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令和2年7月13日  差別解消を目指す条例検討調査特別委員会 会議録

資料はこちら

差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)
 

開催年月日   令和2年7月13日(月曜日)午後3時0分~午後5時8分
会議室      601特別委員会室
出席     11名
           委員長    北川 裕之
           副委員長   山崎  博
           委員      石垣 智矢
           委員      小林 貴虎
           委員      小島 智子
           委員      山内 道明
           委員      山本 里香
           委員      稲森 稔尚
           委員      藤田 宜三
           委員      東   豊
           委員      中村 進一
欠席     なし
出席説明員   出席を求めず
参考人      1名
           公益財団法人反差別・人権研究所みえ常務理事兼事務局長 松村 元樹 氏
委員会書記
           議事課     主査 中西 孝朗
           企画法務課  主任 長谷川 智史
傍聴議員     3名
                     杉本 熊野
                     石田 成生
                     津田 健児
県政記者     3名
傍聴者        8名
調査事項
1 参考人からの意見聴取について
2 参考人の出席要求について
3 その他
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 参考人からの意見聴取について
(1)参考人意見陳述

○北川委員長 それでは、参考人からの聞き取りを行います。
 差別に関する総論、新型コロナウイルス感染症に関わる差別、インターネットによる差別や人権侵害等について、御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松村参考人 失礼します。本日、参考人としてお招きをいただきました公益財団法人反差別・人権研究所みえの松村と申します。
 本日、私のほうからは、前回の委員会のほうで御選任をいただきました理由にございますように、感染症差別の問題を中心軸としながら、差別の総論的なお話をということで、様々な調査事例等を用意させていただきました。60分ほどで御報告をさせていただきまして、御質問等を受けるという形とお聞きをしておりますので、できる限り短い時間で報告を申し上げ、質疑応答の時間を取れればというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日配付をいただきました資料に基づいて、報告を進めていきたいと思います。
 今日の報告の全体的な構成でありますけども、いわゆる新型コロナ差別の現状ということで、県内外の報道から引用してまいりましたような内容や、私どもが独自で入手をしております新型コロナ差別の現状につきましての御報告をまず申し上げたいと思います。
 続きまして、三重県に関する新型コロナ差別の現状ということをインターネットの問題も含めてお話しさせていただき、今日の差別の総論というあたりでは、既に皆様も御承知のように土曜日、日曜日と感染者が数日ぶりに出てきてしまったわけでありますけれども、それに基づく既存差別と絡まった非常に悪質な投稿も相次いでいますので、そうしたお話もさせていただきながら、既存差別の調査結果を基にお話をさせていただきまして、後半のほうでは差別解消条例に欠かせない項目ということも含めて、御報告、御提案をさせていただければと思います。
 ふだん講演をさせていただきますと、資料から除いておりますような差別表現を含む内容も、今日は特別委員会ということもありまして、本日の資料には含んでおります。その取扱いにつきましては、ぜひ十分御注意をいただきたいと考えております。
 まず初めに、差別とは何かということの全体的なお話で、あまり時間をおかけすることはできないのですが、私なりに少し整理した内容を簡単に説明申し上げたいと思います。
 人種や皮膚の色、民族、それから国籍、信条、性別、性的指向、性自認、障がいの有無、疾病、職業、年齢、被差別部落出身その他経歴等を理由とした不当な区別、排除、制限または優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し、または行使することを妨げ、または害する目的、または効果を有するものと、活字で起こしますとこうした内容になるかと思っております。
 基本は人種差別の撤廃条約をベースにしながら、これらの内容によって、全ての市民に保障されているはずの権利が侵害されたり、または享受をされていないという、そうした差別に基づく結果が人権侵害というふうな解釈をしてございます。
 また、今回の新型コロナ差別に関しましては、偏見やデマといった言葉も随分用いられてきているわけでございますが、東洋大学の北村教授の編著の中にございます内容を少し引用しまして、偏見とは何か、またステレオタイプとは何かということも簡潔に説明を申し上げたいと思います。
 ステレオタイプというのは、ある社会集団に属する人々に対して、特定の性格や資質を、その人たち全員が持っているように見えたり、信じたりするような認知的傾向を指し示し、偏見というのは、そのステレオタイプに好感や憧憬、嫌悪、軽蔑といった感情を伴ったものというような解釈をしているところでございます。
 こうしたことをベースに、これから差別や偏見という言葉を用いて私のほうから説明を申し上げたいと思います。
 次に、6月26日の特別委員会も、ライブではございませんがホームページを通じて拝聴させていただきまして、委員の皆様からの実態把握の方法などに関しての執行部の方々への御質問等を私なりに聞いておりました。そうした内容を含めて、簡単ではございますが説明を申し上げたいと思います。
 差別という問題がどうした社会領域で発生をしているのかということを私なりに図解で、奥田先生の著書を基にまとめた内容でございます。
 例えば左上のマジョリティの心理面Aという分野でありますが、県民の差別意識という一つの差別領域です。例えば新型コロナウイルス感染者というのは怖い存在だとかいうふうな心理的な考え方ですね。部落出身者とは結婚させたくないとか、障がい者は役に立たないとか、外国人は何をするか分からない。例えばこういうような意識の面に存在する差別の現実領域がAになります。
 その右隣のBは、そうした差別意識が実際の差別として実態的に表れた領域を指し示しております。なので、例えば新型コロナウイルス感染者は怖いという意識が少し拡大解釈をされて、県外ナンバーの車両への嫌がらせにつながるとか、インターネット上の、今日説明しますような行為につながるであるとか、医療従事者に対しての差別的な言動につながるとか、そういった実際の差別行為となって表れる領域がBです。部落出身者と結婚させたくないというAの意識がBの結婚差別に表れるとか、障がい者は役に立たないという意識がBの障がい者雇用に表れるとか、このような形の解釈になっております。
 C の差別事件というのは、Bで発生をしています様々な差別の現実が公に事件化された領域を指し示します。セクハラやパワハラの問題を考えてもお分かりのとおり、つまり実際に起きているB領域の問題の一部が社会的に取り上げられている状態のみでありまして、Cの公にこれは事件だとか、人権侵害だとか、パワハラだとかいうふうに認識をされています問題というのは、ほんの氷山の一角だというふうに、これまで考えてきているわけであります。
 いわゆる加害者がいる以上、被害者が出てしまうわけでありまして、その右下にありますマイノリティの実態面での被差別の現実といいますと、私は十分に認識をしていませんので、あくまで私が聞き及んだ話ということでお聞きいただければと思うんですけれども、つまりは罹患者家族が新型コロナウイルス感染症に関係する差別やデマや嫌がらせによってふるさとを追われたとか、現実にそういった問題が発生した領域はDに該当するわけです。
 つまり、差別を受けたりすることによって、被差別当事者の生活の様々な場面に影響が及んでいる領域になります。部落問題でいけば、先ほど説明したように結婚差別の問題も、Dでいけば名字を変えることを余儀なくされたとか、ふるさとを出て部落出身であるということの、つまり痕跡を消すということで結婚が認められるとか、そうした実際の被差別当事者に表れる差別の現実がDです。
 最後はE領域でありまして、つまり心理面におけるマイノリティーの被差別の現実も、差別被害として受け止めていく必要があると思います。例えば、私が日本テレビにこの関係で出演させていただいたときに、同じその番組で出演されたお笑い芸人の方なんかが、自分は新型コロナウイルスに感染した結果、一生差別を受けるかもしれないというふうに思わされるような領域ですね。つまり差別を受けたことによって諦めさせられたり、不安を強いられたり、絶望したりというような、被差別の側に及ぶ心理面の被害です。これはパワハラやセクハラやその他問題にも該当するという。
 こうした領域で新型コロナ差別や既存差別の問題を捉えていく必要があるのではないかということを私なりに整理してございます。
 このあたりに関しては、少し前半の部分でありますので、時間があればまた報告を申し上げたいというふうに思いますので、先に進めていきたいと思います。
 続いて、今日の本題であります新型コロナ差別の主な被害者ということで、私どもで紙面やインターネットを含め、差別事例というふうに判断するものを収集してきた結果、主にこの八つの属性の人たちが差別を受けている被害者であるということが整理できるかと思います。
 感染者、罹患者をはじめ、その家族に向けられる問題や、医療従事者や運送業者などの3以降のいわゆる感染者ではない人たちに向けられる差別も非常に深刻な状況にあるということが、報道やインターネット含め見えてまいりました。
 ここでも新型コロナ差別というものを、私がどういうふうに解釈して、御説明申し上げているかということを少し整理しておきたいと思います。
 直接差別と書いてございますのは、つまり新型コロナウイルスの罹患者に対しての不当な区別や排除、制限及び攻撃、脅迫や侮辱、これらの行為の助長、誘発、扇動に関する言動だというふうに整理をしてございます。
 つまり罹患者に向けられる差別を直接差別、そして、その下の関連差別というのが、罹患者以外ですね。罹患していない人たちに、いわば罹患している疑いがかけられた人たちに向けられる差別を関連差別というふうに呼んでございます。これはハンセン病問題をベースにした分類の仕方を採用しています。
 そして、間接差別というのは、あまり取り上げられていませんが、つまり経済的、文化的、社会的に日常的に不利な状況を強いられているマイノリティーの人たちが、この感染症拡大の影響が集中的に厳しく反映している状態と、画一的な被害や影響の捉え方による画一的な対策によって、マイノリティーにもたらされるマジョリティーとの格差の問題というのを間接差別というふうに捉えています。
 これもまた、今日、もし御質問でお受けできれば説明をしていければというふうに考えております。
 それでは、事例は非常に多くございますが、今日報告をさせていただきます時間内で御報告申し上げたいと思います。
 感染者、いわゆる罹患者に向けられた差別というのがどのように起きてきたのかというふうなことで、まず、クルーズ船の乗船後、医療を受けられて回復された方々に対する差別です。「近所を歩いてウイルスをまき散らしている」というふうなうわさを流されたんだと。そして、二つ目には、非常に全国的にも取り上げられてきましたが、ウイルス感染の陽性の判明後に上京して、バスで移動したということで、その方に対する「コロナ女」や「テロリスト」、「日本から追放」というような投稿がSNSを中心に相次ぎました。そして、途中申し上げましたように、新型コロナウイルスに感染したお笑い芸人の方が、「お前は一生コロナ病棟から出るな」、「死ね」、こうしたSNSのダイレクトメッセージが送られ、自分はもう一生差別を受けるかもしれないというふうな心理的差別を背負わされたということでございます。
 次に、感染者の家族等についてです。「おまえの子どもはコロナだから出ていけ。地元で広がったらおまえの子どものせいだ」というふうな嫌がらせの電話を受けられた人、ガソリンスタンドで給油後にその店の店長から電話があり、できれば給油をしに来ないでほしいという旨のことを言われたんだというふうな話を直接聞かせていただきました。
