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平成28年2月25日 予算決算常任委員会 会議録

資料はこちら

予算決算常任委員会

会 議 録

(開会中)

 
開催年月日     平成28年2月25日(木) 自 午後3時0分~至 午後4時16分

会  議  室     全員協議会室

出 席 委 員     50名

             委 員 長   青木 謙順

             副委員長    森野 真治

             委    員   芳野 正英  中瀬古初美  廣 耕太郎

                       山内 道明  山本 里香  岡野 恵美

                       倉本 崇弘  稲森 稔尚  下野 幸助

                       田中 智也  藤根 正典  小島 智子

                       彦坂 公之  濱井 初男  吉川   新

                       木津 直樹  田中 祐治  野口   正

                       石田 成生  中村欣一郎  大久保孝栄

                       東    豊  津村   衛  杉本 熊野

                       藤田 宜三  後藤 健一  稲垣 昭義

                       北川 裕之  村林   聡  小林 正人

                       服部 富男  津田 健児  中嶋 年規

                       奥野 英介  今井 智広  長田 隆尚

                       舘   直人  日沖 正信  前田 剛志

                       舟橋 裕幸  三谷 哲央  中森 博文

                       前野 和美  水谷   隆  山本   勝

                       山本 教和  西場 信行  中川 正美

欠 席 委 員     なし

出席説明員     出席を求めず

参  考  人     1名

             椙山女学園大学 現代マネジメント学部 准教授 齊藤 由里恵 氏

委員会書記

             議  事  課  班 長  上野   勉

             議  事  課  主 幹  中村 晃康

             企画法務課  主 査  永田 正実

             企画法務課  主 査  松村 敏明

傍 聴 議 員     なし

県 政 記 者     1名

傍  聴  者     9名

調査事項

1 参考人からの意見聴取

  (1)地方財政の今後の展望と課題について

  (2)予算決算審査の留意点について

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

1 参考人からの意見聴取

  (1)地方財政の今後の展望と課題について

  (2)予算決算審査の留意点について

〇青木委員長 前回の委員会で決定したとおり、本日は、椙山女学園大学現代マネジメント学部准教授の 齊藤由里恵様に参考人として出席を求めております。
 この際、参考人に一言御挨拶を申し上げます。
 本日はお忙しい中、本委員会のために御出席いただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して心からお礼申し上げますとともに、忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いします。それでは、座らせていただきます。
 早速ですが、調査の順序等について申し述べます。
 まず、参考人の方からお話をいただき、その後、各委員からの質疑を行うという順番で進めます。
 なお、参考人からの聞き取りは、質疑を含めて1時間20分以内といたしたいと存じますので、御了承願います。また、聞き取り調査の終了後、参考人に御退出いただいた後に委員間討議を行いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、参考人から御意見の聞き取りを行います。齊藤様、お願いいたします。

