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令和2年10月23日  差別解消を目指す条例検討調査特別委員会 会議録

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差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)

 
開催年月日   令和2年10月23日(金曜日)午後1時30分~午後3時18分
会 議     601特別委員会室
出席      10名
           委員長     北川 裕之
           副委員長   山崎  博
           委員      小林 貴虎
           委員      小島 智子
           委員      山内 道明
           委員      山本 里香
           委員      稲森 稔尚
           委員      藤田 宜三
           委員      東   豊
           委員      中村 進一
欠席     1名
           委員      石垣 智矢
出席説明員   出席を求めず
参考人       1名
              おやこひろば桜梅桃李代表
            心理カウンセラー 柳谷 和美 氏
委員会書記
           議事課     主査 中西 孝朗
           企画法務課  主任 長谷川 智史
傍聴議員     7名
                     川口  円
                     山本佐知子
                     田中 智也
                     濱井 初男
                     森野 真治
                     津村  衛
                     津田 健児
県政記者     2名
傍聴者        4名
調査事項
 1 参考人からの意見聴取について
  〇性暴力・性被害の状況等について
 2 その他
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 参考人からの意見聴取について
(1)参考人意見陳述

○北川委員長 それでは、参考人からの聴き取りを行います。
性暴力・性被害の状況等について、ご説明をお願いいたします。映写の準備をいたしますので少しお待ちください。
それでは、柳谷様からご説明をお願いします。

