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令和2年9月16日  差別解消を目指す条例検討調査特別委員会 会議録

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差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)
 

開催年月日   令和2年9月16日(水曜日)午後1時0分~午後3時9分
会 議     601特別委員会室
出席    11名
          委員長     北川 裕之
          副委員長   山崎  博
          委員      石垣 智矢
          委員      小林 貴虎
          委員      小島 智子
          委員      山内 道明
          委員      山本 里香
          委員      稲森 稔尚
          委員      藤田 宜三
          委員      東   豊
          委員      中村 進一
欠席    なし
出席説明員   出席を求めず
参考人      1名
              三重大学名誉教授
          三重県男女共同参画審議会会長 小川 眞里子 氏
委員会書記
          議事課     主査 中西 孝朗
          企画法務課  主任 長谷川 智史
傍聴議員    2名
                    津村  衛
                    杉本 熊野
県政記者    1名
傍聴者     10名
調査事項
 1 参考人からの意見聴取について
 2 その他
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 参考人からの意見聴取について
(1)参考人意見陳述

○北川委員長 それでは、参考人からの聴き取りを行います。女性・性に関する差別について、ご説明をお願いいたします。映写の準備をいたしますので少しお待ちください。
それでは、小川様からご説明をお願いします。

○小川参考人 よろしいですか、座らせていただいて。ありがとうございます。
座ってやるなんてことはかつてないもんですから、うまくいくかどうか大変心配しておりますが、挿絵はOECDの報告書なんですが、左側、男性はエスカレーターに乗っていて、右側は女性と子どもを抱えた男性とか、ちょっと年配の人とかが階段を上っているという図です。
 差別の場面ということなんですが、女性の生涯ということで考えたときに、誕生の場面、教育、就労、国際的場面という形でざっと分けてみまして、国際的場面の後、少し科学技術関係のことが時間があればお話ししたいと思っています。
 「誕生の場面で」と書いてすぐ下に「いえ、誕生前からです」と書いたんですが、本当に女子に対する差別というのは出生前から始まってる言って過言ではないと思います。出典をつけていませんけれども、大体ユニセフ関係の文書から引いています。
 私も衝撃的だったのは、2011年のインドの国勢調査で6歳以下の子どもでは女児のほうが男児より700万人以上少ないと、それだけ女子は誕生することもなく終わっている、あるいは誕生はしてもすぐにという形ですね。最近、医学の進歩っていうのは出生前診断を普及させ、親は子どもの性を選別すると、今の日本ではと思われるかもしれませんけれども、しかし、結構まだ無意識の中に男児への執着っていうのは少なからず存在している部分、あると思います。少なくとも存在したということは、私自身の経験からしてもそうでございます。
 教育の場面です。教育を受ける権利ですけれども、これは日本では憲法で保障されていると言ってよいわけですけれども、しかし女子に関しては勉強は要らないということですね。途上国にあっては、女子用のトイレがないとか学校が遠いというようなことで、なかなか教育を受ける権利っていうのが享受できないでいる女子が多い。特に私が、申し上げたいのは、こんなことを公の場であれこれ言う人はめったにいないだろうと思いますが、生理中は学校へ行けないというこの事情ですね。
 それと、とにかく少子化であって、女性には子どもを産んでくださいとか言われますけれども、25歳や30歳になって突然子どもが産めるようになるわけではなくて、それまでの10年、15年、20年ですね。女子は毎月とにかく生理というそれを受け入れているわけです。ああ、今月も生理が始まって、わあ、うれしいなんて女の人は、私はまずめったにいないと思います。ちゃんとそういうのを毎月毎月経て女性は子どもを産むという、そういう年齢に達していくわけですから、生理に関しても貧しくてそれが手当てできない女の子には、保健室でも何でも私は手当てしてほしいと思っています。
 それから、教育を受ける権利で、不就学問題というのが特に外国人ですね。親に就学させる義務っていうのが負わされてない場合に、結構それは重要な問題として最近浮上しております。
 そして、女性と高等教育ということにいきたいと思いますが、何かにつけて女子には無理という差別っていうのは、ずっとついて回ってきたと思います。女子には無理っていうので。
 これはオリンピックの種目なんですけれども、オリンピックは1896年に始まっているんですけれども、大体正式種目になるのに100年かかっている。サッカーがいきなり男性でも最初からっていうわけではないですけれども、しかし非常に長い年月かけてようやく正式種目になっている。女子に科学は無理だとか女子に数学は無理っていうこともさんざん言われてきました。しかし、女子に無理というものはほとんどなく、能力を磨く機会がなかっただけのことだと私は考えています。
 現に、学校種類別進学率の推移っていうのを御覧いただきますと、もう現在は上のオレンジと緑色の点線ですが、ほとんど95%、6%という形で男女とも高等学校へ進学する。落ちこぼれっていうのも若干あると思いますが、進学する。その次のところが大学です。男子、これは50人とか50.7人とか出ていますが、これは100人中学校を卒業したというときに、その中で96%ぐらい、96人は高校へ行くわけですが、100人中学校を卒業して、50人ぐらいがその後大学へ行っているというデータですね。ずっと男子のほうが多いということはお分かりになると思います。この頃大分縮まってきておりますけれども、差が。非常に大きい時代があったということですね。
 しかし、世界的に見ると、男女半々どころか、多くの国で女子が上回っているということを後ほどお話ししたいと思います。
 これは、このグラフは、横軸が掛ける1000になっていますので、横軸の刻みは5万人、10万人、15万人、20万人っていう刻みになっていて、そして縦軸は年です。1968年から一番下は始まっています。私が大学に入学した年は1966年ですのでこのグラフには表示されていませんけれども、その頃女子で大学に行くっていうのは、さっきの中学校卒業100人というスケールでいけば本当に数人ですね。私は、とにかく男兄弟がいなかったので、兄がいるとか弟がいるっていう女の人は短大に行けばっていう形で、4年制の大学にはなかなか進めなかったと思います。
 各学部の種類は、この色でもって積み上げてありますのでお分かりいただけると思いますが、一番左の理工系はほとんどいませんね、昔は。そして農学もいない。保健は、結構古くからお医者さんになるという目的を持った人はいます。そして、2000年超えたあたりから水色の保健が大きく伸びているのは、看護が4年制になったからです。これは保健ですから、歯学も薬学もみんな含まれています。そして、人文は非常に大きいですね。でも年を追うごとに、相対的なウエートっていうのは小さくなっています。で、社会科学、法律とか経済ですけれども、非常に今日増えているっていうことがすぐに御覧になれると思います。
 大事なのは、後でまたこの雇用機会均等法についてお話しさせていただきますが、1985年に日本が女子差別撤廃条約を批准する一つの条件として、雇用の機会が均等であることっていうこの法律をつくることになります。その後からは、もう徐々に女子はいろんな専門分野に進んでいく意欲が持てます。
 先ほど申し上げましたように私は1966年の入学ですので、その頃は卒業するっていっても求人票は男子しかなくて、女子は求人票の掲示板に行くこともないという状況でしたね。ですから、雇用機会均等法ができたっていうのは非常に画期的なことだと思います。大変な反対の中、できたということですね。
 女子に比べて男子はどうかっていいますと、下のほうの横棒の長さが大層長いので、ちょっとごめんなさい、スケールをつけていませんが、5、10、15万人ぐらいから事は始まっているわけです。そして、景気のいいときですからすぐさま20万人、男子学生は入学するという形になって、見て御覧のとおりですね。理学部に比べて工学部のウエートが非常に大きくて、あとは法律、経済が非常に大きいと、焼け野原の日本を復興させて世界に伍していけるような国にしたのは、まさに工学部と法律、経済の我々だといった自負は、結構戦後長く私はあったように思います。こうした形で、男性と女性かなり状況が違うことを御覧いただけると思います。
 そして、これは、上の段は男子学生の学士取得者をぐっと上下に圧縮したものです。下は女子を圧縮したものです。こうして御覧になっていただきますと、工学部のウエートは本当に大きいなと思います。そして、グラフですが、女子のほうはずっと右へ行くに従ってどんどんとグラフが伸びています。男子の場合はここですね、下がっています。これは、完全に少子化の影響です。ですから、男子の場合は1996年のあたりですかをピークにして少子化の影響でだんだんと減っていると。でも女子は、男子に比べるとまだすごく少ないので、進学率が上がるという形で増加はずっと維持しています。まだ男子よりも少ない状況ですので、男子も女子も同等になれば女子はまだ増えていくと思います。
 そして、これは、20万人に達したのがいつかっていうのをちょっと見たものですが、女子は2000年になってようやく大学卒業が20万人に達しています。男子学生はっていうと、1970年代ですね、70年代頃にもう20万人に達していますから、いかに男子は男性は大学教育を受けても、女性のあなたはやめときなさいとか差別がされてきただろうと、同じように意欲を持っていても差別がされてきただろうということが御覧になれると思います。本当に今、御活躍いただく人材がこうした形でなかなかまだ十分ではないということかなと思います。若い人は本当に増えてきています。
 世界的な傾向は、女性学士が男性学士を上回っています。スウェーデンに至っては7対3ですね。入学の頃はもうちょっと拮抗していても、若干どの国でも男子学生のほうがドロップアウトしていくっていう形ですね。