    ①参考人意見陳述

〇齊藤参考人 御紹介ありがとうございます。椙山女学園大学の齊藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 着席したままで失礼いたします。
 本日は、地方再生の今後の展望と課題と、そして、予算決算審査の留意点についてお話をさせていただきたいと思います。
 本日の内容は、皆様も御存じのところが多くあると思いますが、社会環境の変化、そして、地域創生ですとか地方財政の改革など地方財政が果たす役割というのが年々高まってきております。また、今後も高まるということが予測されます。その中で、改めて地方財政、そして国との関係ですとか、国が目指す方向性について、ここで整理をさせていただきたい。整理をすることで、三重県の県政において予算決算の審査をよりよい形で進めていただければと思い、今回こういったお話をさせていただくということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、皆様のお手元にも資料があると思いますが、ちょっと字が小さくて申しわけございませんが、ここには、昨年6月閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2015」というところで方針が出されたものを一部抜粋しているところでございます。もう御存じのとおり、この基本方針におきましては、財政健全化目標を2020年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化というところが明言されているところでございます。この健全化目標でございますが、2010年の民主党政権のときに取りまとめられたものでございまして、それを安倍政権におきましても堅持するということで、合意をしているというところでございます。ただし、2012年の内閣府の経済財政の中長期試算においては、消費税の増税額が2%にとどまるということと社会保障の伸びということを考えますと、この2020年における財政の健全化と黒字化というところは達成が難しいというふうに見込まれている中で、ただ、2014年11月の解散総選挙を表明した際に、安倍首相はこれは堅持するというところで、具体案においては2015年の夏までに検討するというふうにしておりましたので、この基本方針2015というものにおきましては、大変注目されるというところになるかと存じます。
 特に、地方財政におきましては、基礎的財政収支の黒字化ということを目標としまして、ダイナミックな改革を行った小泉政権、三位一体の改革で記憶に新しいところだと思いますが、地財ショックといわれたように、地方の財政、財源の大幅カットがあったために、こういった目標を掲げ、具体案というところに関しましては、地方財政にとって関心が高いところだというふうに思っております。
 結果から申しますと、後にも述べますが、この基本方針2015の中では、地方財政について、財源の総額については2018年度まで2015年度の水準を確保するということで、総額に関して維持しているというところは一つ、地方財政にとっては安心材料かと思います。しかしながらここにありますように、具体案である「経済・財政一体改革」を見てみますと、比較的厳しい内容が盛り込まれているのかなというふうに見ることができます。
 それらの取組につきましては、この黒字化というものを達成するに当たって、途中の2018年度にも目標値を定めておりまして、プライマリーバランス赤字対GDP比でマイナス1%程度を目安とすると。さらに、この取組におきましては、地方も国の取組と基調を合わせるということが各所に出てくるというところから考えますと、かなり厳しいものが地方財政のほうにも寄ってくるのではないかというふうに考えることができると思いますし、また、徹底的に見直すというような言葉にも折々触れられているということからも、地方財政改革というのにも切り込まれていくというふうに思っております。
 さらに、ここに書いてあるように、KPI(重要業績評価指標)ですとか、あとはPDCAサイクルといったように、改革の進捗状況ですとかの点検、評価というのを随時行っていくということで、「集中改革期間」である2016年度から2018年度までにおいて定められた目標が達成できなければその都度軌道修正をする、何が何でもということかもしれませんが、2020年度の目標値を達成するという強い意気込みというのをこの基本方針2015では感じるところだと思います。
 そこで、具体案ということで、「経済・財政一体改革」の中身につきましては、ここには歳出面と地方行財政改革の分野について一部抜粋をしておりますが、歳出、歳入ともに、中身にも質的な側面でかなり明記されているということで、これまでになかった厳しい言葉が使われていますし、これまでになかったような中身に切り込んだ内容が書かれているというところが特徴です。
 歳出改革におきましては、3つですね、「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」ということで、3つに焦点を当てて取り組むんだということが明記されています。さらには、これまで、全国一律に一定の行政サービスを保障する仕組みのもとで、コスト意識が希薄化していると。自助自立を促す取組ですとか、公共サービスの需要の膨張を抑制する取組が弱いということが言われております。これは、地方だけに限らず、国ともにこういうことが言われているわけですが、さらには、こういった一律の取組、一律のサービス提供ということで、創意工夫がされていないんじゃないかということで、これまでの歳出についてはそういった評価がされているとともに、今後は公共サービスの質ですとか水準を低下させることなく、さらに公的な支出を抑制するということをうたっておりまして、聖域なく徹底した見直しを進めるということで、特に医療・介護、子育てなんかの社会保障分野を含めた改革が掲げられ、このような地方財政が担う分野が大きいところに切り込まれるということで、地方財政の役割、地方の役割というものは大きいのではないかと見ることができるわけです。
 歳出改革についてだけではなく、地方の行財政改革ということにも切り込んでおります。これまで人口減少などの社会構造の変化を踏まえて歳出増減を前提としていたということがありましたので、歳出増減ということを前提としないで歳出カットに取り組んでいくんだと。社会保障関係経費についても伸びると見込んでいた地方財政からすると、かなり大きなインパクトです。こういった基本方針2015を盛り込みまして、来年度の地方財政計画というのが出されているわけでございます。
 地方財政計画ですが、国が法令等を通じて地方を担ってもらう行政事務に伴う歳出の内訳、すなわち、事務配分に対する行政需要の見積もりということでございます。この地方財政計画というのが各地方公共団体の予算についてかなりインパクトになると同時に、皆さんも御存じのところだとは思いますが、地方財政計画というのは歳出、歳入というのが同額になっていて、それは何かが調整弁になっているわけです。その何かというのは地方交付税交付金でありますので、地方に対してこの計画というのはかなり強いものであり、この来年度の計画、おのおのの自治体のことではなく、日本全体のマクロの地方財政の計画でございますが、それを無視することはできません。そこで、5つのポイントにまとめてみました。来年度の地方財政計画は、全体的に、地方財政の方向性を決定するターニングポイントと言えるところが各所にあります。まず1つは、一般財源の総額に関してでございます。総額に関しては、前年度の総額を保持しているというところで、先ほども述べましたように、これが基本方針に書いてあるように、2018年度までにおいては2015年度の地方財政計画の水準ということを守るということが書いてあり、そのとおりになったということでございます。ただし、そこで地財ショックのときのような大幅な削減というのはなかったものの、2018年度ということで、3年間と期限があるということは1つポイントになります。3年間は2015年度、今年度の地方財政計画の水準ということを保持するということでございますが、それ以降に関しましては、歳出ですとか歳入の状況を見まして何らかの方策がとられる可能性が十分あるということで、3年ということを頭に一つ入れといてもらいたいということでございます。
