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平成29年10月13日 予算決算常任委員会 会議録

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予算決算常任委員会
会議録
(開会中)

 

開催年月日    平成29年10月13日(金曜日)  午後1時32分~午後2時56分
会   議   室     全員協議会室  
出 席 委 員      48名
               委 員 長     中嶋 年規
               副委員長     津村  衛
               委       員       芳野 正英  中瀬古初美  廣 耕太郎
                          山本 里香  岡野 恵美  倉本 崇弘
                          稲森 稔尚  野村 保夫  下野 幸助
                          田中 智也  藤根 正典  小島 智子
                          彦坂 公之  濱井 初男  吉川  新
                          木津 直樹  田中 祐治  野口  正
                          石田 成生  大久保孝栄  東   豊 
                          山内 道明  杉本 熊野  藤田 宜三
                          後藤 健一  北川 裕之  村林  聡
                          小林 正人  服部 富男  津田 健児  
                          奥野 英介  今井 智広  長田 隆尚
                          舘  直人   日沖 正信   前田 剛志
                          三谷 哲央  中村 進一  青木 謙順
                          中森 博文  前野 和美  水谷  隆
                          山本  勝   山本 教和  西場 信行
                          中川 正美

  欠席委員      なし  

 

出席説明員
【予算議案・予算等関連議案の審査】
   [総務部]
      部長                             嶋田 宜浩
      副部長(行政運営担当             日沖 正人
      副部長(財政運営担当              高間 伸夫
      財政課長                         下村 卓矢
   [雇用経済部]
      部長                       村上  亘
      局長                       河口 瑞子
      副部長                      山岡 哲也
      雇用経済総務課長              森下 宏也
   [県土整備部]
      部長                        水谷 優兆
      副部長(企画総務担当)            喜多 正幸
      県土整備総務課長               梅村 和弘
   [企業庁]
      庁長                        山神 秀次
      副庁長                      小野 美治
      財務管理課長                  池田 三貴次
【決算認定議案の審査】
   [企業庁]
      庁長                        山神 秀次
      副庁長                       小野 美治
      次長                        森  高広
      企業総務課長                  米川 幸志
      財務管理課長                  池田 三貴次
      水道事業課長                  東海  明
      工業用水道事業課長               田中 利幸
      電気事業課長                   小森 健児
      機電管理監                    和田 泰史
      RDF発電監                    宮下 孝治
                                        その他関係職員
   [病院事業庁]
      庁長                        長谷川 耕一
      副庁長                      加藤 和浩
      参事兼県立病院課長             加太 竜一   
                                        その他関係職員
   [監査委員]
      代表監査委員                  山口 和夫
      事務局長                     水島  徹
      次長                        川添 洋司
      総務・評価課長                  鈴木  修
                                        その他関係職員
参考人  1名
       三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(主任研究員) 
       中田 一良 氏
委員会書記
       議事課     班長  中西 健司
       議事課     主幹  吉川 幸伸
       企画法務課  主査  森岡 佳代
       企画法務課  主査  大森 貴仁
傍聴議員   なし
県政記者   4名
傍 聴 者   2名
議題及び協議事項
1 予算議案・予算等関連議案の審査
 (1)議案第121号「平成29年度三重県一般会計補正予算(第4号)」
 (2)議案第123号「三重県手数料条例の一部を改正する条例案」
 (3)議案第130号「平成28年度三重県水道事業会計未処分利益剰余金の処分について」
 (4)議案第131号「平成28年度三重県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分について」
2 決算認定議案の審査
 (1)認定第1号「平成28年度三重県水道事業決算」
 (2)認定第2号「平成28年度三重県工業用水道事業決算」
 (3)認定第3号「平成28年度三重県電気事業決算」
 (4)認定第4号「平成28年度三重県病院事業決算」
3 参考人からの意見聴取
 (1)国の財政政策の課題と今後の見通しについて
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 予算議案・予算等関連議案の審査
 (1)分科会委員長報告及び質疑、執行部に対する補足質疑

 

○中嶋委員長 最初に、戦略企画雇用経済分科会委員長から分科会における審査等の経過と結果について報告を求めます。

 

○濱井分科会委員長 御報告申し上げます。
 戦略企画雇用経済分科会で詳細審査を分担いたしました議案第121号「平成29年度三重県一般会計補正予算(第4号)」の関係分及び議案第123号「三重県手数料条例の一部を改正する条例案」の関係分につきましては、去る10月4日に分科会を開催し、関係当局の出席を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれも全会一致をもって原案を可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。

 

○中嶋委員長 ただいまの報告に対し御質疑はありますか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで戦略企画雇用経済分科会委員長報告に対する質疑を終了いたします。ありがとうございました。
 次に、戦略企画雇用経済分科会に係る執行部への補足質疑を行いますが、質疑は付託議案に係るものに限定いたしますので御了承願います。
 それでは、御質疑のある方はお願いをいたします。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで戦略企画雇用経済分科会委員長報告及び質疑を終了いたします。
 次に、防災県土整備企業分科会委員長から分科会における審査等の経過と結果について報告を求めます。

 

○野口分科会委員長 御報告申し上げます。
 防災県土整備企業分科会で詳細審査を分担いたしました議案第123号「三重県手数料条例の一部を改正する条例案」の関係分ほか2件につきましては、去る10月6日に分科会を開催し、関係当局の出席を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれも全会一致をもって原案を可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。

 

○中嶋委員長 ただいまの報告に対し御質疑はありませんか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中嶋委員長 なしということで、なければ、これで防災県土整備企業分科会委員長報告に対する質疑を終了いたします。ありがとうございます。
 次に、防災県土整備企業分科会に係る執行部への補足質疑があればお願いします。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで防災県土整備企業分科会委員長報告及び質疑を終了いたします。
 最後に、総務地域連携分科会委員長から分科会における審査等の経過と結果について報告を求めます。

 

○下野分科会委員長 御報告申し上げます。
 総務地域連携分科会で詳細審査を分担いたしました議案第121号「平成29年度三重県一般会計補正予算(第4号)」の関係分につきましては、去る10月10日に分科会を開催し、関係当局の出席を求め、慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって原案を可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。

 

○中嶋委員長 ただいまの報告に対し御質疑はありませんか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで総務地域連携分科会委員長報告に対する質疑を終了いたします。
 次に、総務地域連携分科会に係る執行部への補足質疑があればお願いいたします。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中嶋委員長 なければ、以上で分科会委員長報告及びこれに対する質疑を終了いたします。
 (2)全体的を通しての質疑      なし
 (3)委員間討議              なし
 (4)討論                     なし
 (5)採決              議案第121号、議案第123号、議案第130号及び議案第131号
                    起立(全員)      可決
 (6)委員長報告で処理経過を求める事項  なし