 そして、医療従事者の方々やその関係者も差別を受けています。夜勤をされた後に、タクシーを利用しようとしたら、医療従事者ということで拒否をされる。そして、プライベートでお子さんを連れて人けの少ない公園に行ったにも関わらず、勤め先の病院のことを言われた挙げ句、「自粛しろ」というふうなことを言われたと。引っ越し業者から拒否をされたり、地元の住民からは「おまえのせいで感染が広がるだろう」と言われたり、また、保育園からは「敷地内に入らないでください」というふうなことを医療従事者が言われているということも、各紙で取り上げられてございました。
 また、その家族も差別の対象とされています。肺炎で死亡された罹患者の遺族が「おまえも感染者か」というふうに聞かれて、職場で人に避けられる、学童へ行くと、子どもが他の子どもとは別の部屋で1人で遊ばされていたり、子どもが感染しているかもしれないということで、保育園から通園を拒否される、医療関係者の子どもということで、他の子どもからのいじめに遭ったり、医療従事者のパートナーが勤務先の会社から出社を拒否される、このような問題も生じてございます。
 運送業者に係る差別も非常に深刻でございまして、長距離運転手が歯科医で診療を拒否されたという問題は福島第一原子力発電所事故後の福島県民を襲った差別とまさに同じような様相を見せておりますし、子どもの通う小学校やパートナーの勤務先で長距離運転手の家族との接触を避けるように指示が出たということ、それから、パートナーの親から、あなたは危ないから帰ってこなくていいんだと、「しばらくトラックで寝泊まりしてくれ」というふうに言われていたり、配達先では、配達先の方から、あんたコロナ大丈夫かと、汚いからそこに置いといてくれというふうなことを言われているような被害が明らかになってきています。
 また、これまでも感染の疑いをかけられた人たちというのはたくさんございますけれども、子どもの引っ越しの手伝いに行って、万全の対策を講じたにも関わらず、その後、夫が職場で差別や中傷を受け、退職に追い込まれたという事例、北海道で一時非常に罹患者が増えたという状況もございまして、そこから戻った社員に対して、俺に2週間は近づくなということや、擦れ違うときに露骨に嫌そうな顔をする人たちが出たというような被害も取り上げられています。
 また、三重県内でも発生しましたが、他県ナンバーを所有しているという理由での、所有者が怒鳴られた、また、車を蹴られるなどの被害に遭う、このような問題も生じています。
 感染者が出た職場や学校等への差別等も深刻です。学生の感染を公表した大学に、「殺す」、「火をつける」、こうした脅迫まがいの電話がある。感染者が出た学校の関係者が「コロナ」と呼ばれる。保護者が感染したことを受け、子どもが通う塾で、他の学校の児童から「コロナ小の隣に座りたくない」、こうしたことを言われる。感染者が出た地域の小学校に通う子どもが「コロナーマン」と呼ばれ、「あの地域に住んでいる人とは話したら駄目」、このようなことを言われているという被害も報告されてございます。
 中国にルーツのある人たちに向けられる差別も深刻でございまして、横浜市と県外でございますが、中華料理店への非常に悪質な差別投稿の手紙、それから、香川県内の小学校に向けても、はがきで「中国人を親に持つ子どもを登校させるな」というような内容が届けられたという問題も報告をされています。
 これはほんの一部でございまして、私たちのほうでは150ほどの報道を通じた事例も把握をしてございます。
 こうしたことを受けまして、一部内容は今の新型コロナ差別と直接的な関係がないということはないんですけれども、事例ではございませんが、先月の6月2日から11日にかけまして、当方で29市町に向けて、今、見出しにございますように、新型コロナ感染症差別への取組というのをどのように市町が講じているのかということで、アンケートを郵送で行いました。
 督促をしましたけども、一つの町からお送りいただけなかったので、100%にはなってございませんが、96.6%の回収率ということで御覧いただければというふうに思います。
 まず、新型コロナ差別等の相談窓口の設置状況でございますが、新型コロナ差別等に特化した窓口設置が3.6%、一つの自治体です。多くの自治体は既存窓口を活用されているということで約9割、設置していないという自治体が二つ、三重県内でございます。
 そして、新型コロナ差別等への取組ということで、複数回答で聞き取りを行いましたが、ホームページを通じた広報や周知というのが8割、それから広報での周知というのが半分を超えている状況にあり、そのほか、首長による反差別・人権メッセージの発信というのが3割ほどですし、SNSを通じた広報や周知というのが4分の1程度という状況になってございます。これ以降、きっと取組は進んでいると思いますが、6月段階ではこのような結果でございました。
 そして、問3では、新型コロナ差別等の事例集約ということで、実際に今、報告申し上げたような事例を各自治体がきちっと集約しているかどうかということを調査しますと、約3割の自治体が集約しているという回答になり、6割を超える自治体が集約していないという結果になりました。
 それから、ネット上の差別投稿対応ということで、後ほど申し上げますが、インターネット上の差別の問題というのが、26日の特別委員会でも委員のほうから出されていましたように、非常に深刻な状況にある中、そうした差別のいわば投稿のチェックであるとか、通報するなどの取組というのが講じられているかどうかということを確認しましたところ、2割程度しか取り組まれていなくて、75.0%が実施していないという状況でありました。
 そして、前後しますが、先ほどの問3の事例を集約している自治体から、重回答記述で、どのような問題が起きているのかということでアンケートの御協力をいただきました。
 差別を受けたという直接的な相談はないにしても、自治体としてこれは差別につながりかねないというものとしては、感染者の職場や施設、行動履歴を公表してほしいというものや、大型店の駐車場に止めてある潮干狩り用の他府県ナンバーの車のタイヤの空気を抜くなどの対応を取るべきといった意見が市役所に寄せられたということでございます。
 また、市内の学校で中国につながる友達に対してのコロナウイルスという発言が既に出ておりまして、これに関しては、この調査以降もこの研究所のほうにも割と寄せられている。現場での子どもたちによる残念なこういう差別的な発言というのが各地で出てきているということが報告されてきています。
 そして、3月末では、鈴鹿市でありました陸上の件に関しまして、その様子を当日遠くで見ていた子どもに対して、濃厚接触の疑いがあるとか、〇〇選手と握手したというようなデマが保護者の間で広がったということですね。
 それから、先ほど申し上げたように、感染者が出た会社に勤めている方への嫌がらせや、県外ナンバーに乗っているだけでの嫌がらせというのが報告をされています。
 また、皆様もお知りおきの松阪市の中華料理店で従業員が感染しているといったデマがLINEを中心に広がりまして、経済的な損失を受け名誉を毀損されたということで、実際にデマを広げてしまった20代の方が書類送検をされるということになりましたけれども、このような事例も発生しましたし、先ほどの事例とはまた別で、他の自治体でも、県外ナンバー住民への嫌がらせ等が発生しているという状況にございます。
 このようなことが、各自治体が6月の段階で集約されている差別被害等でございます。
 続きまして、ネット上の差別投稿収集ということで、私どもが県とともに取組を進めてきている内容の一つでございます。決してこればかりを専門的にやっているわけではございませんが、今回、新型コロナ差別がインターネット上でも深刻になる中、従来よりも対応する職員数を増やして事例収集に努めたり、通報、または削除要請に努めてきています。できる限り県内に関するものに明確に限定できるものというふうに、まずはその収集事例を規定しました。
 続きまして、特定個人や事業所に関するデマや攻撃、嫌がらせということに関しては、差別ではないという判断で、事例収集の対象外としてございます。
 主に事例収集の対象としているサイトにつきましては、本当はもう少し細かく説明すればいいんですけれども、SNS、ツイッターが中心です。電子掲示板、ですので、「2ちゃんねる」、「5ちゃんねる」、「爆サイ.com」といった内容のものです。ニュースサイトについては「Yahoo!ニュース」のコメントを見ています。Q&Aも「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」などのサイトなんかを対象としてございます。
 そうした差別投稿の主な収集する差別だというふうな基準として、決して完璧なものではないんですけれども、どうした事例を収集しているのかということで活字に起こしますと、このような形のものを現在収集してございます。
 差別を助長、扇動、誘発することを目的に、もしくは結果として差別を招来する可能性がある形をもっての被差別部落の所在地を公開したり、問い合わせるような、また教示するような投稿です。また、被差別部落への土地差別や被差別部落関連の物件忌避につながるような投稿、それから、マイノリティーの身元調査、本人同意なくマイノリティー性のアウティング、それからマイノリティーとの結婚差別や交際時における差別に関する投稿、6番、7番は非常に解釈が広いところでございますが、マイノリティーへの差別や偏見を助長、扇動するようなものや誹謗中傷、攻撃的な投稿としても一部採用をしてございます。
 実際に、三重県に関する差別投稿としまして、SNSや電子掲示板を見てきておりましても、全国的に見れば、SNSのほうがかなり高い比率で中傷やデマ、差別問題も多いというふうな状況にございますが、三重県に関して、昨日、それから土曜日も罹患者が出ましたので、「Yahoo!リアルタイム」を通じて、ツイッターの投稿も注視はしてございましたけれども、やはり三重県は、どうも掲示板上での攻撃的な事例が多いように思います。
 これは電子掲示板の一つの事例でございますけれども、罹患者に対して、つまり罹患したということが、誰もが感染したくないので、いわゆる被害者だというような主張に対し、そうではないんだと、親族一同全員ごみくず、あほ、ぼけ、ごみくずの遺伝子を持っているんだというような投稿ですね。
 それから、県知事が会見の場で御説明をされましたように、罹患者家族宅への投石や落書きがあったというお話を受けて、「ざまあみろ」、「コロナ感染者は間接的に人を殺傷するモンスター」だというような投稿、そのほかにも「人権も糞もあるかいな」、「そのゴミども」というのは罹患者のことでありますけれども、周りの大切な人たちの命が奪われるかもしれない、社会的制裁を下すためにその罹患者の住所や氏名や勤務先を公開すべきだと思わないか、殺人鬼と変わらない人間のくずだというふうな、心ない投稿というのも見受けられました。
 少し枠で消してございますのは、地名が実際に出ているところでございます。つまり罹患者が明らかになってきたことを受けまして、特定の地名から「消えてくれ」、それから「出ていけ」、こうした内容の投稿も行われるようになってまいりました。
 このあたりはツイッターでございますけれども、どこどこでコロナが出た、極刑でいいだろうとか、「バイオテロリスト」だとか、「ほんまカス」だとか、このような本当に心ない投稿も実際にSNS上でも相次いでございます。
 それから、差別の総論ということのお話をいただいたその理由につきましては、既存の差別と相まって、非常に既存の差別が深刻な状況になってきているということも、特徴的な新型コロナ差別の状況ではないかと思います。
 もともと反中国的感情を持った人たちなどが、このような、つまり中国を攻撃するための理由に、新型コロナウイルスへの感染を利用しているのではないかと疑われる状況というのがございます。三重県下の大学に対しては「中国人の巣窟」だということで、こういうのは16年間ネットの状況をチェックしてみましても、割とあったわけでありますけれども、こういうのに絡めて新型コロナ差別を関連させているという深刻な状況が随分見受けられるように思います。
 原文のままで持ってきていますので、少し日本語的に理解しにくいところもあるかもしれませんが、「コロナ感性で」とありますが、「感染で」ということだと思います、日本にいるのは惜しいじゃねえ、早く店をやめて中国に帰ったほうがいいんじゃないか、コロナウイルス感染の中国人というのは早く日本から出ていけという典型的なヘイトスピーチなんかも、ネットの中では従来も行われてきましたが、より深刻な形で生ずるようになってきました。
 その下の、また近くの地名、三重県内の地名でございますが、「どこどこのアホ親子と同類の池沼」というんですけれども、知的障がいという言葉をパソコンで入力しまして変換をしますと、この字が出てきまして、従来の掲示板上でも障がい者をやゆしたりするときに用いられた言葉の一つでございます。こうしたものも幾つか見受けられました。