 さらには、2015年度の地財計画の水準を守るということでございますが、このところ自治体の予算決算なんかを見ていますと、人件費が高くなっていることですとか、もちろんここのところ社会保障関係経費はずっと伸びを示しておりますので、そういうことを考えますと、2015年度の水準ということを守るということだけでも、もしかすると地方財政にとっては苦しいと解釈できるかもしれませんし、2015年度の水準では、これからはますます厳しい財政運営、2018年度までにおいても厳しいという評価が一つできるのではないかというふうに思うところでございます。
 ポイントの2つ目でございますが、2つ目は、財源不足額でございます。財源不足額が多分この地方財政計画のターニングポイントになる点の一つだと思いますが、財源不足額が前年度に比べましても28.3%減ということで、大幅に減っていると。さらには、ピーク時というのが平成22年度ということでありましたので、ピーク時は18兆円を超える巨額の財政不足があったということを考えると、かなり減少したということが言えます。特に財源不足額を補うための折半対象財源不足を見てもらいますと、平成28年度は5494億円ということでございますので、ピーク時、平成22年度においては10.7兆円ございましたので、極めて減少している。前年度比でも81.1%減ということでございますので、このまま地方税収が伸びるということを考えますと、来年度にはなくなる可能性もある財源かもしれません。そして、その折半対象財源不足だけではなくて臨時財政対策債、これが減りました。財源不足を解消されたということでありますが、おのおのの地方財政にとってはちょっと違った解釈ができるかもしれません。地方財政計画上で見ると、臨時財政対策債が減少しています。国税の伸張を受けて、地方交付税の財源が増減補正をされたために圧縮しているということでございます。しかもその中身を見ますと、臨時財政対策債のほとんどが過去に発行した臨時財政対策債の元利償還金でございますので、そこを考えると、すぐに解消することはないんでしょうが、臨時財政対策債においても減少傾向にあります。すなわち、地方財政計画上で見たら健全化しているというふうに評価ができるところだと思います。
 このように言うと、多分皆様の実感とは大分離れているところがあるかと思います。それといいますのは、地方財政計画、先ほども申しましたように、マクロベースで考えているものでございます。マクロベースで考えると、このように財源不足が減っているということ、臨時財政対策債が減っているということは、地方財政が健全化しているというふうに言えるのだけれども、実際、おのおのの地方公共団体を見ると厳しい財政状況であることには変わりがないということでありますし、全体的に、マクロベースで見て地方財政の健全化を行っているからといって、おのおのの自治体が健全化しているかというと、ちょっと異なる話だというところも一つのポイントでございます。
 ポイントの3つ目というところでございますが、これも、地方財政の健全化というところにつながる話でございますが、これまで、危機的な状況であったリーマンショック以降、危機対応モードとして、別枠加算ですとか歳出特別枠というものが設けられていました。そのことに関しましては、基本方針2015においても、それ以前においても、別枠加算とか歳出特別枠といったような危機対応モードというものは経済再生に合わせて平時モードに切りかえていくべきだということを国のほうからもいわれていたところでございますし、この基本方針2015におきましても、各経済財政の委員会の中でもこの点については強く触れられていたところでございます。そこを、今回、財源不足額が減ったというところもありまして、別枠加算というものに関しましては、平成28年度の地財計画からはなくなった、皆減したというところでございます。
 リーマンショック以降の平成23年度には1兆円を超える額があった、別枠加算がなくなったというところで、これもまた地方財政、マクロで見ると健全化している、平時モードに戻っているというふうに見ることができますが、国からの財源移譲をされる地方公共団体にとっては、ここの部分がなくなるということが苦しい財政状況につながるという見方も一つできるわけです。
 歳出特別枠におきましても、平時モードへの切りかえということで求められてきたところでございます。平成28年度の地方財政計画でどうなっているかというと、昨年度同様に、特別歳出枠は実質的には水準を確保しているということでございます。実質的にというのは何かといいますと、歳出特別枠は昨年度まではこの地域経済基盤強化・雇用等対策費というところに昨年度は8450億円が計上されていたわけです。来年度はそれに加え重点課題への対応分、そして公共施設の老朽化への対策として、今年度の水準を2つに分けた形にしてございます。
 歳出特別枠でございますので、これまで、地方交付税を上乗せするために特別枠として設けられていたものでございます。それを、平時モードへ切りかえということで、なくすということが求められてきたわけですが、一方で、基本方針の中では総額は固持すると、2015年の水準を守るということでありますので、ここでばさっと削減する、単純に廃止をするということができないということから、このように2つに分ける形で前年度の水準というのを確保しているというところでございます。
 本来であれば、この歳出特別枠という名前でございますが、これは特別枠はそれぞれ、名称がいろいろ変更していったりするわけですが、地域経済基盤強化・雇用等対策費に関しましては、平成24年度から同じ名称で続いています。ということは、平時モードへの移行というところを考えると、一般行政経費に振り分けるということが本来は望ましいということが考えられるわけですが、なかなか一般行政経費に振り分けるということができないし、なくすこともできないというような理由が存在しています。歳出特別枠、先ほども申しましたように、地方交付税の増額のために、政策的には実準に基づかない歳出の上乗せということを財務省のほうは見ているわけです。ですので、あくまでも臨時というような姿勢を崩したくないということがここから見受けられるわけです。臨時という姿勢、臨時ということは、いつか平時に戻るときにそれをカットできるというところもあります。ですから、この臨時というような費用を崩したくないというところと、ただ、これまで続いてきたものを一概に削減できないので、一般行政経費に振り分けると、まあ、全額振り分けるということにはなかなかいかないので、そこを折衷案として2つに分けたのではないかと見ることができます。
 さらには、歳出特別枠ということで残しているということは、先ほど申しましたように、いずれは削減できるという可能性を残しているという見方ができるわけですので、平時モードへの切りかえといったときに、この歳出特別枠で計上されていたものが一般行政経費に行くのか、それともなくなるのかといったところは、大きな違いがあるのではないかと考えているところでございます。
