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保健・医療・福祉 総合情報

三重県社会福祉審議会議事録(平成18年3月28日開催分)

平成18年5月17日作成 健康福祉部健康福祉企画室

<目次>

  1. 報告1 三重県DV防止及び被害者保護・支援基本計画について
  2. 報告2 みえ高齢者元気・かがやきプランについて
  3. その他
    ヘルパーの介護福祉士資格に向けた研究について
    福祉有償運送について
    障害者自立支援法について

開会

○北岡政策企画室長
 本日は、委員の皆様方には大変ご多忙の中、ご出席を賜り、誠にありがとうございます。
ただいまから三重県社会福祉審議会を開催させていただきます。
 会議に先立ちまして、三重県健康福祉部長 本多隆志からご挨拶を申し上げます。

○本多健康福祉部長
 年度末の大変お忙しい中、審議会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。また、平素は皆様方には県政の推進に格別のご理解と推進に協力を賜りましてこの場をお借りして厚くお礼申し上げます。
 さて、福祉をめぐる情勢でございますが、介護保険法の改正や障害者自立支援法の成立、そして少子高齢化の急速な進展などがあり、それらに対して的確に対応していかなければならないということで平成18年度予算編成を進めてきましたが、今月23日に県議会で予算案を認めていただき方向が定まりました。せっかくの機会ですので平成18年度三重県一般予算の健康福祉部関係について簡単にご説明させていただきます。
 健康福祉部の一般会計予算ですが87,925,652千円となり、対前年に比べ
5.7%の伸びということになりました。県全体では0.7%の減ですので、それに比べ非常に大きな伸びといえます。実はこれには三位一体改革が影響しておりまして、この分を調整すると1.9%の伸びということになります。
 主要な事業についてですが、少子化対策のための次世代育成支援といたしまして、去年3月に次世代育成支援行動計画を策定し、それに基づき子育て支援に向けたささえあいのしくみづくりを構築するため、地域のNPO等諸団体による地域ネットワークの構築、特に企業のネットワークを構築して連携できるようにしていきたいと考えています。また、周産期医療施設オープン病院化モデル事業として、三重大学附属病院と地域の産婦人科と連携しながらハイリスク児に対するオープン病院を具体的に進めていきます。不妊相談・治療支援事業としては、不妊治療助成としてこれまで初年度10万円を上限としていましたが、その期間を5年間とし、さらに低所得者に対しては県単独で10万円さらに上乗せをしようとするものです。乳幼児医療費補助金については、入院分について就学前まで対象を拡大しようとするものです。
 その次、子どもを虐待から守る取組ですが、児童相談支援体制の整備促進として、これまで設置を進めてきた市町児童虐待防止ネットワークに対して児童相談に関する技術的支援を行うとともに、三重県要保護児童対策協議会を設置してより一層サポートをしてまいりたいと考えています。また、県内の児童養護施設が窮屈になってきていることから、桑名市に新たに設置することに伴う経費の一部について助成します。さらに北勢児童相談所の一時保護所も窮屈になってきていることから、増改築を行い、入所児童の定員を増やすことと処遇環境の改善を図るため2ヶ年の整備を取り組みます。
 障害者の地域生活支援については、障害者の皆さんの地域生活をしっかりサポートしようということで、グループホームの運営費を助成するとともに、低所得者を対象に家賃の補助を行うこととしています。聴覚障害児の早期発見・療育としては言語聴覚士を筑波大学に半年間派遣して療育の改善を高め、また中程度の聴覚障害児に対して補聴器の補助を行います。さらに、重度の知的障害者が施設から地域へ移行できるよう、いなば園にてモデル事業を試行します。
 高齢者の安心生活支援については、ご承知のように介護保険制度が改正され各市町へ地域包括支援センターを設置することになりましたが、その運営を支援していくため、専門スタッフの研修を行っていこうと考えております。特別養護老人ホーム整備については県内6箇所を整備するとともに、介護専用型ケアハウスについても助成していきたいと考えています。また、高齢者の皆さんの知識や活力が地域で活かされるようにカリキュラムを策定しまして修了後にボランティアやNPOあるいはコミュニティビジネスを立ち上げていただくようにサポートをしていきたいと考えています。
 福祉関係の取組は以上です。
 本日は「三重県DV防止及び被害者保護・支援基本計画」「みえ高齢者元気・かがやきプラン」2つについてご説明させていただきますので、みなさまから忌憚のない意見をいただきますようお願いいたします。