 そして、その次に、6対4ぐらいの比率のところを並べました。女子学士と男性学士がほぼ拮抗しているのがトルコですが、その下の部分にいきますとインド、スイス、ドイツ、そして日本は最下位です。37か国中最下位が日本です。ええ、インドよりもそんなに少ないのと思われるかもしれませんが、結構まだ階級社会という形なので、階層が上であれば男子も女子も同等に進学してということで、インドがそんな極端に男性だけの世界ではないということですね。
 そして、これを理工系分野という形で考えますと、世界全体で女性学士が男性学士を上回る国はまだありません。でも徐々に理工系の学士の数は増えてきています。人材のダイバーシティが求められる昨今、女性の理工系は有望分野です。しかし、日本の理工系の女性学士比率は、OECD加盟国34ですか、そこの最低です。統計で見たのは若干ほかの国も加えていて、何ですか、加盟を希望している国とかいろいろありますので、37か国中最下位ですね。
 さっき男性学士、女性学士っていうだけで見ますと、韓国もなかなか男性が上回って女性が少ないんですが、韓国は近年、物すごく女性の理工系分野で活躍する人を育成しておりますので、韓国は29.7%です。日本に比べて随分これは3割近くは女性という形ですから、日本が15.4%って、まだ半分ですね。そんな状況であります。でも考えてなければいけないのは、日本の女子だけが理工系能力が低いとは思われないので、何かが足かせになっているということです。
 そして、入学差別ですね。まだまだ記憶に新しいかと思いますが、入学試験は公正であるべきだと思います。
 これが2018年の7月に露呈した事実なわけですけれども、私自身も驚いたのはこれですね。東京医科大学入試で女子一律減点に関するアンケート調査っていうのが、すぐ翌月8月に行われたんですが、理解できる、ある程度理解できると回答した人が65%いるということですね。これはやっぱり日本人として考えなきゃならないと思います。真の意味で公平とか公正が保証されなくて、結構何か状況、事情を忖度するっていいますか、それを酌み取るっていうか、そういう部分ってすごくいろんな場面にあって、よい場合もあるかもしれないですけれども、それが非常に女子の差別については足かせになるっていう部分が、足かせとして働くっていう部分があるんじゃないかなと思います。
 これが世界的なレベルで見た女性の医師比率です。オレンジ色のところがOECDの平均値で46.1%です。日本はっていいますと最下位ですね、これも。20.3%です。最下位なのに女性の医師が多過ぎて、もうこれ以上医師にしちゃ駄目だからっていうのでゲートコントロール、入学試験のところでコントロールしているっていうのが、東京医科大学だけじゃなくて幾つもの大学が挙がってきたわけです。
 でもイギリス、ドイツ、フランスってちょっとちっちゃい文字で書きましたけれども、みんな四十五、六%あるわけですよ。
 実際にイギリスのことなんですが、医療医学の女性化は医療医学の弱体化かっていう問題がイギリスで結構取り沙汰されました。あろうことか、イギリスの非常に伝統ある学会っていいますか、ロイヤルカレッジ・オブ・フィジシャンズっていう内科医協会ですね、王立内科医協会の会長が女性になったときに、その女性は考えたんですね。このままいけばもう半数は絶対女性は超えると、そうなったときに大丈夫なのかしらっていう不安をぽそりと漏らした途端に、もう一流の医学雑誌からポコポコにたたかれて、弱体化にするかしないかは私たちにかかっているんだと、制度を改革して、女性だけでなくて男性にも働きやすい職場に変革すれば十分乗り切れるということで、実際イギリスではそういう方向に向かって、現実にもう45.8%を超えて進んでいると思います。
 すぐ言われるのが、脳外科誰がする、心臓外科誰がするっていうことを言われるんですが、女性でも結構そういうことをやれるような、手術も変わってきましたね、顕微手術だとかいろいろ医療のレベルアップっていうのも後押ししていると思います。
 で、日本ですけれども、女子医師の増加は困ると、制度も働き方も変えないで現状のままで女性を差別しているというのが日本です。日本以外の国々では、はるかに大きい女性医師比率で医療をこなしている。この新型コロナウイルス感染症の流行で目覚ましい医療活動を展開していたドイツは、結構ニュースで報道されました。ドイツなんですが、イタリアやフランスから患者を受け入れてすごく頑張っていました。でもドイツの女性比率は45.2%ですよ。あんなに世界トップクラスの医療体制を女性医師比率45.2%で実現しているんですよ。日本だって、そうしようと思えばできる。でもそこに予算を投入もしなければ、いつまでたってもその場しのぎで終わってしまうと、結局女性は医師国家試験はあっても、取っても定着しないから駄目だと、初めから、じゃ、来てもらうのをやめとこうというんじゃ、世界の趨勢は女性の力を生かしてダイバーシティ社会へと変化しているのに、このままでいいのですかっていうことです。
 そして、就労の場面です。1でございます。
 あまりにひどい実態で、お見せするのも嫌になるぐらい。給与格差、非正規雇用、昇進ということですけれども、男女間の所定内給与ですね。格差の推移って、これだけ御覧になっていらっしゃると年々改善されてきているように見えるかもしれませんが、これ、世界のところへ持っていきますと、緑色のところがこれがまたOECDの平均です。日本はっていうのは、右の端がこれが韓国ですね。そして、次が日本です。やっぱり儒教文化圏というような感じで、韓国も理工系の女の子、女子学生に関してはかなり画期的な取組をしましたけれども、やっぱり男性が男尊女卑的な雰囲気っていうのは比較的引きずっているっていうのが、こうしたことからもお分かりになるかと思います。
 そして、年齢別の非正規雇用ですね。結構細かく年齢が出ているんで、これを、ざっくり見ますと35歳以上で50%以上の非正規雇用だということです。これもOECDの統計に合わせてみますと、真ん中あたりにある黒いグラフがOECDの平均です。日本は黄色です。黄色が日本です。女子の非正規雇用の割合、女子は縦のグラフが50%がトップです。男性の場合は20%がトップですので、スケールが大分違うんですけれども、とにかくでも、びりから数えたほうがうんと早いというところに位置づけているのが日本の非正規雇用の状況です。
 そして、これが就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合、国際比較というものでございます。
 一番左が日本ですね。就業者に占める女性の割合っていうのはそれほど極端に低くありませんが、問題は、この中で管理的なポジションを占めている女性の割合っていうのが14.8%です。この男女共同参画白書は2020年、ニイマルニイマル年なんですよ。これが日本のニイマルニイマルサンマルの実態です。私たちは、ニイマルニイマル年になれば女性の指導的立場にある女性は30%になるはずだと思っていましたけれども、昨年、一昨年あたりからのラストスパートも何もなく、結局このまんまでどういう回答をされるのかなと思えば、20年代のできるだけ早いうちに30%を達成するって、何か具体的な数値目標も何にもない、寝ぼけた返事になっているなっていうのが、何しろ情けなく思います。
 そして、就労の場面ということで科学技術関係で若干申し上げますと、日本は本当に科学技術立国って言っているわけですけれども、科学技術分野っていうのは非常に女性差別に満ち満ちているところです。とにかく「科学は二つの意味で女性の敵」としました。少なくとも18世紀、近代の頃から、男女の平等について科学がすごく擁護するような何かをやっているっていうよりは、男性と女性はこんなに違うんだっていう研究が大半です。そして、科学はその営みから女性を排斥してきています。
 教育の機会はもちろんですが、学会ですね。女性の高等教育は19世紀半ばぐらいからです。1662年創立の王立協会、これは、ロイヤルソサエティっていって最古ではありません。イタリアにもっと古い学会がありますから。しかし、非常に世界的に権威のある学会ですけれども、戦後になるまで、1945年まで女性会員は1人もいません。
 もっとびっくりなのは、1666年創立のフランス科学アカデミーです。初めての女性の正会員は1979年、私は、もう卒業して結婚して子どももいるわみたいな頃に初めて女性の会員。しかもこれは、フランスの科学アカデミーです。ここはマリー・キュリーが1903年にノーベル賞をもらって、さらに1911年に二つ目のノーベル賞をもらっているんです。1911年に一つ空いたポストに対して男性の候補者とマリー・キュリーとが決戦投票で争って、マリー・キュリーは落ちているんです。後にも先にもノーベル賞を化学分野で2つもらったっていう人は、マリー・キュリー以外ありません。物理学賞と平和とか、化学と平和とか、違う分野でもらう人はいますけれども、そのマリー・キュリーも女性だという、もうそれ以外考えられませんよ。差別してこういう結果になっていると。
 300年間、女性は締め出されてきているわけですから、このギャップを埋めるのは容易なことではないということです。女性を組織的に排除する営為ですね、科学とか技術が。果たして本当に価値中立なものなのかどうかというあたりが、結構科学史を専門とする私なんか関心があるわけです。
 ちょっとあんまり力み過ぎておりますので、若干雰囲気を変えまして、世界で最も人気のお人形ということで、左はバービー人形ですね。右はリカちゃん人形です。くしくも日米二つのアイドルに共通点があることを私は発見しまして、ワシントンであった国際会議のときにこれを、言ったら、結構受けました。
 要するにバービー人形のほうですけれども、1990年代にIT関係の技術でしょうね、おしゃべりするタイプが発売されたんです。多分バービー人形ですから、グッドモーニングとかいろんなせりふのレパートリーがあったと思うんですが、あろうことかマスクラス イズ パフって、算数って難しいわってこの子に言わせるせりふが入っているんですよ。それでもう女性団体から総スカンを食らって、マテル社っていう会社ですが、全部回収しました。
 そして、日本のほうもちくちくと私が、調べてみましたらば、このリカちゃん人形ですけれども、美術と音楽は得意だけれども、算数、数学は苦手という明確な記述がリカちゃんハウスっていう雑誌に書かれています。私は、思わずタカラトミーのお客様何とかに電話して聞きました。今はそんな想定にはなっていませんとは言われましたけれども、結構こういう状況ですね。女の子は数学ができない、する必要もないみたいな差別ですね。好きな人もいるんですよ、中には。