 次に、この歳出特別枠で分けた重点課題というところを見ていきたいと思いますが、重点課題は、それぞれ自治体情報システム構造改革推進事業、あとは高齢者の生活支援等の地域の暮らしを支える仕組みづくりの推進、そして森林吸収源対策費等の推進ということで、2500億円一般行政経費のほうに計上されています。ここでは、喫緊の課題であるということで、重点課題対応分ということで計上されているわけですが、もちろん喫緊の課題であるということは間違いないわけですが、ちょっと読み方を変えてみると、この高齢者生活支援とか森林吸収源対策というのは、市町村に対しての経費になるわけです。そのため、これらの経費を計上することで、こういった喫緊の課題に対応できない、税収に恵まれない自治体に措置するということで、課題への対応ができるための措置とも見ることができます。
 同じように、今年度から計上されている、まち・ひと・しごと・創生事業なんかも同様に、税収に恵まれないような自治体に対して配分が多かったというようなことが見受けられるわけです。このような経費は、マクロにおいては税収が伸びる中で税収に恵まれない自治体への配慮というふうに見ることができまして、財政調整機能を果たすための措置というふうに見ることができます。ただし、この、まち・ひと・しごと創生事業に関しましては、新型交付金ということも考えられていて、インセンティブを強化するような仕組みを入れようというところでございます。一概に税収に恵まれないというところだけで配分されるわけではないというのが今後の課題です。こういった経費がどこに配分されるのかと、どういう形で配分されるのかというのは、地方財政の歳入にとって大きなところになるのではないかというふうに考えられます。
 最後に、地方財政対策というところでポイントの5つ目というところでございます。ここでは、全体的な自治体の予算編成というところをポイントにしてみました。一般財源の中での地方税収入のウエートが高まるということは、マクロで見ると、地方財政計画においては健全化しているという見方ができるわけでございますが、必ずしもこれが個別の自治体において健全化を果たしているかというと、そうではないということが見られます。マクロでの地方税の増収というのと、おのおのの自治体において地方税が増収しているかということは異なることで、増収しているところもあれば、そうじゃないところもあると。ただ、それをトータルにしたときは増収になっているということで、地方財政計画、マクロで見るのと、個別の自治体で見るというところではその意味合いが異なってくる、それぞれの個別団体によっても意味合いが異なってくるというところは強く認識しなければなりません。先ほど述べましたように、地方財政計画上での財政健全化と個別自治体での健全化がイコールではないということで、この地方財政計画における健全化がおのおのの自治体の健全化を意味するものではないというところが一つ注意をすべき点だと考えています。
 さらには、地方財政計画においては公債費というのは減少しているというのが傾向としてありますし、今後も減少傾向でいくということが予測されます。地方財政計画上の地方債残高というのは、短目に設定されているということもありまして、これまで膨らんでいたというふうに見ることができるわけです。ですので、地方財政計画上で設定されている償還の期間と各自治体で設定している償還の期間に誤差がある可能性があります。特に、自治体で設定している償還の期間を長くしているとかいうような自治体であれば、公債費はこれからも高どまり、もしくはちょっと増額傾向にあるというところでございますので、計画とは反対の方向にベクトルが働きますので、より厳しい財政状況にならざるを得ないというところがございます。ですので、自治体の予算編成を考える上では、地方税収の増大が見込めないような自治体ですとか公債費が高どまりしているような自治体というのは、予算が組みにくいような状況に至っています。
 ここまでで、地方再生計画を5つのポイントで見てきましたが、地方財政計画におきましては、やはり来年度は財源不足というのが大幅に減額されているというところで、地方財政計画上では健全化の方向に向かっているというところと、ただしそれぞれの自治体が同じような動向に行っているということとは限らないというところが大きなポイントであり、また、今まで危機対応モードであったのが平時モードに切りかわるというところでいうと、平成28年度の地財計画というのは一つのターニングポイントとして見ることができます。
 地方財政の今後の動向を見て確認してみたいと思います。地財計画の規模を棒グラフで、左の軸であらわしてあります。折れ線グラフはおのおのの経費で、右側の軸で示してあります。ここで一番目につくところといいますと、このオレンジのところになります。このオレンジのところが一番高くて、ここが一般行政経費ですが、それを補助分と単独分に分けますと、補助分はグレー、単独分が黄色です。一般行政経費の上がりというのは一般行政経費の補助事業分に対応しているということがここでわかるわけです。補助事業分に対応している、補助事業が伸びているということは何に注意しなきゃいけないのか、補助事業ですので、それに対する一般財源の充当というのが必要になるというところで、総額は例えば伸びていると。地方財政の財政状況がよくなるのかというと、必ずしもそうは言えない。 補助事業分が伸びているということは、それに対する負担の伸びを意味するということですから、その一般行政経費の補助事業の増額というところをほかのところで穴埋めしなきゃいけないというのが地方財政の担うべきところになります。今までと歳入が変わらないのであれば、ほかの部分を圧縮して、そこに回さないといけない。そこを補っていかないといけないということでございますので、これまでどういうような対応をしていたかといいますと、多分皆様のほうがそこに関しては詳しいところだと思いますが、人件費を圧縮していたとか、投資的経費が長期的に減額されていたために、それを受けて公債費が減少していたので、それで対応することができていたというふうに考えられます。ですから、今後の動向というものが地方財政にとっては、補助事業が増えるということで地方財政を圧迫する一つの要因になるということかもしれませんし、それをどこの部分でやっていかなきゃいけないのかというところをしっかり考えていかないといけないというところかもしれません。
 さらに言いますと、今後、地方財政の歳出の中でやはり近年注目されているのは、公共施設やインフラの老朽化にかかわる経費、そして人件費と、今まで圧縮していた部分が、公共施設やインフラにかかわる整備に関しましては大幅に増やさなきゃ対応できないというところが多くあります。また、人件費というところに関しましても、これまでかなり圧縮してきた、そこのひずみが今出てきてしまっているというところを考えると、そこにも対応していかなきゃいけないというところであります。
 これまで、公共施設やインフラにかかわる経費に関しましては削減してきておりましたので、更新経費に関して認識されたのはそれほど長くないというところでありますので、同じように地方財政計画を見ても、地方財政決算を見ましても、それぞれ投資的経費、あとは、人件費に対応するような給与関係経費等は、平成13年度のピーク時と比べるとかなり圧縮してきました。それが今後、ここの2つの経費は伸びる傾向にある、歳出増が避けられない状況であるということでありますので、そこら辺をどのようにやりくりしていくかというところが重要なポイントの一つになるのかというふうに思っております。特に、都道府県なんかに関しましては、基準財政需要額の算定がかなり厳しくなっているというところで、一般財源が市町村と比べて十分に伸びていないということも言われていますので、そこをどのようにクリアしていくのかというところが大きな課題になっていくところであろうかと思います。