 その差別の対象は中国にルーツを持つ人たちだけでなく、いわゆる在日コリアンに向けられた差別も極めて深刻だというふうに受け止めています。口頭で申し上げるのは大変心苦しいというか、個人的には非常に嫌なんですが、「撒き散らすなよ!バカチョン」とか、「お前のところのアホ家族も他所からコロナ持ってくるタイプやろな。チョンかお前」というような、こういうワードを用いた投稿というのも、非常に新型コロナウイルス感染症に影響を受けて増えたというのが我々の印象、印象といいますか、実際の件数として表れている状況でございます。
 そのほかにも、部落問題とも関連をしてまいります。どこどこの同和地区はどこだというふうなことは、突然、新型コロナウイルス感染症関連の三重県の掲示板上にこのように出てきて、その下が回答になるわけですけれども、ここだというふうな地名が出てくる。それから、実際に投石があったというふうに言われている地域に関しては、「どこどこのエタみたいに石は投げんなよ」と、つまり投石するような人間というのは被差別部落の人間ではないかというような主張をしたようなものも幾つかありますし、先ほど申し上げましたように、土曜日、日曜日で罹患者が新しく出ましたので、「Yahoo!リアルタイム」や掲示板をチェックしていましたけれども、四つの呪いだとか、またどこどこのえたコロナかというような内容も、資料にはございませんが、先ほどチェックをしましたら、つい先日、実際に三重県内に関する掲示板上で書かれたというような状況であります。
 つまり、感染症差別という問題が、罹患者や家族に向けられるだけではなくて、こうした既存差別と相まって、インターネットの中では非常に深刻に発生をしているというような状況にあるということでございます。
 これは、2019年の1月から3月と、今年、昨年度の1月から3月の統計を比較してみようということで作成したグラフであります。
 下の帯グラフを御覧いただきますと、私たちがチェックをしている様々なサイトでは、大体平均してその年度、部落差別が多いという傾向にあり、続いて外国人差別や障がい者差別と、件数的にもこのような傾向になってきています。もちろんその時々の問題によって、こうした若干の数の変化はございますが、やはり部落差別という問題が非常に多いというのが、ネット掲示板で、三重県に関するものの傾向です。
 しかし、その上にございますように、新型コロナ差別が登場してきてからは、かなり外国人差別というものが触発されてきて20.5%に増えているというのは、先ほど紹介したような状況というのが増えてきたということですね。やはり中国にルーツを持たれる人たちに向けられる差別というのが1月から3月あたりは深刻でしたし、4月以降は、三重県内でも罹患者がどんどん増えてきましたので、既存差別と絡まって、より部落差別という問題が深刻になってきたというのが特徴的な傾向でございます。
 これまではその他という項目で、決して感染者への差別という問題を入れていなかったわけではございませんが、16年間見てきましても、ハンセン病元患者やその家族、そしてHIVの陽性者に向けられる差別というのは、ほぼないといって等しいほどの状況でございました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響によって、それに関する差別という問題が非常に深刻な形で出てまいりましたので、それを件数化しまして、その他から特別取り上げて、このように位置づけたわけであります。
 それから、今年度の4月から5月末までの投稿の分類でございますが、部落差別が30.0%、外国人差別が15.6%、障がい者差別が6.3%、それから、新型コロナ差別というふうに私たちが判断しましたものが107件という状況にございます。その他も非常に増加をしておりまして、これははっきりと言えませんので新型コロナ差別には取り入れていませんが、その他がこれほど多いというのも、何か特徴だというふうに考えていますので、それなりの影響があるのかなというのが現在考えている一つの分析結果です。
 執行部のほうからも報告があったというふうに思いますので、やはり差別の問題の総論的なことということで、つまり今回のような新型コロナ差別というものが、まだまだ未解決な既存差別がベースとなって起きているというふうに私たちは判断をしてございますので、実際の県民意識や冒頭説明しましたような差別の実態というのは、どのような形で起きているのかということも少し説明をしておきたいというふうに思っています。
 部落問題に関しては、昨年度、県のほうが実施をされまして、おおむね4項目ございます。あくまで意識の領域でありますので、差別的な行為や結果に至る問題ではないにしても、実態的な差別につながりかねない県民の意識というのが、どのような状態にあるのかということをまずは簡潔に説明申し上げたいと思います。
 身元調査の肯定というのは、要は御家族に縁談が浮上して、その人が同和地区出身者かどうかということを家族が調べようとしたときの意識を問うものです。県民の約44%がその身元調査を肯定するという意識に及びました。
 子どもが結婚しようとしている相手が同和地区出身者であった場合、あなたはどんな態度を取ると思いますかというのがマル2です。26.4%、4人に1人の県民が、同和地区出身者であれば、子どもの結婚には反対するというような傾向を見せました。
 マル3は校区内に地区のある、つまりその物件自体は同和地区ではないにしても、その物件を含む校区内に同和地区がある物件の場合、あなたはその物件を買いますか、借りますかという質問ですね。値段や環境、間取り、交通の便の全てで条件が整っている物件であっても、校区内に同和地区のある物件である場合、14.1%の県民は忌避するというふうな回答に及びましたし、実際その物件が値段や交通の便、間取り、環境がよくとも、3割の県民はマル4にありますように忌避するという意識が明らかになりました。
 それから、不動産取引につきましては、県土整備部が実施をされています。まず、部落問題に関していきますと、取引物件が部落にあるかどうか、同和地区にあるかどうかという問合せが、2018年度の調査段階で22.6%、三重県内には1230社の業者がございますので、割と高い割合でお客さんや同業者から問合せがある。
 マル2はそうした問合せを含め、つまりその物件が同和地区にある、同和地区を含む校区内にある物件だということを理由に取引が不調になった経験があるかということの調査結果であります。8.1%があるというふうな回答に及びました。
 続いて、マル3は同和地区を理由として取引価格への影響、つまり同和地区だから値段が安いというような価格影響があるのかという問いに対しては、13.2%の業者がある。
 それから、契約締結後、つまり契約が終わって後、お客さんが実際に引っ越しをしようとか、入居をしようとしたときに、その物件が同和地区であったということが発覚した場合、解約をしてほしいという申出があったというのが2.7%。
 マル5は同和地区内外で実勢価格差、つまり立地条件がよく似ている条件であっても、同和地区かどうかでその価格差があるかどうかということに関しては、業者の3割近くが、あるというふうな回答に及んでいます。
 続いて、今年度も私たちのほうで、モニタリングというんですけど、インターネットの様々なサイトを見ている中で発見してきた部落差別投稿というものを少し紹介してまいりたいと思います。
 一番上は、有名な方のスポーツ選手のお名前が入っておりまして、その宅でえった、四つと叫んでやりましたというような内容です。それから、上から4番目あたりなんかは「エッタ」、「部落民」というような言葉を使った内容の投稿であるとかというのが非常に多い傾向にあります。「四つ」とか「えた」とか、こんな言葉を使った投稿というのが、今年度特にひどいように思います。ほかにも「汚い血が流れてる奴ら」だとか、「同和のゴキブリがやりそうな事や」だとか、こうしたことなどが今年度チェックをしています掲示板上で非常に目立ってきている投稿です。
 ほかにも、差別の現実がこの世にある以上、被害者が必ず出てきますので、三重県の伊賀市につきましては、同和地区とされるエリア在住の住民に対しての実態調査も実施をされてございます。725世帯のうち508世帯が実施をしておりまして、有効回答率が約70%です。
 こういうのはこれからも紹介しますけど、障がい者差別を受けている障がい者や外国人差別を受けている外国人などにもきっちりと被害実態を調査するという点では、医療従事者であるとか、罹患者やその家族についても、きちっとどのような差別被害を受けているかどうかということを含めた調査がやはり必要ではないかということと関連してくると思います。
 2017年の調査時、過去5年間で被差別体験があるかどうかということに関しては、約6%の市民、住民があると回答されました。その被差別体験の場面や場所等につきまして、複数回答で調査をされましたところ、交際、結婚のことでというのが各8%弱ですね。それから、市内の職場で差別発言を受けた、差別行為を受けたというのが21.5%です。日常生活でというのは非常に幅広いんですけども、5割近くに及んでいます。
 そして、次のスライドが差別を受けた際の対応ということです。全て説明する時間ももうございませんので。誰にも相談しなかったというのが45%強に及んでいます。
 こうした、つまり同和地区住民も差別を受けていながら、実は公に相談したりとか、反論するなどの対応ができていないという状況の中、新型コロナ差別の罹患者もなかなか声を上げにくい状況にあるのではないかということが推測されます。
 また、前半説明を申し上げてきましたように、声を上げられている多くは、私は罹患していないのに差別を受けたというふうな方々の声で、メディアも含めて多く報じられている状況でございました。自分は罹患者なんだということを公にすることが、深刻な差別を引き受けることになるということへの強烈な不安や回避のために、声を上げられないという状況があるんではないかというふうに考えているところです。
 続いて、障がい者差別の現状です。もう少し急ぎます。
 先ほどの身元調査の肯定のところで、家族に縁談が持ち上がり、自分の家族が相手家族の中に障がい者がいないのかということの調査をしようとしたときの意識を聞いています。56%ほどの県民はやはりそういう身元調査、相手家族に障がい者がいないか、病歴を調べる必要があるというような考え方というのが、ここで出ています。
 子どもの結婚相手が障がい者だった場合、41.7%の県民は反対の意思を示す。
 施設コンフリクトというのは、つまり障がい者の生活支援施設が自分の生活エリアに建てられるとしたときの反対運動をいうんですけれども、13.6%の県民が自分の生活エリアに障がい者の生活支援施設が建てられることに関しての反対の意思表現ですね。
 それから、障がい者であるということを理由に家主が入居拒否を行ったという場合、それを差別かどうかというふうに捉えられるかということの意識でありますが、家主による障がいを理由とする入居拒否を肯定する意識が17%ほどの県民の中で存在しているということが明らかになりました。
 続いて、今年度の三重県内に関する障がい者差別投稿の現状です。
 「ガイジ」という言葉や「キチガイ」という言葉に始まり、「三重県は知的障害物地獄」であるとか、知的障がい者や精神障がい者に対しての差別的な投稿というのが非常に目立ったように思います。
 ほかにも、声を上げられない声をできる限り拾い上げたいということで、私どものほうで、東日本大震災発生の翌年に、三重県内の様々な障がい者団体とともに、防災や減災に向けた政策提言を県知事にやっていこうということで研究会を立ち上げ進めてきましたが、やはり防災や減災を目指す上では、差別という問題を地域社会から解消しない限りは実現し得ないということが各種団体から上がってきた状況でございまして、それをきっちりと明らかに公にするために、特別支援学校にお子さんを在籍させている保護者約1600人に2013年4月1日から11月31日という長期間をかけましてアンケートを実施した結果でございます。
 御協力いただけなかった学校もありましたので、981票と、約1600人中半分よりも少し多い程度でございますが、回答を得ました。その中での差別を受けたことがあるという記載が808票と、7割を超える保護者が過去5年間に差別を体験しているということも分かってきました。