 科学分野での女性ノーベル賞受賞者です。さっき言いましたマリー・キュリーです。二つノーベル賞を取っています。マリー・キュリーとキュリーの娘、ガーティ・コリまでが第1世代と言われるんですが、同じ分野で夫と一緒に研究し、結婚して子どもを持っているっていう人たちです。第2世代は、もうちょっとそれより後の世代になるんですが、夫は全然別の分野で自分1人で、マリア・メイヤーなんかは物理学ですが、ドロシー・ホジキンは、化学ですか。ロザリン・ヤローも化学ですけれども、異分野の研究者と結婚して子どもを持っている。
 結婚して子どもを持っているっていうのは、結構ノーベル賞の初期の受賞には私は効いているなと思っています。というのは、この人たちと同じ頃に独身で物すごくノーベル賞の呼び声が高かった人がいるわけですよ。でも結局彼女はノーベル賞をもらうことなく、独身の女性たちがノーベル賞を受賞するのは第2波フェミニズムの後、1980年代以降です。ここで3人ばたばたと独身の人が続きでもらったということです。ですから、絶えず女性にはこのダブルスタンダードがかかっているなっていうことを思います。
 三重県内にもスーパーサイエンスハイスクールっていうのがありますので、ぜひ応援していただきたいと思っています。
 そして、国際的な場面でということです。
 国際的なところへ載せて統計の数値を比較する、これ重要ですけれども、国際的な条約ですね。この遵守に向けた誠実な努力っていうのは極めて重要だと思っています。
 これは、ちょっと文字が小さくてあれですけれども、とにかく1979年に女性差別撤廃条約、これはウィメンの訳ですから女子と訳す、女子が公定訳ですが、女子っていうと何となく女、子どもっていうような雰囲気なので、女性という訳も結構使われてはおります。女性差別撤廃条約が採択された。
 日本でもできるだけ早いうちにこれを批准したいと思ったわけですけれども、国籍法がまず足かせになります。父系主義、それから母系主義とか。それから、家庭科共修は何とかなるにしても、一番のネックが男女雇用機会均等法ですね。これを成立させるために赤松さんがどれほどか努力をされたわけですけれども、そして、めでたくこの法律ができて日本は要件を満たして女性差別撤廃条約の批准にこぎ着けたわけですが、日本は72番目の加盟国です。本当にやる気があるんだったら、もっとさっさと整備して、私は加盟国になってくれたらよかったのにと思いました。
 そして、さらにまだ終わっていません。日本は、女性差別撤廃条約選択議定書というのをまだ批准していません。日本は女性差別撤廃条約を批准した、批准したぞということだけで結構自慢げだったりするわけですが、それにもかかわらず条約を遵守していない部分が結構あって、この条約っていう国際条約は国家間の約束ですから、日本の法体系でいくと憲法に次いで遵守義務のあるものです。
 しかし、日本は、結構一応加盟国になったというところでなかなかきちっと条約を遵守していなくて、時折、女子差別撤廃委員会から勧告を受けています。締約国の義務の履行について、暫定的特別措置勧告なんていうのを何回か受けているわけです。特に2011年、先ほど言いましたニイマルニイマルサンマルっていうのは、2003年に男女共同参画推進本部で決定されて、その後基本計画にも書き入れられたんですけれども、このCEDAWという女子差別撤廃委員会から、もっと具体的に数値目標を掲げてしっかり詳しくやってくださいと、第3次男女共同参画基本計画にかなり詳しく盛り込まれました。
 それで、この女子差別撤廃委員会のほうも、結構満足されました。そこまでやる気ですかというような形で。私、この2011年の第3次男女共同参画基本計画っていうのは、もう亡くなられましたけれども、鈴山雅子先生が「小川さん、知ってる。こんなに詳しい数値目標を掲げて基本計画ができたんだから、本当にやる気だよね」っていうので、にこにこしておっしゃったのをよく覚えております。でも結局遠い先だからと思っていたら、あっという間に2020年になって、結局17年間経過して、日本はこの成果目標を踏み倒したと言っていいと思います。だって、去年その前に、じゃあ、ラストスパートですっていうような形で、クオータ制だとか何とかっていう、アファーマティブ・アクションですとか、そんなことはほとんど何もやんなくって、あら、2020年になっちゃったですから、ちょっと私は踏み倒したっていうぐらい言ってもいいかなというふうに思っています。
 そして、日本は、中国も選択議定書は批准しておりません。でも何かあればこれは国内事情ですから内政干渉しないでくださいっていう中国のスタンスからすると、選択議定書を批准することはないかなっていうふうに思います。アメリカがしていないということについては、国内法で十分カバーできるとか中絶に対する態度が明確でないとか、若干の理由があるようですが、既に114か国が議定書も批准しています。
 議定書を批准するっていうのはどういうことかっていいますと、個人通報制度、2番が調査制度ってありますが、個人通報制度っていうのは、国内の司法で自分は女性差別を受けたと、すごい差別を受けたと思ったときに、日本の司法では十分自分が納得いく結果が得られなかったっていうときに、国際的な場面にそれを出して判断を問うことができるっていう形です。選択議定書っていうのは、日本の多くのフェミニストっていいますか、女性は早く批准してほしいなと思っております。地方議会に批准を求める意見書の採択っていうのをあちらこちらで働きかけが行われているってのは現状です。
 そして、「科学技術の成果は女性にも公平に届いているか」ということで、ここから私の専門にちょっと近いようなところで少しだけお話しさせていただきます。
 科学技術は女性の敵だみたいなことをちょっと書きましたが、科学技術は非常に男性中心で進められてきていて、2000年になった頃からその弊害っていうのが随分明らかになってきています。特に医薬品の臨床試験、動物実験も臨床試験もほとんど雄とか男性でされてきておりますので、男性で得られた結果をそのまま女性にも適用してきた非常に長い歴史があります。
 ですから、アメリカで2000年になった頃に、10の医薬品が市場に出た途端に取り下げられるような事態が起こっていますけれども、臨床の試験や何かの過程にかなりやっぱり問題があると。一例を挙げますと、睡眠導入剤のゾルピデムですけれども、同じ服用量で明示されておりますので、女性が飲むと男性ほど速やかにそれが代謝されないもんですから朝になっても眠いということで、アメリカで居眠り運転の事例が女性のほうが5倍も多くなって、一体これは何だということで調べてみたら、女性が同じ量を飲んでいたらば朝になっても解消しないということで、女性の推奨服用量は男性の半分になって安全になったということです。
 次は、医薬品ではなくてシートベルトです。
 シートベルトは、今から60年ぐらい前にボルボ社が3点式のシートベルトっていうのを開発したんですけれども、男性身体モデルですね。身長が175センチ、体重75キロぐらいの男性の身体をモデルにしたダミーでもって衝突実験や何かが行われていて、私も背が低いので、昔なんかはシートベルトをすると首のところにかかっちゃってすごく痛いという感じでしたけれども、妊婦さんですね。おなかに赤ちゃんがいる人たちも車を運転して様々なことをしなきゃならないと、仕事に行くのもそうですけれども、非常に危険であるということです。
 それで、ようやくボルボ社のリンダというニックネームですけれども、衝突実験用のダミーとしてバーチャル妊婦が開発されて、どういうスピードでどのように衝突したらということが解明されてきたわけですけれども、安全試験に用いられる自動車衝突ダミーの多くは男性身体モデルです。ヨーロッパと合衆国だけでも毎年1300万人存在する妊娠女性はリスクを抱えたまま運転しているっていうのが、数年前に私が、国際会議でヨーロッパの人から受けた説明ですけれども、自動車自体を衝突しないような形に持っていくっていうのも一つの技術だと思いますが、そうなると急ブレーキをかけなきゃならないような事態が起こるとすれば、やっぱりシートベルトは要るんじゃないかなとちょっと思ったりします。
 それから、診断ですね。
 虚血性心疾患の男性診断は、女性の診断に役立たないということです。これは左側が若い女性、右側が男性なんですが、心筋梗塞の前触れなんていうのは、大抵ぎゅっと胸が締めつけられるっていう症状でもって受診して、そして冠動脈血管造影をすると、こんなにすごい狭窄が起こっていますねっていうことで、じゃあということになるわけですが、若い女性だとそんなに血管の狭窄が起こらないんですね。ずっと何となく不調だからといって医者に行っても、血管造影をやってみたけど狭窄は起こってないから、まあ、もう少し休養取っておうちに帰って休んでくださいと、翌朝もう亡くなっているなんていう事例が結構あってですね。若い女性は、エストロゲンっていうホルモンの関係で狭窄があまり起こらないっていうことが今日は明らかになっています。
 とにかく診断にしろ薬にしろ、男性中心のままではうまくいかないっていう部分がいっぱいあるということです。
 そして、終わりにということなんですけれども、どのようにしたら女性に対する差別をなくせるかと、女性にただ参画を許すだけでは全く不十分です。参画できる制度改革に着手するっていうのが極めて重要だと思います。例えば働き方改革です。今のまんまの状況で女性もどうぞっていうのでは、全然不十分だと思います。
 そして、COVID-19、新型コロナウイルス感染症のような新しい事態に対応することは重要ですけれども、政策現場に女性がいないと全てのしわ寄せが女性に来てしまうと、もう私たちは、この3月、4月、ずっと見てきた状況だったんですが、学校の授業がないっていうだけでなくて給食の機会も奪われていると、それから望まない妊娠の増加ですね。これも非常に大きな問題だと思います。
 あらゆる分野でニイマルニイマルサンマルの実現っていうのは、世界的にも一旦は約束しているわけですから、ぜひこれの実現を少しでも早くと思います。
 それから、選択議定書の批准を求める意見書の採択とか、それから女性化、即弱体化と考えてはならないっていうことです。多くの国で様々な分野が女性化していても、強靱化している国もあります。いろんな特許なんかでも、男性だけの研究グループで取得した特許に比べると、男女混合チームが取得した特許の経済的価値が非常に高いとか、実際にそうしたデータも上がってきております。ですから、女性化、即弱体化とはしてはならないし、もう世界は日本よりも早く、それからうんと程度を高く女性化が進んでいて、それらの国が弱体化しているかっていったら決してそんなことなく頑張っているっていうところを見ていただきたいと思います。
 そして、人権教育をしっかり行う。
 女性の参画マップ上の変化、これが参画マップですね。黄色く長いのが松阪市ですか。公務員のこうした男女共同参画マップといったものの変化というのをやっぱり見ていきたいなと思っています。紫が伊賀市ですか、何かそんなんでということであります。
 45分ですね。御清聴ありがとうございました。