 さらに、私も専門ですが、地方財政の話はすごく暗い話が続くわけでございます。さらに、特に追い打ちをかけるというような暗い話ではありませんが、地方財政制度の改革というのも基本方針に盛り込まれているところでございまして、うまくこういった波に乗って改革をしていける団体とそうじゃないところでかなり差が出るような改革案になっているのも特徴かと思います。
 基本方針2015の中では、特に地方については、こういう言い方がされています。地域の活性化と頑張る地方を支援する仕組みというふうにいわれています。その支援をする、活性化をさせる、そういう頑張っているところに手厚くするということを盛り込まれていまして、頑張る地方をこれまで以上に支援する仕組みとしては、新型交付金の創設ですとか、あとは、改革に取り組んで成果を反映させられるような地方交付税制度へ改革をするということが明記されております。その方式としては、地方交付税制度の改革としては、トップランナー方式というふうにネーミングされていまして、歳出の効率化に向けて取組をして、それが他団体のモデルになるようなものについて、先進的な自治体が達成した経費水準の内容を計画期間内に地方交付税の単位費用の積算に反映させるということを言っております。トップランナーとして走った自治体というのは支援をしてもらえるということでありますが、そのような自治体の水準をほかの自治体にも適用させていくような、効率的な取組とあるのと同時に、そういうところに乗れない自治体というところに関しましては、かなり厳しくなるということが考えられます。それによって、自治体全体の取組を加速させるということが考えられておりますので、これまで以上に行財政改革ですとか歳出削減というところに取り組まなければ、自治体にとってはかなり厳しいところになるというふうに考えられています。ただ、地域間の税源の偏在是正というものに伴って、課税自主権の拡充も明記されておるところでございます。そこが地方公共団体においてどのようにプラスに働くのかというところは、まだ未知的なところがございます。これまでできなかったような取組なんかにも国主導でやっていくというような姿勢が見られているというところでございます。
 加えて言いますと、この基本方針策定に当たりまして、経済財政一体改革推進委員会の中では、地方行財政について、かなり厳しい見方がされております。高市総務大臣とのやりとりを見ていますと、推進委員会の委員と地方の間にはかなりギャップがあるように思われます。そこでかなり地方に対して厳しい見方をされているということは、何らかの方策が打たれることが考えられるということでございますので、そういった取組につきましても注目をしていかなければいけないというところでございますし、2016年度から2018年度というのがこの基本方針2015の「集中改革期間」ということを考えますと、その間に目標が達成できないということであれば、さらなる地方財政に対しての意見というのが出る可能性があるのではないかなというふうに思っております。
 ここまで、地方財政計画ですとか地方財政の今後の動向を見てきましたが、もう一つ、地方の行財政改革と同時に、地方財政の健全化及び地方債制度の見直しというのも、国のほうではされております。ここから、地方財政の健全化、地方債制度の見直しの話を少しさせていただきたいと思っております。ここにもありますように、平成21年度に地方公共団体の財政の健全化に関する法律というのが全面施行されたということで、旧制度においては、皆様も記憶に新しいところであると存じますが、夕張ショックというところから地方財政の健全化の法律というのができているわけです。従来の制度ではわかりやすい財政状況の開示というのが不十分であったという評価ですとか、あとは財政再建団体ということの基準しかなくて、財政の早期是正の機能がなかったということで、自ら財政改革に取り組むようなきっかけというのが見つかりにくかったというところ、さらには、普通会計を中心とした収支の指標しか対象にならなかったですとか、公営企業に関しても、その早期是正の仕組みがないということが課題になっていたということで、このような課題から、健全化の4指標の整備と、さらには、情報開示というのを徹底するということで健全化法が制定され、それが各団体で財政指標というものを使われております。そこを考えると、健全化に対して一定の役割が果たせているだろうと考えられますが、ただ、平成21年度から施行されたわけですが、現行制度では今の財政状況の課題、特に公共施設なんかの問題というのに対応できていないということで、公共施設の老朽化等の対策というのが必要性というので出されてきたというところがあります。さらには、地方債におきましても、自主性、自立性を高めるという観点から、届出制の導入が改革されたというところでございますが、導入されるときに、地方債発行に関する国の関与については、3年を経過したら抜本的に見直す検討規定が置かれているということで、このたび地方財政の健全化及び地方債制度の見直しが総務省の研究会にて検討され、今国会に提出をされているところという運びになります。
 それぞれ健全化法の課題と対応というところになりますが、1つ目は、この第三セクターに対する貸し付けです。もし第三セクターが破綻してしまったときに、貸し付けを行っていたら、それが自治体に返還されないと。その場合、自治体におきましては負担になるので、そういったものを将来負担比率で反映させるべきじゃないかということですとか、あとは、年度を超えた基金というものの繰りかえ運用ということを考えますと、それらもきちんと財源不足が生じているという状況が今の決算書だけではわからないということで、記載を促すべきだと。さらには、同じように公有地信託につきましても、公有地信託の事業収支が悪化して資金不足が起きた場合、地方公共団体にその費用を求められるということがあったということから、そういう可能性があるものに対しては将来負担比率へ反映すべきだということで、こういった、主に3つが対応されるということになりました。
 さらに、その3つに加えて、財政分析のあり方として、これから公会計も導入されるということになりますと、資産老朽化比率ですとか、あとは、債務償還可能年数というものを表示しようということで、新たにこういった指標を追加するということも考えられております。資産老朽化比率というのは、老朽化の度合いを示すということで、それと将来負担比率ということを組み合わせると、健全化ですとか、あとは公共施設の除却とか更新への対策というのが可能になるということで、財政分析に関しても新たな指標を追加する、新たな指標を組み合わせることによって、より地方公共団体が自分たちの財政状況を客観的に見て、健全化の取組につながるようなこととして、新しい取組がされています。
 さらに、指標というのは、公表するだけではなくて実際の財政運営に活用していくには、やはりこれまで使われていた経常収支比率とか、そういったものの中身についてもきちんと見ていく必要があるのではないかということがこの見直しの中では強く言われていたところでございます。
