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令和3年9月9日  差別解消を目指す条例検討調査特別委員会 会議録

資料はこちら

差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)

 
開催年月日   令和3年9月9日(木曜日) 午前10時0分~午後2時23分
会 議    601特別委員会室
出席   11名
        委員長     北川 裕之
        副委員長   山崎  博
        委   員   石垣 智矢
        委   員   小島 智子
        委   員   山内 道明
        委   員   山本 里香
        委   員   稲森 稔尚
        委   員   藤田 宜三
        委   員   石田 成生
        委   員   東   豊
        委   員   中村 進一
欠席     なし
出席説明員   出席を求めず
事務局職   企画法務課政策法務監兼班長  水谷 憲司
委員会書記
         議事課     主幹 櫻井  彰
         企画法務課  主任 長谷川 智史
傍聴議員   1名
         杉本 熊野
県政記者   1名
傍聴者     2名
協議事項
1 条例案素案の検討について
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 条例案素案の検討について
〇北川委員長 本日は、前回に引き続き、条例案素案について委員間討議を行い、できましたら頑張って最後の項目まで終わらせたいと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、委員間討議に入ります。
 まずは、条例案素案の検討に入る前に、前回の委員会で複数の委員の方から助言、あっせん、勧告等の用語について整理してほしいとの御意見がございましたことを踏まえて、お手元に配付のとおり資料を用意いたしましたので、事務局から説明させます。

〇水谷政策法務監 それでは、お手元配付の資料に基づきまして御説明させていただきます。
 まず、助言につきましては、「ある者に対し、ある行為をなすべきこと又はある行為をなすについて必要な事項を進言することをいう」とございまして、例えば労働紛争の助言・指導などでは、紛争当事者に対して紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示すことが行われています。
 なお、ここでいいます相談体制における助言のほうは、その対象が相手方に対して行われることもあるかもしれませんが、主として相談者に対して行われることが多いと想定されるのに対しまして、紛争解決体制における助言、助言が2つあるということでございましたけども、紛争解決体制のほうでの助言については、基本的に相手方当事者に対しても行われることが想定されます。
 また、前者、相談体制における助言については、相談対応者を中心とする相談機関における判断の下で行われることが基本となるのに対しまして、後者、紛争解決体制における助言については、知事による助言であって、組織的な判断の下に行われることに加えて、必要がある場合には第三者機関の答申を踏まえることとなると、こういった違いがございます。
 続きまして、あっせんでございます。
 当事者に話合いの機会を与え、第三者が双方の主張の要点を確かめ、相互の誤解を解くなどして、紛争を終結(和解)に導こうとする制度とされております。例えば労働紛争のあっせんでは、双方に対する説得、意向の打診、紛争解決に向けての方針や解決案(あっせん案)の提示などが行われます。助言と異なって、具体的な解決案の提示までなされることとなります。
 さらに、勧告につきましては、ある事柄を申し出て、その申出に沿って相手方の処置を勧め、または促す行為をいいます。法的拘束力があるものではなく、いわゆる行政指導に当たります。
 紛争解決体制における勧告は、不当な差別をしたとされる者が正当な理由なく助言・あっせんに従わないと認められる場合に、その者に助言・あっせんに従うよう勧告し、問題解決のための行動を促すものでございます。
 あと説示といいますのは、法務省の人権侵犯事件調査処理規程というものがございまして、そこで書かれておりますのは、「相手方又はその者を指導し、若しくは監督する者に対し、その反省を促し、善処を求めるため、事理を説示すること」とあります。
 法務省では、これは人権相談から人権侵犯事件への切替えが行われた上で講ずる措置として位置づけられております。また、和歌山県の部落差別の解消の推進に関する条例におきましては、相談に応ずる場合とは別の位置づけで部落差別への取組というのが位置づけられておりますことから、説示というのは、相談対応として位置づけるよりは紛争解決体制の中で行う措置として位置づけることが適当と考えられます。後段のほうは、位置づけの話を御説明させていただいております。
 おめくりいただいて、裏側のほうに、前回、各委員のほうから説諭という御質問がありましたので、こちらのほうも調べましたが、刑事訴訟において裁判長が判決の宣告をした後に、被告人に対して、その将来について適当な訓戒をすることができることとされておって、これが一般的に説諭と呼ばれているものでございます。
 また、警察が捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ検察官から送致の手続を取る必要がないとあらかじめ指定されたものについては、検察官送致をしない場合、微罪処分というようですが、そのような場合に、警察官が被疑者に対して、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すことも説諭と呼ばれることがあるということで、法令用語ではなく、また、あまり一般的になじみもない言葉かと思いますが、このような言葉もございますので、調べて報告させていただく次第でございます。

〇北川委員長 ただいまの説明について何か質問はございますか。いかがでしょう。

〇藤田委員 助言の話なんですが、対象が主として相談者になるというふうに書いてあるんですが、今回の場合、やはり相手方に対しても、相談の段階で助言というものが入っているのかなと私は理解しておったんですが、これは入らないんですか。

〇水谷政策法務監 相談者に対する助言で終わる場合もあるかと思いますし、委員がおっしゃるように、相手方に対しての助言が行われる場合もあるかもしれませんし、ケース・バイ・ケースかとは存じますが、特に排除するものではないんですが、主には相談者に対してなされるのが多いかなということで、ここに書かせてもらった次第でございます。

〇藤田委員 この文章を読むと、この次の段階の部分を何か助言というような表現になっているやに読めるんですが、要は相談体制の中で相談者及び差別をした側も含むと、そういう場合もあるというふうに理解させていただいてよろしいでしょうか。その確認だけさせてください。

〇水谷政策法務監 相手方に対するものもあり得ると考えられると思います。

〇北川委員長 これはあくまでも言葉の説明が主のペーパーですので、少し素案に関わった表現を入れていますけれども、これが逐条解説に入ってくるような意味合いで記しているというふうには正副委員長では思っていない範疇なので、その点だけ御理解いただきたいと思います。当然、両方対象というか、関わるということで考えていますので。
 ほかに御質問ございますか。

〇山本委員 よろしくお願いします、知識のために。
 あっせんということの説明書きがありますが、よく私たちのイメージでいう調停みたいな感じですか。そういうような意味合いで、これを読む限りそんなふうに思うんですけど、調停のようなものでしょうか。

〇水谷政策法務監 一般的な用語の使い方として、あっせん、調停という場合には、調停のほうはもう調停案に従うことを前提に示される場合、あっせんの場合は、従う、従わないは任意で、解決案の提示ではあるけども、従う義務まではないものということでございます。

〇山本委員 調停も、調停案があって調停に従わないことも、それはもう受け入れられないということもあると思うんですが、だから同じようなものなのかなと、状況としては。

〇水谷政策法務監 調停の場合は、調停案が示されたら、それを受け入れることを前提に示されるので、そういう意味で法的な重みがちょっと違うかとは思いますが。ここではあくまでも解決案の提示を想定していると、それが助言とはちょっと違うよということをここで言いたかったところでございます。

〇山本委員 それがあっせん案ということですね。はい、確認しました。

〇北川委員長 ほかの皆さん、いかがですか。よろしいですか。

〇石田委員 委員長にお願いさせていただきたいんですが、前々回ぐらいのときに、条例案が最終段階に入ったときに一度例を二つ三つ挙げて、サンプル的にシミュレーションしていただいたら分かりやすいというお話をさせていただきました。その中でも助言とかあっせんとかという言葉を使いながら、こういう助言をしましたとかこういうあっせんをしましたと、そのシミュレーションの中でちょっと使っていただけると分かりやすいような気がしますので、お願いさせていただきたいと思います。