○北川委員長 小川先生、ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入る前に、換気のため5分間休憩いたしますので、暫時休憩をいたします。13時51分再開とさせていただきます。
          (休  憩)

○北川委員長 それでは、休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
 それでは、先ほどの御説明を受けまして、委員の皆様から御質疑をお願いいたしたいと思います。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は、挙手により、委員長の許可を得てから御発言を願いたいと存じます。また、委員に対しては質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願いたいと思います。
 それでは、御質疑のある方は挙手をお願いいたします。

○小島委員 小川先生、本日はありがとうございました。
 聞き漏らしたのかなと思うので確認をさせてください。
 15ページのところで、理工系分野で世界全体で女性学士が男性学士を上回る国は現在ないというところの文脈で、日本の女子だけ別に能力が低いわけではないだろうと、だけれども、何かが足かせになってこの数値が出てきているんだろうというふうにおっしゃって、その後、17ページあたりで東京医科大学の入試の件で、いろんな忖度だとかが働いたんだろうというふうにおっしゃいましたけれども、何かが何かっていうのが、すごく知りたいなっていうか大事なのかなっていうふうに思うんですけれども、もう少し膨らませて御説明いただけるとありがたいなと思います。よろしくお願いします。

○小川参考人 じゃ、お答えいたします。
 母親の影響っていうのは結構大きくて、今現在、東京大学の横山広美先生を中心とするグループが調査の結果をまとめたりしておりますけれども、理系に行って、あなたどうするつもりみたいな部分ですね。女の子はやっぱり人文に行かなければ、人文っていうか文学とか、とにかく物理や数学をやってどうする気なのっていうような感じで、母親と、それから娘さんとをセットにして質問をしたりというような研究を今現在進めていらっしゃるところですけれども、結構お母さんの影響っていうのが強く働いていて、多分諸外国では、あなたが好きなことをやればいいのよみたいな教育のプロセスがあるのに対して、日本だと結構そういうことが言われるという部分ですよね。理工系に対する偏見っていいますか。私は、理系に進学するときには、あのグラフの一番下からさらに2年早い1966年ですから、女で理系に行って何するつもりだって担任の先生に言われていますから、結構そういう部分があるんじゃないかなと思います。
 そして、必要なことはやっぱりエンカレッジですね。お母さんが女の子が家事がうまかったりすると「あら、上手ね、いいお母さんになれると思うわ」みたいなのがあっても、女の子がすごく天文学に興味を持つとか、理系の数学の何かみたいなときに、じゃ、すごく褒めるかっていうと、男の子ができた場合に比べるとやっぱり褒め方が全然足りなかったりとか、細かに見ていくとそうしたことがいっぱいあるんじゃないかなというふうに思っています。エンカレッジされる、されない、励まされるということはすごく大事なことだと思います。どんな天才でも誰も励ますことなく天才になってくる人はいないんで、生得的な能力だなんていうことも結構言われますけれども、何をもってそうするかっていう部分も、理系なんか割合とそういうことが言われますけれども、物理とか数学とか。でも生得的な能力っていうのも、よい師に巡り会うとかいろんなことが重要で、女性の理系の先生が少ないというのは、日本は少ないわけですから、そうするとロールモデルがいないというようなことになりますので悪循環で、理系の女性が少なければ理系の女性の先生も少ないということで悪循環ということもあると思います。ロールモデルは非常に重要だと思いますということでよろしいでしょうか。

○小島委員 ありがとうございました。
 世代を経て教育等も入りながら、それがどんなふうに変わってくるかっていうのが大きなことだと思いますが、現実問題そんなに大きな変革は起こっていないという一連のお話だったかなというふうに思います。アンコンシャス・バイアスと言われる、本当にそうとは思わずに植えつけられているものが女性自身にもあるのかなというふうに思わせていただきました。
 ありがとうございます。また、後ほど質問させていただきます。

○北川委員長 続いて、御質疑のある方。

○山本委員 今日はありがとうございます。
 私自身が女性差別撤廃条約からの流れの時代に、学生時代から勤めてというそういう流れの中におりますので、本当にニイマルニイマルサンマル、これがもっと早く、あと結婚の別姓の問題も早く進むのかなと当時期待をしておりましたけれども、それがなかなかという中で、今日理論的に御説明いただいたのが教育の場面、就労の場面、国際的な場面でというデータを基に客観的な話だったと思うんですけれども、先ほども母親のというお話がありましたが、教育とか就労とか国際的な場面がずっと輪廻する中で家庭生活、つまり誕生の場面などのことですよね。家庭であるとか母親、家族、あとは地域社会がまた形づくられていっていると、先ほどの忖度のような因習のようなそんな中で、地域差もあると思いますし、私たちの親の世代こそ女性が教育を受けることが本当に阻まれたので、逆に自分の子どもにはそういうことは言わないでおこうという反対、反面教師みたいなこととかがないまぜになっているこの時代が続いてきて、今これからは大分変っていくとは思うんですが、結局施策的に整備をしないと、家庭の問題も地域の問題も教育、就労、国際的な問題と絡めて進んでいかないよというお話だったと思うんです。
 ちょっとここで説明していただけなかった家庭とか地域での女性差別の、そしてこれを改善していくためのネックというか、それはやっぱりどういうところにあるんでしょうか。家庭生活って私は、とっても大事だと思うんです。子どもが大人に人間になっていくための、そこのところをどういうふうにと考えてみえますか。

○小川参考人 お答えします。
 世間的には大層男女平等なジェントルマンであっても、うちへ帰れば奥さんはほとんど、何ていうんでしょうか、命令一下のごとくっていうような男性もたくさんいらっしゃいましたので、建前っていうのと、家庭は結構本音の部分になりますので、本音っていうところで、どれだけ建て前と本音っていうもののギャップを減らしていって、男性が外でほかの女性に対して接しているような形のことをおうちでもきちんと奥さんと同等にやっていけば、子どもはそれを見て育つという形になりますので。
 それと、そうですね、私が、ぱっと思い浮かぶのはそんな感じですね。とにかく私も女ばかりのきょうだいだったので進学できたという話をしましたけれども、やっぱり親が男の子も女の子も平等に育てるというその覚悟を持っていて、父親もそうした形で同じような教育方針を持っていれば、子どもに対する差別、女の子だからというような形のことは随分軽減されると思いますけれども、そこのあたりの男女で夫婦でそれを歩調を合わせてやるっていうことと、同時に社会の側でも、男の子を持とうと女の子を持とうと同じような、男の子を持ったからすごく得して、女の子を持ったらすごく得するようなギャップがないほうがいいと思いますね。この頃はむしろ女の子を親御さんが持ちたいと言われる方も結構多いと思いますけれども、長い老後を娘だったらば近くに住んでくれてみたいなこととか、いろんなそれこそ思惑からそういうことが言われたりしますけれども、女の子を育てても男の子を育てても同じようなこと、うちを継ぐとか継がないとかっていうんじゃなくて、全てが両性に平等に開かれていれば家庭内でもそうした対処ができるんじゃないかなと、平等な対処ができるんじゃないかなというふうに思います。
 現実、私なんかも、九十何歳かになって亡くなった母が90過ぎたくらいにぼそっと、私も大学行きたかったわというような、でも姉が1人いて弟が2人いて、それは無理だよねって言ったのはとても印象に残っていますけれども、できる子にはそうした、女の子であろうと男の子であろうと、その人がその子が自分の能力を開発したいと思う方向に存分に才能を伸ばすことができたらとてもいいと思います。
 それは、家庭内でも、男の子にも女の子にも同じように接することは大事ですし、夫と妻の関係もそうした平等な関係でなくてはならないだろうと、子も親を見て育ちますし、重要じゃないかなと思います。
 もう本当にそうですね。父親が母親をばかにしたことを言っていれば、男の子は女の人にはそういうふうに接していいんだみたいになっちゃうんで、やっぱり父親も心してほしいと思います。平等にあってほしいと思います。すいません。