○北岡政策企画室長
 本日は県民生委員・児童委員協議会の石井様、県私立保育連盟の田中様、三重大学の浅野聡様、同じく三重大学の麻野雅子様、県市長会の今岡様、名張市立名張小学校長の上森様、神戸学院大学の高梨様におかれましては、本日、所用のためご欠席との連絡を受けております。また、国立病院機構三重病院の増田様につきましては後ほどご出席されるとの連絡をいただいております。
 続きまして、事務局といたしまして、健康福祉部長のほか本日の審議会に関係します職員が出席しておりますが、お手元の出席者名簿をもって紹介にかえさせていただきます。

 それでは、会議に入らせていただきます。
本日の会議は、委員総数19名中、ご出席いただきました委員は、11名であり、三重県社会福祉審議会条例第6条第3項に規定する定足数に達しておりますので、本会議は有効に成立しておりますことを、ご報告申し上げます。
 次に議長の選任についてでございます。議長につきましては、三重県社会福祉審議会要綱第4条に「審議会の議長は、委員長とする。」とございますので、土井委員長、よろしくお願いいたしたいと思います。

○土井委員長
 本日は、ご多忙の折にもかかわらず、多くの委員の皆様にご出席いただきましたことを厚くお礼申し上げます。皆さんのご協力を得て、委員長の役目を果たしてまいりたいと存じますので、議事進行にご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 昨年12月に発表された厚生労働省の人口動態統計の年間推計によりますと、日本に住む日本人の人口は2005年に初めて減少に転じたと言わ・黷トおり、我が国もいよいよ人口減少社会を迎えました。
 少子高齢化に伴う人口減少社会への突入は、年金・医療・介護など社会保障制度に大きな影響を与えることが予想され、こうした社会の変化に即した対応が求められています。
 さて、本日ですが、最初に説明がある「三重県DV防止及び被害者保護・支援基本計画」については、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」に基づく、施策の実施に関する県の基本的な計画です。
 先日の報道によりますと、昨年1年間に全国の警察に寄せられたドメスティックバイオレンスの相談件数は1万6888件となり、法律施行後、最多となりました。深刻な問題となりつつあるDVに対して、県が目指す社会像やDV防止のための施策について基本計画にまとめられましたので、それについての説明があります。
 次の「みえ高齢者元気・かがやきプラン」は、介護保険法に基づき、高齢社会を取り巻く課題に対し、介護保険制度を中心に、県民や保険者である市・町と協働し取り組む目標・施策について定めた第4次三重県高齢者保健福祉計画及び第3期三重県介護保険事業支援計画でございます。
介護保険制度のスタート以降、要介護認定者は約2.1倍、介護サービ スの利用者数は約2.2倍と大きく伸びております。 本日はこうした現状を踏まえ、今後3年間に取り組む高齢者福祉・介護 保険施策について説明があります。
 今回も活発且つ有意義な議論ができるよう進めていきたいと考えていますので、よろしくお願い申し上げます。

 

報告事項1「三重県DV防止及び被害者保護・支援基本計画について」 

○土井委員長
 それでは、報告事項(1)の「三重県DV防止及び被害者保護・支援基本計画」について、事務局の報告をお願いします。よろしくお願いいたします。

○太田福祉・子育て分野総括室長
〔資料に基づき説明〕

○土井委員長
 ただいまの事務局からの報告につきまして、ご意見、ご質問があればご発言願います。

○高鶴委員
 DVについては先ほどの説明にもあったように、その場面を見ている子どもが異性に対する不安感を持ってしまって、その子が大人になったときに連鎖的にDVになってしまうことがあります。「お父さん、怒鳴らないで」という本を読むと、DVには至らなくても夫婦間で絶えず怒鳴り声が飛び交う環境に子どもがいると、心的外傷性ストレスを持って成長していくことが書かれています。被害者への支援もそうだが、そういう環境に育った子どもへの視点も持ってもらいたいです。
 子どもに知的障害があると判った時、母親が「お前が産んだんだ」とかなり責められ、その結果、離婚して母子家庭となっている家庭が多くあります。祖父母と同居されている家庭では祖父母から嫁いびりをされたという話も聞きます。姑から特別児童扶養手当をもらって来いと言われ、それを渡すと目の前でお金を灰皿に入れて燃やし出し、「これが私の楽しみの一つや」と言い放たれた保護者がいて、子どもを抱えているのでその家庭から出て行くにも出ていけず、養護学校の保護者の仲間が一番の相談相手だとうち明けられていました。このようなDVにはからめられない人についても支援の対象としてほしいと思います。

