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令和02年09月14日

まちかど博物館体験レポートvol.9 ~桑名2館~
昔の生活用品館 OLD LIFE GOODS HOUSE 、 長島発掘時代館 (2020.9.15公開)


 今回は、桑名市から、「古い物を集めている まちかど博物館」を2館ご紹介します。

 

昔の生活用品館 OLD LIFE GOODS HOUSE


 この博物館は、館名が示す通り、「古い生活用品」を中心に「展示」しています。

 昔、商売をしていた家を博物館にしていて、そこに、オーディオ機器、家具、生活雑貨などがたくさん置いてあります。

 

 展示品がレトロな建物の中に非常によくマッチしています。しかも、保存状態の良いものばかりで、今も生活に使っていると言われても違和感がありません。実際、オーディオの多くは普通に鳴らすことができます。当時のオーディオ機器はデザインのセンスが良く、昔風でありながら古さを感じないものも多くあります。「一見すると展示品だとは気づかない」とまで言えばおそらく過言ですが、それくらい風景と一体感があります。

 こういう生活風景に見覚えのある人にとっては、非日常の展示を見る博物館というより、ほんのちょっと前まで身近にあった生活の中に引き戻される感覚になる場所かもしれません。



     

 

 館長さんが、今も現役で動いているレコードプレーヤーをかけてくれます。とてもいい音が鳴ります。

 その他にも、脚付き型のステレオや、トランク型のポータブルレコードプレーヤーなど、なつかしいオーディオがたくさんあります。



    

 展示品の中には、単に「古い」というだけでなく、大変貴重で珍しいものもあります。


 たとえば、一つ目の写真は、「トランジスタ」の時計です。

 大まかな時計の歴史として、「ゼンマイを動力にした振り子の周期で時間を計る(ゼンマイ式)振り子時計」から、「水晶に電気を通したときに生じる振動で時間を計るクオーツ時計」への発展があったのですが、その過渡期に、「トランジスタに電気を通したときに生じる振動で(振り子などを動かし)時間を計るトランジスタ時計」が存在したのだそうです。

 水晶の方が時間が正確で、トランジスタは短期間で使われなくなります。ゼンマイ振り子時計の方が古くても、長期間作られ続けたため比較的今でも手に入りやすいのに対して、トランジスタ時計は極めてレアな品になりました。


  また、二つ目の写真は、「ブリキ製の幻灯機」と「そのフィルム」です。昭和初期~10年代の、娯楽や教育のフィルムを、スクリーンに映すメディアです。横の缶の中にフィルムが入っています。
 
 テレビのまだない時代、映像は映画館に観に行くものであり、家庭で映像を見る機会は基本的にありません。そんな中、裕福な家庭の一部でのみ、「幻灯機」を使ってフィルムを見ることが行われました。といっても、映画とは違い静止画です。この写真の初期の幻灯機も、残っている物がほとんどありません。現在では入手困難で、こちらも極めてレアな品です。



 

  古い箪笥は、それ自体が展示品であるとともに、展示品を収納しておく展示スペースでもあります。いろんなものが出てきます。



 

 家全体とは別に、庭の倉庫も展示場になっています。

 一見、普通の物置のようですが、ここにも貴重で珍しいものがあります。



 こちらの博物館では、「昔の物」という一応の決まりはありますが、テーマをとくに絞っていません。生活用品だけでなく、たとえば、桑名ゆかりの高名な画人の絵など、美術品の蒐集などもしています。「好きなものというのは人それぞれなので、見に来ていただいた人にとって、置いてある物の何かがアンテナに引っかかってもらえばいいと思っています」と館長さんはおっしゃっていました。

 そして、館長さんは、広いジャンルから集められた展示品のどれについて質問しても、詳しく説明してくれました。展示品について詳しいお話をお聞きするのは まちかど博物館の魅力の大きな一つですが、それができる理由は、仕事や長年の趣味を通じて、館長さんが当該ジャンルの専門家である場合が多いでしょう。しかし、こちらの館では、そのジャンルが多岐にわたります。人それぞれのアンテナに対応しようとすることに、こちらの館長さんの探求心の深さを感じました。
 
 「博物館と名乗るからには、蒐集した物について、常に勉強や研究をしなければならないと思っています」という館長さんの言葉が印象的です。

 

長島発掘時代館


 こちらも古い生活用品を中心に収集し、展示する博物館です。

 「昔の生活用品館」が生活感のある展示風景だったのとは対照的に、こちらではとても展示らしい展示がされています。

 20畳の大部屋二つを擁する建物の50畳ほどのスペースの全てが博物館に提供され、所狭しと大量の「古い物」が並んでいます。建物の中に入ると、その圧倒的な量に驚くことでしょう。

 