 三重県財政ということで、三重県の報告書に載っていたものを引用しております。何が問題かというところになってくるわけですが、今、経常収支比率は、どこの団体でも上がっているというところが多くあると思います。その要因としては、ここにも書いてありますように、公債費ですとか社会保障関係費が増加したということが要因になっているということは、もちろん間違いないことです。そういった財政構造の変化が挙げられるわけですが、ここが上がったので財政が硬直化していますよということを示しているのが経常収支比率なわけで、問題はここにあります。一般的には75%程度が妥当とされていますと書いてあるわけですが、こういったものが例えば80%とかを超えたらだめだとかいうと、今はそうではないわけです。それはなぜそういうことになっているかというと、以前と違っていることとして、現状では財源対策債などの地方債の充当率が上昇しているということが挙げられます。上昇しているといっても、財政制度の変化ということを考えると、より少ない一般財源で投資的事業を行うということが現状では可能なわけです。だとすると、75%とか80%というものを超えると弾力性を失いつつあるということは一概に言えないわけで、このようなところが財政制度とか構成要素の内訳を分析する上では大切なところになってきます。地方自治体が財政運営に活用していくことがしやすいような公表の仕方をするということが盛り込まれているわけでございます。これは、別に三重県だけが間違っているということではございませんが、ほかの自治体でもこのように書いてあるところはあるわけです。地方債なんかの充当率のことなんかの認識を正しくしていく、誤解がないようにしていく必要があるんじゃないかというところが言われているところでございます。
 地方債の見直しについてですが、地方債の見直しについては、健全化の確保に留意しつつ自主性、自立性を高めるという観点と、さらには、地方債のリスクウエートがゼロというふうにされている取り扱いというのを維持していくということで、金融市場における地方債全体に対する信用を維持するというような2つの観点で検討されております。この結果、このスライドにあるように、例えば、協議不要基準については、もう安定的に運用されているという実績があるということで、さらには、市場においてもその協議不要基準については余り意識されていないということもあって、緩和をするという方向性が検討されていると。これを総合していいますと、これまでの各自治体の、例えば地方債を乱発するというようなことがなかったとかいうことで、実直な取組が反映されて、やはり、自主性、自立性を高めるという観点が重視されているというような見直しの方向性というふうになっております。
 最後に、予算決算審査というところで、三重県議会におかれましては、取組というところが先進的なものでございますし、これまでも、政策評価に関しても率先して取り組んでいらっしゃるというような実績というものがございます。本日この場におきましても、こういった予算決算常任委員会が機能すれば、決算審査時には、前年度の事務事業の評価とか問題点に対する改善点ということが挙げられるために、予算審査時に決算審査等を踏まえて、議会から積極的な、そしてより地域課題に即した政策提言ができるということに寄与しているんじゃないかと私も思っております。
 さらに、希望としましては、例えば、事務局が報告書や評価書を出される、そういった資料だけに基づいて評価を行っているのではなくて、議会からの独自の調査とか検討というところも各自治体なんかでは課題としても取り上げられているようですので、議会独自の取組というのが今後は求められてくるのかなというふうに思っておりますし、また、国の基本方針におきましても評価とかエビデンスということがしっかり明記されていますので、今後、事務事業を行うことの達成目標ですとか評価、エビデンスということが求められるということからも、議会独自の調査だとか独自の基準というところを求めるというところがあるのかなというふうに思っております。
 そこで、三重県の予算を少し拝見させていただきました。新聞記事にも書いてありましたが、来年、再来年度はますます厳しくなるのではないかと。繰り返しになってしまいますが、人件費ですとか公共施設やインフラの更新、公契約への適正賃金等を考えていくと、やはり財政支出というのは厳しくなってくるのかなと考えられます。ただし、ちょっとそれを逆手にとると、施設は別にしましても、例えばインフラの更新なんかに関しましては、まちづくりとか地域づくりを再度やるチャンスというふうにも捉えることができると思います。これを契機に、今までも先進的に取り組まれていた三重県の取組というのも、トップランナーとして全国へ発信するような取組というところが期待されるのかなと考えております。
 ただ、すごく気になったことだけ一つ。ちょっと的外れなことになるかもしれませんが、今、公共施設等総合管理計画を策定したというところで見せてもらいますと、どこの自治体もちょっと似たようなところはありますが、施設にちょっと偏っているという傾向が見られます。県民の命にかかわるところとしては、施設はもちろんですが、一番かかわるところとしては、やはりインフラ、特に橋梁とか道路というようなところがポイントになるのではないかと。そうすると、こういったインフラのことに関しましては、今後の計画というのが、報告書レベルで見ているからかもしれませんが、ちょっと薄いのかなと。これから取り組まれることかもしれませんが、直接県民の命にかかわるようなところというところをしっかり認識して取り組んでいただきたいと思います。ただ、報告書を読ませていただくと、橋梁なんかについては、必要に応じてもう使わないという選択肢をするということが明記されておりました。やはりなかなかそこを言えない自治体が多い中で、そういう選択肢もあり得るということを言うということは、すごく大きな成果だと思います。ただし、どこをどうやって、どういう優先順位でやっていくかが大切です。全てを更新するということがかなわないというようなことも多分容易に想像できることでございますので、どのような優先順位でやるのかといったところに皆さんの手腕が発揮されるのかなと、個人的に思っているところでございます。
 最後になりますが、人口とかでも見方によっていろいろ形が変わるということで、例えば生産年齢人口と65歳以上人口の増減率、これは5年の増減率を見て、ここから何が言えるのかと。例えば、結構大都市なんかのほうが今後多分財政を逼迫するような要因になってくると。多分地方都市なんかに関しては、大分落ちついているといったようなことも言えるのかなというふうにも感じるところがありました。
 例えば、三重県と同じような人口規模を持つところでも、結構この増減率、増減率で見ていいのかちょっとわかりませんが、ただ単に人口構成とかで見るのとこういった増減率なんかで見るのでは、政策の方向性も異なるかもしれません。同じ人口規模でも構成はバラエティーがあります。縦にゼロ歳から14歳というのを持ってきてみますと、さらに、このように同じような人口規模とかでも少しずつ異なるところがあります。これはさっきと同じ図ですが、例えば、財政力指数とかで見ても結構ばらつきがあったりしますので、いろいろな方向性から政策の提言をしていただきたいなと思います。三重県は財政力指数とかもそうですし、あとはこういった増減率なんかを見ても、結構全国平均というところに近いというところでありますので、三重県の取組というのがやはり各自治体にとってモデルとなるようなケースになるのだと思っておりますので、今後の皆様の手腕というのを期待して、私の話は以上にしたいと思います。
 ありがとうございました。