〇北川委員長 はい、分かりました。おっしゃるような形で説明、提示ができるように、事務局とちょっと詰めたいというふうに思います。
 ほかに質問がなければ次に移らせていただきますが、よろしいですか。
 今おっしゃっていただいたようなことも含めて、次回に条例案素案の修正版、今日はちょっとお出しできませんもので、時間的に、次回の委員会でお示ししていきたいと思います。いろいろいただいていた宿題も含めて、次回に提示させていただくということで御理解いただきたいと思います。ほかになければ、先ほどの説明について、資料1のほうに移らせていただこうと思います。
 33ページをお開きいただきたいと思います。前回の委員会において、第17の助言及びあっせんの状況の公表の討議の途中で終了しておりましたので、引き続き、この項目から委員間討議を進めてまいりたいと思います。
 なお、この項目について、前回、委員から出た質問に対して事務局から報告がありますので、お願いいたします。

〇水谷政策法務監 それでは、助言及びあっせんの状況の公表について幾つか御質問いただきましたので、事務局で調べました点を御回答させていただきたいと思います。
 まず、公表の方法についてでございますが、既に障がい者差別解消条例のほうで同様の規定がございますので、そちらを確認いたしましたところ、逐条解説等には記載はございませんでしたが、担当課に確認いたしましたところ、特に公表の方法として決まっているものはないけども、もし実際に事例があった場合には、ホームページへの掲載などを想定しているということでございました。
 他の自治体の条例などを見まして、この公表について規定しているところの例としては、インターネットを利用する方法などを例示しておるものがございますし、また法律においても、インターネットの利用を例示しているものが散見されますということで、公表の方法についてはそのような状況でございます。
 続きまして、公表する内容といいますか、対象から勧告が外れているのはなぜかというお尋ねでございました。
 勧告につきましては、逐条解説によりますと、助言やあっせんについては、どのような行為が差別的取扱いや合理的配慮の不提供、提供しないこととして問題になるのか、また、それらに対してどのような解決策を与えることが望ましいのかについて有力な指針を提供するものと言えるので、他の差別事案の発生防止や、他の差別事案が発生した場合の自主的解決の基準の形成に資するよう、助言やあっせんの状況を公表することができるとされております。
 逆に言いますと、勧告に従わないことを公表しないことに関しましては、この条例の立案時の考え方を整理した資料を調べましたところ、勧告に従わない旨を公表するということは、もし氏名などを含んだ場合ですと、制裁的機能に着目して行われたものであることから、当事者間での自主的解決を援助するために行うとする助言・あっせんの趣旨に適合するか慎重に見極める必要があるので、条例では、勧告制度を定めつつ公表は定めないこととしたということで、繰り返しになりますが、要は、情報提供として助言・あっせんについては公表することとしておって、勧告に従わない旨については、当時前提としていたのは、氏名等を含んだものとしてですが、それらについては制裁的な機能を持つもので、自主的な解決を援助するのには逆にそぐわないというような、そこを慎重に見極めた結果、公表は定めないこととしたというふうな整理が、障がい者差別解消条例の立案時にはされておったようでございます。
 あと最後でございますが、公表することができると障がい者差別解消条例のほうもされておる理由でございますが、この点につきましても、逐条解説等への記載はございませんでして、また、当時の担当者などに聞きましたところ、類似の公表規定を定める法律の表現を参考にしたということでございました。
 経緯的にはそういうことなんですが、この点について考えてみますと、差別事案の内容によっては関係人の秘密を除いて公表することが困難なもの、どうしても氏名等を除いてもなお秘密にすべき事項が含まれちゃうような場合とか、あるいは申立人が公表を望まないものも想定されるので、一律に公表を義務とすることが適切かどうかについては、慎重な御検討が必要かなと考えられるところでございます。
 あと規定の仕方について、公表することができるというふうにしますほか、仮に今、規定はそのままにしておいたとしても、例えば逐条解説などにおいて、正当な理由がない場合には公表すべきものということを記載するということも考えられるかと思います。

〇北川委員長 大きく3点ある話だったと思うので、一つ一つ確認していきたいと思います。
 1つは公表の仕方ですが、障がい者差別解消条例においてもあるわけですけども、特段定めてはいないという中でも、他県の事例等も鑑みながら、一般的にホームページ等での掲載での公表が想定されるということですが、この点について何か御意見ございますか。質問でも結構ですし。
 特段なければ、そういうことを想定しているという解釈でよろしいですか。
 それから、2つ目が勧告、助言・あっせんの公表ということで、勧告を含めてないということについての説明は先ほどのとおりです。内容自体は、勧告は、その手前に助言・あっせんがありますので、事例公表としてはなされるということはもう再三申し上げているところですけれども、氏名、あるいは秘密に関わる部分が除かれるという前提で、極端に言えば、こんな事例があって最後に助言・あっせんしたけども、勧告にまで及んだけど従わない事例がありましたよねということの公表が必要なのかどうかということなのかなと委員長的には解釈するんですが、勧告を入れるか入れないかというのは。ほかの考え方もあるかもわかりません、こういう意味合いがあるから入れとくべきだとか。
 その辺の御議論だけ、入れるか入れないかということで御意見を賜れればありがたいですが。

〇稲森委員 勧告については、氏名を公表することも含めて検討するから、慎重に考えて外したという説明でしたよね。
 ですので、氏名を公表しないという前提であれば、ぜひ勧告についてもその情報をやっぱり明らかにしていく必要があるのかなと思いますし、また、しっかり年次報告なりで公表していくことを求めるんであれば、「公表することができる」ではなく、「公表するものとする」という条文がいいんではないかと思います。

〇北川委員長 前段の勧告は含むべきだというお話、障がい者のところについては、氏名の公表が前提に、始めにありましたから、議論の中で外れていったという流れがあるということでしたから、でなければ入れておくべきだということで。
 その場合、稲森委員、事例としては一緒ですよね。どの部分が公表の内容として含まれていくべきだという考え方ですか。

〇稲森委員 どの部分とは。

〇北川委員長 こんな事例がありましたというのは一緒ですよね。

〇稲森委員 そうですね。

〇北川委員長 だから最後は、従わなかったので勧告しましたということが付け加えられるという公表ということですか。

〇稲森委員 はい。特に公表しない理由はないのかなと。

〇北川委員長 ほかの皆さん、いかがでしょう。

〇中村委員 私も、少しでも実効力というか、効果をやっぱり高めていくためには、勧告を公表しないという理由はちょっと見つからへんかなと思いますね。名前等を挙げないということであれば、それはまた議論していただいて。
 実効力を担保したいなという思いはずっとありますので、勧告だけを除くというのはどうかなと思いますし、それから、後で出てきますけども、「ことができる」をやはり「ものとする」というふうな表現というのも、実効力を担保する意味では必要かなと思います。

〇北川委員長 ほかの皆さん、いかがでしょうか。

〇石田委員 1つ質問で、公表の方法について、ホームページとインターネットと2つ言われましたが、ホームページとインターネットとは違うものとしての説明ですか。一緒のもの、結局ホームページという意味ですか。

〇水谷政策法務監 すみません、言葉が不統一で。同じものを想定してお答えさせてもらっています。

〇石田委員 ホームページという解釈でよろしいですね。

〇北川委員長 ほかの皆さん、いかがですか。
 勧告も含めてという御意見が複数の委員の方から出ていますけれども、今の素案は助言及びあっせんの状況の公表ということですけども、助言及びあっせん、勧告の状況の公表ということに素案としてはまとめていくということでよろしいですか。
 具体的なイメージもあると思うんですけれどもね、実際の公表の。助言・あっせんに至った事例、勧告に至った事例と、こういう整理になるという方法も考えられますし、もう少し何か付け加えていくべきこともあるのかもわかりませんが。