 

                   〔当局 退出〕

 

                   (休  憩)
2 決算認定議案の審査
 (1)分科会委員長報告及び質疑、執行部に対する補足質疑

 

○中嶋委員長 最初に、健康福祉病院分科会委員長から分科会における審査の経過と結果について報告を求めます。

 

○奥野分科会委員長 御報告申し上げます。
 健康福祉病院分科会で詳細審査を分担いたしました認定第4号「平成28年度三重県病院事業決算」につきましては、去る10月6日に分科会を開催し、関係当局の出席を求め、慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって原案を認定すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。

 

○中嶋委員長 ただいまの報告に対し御質疑はありませんか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで健康福祉病院分科会委員長報告に対する質疑を終わります。
 次に、健康福祉病院分科会に係る執行部への補足質疑があればお願いをいたします。なお、質疑は付託議案に係るものに限定いたしますので御了承を願います。
 何かございますでしょうか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで健康福祉病院分科会委員長報告及び質疑を終わります。
 次に、防災県土整備企業分科会委員長から分科会における審査等の経過と結果について報告を求めます。

 

○野口分科会委員長 御報告申し上げます。
 防災県土整備企業分科会で詳細審査を分担いたしました認定第1号「平成28年度三重県水道事業決算」ほか2件につきましては、去る10月6日に分科会を開催し、関係当局の出席を求め、慎重に審査をいたしました結果、いずれも全会一致をもって原案を認定すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。

 

○中嶋委員長 ただいまの報告に対し御質疑はありませんか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで防災県土整備企業分科会委員長報告に対する質疑を終了いたします。
 次に、防災県土整備企業分科会に係る執行部への補足質疑があればお願いいたします。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 なければ、これで防災県土整備企業分科会委員長報告及び質疑を終了いたします。
 (2)全体的を通しての質疑      なし
 (3)委員間討議               なし
 (4)討論          

 

○中嶋委員長 討論のある方はお願いをいたします。

 

○岡野委員 私ども日本共産党は認定第1号の「平成28年度三重県水道事業決算」と第2号の「平成28年度三重県工業用水道事業決算」、第3号の「平成28年度三重県電気事業決算」に反対をいたします。認定第4号「三重県病院事業決算」については賛成をいたします。
 理由につきましては、一生懸命努力をしていただいているということは一定評価できるわけですけれども、本質的な問題に係る各事業会計の問題点があることや、一般会計への貸し付けが行われていることなどの事情もありまして、これについて私たちは理解できないということで反対を表明させていただきます。

 

○中嶋委員長 ほかに討論はございますか。

 

○稲森委員 私は、認定第3号「平成28年度三重県電気事業決算」については反対をしたいと思います。特に、RDF焼却・発電事業については初期の政策目的を達していない事業でありますので、その点については反対をしておきたいと思います。
 以上です。

 

○中嶋委員長 ほかに討論はございますでしょうか。

 

          〔「なし」と呼ぶ者あり〕

 

○中嶋委員長 討論、以上はなしとして討論を終結いたします。
 (5)採決     認定第4号                起立(全員)    可決
             認定第1号、認定第2号     起立(多数)    可決
             認定第3号                起立(多数)    可決
 (6)委員長報告で処理経過を求める事項  なし

 

                   〔当局 退出〕

 

                   (休  憩)
3 参考人からの意見聴取
 (1)国の財政政策の課題と今後の見通しについて
   ア 参考人意見陳述

 

○中嶋委員長 それでは、御意見の聞き取りを行います。
 中田様、よろしくお願いをいたします。

 