○北川委員長 よろしいですか、山本委員。

○山本委員 はい、ありがとうございます。

○北川委員長 続いて、御質疑のある方。

○山内委員 今日は大変ありがとうございました。
 小川先生のお話を聞かせていただいて、私自身も本当に反省をすべきところもたくさんあるなということも、本当に改めて実感をさせていただいております。
 その中でちょっと質問させていただきたいんですけども、OECD諸国と日本のそれぞれの関係性を教えていただいたんですが、決定的にOECDの各諸外国と日本の違いですね。これは何に起因するものかっていうのは、例えば人権感覚であるのか、これまでの取組であるのかっていう部分と、過去には諸外国も男女の格差があった時代が仮にあったとすると、現在に至る過程においてこのまま日本が進むと、諸外国のように格差が是正されていくものなのかどうかという希望的観測を持っていいのかどうかっていうところが心配になってくるというところを思っています。そういったところの今後のちょっと予測というか方向性を教えていただきたいのと、あとは、この問題は自分自身も男性という立場で圧倒的に男性の問題だというふうに自覚はしておるんですが、男性に対して具体的に求めるところというか、社会においてですね。何かそういったものというかメッセージがあれば教えていただきたいんですけれども。

○小川参考人 OECD加盟国の中で、やっぱり韓国と日本って若干ほかとは違うという形で、やはり非常に長い間の儒教文化の影響っていうのは根強く残っているんだろうなということを思います。絶えず最下位は韓国になるか日本になるかみたいな部分があって、先ほどの理系の専攻の女子学生の比率というのは韓国はもうこのところ目覚ましく伸びましたけれども、それは意図的に結構韓国が頑張ったっていう成果なんですね。ですから、分かっておけば割合とこの儒教文化圏というのは、OECDの34か国の中でも若干やっぱりいつも外れた形になりますので、そうした影響というのはないとは言えないと思います。
 そして、やはり人権といったところにきっちり立ち返って男女の平等というのを築いていこうという意思を持つか持たないかっていうところにかかっていると思います。日本が女子の帝国大学生を受け入れ始めた頃に東北大学で物理学を希望した女子学生がいたんですけれども、東北大学側が断った理由は、物理学は物理実験で男子と組んで暗室の実験が必修であると、女子が来てくれるとそれができないから、だから数学に変更してくださいという形で断るわけですけれども、女子にも物理学を学びたいというその権利があるから、何とかカリキュラムのところで工夫をしようという方向に思考は働かなくて、うちはこうですっていうその大前提は一歩も譲らず、女子が入ってくると困るからという。ほとんど全てのいろんな場面でそういう形ですよね。
 ですから、先ほど申し上げたように同等の権利がありますというだけじゃなくて、やっぱり女子も参加していかれるような制度づくりというのはすごく重要で、特に理系分野に女子を組み入れたいというのは世界的な大きな流れとしてありまして、やっぱりダイバーシティという形でなければ本当によい科学研究というのは推進できないということが、ほぼほぼもう合意事項として出来上がっているんで、とにかく制度を変えますと。寝泊まりして汚いままで、風呂なんか入らずにずっと実験を続けているみたいな実験室じゃなくて、女子学生も来て楽しく実験ができるようなことにするとかですね。徹夜でなきゃやれないようなんじゃなくて、ちゃんと分担してできるようにするとか、制度の部分を女子にもフィットするように変えて女性の参入を促すということをほかの国はやって、やっぱり増やしているわけですよ。日本は本当にまだまだ、かなりそれは増えましたよ。文部科学省の女性研究者支援モデル育成とか加速プログラムとかいろんな、文部省も2006年、8年の頃から予算をつぎ込んで増やしてきていますから増えてはきていますけれども、その伸びというのが諸外国に比べると非常に遅れているというのは確かだと思います。
 やっぱり基本は、原則人権とか公平とか公正とか、そういう部分に価値を置いて判断するっていうことが極めて重要だと思います。
 私は、東京医科大学の差別があったときに、結構な人が理解できると、そりゃそうだろうな、辞めてしまうんであれば国費の無駄遣いになるからみたいな形で門前払いしてしまうというようなことではなくて、女子にもその権利があると。男女雇用機会均等法がつくられるプロセスというのは、企業経営者は女性差別しているから日本のこの現在の反映はあるんだと、女性差別しなかったら全然日本の産業なんか成り行かないよというような形で、赤松さんなんかはノイローゼになるようなぐらい、あちらこちらでさんざんたたかれたわけですね。でも原理原則は、女性にも働く権利があるというところですよね。そこを女性にも労働の権利があるという、人権の一番大本に立ち返って、だって必ずしも独身の女性だけじゃなくて親を面倒見なきゃならない女の子もいれば、弟や何かの学費のことで働かなきゃならないとか、いろんな事情を抱えた女の人がいるのに、何か女性っていうと、もうとにかく奥さんで子どもがいてみたいな典型的なパターンだけで考えているという、その何というかかたくなさみたいな、もっと一人ひとり自由に生きていいんだみたいな合意が日本ではなかなか形成されないかなというふうには思いますね。漠然と見ていての話ですが。

○山内委員 ありがとうございました。

○北川委員長 男性に求めるところというのは、どうなんでしょう。

○小川参考人 制度改革云々っていうのも、基本はまず男性社会になってしまっているわけですから、男性が踏み出さないことには制度も変わってはいきませんよね。でも個人個人の男性でそうできるかどうかっていうのは若干難しいかもしれませんけれども、しかし既に既得権みたいなのを獲得している男性が、少々痛みを伴ってもダイバーシティのほうにかじを切るべきだという、そういう意識は極めて私は重要だというふうに思います。それは、男性、女性だけに限らずですね。障がいを持った人にしても何にしても、いろんな様々な人が関わることによってより優れた成果が上がるということは、何というんでしょうか、かなり信念に近く、世界的には合意の得られていることだというふうに思います。

○山内委員 ありがとうございました。
 最後の痛みを伴ってもというところが、非常に私自身共感するところでありまして、それぐらいの意識を持って取り組んでいかないといけないという、改めて実感させていただきました。ありがとうございました。

○北川委員長 続いていかがでしょうか。

○中村委員 先生、今日はありがとうございました。
 今日はどんなお話かなと思って楽しみに参加しているんですけれども、出席しているんですけれども、来る前にちょっと日本の女性差別のいわゆる流れみたいなものを少しネットでも見てきたんですけど、まさに日本国憲法で個人の尊重、13条ですか、それから14条の法の下の平等、これをそのまま読んどったら、日本が何とこの72番目の加盟国、いわゆる女性差別撤廃条約の批准に72番目ってとても考えられない落差をちょっと感じるんです。
 先生、72番目になってしまったっていうのは、やっぱり日本の何ていうんか、古い慣習か、あるいは先生が今おっしゃいましたそれぞれの企業の思いみたいなものがあってなのか、その辺をもうちょっと詳しく教えていただきたいのと、あと選択議定書の二つの制度とここに上げてもらってありますけれども、この辺との、自転車の絵が非常によく分かりやすいんで、せっかく批准したけれども、後ろの輪っかがパンクしとんのか故障しとんのかわかりませんけれども、この辺もうちょっと詳しく教えていただけませんでしょうか。