○柳谷参考人 初めまして。おやこひろば桜梅桃李の柳谷和美と申します。よろしくお願いします。
 こういう場に呼ばれるのは初めてなもんですから、めちゃくちゃ緊張しているので、ちょいちょい微笑んでいただけると非常に有り難いです。よろしくお願いします。
 じゃあ、早速初めていきたいと思います。
 本日お配りさせていただいてるお手元の資料は、講演スライドそのままではありません。個人的な私の写真を皆さんに持ち帰っていただいてもしょうがないので、写真を除いたりとかイラストを抜いたりとかしているものと、あと時間の関係でお伝えし切れないこと、でもどうしてもお伝えしたいことを文章にまとめていますので、この話の後にまた読んでいただければうれしいなと思います。
 早速自己紹介から始めていきます。
 我が家は、息子ばっかり3人です。長男が、28歳になっていますけれども誕生日が来ますと29歳です。次男が高校1年生、三男が中学1年生。
 私は兵庫県の尼崎市で生まれて、大阪府の枚方市にいるときに、子どものときに性暴力被害に遭いました。そこから福岡県の糟屋郡のほうで過ごして、今大阪府の吹田市のほうに住んでおります。ふだんは、子育て講演会とかおやこひろばとか、あとは性犯罪DV講演会ということで、当事者として警察とか支援者関係の方にお話をさせていただいています。
 一番右の写真は、これは奈良県警察でワークをしている写真です。
 あとは、並行して心理カウンセラーもやっています。
 今日は、性暴力の話、実態と課題ということですので、性的なキーワードがたくさん出てきます。なので、お聞きになっていらっしゃる皆さんで、傍聴の方もいらっしゃるので、ちょっと気分が悪くなったりとかしんどくなったときは、無理せずに退出していただいても構いませんので、そこのところは御自身で調整してください。
 全体を通して女性が被害者として出てきますけれども、男性や性的マイノリティ、いわゆる性自認、性的指向のグラデーション側が被害者になることもあります。しかしながら、圧倒的に性暴力の被害者は、女性が多いのが事実です。
 それをちょっと見ていただきたいんですが、これは、令和元年度の犯罪白書のほうから図を持ってきました。強制性交等、これは、もうピンクが女性の被害者なんです。ブルーが、もう見えないんですけれども、一番右側、この「2」というのも見えないので、すみません。とにかく女性が非常に被害に遭っているということです。認知されているだけでもということです。強制わいせつも同じように女性の被害が非常に多いということです。ただし、この認知件数に上がっていない訴えられない被害というのが非常に多く隠されているというのを、皆さんに知っていただきたいなと思います。
 その知っていただくきっかけとして、私が警察や性暴力被害者支援で関わる方への講演会で行うワークをちょっと紹介したいと思います。紹介なので、皆さんはやらないので、安心して見ていただきたいと思います。
 まずは、2人一組になっていただいて、自己紹介タイムということで1人1分ずつ好きなこととか好きなものをしゃべっていただくので、なかなか盛り上がります。じゃあ、「隣の方と仲よくなりましたか」ということで、そして、仲よくなったら、一番仲よくなった隣の人に一番最近セックスした話を詳しくしてみてくださいとお伝えします。大体ちょっとざわめきます。ぶっちゃけ、一番最近、昨日の人もいるかもしれないし、1年前の人もいるかもしれないしということで、どこで、誰と、どんなふうに、どこを触ってとか、どういうふうな体位でとかというのをしっかり話してくださいというとざわめきます。実際そのときも話さないでいいですよという落ちなんですけれども、皆さんは今ここを見ただけでも、多分ドン引きしたと思います。要は自分が関わった性的な話をするということは、とてもハードルが高いということです。
 セックスした話をしてくださいというのは、基本的には同意のあったセックスの話ということになりますけれども、性暴力被害者というのは、全く同意もない上に一方的に暴力を受けて、それを訴えようとしたときに、この性的な話を、見ず知らずの警察や弁護士、婦人科の先生に言わないといけないというのは、非常にハードルが高いんです。特に性教育を受けていない子ども、この性教育というのも、セックスの話だけじゃないんです。性器を大事に扱うことだったりとか人のプライベートゾーン、プライベートパーツ、口、胸、性器、肛門、その周辺はデリケートな場所なので、勝手に触ったりとかしていはいけないよという、そういうことも含めた性教育です。なので、子どもは、性暴力に遭ったという認識がない上に、性器の名前も教えてもらえなかったら訴えること自体、想像もできません。
 私が、これは、5歳のときです。1973年、もういつの写真やねんという感じですけれども、このときに、私は、隣に住んでいた3姉妹がいたんですけれども、彼女たちとよく遊んでいたんですが、その日も遊ぼうと思って隣に行くと、彼女たちとお母さんが出かけているんやといって、そこの父親が出てきたわけです。父親が、おばちゃんたちもお姉ちゃんたちもいてないからおっちゃんと遊ぼかといって、5歳の私は、まんまとおじちゃんは遊んでくれるんだといって家に上がり込んで、「お医者さんごっこをしようか」といって被害に遭うわけです。
 なんで47年も前のことを覚えているのかというと、実は、突然思い出したんじゃなくて、不快な感覚をずっと思い出し続けていました。私は、お医者さんごっこをしようといって、全部脱いでと言われて、自分で全部脱いでベッドに寝かされて、目隠しをされて被害に遭ったんですが、目隠しをされているので体の感覚を非常に覚えていました。寝るときになると、同じように仰向けの体制になると、あれはいったいなんだったんだろう、あの腹部に感じたあの水分がびちゃっとかかったのは、あれはいったいなんだったんだろうというのをずっと思い出し続けていました。不思議でしょうがなかったんです。思春期になって体の仕組みとかを知ったときに、あの腹部に感じたのは水ではなくて精液だったということを認識するんです。
 そこから、私は誰にも相談できずに、自分の体をすごく嫌悪しました。自分の体がすごく汚く感じて、もう自分なんか生きている価値がない、女性として価値がない、もう死にたい死にたい、そういうことばかりを考えるようになりました。
 じゃあ、なぜ親に訴えなかったかというと、これもすごく古い写真なんですけれども、父が望むいい子でいないと、怒鳴られる、叩かれる、母からのフォローは全くありませんでした。さらに、いつも親の顔色にびくびくしていて、助けてほしいなど頼ったり甘えたりしたら怒られると思っていました。迷惑をかけてはいけないといつも言われていたので、頼ったり甘えることは迷惑だと思っていました。周りからは、子煩悩なお父さん。お出かけするのは大好きだったので、子煩悩なお父さん、優しいお母さん、そして私は、親に怒られたくないので、礼儀正しいしっかりした娘さんをしていたので、仲よし家族に見えます。なので、虐待やDV、性暴力被害は外からは見えないので、不介入。そのまま放置されていた状態です。
 なぜ不快な接触に対して「嫌だ」が言えなかったのかというと、7歳の頃、実は2回目に大きな性暴力被害に遭います。7歳といったら小学校1年生です。当時16歳のいとこから私は被害に遭いました。このときも、要求自体は暴力的ではありませんでした。「和美、ちょっとこっちへおいで」と。これして、あれして、これして、あれしてと、全然暴力も脅迫もなかったです。ちょっと気持ち悪いなとか嫌だなと思っても、嫌だと断ることで、父親と同じように、怒られる、キレられるかもしれないと思って断ることができませんでした。そもそも、自分にされたことを「嫌だ」と言っていいということを知りませんでした。
 「子どもへの性暴力って」ということで、さっき言ったように脅迫や暴力がないことが多く、かわいがりや遊びの延長にある場合、子ども自身が性暴力と認識しにくいです。そして、性器を使用しない性暴力があります。写真や動画を撮ったり、のぞいたり、下着を盗んだり、匂いを嗅ぐなど。関係性を利用して近づいてきます。加害者は、見知らぬ人ではなく、多くが身近な、本当に最悪なんですが、実は実の父親からの被害というのが一番多いんです。親や保護者、兄弟、親戚、親の知人や教師、塾や習いごとの先生である場合もあります。子どもが断れないことを利用したとても卑劣な犯罪です。
 私は、こうやって自暴自棄に、もう昭和のヤンキーみたいな感じなんですけれども、もう荒れて荒れて、本当に暴走、シンナー、酒、たばこ、そして自分の体を大事に思えなかったので売春までしていました。自分の体で金を稼いで何が悪いのか、誰にも迷惑かけていないやろう。自分の体の上で喜んでいる男たちを見て、ばかじゃないのかと。こんなことで喜んでいると思っているんや、早く金を出して早く帰れ、そんなふうに思っていました。
 子どもの非行、万引き、援助交際、恐喝などの背景には、実は家に居場所がないとか自分は無力と感じてしまうような虐待やDV環境、性暴力被害がある場合も非常に多いと言われています。
 最近の青少年のインターネットの使用状況ですが、これは、ブルーが平成26年ということで、赤が一番最近の平成29年の棒になっているんですけれども、10歳から17歳までの青少年が今インターネットを何に使っているか。コミュニケーションが2位なんですけれども、一番多いのが動画視聴です。
 今子どもたちがインターネットから性知識を得る若者というので、若者の性白書の中で、男子高校生44.2%、男子大学生66.7%という数字が出ていますけれども、うちの高校1年生の次男に聞いたところ、「いやいや、これはもうほぼほぼ100%やろう」というふうに言っていました。
 じゃあ、セックス、動画で検索すると、もうこういうのが出てきます。黄色く塗りつぶしているのは、あまりにも劇的だったので、ここは隠しました。見てください。「JK中出し、幼馴染みとセックスの練習をしていたら、中で精子出され」、JKというのは、女子高生のことです。こういったことが簡単に見られるようになっています。
 思春期の女子がセックスするリスクは、15歳未満の人工妊娠中絶は、平成28年度で220件と言われています。15歳未満というのは、小学校、中学校です。文部科学省の教育は、中学生は性行為をしないという前提に立っているので、性交を教える必要はない。寝た子を起こすなと言われていますが、しかし、日本の刑法の規定では、性的同意年齢は、男女共に現在13歳以上に設定されています。なので、中学1年生の子ども同士が、同意があればセックスをして、もし子どもができたら産んで育てることができますかという話です。
 親戚や友人と、性知識に無知な末に妊娠、小学生の場合は、気づいたときには臨月になっている場合もあります。出産には心身共にハイリスクです。実際に出産した場合に、出血多量で母子共に亡くなったりとかすることもあると聞いています。
 恋愛にはまるのは、ませた子よりも寂しい子と言われています。安心安全な居場所があるのか。子どもを取り巻く環境の見直しが必要なのではないかなということです。
 避妊のうわさ・勘違いです。「ヤラハタはイヤ」、ヤラハタとは皆さんは何か御存じですか。ツイッターなどでネットスラングで言われているんですけれども、セックスをやらずに二十歳を迎えるのは嫌。やらずに二十歳は嫌のヤラハタです。このうわさ、勘違い、本当にツイッターで流れています。セックスの後、タンポンで吸い取れば妊娠しないとか。これ、避妊がこれでできると言われているんです。ビデで洗い流す。膣外射精を自慢する。2回戦の精液は薄いから妊娠しない。膣にレモンや梅干しを入れておく。女性上位でセックスをする。セックスの後飛び跳ねる。コーラで洗う。射精の瞬間男が息を止める。何の根拠だかよく分からない。1回ぐらい大丈夫。生理中なら大丈夫。排卵日さえ外せば。もうこれ、こういうことを子どもたちが信じてもしセックスに及んだ場合、どういうことが起こりますかということです。全部うそです。
 これ、死亡したゼロ歳児の月齢ということで子ども虐待の数字なんですが、18歳未満の子どもが親から虐待で殺された数なんですけれども、18歳未満の子どもでその半分を占めているのが、実はゼロ歳児なんです。そして、またさらに半分、18歳未満の子どもの4分の1が、ゼロ歳児ゼロか月で殺されています。
 これです。なぜなら、望まない妊娠、計画していない妊娠、そして若年、10代の妊娠、全出生数のうち10代の割合が16.9%。誰にも相談できずに、1人でお金も持たずに、中絶もできずに、結局産むしかなくて、自分で産み落として、どうしようと思っている間に赤ちゃんが死んじゃうという、そういうケースとかです。
 これは、「嫌だ」が言えず、「嫌だ」を尊重されず、望まない妊娠をしてしまう女性が多いんじゃないかと言われています。寂しさや不安から体のつながりを求めることもあります。
 これ、「私は価値のある人間だと思う」というので諸外国と比べた数字なんですが、私は、もう今日の朝までスライドをいろいろ試行錯誤して、皆さんに配ったのからまたプラスアルファになっているのでちょっとお手元にはないと思うんですけれども、日本を見てください。私は価値がある人間だと思うというのは、全くそうだと思うのは、日本は7.5%、まあまあそうだが28.6%、あまりそうではない、全然そうではないというのが60%近く。もうなんか本当に残念だなと。
 ここにある数字で性教育を結びつけるのはちょっと強引かもしれないんですが、性教育をいやらしいものだとか、性がいやらしいとか汚らわしいとか、そういったことで、じゃあ、生まれた命を大切に思えますかということなんです。やっぱり大人の姿を通して子どもたちというのは敏感に感じていきますから、そのいやらしい結果できた自分の命は、いやらしいよね、汚いよねと思ってしまうんじゃないでしょうか。今こそ、本当に正しい、健康に生きるという意味での性教育が必要じゃないかなと思うんです。なので、性教育をしないというのは、殺人、虐待死の加担をすることになるかもしれない。健康に生きることを奪ってしまうかもしれないということで、命の尊厳、体の仕組みを知る権利であるし、人権教育として、性教育を受ける権利です。人権教育、人権というのは、私がいつも尊敬する森田ゆり先生がいつもおっしゃっています。人権というのは、一人ひとりが安心、安全、自信を持って生きる権利なんだよと。そうやって、一人ひとりが、安心、安全、自信を持って生きる権利、それが人権なんだよとおっしゃっています。
 性暴力加害は、パートナーだからとか付き合っているからとか夫婦だからとかで許されることではありません。全て犯罪です。明らかな同意がないのに性的接触をすることは、恥ずかしいと認識していただきたいなと思います。ちなみに、フランスでは、夫婦間のレイプ、同意のないセックスは、罪が重いとされています。なぜならば、夫婦という関係性を利用しているからという意味で、罪が重いとされています。
 これ、性暴力とかDVとか虐待というのは、社会から自然と学習をしているんです。なんちゃらライダーですけれども、これがいけないというわけではないんです。これは、あくまでもファンタジーであって、作り物なんだよということなんです。このなんちゃらライダーさんたちは、みんな自分を正義と言ってパンチやキックをオーケーにしています。これ、究極戦争ですよね。自分が正義と思ったら、相手の国の人たちをパンチやキック、レイプをしたりとか侵害したりとかすることをオーケーにしているという。これは暴力なんだよということを、ちゃんと子どもたちに伝えないといけないと思います。
 我が家の3人息子は、全員このライダーシリーズが大好きです。でも、お母さんが、「これはね」と、「背中にチャックがついていてね」と、「中には人が入っていてね、カメラワークで、パンチは当たっていないようにしているんやで。これと同じことを幼稚園でやったらあかんで」ということを、こんこんと説明をしています。
 実は、これの延長線上にアダルトビデオがあるんです。アダルトビデオも作り物なのに、それと同じようなことをする人たちが非常に多くて、多くの女性がセックスが嫌いだというのは、非常に暴力的なアダルトビデオの真似をする男性が多いということです。なので、こういうことを知って伝えてくださいねということです。
 性暴力被害後あるあるなんですが、性暴力被害後の困難。被害後何もなかったかのように振る舞います。知られたくないです。これは、最初に皆さんに紹介した、セックスした話をしてくださいと。したくないですよね。私は性的な暴力を受けましたとみんなにばれたくないと、知られたくないと、私もずっとそう思っていました。30数年も。なぜ知られたくないのかということは、そういうことです。
 無力感や自暴自棄になり、自傷や加害行動に向かっていきます。私も同じように加害行動に向かっていきました。心のケアが必要なことすら知りませんでした。性暴力被害と、思春期に認識しても、支援が必要ということは知りませんでした。
 私の場合は、30数年後に、心のケア、カウンセリングやセラピーなどが必要なことに気づいたが、探すのは自力、費用は自腹です。私も、ここまで来るまでに、カウンセラーの勉強もしながら、自分のセラピーも受けながら、多分200万円ぐらいは軽く使ったと思います。
 さらに、声を上げたら二次被害。皆さんも御存じのとおり、伊藤詩織さんなんかが被害を訴えた場合に、あんな胸元の開いた服を着ているからとか、あれはなんかうそだとかといろいろ言われたりとかして、非常にあれを見ていても、そういうことを言う人たちは本当に醜いなと思います。胸元が開いた服を着ていようが、なんなら裸で泥酔して寝ていようが、毛布をかけてあげるという選択があるんです。そっとしておいてあげるという選択があるんです。
 そして、また被害者同士の傷つけ合いもあります。被害者同士で集まったりとかした場合に、例えば「あなたは1回だけだからいいじゃない。私は実の父親から何年も被害に遭っていたのよ」とか、「あなたは妊娠しなかったからいいじゃない。私はレイプされて妊娠して、中絶もしたのよ」とか、本当に不毛な闘いがよく見受けられます。特にそういう傷つけ合いが起こる場合というのは、その被害者が心のケアをしっかり受けていないというところに起因しているなというふうに私は感じています。
 支援者が「べき論」が強いと、恐怖心が増します。例えばちょっと笑ったりとかすると、「無理して笑わないでいいのよ」とか、いやいや、笑いたいときもあるやろうという。こうしなさい、ああしなさいと言われると、ただでさえ性暴力で自分の尊厳を傷つけられているのに、支援者が圧が強いと、また人間不信になってきたりとか、恐怖心が増してきたりします。
 あとは、やっぱり誰からも受け入れてもらえないと、こういうことは誰にも分かってもらえないという気持ちが高まってきます。