○中田参考人 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの中田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は和歌山県の出身で新宮市なんですけれども、生まれてから、ゼロ歳から1歳までは三重県の紀宝町に住んでおりまして、三重県とはこれまでも、生まれてからといいますか、よく帰省のときもここ三重県の特急南紀で帰省をしておりまして、いろいろと、こういう機会をいただいて感謝しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが、資料に基づいて説明をさせていただきたいと思います。
 日本の財政の現状ということですけれども、日本の政府としては財政健全化の目標としましてプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化というのを目指しております。皆様御存じとは思いますけれども、一応、最初の資料1ページでプライマリーバランスとはどういうものかというものについて確認をいたしますと、基礎的財政収支といいますのは政策の実施に必要な財源を借り入れに依存せずにどれだけ調達できているかというものを示すものでございます。
 歳入としては、国債費、公債金収入は含まない形で税収とその他収入から、歳出のほうは歳出全体ではなくて、国債費、元利払いについて除いたものを歳出というふうに、基礎的財政収支対象経費というふうにいたしまして、税収とその他収入から基礎的財政収支対象経費を引いたものが基礎的財政収支ということになります。国の一般会計でいいますと、2017年の予算では11兆円の赤字というふうになっております。
 この基礎的財政収支のこれまでの推移を見ましたのが資料の2ページでございます。1994年度以降、1990年代以降についての動きを見てみますと、2000年代の半ばには財政健全化という政策がとられたということもありまして、一時期、基礎的財政収支の赤字幅がかなり縮小しました。その後、リーマン・ショックがあって、景気が大幅に悪化したということもございまして、赤字幅が大幅に拡大したと。2009年度に随分赤字幅が拡大したということなんですが、それ以降、特に2012年度以降は順調に赤字幅が縮小してきているということになっております。
 その要因としましては、1つはやっぱり景気回復が続いていること、もう1点が、2014年度に消費税率を引き上げたということがこの基礎的財政収支の改善の主な要因です。
 基礎的財政収支を国と地方とに分けて見てみますと、基本的にやっぱり国の赤字が続いているということですので、国のこの赤字を削減していくことが基礎的財政収支の均衡につながるということになります。
 資料の3ページでこの基礎的財政収支の改善要因について見ております。基本的にこの収支といいますのは、歳出と歳入、両面の影響を受けることになります。近年についての基礎的財政収支の改善要因が歳出の要因なのか、あるいは歳入の要因なのかというのを見たのが資料の3ページの左側のグラフですけれども、こちらはGDP比で見ておりますが、近年について言いますと、先ほども少し触れましたが、歳入のほうの要因がやっぱり大きく改善してきていて、それが基礎的財政収支の改善につながっているというふうに言うことができます。その歳入の改善というのは、基本的に税収が増えたということなんですが、2012年度から2015年度にかけて、ここは国と地方を合わせた税収が17兆円ぐらい増加しております。その半分以上が、消費税収が増えたということですので、消費税率を2014年度に引き上げたことによって税収が増えたということが基礎的財政収支の改善につながっているというふうに言うことができるかと思います。
 それ以外にも、景気回復が続いているということですので、企業の利益も増加が続いている、そういったことを受けまして法人税を中心とする企業部門の直接税も増加しておりますし、所得税等の家計部門の直接税も増えているということで、最近の基礎的財政収支の改善というのは、主に税収が増えてきたということが大きな要因です。
 次に、税収の動向を国と地方ということで分けて見てみましたのが資料の4ページでございます。
 こちらはGDP比で動向を見ておりますけれども、この資料の4ページの図表をごらんいただきますと、国と地方の税収というものを見たときに、地方の税収というのは非常に安定して推移しているということが見てとれます。これには、例えば地方の税収でいいますと固定資産税というのが金額としては割と大きいんですけれども、市町村の税収ということになりますが、こちらは割と安定して動いているというようなこともありまして、地方のほうは安定していると。ただ一方で、国のほうの税収が大きく変動しているということになっておりまして、国の場合はこの法人税収とやはり景気に敏感に反映する税収もありますので、国のほうが変動が大きいということになっております。
 基礎的財政収支は、最近は改善しているとはいいましても、赤字が続いているという状況には変わりはありません。ということは、毎年毎年債務残高、借金が増え続けているというような状況です。
 資料の5ページをごらんいただきますと、ここでは国と地方の債務残高の動向ということで、この20年ぐらいの動向を見ておりますが、一時期、ちょうど先ほど少し触れました2000年代の半ば、2005年、2006年あたりは歳出改革というようなことも行われていましたので、債務残高の増加が一時的にとまった時期もありましたけれども、基本的には債務残高というのは増加が続いているということでございます。
 それを、経済の規模が大きくなればなるほど借金も増えていくだろうというようなことで、GDP比で見たものがこの折れ線グラフでして、右側のほうが目盛りになりますけれども、債務残高が増えておりますので、GDP比で見ても上昇が続いていると。ただ最近は、GDP比の上昇のペースというのがやや緩やかになってきているというのは、言ってみれば名目GDPの伸びが近年は高かったというようなこともありまして、債務残高が増えてはいるもののGDP比で見るとその上昇のペースは緩やかになっている。政府はこの債務残高のGDP比、今はまだ上昇していますけれども、将来的にはこれを引き下げていくということも目指しております。
 今ごらんいただきましたように、日本の債務残高はずっと増え続けているんですが、これを国際的に見るとどういう水準なのかというのを見ましたのが資料の6ページでございます。よく言われておりますが、日本は先進国の中で借金、債務残高のGDP比が一番高いというようなことが言われますけれども、実際OECDの先進国が多く含まれておりますけれども、その中では債務残高のGDP比というのが非常に高くなっております。
 若干先ほどの資料5ページと6ページで数字が違いますのは、債務残高として数えるものの対象がこの資料6ページのOECDのほうが国際比較の関係もあって借入金等も含めているというようなところもありますが、若干債務の対象が違うということもありまして5ページと6ページの数字が異なっておりますが、基本的にはこの債務残高は日本の場合、国際的に見ると高い、債務残高のGDP比は非常に高い水準にあると。
 そのときに、日本の場合は借金も多いけれども、日本の政府は金融資産もたくさん持っている、なので、債務も多いけれども資産も多いので、その債務から資産を引いたネットで議論をしないといけないと、こういう意見を述べる方もいらっしゃいます。ですので、一応この資料6ページにはネット、金融資産を差し引いたものというものも掲げておりますが、確かにネットで見ますと、OECDの中ではトップではないようになります。ギリシャとかイタリアと比べるとネットのほうは低くなっている。ただし、それでも、1番ではないけれども3番ぐらいということで、やっぱり国際的に見ると高いというようなことは言えるというふうに思いますし、ここではある程度政府が持っている資産、金融資産といった場合に年金の積立金なんかもカウントされておりますが、年金の積立金というのはいずれ取り崩されるものというふうなものであるということも一応考慮しておかないといけないというふうに思います。
 こういうふうに債務残高というのがずっと増えてきているということになりますと、心配されるのが、利払い費がすごく増えているんじゃないかというふうなことで、通常、借入残高がどんどん増えていくということは、普通に考えますと借入金、それに伴う利払い費も増えていくだろうということなんですが、資料の7ページを見ていただきますと、実はそんなに利払い費というのは増えていないというような状況になっております。特にこの2000年代後半以降は、国と地方を合わせた利払い費がほぼ10兆円程度でずっと横ばいが続いているというような状況でして、債務残高がどんどん増えているのに利払い費がほとんど横ばいということは、これはやはり金利が低下しているということがその主な要因になっているということです。
 特に、近年は緩和的な金融政策がとられているというようなこともありまして、金利がかなり低下をしております。資料7ページの図表で言いますと2015年度まででとまっておりますが、足元で言いますと、特にこの10年物国債利回りで言いますとほとんどゼロに近いような状況にまで下がっておりまして、そういう意味で言いますと、債務残高が増えていても利払い負担は随分軽減されているというふうなことが言えると思います。