○中谷委員
 計画にはたくさん相談機関が挙がっているが、私が相談をするうえで、一人の方が継続して相談に乗っていただけることが嬉しく思います。DVの被害に遭われた方にも自立に向けて支援を受けるなかで、同じ一人の方に相談を受けていただけたらと思います。そのために計画では支援者に対する心理的ケアの必要性を挙げてもらっていることが、すごく考えられているなと思います。
 相談をしていると相談相手の気持ちや表情を感じてしまいます。DVのような被害者は相談相手の様子に敏感になることが多く、時計をチラチラ見ているところが目に入ると早く終わってくれないかなと思えてきます。相談を受ける側はじっくりと時間をかけて相談にのってほしい。相談相手を民間支援団体へバトンタッチすることを考えているのであれば、最初から民間支援団体の人が相談の場に加わるようにして、人が変わることによってさらに心の傷が深くならないようにじっくり相談にのってほしいと思います。

○金津委員
 私がいる菰野町社会福祉協議会では、行政に関することや人権のことなど各種相談について窓口を一本化した相談を毎週1回ずつ行っており、そのなかでも、DVに関する相談を受ける件数も多くなってきています。この計画に書かれていることについて、相談員に伝えてもらうようにすれば、問題点がはっきりして解決も早くなると思います。行政や民間団体の相談員に対する啓発や専門的な研修をしてもらうことによって、相談所や警察まで行かなくても身近な相談窓口で解決できることも増えてくると思うので、お願いいたしたい。

○宮村委員
 以前、鈴鹿の教育研究所や国立の学校で仕事をしているなかで、児童虐待を受けた児童やDV被害に遭われた方にも出会ってきました。そんななかで心を痛めたのは、これらの問題は対処療法ではなんともならないということです。加害者のお父さんの性格特性を見極めて指導・助言していかないといけない。やっぱり学校時代からの優しさや人権学習といったことが重要になってくるので、今も取り組まれていますがさらに周知徹底していただくことを教育委員会に協力していただいて、連携することが大事だと思う。30歳になった人に「性格を直せ」と言っても無駄だと思います。高鶴委員の発言にもありましたが、子どもの頃にいじめを受けて、大人になってから仕返しをするということもある。悲しいことを繰り返さないためにも、しっかり教育関係者と連携していただきたい。

○大西委員
 計画の3ページにある「目指すべき社会像」のところで、1~5までの社会が挙げられていますが、4の「加害者に『再びさせない』社会」だけは他と性格が違うと思う。「加害者に『再びさせない』社会」というのはどういう社会なのか。僕には妙な強制力を持っていて、ある意味、危険を伴うもののように感じたのですが、それが26ページには「加害者に再びDVを起こさせない」と書いてあってこれなら理解できる。「加害者に『再びさせない』社会」とはどういう社会なのか、かみ砕いて説明いただきたい。

○太田総括室長
 3ページも、26ページも内容としては同じことを言っているつもりです。加害者が更生していくための再教育のためのプログラムがないのが現状です。しかしながら、加害者に対する何らかのアプローチが必要であろうということで、現在国でも研究が始まっているところです。国の動向を見ながらではあるが、何らかの対応策は必要と考えており、柱の一つとして据えていかなければならないと考えているため、4つのめの柱としたわけですが、これはかなり挑戦的な目標だと考えています。

○大西委員
 こういうことが安易に利用されてしまうと怖いと思い、取組内容が詳しく書かれていないので尋ねてみました。

○太田総括室長
 加害者へのアプローチに関して、相談機関がどれだけ関わられるか、まだ確立もされておらず、ましてや権力を持って行おうとするものではありません。再教育プログラムがある程度、確立してくれば、それに則った支援の仕方があるのかなとは考えています。