 例えば、役所で学童保育の手続をしようとしたら、こんな子どもを預かるのにどれだけの経費がかかると思うのというふうに断られたという状況。コンサート会場で車椅子利用スペースがないという施設だったので、他のお客さんに少しスペースを空けてくれないかというふうにお願いをしたら、「車椅子の人間が来るな」というふうに言われた。実際、県内の学校で起きたことですけども、運動会で、大きな音に敏感な特性のある子どもですので、イヤーマフをするとかウォークマンなんかを聴かせると落ち着くんですけども、校長先生にそのお願いをしたところ、「そんな遊び道具は許可できない」というふうに言われたんだということ、また、次には、今この公園はなくなっているというふうに聞いているんですけれども、津市内の公園で楽しく遊んでいて、自転車を借りて遊べる公園だったらしく、終わり時間になって、子どもが自転車を自分で返したいという主張でギャーと騒いだときに、そこの管理人の方が「お宅の子、あれなん」、というのは、つまり障がい児なのかということです、「これから断ることがあるから」というふうに利用拒否をほのめかすようなことを言われたんだということですね。
 それから、子どもの特性によっては、歯ぎしりをしてしまうという、不安や緊張、疲れによる影響というのがあるんですけども、まだまだ市民の理解が不十分な状況もございますので、特急電車の中で他の乗客から、その子どもの特性に関して「うるさい」というふうに実際に大きな声で言われたということで、子どもと一緒に席を立って、降車口のほうで立っていたんだと。子どもが歯ぎしりをして他のお客さんからそんなことを言われないようにしていたら涙が出てきたと。そんなお声が非常にたくさん寄せられていました。
 不動産取引に関しても、先ほど紹介したような宅地建物取引に関する人権問題の実態調査では、障がいを理由にした家主による入居拒否というのが15.5%起きているということも分かってまいりました。
 外国人差別に関しては、2019(令和元)年度人権問題に関する三重県民意識調査の結果でございますが、端的に申し上げますけども、身元調査の肯定意識が県民の中で56.0%もある。外国人を理由とする結婚差別意識が約25%も存在している。入居拒否を肯定する意識が約20%、外国人が集住する地域、またその近隣の物件がどれだけ気に入ったとしても約3割の県民が避けると、こうした結果が明らかになっておりますし、外国人の入居拒否という問題では、不動産取引の調査の結果からは約46%が拒否をされていると、このような深刻な問題が明らかになってきています。
 外国人差別投稿に関しては、先ほど説明申し上げましたので割愛をさせていただきますが、「チョン」とかいう言葉を使ったヘイトスピーチまがいの投稿というのが、今年度、非常に増えてきているというのが収集した状況から明らかになってきています。
 また、新型コロナ差別に関連することでございますが、県民意識調査を見ていきますと、マル2の身元調査の肯定意識は障がい者と一緒のようになっていますので55.7%と同様ですけれども、マル3が特に深刻でございまして、つまりHIV陽性者、ハンセン病元患者の家族、それから難病患者を三重県では一くくりにして結婚差別意識を聞いたわけですけれども、67.4%の県民が子どもの結婚に反対するというふうに、非常に厳しくその感染者差別の結果が表れていることも明らかになりました。
 こうした状況を見ていきますと、実際には、冒頭説明しました差別事件に関しては、関係セクションがその事例を把握されていますので、また資料請求をされるということをお勧めしたいと思いますが、過去5年以内で部落差別事象の件数が最も多いという状況にございます。次いで外国人事案、そして、その他の差別事案は非常に少数の報告でありまして、起きていないわけではないんですけれども、事例が上がってこないというのが現在の課題というふうになってございます。
 そもそもでございますが、これ、昨年度の県民意識調査の結果でございますが、3000人の県民を対象に実施をしました人権問題に関する三重県民意識調査、先ほど見ていただいた部落差別や外国人差別のあの結果と同様の項目でございますが、過去5年間に、マイノリティー性を含む、含まないに関わらず、人権侵害を受けた経験があるというふうにお答えになられた県民が11.2%いました。
 しかし、その人権侵害、あらぬうわさを流されたり、ネットで誹謗中傷を受けたりするような様々な被害を受けた三重県民の被害者約11%が、そうした人権侵害の対応に関して、何もせずに我慢したということが、伊賀市が実施した同和地区住民の調査と同じようにして、厳しく泣き寝入りという状況を強いられているということが分かってきたわけでございます。
 こういう、つまりは人権侵害や差別被害を受けたのに声を上げられないという素地が、残念ながら三重県内にはまだあって、実際に罹患者が、またその家族が、差別被害を受けていても、地方自治体を含め、その事例がきっちりと集約され切れていないのではないかということをうかがわせる数字ではないかというふうに考えてございます。
 こうしたことから、課題点としましては、先ほど申し上げているように、既存差別がベースとなって、その既存差別が関連性を持って、新型コロナ差別が機能している状況が見受けられるというふうに判断できると思います。そのため、新型コロナ差別のみへの対策を講じるだけでは問題の本質が解決されないというのが私たちの見立てです。
 そして、過去の教訓がしっかりと生かされていないという状況も深刻です。つまり自粛警察なんかは無らい県運動や戦前の状況にもございましたように、あのような状況が続いてきているというわけでもあります。既存差別問題への取組が不十分であったがゆえに招いてきた問題ではないかというふうに思うわけです。つまり人権セクション以外のセクションの取組というのがまだまだ脆弱で、既存人権条例ではそのことをうたわれてはいるんですけれども、感染症差別の問題の解消に向けた取組というのが人権課、環境生活部以外のセクションでもっとしっかりやられていれば、もう少し県民の中でも残念な事例が出てこないようなことにつながっていたのではないかというようなことを課題として取り上げてございます。
 それから、今回の差別の問題というのは、まさに今までのマイノリティーが被ってきた状況ともうり二つでございまして、差別の厳しさがゆえに差別の現実が非常にねじ伏せられているという状況で、被害事例が上がってきにくいです。マイノリティーがマイノリティーであるということを社会的に打ち明けるということは、差別を受けるかもしれないということを引き受けるということでございまして、私みたいな口達者は話をできるわけでございますけれども、決してこういう人ばかりではなくて、人前でこうした講演を含めできる人間というのは圧倒的に少ないという状況の中、2次被害、3次被害を恐れて、声を上げられない被差別当事者というのが、様々なマイノリティーの中に存在しているという状況が、まさに新型コロナ差別でも明らかになったんではないかというふうに考えてございます。
 そして、既存差別の問題で部落差別が報告件数として多いというお話を少し申し上げましたけども、障がい者差別や外国人差別がもっと起きているにも関わらず、なかなかそれで自治体に報告が上がりにくいということも課題として上げられていくというふうに思いますし、そして、深刻なのが、差別問題等の解決の責任が被害を受けている、つまりマイノリティーに押しつけられているという点も否めません。インターネットの問題も含めて、マイノリティーが傷つきながらネットの問題をチェックしたり、子どもに見せないようにするために何とかできないかという、そんな相談を受けたことがございました。そうした状況がないような、県民意識を醸成することが非常に重要だということです。
 また、権利侵害を受けた人たちがその名誉を回復する仕組みというのも不十分です。裁判であるとかいうことが言われますが、費用や時間が非常にかかって、経済的に不利な環境下に置かれている県民にとっては、とてもそれを実現するというのが不可能な状況にありまして、この仕組みをどうつくるかということもこれからの大きな課題です。
 差別はいけないという認識は一定程度広がっていますが、差別行為に歯止めをかけるということには至っていないという課題、そして、現実把握そのものが不十分だというふうに考えておりますので、それによって、啓発や教育の質と量というのが早期に差別解消に寄与するほどの状況にはないのではないかということ、既存人権条例に関しましては、差別の未然防止や規制という点に関しての効果をなし得ていないというふうに、現在、課題として整理をしてございます。
 こうしたことから、差別解消条例というものを制定するに当たって、こういうことが欠かせないのではないかということで、幾つか項目を準備してまいりました。
 1点目は差別の禁止、また、その禁止をするに当たって、どうした差別を禁止するのかということの定義規定というのが必要になってくると思います。
 2点目につきましては、差別被害相談と救済規定です。
 3点目に関しては、既存条例にもございますが、教育や啓発の規定です。これも市町調査の結果を見ていただいたらお分かりのとおり、まだまだ十分でないという状況で、我々が今回やった調査だけではなくて、差別解消3法、国のほうでつくられた3法に基づく取組も、やはり非常に温度差といいますか、濃淡がはっきりと出てきてしまっていて、やっていないところは全くやっていないという状況にございますので、それをどう具体化していくかということです。
 4点目は実態調査規定であります。民の人権意識をはかる調査の実施というのは引き続きやりつつも、例えば医療保健部が感染症問題に特化した県民の人権意識をはかる調査をすべきだというふうに考えています。
 つまりは、ハンセン病問題とかHIVの問題は、昨年度、人権課が実施をしました県民意識調査の中でも二、三項目ぐらいしかなくて、部落問題が圧倒的で、障がい者問題やその他の項目がちょびちょびっと、こういう状況にありましたので、障がい福祉課が障がい者問題に特化した県民の差別意識をはかる調査を実施するとか、ダイバーシティ社会推進課が外国人問題やLGBTに関する県民意識調査を実施するなど、関係セクションがこうした新型コロナ問題の発生に関わらず、そもそもそのような形できちっとした調査が実施できれば、もっと正確に県民の人権意識がはかれるのではないかという調査を実施できていけるような条例の設計はできないのかということですね。
 それから、マイノリティーへの被害事実の収集、差別事件調査、インターネットモニタリングも県が実施をされていますので、全市町に広げるような形を取れないかということ、そして、調査権限、つまり事件が起きたときの調査権限や段階的な差別是正措置というようなことも視野に、実態調査規定が必要ではないかというふうに思います。
 それから、そうしたことを具体化していくのは推進計画やガイドラインでございますし、6に関しましては、障害者差別解消支援地域協議会がございますように、県行政だけでこれは差別だというふうに判断するとかというのは非常に抑圧的といいますか、それこそ表現規制の問題なんかも出てきてしまう点もあるんじゃないかというふうに思いますと、第三者、有識者なんかを交えた審議会で判断していくようなことなんかを含めた審議会の設置が理想的ではないかというふうに思います。
 そのような形が、県の障がい福祉課が持たれているような障害者差別解消支援地域協議会の持っている体制でございますので、そのような形で、これは差別に当たるのかどうかということや段階的に差別を是正する措置を取るための決定機関として、審議会が機能するような形というのは理想的だと思います。
 また、県や県民、市町や事業者の責務、そして連携規定というもので、既存条例には事業者の責務などが入っていませんので、そのあたりを盛り込んだ形の条例がよいんではないかということ等を考えてございます。
 そのほか、例えば、部落差別解消条例が和歌山県で施行されましたけれども、これは部落差別に特化をしていますが、こうしたことも他の包括的な差別解消条例に何か参考になるような形の条文だというふうにも思いますし、東京都の国立市なんかでは、まさに包括的な形を持った人権尊重条例がつくられていますので、そうしたこともぜひ参考にされることがよいのではないかということで、少し御紹介をさせていただきます。
 そして、もう時間も押していますので、救済規定に関しましてでありますが、ちょうど群馬県のほうで山本知事がSNS等の中傷被害の救済規定に関してのことをマスコミのほうで取り上げられていました。
 やはり相談というのはワンストップで行うような機能を持つべきだというふうに思いますし、差別問題の解決というのを一体どこに設定するのかということなんかも協議会のほうで決定していくようなことであるとか、弁護士費用が非常にかかりますから、三重県は1回無料という形をしいておりますけれども、それ以降も何か補助するような体制をつくるとか、裁判費用も何か支援するような形が取れないかとか、こういうような形の救済規定なんかもより詳細に推進計画かガイドラインに入れていくことが理想的ではないかというふうに思います。
 以上、時間となりましたので、私からの報告を終えたいというふうに思います。ありがとうございました。