 さらに、債務残高という点で言いますと、誰が保有しているかということを見ましたのが資料の8ページですが、先ほどの日本銀行の金融政策、緩和的な政策ということと関係があるんですけれども、国債を誰が最終的に保有しているかというものを国際比較したのが資料の8ページでございますが、日本の場合は主な先進国と比較をいたしますと、海外の保有比率が低いと。日本の国債は逆に言うと、ほとんどが国内の人が保有しているということがまず特徴としてあると。国内の人が保有しているわけですが、その国内で保有しているものは、そのかなりの部分を中央銀行、要は日本で言いますと日本銀行が保有していると。日本銀行の場合は物価上昇率を2%に引き上げるということを目指して量的・質的金融緩和を行っていると。物価上昇率を2%に引き上げるために国債を買っているというようなことが今行われていますので、中央銀行の保有比率が最近で言いますと4割ぐらいにまで上昇してきているというような状況になっております。
 以上が国と地方の基礎的財政収支と債務残高の動向についてなんですが、次に、国の一般会計になりますが、2016年度までの動向ということで少し詳しく見ていきたいと思いますが、先ほども言いましたように基礎的財政収支は、地方のほうはほとんど均衡しておりますが、国のほうが赤字になっていると。それで、最初の基礎的財政収支の確認のところでも、一般会計で言いますと11兆円ぐらい、2017年度で赤字となっているということなんですが、国の歳出面について、一般会計の歳出について見てみますと、左側のほうが主な経費別の動向です。これをごらんいただきますと、もう一目瞭然といいますか、この社会保障関係費がずっと増加が続いているということになっております。これはもちろん高齢化を反映したものということでございます。
 それで、この2009年度に社会保障関係費が大きく水準が増えておりますのは、基礎年金の国庫負担割合が2分の1に引き上げられたというようなことで、あるいは子ども手当が導入され、その後も児童手当の拡充という形で支出が続いておりますので、そこで2009年度の水準が大きく上がった後も増え続けているというのは、先ほど言いました高齢化が進展しているということです。
 1990年代半ばぐらいですと、この社会保障関係費と公共事業関係費というのはほとんど同じぐらいの水準だったわけなんですけれども、公共事業関係費については、その後2000年代に歳出削減というようなことも言われましたので、公共事業関係費が減少していきまして、2010年代に入ってからはもうほぼ横ばいというような状況になっております。
 それ以外の規模の大きな経費ということで言いますと、この地方財政関係費、こちらはやはりリーマン・ショック等あったときには水準、規模が大きく拡大するというようなこともありましたけれども、そういった危機対応というものも終わって、やや緩やかに減少してきているというような状況になっております。
 ちなみに、地方の歳出というものも、これは都道府県と市町村を合わせたものですが、それを主な経費別で国と似たような区分で見てみますと、基本的に歳出の動向というのは国と同じような傾向をたどっておりまして、社会保障関係費に当たるような民生費、衛生費、労働費というものを合わせたものは、やはりずっと増加が続いていると。他方で、土木費、公共事業関係費と、国で言いますとそういったところに対応すると思いますが、土木費などは減少してきているというようなことになっております。
 国の歳出で言いますと、社会保障関係費が増えているということが歳出全体の増加の要因になっているわけですが、歳入のほうはどうかといいますと、資料の10ページでございますが、こちらも先ほど最初のほうで申し上げましたように税収が増加してきたということだったんですが、実は昨年度、2016年度につきましては7年ぶりに減少ということになりました。水準が非常に低いというわけではなくて、高い中での減少ということですが、所得税、法人税、消費税、いずれもが減少していると。他方で、歳出が拡大傾向にある中で税収が減ったということは、当然2016年度につきましては公債金収入、公債発行額が5年ぶりに増加ということでして、この資料の10ページの右側のグラフで言いますと、一時期、リーマン・ショックのときには、かなり、50兆円を超える国債を発行して、それ以降順調に30兆円台に減少してきておりましたのが、2016年度については経済対策を実施したというようなこともございまして、公債発行額が5年ぶりに増加というような状況です。
 こういった中で、政府はどういった形で財政健全化を進めていこうとしているのかということですが、資料の11ページで、まず2015年に経済・財政再生計画というものを政府のほうはつくっております。そのポイントといいますのは、3つございまして、1つはデフレ脱却・経済再生と。2つ目が歳出改革、3つ目が歳入改革です。基本的に考え方としては、経済再生なくして財政健全化なしということで、やはり基本的にこの経済・財政再生計画の中では経済を再生させて、それが財政健全化につながるというふうに考えているわけです。
 財政健全化目標につきましては、国と地方を合わせた基礎的財政収支について2020年度までに黒字化、その後、債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すということにしておりました。計画期間は2016年度から2020年度の5年計画で、そのうちの最初の3年度を集中改革期間と、ちょうど5年計画の中間年度に当たります来年度、2018年度に目標に向けた進捗状況を評価しましょうという計画が2015年につくられておりました。
 集中改革期間の国の一般歳出の増加額は3年間で1.6兆円、うち社会保障関係費は1.5兆円と。なので、1年当たりで社会保障関係費は大体増加額で言うと5000億円にしようというふうなことで、これまで2016年度、17年度と予算編成が行われてきました。
 この中で、先ほどの3本柱の中で特に歳出改革について御紹介をいたしますと、1つは、公的サービスの産業化、要は民間委託と、あと民間の資金、ノウハウを活用していきましょうというようなこと、これまで公的機関がやっていたところをある程度民間にも参入、参加してもらおうというようなこと。2点目に、インセンティブ改革ということでして、地方自治体における歳出効率化に向けたトップランナー方式の活用ということで、先進的な自治体が達成した経費水準の内容を地方交付税を積算するときに反映させると。要は算出を、効率化を進めたところの自治体を基準にして、地方交付税等の計算についてもそういうものを反映するというようなこと。あるいは、この医療分野におけるインセンティブの活用ということで言いますと、健康づくり、いろんな運動をしたりとか歩くというようなことをした人にはポイントを付与しましょうというようなことで、そうすると各個人がよりこの健康づくりとか、あるいは病気の予防に対する関心が高まる、そういったことも進めていきましょうと。さらに、3つ目として、この公共サービスのイノベーションということで、基本的にはこの「見える化」です、経費等も含めた「見える化」を進めると。あるいは、ITを活用して業務の簡素化・効率化、あるいは優良事例を全国に展開していくというような、こういったものが歳出改革の中に含まれております。ですので、ここで言う歳出改革というのは、一律に歳出を削減しましょうというよりは、効率化によって歳出の増え方を抑制していきましょうというような考え方だというふうに私は理解をしております。
 これが2015年にできた経済・財政再生計画の内容ですが、今年ですけれども、骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017)、こちらでどういうことが盛り込まれているかと言いますと、基本的にはこのポイントが働き方改革の推進と人材への投資ということで、人づくり革命というのが、その後でこういう言葉も出てきましたけれども、要は人材投資を通じて生産性を上げていくと。やはり日本は今後高齢化が進む中で成長率が低下していくおそれがあると。それを食いとめて、むしろ引き上げるためにやっぱり生産性向上が必要と。そのために、この人材投資が重要になると。
 その人材投資の一環として、この幼児教育・保育を早期に無償化しますと。あるいは待機児童の解消と。そのための財源をどうするかということについて、この骨太の方針の中では財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用と、このこども保険というものが検討されたりしていますけれども、そういったものも含めて今年中に結論を得ると、この骨太の方針ができたときにはこういうふうにされていました。
 さらに、教育という面で言いますと、この高等教育も含めて社会全体での人材投資の強化についても早急に検討するというようなことが、もともとこの骨太の方針2017で取り上げられていました。
 財政健全化目標につきましても、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化すると。ここは経済・財政再生計画と少し違っているのが、この「同時に」というところが少し目標が変わっていまして、ちょっとアンダーラインがついていないんですけれども、以前は「その後に」というふうになっていたところが「同時に」というふうに変わっておりますが、債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指していくと。そういう意味で言いますと、以前は債務残高のGDP比というのがこの骨太の方針でより重視されるようになったというふうに私は考えております。
 さらに、「見える化」についても推進していきまして、地域間で指標を比較可能にすることによって、より課題認識を共有し行動の変容につなげるということで、特に分野としては地方財政、あるいは社会保障の分野で「見える化」を推進していくと。
 平成30年度の予算編成に当たってということですけれども、最近よく言われておりますEBPMという、証拠に基づく政策立案、日本語で言いますとこういうことになるんですけれども、要は政策効果を評価するときに、より証拠、データ、そういったものに基づいてきちんと評価をしていくようにしましょうということですけれども、そういったことも予算編成の中で反映していくというようなこともこの骨太の方針の中では述べられております。