 あとは、社会が望む被害者像を求められます。これはどういうことかというと、さっき言ったように、笑ってはいけないと思ったり、あとは幸せになってはいけないと思ったり。自分が笑うことで、あの被害がなかったかのようになってしまうんじゃないかとか、あの被害を軽く思ってしまっていると思われるんじゃないかとか、そういったことですごく苦しみます。
 私のイメージはどうですか。被害者らしくないですか。今日は座ってしゃべっているんですが、いつも講演会のときは、立って、前にあるように、なんとかなるとかというTシャツを着て、「皆さん、どうもこんにちは」みたいな感じで出てくるんです。警察の方なんかも、今年は新型コロナウイルス感染症の関係でズーム開催になったんですが、ある大学の学生さん向けの講演のときも、この途中で、「私が被害者らしくないですか」と、「私は被害者であって笑ってはおかしいですか」と、「幸せだと言ったらおかしいですか」と。そしたら、学生さんたちの感想の中に、確かに最初に柳谷さんが出てこられたときに、「え、この人が被害者なのか」と、自分もやっぱり社会が望む被害者像というのを押しつけているんだということに気がつきましたという感想が非常に多く寄せられました。なので、先入観というのを私は打ち砕いていきたいなと。被害者だからこそ笑えるような時間、そして幸せになっていいというのを伝えていきたいなと思って、今こうして顔と名前を出して活動をしています。
 ちなみに、ちょっと余談ですが、私が小学校1年生のときに当時16歳だったいとこから被害に遭ったということで、よく質問があるんです。今そのいとこはどうされているんですかと聞かれるんですが、私に加害をした2年後、バイク事故で亡くなっています。だから言えるんです。今生きていたら、私はこの話はできなかったと思います。それぐらい、性暴力被害のことを訴えるのはすごく怖いことだし、ハードルが高いことなんです。
 性暴力被害後の困難。例えば加害者が検挙され実刑を受ければ、刑務所という住む場所、仕事、食事があるじゃないかと不公平感を私はずっと感じていました。なぜなら、被害者は、被害後、鬱やパニック、フラッシュバック、自傷などに苦しみ、日常も仕事も社会生活も困難になります。被害者の中には、電車で痴漢に遭った人なんかはもう電車に乗れなかったりとか、加害をした人が乗っている車、同じような車を見ると、すごくフラッシュバック、過呼吸が始まってしまうので外も歩けないとか、そういった方がたくさんいます。なので、社会生活が困難になります。そして、暴行・脅迫がない性暴力被害の場合は、逃げたり拒否しなかった自分も共犯じゃないかと責めてしまいます。なので、被害を訴えることすらできません。さらに、被害時に恐怖でフリーズ、凍りつき反応をした自分を責め、自死念慮に苦しみます。実際に自死する人もたくさんいます。なんで逃げなかったんだとか、なんで声を上げなかったんだとか。実際皆さんも、ちょっと想像してみてください。性暴力だけじゃなくても、後ろから包丁をぱっと突きつけられたと想像したら、逃げられますかということなんです。怖くて固まるんです。でも、そういう反応を知らずに自分を責めて、私もずっと自分は死んだほうがいい、死んだほうがいいというふうに自死念慮が非常に強かったです。
 さらに、性被害当事者は、信じた人から裏切られるという形で性暴力被害に遭うことが多いです。私の例で言うと、隣のおじさん。遊ぼうと言われて信じた私は、被害に遭いました。いとこから、「和美、ちょっとおいで」と言われて被害に遭いました。大きな被害はそれですが、その後も、中学生、高校生、20代、ずっと信じた人から無理やりセックスを求められるということもたくさんありました。なので、人間不信になるし、人とつながることができなくなります。
 これ、少子化といいますけれども、性暴力被害に遭った人が増えれば増えるほど、当然当たり前ですけれども、性に関する嫌悪感というのが高まって、セックスへの嫌悪感というのが増えていけば、当然セックスの先にある子どもをつくるということに対して非常に消極的になるので、当然少子化になります。なので、少子化になれば、社会的損失ですよねということです。
 被害者のケアも当然大事ですけれども、そもそもの予防教育が私は急務じゃないかなと思っています。なので、義務教育レベルで性教育をしっかり取り入れていただきたいと思います。これが、いじめや虐待、DV防止にもつながると私は思っています。
 「加害者にも被害者にもならないためには」ということで、良好なコミュニケーションと健康に過ごすための性教育。皆さんのスライドには性と書いてあるんですが、「教育」を入れておいてください。知ってトレーニングをすれば変えることができるやんと私は思ったんです。
 私自身が生活に取り入れて効果があったこと、当然これは、カウンセリングやセラピーを受ける中で、カウンセラーの先生にアドバイスをいただいたりとか、家族で話し合って、こういうふうにしてみたらどうかといって効果があったことをちょっと紹介していきたいと思います。詳しくは、文字のほうの資料に載せてありますので、また後ほど御覧になっていただければいいかなと思います。
 ここから先が、学校教育の中に必須にしていただきたいことです。
 まずは、コミュニケーションの癖というのは、言語、方言と同じなんです。どういう意味かというと、私は父親からいつも怒鳴られたりとか叩かれたりとかするコミュニケーションを学習していたので、実際自分が長男を生んだときに、子どもが泣き出すと、叩いて怒鳴ることしか分かんなかったんです。私は、これを暴力弁と言っています。暴力弁で育ったので、暴力弁しかしゃべれなかったです。優しい弁をかけられたことがないので、優しい弁が使えなかったです。だけれども、気づいて、考えて、トレーニングをしていけば、絶対に変えられるんだなということで、今私は我が家で実践をしています。
 そして、体のことも知っていこうということで、生理がある女性の1か月の周期なんですけれども、自分やパートナーの体について知識があれば無駄ないらいらは軽減されるんではないかということで、まずここ、ちょっと見えますか。まず、生理中の1週間は、どんより憂鬱。ちなみに生理中の1週間というと、驚く男性がいるんです。生理は1日で終わるとか1時間で終わると思っている人がまだまだいるんです。生理は3日から7日続きます。その間はどんよりしています。そして、排卵前の1週間が、ノリノリ上昇期。排卵後の1週間は、じんわり下降期。生理前の1週間は、いらいら不調期、これで見ると、生理が起こっている女性は、1週間しか機嫌のいい日がありません。なので、女性は不機嫌がベーシックというか。当然人によって高低差はありますけれども、女性はすごく大変なんですということを知っていただければいいかなと思います。
 産後ママの心と体の変化ということで、これは人間の生存の仕組みなんですけれども、自分で歩いて食べ物を取りに行ける1歳ぐらいまで、主にお母さんの養育が必要になってきます。産後、プロラクチンというホルモンは、排卵を抑制して、1歳ぐらいまでは次の子どもが生まれないようにするので、性欲も減退させます。ちゃんと脳と卵巣に連絡が行き交うんです。なので、産後は、エストロゲンというホルモンが激減して、不安感や孤独感が強くなります。
 そして、男性の体です。男性ホルモンの95%は、精巣睾丸でつくられています。男性ホルモンというのは性欲のイメージが強いですけれども、男性ホルモンは、実は、皮膚や筋肉や肝臓や骨髄、骨、脳、腎臓、そして生殖器、こういったこと全てに男性ホルモンは影響しているんです。なので、男性ホルモンが低下すると、やっぱり体の健康も不健康になりやすいということなんです。
 男性ホルモンというのは、健康に大きく影響をします。実は、この睾丸精巣は33から34度が適温と言われているんです。なので、ぶっちゃけ、ぶらぶらさせるほうが健康的なんです。本当に健康に非常に大きく関わる睾丸ですから、大事にしていただきたいな。特に思春期の男の子とか若い方とか、格好いいのでボクサーパンツとかはかれたりとかするんですけれども、あれは、体に睾丸が引っ付いてしまって、体の体温は36度から7度ありますから睾丸の温度も上がってしまうので、不健康になっちゃうかもしれないよということです。子どもたちには、こういったこともしっかり伝えておくと。なので、よく電気アンマーといって足でぐりぐりとかと股間をぐりぐりしたりするのは、こういった健康被害になるかもしれないんだよということで、睾丸はとても男の子にとっては大事な組織なので、優しく大事にしてあげてねと。当然プライベートパーツ、プライベートゾーンだから、勝手に触ったり人に見せたりしてはいけないよということをしっかり伝えていかないといけません。
 男性の心と体。疲れたときほど性欲が増すという都市伝説みたいなうわさが流れていますけれども、これは、ホルモンバランスの乱れです。アドレナリン過多。仕事をし過ぎたりとか、すごく活動をし過ぎたりすると、アドレナリンが出てきてしまって。なので、セックスで満たすんじゃなくて、ここはぜひ休息を取っていただきたいなと思います。ちなみに、射精をした後の男性というのは、いわゆる賢者タイムといって、本当に精も根も尽き果てたみたいな。今まで自分があんなに性欲があったのが嘘のようにチーンとなってしまう状態。あれを求めたくて射精をしたいという方もいるかもしれないんですが、射精はしなくても精液というのは体に自然に吸収されていくので、別に出すことに執着しなくても大丈夫だよと、こういうことも知っておくといいですよねということです。
 ちなみに、男子の性欲は暴走する、抑えられないと当たり前に言う人が、時には教師にもいます。そんなことはありません。性欲は理性でコントロールできます。ちなみに、この話をされたのは、去年の7月28日に、日本産婦人科医会、性教育指導セミナーの全国大会で産婦人科医の加藤治子先生がおっしゃっていました。加藤治子先生は、大阪府で、ワンストップセンターといって性暴力被害者が1か所でケアを受けられるセンターをつくられた先生なんですけれども、この先生が、男子の性は暴走するものと開き直る大人たちのせいで、暴走していいと子どもたちに思わせて、それが性暴力につながっているんじゃないかということで、非常に憤っていらっしゃいました。性欲は、理性でちゃんとコントロールができますということです。
 妻の性欲が落ちた原因が子どもにあると感じ、子どもに敵意を持って行動を起こすこともある。さっきのプロラクチンのホルモンの関係で、赤ちゃんを産んだ後のお母さんというのは、性欲がなくなってしまいます。でも、人の体のシステムを知らずに、おまえばかりおっぱい飲んでずるいぞみたいな感じで、子どもに敵意を持って行動を起こす、これが子どもに対する虐待死にもつながっているんじゃないかなと思います。
 あと、感情について、泣いていいよというのを私は推奨しているんですが、これは、森田ゆり先生の「怒りの仮面」という図です。よく、泣かないのですかと。心と体のつながりで言うと、皆さんはいろいろ心がつらくなったりとか悲しくなったりとかすると、当然泣きたくなります。でも、私が個人的に思っているのは、戦中戦後の「男は泣くな」がいまだにずっと生かされているんじゃないかなと思うんです。「男は泣くな」で何が起こるかというと、本来こういった傷つき体験をして、こういう感情を感じたら、えーんと泣きたくなります。でも、泣くなと表出を抑えられると、でも、この感情たちは、そのまま残っていますから、泣くな、泣くなと抑えられると、なんやねんという怒りに変わるんです。これをうまく利用すれば、人を殺せる人になるということなんです。どういうことかというと、怖いという感情がなかったら、危険なことができますよね。高いところから飛び降りたりとか、車がたくさん走っている車道に飛び出したりとか。怖いという感情があるから、心や体、命を守る力になっています。不安な気持ちがあるから、地震が起きたらどうしようとか災害が起きたらどうしようと不安に思うから、備える力になります。あまり意地悪ばかりしていると嫌われるかもしれないなという見捨てられ不安があるから、相手を大切にする力になります。悲しみを知っているから人に優しくできます。寂しさを知っているから、人とつながろうと思います。悔しいと思うから、負けたくない、頑張ろうと思います。絶望を感じるから、希望を見つけようと思います。自信がないから、向上、成長しようと思うし、喪失感を知っているから、今を大切にしようと思います。恥ずかしいという気持ちを知っているから、誇れる自分になろうとすることができます。
 こうやって見ていくと、ネガティブな感情はポジティブな感情を生み出すためにとても必要で、そのネガティブな感情を感じる泣くということがとても大事ということなんです。これが自尊感情、自分を大切にすること。ネガティブな自分でも、いい人よと認めていいよということです。自分に優しくなれると、周りの人にも優しくなります。自己犠牲をしていたら、人にも自己犠牲を求めてしまいます。自分に優しくなれて、初めて人に優しくなれます。心と体のつながりでいうと、心がつらいと泣きたくなります。でも、うれしくても泣きたくなります。よくスポーツの選手が優勝したりとかしたときに、今日は泣かないと決めていたのにと。うれしいんだったら泣いたらいいのにと。ここまで泣くということが嫌われるのはどういうことかと思うんですけれども、ちなみに、涙にはストレス成分が含まれていると言われていて、泣いた後にすっきりするというのはそのせいだと言われています。なので、泣いていいということです。
 自分はいいけれども、相手が嫌もあります。この絵で言うと、赤いシャツの子は、「いや、軽く押しただけやん」。でも、緑のシャツの子は、痛い、怖いと思うわけです。嫌な気持ちになる。これです。よかれと思っても、冗談のつもりでも、「嫌だ」が優先で、「嫌だ」を尊重しないといけないんです。よく学校の現場なんかでも、いじめなんかでも、「○○君は、ただちょっと押しただけと言っているから許してあげてよ」と。で、その子の怖かったという気持ちがないがしろにされてしまう。その子は、自分の命や体、心を守ろうとした。嫌だと言っているのに、加害者のほうが優先されてしまう。なので、子どものSOSに気づける大人に、そして「嫌だ」を2回言わせないということで。
 先日、NHKの「あさイチ」という番組で、シェリーさんというタレントの方が、自分の子どもたちに、大人は子どもが喜んでいると思ってくすぐったりとかしますけれども、あのくすぐりというのは、実は子どもにとっては非常に嫌だったりとか。でも、くすぐったいから笑っちゃう。笑っているから、大人のほうは喜んでいると思っちゃう。でも、くすぐりは、実は拷問の種類の中にもくすぐりの刑というのが実際にあったそうなんです、昔。なので、くすぐられるのは、非常に不快なんです。なので、やめてと言われたら、もうすぐにやめる。すぐにやめないと、子どもは、自分のノーを受け入れてもらえないんだ、自分は無力な存在なんだと思ってしまうから、「嫌だ」を2回言わせないということを気をつけているとおっしゃっていました。すごく大切なことだなと思いました。
 境界線を大切にしよう。体や時間、空間、性、持ち物、気持ち、考え方、近寄られ過ぎて嫌な感じは嫌と伝えていいし、嫌だと言われたら、離れることは格好いいんだよと子どもたちに伝えてあげたいです。相手の明確な許可がないのに、勝手に体に触れてはいけません。まずは、相手に丁寧に聞きましょう。肩に触っていいですかとか、頭をなでていいですかとか、手を握っていいですかと、ちゃんと聞ける、子どものうちからそういうことができるといいですね。
 子どもも親も、被害者にも加害者にもしないために、日頃からなんでも話せる家庭環境。なんでもというのは、嫌だということ、泣き言、泣くことです。
 優しく丁寧な関係を築こう。スキンシップ、話をする時間をつくる。感謝の気持ちや愛情を自分から伝える。暇さえあれば、「生まれてきてくれてありがとう。大好き」と。食事はおいしく2人以上でということで、食事中に「あんたこの間の点数20点やったらしいね」とかというと、もう胃液がぐちゃぐちゃになって、ぎゅっと、うまく消化できなくなったりしますので、食事は楽しくしていただきたいなと。
 あと、スキンシップ。お互いがちゃんと同意のある心地のよいスキンシップ。手足をマッサージしたりとか頭をなでてあげたりとか背中をなでてあげたりとか、そういったスキンシップをしっかりすることで、性的なスキンシップ、性的な接触に執着しないんじゃないかなと思うんです。男の子だからといって、突き放されて、突き放されて育った子たちは、でもやっぱり人間は、生まれてから死ぬまでスキンシップは求めるものなんです。なので、突き放されて育った子は、唯一許されたセックスというのに執着しちゃうんじゃないかなと私は思っています。
 ありがとうという言葉なんですが、心臓から出る電磁波は、1メートルぐらい離れていても伝わっているそうなんです。これは、感謝の気持ちに転じた途端に、心臓が規則正しいリズムで動き出すそうなんです。心臓の電磁波が整うことで、体のいろんな動き、メカニズムが整ってくるので健康にもいいよねということで、ありがとうというのは、相手のためだけじゃなくて自分のためにもなっているということで、今日から皆さんも、何かについて「ありがとう」をたくさん。「すみません」より「ありがとう」がいいかなと思います。
 本当の自立とは。自分にできること、できないことを知って、できないことは助けてもらったり、助けてほしいと伝えられる、つながる力のことです。東日本の震災のときに、奥さんを亡くされた男性が、自分の身の周りのことが何もできなくて、でも助けてというのが格好悪いとかといって孤独死された数が非常に多かったと聞いています。なので、自分にできないことを知って、助けてと言えることが、自立だと思います。そして、私が最初に、親に迷惑かけちゃいけないと思っていたと言いましたけれども、助けてと頼るのは迷惑かなと。でも、これは、他者の安心、安全、自信を持って生きる権利を奪う行為が迷惑ということになるんじゃないかなと思います。
 今日私は近鉄電車で来たんですけれども、近鉄電車も、ひとしきり「ほかの乗客の皆さんの御迷惑にならない……」、御迷惑、御迷惑と、やたら迷惑、迷惑と言われて、そこがすごく攻撃の、それこそ自分は正義と思う暴力にもつながっているんじゃないかなと。迷惑という言葉は、できればなくしていきたいなと思ったりしています。なので、頼ったり相談したり、しんどいと伝えるのはオーケーです。
 悩んだときは、周りの人や友達、専門機関に聞きましょう。頼っていい、甘えていい、人とつながろう。悩むことは成長のチャンスということで、笑ってなんぼ。幸せをみんなで意識しようということです。泣いていいとよ。泣ける家庭、泣ける地域、泣ける社会を目指してということで、御清聴ありがとうございました。
○北川委員長 柳谷様、御説明ありがとうございました。
 この後質疑に入りますけれども、その前に、換気のために5分間休憩いたしますので、14時25分まで休憩します。暫時休憩いたします。
          (休  憩)