〇小島委員 助言・あっせんに至った事例と勧告に至った事例って、要するに途中までは一緒なわけで、結果だけの問題ですよね。
 ここに「差別事案の発生の防止又は差別事案が発生した場合における当該差別事案の解決に資する」と書いてあるので、勧告を行ってそれに従った、従わなかったということは、どっちでもいいという言い方は変ですけれども、私はどっちでもいいかなと思っています。そのことが例えば罰則のように、こんなふうにして従わんかったということが明らかになることが本当に防止になるのかどうかという辺りは、少し考えたほうがいいかなと。
 ごめんなさい、はっきり理由づけが……。稲森委員のおっしゃることも分かるんですけれども、目的をどこに置くかということかなと思うので、ここに書いてあるような目的のためであれば、勧告のところにあまり重きを置く必要はないかなと私は思います。
 ただ、後に出てきますが、例えば蓄積とか分析をしていくときに、こういうふうにしたけれどもこういう結果だったということは、じゃ、どこに問題があったんかとか、進め方がどうだったのかとか、その辺りをPDCAを回すためにやるというんだったら分かりますけれども、公表を一般的に県民に向けてして、それが本当に防止になるかどうかというのは、ケースにもよると思うんですが、だから絶対そうしたほうがいいと、なかなか今、よう言い切れません。

〇稲森委員 おっしゃることも分かるんですけど、基本的に情報公開というのが大事なんかなというふうに思っていて、そこから県民がその情報を得て、どう考えていただいたり、どう実態を分析していただいたりということもあると思うので、特に外す理由はないのかなという程度には思うんですけど。

〇小島委員 軽く、こういうふうにしたけど、解決に至らなかったので勧告しましたとかぐらいやったら、別にそんなに大きな問題はないのかなと思いますが。

〇山内委員 私も、非常に判断が難しいなという中での考え方なんですけども、先ほど小島委員のほうからどちらでもいいということがありましたけども、どちらでもいいので上げるのも問題ないなという感覚です。
 で、勧告に従わないことを公表すると制裁的な機能となるということなんですけども、勧告に従わない時点で多分制裁とお感じにはならないと思いますので、そこを気にしていては意味がないと私は思っています。
 それから、勧告をして従わなかったという事実を県民に公表することで、やっぱり県民の皆さんに勧告に従わない人がいるんだということを知っていただくことは、傍観者をつくらないというのでは大事かなという感覚があるんですけども、私も迷っています。

〇稲森委員 それと付け加えて、情報公開、県民に情報を判断してもらうということも含めて、さっき「できる」を「ものとする」という、「ものとする」がやっぱりすごく大事だと思っていて、僕は、過去の経験上も、役所の人に条例上「できる」となっているじゃないかと言ったら、いや、これはできる規定ですからといって逃げられたこともあるんで、やっぱりこれは公開するということを、情報公開をかちっとしていくべきだと思うんで、そういう意味でも、今、山内委員がおっしゃったことを深めていくためにも、「できる」を「ものとする」というのは非常に大事かなと思います。

〇山本委員 今回、この条例をつくって、いろいろな相談から手段があって、方法があって、最後のところが勧告だと思うんですね。最後のところまできちんとやっぱり押さえるということは、公表を「するものとする」と。手前のところで、そこまでは公表していたけどということではやっぱり駄目かなというふうに思います。最後ですので、この勧告で、そのことの情報はきっちりと押さえておくべきだと思います。

〇北川委員長 ほかに御意見は。よろしいですか。

〇東委員 今のところで賛否みたいなことを言うという感じですか、みんな。

〇北川委員長 ここで決められれば決めておきたいですけど、別に決めてかからなきゃならないことではありませんので、両論あって、最終的にまた、素案の最終練り直しするときに御意見を交わしていただくとかで大丈夫です。

〇東委員 じゃ、意見を。
 最後の結論、落としどころがちょっと型にはまらないところでお話をしますが、この委員会で、中村委員がおっしゃったように、やっぱり実効性のある条例をつくりたいというのが基本で、その中で罰則規定はどうするという話になったときに、いや、罰則規定はないよねということは皆さんの心の中に多分あると思うんです。罰則はなしというスタンスからすると、どういう公表の仕方かということだと思うんですね。罰則的ではない公表の仕方ということかなと私は思います。
 ただ、情報公開ということはもう行政は絶対やらなあかんと思いますので、罰則的でない公表ということになると、この条例の目的は、こういうことがやっぱりよくない社会なんですよ、差別につながりますよ、人権侵害につながりますよということを明らかにしていくということが、つまり理想社会を求めていくという意味で公表していくということがこの条例の肝だと思うので、それに従わない人、つまり助言、あっせんでこれをやりました、行政はちゃんとやりました。でも、やっぱりそれに従わないという人が何がしかの形でありますよね。それは罰則ではなく、情報公開していくという段階でいいんじゃないかなという気はします。今の段階の思いは。
 だから、個別具体に分かるとか分からないとかということの罰則的な、あとはもうちょっと場が違うと思うんです。いわゆる裁判所の問題になる可能性がありますので、行政としてはそこまでということのように思いますので。そんな感じですね。

〇北川委員長 いろんな御意見が出ていますので、この部分についてはちょっと両論にさせていただいて、最終的にまたお決めいただきたいと思います、勧告を含めるかどうかについて。
 どういうことが差別に当たるかだとか、どういう解決策が考えられるのかとか、ここには書いてないですけど、ある意味、じゃ、それが解決したのかどうかということも含めて、どういう情報を県民に提供することが解消につながっていくのかという視点でもう一度皆さん方の頭の中で整理しておいていただいて、次回にまた確認をさせていただきたいと思いますけど、もう一点、同時に議論になりましたけども、公表することができる、できる規定で置いておくのか、逆に公表するものとするとして、逐条解説なり何なりで、場合によってはこういう場合は除きますよとかいうふうなセーフティーネット的なものを設けておくという考え方にするのか、その辺、続けて御意見があればいただきたいと思いますが。

〇石田委員 県民に向けて公表して知っていただくためにという、差別事案が、今後同じようなことが起こらないために資するということで、ホームページにということなんですけど、ホームページにどうやって載っけるかで、三重県のトップページにこれが必ず載っとれば分かりますけども、あると分かっていてもなかなか探せない。三重県の情報はめちゃくちゃたくさんあって、トップページからあると分かっていてもなかなか探せなくて、原課に聞いてどこにあるというような状態。これが公表されてどこにあるかって、トップにずっと載っとるわけじゃありませんし、あると分かっていてもなかなか探せない気もします。
 この委員会のこれだけを優先して載っけようということもできへん話で、そこら辺の公表の方法について、実効性のある載せ方って果たしてどんなもんかなとちょっと今考えていても、自分でも、答えをよう見つけやんのですが、ホームページとはそんなもんかなと思っているんです。何か、もしいい方法があったらお出しいただけるとありがたいなと考えていました。