○北川委員長 松村参考人、説明ありがとうございました。限られた時間ですので、大変内容の濃いお話をいただきましたし、また、言いにくいお話も含めてお話をいただきましたので恐縮でございます。
 1時間程度経過をしておりますので、質疑応答に入る前に、まさに感染症対策ということで、換気のために5分間休憩をいたしたいと思います。
 暫時休憩いたします。
 
(休  憩)
 
(2)参考人への質疑

○北川委員長 それでは、先ほどの御説明を受けまして、委員の皆様から御質疑等をお願いいたします。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は挙手により委員長の許可を得てから御発言をいただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。また、委員に対しては質疑をすることができませんので、その点も併せて御了承願います。
 それでは、御質疑がありましたらお願いをいたします。

○小島委員 松村参考人、ありがとうございました。
 後から時間があればというふうにおっしゃったところで1点お聞かせいただきたいと思いますが。
 新型コロナウイルス感染症に関わっての差別を三つの差別に分類して御説明いただきました。いろんな属性の中で、被差別側にある人たちが、新型コロナウイルス感染症の中でより厳しいという意味だと思いますけれども、間接差別のところで、マイノリティーとマジョリティーの格差のことをもう少し深くお聞かせいただけませんか。

○松村参考人 間接差別のところで御説明をさせていただきましたように、例えば三重県内の外国人労働者の中でも、派遣労働者とか、つまり非正規労働で働いている外国籍を有する人というのは、いわゆる日本国籍を有する人と比較をしましても多いわけですね。
 そうしたときに、学校現場から非常に報告としても上げられていることでありますけども、休業要請が出された後に、真っ先に休んでくれと言われるのがそういう対象の人たちであって、つまり外国籍を有する人たちというのが先に休んでほしいというような対象となり、4月の段階で月5000円で子どもを育てていかなければならないというふうな状況まで追いやられた人たちというのが一定数いるということが、支援団体からの報告も含めて分かってきています。
 障がい者の人たちでいきますと、例えば視覚障がい者の人たちなんかは、マッサージを自営で営む人たちが多いという、これもマジョリティー社会のいわゆる構造的な仕組みの一つで、視覚障がい者がそうした限定した職業しか就きにくい状況にあるというような状況にある中、まさに密ですので、休まざるを得なくて、収入が途絶えるとか。
 このように、つまりいわゆる健常者とか、日本人とか、男とか、異性愛者と言われる人たちが被らない平時による差別が非常に深刻な形で表れてきている。県が公表する行動履歴一つ取っても、いわゆる性的マイノリティーの人たちの中からは、行動履歴によって自分の性的指向などが明らかにされることに不安を感じるというのは、異性愛者は感じなくていいわけですね。全くそのことに課題意識を持たなくてもいいということが、生まれ持って努力したわけではないのに、そういうところで既に不利が生じている。
 経済的な問題も同じでありまして、先ほど申し上げたように、障がい者の人たちが、やはり健常者と比べて年収を含め経済的に厳しい状況に追いやられているという状況が、きょうされんというところの調査でも、1万人を超える調査で明らかになりましたけど、年収200万円以下の生活を送っている世帯が8割以上というような調査結果も2年ほど前に出されたように、つまりは、平時でそれほど不利な状態に、マジョリティーに大きく偏っているこの社会構造によってマイノリティーがつくられている中、新型コロナウイルス感染症の影響とその対策でより不利な状況に追いやられている。
 あまり長くしゃべれませんけど、経済的な問題もそうで、生まれついた家の経済所得なんかは誰もが決められないことですけども、そのことによって、既に格差がどうしても生じてしまうという状況にある中、この休業要請によって、例えば年収1000万円、2000万円のおうちはそんなにダメージを受けないですけど、年収100万円なり200万円のおうちは瞬く間にもうその生活が逼迫して、3食子どもに与えられないという声も事実に上がってきているという状況でもあって、つまり対策が画一的に講じられることによって、こういうような人たちがより厳しい状態に置かれるというのが間接差別だというふうに捉えているということです。

○小島委員 ありがとうございました。よく理解をさせていただいたつもりでおります。
 質問ということなんですけれども、今まであったものが、より複合的に何か差別の形としてこのコロナ禍で表れてきているというのを、今日お話を聞かせていただき、事例をいろいろお教えいただいた中で、より認識が自分の中ではできたかなというふうに思っています。
 前回の聞き取りの中で、相談機関は県にはたくさんあるけれども、ひゅって振り分けられるだけで、そこには何の解決や救済もないということが明らかになりましたので、今日もその辺をおっしゃいましたけれども、しっかりと救済等々については取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。

○北川委員長 ほかに御質疑がございましたら。

○小林委員 ありがとうございます。
 全体的な差別の状況も後段もお話をいただきました。三重県の中にある同和差別に関する問題が、インターネット上のモニタリングで常に半分以上あるという状況も確認をさせていただきました。
 同和差別というのは、基本的に居住区で差別されることが多いのかなと思います。そのほか出てきた外国人差別というのは生まれ落ちたところによって規定されるもので、当然、覆すというか、変更することというのは非常に困難なものだと思うんですが、前々回ぐらいですかね、委員長が、取りあえず県が三重県新型インフルエンザ等対策行動計画の改定ということを含めて条例をつくりたいということがある中で、これが11月に有識者会議の最終案が出ると。その前の10月に常任委員会で中間案を出されて、審議をされて、最終的に年末12月に最終案が出されるということになっている中で、ここにも、我々特別委員会として何かしらの提案をしなきゃいけないんだということになっています。
 その上でお伺いをしたいんですが、私の認識が正しいか、間違っているかは取りあえず後段お話をいただければいいと思うんですけれども、いわゆる、先ほど既存の部落差別であったりとか、外国人差別であったりだとか、ほかLGBTなども出てきましたが、そこと、今回の、新型インフルエンザ等というふうにありますので、ほかの感染症も含めてこれから条例をつくるわけですけれども、そことの違いで、もし専門家として認識があればお伺いしたいんですが、よろしくお願いします。

○北川委員長 小林委員、新型コロナウイルス。

○小林委員 新型コロナウイルスを含めて感染症ということによって発生してくる差別と、そのほか、今までよく知られた差別との大きな差があるようであれば、お伺いしたいと思います。

○松村参考人 ありがとうございます。
 感染症の問題でいきますと、今日は県の調査結果のみしか報告をしませんでしたが、例えば、2017年には志摩市が市民意識調査を実施しているんです。人権問題の志摩市民の。その項目の中に、例えば一緒にハンセン病元患者と入浴をするとなった場合や、同じ職場で働くようになった場合、それから近所に住むことになった場合というのを、ハンセン病元患者やHIV陽性者とのそういう接触における抵抗感を聞いている項目があります。
 そうしたときに、恐らく障がい者差別や外国人差別に関しては、一緒に入浴するとかということに関して、うつる可能性があるとか、そういう認識を持たれていることは多分、限りなく少なくて、調査結果を見ていましても、かなり深刻に、多分、感染症に関しての基礎知識も十分に持っていないんではないかと思えるような抵抗感を示す市民の意識が明らかになりました。
 これは2015年度も伊賀市のほうで同じような調査を実施されていますけれども、同じような項目を設定されている中で、先ほど申し上げたような感染するかもしれないということの可能性の万に一つも摘もうというようなことを受けた厳しい、私たちは本当に厳しいと受け止められるような、とりわけ一緒に入浴するということに関しては、非常に強い抵抗感が示されたというような状況にあります。
 恐らくこういう市民の中に根差す感染症に対する恐怖や不安というのが、今回の新型コロナウイルス感染症に関しましても、万に一つ、うつるかもしれないというふうに判断された人たち、それは罹患者や家族だけではなくて医療従事者や運送業者の人たちも同じようにみなされて、避ける対象にさせられたのではないか、攻撃対象になったのではないかというふうに考える点では、もちろん似通った点もあるんですけども、小林委員がおっしゃったようなお話でいきますと、やはりこうしたことが特徴的ではないのかというふうに考えております。

○小林委員 ありがとうございます。
 後段言われた、要するに罹患の恐怖と不安、あと、実際HIVやハンセン病に関しては、入浴によってうつるなんてことは一切あり得ないわけですけども、そこに対する事実の誤認が根強くあるということなんだろうと思うんです。
 恐怖、不安というのは、今回のことでよく我々も聞く話なんですが、一旦、条例としてこれから制定する上において、何かしらの県の責務であったり、住民の責務であったり、いろいろあると思うんですが、その中で規定するべきものとして、もし、要するに不安の解消であったりとか、事実誤認の解消というようなことにおいて、また、もう一つ、今回の新型コロナウイルス感染症は突発的に起こって、事実が誰もよく分からない状況ももちろんあったという非常に難しい問題があるので、その辺、HIVやハンセン病とはスパンが違うのがなかなか難しいところなんですが、これからあり得るということを前提に条例をつくるということなので、もし、そのことに関して現状で条例化するべきサジェスチョンがあればお伺いしたいんですが。

○松村参考人 ありがとうございます。
 まず、私はやっぱり患者の権利をきちっと保障する規定が欲しいなというふうに考えています。これは感染病の元患者の人たちが、かつて療養所に収容されていたときに、極めてひどい人権侵害を被ったりしてまいりましたし、やはり罹患者は被害者だというふうに思いますので、その権利をきちっと保障する規定が感染症対策では必要ではないかというふうに考えています。
 もう一つは、本当に上から目線というか、失礼な言い方にならないようにしたいんですけれども、小林委員がおっしゃったような自治体におけるハンセン病問題とか、HIV陽性者に向けられる差別や誤解や偏見は、そもそも基礎知識自体が市民の末端にまで定着していくような啓発が、関係セクションからなされていなかったのではないかというふうに私の考え方では思っていますので、関係セクションというのは医療関係のところですね、そういうところからきちっと政策を講ずるような手だてが、市町と連帯をしたりとか、時には事業所と一体となって、末端にまで届くような規定がこれを機にやはり必要かと思います。
 もう一つは、差別行為を禁止するという規定ですね。やっぱり表現規制ってすごく難しいと思うので。元患者やその家族に向けられる差別行為、だから、入浴を避けるという行為とか、例えば極端に言いますと石を投げる行為とか、発言ってすごく表現規制という点では容易にはいかないと思うんですけど、きちっとまず行為を規制するような形の条文が位置づけられないかというふうなことも私としては考えているところです。