○北川委員長 それでは、休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
 それでは、先ほどの御説明を受けまして、委員の皆様から御質疑等をお願いしたいと思います。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は、挙手により委員長の許可を得てから御発言いただくことになりますので、よろしくお願いします。また、委員に対しては質疑をすることができないことになっていますので、御了承願いたいと思います。
 それでは、御質疑がありましたら、お願いをいたします。

○小林委員 本日はどうもありがとうございました。
 性被害のことをお伺いしたはずなんですけれども、実は私がお伺いしたいのは、その前の性教育のことを少し気にしていまして、御意見をお聞かせいただければと思うんですが、性教育というと、私の記憶も、あと一度中学校へも見に行ったことがあるんですが、どうしてもやっぱりセックスと、それから望まない妊娠と、それから性病のリスクということにフォーカスすることが多くて、それだけでいいのかなというところなんです。当然セックスの結果として妊娠があって、出産があるというのが現実なわけですから、どのような形で子どもを育てるのが望ましいのか。あるいは、いろんな考え方があるので、自分がどう望むのかということも踏み込むべきなんじゃないのかなと私は個人的に思っているんです。なので、望まない妊娠を避ける以上に、どんな形で妊娠をしたいのか、するべきかというところを教えたほうがいいんではないかと思うんですが、御見解をお聞かせいただきたいなと。
 あと、これ二つ目になるんですが、一方で、いろいろな形態があるという話を差し上げました。特に先般も実は性的少数者の話も伺いましたし、そこへの配慮も必要だろうという、またちょっと真逆のことも存在するんですよね。型にはめる必要はないと思うんですが、その辺の全体的なバランスも含めて御意見をお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。