〇北川委員長 石田委員の御意見も含めて御意見がありましたら。

〇小島委員 石田委員のはちょっと後で。
 稲森委員が言われたことで、この条例ができたときに誰が運用するのかということを考えたときに、例えば行政の方々がためらうようなことがあってはやっぱり駄目なのかなというふうに思うんですね。だから、この条例をきちっと運用できる自信を持ってと考えると、「公表するものとする」というふうにしておいて、どういう場合にそこを外さなくちゃいけないかということをきちんと逐条解説で書くほうが、運用する側を考えたときに、それは絶対にしやすいだろうなと思います。
 それから、石田委員の誰に向けて公表するかというのもあって、県でこういうことがあったときはやっぱり市町にはきちっとお伝えしないといけない、こんな例があって。それは県に相談が来たことかもしれないし、市町である程度やってきたけれども、どうにもならんでと県に回ってくる案件かもしれない。でも、最終的にこうなりましたということは、だからホームページか何か分かりませんけど、そういうところに載せると同時に、この中身はきちんと市町には、あるいは関係するところには、私は、1つずつ丁寧にメールなりで概略を書いたものをお伝えはするべきかなと。それがある意味、一つの公表の仕方なのかなというふうには思います。

〇北川委員長 ほかの皆さんはいかがでしょうか。

〇藤田委員 私も、やっぱり公表すべきだろうと思う一人です。先ほど「できる」で、その表現で事実上できなかったという事例の紹介があったんですけども、やっぱりなくしていくという視点については、確実に公表していくという体制が必要かなというふうに思います。
 その場合の勧告についても、いろいろ意見があろうかと思いますけども、私が前回、勧告はなぜ含めないんですかという質問をさせていただいたのは、やっぱり勧告という事実があって、要は内容的に、極論ですけども、自分の行った差別的な行為・言動に対して、それは違うという意見があるからあっせんに対して対応できなかったということなんで、勧告までして、内容については、やはり差別行為に入るんだよという意思表示が要るのかなというふうに思います。
 そんな意味も含めて勧告というものも公表の対象にすべきだし、内容的に公表するというのが原則で、中には、これはやっぱり個人が想定できるとか、いろんな場合があると思いますけども、そういう場合については公表しないことも可能なんだよというようなことを付け加えるというやり方のほうが、小島委員がおっしゃったように、実際やっていただく、進めていただく執行部、それから関係者の皆さんにとってはやりやすいのかなというふうに思います。

〇北川委員長 複数いただいた御意見は、原則はやはり公表するとして、内容によっては、例えば話に出ていましたように、秘密事項を幾らカットしてもやっぱり内容が推察されてしまうだとか、あるいは二次的な被害が及ぶ可能性があるだとか、そういうものについては除くけれども、原則は公表するものとするという考え方にすべきだという御意見ですけども、その方向性で、皆さん、コンセンサスということでもよろしいでしょうか。大丈夫ですか。
 はい。じゃ、その方向にさせていただきます。
 今、石田委員から、公表の仕方もあるよねということで御意見もいただきました。小島委員のほうからは、市町も含めて情報提供は必要ですねというお話もありました。
 この助言及びあっせんの公表に限らず、その手前の相談の中で出てくる事例もしかりですし、助言・あっせん、勧告に当たった事例もしかりですし、それからもう一つ、情報分析のところの蓄積した情報のこともそうですし、それから実態調査、この後議論がありますけども、こういった内容のそれぞれ公表の仕方だとか共有の仕方だとか、こんなところはちょっとまとめてまたどこかで整理、議論させていただくのがいいのかなというふうに思わせていただきましたので、この項については今整理させていただいた形で、勧告についてはちょっとペンディングにさせていただいて、次回議論ということでよろしいでしょうか。
 ほかにこの第17に関わって御意見ございますか。
 なければ、第18に移らせていただきます。
 34ページになりますけれども、助言・あっせんの申立てに関わって知事が意見を聞くことができる調整委員会について記している項目になります。
 米印も幾つか書いてございますが、まとめて、委員構成の男女の割合についての要件を設けることでよいか、それから、委員の専門性や公平性を確保するための委員の任命に当たっての要件、これが4番目に記されておりますけれども、それから、調整委員会においてオンラインによる意見聴取等もできることとすることでよいか、こんなところも確認をさせていただくことになりますが、まず、全体的にこの調整委員会の項目について御意見がございましたらお願いいたします。

〇小島委員 三重県障がい者差別解消調整委員会をベースに書かれていると思うんですけれども、対象とする案件の幅広さを考えたときに、全く一緒では駄目だろうというふうに思っています。
 障がい者差別解消調整委員会は、同じく委員10人以内で組織するとなっていますし、第24条3項のところに、「関係行政機関の職員、学識経験のある者、障がい者、障がい者の福祉に関する業務に従事する者、事業者その他知事が必要と認める者のうちから」云々というふうになっています。
 逐条解説を見ると、有識者のほか障がい当事者、それから様々なところに関わる方、その他には教育関係者や労働者の代表などが想定されると書いてあって、現在も、この10人の方だと思いますが、様々な方が既に任命をされているという状況です。
 翻ってこの差別解消条例の調整委員会を考えたときに、その時々によって議論となる課題、ターゲットは違ってくるだろうと思うので、専門性と当事者性をどうやってこの調整委員会の中で担保するかというのを考えることが大事だと思います。
 方法としては、かといってそんな、物すごい人数をというわけにはいかないので、例えば差別全般について見識のある方とか、教育であるとか、そういうコアなメンバーを決めておいて、それ以外の人たちはその案件ごとに、例えばどなたに入っていただくかは前もって想定しておくとしても、そこに入っていただいてどういうふうに考えるかということを話し合うというようなやり方もあると思うので、全く障がい者差別と一緒でいいとは思いませんから、その辺りを考えたほうがいいかなというふうに思っています。

〇北川委員長 正副委員長で書かせていただいている第18の項目については、もうおっしゃったとおり、35ページにもあります障がい者差別解消条例に沿って、沿ってというか、そのまんまやないかと言われたらあれなんですが、横滑りで置いている状態になっています。ちょっと一部の文言は違いますけども。
 今のお話、当然、その属性も今回幅広で対象も多いという中で、一律の決められた委員という運用よりも、もう少し幅広く、都度都度対応できるような形のほうが適しているのではないか、この条例の場合はという御意見だったと思うんですが、このことについて。

〇小島委員 マル4にいろいろ書いてあるんだと思いますけれども、私は、できるだけ客観性を持って委員は選ぶべきだと思うので、この「人格が高潔」であるって誰がどうやって判断するかと。これは要らないと思います。それよりもどういうことをやられているかとか、障がい者の差別の解消調整委員会はそのように書いてありますから、ここにのっとったほうがいいんではないかと思います。これは、難しいですよ。書いちゃったら誰かが判断しないとせなあかんということやと思うので、私は外したほうがいいと思います。

〇北川委員長 このことについて、委員の皆さんから御意見をいただきたいと思いますが。

〇山内委員 今の小島委員の意見に賛同する部分があるんですけども、三重県人権施策審議会委員の名簿をお配りいただきまして、20名今いらっしゃるということで、それに準じてこのマル4ができているというふうに書いてありますが、所属職名のところを見させていただくと、いろんな役職の方があると思うんですけども、このマル4の書き方でいくと、まさしく人に焦点を当てて、人格が高潔であるこの人が選ばれているということなんですけども、例えばこれまでの審議会の委員の中で、充て職と言ったら恐縮ですけども、それぞれの所属の担当者が替わったら自動的に入れ替わるような事例があったのかなかったのか、もし分かれば教えていただきたいんですけども。

〇北川委員長 法務監、お答えできますか。
 恐らく充て職っぽいんかな、肩書を見る限りでは。正確なことは申し上げられませんが。

〇水谷政策法務監 要は、充て職として異動があったときに交替しているのか、人に着目しているのかということでございまして、ちょっと今すぐに分かりかねますので、申し訳ないです。