○小林委員 行為ですよね。分かりました。
 当然、専門家なので御承知で、それで注釈をつけられたんだと思うんですが、発言の規制は非常に難しいというところがあったと思います。他方で表現の自由というところが常にあって、何をどこでどう線引きするかというところがあるんですよね。
 ただ、そこは実はまた次にお伺いをしたかったところなんですが、今回のところの非常な特殊な事情としてもう一つあるのが、要するにデマ、SNSだったと思うんです。モニターをしていただいているのを見させていただいたところ、基本的にオープンになっているツイッター、それから掲示板、あとヤフーのコメントというようなところで、恐らく検索に引っかかってくるものを中心にやられたんだろうと思うんです。
 現状、ほかの法律や技術的な問題でもっと心配している、LINEなんかは実はなかなか入り込めていなくて、ここってデマの温床だったりとかするので、これはもう松村参考人に聞いても仕方がないところなんですが、発言、それから表現の自由がある中で、でも結局そこが根本的にあって、誰もいきなり行動には出ないと思うんです。
 なので、そこで触発され、誘発され、恐らく要するにクローズのところで自分が自分のアイデンティティーをさらさない状況でわあっとなって、極端な話が出てくるところが、最終的にその中のごくごく僅かなパーセンテージの人が具体的に行動を起こすということになってくるんだろうと思うんですね。
 非常に難しい規制だという話は前提としてあったわけですけども、これは、でも、現実問題、我々が抱えている社会問題になってきているので、聞いていながら、僕も解決策を持っていないので非常に難しいところなんですが、今後こういったSNSであったり、それから掲示板の在り方として、その感染症に絡めて条例の制定を踏まえた上で、どこまで我々は突っ込んで話ができるのかなというところをお伺いしたいなと思うんですが。

○松村参考人 小林委員のおっしゃることは、本当によく分かっていまして、もう十五、六年ずっともどかしい中、何とかこれをできないのかということでネットの問題に向き合ってきたところでございますけども、今ようやく国のほうでも、プロレスラーの木村花さんの本当に残念な自死を受けまして、規制の議論というよりは、救済のほうの仕組みをどう、裁判手続を簡素化するかとか、そうしたあたりのことと同時に、行為者の携帯電話番号とかを開示する形を取っていくような話が少しメディアを通じて聞き及んでいるところでございますので、国のほうでも規制の方向はなかなか進みにくいという状況にあり、救済のほうを中心的に取り組まれているものの、やはり実際に今日報告をさせていただいたような問題が生じている中においては、ネット上の投稿を何とかしたいという思いは持ちつつも、なかなかそこは、恐らく業者との協力体制とか含めて、必要な手続というのが国レベルの状況になってきているのではないかというふうに考えますので、その点に関しては、やはりこれからのこの特別委員会の中でもきっと議論されていくことだとは思うんですけれども、今まで生じてきた差別行為なんかをどうこれから二度と引き起こさんような形を取れるかというあたりの議論にシフトしていかなきゃと思います。あまり回答になっていませんけど。

○小林委員 ありがとうございました。

○北川委員長 よろしいですか。
 ほかに。

○中村委員 今日はありがとうございます。
 ヒューリアみえがこういった人権問題とか、それから差別の課題に平素、本当にしっかりと取り組んでおられることが、今日の報告を聞かさせてもらいまして、本当によく分かりました。ありがとうございます。
 私自身、ここの今回できた特別委員会に入りましたそのきっかけ自体が、今回のコロナ禍の中で新聞記事等、僕はあまりネットを見ないものですから、新聞記事等を見ておっても、本当にひどい差別が出ている、新型コロナウイルス感染症がどうのこうのじゃなしに、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、もしかしていろんな差別事象が出てきているんじゃないかという、そんな思いもあったし、私自身ももう年を取っていますので、50年ぐらい、半世紀ぐらい前に同和問題に関わったことがあるんですけれども、そのとき、先輩方の100年たったらこんなもん消えていってしまうんやという話がありました。だけども、その後いろいろな事情を見ていると、私らの想像できなかったSNSのこの時代の中で、やはり人の心の中に入っているものが、どれだけ教育したりいろんなことをしても、ますます膨らんできている。また、新型コロナウイルス感染症をきっかけにそれがぱかんと割れて飛び出してきている。そんな状況にあるのではないかな。今日のお話で、それが、自分自身のもやもやしているのがはっきりとしました。
 お伺いしたかったのは、我々は特別委員会なので、本当は当事者の方のお話も聞きたいんですけれども、やはりなかなか。いい方法があれば当事者のそれぞれの、外国人の方もそうですし、同和問題で部落差別問題なんかで苦しんでみえる方もあるだろうし、そしてまた、新型コロナウイルス感染症なんかも難しいかも分かりませんけども、その辺をどうしたらいいのかなというのが、今、自分の悩みです。
 それと、こんなに長いこと騒いでというか、行政も物を言って、法律もできたのに、何でこんなに長いことかかっとんのやろうと。平素からずっと関わっておって、一体この解決に何が引っかかってんねやろう。その辺、本当に先頭に立っておられます松村参考人の思いなんかをちょっと聞かせていただいて、また参考にしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○松村参考人 ありがとうございます。
 解決のところの話で申し上げますと、決して委員がおっしゃったように、私の考えが全てではないので、本当に一面的な面というふうにお考えいただければと思うんですけれども、途中でちょっと事例も、パワーポイントの中でも説明しましたように、マイノリティーに差別問題の解決の責任が押しつけられているという構造自体がまだまだ変わり切っていないんじゃないかと思うんですね。
 例えば寝た子を起こすな、あまり騒がないほうが人々の意識から消えていくんではないかということですけれども、これは私たちとしては、明らかに差別を生き続けさせる結果をもたらすものだと思っているんですね。
 典型例で、トランスジェンダーの子どもたちが、中学校進学に当たり、制服で苦しめられている状況というのは長年あって、私は40手前なんですけど、私の時代ですらきっとあっただろうと。でも、当時はそんな認識もないというよりは、どちらかというと、差別的な用語なんかを教室の中でよく見聞きしてきた状況でもありましたし、そうした中で、完全なる寝た子を起こすなだったと思うんですね。
 啓発もない、教育もない、私は家庭や学校、地域社会でLGBTという言葉を聞いたことがなかったし、同性愛者とかトランスジェンダーというのももちろん聞いたことがなかったわけですね。
 だから、日本は長年にわたって寝た子を起こすなをやってきましたけど、結論的にはやっぱり苦しい思いをする人たち、声を上げられない人たちをずっと生み出してきたという結果であって、これはもう他の問題と同じだと思うんですね。
 もう一つは、自分は差別していないからいいんだというところをゴールにしてしまっている状況が、これもまた結果として差別を容認したり、加担するという状況を生み出してしまうので、つまりは、今回の新型コロナ差別で分かったように、私たちは社会を構成する一員である以上、差別が現存する社会にとっては、被害者とか加害者だけでなく、あらゆる人が当事者だという、基本スタンスにまず立ち、そして、途中、小島委員の御質問にありましたように、つまり障がい者問題を解決しなければならないのは、いわゆる健常者側の問題なので、健常者に大きく偏っているこの社会の中で、障がい者が生きづらいとか、社会的障壁にぶち当たるという状況を生み出している以上、あらゆるマジョリティーが自らの問題としてこの問題を捉えて考えていかなければならないのと、私は道徳観とかいうのはすごく大事だと思うんですね、思いやる気持ちとか優しさというのはすごく大事だと思うんですけど、例えば車椅子利用障がい者が縦移動に少し困難な状況にあるというのを見た子どもたちに助けてあげましょうとか、大丈夫ですかという気持ちを育むのはすごく大事なんですけど、そもそもそういう状態を生み出す社会の側、エレベーターがなかったりとか、バリアをつくっている社会の側、マジョリティーがつくってきたこの社会の構造のほうに問題があるわけでありまして、つまり優しさとか温情とかは大事ですけれども、構造そのものが変われば、極端な言い方ですけれども、温情とか思いやりなんていうものは出てこなくていいという状況になるんではないかというのが、様々な人権問題でも機能しているんじゃないかと思うんですね。
 だから、制服の問題なんかでも、制服そのものが駄目だということではないにしても、やっぱり結果的にトランスジェンダーの子どもたちが制服選択で苦しめられるとか、着たくないと言っても体操服だとかでごまかされるという状況にあったり、異性愛者は、私は自動的に異性愛者でしたけど、法律婚が認められているのに、同性婚は認められないのはなぜなのかということを持続させているのは誰なのかというのは、政府とかだけではなくて、その状態を容認している、あらゆるマジョリティーがやっぱり存在していて、そこに当事者性を持っていないがゆえに、結論的にはマイノリティーが声を上げ続け、差別を受けるということを引き受けながら不当性を訴えたり、構造を変えてくれ、仕組みを変えてくれというふうに言わされている社会にあるということが問題じゃないのかというふうにも考えています。
 なので、そこがもう少しこれを機に変わっていけばというふうなことを考えています。

○中村委員 ありがとうございます。
 なかなか、当事者の皆さんの声をどう把握するのかというのが課題だというふうに思いますが、また、別の部分でいろいろとアドバイスをいただきたいなというふうに思いますのでよろしくお願いします。
 以上です。

○北川委員長 他に御質疑は。

○稲森委員 ありがとうございました。
 60ページあたりのところがすごく頭の中で整理できてよかったなと思ったんですけども、今この特別委員会が、まずは新型コロナ差別の問題について第1段階として入って、その次にいろんなその他の部落差別なり、ヘイトスピーチの問題を考えていこうという2段階構えでやっていこうというふうにしていたんですけども、今のお話を聞かせていただきますと、既存の差別がベースとなって、関連性を持って新型コロナ差別が機能しているのではないかと。
 そのための新型コロナ差別のみへの対策を講じるだけでは問題の本質が解決されないというところが一番重要なところなんかなというふうに思ったんですけれども、このこれから私たちが目指していく差別解消条例と感染症条例なりのすみ分けといいますか、関係性というのをどういうふうにお考えなのかというところをアドバイスいただけたらと思うんですけれども。

○松村参考人 ありがとうございます。すみ分けですね。
 小林委員に回答させていただいたような、例えば差別行為というものできちっとくくっていく、包括的に禁止する形を取り、やっぱり個別的に部落差別の特徴的なこととか、障がい者差別の特徴的なことや、新型コロナ差別に関しての特徴的な問題というのは出てくるので、そこを枝的にというか、だから、基本法みたいな形で個別的に、障がい者問題でもバリアフリー法とか雇用促進法とか差別解消法があるような形で、差別問題を包括的に解消していくようなための条例をつくり、今後、県議会の中でも個別議案で見てきたときに、包括的な部分からより具体性を持って解決を早めていくというか、講じていくための個別的事案というのが、先に障がい者差別の解消条例をつくられたような形を持って、また、必要になってくるのではないかというふうに思います。