 さらには、先ほど出てきました人材投資や研究開発投資等も強化していくと。さらに、「見える化」もさらに徹底、拡大していくということと、あとワイズ・スペンディングという、日本語で言いますと賢い支出という訳になるんだろうと思いますが、やはり将来的に効果なりそういったことが確実に期待できるような分野に選択的に支出をしていくと。そういうようなところを推進していきますというようなことが国の財政運営の中で挙げられております。
 具体的に、その次のページで「見える化」の推進というところ、地方行財政等でも「見える化」を推進していきますということになっておりますが、どういった分野で「見える化」が行われるのかというふうに言いますと、社会保障、地方行財政、社会資本整備、文教といった分野を中心に「見える化」が推進されるわけですが、例えば社会保障で言いますと、1人当たりの医療費に地域格差がありますと。次のページに都道府県別の1人当たりの医療費というのがグラフを載せておりますけれども、都道府県別に見てみると、医療費に地域格差がありますので、そういった地域間の差を是正することによって、要は高いところの都道府県を低くしていくと。そういうようなことによっても歳出が、効率化が進むことによって削減、あるいは増加の伸びを抑えることが期待できるということですので、1人当たりの医療費等を「見える化」していくと。
 あるいは、予防・健康づくりについて、一般住民を対象としたインセンティブを推進する自治体等、どういう都道府県がそういうことを地方自治体はやっているかというのを明確にしていくというようなこと。そのほか、地方行財政で言いますと民間委託をどのぐらいやっているか、あるいはクラウド化をどのぐらい実施しているか。クラウド化はセキュリティーという問題はあるのかもしれませんが、ある程度クラウド化を進めることによって、システムの維持費等を軽減することができるということがありますので、そういったクラウド化の取組状況を「見える化」していくというようなこと。
 あるいは、都道府県別の1人当たりの行政コストとその財源内訳についても「見える化」を推進していくと。経年、その1人当たりの行政コストがどういうふうに変化しているのかということをモニタリングすることによって歳出の効率化につなげていくと。
 さらに、社会資本整備で言いますと、地方公共団体が保有する資産の「見える化」を促進していくと。どういう資産を保有しているか、そういうことを「見える化」することによって有効利用や売却の検討に活用していくということです。
 文教について言いますと、自治体別の児童生徒1人当たりの教職員人件費等についても「見える化」していくということで、先進的な自治体の取組についての導入を促していくという、先進事例を展開していくと、そういうことを狙っております。
 「見える化」の例ということで、資料の14ページのところで一人当たり医療費という都道府県別の一人当たり医療費、ここでは都道府県によってやっぱり高齢化の進展が違っておりますので、そういった年齢による影響というものは取り除いておりますけれども、これを見ますと都道府県によって差があると。どちらかといいますと、西のほうがやや高い県が多いのかなということですけれども、これで言いますとちょうど、この全国という矢印があるところの下に三重県というのがありますが、県によって違いが医療費についてありますと。
 さらに、次の、資料の15ページですけれども、介護について、1人当たりの介護給付費、こちらについてもやはり都道府県によって差があると。この介護給付費につきましても、年齢あるいは地域別の単価というようなところで違いが都道府県によってありますので、そういった影響は取り除いた形で比較したものでございますが、低い県と高い県というと、やっぱり3割ぐらいの差が出ているというような状況になっていると。ですので、こういう高い県をできるだけ全国並み、あるいは削減するというようなことが結果的に全体的としても介護給付の歳出の削減につながる可能性があるということで、こういう「見える化」を進めていくというような方針となっております。
 こういうふうな形で、政府は歳出の効率化を図ることによって財政健全化を進めようとしているわけですが、この課題と今後の見通しというところで、私がやっぱり課題と思っておりますのが、国の予算の場合は毎年度のように補正予算が組まれております。もちろん補正予算と言いましても、大きな災害があったときにそういうことに対応するということはやむを得ないことではあるんですが、毎年度のように補正予算が組まれておりまして、さらに当初予算と比較しても、常に歳出額が拡大しているというようなことがもう常態化しております。
 さらに、補正予算で最初に金額が膨れ上がった数年後に当初予算も増えてきているというような状況になっておりまして、この資料16ページの左側のグラフが当初予算と補正予算と決算を比較したものですが、例えば1980年代の後半あたりは、先に補正予算のほうで歳出額が拡大して、その翌年度以降、当初予算が増えてくるというような形で、補正予算が編成されることによってその年度の歳出も拡大はするんですが、それが後年度、その年度以降の歳出額にも影響を与えている可能性があるということだと思います。
 さらに、この16ページの右側のグラフですが、こちらは決算額が当初予算と比較してどのぐらい乖離をしているかというものを見たものでございますが、税収についてはこのゼロより上に来ていると当初予算と比較して、決算の税収が多かったと。要は税収が上振れしたというふうに考えることができます。
 この基礎的財政収支対象経費につきましては、これは増えた場合にマイナスの方向に記しております。この塗りつぶしている部分が常にゼロよりマイナスのほうに出ているということは、先ほども申し上げましたように、当初予算と比べると常に決算額は歳出額が上回っていると。そうは言いましても、税収が増えて上振れしたときにはそれに応じて歳出を増やしてもいいじゃないかという考え方もあるかと思いますので、要はその差し引きした分、税収が増える場合もあります、税収から基礎的財政収支対象経費を、増えたものがどうなっているかというのを見てみますと、先ほど少し触れました2005年度あたりはほぼ均衡化、あるいは税収の、最終的にこの当初予算よりも収支が改善したというようなところもありますが、それ以外の部分はほとんどが悪化していると。要は税収が、特に近年につきましては上振れしているんですけれども、それを上回る歳出拡大をしてしまっていると。結果的に収支が悪くなっているということがありますので、補正予算はやむを得ない場合もありますけれども、それを頻繁にやることによって歳出が拡大し、収支が悪化している要因になっているのではないかというふうに考えております。
 その次に、見通しということでございますが、ここでは内閣府の見通しを掲げておりますが、内閣府は年に2回、中長期試算というものを行っております。今年7月に公表されました資料に基づきますと、経済成長率が高まるケース、経済再生ケースでもベースラインケース、大体通常どおりという日本の平均的に見た場合の実力であるのがベースラインケース、政府が目指す実質経済成長率が2%以上、そこまで行ったのが経済再生ケースですか、そういう場合と2種類のケースについて計算をしておりますが、どちらも2020年度時点では既に黒字化は不可能、不可能といいますか難しいというような状況になっておりまして、ここでの前提は2019年の10月に消費税を上げると。しかもその使い道についてはもともとの予定どおり、多くの部分を財政健全化に充てると。そういうことをやったとしても2020年度の黒字化は難しいですというようなことが内閣府の試算で示されております。それでも経済再生ケースだと一応2025年度には基礎的財政収支は黒字化になると。要は、実質2%、名目3%以上の成長がまず実現できれば、基礎的財政収支は2025年度には黒字化になるということになっているんですけれども、ただ実際に実質2%、名目3%の成長を、毎年度それ以上の成長をしないといけないということですから、このケースを実現するのは非常に難しいというふうに考えられます。
 ですので、経済成長を目指すということは非常に重要なことですし、特にこの内閣府の試算を見ますと、やはり経済成長をすることによって財政健全化が進展するということはそうなんですけれども、ただ一方で、この経済再生ケースを実現するのは非常に難しいということですので、この財政健全化に向けた取組、歳出を抑制するということが歳入を増やす、そういうことになるわけですけれども、そういった取組がやはり必要になっているというふうに考えます。
 ちなみに、資料の、1ページ飛ばしまして19ページに、先ほどの内閣府の試算で消費税率を引き上げた場合にどういうことを前提に置いているかといいますと、8%から10%に消費税率を上げた場合に、税収が何兆円ぐらい増えるかということで、実は消費税1%当たり何兆円なのかというのを前提によってもちょっと変わってはくるんですけれども、大体5兆円の半ばからやや後半ぐらい増えるぐらいだろうということなんですが、消費税率を上げたことによって社会保障経費が少し増える部分というのがあります。それが大体4000億円ぐらい増えるんだろうということですので、大体消費税率を引き上げたことによって税収としては5兆円ぐらい、あるいは5兆円少し増えるぐらい税収が増えると。そのうちの4兆円ぐらいが財政健全化に回るということを前提として、先ほどのこの資料17ページの内閣府の試算は、もともとが社会保障・税一体改革の場合はそういうような枠組みででしたので、それに基づいてしているということですが、もしここの財政健全化に回す部分が減るというようなことになりますと、当然その分だけ財政健全化の時期も遅くなるということになります。
 以上で私の説明は終了いたします。どうもありがとうございました。