〇北川委員長 じゃ、後ほど確認をしていただくということで。

〇山内委員 ごめんなさい、難しいことをお聞きいたしまして。
 仮に充て職だった場合、やっぱり人に光が当たってない可能性があるものですから、非常にこの人選って大事なのかなというふうに思っていましたんで、少し意見だけ述べさせていただきました。

〇北川委員長 ほかにいかがでしょうか。

〇中村委員 小島委員がおっしゃった専門性、それから当事者性という言葉を使われましたけれども、まさに言おうかなと思った、もうそのままの話だったというふうに思います。
 というのは、この委員会が始まるときに、差別の当事者というか、それぞれの参考人の方に来ていただきました。私は、本当に差別って、インターネットから、部落差別から、女性差別から、障がい者差別から、こんなに幅が広いんかなということをまず感じさせていただきました。
 そのことによって起こる課題を議論するときに、ここには10名以内で組織するとあるんですけれども、そんな10人でその内容をどこまで議論できるのかということがちょっとこれ見て心配になったんですが、ただ、人格が高潔であったというのは別にして、このマル4で、まずは差別全体のことで広くそういったことを見られる見識のある方をぜひ選んでいただいて、あと、やはり差別の内容によってある程度の人数を把握しておいて、そこと一緒になって議論をしていくような、そんな委員会の構成ができるのかどうなのか。かつてそういうものがあったのかどうなのか。
 事務局レベルでいうと、たくさんの方を調整していかんならんので大変かというふうに思うんですけれども、今の時点で、今回の差別解消の調整委員会としては、ある程度のそういう幅広な組織づくりをしていくことが必要じゃないかなということを感じさせていただいたんで、小島委員の御意見にそうだなというふうに思わせていただいた、そんなことでございます。

〇北川委員長 ほかの皆さん、いかがでしょうか。

〇東委員 さっき言われた「人格が高潔であって」という文言がどういうことを指されるのか、もし法務監が分かれば教えてほしいなと思うんですけど。この背景があるんじゃないかなと思うんですけど。だから、誰がどうやって選ぶというのは非常に難しいと小島委員がおっしゃっていたんですが、ほかの条例とかでもあるんでしょうね、人格が高潔という、使うときの。もし条例ができたとしたら、高潔な人格には物差しがあるんじゃないかと思うんです。その物差しを教えてほしいなと思うんです。

〇北川委員長 それはちょっと調べてもらう必要があるかな。即答は難しいですかね、法務監。

〇水谷政策法務監 規定の例としては、資料の35ページにありますように、公益認定審議会とか、あと、ちょっと引用はしておりませんけども、ほかの法令なり他県の条例などでも例はあるんですが、人格高潔というふうに条文で書いている例は確かにあるんですけども、それの判断基準が、どういう、その文言でもって実際どう選んでいるんだということになりますと、少し調べないと分からないかなというのと。あと、恐らくこの公益認定審議会についても、公益性の認定っていろんな分野があって、それぞれにおける公益性というのを判断するのは難しいんで、多分ばくっとした人格高潔というオールマイティー的な方を想定しているのかなと思いますもんで、その辺でどこまで調べられるかどうかあれですけども、即答は難しいもんですから。

〇北川委員長 ちょっとお時間いただいて。よろしいですか。

〇東委員 後でまた御回答いただければと思います。一定の物差しがあるんじゃないかという気がするんですね。

〇中村委員 今のお話とはちょっと接しますけど、マル4のところで、「人権に関して高い識見を有する者」を、法務監にお伺いしたいんですけど、ある程度確保して、そのケースによって、部落差別とか、障がい者とか、いろいろあったときにはまた別に専門の方を準備しておいて、先ほど申し上げたような、そんな委員会のつくり、そんなものは別に問題はないんですかね。ほかにもそのような委員会の構成をしているような、そういうケースはあるのかどうなのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。

〇水谷政策法務監 思いつきというか、記憶の限りで答えて恐縮でございますが、県の審査会とかの中で部会制をとっておるような場合、まあいえばこの行政委員会などと同じような感じで、多分よりお詳しい方でもって専門的に審議した後、上の審査会に図るといった場合がたしかあったかとは思うんですが、ちょっと調べてみたいなと。
 ただ、そうした場合に、今度は逆に、せっかく10人の委員がいらっしゃるのに3名の委員でしか審議をしないということになると、意見が偏ってしまう可能性がある、専門性を追求するあまりせっかくの幅広い意見が得られないというリスクがあるのかなというのは少し思いましたけども。
 話を戻しますと、部会というようなことを定めている審査会であれば、おっしゃるような形の審査が可能なのかなと考える次第でございます。

〇中村委員 部会形式、そんなんもあるんかなというふうに今聞かせてもらったんですけども、ただ、私自身は、やっぱり一定の人権、あるいは差別に関して専門的な、全体を考えられる意見をお持ちの方プラス、障がい者は障がい者、あるいは部落は部落、そのケースによってある程度一緒になって議論をしてもらえるような、そんな形、そんな体制があってもええんかなというふうに思ったもんですから、それに対して現実にそういうのがあるのかないのか、できるのかどうなのか、聞かせていただいたということです。

〇北川委員長 水谷法務監、条例がなかったらなかったであれですが。

〇水谷政策法務監 ちょっとすぐに思い当たるのがございませんでして。
 例えば専門委員というような制度が司法上とかあったりして、そういった方との組合せということになるのかなと少し思いつきはするんですが、ただ、それぞれ役割が違うものですから、言うことが違った場合どうするんだというふうなこともあって、多分委員がおっしゃるのは、部会なりがスペシャリストを呼んできてというふうなことの御想定かなと。あるいは、そうした方にピンチヒッターで入ってもらうとかいうことの御想定かなと思うんですけども、ちょっとそれに合う例は、すみません、思い当たるものがございません。

〇山本委員 私も、いろいろな全体を包括される方と、それから個別の問題があると、この10人という枠の中ではなかなか、個別の専門の方が1人ぐらいになってしまうような人数かなと思って。ただ、多かったら話が進むかというと多過ぎてもいけない。だから、この10人という一定の数だと思うんですが、今、分科会というような話が出ましたけど、いろいろな立場の人も含めて、調査委員会としては例えば20名という枠をつくっておいて、事例がどんだけ出てくるか分かりませんけれども、多発してくるかどうか、そんなときに大変な状況にはなると思うんですが、ある案件が出てきたときには、その中で10名の方が担当されて、その事象によって、そのときに10名にしといて呼んでくるんではなくて、母数を20名にしておいて、その事象事象で依頼をしてというような形にしないと、そのときに呼んでくるとなると、認定しとかないと大変かなというふうに思うので、それが分科会というイメージでつくられるのか、懸案ごとの、調査委員会の中の事例研究会みたいな中で、最終的にはそれは全体の中で諮られるということになると思うんですけど、それぐらいのことをしないと、やはり専門の方がお一人ぐらいだということになると深まらないのかなと、20名ぐらいの分母が要るんじゃないかなというイメージはします。
 ただ、20名同時に検証をするということはとても難しいことかなと思うので、何かそういう仕組みがどこかでできたらいいのかなと。あらかじめお願いをしておくことじゃないと、そのときにまた慌てていろんな方にお願いするというのは難しいことだと思います。