    ②参考人への質疑

〇青木委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見を受けまして、委員の皆様から御質問等をお願いいたします。なお、念のために申し上げますが、参考人は答弁の際、挙手の上、委員長の許可を得て発言し、また、委員に対しては質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、御質疑があればお願いいたします。

〇芳野委員 ありがとうございます。芳野正英と申します。
 マイナス金利時代の財政の考え方で、ずっと考えていることがあるんですけど、来年度は国債の利率が下がってくるとなると、恐らく地方債の市場の利率も下がってくるのかなと思うんですけど、そうすると、今、逆に言うと借りどきなのかなという思いもありまして、そんなにばかばか、200億円も300億円も借りる必要はないと思うんですけど、例えば、三重県も来年度、財政調整基金を取り崩して、一方で新規地方債も発行してますけども、例えばその財政調整基金の取り崩しを一旦やめといて、その額だけ新規で地方債を発行しておくと。で、また利率が上がってきたときに財調を取り崩すと。だから一時的には実質公債費率がちょっと上がるんですけど、それでもまあ、50億円とか100億円程度今取り崩そうとしている部分を、今の当初予算ではもうそのままにしといて、9月ぐらいに国債利率の市場を見ておいて、今、平成27年度は三重県の地方債の利率が0.464なので、例えばこれが0.1幾つとか、0.2幾つぐらいにまで利率がまた半減してきたんだったら、ちょっと多目に借りといてもええんと違うかなって、補正予算なんかでそれの処理をやってもいいのかなと。それが何年も続かずに1年、2年の臨時措置ならそういうことをしてもいいのかなと思ってるんですけど、それって間違いですかね。

〇齊藤参考人 御質問ありがとうございます。
 済みません、ちょっと、その答えについては、適切な回答を持ち合わせているところではございませんが、やはり財政規律とか、仮定の状況と財政ということをどういうふうに考えるかというところかなと思います。今後私も考えていきたいと思っています。

〇芳野委員 先ほどの説明の最後のほうで、県の指標も見ていただいて、地方債の充当率も考えておくべきとおっしゃっていたんですけど、もう一つ、その返す公債費の利率もこれからはやっぱり予算の中で考えていったほうがいいのかなと思ってるので。同じ100億円を借りるのでも、利率の低いときだったら、まあ、1割とは言わないですけど、5%ぐらい多目に借りといても、総額の公債費というのは変わらないわけですよね。で、その分、3年、4年後にまた利率が上がったときは、新規の発行額を5%程度当初よりも下げておけば、その5年ぐらいでトータルで公債費は一緒なんだけれども、借りる時期をちょっと5年ぐらいのスパンでずらすことで返す利率を下げられるんじゃないかなと思っているんですけどね。それについては、御意見はどうですか。これもやっぱり難しいですかね。

〇齊藤参考人 おっしゃっていることの意味はよく理解をしていますが、何のために多目に借りるかという、その目的のところがやっぱり一番重要なのかなと思います。

〇青木委員長 よろしいでしょうか。

〇三谷委員 そんな難しいことは聞きませんので。
 先ほどの御説明で、平成28年度地方財政計画のポイントの5で、税収増が見込めない公債費が高どまりしている自治体は予算を組みにくいというお話がありまして、なるほど28年度の三重県の予算は組みにくいんやなというのはようわかったんですが、それとは別に、地方税制の今後の動向の③の地方行財政制度改革のところで、いろいろお話をいただいて、地方交付税制度の改革で頑張る自治体を支援する算定を強化云々ということで、こういうことがあると国の関与がますます大きくなってきて、本来あるべき分権改革だとか地域主権改革とは逆行してくるのかなという感じがしてます。その中で、地域間の税源の偏在の是正云々等が書いてありますが、要は、地方同士での税源のとり合いの話で、水平の税源の移動はあるんですが、垂直における、つまり国から地方への税財源の移譲の議論というのは、当然なされていないのかどうかって、その点が非常に不満なんですが、その点はいかがなんでしょうか。