○稲森委員 よく分かりました。

○北川委員長 よろしいですか。

○稲森委員 はい、ありがとうございます。

○石垣委員 本当にいろいろと言いにくいようなお話も聞かせていただいてありがとうございました。
 それで、聞かせていただきたいのは、やはりこの差別の部分で、35ページ、36ページのところですかね、ネット上の差別投稿のモニタリングということで、1月から3月、そして、今年度の4月から5月末までの投稿ということで、やはり新型コロナ差別の投稿が増えるに当たって、その他の部分でも関連して非常に投稿が増えているという形なんですが、20ページのところを見ると、それぞれの市町が、やはり広報などによって差別は駄目ですっていうところを必死にパンフレットや冊子、ホームページ等によって様々な形で新型コロナ差別を抑制するようにしっかりと訴えかけているんだけども、数としてはもう増えてしまっているというところが現状だと思うんですが、個人的な見解でよろしいので、これは単純に広報自体が全く県民の皆様とかそれぞれの市町の方々に行き届いていない、単純に啓発が少ないという部分なのか、それとも、今まで人権の部分であったりとかの差別に対する、まあ言うたら啓発ってずっとされてきたんですけども、そのやり方自体が、方法がまたちょっと違ったんじゃないのかな。この新型コロナ差別に関連しての部分ですが、そのあたりの見解というのを、ちょっと教えていただきたいなと思います。

○松村参考人 ありがとうございます。
 新型コロナ差別に関して申し上げますと、ホームページや広報は行われていますけど、委員がおっしゃったように、末端にまで届いていない可能性が大きいんじゃないかと思います。
 県の広報をどれぐらい見ていますかとかいうふうに、何か全県的な県民の調査が取れれば、実際見ている人たちの状況というのは明らかになるのかなと思いますので、一概には言えませんけど、個人的感覚としてはあまり見られていないんじゃないかと思うんですね。
 ただ、ホームページは、今回、罹患者の情報が県のホームページで特に公表されていくという状況の中で、かなりの県民や事業所を含めて、県のホームページを注視されたというか、アクセス数はかなり上がっているというふうに勝手に思っているんですよ。
 でも、その中で議員の皆様の取組もあったおかげや、県知事の差別や人権侵害に対する強い思いもあって、やっぱり他県と比べてもかなり差別問題や人権に関してのメッセージが非常に強かったというふうな印象を受けていますので。そうしたことで、私が実際に相談を受けた方からしますと、やはりその県の姿勢なり市の姿勢によって、一定程度、自分たちや家族に対しての被害が沈静化してきたんではないかというふうなお話はされていましたので、全く効果がないということではないのかなというふうに思っています。
 ただ、これだけでは不十分だと思いますので。差別の問題は、差別はいけません、やめましょうだけではやっぱりなくなっていかないわけであって、何が差別に当たるのかとか、なぜしてはいけないのかということがきっちりと市民の中に根づくようなことがない限り、解決していかない問題だと思っています。
 あと、6月26日の動画を私も見させていただきまして、環境生活部の辻次長もお話をされていましたように、昨年度、県が実施しました県民意識調査を見ていましても、過去5年間で県や市町が主催する講演会に参加したという県民があまりにも少ないんですね。
 そういうのが、例えば伊賀地域ですと割と多いとかいう傾向も出ていまして、それはやっぱり市のほうの仕組みもきちっとあるからなんですね。それでも、全員、末端には届いていませんけど。自治会の役員になれば、そういう研修を受けるということが引っついてくるとか、一定程度、仕組みがない限りは、基本的にはやっぱりあまり関心を持たれにくい問題だと思いますので。でも、差別があって、結果的に支えられている状況にある中で、どう、そうした参加する県民を増やしていくのかというのがこれからの命題で、委員がおっしゃったように、啓発手法に関してはその後じゃないかと、個人的には思うところですね。そもそも届いていない、研修に参加していないという状況をまずどうクリアしていくのかということが、この県における人権啓発の大きな課題じゃないかと思います。
 済みません、長くなって。あと、教育に関しては、全国的に見ましても、三重県はきちっと、かなり進んでいる自治体です。それはもう、他府県からも非常に好評というか、評価をいただいているところでありますので、啓発もそのような形で乗っかれないかというのが私の個人的な思いです。

○石垣委員 ありがとうございます。
 末端まで届いていない可能性が非常に強いという話をいただいて、また、私自身も、投稿している方々が、自分が本当に悪いことをしていると思ってやっているかどうかというところも分からないようなところまで、本人らに自覚症状もないような人たちもいるのかなというのもすごく、今の投稿を見る限りはさせていただきました。
 そう考えますと、59ページにある全体の人権侵害というふうな形で捉えたとき、過去5年間に人権侵害を受けた可能性がある方々が、じゃ、どこかに相談しましたかという話になったときに、約半数が相談できていないというのは、まさしくこれも被害があったと自分で認識している方が、これはどこに相談をしていいのか分からないという形が非常に強い結果だという認識でよろしいんでしょうか。

○松村参考人 そうした一面もあると思いますし、6月26日の特別委員会を見させていただいても、県の人権センターの所長の回答にもございましたように、結局たらい回しにされるんでしょうみたいなところで、解決をしてもらえないんじゃないかみたいなことが広がっていたりするんじゃないかというのもあります。
 また、やはり受け身だけでは声を上げにくいというのが、私どもが人前で講演をしてきても、きっかけとなるような話をすることを通じて、実は私もみたいに、どこにも相談できていないんですけどというように、講演終わりで寄ってきてくれる人って、やっぱり一定数おられて、そういうのって、こういうところがありますけどって言うんですけど、やっぱり聞いてもらえるか、どんな人なのか分からないというのが非常に怖いと言うんですね。あしらわれたりするんじゃないかとか、むげにされるんじゃないかとか、そういう不安でもなかなか行きにくいんだと、そんな声もありますので。
 ちょっと質問内容を超越するような言い方ですけど、SNSで相談窓口を人権センターのほうでも入れていくみたいなことをやれれば。電話するとかという敷居が非常に高いので。LINE相談とかそんなんで導入されているチャイルドラインなり、虐待の問題なりで取り組まれているところが出てきていますので、そうしたことも今後、採用されていくことと同時にワンストップが一番理想的だと思います。相談先がまず受け止めて、相談先がいろんなセクションに専門的な見地を聞き、相談者に返すという形が理想的ではないかと思います。

○石垣委員 ありがとうございます。

○北川委員長 ほかに。

○山本委員 どうもありがとうございました。
 特に条例をつくって救済のためのシステムをつくったり、今お話がありましたようにワンストップ、これも救済ですけど、そういう仕組みをやはりもっともっと充実させていかなくちゃいけないということと、その前提に、62ページのところで、実態調査のことで、三重県の実態調査を基に、ある市町のを基にお話をいただいたんですが、今までやってきた実態調査ではやっぱり網羅できないところがあると、偏っているということも指摘をされて、やはり実態をしっかりと踏まえた上でということを言っていただいたので、これはとても大事なことだなと思っています。
 そして、啓発、啓蒙、学習ということで、行き渡っている、いない、差別はいけないとか、そういうのはもう日常的に分かっているようなつもりになっていても、実際のところ気づきになっていないというところがやっぱり大きな問題で、この一つ一つの事象を見て、一つ一つは聞いたことがあっても、これだけ並べられると、本当に身につまされるわけですけど、気づきをつくるような、できるようなことというのを、条例の中でというのはなかなか書き込むということが難しいですが、実態として本当にその気づきを促すようなことをしていかないと、それこそ50年たっても100年たってもという話になるんだと思います。様々なことの中で。
 そこのところなんですが、その気づきはやはりもう、さっき言われたように地道な研修活動とかそういうことでしかないでしょうかということが一つ。
 それと、差別を受ける人、それから差別をする人だけの二つにぱっと分かれないということをよく言われますが、差別をしている人も、無意識にしている人も含め、その本人が差別をされている状況の中にあって、疲労困憊しているというようなことも含めて差別をする当事者になってしまうというようなことをよく聞いたりするのですけれども、そこら辺のところの考え方というのをひとつ教えていただきたいと思います。

○松村参考人 ありがとうございます。
 実態把握のところは、県民意識の取り方を部落問題は人権課専門でやるとか、障がい者問題は障がい福祉課で専門的にやるとかいう形が理想的だというふうに思いますので。そういう調査の取り方がやっぱり理想だと思います。
 気づきに関しては、やはり既存啓発だけではなくて、もっともっとSNSや、例えばユーチューブ含めた動画サイトを活用する手もあるのかなというふうに私は考えているんですね。
 きっと私よりも詳しい議員の方がたくさんおられると思うんですけれども、例えば県はフェイスブックのアカウントでいろんな県政の情報を発信されていますけど、広告費を払うと、一定エリア内のフェイスブックユーザーに広告を出せるようになっているんですね。これは割と事業者とかNPOとかもやっているんですけど、委員がおっしゃったような、少しでもそこに何か啓発的な気づきを得られるような動画につながっていくような広告を下ろすとか、ツイッターと契約をされた、例えば滋賀県や福岡県では自殺予防対策で、これはGPSを使うんですけど、福岡県や滋賀県の、県内から死にたいとか、自死とかいう情報を発信されたときに、県が関係しているような自殺対策推進センターの広告がぱあっと出るようになっていて、みたいなことが地方自治体レベルでできるんですね。
 そういうことを三重県もしつつも、差別問題とかにも使えないのかとか、そんなことを通じて、委員がおっしゃった優良なコンテンツというか、内容面できちっと気づきが得られるようなものがやっぱり必要になってくると思うんですけど、今やもっとSNSとか動画を活用して県民啓発をしたほうが、私の感覚では広報よりもたくさん影響を与えられるんではないかと。それが市町と連携すれば、もっときめ細かくできるんではないかと。もちろんSNSをやっていない人には届かないので、きめ細かな啓発をやりつつ、今のオンラインは新型コロナウイルス感染症が随分後押ししたと思うので、やっぱりこれを活用しない手はないんじゃないかということで、あとは気づきの内容というのが、しゃべるとちょっと長くなるので、必要だと思います。
 あと、差別をしている人というか、状況に関して申し上げると、完全な持論なので、これだけで90分ぐらい時間を使うんですけど、やっぱり罹患者が出たことによって実際に休校措置が取られるということは、一定仕方ないことだと思うんですけど、そのことによって保護者が休まなければならず、それが収入に影響して、生活が切り詰められていくとかいうふうにして、感染者が自分たちの生命や健康不安をもたらす人たちだとか、ウイルスが問題なんですけど、感染が自分たちの身近なところで広がることによって生活が圧迫されてしまうような対策を取られてしまうことによる、また、苦悩とか何かが、やっぱりあんたらが感染せんだらよかったのにとか、あんなとこに行かなければよかったのにみたいな形の攻撃となって、誹謗中傷となって転嫁している状況があるんじゃないかということと、もう一つは、ちょっと広い話になるんですけど、私が研究しているところで、先進国の多くの国々でマジョリティーからマイノリティーがつくられてしまう社会構造にあって、今どういうことが起きているかというと、例えば女性の権利を男性と同じようにやっていこうというアファーマティブアクション、積極的差別是正措置の取組として、例えば管理職枠に女性枠を設けるということが、割と企業とかでも取り組まれたりしてきていますけども、これに対して、男性に対する差別じゃないかという異論を唱え、これをやめさせようというような状況というのが先進国で共通して出てきていると。それは障がい者枠、外国人枠というふうにして、要はマイノリティーへの社会包摂というマジョリティーとの同等の権利を享受するための取組に関して、それは差別だというふうに主張するような人たちが一定数出てきていると。
 これは、先ほど申し上げたように、小島委員の質問のところにもちょっと関連してくるんですけど、まず、そもそも自分がどういう特権を持っているのかと。差別を受けない特権。私ですと、日本人なので、日本社会で日本人差別を受けないとか、健常者なので健常者としての差別を受けない、もともとアイデンティティーでないとか、異性愛者なので法律で認められているとか、異性愛者として差別を受けることはないんですよね、みたいなことがきちっと知識、理解として入っていれば、こんなことは起きないんですけど、そういうベースもない中で、男と女って選べないのに女だけずるいとか、障がい者として生まれるなんて誰も決められないのにずるいとか、こういうことで、マイノリティーへのオンラインハラスメントというふうに呼んでいるんですけど、そういう社会包摂を停止させれば、もともとあった自分たちのところにも回ってくるんじゃないかと。でも、マジョリティーである自分たちは社会包摂を受ける対象にはなれないと。男なので、異性愛者なので、健常者なので。そこに理不尽さを感じてしまう社会経済というか構造の変化が、人々の憎悪をかき立てて、もう一つは自分たちが成功するチャンスをマイノリティーによって奪われていると。女性が管理職になってしまったら、男の俺がどんだけ努力してもなれないじゃないかと。障がい者枠なんて設けられたら、そんなところに健常者が入る枠がより少なくなるんじゃないかと。俺は一生、非正規なのかみたいなことに、身につまされるような構造自体が、今申し上げたようなオンラインハラスメントを招き、憎悪をかき立てて、剝奪感をどんどん高揚させるような形を持って、ここに新型コロナウイルス感染症がのしかかってきたので、があっと及ぶようなことになったんじゃないかという、これは1つの側面ですけど、そんな分析もしています。