  イ 参考人への質問

 

○中嶋委員長 それでは、ただいまの御意見、御説明を受けまして、委員の皆様方から御質問等をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○芳野委員 ありがとうございました。7ページで国と地方の利払い費がおおむね横ばいで推移しているということなんですけれど、ずっと僕は関心を持っているんですが、今、低金利なんで、やはり地方としても自治体としても、大きなプロジェクトをする場合は今が借り時といったらあれですけれども、ここ近年では借りるのにはチャンスなのかと思うと、三重県はそう言いながら、県債残高を増やしたくないので抑制をしているんですけれども、今の低金利の時代なので必要な経費にかかわっては前倒ししてもいいので、県債が多少増えても、今やるべきことは前倒しでやっていくべきじゃないかなと思っているんですが、一方で、トップランナー方式で歳出削減とか言われていますので、その辺、どっちの道を行くのがいいのかなというのを教えていただければと思うんですが。

 

○中田参考人 国の政策としては、確かに今、借り入れがしやすいような状況ですので、だからたくさん借り入れを増やそうということではないんですが、政府の場合は借換債とかそういったものもあります。もともと、先ほども申し上げましたように、毎年度30兆円を超える公債を発行しておりますので、そういった中で30年とか40年とか長い期間の金利もかなり下がっておりますので、国としては発行するときにできるだけ長い年限にしておくと利払い費にメリットがあると、そういうようなことをやってはいます。そういう意味では、ある程度低金利をうまく活用して負担を減らすようなことをしているということですが、ただ一方で債務残高をやはり増やしたくないというところもありますので、特に地方財政については先ほどおっしゃいましたように、トップランナー方式とか一方で歳出削減もしないといけないということもありますし、そこは全体を見て判断をするということになるのではないかというふうに考えます。
○山本(里)委員 ありがとうございます。
 まず、悩ましいことで税収がないとやっていけないわけなんですけれども、お話をいただいた中で、私たちもいつも気になっている10ページのところで国の税収についての消費税に大きく頼っている現状であるとか、それから3ページのところもそのことがちょっと書かれておりますけれども、累進課税ということが税の基本だというふうに私は中学校のときに学習をして、その素敵さに心を打たれてきていましたけれども、今現在においてのこの税収のあり方、またこれが消費税が10%にということの中で、税の基本的なところで累進課税のことをどう考えたらよいのかというのが1つです。
 それから、最後の19ページのところで、この引き上げによる使途のイメージというところで、今の政府が文教費にまたちょっとお金を入れようかと、税収にも消費税収でもってと言っていますけれども、この3年間で文教費は4兆5000億円ぐらい年々減らされていて、またこれで5兆円という中の一部ですよね。県財政の中でも、消費税の3%の増税分が160億円ぐらいとか来たときに、全て福祉財源に使っているわけでもなく、国の財政で言うと2割ぐらいが福祉充実ということで言われていますが、今のと整合性が全然ないわけなんですけれども、今回は文教費ということがクローズアップされていますが、これまでの3%から5%になったときの消費税率引き上げによる社会保障経費の増加というところのこの考え方、そこはこれまでの政府の説明と実際問題は2割しか使っていないということを私たちは聞きますけれども、そのところというのは事実どうなんですか。

 

○中田参考人 まず最初に、累進課税についてなんですが、確かに1990年代、バブルが崩壊して以降、やっぱり景気が低迷して、そういう中で景気を活性化、経済を活性化するためにかなり所得減税をやっています。その結果、日本の場合は累進課税が非常にフラットな形になっておりまして、ほかの先進国と比べましても正直余り税金を払っていない人が多いというような、要は全体的に軽減されてきていて、しかも累進のカーブがかなりフラットになっているというような状況はあります。ということは、高所得者の人が余り負担をしないような形に進められてきたというようなところは、これは特に1990年代、そういうような税収構造のフラット化、2000年の三位一体の改革のときにも所得税の改革が行われまして、それでかなりフラット化してきているという事実はありますので、所得税負担というのが他の先進国と比べても低いというのはあります。
 あと、消費税率を引き上げた場合の社会保障経費の増加というところでよろしいですか。