○小川参考人 女性差別撤廃条約なんですが、72番目にもなっちゃった理由としては、差別撤廃条約を批准する前提となる部分が日本には整備されていなかったということで、スライドに書いております72番目のスライドの次の次ですかね。家庭科の男女共修ということと、父系優先血統主義から両系、要するにお母さんが日本人では日本国籍を取れない、お父さんが日本人でないとというようなところをきちっと整理する両性主義にすると、両系血統主義にすると、それから労働分野の機会均等法ですね。
 ですから、1985年にこれが発効することによって、日本は条件がそろって女子差別撤廃条約を批准することができたということで72番目に、もちろんもっとスピードを上げてこれらを整備してくれればもっと早くになったかと思いますが、1979年に条約の採択がされて、6年間かかってそこにこぎ着けたんですが、もっと大変なのはその次ですね。
 この選択議定書、既に114か国は批准しているんですよ。ですから、日本が超スピードで批准したとしても115番目以下になることは、もういや応ない事実です。既に批准しているところが114か国あるわけですから、これに伴う幾つかの法的整備というのを私はあまり知らないんですけれども、しようという、したいということ、日本としては、日本の司法制度は極めて信頼できて公正なものだから、ここで駄目だったからといって国際世界に訴え出るなんていうことは、日本の恥だみたいな、メンツが潰れるみたいな部分があるのかもしれないと思うんですけれども、でもとっても私どもも、ここ何年間かの判決の様子を見ていて、こんな判決が出るんだと思う場面というのはありますので、この選択議定書というのが採択されればそうした事案を国際法廷に持ち込むことができるということで、何も日本のメンツが潰れるなんて思わなくてやってくださったらいいと思います。だって、なかなかそうばっかりも言ってられないではないかと思いますよ。だって、何でもイエスマンみたいな人が最高裁の長官なんかにもしなっちゃったりしたらどうなるのかななんて思ったりすると、やっぱり安全のネットっていうのはかけておくにこしたことないような気がしますけれど。

○中村委員 ありがとうございます。
 今からでも115番目ということで、同じことを繰り返しとるような感じもしますけども、日本の男女共同参画に対する民度が現れているのかなと思ったり、ちょっと気になるんですけれども、私自身はこの特別委員会で、何とかそういったことを地方から、地方議会から変えていって、そしてせめて条例とかそういったもので三重県県民としての思いというんかな、そんなものを発信できへんだろうか、そんな思いで今こうやって座っているんですけれども、先生に、もし我々が条例を検討していくに当たって、女性差別撤廃の視点から、こんなことは絶対入れといてもらわないかんなとか、そんなんがちょっとあれば教えていただきたいと思います。

○小川参考人 もちろんこの選択議定書というのを地方の議会からぜひ批准するようにというような形に持っていくことができたら、すばらしいと思います。
 そして、じゃあ、批准したらオーケーかといいますと、日本は72番目の加盟国ですという後にちょっとお話ししましたけれども、本当にちゃんと遵守してなければ、CEDAWというところから委員会から結構勧告を受けるんです。日本は、結構何度か勧告を受けています。条約は批准したけれども、守っていませんねと。だから、ニイマルニイマルサンマルなんかでもとてもいい数値目標をぴったり掲げて細かにやって、第3次の男女共同参画基本計画っていうので、国際委員会のほうはよくやったという気分で引き下がられたわけですけれども、結局何か目標が17年というか10年ぐらい先のことなので、何ていうんでしょうか、そのうちできるだろうぐらいの形でやっているわけですけれども、国際条約に関してはちゃんと誠実にそれを履行していないということになるかと思います。
 ですから、115番目でもいいんですけれども、批准した以上はやっぱりそれをちゃんと誠実に守るよう、守ることができるように絶えず努力していかなければ、後退しちゃうんじゃないかなというふうに思います。

○中村委員 ありがとうございました。また、いろいろ御指導ください。

○北川委員長 委員の皆さんにあらかじめお願いさせてもらっておきますが、冒頭にお話ししたとおり参考人招致は90分ということで、その後また、小川参考人におかれては授業もあるということでございますので、残りあと8分少々になりますけれども、何人いらっしゃいますか、質問の方が、4人。できるだけ簡潔にお願いしてよろしいですか。

○藤田委員 ありがとうございました。
 もう本当に反省多々でございまして、先ほど中村委員のほうから、ちょっと私が、聞き漏らしたのかなというふうに思うんですが、条例ということをどうしようかというそもそもの委員会なんですが、これだけは言うておけっていうようなことが、先ほど何でしたっけ、選択議定書の話をされましたけれども、ほかに何かこういう項目っていうのは入れておくべきだっていうようなことがあれば、追加してお伺いしたいなと思いました。

○小川参考人 私としては、夢にまで見ておりましたニイマルニイマルサンマルですから、やっぱり三重県内でこれをどういう形で達成していくかという、もう少し可能な限り早い時期になんていう形ではなくて、何か具体的な数値目標を立てて実行していただけるような道筋をつけていただけたらとてもいいなというふうに思います。

○北川委員長 よろしいでしょうか。できたら次に移ります。

○藤田委員 どうぞ結構です。

○稲森委員 すみません、本当に反省するべきところが多くて、自分の子どもにすごく悪いもんを見せてきた、悪い男性像を見せてきたんだなというふうに思いました。それから、いろんな差別がいろんな人の可能性を奪ったり、いろんな社会や地域の発展を妨げてきたんだなというふうなことも改めて思いました。
 ジェンダー平等とか、あるいは夫婦別姓を実現していくことや、あるいは同性婚とかという話でも必ず出てくるのが、一つの世帯というものを単位にした伝統的な家族観を持っているところへどういうふうに働きかけていくかというようなことが課題かなというふうに思うんですけれども、例えば国技である大相撲で女性が土俵に上がってはいけないとかっていう、そういう民衆文化的なところも含めて、そういうところへの価値観というものにどういうふうにアプローチをしていったらいいのかっていうふうに悩むわけなんですけども、その辺はどのようにお考えでしょうか。

○小川参考人 いいのかな。私個人としては、上がって別にいいじゃないのというふうに思います。だって、理事長がじゃ、絶対女性にならないっていうことなんですか。女性になることがもしもあったらどうするんですかと思いますし、基本的に男性にオーケーなことは女性にもオーケーという形になっていくのがいいなというふうに私は考えております。

○北川委員長 よろしいですか。

○稲森委員 ありがとうございます。

○小林委員 後段少しお話しされていた様々な法廷での判決があってということで、個人通報制度を使用しなければならないというふうに思われるような事例がありましたら、中身は後で調べれば調べられますので、事例を幾つかいただけるとありがたいんですけど、お願いします。

○小川参考人 一番ショックを受けたのは、父親から性的な虐待を受けていた女性ですね、娘がそれの判決でもって父親のほうが無罪になると、全く何も問われないっていうような状況にあったときに、私は、岡崎の事例っていうのはこんな形でおしまいになるのかしらっていうことはすごく思いました。これは、最も信頼する、信頼して心を許している父親がそういう状況であるということについて、日本のあの裁判というものについて不服に思うのは、多くの女性が唖然としたという状況だったのではないかと私は思っていますけれども、そうした事柄だって、そうなれば外に向かって訴えていくことはできると思いますけれど。

○小林委員 ありがとうございました。

○北川委員長 よろしいですか。

○小島委員 すみません、質問というかこういう考え方でしょうかという確認というか。
 いろんな制度が要るとかいうことをお聞かせいただきました。実験室で徹夜してなんていう話も聞きましたけれども、ずっといろいろお話を聞いていると、今反省をされた方は何人か、男性だというふうに自認してらっしゃる方の中にいらっしゃったけれども、でもこれはやっぱり大きく考えると過渡期で、本当に全ての人が生きやすいとか、男性であっても徹夜して実験をするのがしんどい方はたくさんいらっしゃるわけで、そういうことではないよねっていうことなんだろうというふうに思うので、私どもは、差別解消を目指す条例検討調査特別委員会という形で、今日小川先生に来ていただいたわけですので。今この場は女性に対する差別をいろんなことを教えをいただいて考えさせていただいたけれども、究極目的としては、ユニバーサルなというか、そういう社会を人権教育も含め、いろんな制度を具体に入れることも含め、目指していけばいいのかなというふうに自分としては最終的に捉えたんですが、先生、最終的にはそこが落としどころっていうことでいいですかという言い方が変ですけども、いかがでしょうか。

○小川参考人 私も、立ち返るべき原点は、やっぱりどの人も持っている人権というそこだと思います。そこの部分が貫かれることが重要で、それに対して、途中で辞めるだとか家庭を持つだろうとか子どもを持つだろうとか、いろんな忖度をしていただく必要はなくて、原理原則をまず貫くということが極めて重要だと思います。その先のことは分かりませんし。
 それと、過去に女性が結構仕事が続けられなかったりというようなことを前例として判断してはならないと思います。今現在の若い女性は、もっと私たちよりもアンコンシャス・バイアスにとらわれないで、もっと伸び伸びとやっている部分もありますので、とにかく原理原則ですよね。本当に原理原則に立ち返って、公正、公平、正義を貫いてほしいと思っております。

○北川委員長 ありがとうございます。
 まだお聞きしたい方もあっていただくかもわかりませんが、当初60分ということで設定をさせていただきましたので、以上で参考人からの聞き取り調査を終わらせていただきます。
 それでは、この際、参考人に対して委員会を代表して一言御礼を申し上げたいと思います。
 本日はお忙しい中、本委員会のために御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。本日いただきました貴重な御意見、今後の委員会での議論にしっかりと反映して役立てていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
 それでは、参考人が退出をされますが、換気も含めて休憩とさせていただいて、再開は14時40分とさせていただきます。
          〔参考人 退席〕

○北川委員長 それでは、暫時休憩いたします。
          (休  憩)

2 委員間討議

○北川委員長 それでは、委員会を再開させていただきます。
 次に、委員間討議を行います。委員間討議は引き続き公開で行いますので、御留意の上、御発言願います。
 まずは、本日の調査内容、参考人の方からの聞き取りに関して御意見がある方はお願いいたします。