○柳谷参考人 まず、性教育についてですが、おっしゃっていただいたように、本当にセックスのことだけじゃないんですね、性というのは。まず、自分の体の健康を知るということですね。歯磨きを毎日しているのに、例えば性器周りはちょっとないがしろになっちゃっているとか、自分の体全て大切なので、特にまた女の子なんかは、目に見えないところにあるので、そういったことのお手入れの仕方というのも大事になってきますし、今日後半お話ししていただいたような、やっぱり良好なコミュニケーションというのをしっかり入れておかないと、その良好なコミュニケーションの先にパートナーができて、そして、それが男性と女性であった場合、そして子どもを持ちたいと思った場合に、同意のあるセックスがあって、そこに子どもが生まれていくという流れなので、ただ、その部分だけ切り取ってというのは、逆に難しいと思うんです。
 ちょうどそういう話が出るかなと思って、こういった絵本も出ていたりとかするんです、「あっ!そうなんだ!性と生」という。この本なんかは絵がしっかりついていて、子どもたちと一緒に見られるようになっているんです。男の子なんかは、よく見せ合いっことか、それも性暴力なんだよというのもちゃんと伝えてあげないといけないし。見せ合いっこをなんでしたらいけないかといったら、見たくない人もいるかもしれないしとか、あとは人前で出したりするのは不衛生だよというルールとマナー、そういったこともしっかり伝えてほしいなと思います。特に女子はどうしても生理があるので、性教育、女子はと思いがちですけれども、意外と男性が男性の体のことを知らなかったりとかしていて、この本なんかにも、なんで精液とおしっこが交じらないのかという。この絵本、実はうちの夫もこれを見て、「ああ、知らんかったわ」というぐらい、勃起をすることで膀胱の出口がきゅっと閉まるんです。そして前立腺が開くので、なのでおしっこと交じらないんだよという、ここに説明がある。なので、勃起がスイッチになっているという。なので、よく勃起をしたらすぐにコンドームをつけましょうというのは、そういうことなんですね。勃起したら、射精していなくても少しずつ精液が出るのは、この仕組みのせいなんだよとか。こういったことをしっかり教えてあげるというのが大事かなと思います。
 実際私が親子で性教育というのをかれこれ3年ぐらい、ちょっと今年はコロナ禍になって会場開催ができないので、それこそ今度の日曜日、ズームで、楽しく学ぶ親子で性教育というので無料で御視聴ができるんですけれども、興味がある方は私のブログから見てもらったらいいんですけれども、そのときに子どもたちに伝えているのは、自分の体の中に何があるのかなと。胃とか腸とか、おしっこがたまる膀胱とか、そして、卵巣の中には、原始卵胞といって卵の素が、生まれたときから、お母さんのおなかにいるときからあるんだよということを伝えたら、こうやってかわいい感想をくれて、「体の中に卵があると初めて知りました。教えてくれてありがとう」とか。
 あとは、それこそさっきの感情のこともひっくるめてお話をするんですけれども、その中に、中学生の男の子からの感想で、「自分の心や体を大切にすることはとても大切だと思いました。そして、嫌なことを、嫌だ、やめてということは、自分の心や体を大切にするということにつながると思います。さらに、怖いという感情や不安という感情は、自分を守ること、悲しみなどの感情も、自分やほかの人に優しく接するために必要な感情だと思いました。今日はいろいろ知ることができました。ありがとうございました」ということで、やっぱり感情と一緒に体の健康を伝えていくというのが私は大事じゃないかなと思って、性教育を、オリジナルでつくって伝えているところです。
 あと、今性的マイノリティとかと言われますけれども、いわゆる性のグラデーション、体は男性の体だけれども、どっちかというと男性が好きな人もいれば、体は男性で、女性の体に変わって男性を好きになりたい人とか。本当に男性、女性で分けられないぐらい、みんなそれぞれいろいろ性的指向、性自認というのがあると思うんですけれども、そういったことも、だから性にとどまらず、肌の色や顔の形、体の形がいろいろ違う人がいるんだよという、その多様性という部分も私の性教育では伝えるようにしているので、その辺も、伝えていってもらえたらなと思うんです。小学校とか、よかったら呼んでください。

○北川委員長 よろしいですか。
 ほかに御質疑はどうですか。

○小島委員 今日はありがとうございました。
 30年以上も前に被害に遭って、40を超えてやっとそのことが言えたという人を知っています。この話をしてもいいよというふうに確認は取ってきたので。高校生ぐらいになって、PTSDみたいな何か本人は分からなかったけれども不調になって、随分長い間、今もまだ完全にではないです。時代もあるし、インターネットとかがない時代でありました。そういうことが絶対あっちゃいけないなというふうに彼女も言っていたし、私も周りを見ていてそうやって思うんですけれども、先ほど性的指向とか性自認の話もあって、本当に自分を知るとか大事にする、そこで初めてほかの人も大事にできるのかなと思うんですが、小さいときからいろんな教育、性教育をしていく中で、ただ、やっぱり最後にはパートナーとセックスをすること、それからその結果もしかしたら起こるかもしれないことについて、私は子どもたちが知っていくのは大事だなと思うんですが、緊急避妊薬が薬局で買えるようになる方向だよという話があって、私は、それは今の時代というか必要なことだなというふうに思っているんですけれども、恐らくそのことには安易な性交を促すことにつながってしまうんではないかという心配もやっぱり一方ではあるというふうに思うんですけれども、どんなふうに子どもたちに伝えていったらいいのかなというのが一つと、もう一つは、虐待がとても増えていて、性虐待というのを見るたびに、どれほど長い大きな傷、回復しようがないものが、彼か、彼女か、分かりませんけれども、そこに残るんだろうというふうに思うんですが、小さい子たちからそのことをきちんと聞くということの難しさをすごく思うんです。そのあたりをどうやって正確に聞き取っていったらいいのかなというあたりで、何か御示唆があったら教えていただきたいと思います。