〇北川委員長 幾つか御意見をいただきました。共通しているお話としては、今回の差別解消条例があらゆる差別ということで、属性も幅広く定義を定めて解消していこうということでは、10人という中で固定した枠をはめちゃうとなかなか対応できないのではないかということで、幾つか御意見が出ましたけれども、差別に関わっては、当然ながらどの差別にも共通することがあって、それに対して全体的に見識が深い方という立場の方も必要ですし、なおかつそれぞれの属性、特に当事者性や専門性について高い見識のある方は、その都度ケースによって必要になりますよねと。
 まず調整委員会の委員の考え方として、今お話ししたようなことをベースに置くということは皆さん望まれるということでよろしいんでしょうか。あとはスタイルというか、どういう手法でもってそれを体現するかということになると思うんですね。
 山本委員がおっしゃったように、ある一定のボリュームで、20人がいいのかどうか分かりませんけれども、先ほど申し上げたような総合的に人権に関わって見識のある方と、それから個別のことについて詳しい方と、網羅する形で任命をしておいて、そのケースによって招集というか、お願いをして、それが5人がいいのか10人がいいのかということもありますけれども、必要な人数で議論していただくということもありますし、あんまり変わりはないかもわかりませんが、小島委員におっしゃっていただいたように、ベースの総合的な人権に関わっての見識の高い方を中心に据えながら、そのケースによってより専門性、当事者性の高い見識を持った方をプラスしてやっていく。よく似たことになるかもわかりませんけれども。そういう手法をこの委員会の構成として織り込むべきだという御意見が多く出たように思うんですけれども、ちょっとどういう表現の仕方をするのかは正副委員長と事務局で詰めたいと思いますが、今出していただいたような意見を体現するような委員会の構成を考えよということでよろしいですか。

〇山内委員 1点、自分の発言に対しての補足なんですけども、自分の中でもいろいろ考えが変遷している部分があるんですが、さっき私は充て職という話をさせていただいたんですけども、なかなか人格が高潔というのはどういった物差しなのかというところは難しい中で、逆に社会的な役職、地位を得られている方というのは、それをもって人格が高潔というか、しっかりした見識があるとみなすというのは全然ありかなというふうには思いますし、皆さんその肩書で参加されて、まあいえば個人で参加されるわけではありませんので、そういった役職とか社会的な立ち位置とかが人格を形成するという考え方もあるのかなという意味では、こういった人選というのは私は大いにありかなというふうに、実態とここの文言が合っていないのかなという感覚を少し持っています。

〇北川委員長 この第18の項目について、全体的にほかに……。

〇水谷政策法務監 1つちょっと、また考えるに当たってのベースを、方向性をいただければと思う点でございまして、今ずっと御議論いただいているのが課題のうちの2つ目の米印の多様性に関する要件、要はいろんな多様性があるから、それらを代表する方が幅広く必要だよねということで御議論いただいていたかと思うんですけども、逆にどの程度まで必要かといいますか、極論すると、今回、差別の定義のところでも人種等の属性ということで、人種とか国籍とか社会的身分、被差別とか、いろいろございますが、どこまでの多様性を想定したものかというあたり、際限なくやってもしようがないんで、その辺、どうお考えなのか、御議論いただけると、また今後の事務局での検討のほうに方向性をいただけるとありがたいんですが。

〇北川委員長 言われる意味は分かりますが、なかなか議論するのも難しいことにもなりますが。

〇小島委員 執行部ともやり取りをするわけなので、例えば人権が尊重される三重をつくる行動プランの中には課題別で挙げていただいてあって、これを全部といってもちょっと大変やなというふうに思うんですけれども、その中でやっぱり必要であろうと、何年間かの、障がい者は2年ですけれども、それぐらいのスパンで任命だけはさせていただいたほうがいいだろうという分野はやっぱりある思うんですね。同和問題、子ども、女性、障がい者、高齢者、外国人、患者、犯罪被害者、インターネット、様々な人権課題と挙げていただいてあるので、この中から幾つかピックアップをして任命しておいて、あとやっぱり個別の細かいことについては、もうその都度しかなかなか難しいのかなというふうに思いますので、その辺り、具体の条例の運用に関わってまた執行部とやり取りをするときに考えさせていただいたらいいのかなと思います。
 ただ、そのときに、これは単に属性の問題であって、差別の構造とか、そのことを判断できる人というのはやっぱりコアにきちっと調整委員会の中に置くべきで、先ほど部会という考え方が出されましたけれども、部会ではありません。その方たちは代わってはいけないと思いますから。例えば4人なら4人コアな人がいて、複合差別が起こったときは当事者性を持った人が何人か要るわけですよ。そしたらやっぱり10人以内に必ずなっていくので、その辺りの組み方をどうやって条例に文章として落とし込むかというのは難しいですけれども、私は、考え方としてはそれが必要かなというふうに思います。

〇北川委員長 条例で書き込んでおかなきゃならないこと、運用の中でやりくりしていただく部分も当然出てくると思いますので、その辺も含めて、ちょっと正副委員長、事務局で整理をさせていただこうと思います。
 御意見としてはおよそ出していただいた形で、ほかによろしいですか。御意見はいかがですか。
 ちょっと1つだけ確認させてください。男女割合の要件を設けることでよいかという米印があります。これは他の条例に準じてこういう設定をさせてもらっていますが、第18の3番のところですけれども、これはよろしいですか。問題ないですね。
 それと、3つ目の米印、オンラインの意見聴取を可とするということですけれども、これもこういう時代ですので可ということでよろしいですか。
 じゃ、第18は御意見を集約させていただいて、次に進めさせていただきます。
 ちょっと時間が超過しましたけれども、換気休憩を行います。暫時休憩として、再開を11時25分といたします。

(休  憩)
 

〇北川委員長 それでは、委員会を再開いたします。
 37ページをお開きいただきまして、第19、人権教育及び人権啓発、この項目について御意見をいただきたいというふうに思います。
 米印は、37ページに「人権教育及び人権啓発については、様々な委員意見が出されたところであるが、それらを適切に反映できているか」という問が設定されております。このことも含めて、全体含めまして委員の皆さんから御意見を頂戴したいと思います。

〇石垣委員 第19のマル1のところなんですが、私は、ここの部分、前も再三言わせていただいたところの「不当な差別その他の人権問題を解消するとともに」というこの一文の最初の部分なんですけど、人権教育や人権啓発活動という部分に関しては、やはり未然に防止するというところ、基本理念にもあるように、人権侵害行為をしてはならないというところをしっかりと教育し啓発をすることで人権問題を未然に防ぐというところが最初にあって、もし差別行為等がある場合には、その当事者の方々の困難克服の支援をする、そのための教育・啓発というふうな考えがあるのかなと思っていますので、やはり最初のこの「不当な差別その他の人権問題を解消するとともに」という内容の中に、ポツの最後にある「なお」というところで、未然に防止するという意味は含んでいますというふうに書いてはいただいているんですが、何か人権問題を解消するとともにと聞くと、未然に防ぐという意味にはあまり捉えられないのかなという私の思いが前も聞かせていただいたときからなかなか消えてなくて、ここの部分に未然に防止するという意味が含まれているということなのであれば、ちょっとお聞きしたいんですけども、「不当な差別その他の人権問題を解消する」というこの中に一体どういった意味がたくさん含まれているのか、その辺り、ちょっとお聞かせいただきたいんですが。

〇北川委員長 趣旨等の最後のポツのところに、石垣委員からいただいていた御意見について、未然防止ということもこの人権問題の解消に含んでいますということを書かせていただいて、御意見いただいたことを確認させていただいているわけですが、法務監のほうでお答えはできますか。