○土井委員長
 ただいま、何名かの委員から意見が出ましたが、なにかそれに対する事務局からのコメントはありますか。教育委員会との連携といったこととかは。

○太田総括室長
 市町や県の相談窓口で相談を受ける人たちがDVに対して深い理解と情報とをしっかり持っていることは大事だと考えており、これまでも会議や研修をやってきたが、この計画の策定を機により一層充実していかなければならないと思っています。
 DV加害者に対するアプローチが対処療法ではいけないという意見がありましたが、おっしゃられるとおりであり、教育委員会との連携も計画策定時にどういった人権教育ができるのかといったことも議論してきたので、今後も推進にあたっては協議を行っていきたいと考えています。

報告事項2「みえ高齢者元気・かがやきプランについて」 

○中西長寿・障害分野総括室長
〔資料に基づき説明〕

○土井委員長
 ただいまの事務局からの報告につきまして、ご意見、ご質問があればご発言願います。

○金津委員
 介護保険制度の改正がもうすぐ始まろうとしているが、前回の審議会で地域包括支援センターの現状と今後についてどのようなところがその機能を担うのにふさわしいか述べさせていただいたが、もう確定しているのでしょうか。行政がイニシアティブをとるのか、あるいは民間団体がやっているでしょうか。

○高橋長寿社会室長
 現在、37の地域包括支援センターが設置される予定だが、そのうち市町直営が13で委託が24となっています。

○金津委員
 委託の24の内訳はどうなっていますか。なぜこのことにこだわるかと言うと、前回の審議会で地域包括支援センターの運営を直営方式もいいが、県が理解を示してくれれば民間でもできるのではないかと意見を言ったのだが、現状としてはどうなっているのか。

○西村長寿社会室主幹
 市町社会福祉協議会や在宅介護支援センターを設置している社会福祉法人が運営しています。

○宮村委員
 知人から話を聞いたのですが、施設入所希望者が随分多くて400~500人もの人が待っているということを一部の人だけかもしれないが、囁かれている。そんなことはないはずであろうと思い、事前に送付された本日の資料を読んだところ、計画にあるどのデータを見ていても必要数に比べ定員数のほうが上回っている。ということは定員に余裕があるのではないかと思い、数百人の入所待ちということはないよと知人には話したのだが、実態はそんなことはない、待っている人は多いと言っていた。疑心暗鬼になっているようなので現状を教えていただきたい。
 また、事項書の7ページに平成12年度の要介護認定者数が33,345人と書いてあるが、介護サービス利用者数は24,897人と差がある。素人が考えると、介護認定を受けたけれども介護サービス利用者が少ないという状況はこれまでのいずれの年にも見受けられるが、これはどのように理解すればいいのでしょうか。

○西村長寿社会室主幹
 要介護認定者数とサービス利用者数との差ですが、認定者数の約76%がサービスを受けられているが、残りの約24%はどういう状況かといえば、認定を受けたけれども高齢のために入院をしてしまった方とか、認定申請をしてみたけれどもやはり家族で介護をしたいという方が大きな割合を占めています。
 もう一つの質問の特別養護老人ホームの入所希望者が多いにもかかわらず、計画では施設入所定員のほうが多い理由ですが、計画に示している定員には空床率を見込んでいるためです。これは例えば100人の入所希望者に対して100床だけ用意するとなるとなかなか円滑にサービスが提供できず、常時サービスを提供するには100人に対して105~110床を用意する必要があることから、このような差が生じています。
 実際、ご指摘のように多くの方が特別養護老人ホームへの入所を待ってみえるわけですが、よく調べてみると十分家庭で介護はできるが、将来的な不安を見越して予約的に申込されている方も多い。昨年9月に調査したところ、ある特別養護老人ホームにおいて一つのベッドが空いた場合、実際に入所されるのは平均すると優先順位の3~4番目の方になるという。一番極端な例では10番目の方になったケースもあるとのことで、真に施設入所が必要な方はまだまだたくさんみえるが、実際の申込件数に比べればかなり少ない状況です。

○金津委員
 宮村委員の質問の関連だが、介護保険が様変わりしてきたことについては全国的に認識されているものの、施設入所されている人の話を聞くと、これまで相部屋に入所している普通の方で食費等を含め約月々6~7万円の負担であったのが、1割負担になったことによって倍近くに増えて、自分の年金では入れないため、家族のなかでは息子の奥さんがパートを辞めて介護したほうがいいという声も聞こえてくる。そういう状況において、今の介護保険制度のなかでサービス提供を組み合わせることにより、家族に負担がかからないような方策が今回の法改正によってできないか考えているのであるが、現実は難しいと思う。家計が苦しくて施設を退所せざるを得ない話を聞くと、何かいい方法がないかなと思うのであるが、こういう現実についてどう思われるのか。