 

○中嶋委員長 山本里香委員、もうちょっと説明をお願いします。

 

○山本(里)委員 今回は直近のことを、今後のことのイメージ図があって書かれておるわけですけれども、前回の3%増税のときのは社会保障費に回すという話の中の実態はどうだったのかを考えないと、このこともそれと話が続いているとすれば一体化なので、文教費の関係でも今話は出ていますけれども、この3年間4.5兆円ぐらい、年々と、減らしてきたんですよね、だから、そこら辺のところの巻き返しかもしれませんけれども、この、まず消費税増税で社会保障と言っていたことに対することの現実はどうだったのかというのを私としては聞いていますけれども、分析として現実どうなのかというのを。

 

○中田参考人 社会保障の充実で言いますと、どのぐらいどういうことが実際されたのかというのはいろんな分野、やっぱり社会保障の充実という場合に医療とか年金というのがありますので、私も政府の資料に頼るしかないんですけれども、資料の19ページのところに、これまでどういうことをやってきたのかというのが、政府の資料から引用したものでございますが、実施済みの施策ということで右側のところです、1.8兆円ぐらいの充実化をしておりますということになっております。
 これまでは社会保障というのは年金と医療と介護、この3つの分野だけだったんですが、消費税率を8%に引き上げたときに、子ども・子育て支援についても充てるというふうに変わりました。それが子ども・子育て支援では0.7兆円程度、充実化に使われたと。年金、医療・介護については1.1兆円ほど充実が図られたということになっております。
 さらに、10%に引き上げるときには、低所得者向けの施策が中心になってくると思いますけれども、例えば、たしか先ほどの5%から8%になったときにも介護については低所得者の介護保険料を軽減するということが行われておりますが、8%から10%にするときには、さらに低所得者の介護保険料を軽減するということを実施する予定になっているということでございます。
 それから、先ほどの文教費の点についてですけれども、恐らく文教費はどちらかというと今回出てきているような消費税の使途を変えますと。教育を無償化しますというのは、どちらかといいますと直接世帯等に、幼児教育とか保育もそうなのかもしれませんけれども、そういう家計への負担の軽減ということが主に大きくなっているということだと思います。ただ、文教費の中でも高校教育の無償化の部分については文教費というふうな予算になっておりますが、一方で学校教育の人件費等とか、そういったところは削減しているので、文教費が多少減っているというところはあると思いますが、基本的には今の使途を変えるというのは全世代型社会保障という考え方のもとですので、文教費を増加するとかというよりは、社会保障がどちらかというと、今、高齢世帯に偏っているものを若年世帯のところにも、まあ、構成をちょっと変えようということが発想としてあるのではないかというふうに考えております。

 

○山本(里)委員 最終的に読み方としては、この19ページの8%時と10%時で合計の網掛けのあるところの8.16兆円と14兆円の差が、10%になったときの差で、差し引きの分だけのこの5.84兆円というのが次は使われると。そのもう一つ前のところでいくと、3兆円分がこれらの8分の3というのが実質問題で増えたところで、それがこの上の充実分の4つの項目のところの内容になっているはずだということですよね。

 

○中田参考人 ここで言いますと、この差し引きの部分は機械的に8%時(2017年度)と10%時のところから引いたものでして、恐らく単純に考えますとこの5.84%というのは、一応差を問うとこういう形になるんですが、ただ先ほど少し言いました消費税率をカウントするときに、ここでは10%のときには消費税率1%当たり2.8兆円というのを前提にして5%分ということで14兆円になっているんですが、ただ足元、8%時、2017年度時のところで言いますと、多分、1%当たり2.7兆円ぐらいの計算になっているんだと思いますので、若干どういう想定を置くかというところでも違ってくるとは思います。
 なので、5.84%とはなっていますけれども、単純に考えますと消費税1%当たりが2.7兆円であるとすれば2%分増えるということになりますと5.4兆円かもしれないですし、1%当たり2.8兆円と考えると5.6兆円かもしれないと。なので、大体5.5兆円から5.6兆円ぐらいは消費税収が増えると。
 それはそういうことになるんですが、この10%時のところをごらんいただきたいんですけれども、14兆円増えるうちの2.8兆円、要は5分の1、2割ぐらいをもともと社会保障の充実に充てると、これはもう社会保障と税の一体改革のときにそういうことに決まっておりました。それ以外の部分は、政府は安定化というような言い方をしていたと思いますけれども、それが結局、社会保障を要は財源がないまま今配っているような状況だったのを、財源がないところを消費税で多少確保すると。それは社会保障制度の安定化につながるということから恐らく安定化と、はっきりと赤字削減という言葉は使っていなかったと思いますが、安定化につながると。
 繰り返しになりますが、2.8兆円、5%分のうちの1%分は充実に充てますと。残りの4%分は安定化に充てますと。そういうことになっておりまして、今のところは政府の資料によりますと、社会保障の充実について言いますと、ほかの財源、効率化とか重点化による財源も確保した上で1.8兆円ぐらいの充実化を既に行っていると。10兆円のときにですけれども、2.8兆円分充実化に充てると。そのうち8%時で既に1.8兆円ほどは充実に充てていると。そういうことになっているというふうに理解をしております。

 

○山本(里)委員 8%から10%については今の説明でわかりました。5%から8%についてはまだ不明なことありますけれども、また勉強させていただきます。ありがとうございます。

 

○中嶋委員長 ほかに御質問はいかがでしょうか。

 

○奥野委員 プライマリーバランスを考えるよりも、利払いが少ないで今は少々公債費が増えたっていいんじゃないかというような考えで今回2%分の新しい施策を持ってきたんかな、今から次世代のために先行投資をしていくのが大事なんか、プライマリーバランスを抑えていくのが大事なんかというと、今回はプライマリーバランスよりも先行投資のほうが大事やという判断でこういう自民党政権の安倍総理大臣の考えになったんかというと、やっぱりその辺はそうなんでしょうかね。

 

○中田参考人 実際にどういうふうに考えているかというのは、あくまで今推測するしかないわけですけれども、恐らくおっしゃいましたように、そもそもは社会保障制度というのが今はどちらかというと高齢世代に偏っているところをやっぱり全世代型に変えていくというのもありますでしょうし、それから、おっしゃいましたように生産性を引き上げるためには人材投資が必要という意味では、多少プライマリーバランスの黒字化の時期は遅れるかもしれないけれども、おっしゃいましたように先行投資といいますか、そういったところを重視したということではないかというふうに私は考えております。

 