〇齊藤参考人 ありがとうございます。
 私も、同様の感覚は持っております。全国知事会ですとか、あとは全国市町村会からもそういう要請というのは毎年出されているというところで、今年も平成28年度の地財対策に関しての対応というところで、地方のほうからは、そのような意見が挙がってきています。さらには、総務省のほうでは、国からの税源移譲というところと、財源不足が毎年度発生しているというところで、地方交付税の枠をもっと上げるべきだとの意見も出されているというところであります。
 地方のほうからそういうふうにやったほうが効率的にいくんだということを要望し続けるというところがすごく大切なところなのかなと思っております。ただ、要望はたくさん出ております。

〇三谷委員 ありがとうございます。
 地方のほうも、国から御指導いただいたほうがやりやすいというような地方も一部あるようですので、地方のほうの覚悟も同じように問われてくるのかなって感じはしてますが、ありがとうございました。

〇青木委員長 ほかにございませんか。

〇山本(里)委員 失礼します。
 今、三谷委員のほうからもお話があった地方財政計画というのが、ある場合は結局トップランナー方式で食い合うと、まあ、前半の説明ですね。で、もちろん全国知事会であるとか、いろんなところから要望が出ているという状況の中で、こういうことは、地方自治が脅かされるということも含め、結局住民サービスで、先ほど例えば橋の例が出て、必要か必要でないかということを十分住民にも納得をしてもらった上で減らしていくことができればいいけれども、なかなかそれは難しいと。そして、この計画の中にトップランナー方式で手を挙げて、公共財だったら公共財をできるだけ縮小していくところにお金をつけるとか、そんな形のことですよね、現実的には。だからこういうことを、例えば要望は出ているけど、進めていったら、あるものを、座る椅子とりゲームの椅子は少ないわけですから、この図がそのままそうっといくかどうかは人口だけですから別として、それは、みんな地方が努力をするんですけれども、それに漏れていくところというのはどうなっていくんですか。どうなっていくんですかというか、それはそれも当たり前として見ているわけですよね、今のこの計画は、総括で。

〇齊藤参考人 漏れていくところに関しては、一応、先ほども説明しましたように、昨年度、今年度とまち・ひと・しごと創生事業なんかを使って税源が恵まれないところにちょっと分配をするということで少し措置をしてあるし、さらには、やっぱり漏れていくところがないようにしようというのが基本方針2015で言われているところだと思いますが、やはり乖離があるとも思っております。
 先ほども申しましたように、経済・財政一体改革の委員会の中では、かなり地方に対して厳しい意見がつけられています。それに対して、地方とは少し乖離があるということも議論はされているところではありますし、またこの地方創生に関して、高市大臣のほうの答弁なんかを読んでいますと、国の基本方針に載っていることを進めていって、地域が対応できるかというところも疑問視されているというところであると思います。例えば市町村なんかに関しては、やはり県の力というのが今度は大きくなっていくんだろうというふうに思っています。例えばどうしても合併が進まなかったですとか、地理的な要因とか、いろんな要因で人口が減ってきているとか、自治体として機能しづらくなっているというような基礎的な自治体があると思いますので、そういうところに関しては、広域自治体である県が一緒になってやっていくというような方向性が考えられているんじゃないかなというふうに思っていますし、そこに今後県の役割というところも一つあるのかなというふうに思っています。

〇山本(里)委員 公表したいと思います。
 ありがとうございます。

〇青木委員長 ほかによろしいですか。
 もう1人。じゃ、ラストでお願いします。

〇岡野委員 ちょっと認識のことだけですが。マクロとミクロの違いということで、マクロ的には地方財政計画については減税になってきたけれども、ミクロで強いところと弱いところの自治体が出てきていると。人口も非常に偏っているし、いろんな意味で財政力もそうだしということで、強い自治体はかなり強く、弱い自治体はもうすごく弱くというところだけれども、全体的な国の借金財政は減ってきていると、こういう認識でいいんですか。

〇齊藤参考人 例えばミクロで見ましても、強い自治体で税収が多いというところはもちろんあります。臨時財政対策債の発行が可であっても、それを全く発行していないところもあります。そういった自治体は、その補填分は今自由に、比較的自由度が高い財源となっていますので、これまでの財政運営の結果が、現在の財政力に反映されているというところで、一概に強いというところが例えば税収が多いというところではなくて、健全なというか、すごくこれまで切り詰めてきたというところもたくさんあるというところが事実かと思います。

〇青木委員長 よろしいですか。

               〔発言の声なし〕

〇青木委員長 それでは、質疑を終了いたします。
 この際、参考人に対しまして、委員会を代表して一言御礼申し上げます。
 本日はお忙しい中、本委員会のためにお越しをいただき、ありがとうございました。このたび頂戴いたしました御意見は、また予算決算審議の際に役立てていきたいと思いますので、どうぞ今後とも御指導のほどをよろしくお願いいたします。
 それでは、以上で参考人からの聞き取り調査を終わります。
 ここで参考人が退室されますので、着席のまま、しばらくお待ちください。

〔参考人 退室〕

    ③委員間討議    なし

 

〔閉会の宣言〕

 

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。

予算決算常任委員長 青木 謙順

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