〇水谷政策法務監 この第19につきましては、多数の御意見をいただきましたもので、それらについて条文素案のほうに盛り込ませていただいているところでございまして、そうは言ってもあまり長文にならないようにという工夫もさせてもろとる中で、読み込めるものは読み込んでいって、シンプルだけど中身が深いという規定ぶりにできるのではないかというふうに考えまして、未然防止というのも解消の中に含んでおるというふうに読めるんじゃないかなと考えさせていただいたところでございます。

〇石垣委員 様々な御意見がここの分野に関しては出ておった中なんですけど、それはそれとして、この文章に入るということは、具体的にこうだという意味合いがあっての文章だと思いますので、その辺り、不当な差別その他の人権問題を解消するという意味というのは、具体的にどういった意味を表記されているものなのかというところをちょっと具体的に教えていただきたいんですが。
 あくまでもこのなお書きのところも意味は含んでおりますということなのであれば、未然に防止するという意味と、こういった意味がある、こういった意味があるという3つをまとめてこの一文にしたんだというような具体的な話をお聞かせいただきたいんですが、お願いいたします。

〇北川委員長 法務監、よろしいですか。

〇水谷政策法務監 人権問題に関するものということで、前のポンチ絵でも、資料でもお示ししたように、人権問題は様々なものがある中で、貧困とか女性の問題、あるいは難民問題とか、既にある問題について解消するというものも当然あれば、そういったものが起こらないようにしていくということもいずれも含んで、広くそういったものが起こらないようにしていくということを解消というふうに。
 だから、起きた問題の狭い意味での解消もあれば、起こる前のものを起こらないようにするというのも未然防止、あるいは広い意味での解消というふうに考えられるのではないかと考えたところでございます。

〇北川委員長 解消自体、言葉の受け止め方があると思いますので、解消というとやっぱり後者の発生した問題を解決するというイメージを持ってしまうという印象があるのは事実だと思うんですね。
 ただ、一方で、条例や法律で出てくる解消という場合は、いわゆる未然の防止も当てはまりますし、起こらないようにするということ、それから起こったことに対して解決をしていくことも、両者を含むという解釈だという法務監の説明だと思いますので、こういう使われ方が両方含んでいるということは、言葉の意味としてはあるということだと思います。
 受ける印象をどう解決するかというところになるのかなと、石垣委員がおっしゃっている部分は。何か工夫ができるかどうかは、文言整理的なところで正副委員長、事務局で検討はさせていただきたいというふうには思いますが、いかがでしょうか。

〇石垣委員 よく分かります。ここにおられる委員の皆さん方もずっとやられてきた中なので、人権問題を解消するという意味合いが未然防止というのを含めているというのは、我々はよく分かるんですけども、じゃ、県民の方々が解消するという言葉を聞いたときに、やっぱり解消というのは今あるものをなくす、あるものを消し去るという意味合いで捉えてしまいがちなので、そういったところの、まず人権侵害行為というのをしないため、させないために教育・啓発があるんだよ、こういったところの意味合いがよく県民の皆さんにも分かるような形の表記というのが、特にこの教育・啓発という、皆さんの非常に御意見があったところなので、分かりやすくしていただけると私自身もいいんじゃないのかな、そういった思いで発言をさせていただいたので、またぜひ御検討をいただきたいなというふうに思います。

〇北川委員長 少し文言を検討させてください。

〇藤田委員 今の話にもちょっと関連するかなというふうに思うんですけども、第19で人権教育と人権啓発を一緒くたに書かれているように思うんですけども、人権教育というものと、人権をどうするんだ、どういう形で皆さん方に御理解いただくんだという、この2つはもうちょっと分けて書き込んだほうが分かりやすいのと違うかなという、今、お話をお聞かせいただいて。
 人権教育というのは、子どもであったり、あるいは一般の人であったり、その皆さん方にという話はあると思いますけども、教育していくというのと啓発していくというのをそのままぽんぽんと並べてしまうのは、これは私の個人的な感覚ですけども、どうかなという思いがあります、この文章を読ませていただいて。そのことをちょっと申し上げておきたいと思います。

〇北川委員長 藤田委員のほうから、人権教育、啓発が一緒に書いてあるけれども、分けるべきではないかというふうな御意見をいただきましたけれども、そのことについて何か、皆さん、御意見ございますか。

〇小島委員 障がい者差別解消条例を見ると、教育と啓発活動は分けてあるんですね。私は、条文を分けなければいけないとは言いませんけれども、項目というか、第1項、第2項とあるものはきちんと分けてやっぱり書くべきだろうというふうに思います。その上で、人権教育とはどういうことで、どの場で行われるのかということをもう少し明らかに書き込むほうがいいというふうに思っています。だから、社会教育で行われる人権教育は、啓発に含まれるというか、重なっていくと思うので、やっぱり学校教育はきちっと大切に書き込むべきだと思います。
 そこで、石垣委員の言われた未然防止は本当にそのとおりだと思って、要するに差別をしない、人権を尊重する社会をつくる主体者を育てる、それが人権教育の大きな意味なので、問題が起こったからそれをなくそうとか解決しようというのはその次だと思いますから、まず、こんな言葉がいいかどうか分かりませんけれども、差別をせず人権を尊重する社会をつくる主体者を育てる、それは人権教育の目標にやっぱりきちっと位置づけるべきで、それと同列というか、そしてこの条例に沿っては、不当な差別その他の人権問題を解消するという、その意欲や態度を育成するというのが人権教育の目標だというふうに思います。それが2点目。
 3点目は、趣旨等の1つ目のポツのところに「不当な差別その他の人権問題の解消と当事者の困難克服の支援のため」というふうに同列に書かれていますけれども、この2つの事柄は全く意味が違うというふうに思っていて、不当な差別その他の人権問題の解消がまず目指されるべきだろうと思います。その上で、なお例えば救済されなくても、仲間と共に差別された体験を乗り越えようとするということが困難の克服なんだろうと思うので、ここも分けて記述されるべきだというふうに思います。
 学校教育については、私は、やっぱり人材育成と、それから何より人材を確保することが大切にされなければいけないと思うので、例えば学校教育における人材育成及び確保を含めた環境整備の推進をするとか、そのように学校教育に特化してやっぱり書くべきだろうというふうに思います。啓発は、第19でもいいですが、別の項を起こして、何か実効性のある啓発をとかいう意見がいっぱい出ていたと思うので、その辺り、啓発についてはまた別項で書き込んではどうかなと思っています。

〇稲森委員 第19の今のところで少し引っかかるのは、マル2の中の「県民の自主性の尊重を旨として行わなければならない」ということなんですけども、これは非常にいいように思うんですが、じゃ、私は、関心がありませんからやりたくありませんとか、そういうところへのアプローチというのはどう考えて捉えたらいいかと考えたら、この文言というのはそういう問題をはらんでいるんじゃないかなというふうに思っていて、だから、県民の自主的な意欲をどういうふうに醸成していくかというような文言のほうがふさわしいのではないかなと。

〇北川委員長 県民が……。

〇稲森委員 だから県民の自主性とは何やという話なんですけども、関心がないからやりたくありませんというのも自主性なのかどうかというところですよね。何かそういうふうに取られかねないかなというふうに逆に思って、県民のそういう自主的な意欲とかをどういうふうに醸成していくか、県が多様な機会を提供したり効果的な手法を採用することによって、県民の自主的な意欲を醸成していくというような、そんな文言のほうがよりいいんではないかなというふうに思います。

〇北川委員長 自主性の尊重の部分は、次ページの人権教育及び人権啓発の推進に関する法律、ここから、言い方は悪いですけれども、表現を取ってきていますから、多様な機会の提供、効果的な手法の採用、国民の自主性の尊重、これを県民に書き換えたという置き換えになっているので、ただ、この法律の意味自体もきちんと確認が、ここには逐条解説的なものがついていませんので、おっしゃっていただく意味合いは当然のことかと思いますので、少し文言は考えさせていただきたいというふうに思います。