○山本委員 ありがとうございました。
 人権であったりとか差別の問題は、本当の意味での社会包摂ということを基本に置かなければいけないなということを認識させていただきました。社会構造というのが大きく影響もしているということで。ありがとうございました。

○北川委員長 1時間近く来ていますのであれですが、あと、御質問のある方。先に手を挙げてもらえますか、御質問のある方。

○藤田委員 ありがとうございました。
 大変、私個人的には勉強させていただいた、そんな思いがいっぱいです。
 やっぱり課題のところで指摘していただいているように、稲森委員もおっしゃったように、要は既存差別がベースになって、今回の新型コロナ差別に派生してきていると。この指摘はなるほどなと腑に落ちたんですけども、こういう課題というのを指摘されている中で、「既存人権条例は差別の未然防止や規制に効果をなし得ていない」と断定してみえるんです。結果として、今、現状分析をいただいて、差別が非常にたくさんあると。こういう実態に対して、こんなふうにおっしゃっておる。
 これを解決していくために差別解消条例をもしつくられるんであれば、こういう項目をというふうに書いていただいておるんですけども、そういう理解でいいのか、それとも、その中でも特に欠かせない項目として、松村参考人として、これは最重要だねというのがあればお聞かせいただきたいと思います。

○松村参考人 全て欠かせない状況にはあるんですけど、ただ既存条例には教育・啓発規定や推進計画、それから審議会の設置、こういうものはございますので、やはり私としては1番(2)の差別とは何かということの定義を包括的にした上で、まずはそこをしっかりと行為規制していくという形が一つ、理想だと思うんですね。それを何が差別に当たるのかということを含めた判断というのは第三者委員会、審議会という形で設置をされるというのが理想的だと思います。
 また、救済に係る取組も、他の委員からも御意見が出ましたように、いわゆるマジョリティー側の県民ですら何もせずに我慢させられている。マイノリティーであればもっとの可能性もあるわけでして、そこをきちっと、被害を受けたということが泣き寝入りの状態というか、放置される状態にならないように救済規定というのが必要であるというふうに思いますし、例えば私であればマイノリティー、障がい者の人たちに被差別体験はないのかという調査をしようとか、外国人の人たちに差別を受けていないのかという調査をしようと。
 その上で、詳しくヒアリングをさせてもらうことが可能であればというので、何か少し記述、連絡先とかを記名してもらうと、もっと深い話ができていったりとかもありますし、救済規定をきちっとつくっていく上で、それなら相談していこうというふうにつながってくる面もあるんじゃないかというふうに考えますと、先ほど申し上げたんですが、既存条例がないだけに、どうせそれは回されるんじゃないかとか、話だけ聞いて終わりじゃないかというふうなことになって、それなら相談する労力すら何かもうそがれるというか、状況になるんじゃないかと思いますと、やっぱりこんな形で救済をしていくということが県民に届けば、それなら、次に被害を受けたときには相談してみようとかいうふうにつながっていく側面があるんじゃないかという点では、1番、2番は欠かせないんじゃないかと思っています。

○藤田委員 ありがとうございました。
 本当に我々がなさなければならないことが何かちょっと見えてきたように思います。本当に今日はありがとうございました。

○北川委員長 質疑は以上でよろしゅうございますか。
          〔発言の声なし〕

○北川委員長 なければ質疑を終了いたします。
 この際、参考人に対して委員会を代表して一言御礼を申し上げます。本日はお忙しい中、本委員会に御出席をいただき、本当にありがとうございました。今回、頂いた貴重な御意見は、今後の本委員会での議論に反映をしてしっかりと役立たせていきたいと思っておりますので、また引き続き御指導もいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
          〔「ありがとうございました」の声あり〕
                           〔参考人 退室〕

○北川委員長 ちょうど午後5時前になるんですけれども、午後5時を経過するということで、この後ちょっと委員会もそのまま継続させてもらってもよろしいですか。
          〔発言の声なし〕

○北川委員長 では、委員会を継続させていただきます。
 
2 参考人の出席要求について

○北川委員長 次に、参考人の出席要求について御協議願います。
 先日の委員会において決定いただきました当委員会の活動計画書に基づいて、次回の参考人招致の人選について正副委員長で協議した結果、お手元に配付いただいている資料1、参考人出席要求候補者名簿のとおり、武蔵野大学名誉教授であり、株式会社情報文化総合研究所代表取締役の佐藤佳弘様に、7月31日にお越しいただくということで調整をいたしました。
 佐藤様は、インターネットと人権に関する多数の講演実績や「インターネットと人権侵害」などの著書があるとともに、様々な自治体等の人権施策等に関わる委員やアドバイザーの経験も有しており、貴重な御意見等を頂けると考えております。
 本日の委員会において、参考人の松村様からもインターネットによる差別や人権侵害についてのお話をいただきましたけれども、このことについては、先日の委員会において、いろんな方から御意見をお聞きしたいというお声もございましたので、インターネットによる差別の実態等について、次回も参考人から聞き取りを行いたいというふうに思っています。
 当然ながら、参考人招致に当たっては、手洗い、手指消毒、密閉・密集・密接、いわゆる3密の回避など感染防止対策の徹底を行った上で行いたいと考えております。
 でき得れば、部屋も全員協議会室等広い部屋で、失礼ながらですが、参考人と距離を置かせていただきながら、我々も間隔を開けながら座らせていただいてやりたいというふうに思っています。
 なお、今、関東の状況なり、それから三重県も新たに感染例が出たりもしていますので、緊急事態宣言であったり、あるいはまた、県においても知事から何らかの自粛的な要請等があったりとか、状況が変わった際には、大変申し訳ないんですけれども、中止をさせていただいたり、あるいは延期をさせていただくようなところをまた正副委員長で相談させていただいてというふうに思っています。
 本当はウェブ会議をしたいところなんですが、今の規定では、委員会は参考人招致がウェブでできないらしいですので、この辺はまた別途、検討いただかんなん話だと思いますが、そんなことも含めて頭に置いていただきながら、お諮りをさせていただきますが、佐藤佳弘様を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
          〔「異議なし」の声あり〕

○北川委員長 御異議なしと認め、そのように決定をいたします。
 参考人招致当日の委員会の運営方法ですけれども、これは先ほど申し上げたことも含めて、正副委員長に御一任を願えますでしょうか。
          〔「はい」の声あり〕

○北川委員長 では、そのようにさせていただきます。
 
3 委員間討議

○北川委員長 次に、委員間討議を行いたいと思います。
 委員間討議は引き続き公開で行いますので、御留意の上、御発言願います。
 本日の参考人からの聞き取り調査について、御意見のある方という形で通常はお願いさせていただくんですが、時間も午後5時を過ぎていますし、次回の参考人からの聞き取り調査においても、今日と同様にインターネットによる差別とか人権侵害についての聞き取りが予定をされております、ですので、本日はどうしても今日話しておきたいという方があれば、委員間討議として御意見を出していただきたいと思いますし、詳細な時間をかけての討議は次回の参考人招致の後にじっくり時間を取って、1回目の今日と、2回目とを合わせて委員間討議をさせていただきたいと思っていますんですが、どうでしょうか、皆さん。今日のうちに言っておきたいという方はいらっしゃいますか。
          〔発言の声なし〕

○北川委員長 大丈夫ですか。
 では、そういう形で次回に委員間討議の時間を取らせていただきたいというふうに思っています。
それから、正副委員長のほうで、少し。今後の進め方についてですけれども、2回目の参考人招致をさせていただいて、今のお話で委員間討議をさせていただいて、そこで出てきた御意見や要望について、新型コロナウイルスの感染症対策条例に関係する議論については、そこで一旦、文書で常任委員長に御意見を出して、常任委員会の中で条例が出てきたときにその議論に資するような形で活用いただくということで、提出をしたいというふうに思っております。
 ただ、条例のほうが、いつどんなものがどの段階で出てくるのか、まだちょっと見えませんので、恐らく9月の半ば以降になるのかなというふうに思いますけれども、それまで待っていてはあれですので、我々の意見は一旦そこでまとめてお出しをしたいというふうに思います。
 また、条例が出てきた段階で御意見をということであれば、それはまた皆さんで検討させていただきたいと思います。
 次回以降については、先日認めていただきました活動計画書に沿って、順次参考人招致を進めさせていただきたいというふうに思っていますので、あの順番、お手元にあればあれですけども、新型コロナウイルス感染症に関わる差別、それからインターネットによる人権侵害、続いて部落差別、それから女性・性に関する差別、そして、外国人に対する差別などと、こういう順番で10月の前後に条例をどうしていくかという議論を皆さん方に最終の方向性をまず一旦決めていただかなければなりませんので、その議論に資するための差別の実態調査というのを、それまでにきっちりと進めていきたいというふうに思っています。順番でいくと、その次には部落差別に関わっての参考人の方をお呼びしたいなというふうに思っておりますので。また、人選のほうは正副委員長で検討させていただいて、提案をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上ですけれども、何か御意見はございますでしょうか。
          〔発言の声なし〕

○北川委員長 よろしいですか。
 最後に、次回の委員会についてですが、先ほど決定をいただいたとおり、7月31日に参考人からの聞き取りのために委員会を開催いたします。
 時間等の詳細については、この後の委員協議で調整をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 御協議いただく事項は以上ですが、特に御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
          〔発言の声なし〕
 
〔閉会の宣言〕
                                               三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
                                                   差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
                                                                 北川 裕之

 


 

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