○柳谷参考人 まずは、子どもたちに、それこそ私の性教育の話ばかりなんですけれども、私が伝えている性教育の中には、セックスの先には赤ちゃんが生まれるということ。そして、赤ちゃんが生まれたら、育てる責任があるんだよということで、まず赤ちゃんを育てるには、お金がかかりますという話。洋服も買わなきゃいけないし、おうちにも住まなきゃいけないし、御飯も食べないといけない。そして、さらには社会とつながる力、知識が必要ですよということも子どもたちに伝えています。赤ちゃんができたというのが分かったら、役場、役所に行って妊娠届を出して、母子健康手帳をもらったりするんだよとか、子どもが大きくなったら小学校に入るんですよというお知らせが来たりとかするので、社会とつながらないといけない。健康のバランスを考えた食事もできないといけない。身の周りを清潔にすることもできるようになっておかないといけない。だから、いろんなことができるようになるまでは、やっぱりセックスというのは、おばちゃんと言ったら変ですけれども、おばちゃんはしないほうがいいと思っていますと。
 やっぱり今現代社会において、18歳未満の子たちが妊娠出産したときに、社会とつながれないんですよね。まず家を借りるのも、二十歳にならないと保証人が必要だったりとか家が借りられない。大体児童養護施設なんかは18歳でもう追い出されてしまうので、でも、それが結構今施設にいる子は、やっぱり虐待で入っている子が非常に多いので、じゃあ、親が保証人になれるかというと、親とは縁を切っているからなれないという。では、誰に保証してもらうのか。で、住むところがない。住むところと言ったら、例えば寮がついている風俗に行っちゃったりとかという、そういったこともあるので、なので、本当に子どもが育てられるという、それこそ安心、安全、自信を持って子どもを育てられるという気持ちが整って初めてセックスを考えてほしいなというふうには伝えています。
 緊急避妊薬も本当におっしゃるとおり、それが逆に利用されるんじゃないかという、それは本当に盾と矛みたいな感じで、でも、やっぱり悲しいかな今こうしている間も性暴力は行われているし、望まない性的な接触をされている人たちはたくさんいるので、緊急避妊ピルがすぐに手に入るというのは、その人たちの視点のほうを見ていただければいいのかなと。特に今までは病院に行かないと処方されなかったので、年末年始とか病院が休みだと、72時間越えちゃうんですよね、軽く。なので、そこでやっぱり薬が手に入らない。結果、中絶しないといけないとなると、今中絶費用が大体10万円前後で、その後の検診とかも大体1回1万円ぐらいとかかかるので、私自身も19歳のときにデートDV被害に遭って2度中絶をしたんですけれども、そのときも自分でお金を払って。向こうはDVだったので。そういったこともあったので、あのときに緊急避妊薬があったらまだよかったのかなとか、そういったことも思ったりします。
 なので、性虐待に遭った子どもについてですけれども、これはもう、すごく本当にそのケースケースでいろいろ違うのでこれということは言えないんですが、例えばですけれども、すごく幼いのに、年齢にそぐわない性的なことを言ってきたりとかやったりとか、あとは頻繁な性器いじり、自慰行為とかというのが見受けられると、あれと思ってもらったらいいのかなと思います。
 性暴力被害はなんでこんなに複雑になるのかというと、暴力なんですけれども、特に子どもの場合は、さっきも言ったようにかわいがりの延長にあったりとかして、君がかわいいからとか、お前が好きだからお父さんはこういうことをするんだよといって、子どもたちは愛されている結果がそれなんだと勘違いをしちゃうんです。なので、親であっても勝手に子どもの性器に触れてはいけないとかというのを伝えていきたいなと思うんですけれども、残念ながら、性的虐待を受けている子どもはまだ今もたくさんいるので、男性に特に、そういうプライベートゾーンに自分の子どもであっても勝手に触れてはいけないという。特に性性器周りというのはデリケートな部分なので、汚い手で触ったりとかした場合に炎症を起こしたりとかして、例えば女の子とか、男の子も肛門性交をされたりする子がいてるので、そういったことをされた場合、炎症を起こして、かゆみとかが出てきた場合に、例えば学校の授業を集中して聞けないとか、そうやって気持ちもずっと常にざわざわした状態になるので、性虐を受けた子にヒアリングというよりは、何か大人が、あれ、ちょっとおかしいかなと気づいていくしかないのかなと思います。自分から言っていくというのは、なかなか難しいかな。
 あと、もう一つは、学校で私とかみたいに出張の性教育の講座を受けたことで、プライベートゾーンを触っちゃいけないんだよということを知って、子どもが、学校の先生だったりに、私、そういえばお父さんから触られているということを訴えてきて、そこで発覚ということも起こっているので、なので、気づいてもらうという部分でも、やっぱり性教育をしていくというのは大事なのかな。被害をなるだけ最小限に食い止めるという部分では必要かなと思います。そんな感じでよろしいですか。

○北川委員長 よろしいですか。
 ほかに御質疑はいかがでしょうか。

○中村委員 今日はありがとうございました。
 なかなか今日みたいなお話を、私も長いこと聞いておりますけれども、こんなにすっきりとお話を聞かせていただいたのは初めてです。それと、並行してこんなことを思ったんですよね。なかなか性被害、暴力に遭われた方が、そのことを明快に明るくと言ってはあれですけれども、きちっとお話をしていただく、そういう話が続いたものですから、ちょっとどういう形で質問したらいいかなと思って、ちょっと自分も気になっているんですが、ここの場というのは、それぞれの委員が、世の中に部落差別があり、ヘイトも大変な状況になっているし、それから男女差別、それから先ほどのLGBTも含めて、様々な差別が今ある。私の若い頃は全くなかったんですけれども、ここでSNSの関係も、参考人招致、今申し上げたようないろんな方にそちらに座っていただいて状況を今まで聞かせていただきました。
 その中で、今回ちょっと聞きそびれたんですけれども、本当に大変な目に遭ったけれども、それをそうやってお話しできる方というのは、多分100人、1000人に1人もいないんじゃないかなと私は思います。あんな嫌なことをされた、あんな恥ずかしいことをされた、そこの部分を、そのことによって、我々が今議論しております差別として、いろんな方からもしかしたら相談を受けられているんじゃないかなというふうに思いますので、その被害に遭われた方の人権を守るためにどんな思いをお持ちなのか。
 あとそれから、具体的にちょっと僕が一番心配しとんのは、SNS等でそのことを暴かれたりとか、それでそのことを面白おかしく上げる、そういう、私は思うんですが、今おっしゃったようなことをSNSで面白おかしく上げてしまえば、またそれを見る方が増えてくる。そんな、残念ながら悲しい世の中でもありますので、その辺の事例とか御意見がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