○高鶴委員
 私は県社会福祉協議会の権利擁護事業の委員もしていますが、新聞等でも取り上げられましたが、高所得の人ほど退所したり、入所申請を取り下げられているという。先ほど、お嫁さんが仕事を辞めて介護にあたっているという話をされたが、実際はおむつの機能もよくなったことにより、家族が仕事している間、おむつの交換もなく、食事も2食になるケースが出てくるのではないかと危惧する意見が権利擁護事業の委員会において介護をされている方から出されました。前回の国会の時には高齢者虐待防止の法律がまだ出来ていませんでしたが、家族にとっては虐待をしているという意識もなしに、虐待していることが出てくるのではないか、このままでいくと危ないのではないかという声も出ています。こういった介護保険に対応できないことに対して県として対応していただきたいと思います。

○西村長寿社会室主幹
 昨年10月に改正介護保険法の一部が施行されて、施設入所の食費等が介護保険の対象外になったわけだが、所得の低い方が施設サービスを受けられなくなるということで・・・。

○高鶴委員
 所得が多い人ほど退所されて家族に負担がかかっている。

○西村長寿社会室主幹
 包括的給付ということで、所得段階を4段階に区分して、そのうち1~3を低所得者として段階に応じて保険から支給されることになりました。ご指摘の4段階にあたる人が捕足給付を受けられないことについてですが、おそらく限りなく低所得者に近い人がそれに該当すると思われます。そういった方についても、例えば老夫婦のうち、おひとりが施設入所されて施設に対して多くの負担をしていて、在宅に残っているもう一人の方の生活が厳しくなる場合は4段階を3段階にする制度があります。そういった制度があるということを周知することが必要なので、県としてもケアマネジャーを通じて制度の周知をおこなっています。

○金津委員
 施設に対する制度の説明だが、ある施設では「入居者の皆さん方にも負担がかかりますが、施設にも負担がかかっています」と張り紙をされているところもあります。介護保険制度がはじまってから要介護認定者や利用者が増えて目標よりも数値が上がってきたために第1段階として昨年10月に制度改正されましたが、今後も負担が増えると思われます。施設側も苦慮している状況であるから、施設や負担が増えて退所せざるを得ない人たちへの説明をどこかでうまくしないと制度改正が改悪に受け止められて、せっかくの制度が立ち往かなくなることもあるので、利用者への説明をしっかりしていただきたい。

○土井委員長
 ほかになければ、これで報告事項の調査を終わります。
 せっかくの機会ですので、他にご意見、ご質問などございましたらお願いします。

その他1(ヘルパーの介護福祉士資格に向けた研修について) 

○宮村委員
 高齢者を支えていく従事者はたくさんいるが、その中でも特にヘルパーに依るところが大きい。しかし昨年の秋だったか、厚生労働省が現在のヘルパーを介護福祉士に統一するという方針を打ち出したように記憶しています。そのため現在の1級または2級のヘルパーは介護福祉士の取得を目指して500時間の研修に取り組まなければならないということですが、2級のヘルパーは130時間の研修しか受けておらず、500時間に達するには随分な時間が必要になってきます。現場ではそのうち県が方針を打ち出すだろうと知人には話しているのだが、今後どのように県はしていく方針なのでしょうか。

○西村長寿社会室主幹
 今おっしゃられたように、介護現場における職種については介護福祉士に統一される予定であり、その前段階として今年の秋くらいには厚生労働省から示されると思われるが、ヘルパー1級または2級の方は基礎研修を受けていただいて、将来的に介護福祉士になっていただくようになります。
 その基礎研修を受けていただくにあたって、ヘルパーでも1級または2級あるいは資格をもっていない方もいることから、免除期間をどうするのか、そういったことについて今後、厚生労働省から示される予定です。

その他2(福祉有償運送について) 