 こちらの館長さんは、昭和 48 年に創業した、 ゴミ収集とリサイクルを手掛ける会社の元社長です。今は相談役に退きましたが、長くその会社を経営してきました。

 一般家庭から捨てられる物の中に、価値のある物、珍しい物、時代を感じさせる物などがたくさん含まれていることに気づき、25年ほど前から、目ぼしい物を見つけては「発掘」してコレクションに加えてきました。次から次へと目を引く物が見つかるため、展示品の数はとても数え切れず、館長さんも把握していないそうです。

 一般家庭で昭和まで生活の中で実際に使われていた物が、平成に入って、家の建て替えなどの際にどんどん捨てられるようになりました。古くなって、今の生活では不要になった、かつての時代を映し出す物たちです。「一度失われれば、もう二度と戻ってこない」という思いから、館長さんは、ご家族からちょっとだけ冷たい目で見られながら、出来る限り保管することを決意しました。



 

 箪笥やちゃぶ台などの家具、お皿や茶わんなどの食器、時計や鉄瓶などの用具類、子どものおもちゃ、和服の着物など、昭和までの生活をしのばせる物は、一番集まってくる品です。

 それら自体は生活の中で今でも使いますが、生活様式や嗜好の変化からデザインや形状が変わりました。今はもう見かけなくなった物が、たくさん集められています。



 

 氷で冷やす冷蔵庫、手回しの蓄音機、鉱石ラジオなど、「電気を使わない電化製品」も見つかりました。

 今の時代には作られる理由がなく、「残さなければ失われる物」の典型かもしれません。



 

 発想がとても科学的で面白いものがありました。

 一つ目の写真は、陶器製の枕です。夏に使うと、ひんやり涼しく寝られます。館長さんが注目するのは、横に蛇腹の溝が入っていることです。表面積を増すことで、熱を発散させる工夫です。車の空冷式エンジンと同じ発想です。

 二つ目の写真は、「自動縄編み機」です。ワラを右から差し込み、歯車をぐるぐる回すと縄の形に縒(よ)り上げられ、滑車に巻かれていく仕組みになっています。複雑なギアの集合がとても精巧です。

 使われている材料が昔ながらの物であることとのアンバランスさが想像力を刺激します。



 

 館長さんの会社は、この桑名市長島町でずっと営業してきました。長島の生活に根差した品も集まってきます。


 たとえば、一枚目の写真は「階段状の箪笥」です。

 昔の長島の農家には、「厨子二階(つしにかい)」と呼ばれる建物が多かったそうです。二階の天井が低いのが特徴です。二階は生活スペースではなく、食料や農作物など、生活を支える物を置く場所でした。古くから城下町として発展していた長島は、船に乗って農作業をする水郷で、歴史上、川の氾濫が多発しています。すぐに持ち出せない大事な物を高い所に置いて浸水から守るため、そういう建築方法が地域で定着しました。

 そんな建物で、階段の下の空間に収納する形の箪笥がよく使われました。


 二枚目の写真は、長島ではない別地域のようですが、川の氾濫の影響を記録した絵図です。水害への関心の高さかもしれません。文章を見ると「昭和9年」とあります。こんな貴重な資料も、一般家庭に保管されていて、気づかれないまま捨てられるところでした。
 
 
 
 ここで展示されている物の現役時代を知る人は少なくなっていることでしょう。こちらの館長さんも現代の人で、火鉢を使った記憶がギリギリある程度だそうです。こちらの館には、そういう「見たことがないかつての生活」を確かな形で残す物がたくさんあり、今回ご紹介したのは本当にごくごく一部です。

 今はもう失われた生活ですが、館長さんとお話しながら「実物」を直接目にしていると、当時の風景が目の前で再現されているような気持ちになりました。


 

館の概要


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昔の生活用品館 OLD LIFE GOODS HOUSE
 (館長)  服部 秀男
(開館時間)  要電話確認【要予約】
 (電話)  0594-42-1813
 (住所)  桑名市長島町下町44-1番地(明治~昭和初年の東海道筋)
(アクセス) JR・近鉄長島駅下車徒歩10分 駐車場 3台

※「昔の生活用品館 OLD LIFE GOODS HOUSE」は、「CBCラジオ」金曜・中継・さわともひろ!でも紹介されています。
・CBCラジオの中継車が昔の生活用品館に出張して、館の取材と、館の装置でレコード演奏(「東京五輪音頭」、「ひばりの花売り娘」の2曲)を流して実況放送致しました。その詳しい様子はこちらのリンクからどうぞ。

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長島発掘時代館
 (館長)  加藤 敏男
(開館時間) 毎月第3日曜開館(要予約)
 (電話)  0594-41-1300 / 0594-42-2137(夜間)
 (住所)  桑名市長島町十日外面115番地
(アクセス) 三交バスなばなの里下車徒歩5分 駐車場 10台
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※お出かけの際には感染症対策に十分なご注意をお願いいたします。


 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 環境生活部 文化振興課 〒514-8570 
津市広明町13番地
電話番号:059-224-2176 
ファクス番号:059-224-2408 
メールアドレス:bunka@pref.mie.lg.jp

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