○柳谷参考人 私自身も、顔と名前を出してこうやって活動しだしたのが、ちょうど10年前になるんです。10年前に関西テレビの取材を受けて、そこから講演会とか呼ばれるようになったんですけれども、実際にメッセージをもらったことがあります。それこそ、さっき言った声を上げれば二次被害、被害者同士の傷つけ合いなんですが、「俺からしたら、あんたの被害なんかまだまし」と。俺からということで多分男性だと思うんですけれども、自分は子どもの頃に性被害に遭って、結婚した嫁から言い触らされてどうのこうので、そういうことをメッセージに送ってこられて、当然メッセージを見たときは、すごい怖いですよね。凍りつきます。すごいどきどきするし、怖い、怖いと。
 私が活動するに当たって、本当にうちの今の夫に取材を受けるときに相談をしたんです。やっぱり子どものときの被害というのが、どれだけ後々子どもが子どもらしく生きることを奪うのかということを私は伝えたい。でも怖い。伝えたい、怖いという、本当にさっきの緊急避妊薬の話じゃないですけれども、すごく悩んだんですけれども、そのときに、夫が「世界中が敵になっても俺は和美ちゃんの味方やで」と格好よく言っていただいたので。
 そのときも、そういうメッセージをもらってすごく怖くて、もう怖いよ、怖いよ、どうしよう、どうしようとかと。気持ちを落ち着けて、じゃあ、その人に私は返事を送ろうと思ったんです。その返事の内容は、要約すると、「すごくつらい目に遭われたんですね。私はあなたじゃないので同じつらさというのは分からないかもしれないけれども、私たち被害者が、被害者同士で被害が重いとか軽いとかと比べるんじゃなくて、こういう被害に遭ってすごく苦しいんだよ、大変なんだよということを一緒に伝えていきませんか」といって、今までその人が相談したりとかカウンセリングを受けたりとかという機会がなかったと思うので、「もしよかったら、ぜひ自分の心と体のケアをなさってくださいね」というお返事を送ったんです。それから返事は来なかったんですけれども。だから、がっと言われたら、がっと言い返すんじゃなくて、がっと言われたときの、さっきの怒りの仮面を想像してもらったら、結局怒りの仮面でがっと来ているということは、あの怒りの裏側には、本当は泣きたい気持ちがあって、その泣きたい気持ちの根っこは不安だったり恐怖だったり寂しさだったり悲しみだったり悔しさだったりというのがあるんだろうなというふうに思うと、がって来られても、「そうか、つらいんだね」と。議員の皆さんの前で言うのもなんですけれども、議会とか、があがあとかやっているのを見ると、あんなのは子どもたちには見せられないなとかと思うし、特に国会中継なんか見ていたら、もみ合いとか暴力じゃんみたいな。本当に、「その意見はいいね。じゃあ、僕はこういう意見なんだけれども、じゃあどうしたらいいかな」みたいなことができるとすてきだなと。ちょっと余談になりましたけれども。
 なので、SNSについては、私は基本的にこの活動をしだしてから、あまり自分で自分を検索しないように、自分を守るために、するようにしました。それでも、たまになんかでふっと目に入ってくるのが、やっぱり私の子どもの頃の被害で、皆さんも検索したら分かると思うんですけれども、柳沢和美でスペースを空けると、お医者さんと出るんです。お医者さんごっこをして被害に遭ったというのを、新聞でも載ったこともあるしテレビでも言ったこともあるので。やっぱりそれを面白おかしく言っているサイトもあるみたいです。みたいというのは、タイトルだけ見て中身は見ないようにしているんですけれども。被害者の人権というか被害者の自分自身を守るという部分では、なるだけ、テレビ局の方がいてあれですけれども、夕方のテレビ、ニュースは見ないとか。やっぱり似たような事件を見たりとかすると、フラッシュバックとかどきどきしたりとかするので。
 なので、面白おかしく言う人たちというのは、本当にやっぱり出てくるんですよね。面白おかしく言う人たちというのが、でも遡ると、自分が自分らしく生きるということを許されない人たちが、そうやってSNSを使って鬱憤晴らしをしているんじゃないかなと。そしたら、結局遡って、本当にネガティブな感情も持っていていいんだよという、そういうのを認め合えるような育ちの環境だったり、家庭環境なり学校の環境なりだったら、ああやって人を攻撃しなくても。自分が満たされていてというか、お金があるとかそんなんじゃなくて、自分のどんな感情を持っていても自分は大事なんだということをしっかり小さい頃から親も大人も子どもも認識していれば、私は本当に人のことを面白おかしく言うSNSの残念な状況は、ちょっとでも減らしていけるのかなと思っています。
 特に、私は心理カウンセラーを民間でやっているんですけれども、カウンセリングに来られる方の多くが、例えば嫌だと思うこととか、例えば具体的に言うと、しゅうとめさんのことを憎たらしくて殺したいと思う自分はいけない人だと思っちゃうと責めている方なんかがいるんですけれども、「いや、殺意という気持ちは、誰だってあるんですよ」と。「ただ殺意を感じてもやったらいけないだけであって、殺意を感じる自分は、もうこいつぶっ殺したいと思う自分は、別に大事にしてあげていいんだよ」と。誰だって殺意も持っているし、優越感もあるし、嫌悪感もあるしという。その感情というのを大切にするということを伝えていってあげると、皆さん「ええ、そんなことを思っていいんですね」みたいな。そんな思っちゃう自分が駄目だ、自分が駄目だと思うと、結局周りの人も駄目だになっちゃって、そこがまたSNSへの攻撃というのにつながっちゃうのかなと。
 なんかまとまりませんけれども、そんな感じで、被害者が、要はそうやって、テレビを見たくないとか、あとはちょっとしばらく休みたいとかというのも、それもちゃんと尊重してあげながら、「いつまでも落ち込んでいるんじゃないわよ、早く笑いなさいよ」とかではなくて、本当に、その人はその人の心の傷の治る時間とか期間とかが必要なので、治療も必要なので、そういったことも皆さんが広く認識していただければいいのかなと。とにかくみんなが泣ける社会になったら優しくなるかなと私は思うんですよね。「えーん、困ったよ、予算がないよ」と泣いたほうが、じゃあ、あげようかみたいになるんじゃないかなみたいな。予算出せ、出せとかと言われると、嫌だ嫌だみたいになるのかなと思ったりしています。そんな簡単なことじゃないですけれども、すみません。

○中村委員 ありがとうございました。議会への御提言もいただきました。
 性犯罪で外に、人に言えないで困っている方たちは山ほどいるんじゃないかなというふうに思いますので、引き続いて、性教育を含めまして、そういった人たちに安心を与えるようなそんな活動を引き続いてしていただきたいなということをお願いして終わります。

○北川委員長 ほかに質問はありませんか。

○山本委員 ありがとうございました。今日の話の中で、制度としてというか法として今要求をせなあかんことも、国へ、あるとは思うんですが、県として、これから何をどう取り組んでいくかという中で、性教育の話が出て、性教育は、その年齢にふさわしい、正しい性教育という話が出ましたし、ワンストップサービスの在り方というのも多分そのお話の中に出てきたと思うし、あと支援、被害に遭われた方の支援ということが今出てきているようには思うんですが、具体的にワンストップサービスの充実ということで考えると、どういうようなことが望まれるか。支援というものの、経済的なことも含めてですけれども、どういう体制を行政として取っていくということがあったらいいのかなということなど。あと、今私が言ったこと以外に、こういうことを行政としてできればなということがあれば、お話いただきたいと思います。

○柳谷参考人 ワンストップは、さっきもお伝えしたように、緊急の方しか受け入れてもらえないんですよね。ごめんなさい、聞いたらいけないんですよね。
 基本的には緊急性がある方で、さっき御紹介した加藤治子先生がいらっしゃるところなんかは、まず予算が少ないということと、人員が当然足りないということで、対応がいっぱいいっぱいということなんです。なので、どうしても緊急の人が優先になってしまう。今日のお話の中でもお伝えしたように、性暴力被害は、それこそまず人に伝えにくいというのがあるので、私自身も、本当に自分でこの性暴力被害と向き合おう、カウンセリングとかセラピーを受けようと思ったのが、本当に40歳ちょっと前ぐらいでやっとというところだったので、なので、そこを事件として訴えるとかじゃなくても、どうも性暴力被害でなんかしんどいんだみたいなことでどこか窓口があって、そこに行けば、無料でちゃんとケアがしてもらえるようなシステムがあったらすごくいいのかなと思うんです。
 今刑法性犯罪の法改正で、当事者として山本潤さんが入って、いろいろ当事者の声を上げてくれていますけれども、その中でも、結局暴行・脅迫がなければ訴えられないみたいな。暴行・脅迫を外そうといって、私も今日あえて暴行・脅迫がないというのを強くお伝えさせていただいたんですけれども。暴行・脅迫がなくなったら冤罪が増えるんじゃないかということを言われているらしくて、でも、これも、さっきお話した加害者は、実刑を受けたら住むところもあって御飯も食べられて、ちょっと具合が悪くなったらすぐ医療が受けられてと、ずるいよねと。じゃあ、犯罪したほうがよくないですかみたいな極論になっちゃうんですよね、やっぱり自暴自棄になってくると。それで言うと、やっぱり被害に遭ってしんどくってケアを受けたいといったときにも、刑務所並みの予算があってもいいんじゃないかなと思うんです。というと、例えば暴行・脅迫がなくなったとしても、例えば訴えたらカウンセリングやセラピーを受けることを必須にしてしまえば、逆に冤罪もなくせるのかなと。冤罪、うその訴えをしても、心理的なケアとかセラピーを必ず受けないといけないみたいな。それが全部無料で受けられるみたいになると、うそをつきにくい。それでもずる賢い人はいろいろ知恵を絞ってやるんでしょうけれども、そういったことを、結局性犯罪だけじゃなくても、刑務所に入って、出たら出たで保護司がついてとか、なんて手厚いんだ、加害者にというところですよね。やっぱり被害に遭った人は、もう被害に遭いっぱなし、ほったらかしというのは、ここは変えていってほしいなとすごく思うところです。保護司並みに寄り添ってくれる人が自動的についてくれるみたいな、そんな感じですか。
 あと、年齢に合わせた性教育。これも、本当年齢に合わせたというのはすごく大事やと思います。そんな感じです。
 あとは、ワンストップ、そんな感じです。

○山本委員 ありがとうございます。本当になんの問題でも予算をつけるということは大事で、それが今言われた冤罪の話がありますけれども、そういうあるまじきことのために、困っている人が本当に困ったままであるということにならないようにしていかなくちゃいけないので、一方で、邪悪なことがあるといって、こちらの被害に遭った方をないがしろにすることはできないので、制度とか法とかをきちんとしていくことと、県レベルでいくと、相談対応と支援の形が進んでいけばいいなと思います。
 それと、あと性教育ですが、年齢に合わせたということで、私も高等学校で20年ぐらいまで、とにかく性というのは心で生きると書きますので、生き方の問題でありますから、セックスだけではなくて生き方の中のその中に入ってくるということで、男子生徒に特に授業をしているということでやっていたけれども、その前の性教育が女性に対する貞操教育でずっと日本は来ていましたので、そこら辺のところが、やっぱり時代の中で今大切だというふうにみんなが認識をしてきて、きちんと行き渡っていくということが、これも大事なことだと思います。今日はありがとうございました。