○山本委員 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、今まで課題別のような形で、今日は女性差別の問題というテーマで今までの継続してある中の一つなんですが、先ほどの最後のほうにも小島委員からも出ましたけど、女性の問題っていうのは、女性の問題だけではなくて男性の問題でもあるといことがこの話の中でも認識もされてきたわけだし、全体の差別はどれも性差で分けられるものではないということもあるんですが、今日は何というかな、特に特化して女性差別の問題でお話を聞きましたけど、経過など。それ以外の女性、男性、性に関わる部分の問題とかについては、今日、性被害のことも少し出ましたが、今後どのようにこの委員会で扱っていかれる。例えば今日のお話は参考人の方のお話だったけど、それよりもう少し広い範囲のとこまでここの委員会で今論議をするのか、どういうふうに今後進められるのか。

○北川委員長 実はそのことについては、まず、今、女性差別の小川先生のお話を受けての御意見を賜った後にちょっと議論させていただこうかなと思っていた点ですので、先にできましたら小川先生の内容について、もちろんこの後、条例の様々な議論をしていただく中で述べていただくわけですけども、今日聞いていただいた段階で、ちょっとこれは大事だから言っときたいとか、気に留めるところで押さえておきたいとかですね。そういうところの御意見があれば先に出しておいていただきたいですけれども、ございますか。

○石垣委員 小川先生からいろいろとお話を聞かせていただいて、我々は、差別解消を目指す条例検討調査特別委員会という形で女性差別についていろいろとお話を聞かせていただく、この1回では本当に、もっともっと深堀りといいますか、いろんなお話を聞かせていただかなければならないような課題がたくさんあるのかなということを率直に感じさせていただきました。
 今回思うに、小川先生からお話しをしていただいたのは、教育の場面でという一つの課題と、あと就労の場面というこの二つのテーマに沿っていろいろとお話しをしていただいたのかなというふうに思うんですが、やはりそれぞれの中でいろいろと細かなところで知らないところで差別というのが行われているっていうのを我々が、聞かせていただいたというのは、これはやはり我々51人の議員自体がしっかりと共有を図るべきなのかなというふうに思いますし、また、それぞれ担当課に分かれて三重県の対策であるだとかというところも厳密に皆さんが知った上で、じゃ、県としてどうするのかっていうところまで我々が何かしら考えていかなければならない部分かなと思いました。
 ですので、この特別委員会にとどまらず、やはり情報共有というところは、しっかりと議員間の中でさせていただく必要があるなというふうに感じましたので、ぜひともここで少し発言をさせていただきたいと思って、今言わせていただいた次第であります。

○北川委員長 ありがとうございます。
 条例の議論というのは、当然、委員会は今別になっていますけども、51人の全体で意思形成していくものなので、そういう意味では様々な過程は情報共有はしていかなきゃいけませんので。何らかの形で、またその辺りは工夫をしていきたいと思いますし、まだまだ前にも御意見をいただいていますけれども、執行部の意見聞き取りも、こうやってずっと聞いていると、これも聞いときたい、あれも聞いときたいという追加のジャンルが内容が幾つも、多分皆さん方の頭の中に出てきていると思いますので、それについては前にもお話しさせていただいたように、再度また聞き取りを行うということも、これは正副委員長で相談してですけれども、考えていきたいというふうに思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
          〔発言する声なし〕

○北川委員長 小川先生の件ではよろしいですか、取りあえずは。
 それから、二つ目に、ちょっと整理をさせておいていただきたいことがありまして、それは何かといいますと、今日は、女性差別をお話ししていただいたわけですけれども、もともとの活動計画書ではずっと新型コロナウイルス感染症、それからインターネット上の人権侵害、部落差別、女性・性に関する差別で、次にまた外国人に対する差別を参考人招致として続けていくわけですけれども、女性、中ポツ性に関する差別というふうに当初の計画で皆さんに合意をいただいてしているんですよね。ただ、女性中ポツの後の性に関する差別、ここの部分をどういう範疇、どういうものとして受け止めて調査の対象とするかというところは、実は議論ができてなくて。
 例えばこの部分を性暴力とか性犯罪だとか、そういう部分の課題だというふうに認識されている方もいらっしゃれば、性に関する差別のところをLGBTに関わっての課題だというふうに考えていただいていた方もいらっしゃるでしょうし、そこの整理ってあまり明確にしなかったもんですから、そこの部分をちょっと整理しておきたいという思いがありまして、皆さん方からの御意見をいただきたいなというふうに思うんですけども、いかがでしょうか。

○山本委員 先ほど発言もさせてもらったのは、今日のお話も大変理論的でよく認識できたしなんですけど、一番初めの何をやりたいかっていうときに出たときに、私のほうから出させてもらったのは、もちろん女性差別という厳然と今までの歴史的に確立している差別のテーマはあるんだけど、今は女性差別の中でももっと広がっていて、女性、男性だけでは分けられない部分もあるし、性に関わるというのはそういうことで初め言葉がついたんだと思うんです。
 だから、LGBTであるとか、SOGIと今、言いますけども、そこのところはやっぱり性にまつわることにおける自己の問題、それぞれの個人の問題としての問題で、今とても大切で、これからに向けて考えるとすれば、これからに向けて考えることをしなければいけないので大切なことだと思うし、先ほども出ました性被害の問題については、これは何も女性、もちろん女性が被害者であることは多いですけれども、女性とは限らず子ども、あるいは男性に対するということもあって、男性が女性からのいろいろなことで悩まれている方もあったりするので、性に関わるということの中でもう少し広く今後に向けて示せるような、そうようなことにしなければいけないと思っています。
 ですから、その聞き取りの仕方、学習の仕方っていうのは、難しい部分がある部分もあると思うんですけれども、何らかの形でテーマの中に広げて入れていかなければいけないなとは思っています。

○北川委員長 山本委員が言われる部分っていうのは、かなり幅が広いお話ということでよろしいですね。LGBTもあれば、犯罪は別ですけども、性暴力や性被害的なものも、それで男女も含めてかなり広い範囲ですよね。特に対象は絞らなくてということですね。

○山本委員 今、私のイメージの中にあるのはその三つですよね。大きくは性自認や、それからそういったLGBT、SOGIの関係の問題。それによる様々な被害が出ている、差別が出ているという問題と、それから性被害による差別というのも今大変問題となっている。それから、それ以外で何ていうかな、DVなんかでいくと女性の相談窓口なんかはあったりして確立した部分があるんですが、逆DVというこの言い方が正しいかどうか分かりません。一般的に言われている、そういうところでの手立てが大変薄いようにも思うので、それは差別というこの中に広い範囲の中に入れれば入ってくると思うんですね。
 だから、性に関わるということでいえば、これらは全て入ると思うんです。それ以外は、ちょっと今のところ頭に考えられませんが、ほかにもあるかもしれません。

○北川委員長 我々は、差別の解消を目指す条例の検討会ですので、どの分野にしてもベースはそこに差別の概念があるということが前提になると思いますので、そういう意味で、おっしゃっていただいたLGBTなりSOGIなり性被害やDV、この分野は確かに根底には性に関わっての差別意識が別にあると考えられますので、範疇としては入ってくるとは考えられますけれども、これはまた皆さんの御意見も聞かせていただいてというふうに思いますが、先に。

○小林委員 この特別委員会の最初のときの議論を思い返したときに、あそこに点をつけるのか点をつけないのかということで議論をした記憶があります。委員長は、はっきり決めなかったというふうに言われたと思いますので、私の意識だけはお話しをさせていただければと思いますが、女性以外の性ということで男性は当然含まれるんですが、ここが差別というものを前提にしているわけで、その対象者として私が意識していたのは、いわゆる性的指向であったりとか性の自認が一般的でない方々を含めてのことの議論だというふうに認識をしておりましたので、ぜひよろしくお願いします。

○北川委員長 ほかに御意見はどうですか。

○小島委員 性被害の話を出していただきましたけれども、できるだけその立場にある方に本当は話を聞くのが理想だけれども、これはなかなか難しいので、これは私は、よりこからの聞き取りで執行部側ということでいけるのではないかと個人的に思います。
 それから、多様な性の在り方はやっぱり問題だというふうに思っています。今、LGBTの検討会が行われていて、2回目を傍聴させていただきましたけれども、それぞれかなりいろんな立場の専門家の方が本当に御自分の考えを述べながら、けんけんがくがくとやっていらっしゃる状況です。
 ただその中で、もうちょっと聞きたいけど聞けんなと思っているところは、私としてはやっぱり当事者の思いです。明かしながら活動してらっしゃる方が三重県にもいらっしゃるし、その方も委員さんとして入っていただいているので、そういう形であればこれは完全に否定するものではないというふうに思ってはいます。DVも同じように執行部側からかなというふうには思いますけれども、そんなふうには考えています。