○大西委員
 福祉有償運送についてお尋ねします。
 福祉有償運送については30年ほど前から障害者向けに、20年ほど前からは高齢者向けに白ナンバーにおける運送を行っていますが、このたび道路運送法第80条において許可申請すれば白ナンバーでも送っていいということになりました。NPOが輸送することにあたって健康福祉部がどのようにお考えなのか、基本的なスタンスを教えて欲しい。

○西村長寿社会室主幹
 従来までは人を有償で運送する場合は道路運送法の許可を取得して営業車両により2種免許をもって行うことが大原則であったが、独力で移動出来ない人については、大西委員が言われるようにNPOやボランティアがその役割を担っていただいてここまで来ました。 
 それが、介護保険法が成立したことにより、この運送について議論がされ、平成16年3月に厚生労働省と国土交通省の間でガイドラインが策定されました。これにより有償で運送する場合は道路運送法の許可が必要とされましたが、これまでNPO等がその役割を担ってきたことから、2年間の重点指導期間を設け、その間にしかるべき許可をとっていただくことになりました。
 とりわけNPOについては、市町村が設置する運営協議会の協議を経たうえで道路運送法第80条に基づく許可を得ていただくことになったことから、タクシーを含め公共交通機関での移送ができない方については、引き続きNPO等による移送をお願いしたいと考えています。

○大西委員
 それを聞いて安心しました。過日、ラジオを聞いていたら東京都から三重県へ就職された若者の話が出ていました。その若者が言うには、三重県へ就職するとなると車を買わなければ生活できないと思ったという。そういうイメージをもたれている三重県にあって、高齢者の移動は本当に大変なことと言えます。
 先ほど話に出たガイドラインについてですが、料金については概ねタクシー運賃の1/2ということとされていますが、「概ね」ということであって、1/2とは書いていません。「概ね」と言う日本語ですが、例えば300円のものでも150円であれば「概ね300円」に入ってくると私は思います。福祉有償運送の料金設定について、三重県ではどういう訳かタクシー料金の1/2以下に設定されています。伊勢市の場合3キロ300円、津市の場合は5キロ300円になっており、これが果たして概ね1/2に当たるのでしょうか。
 これがタクシーだと5キロ約2,000円ぐらいになるが、津市のNPOが移送する場合300円になります。これがガイドラインで定めるところのタクシー運賃の1/2に当たるのでしょうか。この状況について県の考えを聞かせていただきたい。

○西村長寿社会室主幹
 ガイドラインはあくまで指針であって、指針に沿ってそれぞれの地域協議会が地域事情に合わせて協議を経て道路運送法の許可を得ていることになっています。大西委員のご質問もわからなくもないですが、単価を決めるのは運営協議会です。運営協議会のメンバーにはタクシー事業者やNPOの方、利用者の代表それぞれが参加されており、そのメンバーによる合意形成を図られたうえで料金を決定しているので、問題はないと考えています。

○大西委員
 よくわかりました。
 先ほどの説明で、移送をNPOに頼ることにもなると言われましたが、NPOが移送をするにあたっても、必要経費がかかるわけであって、利益を得たいと言っているわけではないが、運営を維持できる状態になければならないと思っています。NPOに移送をお願いしたいと言われても、肝心のNPOがいなくなってしまえばどうしようもない。例えば名古屋市の場合2キロ400円で1キロ増える毎に150円、春日井市にいたっては1.5キロ350円という単価設定となっており、あまりにも三重県と落差がありますが、このあたりはどうでしょうか。この場合、愛知県は愛知県という考え方は当てはまらないと思います。愛知県はNPOも存続させようという官民一体となる合意形成がなされているように見え、三重県の場合は非常に淋しいと思います。

○西村長寿社会室主幹
 先ほど説明しましたように、移動制約者が公共交通機関で移動することができない場合には、NPO法人や社会福祉法人、医療法人といった、多様な団体によって移動の確保していくことに変わりはないが、運賃についてはやはり運営協議会の中で決めていただくことと考えています。

○大西委員
 運営協議会と言われましても、理解しがたい検討がされていて、県の資料に基づき1キロ毎130円という数字を出したら、「30円という数字を認知症の方が理解できるのか」という意見が出され、100円にしなさいと言われました。認知症の方に配慮することは理解できますが、タクシーに乗り670円かかった場合、その額を認知症の方は理解できるでしょうか。タクシーは認知症だからと言って100円未満を切り捨てるというような扱いはしません。運営協議会の決定は私には理解出来ない。議論にならない様なことまで議論している。県も運営協議会に出席しているので、このことについてもよく知っていると思いますが。