○北川委員長 ほかに質疑はいかがでしょうか。

○小島委員 お答えいただけるならということで、結婚されて子どもを産むということが、私の知り合いはとても子どもは産めないといって、子どもを持つことはしていませんが、柳谷さんは子どもさんがいらっしゃって、もう大きくて、多分お母さんがどういう活動をしているかと知っていらっしゃいますよね。子どもさんと、やっぱり家の中で話すというのはなかなか一番、いわゆる性教育でも本当に子どもに話しにくいというか、私も息子が2人いますけれども、もう大きくなっちゃいましたけれども、夫にある日相談したら、そんなことはやらなくても自然に分かっていくというふうに言われたけれども、それでいいのかなと思いながら、どんなふうにお子さんと、この活動を10年前にそうやって思って始められたあたりはいろんな話をされているのかなというふうに思うんですが。お答えいただけるなら、教えていただけるとと思います。

○柳谷参考人 まずは、活動するに当たっては、我が家はお互い再婚なんです。私が長男を連れて再婚をしたんですけれども、とにかく再婚をしたときに3人ですごくぎくしゃくしたことがあって、それがきっかけで実はカウンセラーの方のセミナーを受けに行って、そこで、血がつながっているとかつながっていないとかは関係ないんだよと。血がつながっていない親子がうまくいくとかいかないとかは関係ないんだよ、だって、じゃあ、夫婦は血がつながっていないからうまくいかないのですかと言われて、本当だみたいな。そこから学びが始まったんですけれども、そのセミナーの中で、資料にもあるんですけれども、そのときはブレインストーミングというミーティングの方法を家族でやってみようみたいな提案があって、今私は講演会の中でファミリーミーティングという名前に言い換えてお伝えをしていて、なので、何か事あるごとに、我が家は、否定、批判、駄目出し、お説教が絶対ないというルールのミーティングをしています。
 その中で、私がちょっと活動を始める前にセラピーをまず受け始めたときに、セラピーを受け始めて、今まで蓋をしていたいろんな感情がちょっとあふれ出てしまって、ちょっと自傷行為が始まっちゃったんです。私の自傷行為というのは、自分の体をたたきまくって、発狂して、壁に頭を打ちつけたりとかして頭から血を流したりとか、「私なんか死んだほうがいい」みたいな、わーっと出てくるようになって、そういったのも子どもたちにちょっと見せてしまったりとかしていたので、その中で取材の話が来て、そのときも、家族みんなで、お母さんは小さい頃にこういったことがあってとか、あとは、じいちゃんから怒鳴られたりたたかれたりしたことで、すごく自分を認めてあげられなくて、あんなふうになっちゃうと。それを治していきたいというのと、そういうことがあると、こんなふうになっちゃうというのをお母さんは伝えていこうと思っていると。どう思うかということで、でも、彼らは言うてもまだ下の2人は3歳と5歳だったので、すごく小さかったんですけれども、当時長男はもう高校2年生ぐらいだったので、その話をしたところ、「そういうことを言える人はそんなにおらんと思うけん、いいんじゃないと」みたいな、彼も博多弁が抜けないので「いいんじゃないと」みたいな感じで。当初は、だから、NHKとか関西テレビとか、家族総出で取材を受けていました。
 そこから、またちょっといろいろあって、ここでは録画されているのでちょっと言えないんですけれども、いろいろあって、今は私だけが、子どもたちはちょっと出さないというふうにはなったんですけれども、やっぱり子どもが被害に遭うという、被害だけじゃなくて、被害からの生きづらさというのを当事者が伝えていかないことには社会の認識が変っていかないなというのもすごく思っているので、私はさっき言ったように、加害のいとこが亡くなっていて、いとこの家族はというと、実はちょっと離れたところに、離島に住んでいるので接触がほとんどない。私がこんな活動をしていることも多分知らないと思うんですけれども、なので、もし何か言われたら、そのときは向き合おうとは思っているんですが、今のところ、言っても高齢なので、いとこの両親も。多分80歳ぐらいになっていると思うんですけれども。こういうことを、さっきおっしゃったように自然と分かるからと。自然と分かるというのが、今どきの子どもたちは、そういう暴力的なゆがんだ性の情報だったら、それが「自然と分かる」を、それをそのままパートナーにやっちゃったときに、どういったことが起こるんだろうねということなんですよね。
 実際、やっぱり学生の男の子が彼女と初めてのセックスをするときに、顔に精液をかけたら振られたという話があって、なんとも笑うに笑えない。でも、彼は、じゃあ、どこで学習したんだろうなというと、やっぱりそういう情報。もう今どき本当にちょっと検索すればすぐに見られる状況にあるので、見るなというんじゃなくて、基本は見たらあかんねんけれども、でも、あそこに流れていることは、作り物であり、暴力であり、ああいうことをしてはいけないよということを丁寧に自分の子どもにまず伝えていかなくちゃということで、自分の子どもに伝えているということをまた伝える。
 うちの、特に男の子3人なので、相手を大切にしてあげるとか明確な同意をちゃんと取ろうねとか。なので、今高校1年と中学1年になった下の2人なんかは、本当に興味はすごくあるけれども、やっぱり実際にするのは怖いと言いますね、知っているから。興味はすごくある。だから、自慰はなんぼでもやっていいからという話は。しかも、自慰のことについても、また資料を見てもらったら分かると思うんですけれども、強い力で握っては駄目なんだよとかということもしっかりきちっと丁寧に伝えて、だから、本当に大人がしっかり学習して伝えていかないといけないな。でも、伝えることのハードルの高さも知っているので。
 私も今でこそ、もうやれセックスだ、膣だとかと言えるようになりましたけれども、めちゃくちゃ練習しました、性教育をするに当たって。「ち、ち、膣、嫌」みたいな感じで。なので、そのハードルの高さが分かるからこそ、親子で一緒に見られるという性教育をつくってお伝えをしているところです。日曜日に朝の10時からありますので、無料なので、よかったら見に来てください。

○北川委員長 よろしいですか。
 ほかに御質疑はございませんか。
 時間も大分超過していますので、では、ここで質疑を終了させていただきたいと思います。
 それでは、この際、参考人に対して、委員会を代表して一言御礼を申し上げたいと存じます。
 本日は、お忙しい中、本委員会のために御出席をいただき、誠にありがとうございました。また、大変貴重なお話、御意見を聞かせていただきました。今後の本委員会での議論にまた反映をさせていただき、役立てていきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。今日は誠にありがとうございました。
 それでは、以上で参考人からの聞き取り調査を終わります。
 参考人が退出をされますので、着席のまましばらくお待ちをいただきたいと思います。
          〔参考人 退席〕

2 委員間討議

○北川委員長 次に、委員間討議を行います。委員間討議は、引き続き公開で行いますので、御留意の上、御発言願います。
 本日の参考人の方からの聞き取りについて、御意見等のある方はお願いをいたします。
          〔発言する声なし〕

○北川委員長 特に今日の段階ではよろしいですか。
 それでは、最後に、次回の委員会についてですが、次回は、他の都道府県の条例の状況等について調査を行い、その後委員間討議を行いたいと思いますが、委員会の開催日時については後刻日程調整をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いしたいと思います。
 御協議いただく事項は以上でございますが、特に何か御意見がございましたら。

○山内委員 一つだけちょっと提案という形でさせていただきたいんですけれども、先回LGBTに関する参考人から貴重なお話を、御意見をいただきました。ただ、限られた時間での聞き取りであったわけなんですが、性の多様性を尊重する条例の策定に向けて今8名の委員の皆さんが人選をされて、検討会議が開催されて、2回開催をされております。私、ちょっと会議録を見せていただいたんですけれども、ちょっと先の参考人の方から少し詳しく聞き取れなかった、いわゆる具体的な事例に基づいた差別の実態とか、そういったところも結構言及をされている状況がありまして、非常に貴重な議論がその検討会議でされているなと思ったので、我々この特別委員会でもしっかりその内容を共有を図っておくことが大事なんじゃないかなというのを思いました。また、11月末にはもう一回あるということです。
 もう一点なんですけれども、啓発は重要であるというお話もありまして、これまでの三重県内の例えば教育現場とか、また社会の様々な場面での啓発の状況とか実態とか実績とか、そういったところが、できたら執行部のほうから資料でもいいのでいただきたいなという思いがありまして、そういった情報を我々も共有しておくことが、これから議論を広めていく、深めていく上でも重要かなというふうに思いますので、ちょっと提案をさせていただきたいなというふうに思います。

○北川委員長 ありがとうございます。
 LGBTの関連の条例については、今検討会議が1回目と2回目まで終わりましたんですか。前回の参考人招致もそうですけれども、私も特別委員会が直接その条例に云々ということではないものの、逆に申し上げると、差別の対象の一つの分野ということでもありますので、委員の皆さんで異論がなければ、資料をまた委員会としても要望させていただいて、お渡しをさせていただこうかと思います。あと、啓発とか教育の事例実態についてというところについては、このうちまたその分野に限らず追加で執行部の聞き取りを必要に応じてやりましょうという話になっていましたので、そこでまた、皆さんからほかにも御意見もあると思いますので、聞き取りも含めて、まとめて判断させていただこうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
          〔発言する声なし〕

○北川委員長 よろしゅうございますか。では、そのようにさせていただきたいと思います。
 ほかに御意見よろしいでしょうか。
          〔発言する声なし〕
 
〔閉会の宣言〕
 
                          三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
                                        差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
                                                               北川 裕之

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