代表する産業として、こちらも「外せない存在」です。リニューアル前には最もスペースを割いて展示していたこのテーマについて、現在も様々な展示があります。

 なお、令和3年の第20回三重県文化賞奨励賞を受賞した「松阪もめん手織り伝承グループゆうづる会」は、同館が立ち上げのきっかけを作った団体です。松阪木綿の伝承と技術の保存・発展を目的に設立され、後継者育成、技術の研究普及にも尽力する同会の活動は、この資料館による文化保全活動からスタートしました。

 



③その他

 同館に入場してすぐに出迎えてくれる、松阪の商家を模した展示コーナーは、リニューアル後も健在でした。実際に使われていた往年の看板や、その看板に関するとても興味深いエピソードの解説など、豪商の町・松阪の歴史を感じさせる展示になっています。

 神宮内で殺生につながる物を所持するのを避けるため、皮製品を模した製品に利用するよう作られた「擬革紙(ぎかくし)」や、さらにその擬革紙に金箔を貼って、皮に金箔を貼る「金唐皮(きんからかわ)」を模した「金唐紙(きんからかみ)」など、この地域ならではの製品も展示されており、地域に根付いていた産業や商業の文化について知ることができます。

 



 同じくリニューアル前から展示されているものとして、大正の小説家、梶井基次郎に関する資料があります。梶井は、病気静養のため松阪に滞在したとき、松坂城跡に立って名作「城のある町にて」を書きました。それにちなみ、松坂城の敷地内にある同館で、梶井の業績と松阪との関わりについても展示されています。

 



 また、屋外には、鬼瓦がたくさん展示されています。地域の古い建物が立て直される際などに取り外され、同館に集まってきたそうです。鬼瓦というと恐ろしい形相の鬼の顔をしたものが思い浮かびますが、そのような魔物除けの願いを込めたもの以外にも、たとえば「」という字を刻んで火災除けの願いを込めたもの、家紋を刻んで家の存在を示し、おそらくは一族の隆盛の願いを込めたであろうもの、たとえば学校の建物に「」の字を刻むなど、その建物の公的な役割を示したものなど、多様な鬼瓦が並んでいて興味深いです。

 様々な願いが込められ、建物を精神的に長年守り続けた鬼瓦たちは、見事な造形で迫力があります。地域の腕のいい職人の手によるものなのでしょう。

 

 

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2階の常設展(小津安二郎松阪記念館)

 日本を代表する映画監督で、世界的にも有名な小津安二郎は、松阪から東京に進出した商家の生まれです。小学生の頃、父親の教育方針によって、父の故郷である松阪に移住しました。19歳で東京蒲田の映画撮影所に入社して、その後に華々しい活躍をしますが、それまでの約10年間、この三重県の松阪市で青春時代を過ごしました。松阪で感受性を磨き、映画と出会って、後の人生を決める時間になりました。

 小津の生誕100年の前年にあたる2002年、小津家が暮らした愛宕町に「小津安二郎青春館」が作られました。そして、2021年、青春館の閉館にともない、この松阪市立歴史民俗資料館の2階に、「小津安二郎松阪記念館」が開設されました。

 小津安二郎の少年時代の生活ぶりを示す当時の記録、後の芸術センスを想起させる肉筆の手紙やスケッチ、小津が好きだった映画スターに関する思いをつづった日記、自身の映画作品のモチーフとなった人生経験の記録など、青年小津安二郎がどのような青春時代を過ごし、大監督となっていったかをうかがわせる展示があります。

 

 



 小津安二郎の青春時代を詳しく解説する映像作品の上映も行われています。

 一定の長さがある映像ですので、それなりに気合を入れて見る必要がありますが、すぐそばにある展示品と密接にリンクする内容ですので、展示をより深く理解するためにも、是非併せて見ていただきたいです。ナレーションを名優・佐野史郎さんが担当し、小津映画のヒロインとして一世を風靡した岩下志麻さんら、インタビューのメンバーも豪華で、非常に見応えがあります。





 2階で行われる世界の大監督・小津安二郎の顕彰と、1階での松阪の歴史・文化・産業の紹介との間には、とくに関係がなさそうに思えるかもしれません。

 「しかし、松阪商人の家に生まれた小津が、青春時代を松阪の文化や美意識に触れる中で過ごしたことを考えたとき、『映画びと』小津とは、蒲生氏郷や松阪木綿などに代表される松阪の歴史文化が結実した一つの形とも言えるのではないでしょうか。」(同館・館長さん)

 小津安二郎というビッグネームが加わってリニューアルした松阪市立歴史民俗資料館ですが、1階と2階の両方をじっくりとご覧になって、松阪の歴史文化の豊かさを全体として感じ取ってみるのはいかがでしょうか。
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館の概要


松阪市立歴史民俗資料館
松阪市殿町1539
0598-23-2381


9:00~16:30(4月~9月)/9:00~16:00(10月~翌年3月)
休館日 月曜・祝日の翌日・年末年始(12月29日~1月3日)

一般 80円 一般団体(20名様以上) 60円
6歳以上18歳以下40円  6歳以上18歳以下団体(20名様以上)20円
※「旧長谷川治郎兵衛家」・「旧小津清左衛門家」・「松阪市立歴史民俗資料館」の3館セット券あり

公式サイトはこちらから
県HPでのご紹介はこちらから



 場所は、松坂城跡にいらっしゃればすぐにわかります。お車でお越しの際は、城跡の隣に無料大駐車場がありますので、非常に便利です。

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本ページに関する問い合わせ先

三重県 環境生活部 文化振興課 〒514-8570 
津市広明町13番地
電話番号:059-224-2176 
ファクス番号:059-224-2408 
メールアドレス:bunka@pref.mie.lg.jp

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