○西村長寿社会室主幹
 運営協議会に参加している職員にも確認いたします。

○大西委員
 よろしくお願いします。

その他3(障害者自立支援法について) 

○脇田障害福祉室長
〔障害者自立支援法施行に伴う新制度について説明〕

○金津委員
 私は小規模授産施設の施設長も併任していますが、菰野町内に無認可の小規模授産施設(小規模作業所)が1カ所あり、保護者から新制度に対して不満を抱いています。まず一つは制度が変わることによってどうなるのか。啓発はしているものの、町立で運営しているので、新制度にのろうとしても棲み分けがされてしまって支援されない。もう一つはこれから授産施設へ入所を希望されている養護学校高等部の方々の不安がとても増幅されてこちらの説明責任も伝わっていかないという状況があります。
 今説明をいただきましたが、平成18年度については県はこれまでの制度どおり行われるということでいいのでしょうか。

○脇田障害福祉室長
 先ほどの説明は新制度を簡単に申し上げただけですが、小規模作業所は障害がある方が身近なところで日中活動の場として、また福祉的就労をするために設置されて入所されていますが、新制度に対して不安があることは聞いています。新体系による生活介護や地域活動支援センターと移行の方向性は出されていますが、障害者自立支援法の制度に入るだけで利用者負担が1割となったり、食事等にも実費負担がかかり工賃を上回ってくるのではないかとも言われています。
 こういった状況に対して、本年3月から市町とともに検討会を立ち上げ、本年10月からの施行にどう対応していくか考えていくことになりました。小規模作業所に対しては県単の運営費補助を組んでいるので、平成18年度はそれにより対応していく予定ですが、新体系に移行できるかどうか、生活介護とか多機能型といったことや利用者負担等どうしていくのか検討する場を設けましたので、19年度以降を見据えて、利用者及び保護者の不安が生じないように、また行き場を失わないようにきちっとやっていきたいと考えています。

○高鶴委員
 小規模作業所に対する県単補助にこだわらずに新制度に移行できない部分については支援していただきたい。これについては意見としてとどめておきます。
 実際は10月から法の完全施行になって受給者証の申請も始まってくるわけですが、先日4月からの費用徴収に向かって市町の申請受付がありました。各市町によって対応がまちまちで、きちっとした情報が出ていないと私は思います。ある市の話を聞くと、世帯分離をしたら国民健康保険の保険料が年間5万円ほどになり、実際払う経費と変わらないから世帯分離しなくてもいいといったことを言われたといいます。でも私が確認したところによると、分離して本人だけの年金収入だけだと、国民健康保険の保険料について7割減免があって、年間で1万5千円、多いところでも1万7千円で済むと聞いています。税制上の扶養家族として認められ、親御さんが社会保険であればそちらの扶養家族に入れ、個人減免や法人減免の対象となるはずです。世帯を分離するかどうかは個人の判断であり、きちっとした情報を提供してもらって、それを決定するのは家族の判断ということで、お任せいただきたいので、適切な情報提供について県・市町は出していただきたいと思います。

○土井委員長
 特になければ、これをもちまして本日の審議事項を終了したいと存じます。
 委員の皆様方には、ご多忙のところ長時間にわたり、熱心にご審議を賜り、ありがとうございました。県当局におかれましては、本日の審議会での意見等が今後十分に県行政に反映されることを希望いたしまして、審議を終了いたします。
 本日は長時間、ありがとうございました。

○北岡政策企画室長
 本日は長時間にわたり、ご審議を賜り、誠にありがとうございました。閉会にあたりまして、健康福祉部長からご挨拶を申し上げます。

○本多健康福祉部長
 本日は貴重なご意見をありがとうございました。
 今後皆様からいただいたご意見をできるかぎり県行政に反映させていきたいと考えております。
 本日はありがとうございました。

○北岡政策企画室長
 これをもちまして、三重県社会福祉審議会を閉会いたします。委員の皆様、本日はどうもありがとうございました。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 子ども・福祉部 子ども・福祉総務課 企画調整班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁2階)
電話番号:059-224-2305 
ファクス番号:059-224-3406 
メールアドレス:kfsoumu@pref.mie.lg.jp

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