○奥野委員 これからは少々公債費が増えていってもええということになるんかな。金利が上がらないんやというより利払いが少ないんやで、先ほど芳野委員からも言われたんですけれども、県も非常に借金が多くなってくるで予算を何とか抑えよう、抑えようと、経常収支比率も上がってくるということでしているんですけれども、これから何年間かは少々は公債費が増えてもいいんかなというふうには思えるんですけれども。明確な答えはいただけないと思うんですけど、いかがでしょうか。

 

○中田参考人 それが一番財政にとっては危険なことだというふうに思っていまして。確かに今の状況というのは非常に、ある意味でいうと、異常とは言いませんけれども、やっぱり金利がずっとこういうゼロのような状況にあるというのは、今、日本銀行が緩和的な政策をやっているからそういうような状況が生み出されているわけです。確かにおっしゃいましたように、なので、政府も多少この低金利の状況を活用して、例えば長期債を発行して、できるだけ利払いを節約しようというようなことをやっておりますけれども、ただこういう状況がずっと続くかどうかもわかりませんし、それこそアメリカはここ最近少しずつ利上げをしてきています。やっぱり、どうしてもグローバル経済を考えますと、アメリカなりヨーロッパなりも金利を上げていくかもしれないというような状況になったときに、日本だけがそういう切り離された世界、経済状況を維持できるかどうかということを、必ず日本だけがそういう切り分けられた状況のままでいられるかどうかはわからないと思いますし、もう一つ、私の考えとしましては、確かに今の状況を生かして多少債務残高が増えてもいいじゃないかということもわからないではないんですけれども、ただ、そのときに特に、先ほども申し上げましたように、日本の国の場合は常にそういう形で補正予算等で赤字国債を発行して、その結果、歳出がどんどん拡大してきているというのがあります。ですので、確かに本当に危機が起きて、どうしても景気が悪化したので歳出を増やさないといけないというようなときはやむを得ないと思うんですけれども、日本の場合は歳出が一旦拡大してしまうと、なかなか減らすのが難しいというところがありますから、それこそ例えば一時的に債務残高を増やして、その分歳出も拡大しますといったときに、確実にその後、歳出を減らすことができるのかどうかという、財政規律の緩みというふうに言いますけれども、やはり今はおっしゃったように金利が低いので、歳出を拡大してしまいがちになるということが結果的に財政規律の緩みにつながってしまいますので、そこをきちんと将来的に財政規律を維持できるかどうか。恐らく、政府の話を申し上げると、財政規律が維持できていれば債務残高がこういうふうな形でどんどん積み上がっていくというようなことにはなっていなかったんじゃないかというふうに考えます。

 

○吉川委員 中央銀行というか日本銀行の国債の保有残高が非常に多いんですが、アベノミクスのときに年間80兆円とか、最高のときは100兆円ぐらい市場から引き揚げると、国債の値段維持をするという話があるんですが、これは例示に挙がっておる中では約40%と高いんですが、このアベノミクスで積み上がった部分もかなりあると思っとるんで、それがどれぐらいかという話を教えてほしいのと、それから、この39%というのは、どれぐらいまで許容、中央銀行としての信用の話で危険水域とか、どういうリスクの見積もりというか、どういう程度なのか教えてください。

 

○中田参考人 アベノミクスでどのぐらい上昇したのかというのは、データを確認すればわかることであるんですけれども、今は手元にデータがありませんので、ちょっとここでは正確にお答えすることができません。申しわけございません。
 それで、どのぐらいまで持てるか、どのぐらいまで増やせるかということなのかもしれませんけれども、基本的には中央銀行というのは民間金融機関から国債を購入しています。発行したものを引き受けることはできませんので。これまでもかなりの部分を金融機関から買い取っていますので、こういう形になっていると。ただ、よく言われておりますが、そうは言っても民間金融機関はかなりの部分を、国債を日銀に売却していると。ですので、金融機関としては、そうは言ってもいろいろ担保等で国債をある程度確保しておかないといけないという部分がありますので、民間金融機関が売れる国債にも限度があるということになりますので、何%まで行ったら危険かというのとはちょっと別の話になるんですけれども、そもそも日本銀行が国債を保有しようと思っても、ある時点まで行くと誰も売ってくれなくなる状況がいずれ出てくると。もちろん政府がどんどん国債を新たに発行して、それを金融機関がとりあえずは引き取ります。その後、日本銀行に売りますということになるわけですけれども、今の状況ですと、新規の国債の発行額が大体30兆円から40兆円ぐらいで推移していますが、それを上回るペースで日銀がどんどん買い取っていくとすると、民間金融機関が持っている国債がどんどん減っていくことになります。民間金融機関から日本銀行が買っていますので。ただ、逆に言いますと、なので、民間金融機関はどんどん日本銀行に売るわけですけれども、そうは言っても民間金融機関もある程度国債をいろんな点で持っておきたいところもありますので、日本銀行がもう国債を買い取れなくなるというところがいずれ来るんじゃないかということが言われておりますんで、いつまでも、これを例えば何年も、5年、10年というふうに続けることはできないんじゃないかというふうに言われております。

 

○中嶋委員長 そろそろお時間なので短めにお願いします。

 

○吉川委員 済みません、買えなくなるという想定が僕の考えと違ったんです。もう、どんどん今の30兆円、40兆円と現在資金繰りで発行せんならん状況で、国債価格を維持しようと思うと、国債の値段が暴落というのは当然金利が上がるという裏返しですんで、低金利政策を続ける限りどうしても市場から引き揚げやならんニーズがあるんかなと。せやもんで、限度をお伺いしたわけでございます。またいろいろ勉強させてください。ありがとうございました。

 

○中嶋委員長 ありがとうございます。ほかに質問されたい方もみえるかもしれませんが、予定の時刻もちょっと過ぎておりますので、以上とさせていただきたいというふうに思います。
 私のほうから委員会を代表しまして一言御礼を申し上げたいというふうに思います。
 中田様には本当に貴重なお時間をいただきまして大変身になるお話をいただきました。なかなか金融政策のこととかわかりづらいところもあったかもしれませんけれども、多少なりともこれからの予算決算の議論だとか、特に直近の総選挙の議論には生かせる話もあったんではないかなと思っております。またこれからも三重県議会のほうも切磋琢磨してまいりますので、引き続きの御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。中田様、本日は本当にありがとうございました。
 それでは、ここで参考人の方が退室されますので、そのまま皆さん、お待ちくださいませ。
どうもありがとうございました。

 

                   〔参考人 退室〕
 
   ウ 委員間討議   なし
 
〔閉会の宣言〕
三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
予算決算常任委員長
中嶋 年規

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