○北川委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○石垣委員 小川先生も、今日一番最後の部分で言われた言葉が僕は全てだと思っていたんですが、最終的にお話しをされたのが全ての人が持っている人権を貫くことが大事なんだというお話でした。なので、性別にとどまることがないというのがまさしく小川先生が一番言いたかったところなのかなというふうに思っております。
 ジェンダー平等を実現しようという題目の中で今日もお話しをされておられましたので、やはりそれは性別がどうこうではなくという考え方からいきますと、性自認の部分に関するところを差別解消を目指す条例検討調査特別委員会では取り上げさせていただくということが、一番私はしなければならないところなのかなというふうに思っておりますので、ぜひそこの部分を参考人の方々にお話しをしていただきたいなというふうに思っているのが私の思いであります。

○北川委員長 ほかの方はいかがでしょうか。

○藤田委員 今、LGBTに関しては、条例をつくろうということで執行部が動いていただいとるわけですよね。恐らく私どもの所属している環境生活農林水産常任委員会のところで審議していくんだろうというふうに思っているんですが、先ほどおっしゃった石垣委員も同じく環境生活農林水産常任委員ですので、議会としてどう対応していくのかという話になれば、これはやっぱり常任委員会の領域を越えてというのはいかがなもんかなというふうには私は思いますけどね。もしあれが必要であれば、常任委員会で呼んで聞くという方法はあるのかなというふうに思いますけども、新型コロナウイルス感染症に関しては私どものほうから申入れはしましたけども、これは代表者会議の中でコロナに関わってというところが一つの大きな項目になっていましたから、取り上げて意見書を渡したという経過がありますけども、LGBTに関しては、冒頭申し上げたように執行部のほうが検討委員会も設けて、かなりの方から意見を聞いていただいておるわけですので、それは議会と違いますからね。我々のほうでという話があったとしてもやるのは常任委員会かなと、私は議会運営上そういうふうに理解しますけれども、ここのメンバーで4人いらっしゃるわけですから、それはそういう形で進めていくというのが議会のやり方かなと、私は個人的に思いますけど。

○石垣委員 私も藤田委員と同じ常任委員会ですので、そちらのLGBT等の部分の条例検討の部分はそちらでさせていただくのが、間違いなくおっしゃるとおりだとは思うんですが、今回はこれは別にLGBT等の差別解消を目指す条例検討ではなくて、あくまでも様々な差別解消という意味での特別委員会であると思っていますので、それとはちょっとまた別物のここは協議をする場所なのかなというふうに思っておりました。
 ですので、それぞれ今回も就労の場面であったりとか教育の場面でという中での話っていうのは、じゃ、それぞれの常任委員会でということではなくて、あくまでも全体的な差別というものを聞くに当たっては、この特別委員会で様々な分野を私は聞く必要があるのかなと思いましたので、ぜひその方々のお話を聞きたいと、そういう意味合いで私もお話をさせていただきました。

○北川委員長 ほかにどうでしょう。
          〔発言する声なし〕

○北川委員長 ほかに意見がなければ、活動計画書について当初決めさせていただいて、重点項目の1番に各分野別に上げさせていただきましたよね。その中の女性中ポツ性に関する差別って、ここの差別っていうのは、いろんな意味で皆さんに今おっしゃっていただいたように差別としての課題はありますので、ここからあえて外す理由はないのかなというふうに思っているんですね、項目としては。
 ただ一方で、LGBTとの分野に限っていえば、これは既に執行部がLGBTの条例を策定中で検討会議も2回開催いただいて、私はちょっと1回目しか行けませんでしたけれども、議論が進んでいるという中で、議会が先ほど51人全体でという議論からいけば、そこが今担っていただいている形ですので、その議論の審議を議会全体で、我々特別委員会も含めて見守っていくっていうのが筋ではないかなというふうに思わせていただいています。
 ただおっしゃっていただいたのは、例えば環境生活農林水産常任委員会のほうでLGBTに関わって参考人招致をされるとかいうふうなときに、合同審査みたいな形で参考人招致を一緒にさせていただくとか、そういうことはあり得るかなとは思いますけれども、うちでその分野を単独でやるというのは、ちょっと常任委員会とのすみ分け上厳しいのかなというふうに思わせていただいています。
 ただ、性に関する差別について情報収集や声をどうやって今後拾っていくかというのは、少し正副委員長のほうで一度考えさせていただければなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうかね。

○小林委員 新型コロナウイルス感染症のことに関しては、先ほど藤田委員も言われたとおり、この特別委員会ができる前にまず最初にやってくれということで、それで書類も併せて我々のほうで提出させていただいたと思います。
 性的少数者に関して現在は、環境生活農林水産で進めているものがあるわけですけども、ここに対して代表者会議でも議会運営委員会でも、我々特別委員会が何かしら文書を作って答申するということは何も求められてないですし、我々も主張してなかったと思います。
 その中で、先ほどのコロナの関係とは随分取扱いも違うべきじゃないかなと思いますし、我々は差別、先ほど石垣委員も言われましたけれども、差別全体を議論するんだということであれば、むしろ今、各所で話題になっているLGBTの問題を外すことのほうが不自然だと思います。ですので、ぜひ取扱いをよろしくお願いします。

○石垣委員 私も、小林委員がおっしゃるように、差別解消を目指すという題目で始まっている中でこれだけ話題といいますか、皆さんが注目を本当にしていただいている、やはり性自認の問題というのは、我々のこの特別委員会の中でここは外すというのは少し違うのじゃないかなと、まさしくここの方々のお話っていうのをまず聞かなければならないところかなというふうにも思っておりますので、ぜひここのお話は聞かせていただきたいなというふうに思います。

○稲森委員 LGBTどうこうの話では、僕はないんですけれども、今日小川先生がおっしゃっていた、やっぱり行き着くところは全ての人の人権であるということ、それから個人が個人としてどう尊重されるかということと、最初に松村参考人が来られたときおっしゃっていたのが、新型コロナウイルス感染症による差別や誹謗中傷、人権侵害っていうことが、コロナだけにとどまらず大本にあるような差別意識とか偏見だとかというところを呼び起こすような形で起こってきているという話とすごく結びつけて考えていたんですけれども、個別のいろんな人権課題を拾っていくっていうのは大事かもしれないんですけれども、もう少し全てに共通している、事象として起きている大本にある人権の尊重だとか人権思想みたいなものをしっかり探求をして、そこにどうアプローチして具体的に条例として差別解消に結びつけていくようなアプローチ方法があるのかとかですね。そういう調査研究をしなければいけないような段階に来ているのかなというふうに思います。特別委員会の今後のスケジュールっていうことを踏まえれば、どういう条例をつくっていくのかというところですね、いうふうに思います。

○北川委員長 この後、また説明をさせていただくんですけども、活動計画上も一月余りずれてきていますので時間がかなりタイトになってきているということで、日程調整もさせていただかなければならない中で、調査時間っていうのは正直限られているところがあります。
 とはいえ、大事なことはやらなきゃいけませんので、LGBTの話については決して軽んじる話ではなくて、どの分野の差別にしてもそれは必ず調査をすれば共通するところがあって、そして課題も共通するところがある。ということは、すなわち解決する流れも共通してくるというところで、形は違えどもいろんな差別の実態を明らかにしていくということは重要なことだというふうに思わせてもらっています。
 そういう意味では、この重点調査項目に上げてないものにもまだまだあるのも事実です。ですから、できるだけ時間が許す限りはそういう調査を広めていきたいなという思いで正副委員長は、おるんですけれども、一方でLGBTについては、何度も申し上げているように環境生活農林水産の常任委員会マターということがあって、今後この常任委員会がどんな審査をしていくのか、ここの部分を申し訳ないですけども、きちんと見て調整をさせていただかないと、例えば向こうでも参考人招致あります、こっちでも参考人招致ありますとかですね。同じ人を呼びましたとか違う人を呼びますとか、じゃ、それぞれの考え方はどうなんやとか、そこはやっぱり優先度としては常任委員会かなというふうに委員長としては判断をさせていただいています。
 そういう意味では、常任委員会が今後この案件についてどういった審議の仕方をするのかというのは、実はまだ何も聞いてないんですよね。副委員長いらっしゃるのでごめんなさい。こんな言い方したら怒られるんですけど、私としてきちんと情報収集していませんので。そういう意味では、そこのところをちょっと整理をさせていただいて正副委員長にちょっと、申し訳ないですけども、ここの取扱いについては預からせていただいて、一度、環農の常任委員会がどんな審議の進め方をしていくのか、そことの関わり合いを整理した上で、また皆さん方に御相談させていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
          〔「はい」の声あり〕

○北川委員長 じゃ、そんな形でちょっと常任委員会と調整を図らせていただきたいと思います。
 
3 その他

○北川委員長 最後に、次回の委員会についてですけれども、活動計画書に基づいて、これは先般からも少し打診をさせていただいているところですけれども、外国人に対する差別についての参考人招致を考えておりますが、参考人候補者について正副委員長において調整中であるため、候補者が決まり次第、参考人出席要求のための委員会開催について、後日御案内をさせていただきますので、お忙しいとは思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、参考人候補者に対しては、これまでと同様、新型コロナウイルス感染症に関わる事例があれば、併せてお話しいただくようにお願いを申入れをさせていただきたいと考えております。
 御協議いただく事項は以上でございますが、特に何か御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
          〔発言する声なし〕
 
〔閉会の宣言〕
                              三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
                                         差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
                                                                 北川 裕之


 

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