〇小島委員 その際に、障がい者差別解消条例の第31条に啓発活動というのがあって、例えば第2項とか第4項というのが私は文言としては参考になると思っています。ちょっと読みます、第2項。「県は、障がい者が基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することについての理解を深め、その権利を行使するために必要な知識を習得することができるようにするための啓発活動」、それから第4項は、ここは障がいですけれども、「当該支援の重要性に関する意識の啓発」、それから障がいのある方の「自立及び社会参加を促進するための取組及び制度の周知その他の啓発活動を行う」とか、何か具体性を持って何を県民に求めていくかということを書いて、もちろん意識の醸成というのもそこに書けばいいと思うし、何かもうちょっときちんとここは、やっぱり人権教育とはとか、こういう目的でとか、啓発はこういうふうにしてこれをするとか、丁寧に、全面的に書き換えていただいたらどうかなというふうに思います。

〇北川委員長 一連の話の中で幾つかありまして、まず1つは、人権教育と人権啓発も、言葉は悪いですけど、一緒くたに並べて書いてあるということで、今おっしゃっていただいたように、できれば第19の中の整理として教育と啓発を分けて、それぞれきちんと目的を書き上げたほうがいいのではないかということがまずベースです。
 そのことについては、皆さん、御意見としてはよろしいですか。そうしたほうがいいという御意見でよろしいですか。
 じゃ、そこは、先ほどおっしゃっていただいた障がい者差別解消条例も参考にさせていただきながら、教育と啓発を分けて、教育の部分については、特に主体者として育てていく、そういうところについての書き込みもおっしゃっていただいていたので、書きぶりも考えながら入れていきたいというふうに思います。
 併せて、もう一つ、人権問題の解消と当事者の困難克服のための支援、ここについての御意見もありました。これも続けて一緒に書いてあることについて、少し整理をしたほうがいいのではないかという御意見だったと思いますが、そのことについて、特にこの部分については山内委員がおっしゃっていただいていた部分かなというふうにも思いますが、何か御意見ございますか。

〇石田委員 この第19の人権教育及び人権啓発のところは、差別事象を時系列に見て、事前なのか事後なのかというと、事後に無関係ではないけども、事前のとこら辺のことを言おうとしているんだと私は取っていまして、そう思うと、石垣委員が最初から言われているように、未然防止というのが中心になってきて、そういうふうな捉え方をしたほうがいいんじゃないかなと思うんです。
 未然防止、だから事象を時間的に見ると、前でどうやって止めようかというための、後のことも無関係じゃないですよ、もちろん、ないですけども、そういう捉え方を私はしましたので、そういう書きぶりを考えていただくのがええのかな。その中で、小島委員がおっしゃるような教育と啓発はもうちょっと具体的に分けて項目立てをすると、そういう整理がええなというふうに感じました。

〇北川委員長 大体皆さんおっしゃっていただいていることを、先ほど、ちょっと簡単に言ってしまいましたけれども、いただいた意見で整理を全面的にし直すということで、正副委員長に預けていただいてよろしいでしょうか。
 ほかに御意見はどうでしょうか。ございますか。ここの人権教育、非常に重要なところだと思います。おっしゃったように、事後の部分はやはり相談体制や助言・あっせん等の解決の仕組みも含めてあるわけですけれども、差別を許さない、なくしていくという面では、事前の、未然の防止の部分というのは大きな課題ですので、非常に重要な項目かなと思います。
 よろしいですか。じゃ、ちょっとこちらで整理し直しをさせていただきたいと思います。
 それから、第20、人権侵害行為による被害に係る支援についてという項目ですが、これについては特に米印はございません。内容について御意見がありましたら頂戴したいと思います。

〇稲森委員 意見ですが、県が市町や関係機関と連携するというのは大事なことでよく分かるんですが、こういう条例というのはなかなか県の組織の中の横の連携というのを促せる表現がないので、いつも課題だなというふうに思っているんですけども、例えば「情報の提供その他必要な支援を行う」ということを、もう少し注意書きのところに書いてある福祉の関係とか、いろんな言葉を例示することによって、庁内の横串をうまく刺していけるような表現にどうせだったらできないのかなというふうに思っています。

〇北川委員長 県の横断的な支援の取組という意味で、もう少しつながるような書き方をということでおっしゃっていただきました。
 そのことも含めて御意見、ほかの委員の皆さん、ございますか。よろしいですか。
 じゃ、ちょっとその辺りを含んで文言を検討させていただきたいというふうに思います。
 続いて、40ページ、実態調査のところでございます。
 これも米印はございませんので、マル1、マル2、2つございますが、全体的に御意見を頂戴できればと思います。

〇山本委員 マル2に、私も申しとったようなことが書かれています。大事なことだと思います。
 これは県がする実態調査ということなんですが、この中で、市町が行っている実態調査についても問題があるけど、それは越権行為で市町に対しては言えないということかもしれませんが、このマル2のところもきちんと押さえることによって、この意識が全県に浸透するようにということを望みたいと思います。市町のことまでは書けないけど、いろいろな研究の中、連携ということの中には基本的には入ることだとは思いますけれども、差別のない三重県をつくっていくために連携して取り組んでいくという前提はありますので、大事なことだと思います。

〇北川委員長 当然ながら、法律の中でもこのことについては言及されていることではありますので、県も、市町も、当然のことかなというふうには理解はさせていただくんです。市町との連携の中で、そうした情報も共有していくということを望んでいきたいというふうに思いますけれども。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。

〇中村委員 この第21で実態調査、書いてあるとおりだというふうに思いますし、それから新たな不当な差別、こういったものが生じないように留意しなきゃならないというのも、気をつけていただかないかんところだというふうに思います。
 ただ、実態調査で当事者といいますか、本当の実態を、当事者の声をどう拾っていくか、そういった思いにどれだけ近づけるか、その辺が、第21はこのとおりで字数もちょっと少ないというか、こんだけのことなんですけれども、やっぱり本当の差別の実態に迫れるような、そういうような表現というのがもうちょっと突っ込めんだろうかなというふうな、そういう思いを持っています。普通の県民意識調査とか、3つ目のポツに「実態調査の具体的手法としては」とさらっと書いてありますけれども、もう少し深堀りできるような実態調査ができんだろうかなという、そんな思いを持っております。

〇北川委員長 お話としては、当事者ということになるんでしょうかね、そういう現場、実態というか、そういうところに向いた調査が必要ですよねという御意見でよろしいですか。

〇中村委員 さっきもちょっとお話がありましたけど、差別の状況というのは幅があまりにも広い。市町も、あるいは県庁の各部署も、様々な差別の実態をつかんではおるんじゃないかなというふうに思います。そういった幅広い状況を単なる人権問題に関する県民意識調査ということでさっとすることで、本当の根強い実態というものがつかめるのかどうなのかという、そんな思いもありますので、女性差別、部落差別、LGBTも含めて、もう少し踏み込んだ差別をなくすための実態みたいなものをどうつかめるかというのを、それぞれの部署なんかも巻き込んだ調査をする必要があるんじゃないかなというふうに、そんな思いを持っております。

〇山本委員 今までの人権問題に関する県民意識調査には様々問題があって、それぞれ本当に全体の差別の状況がリアルに分かるようなものをどうしていこうかということは研究していかないと、調査も一つ手法だと思います。だからこそ一度、次回調査をするというときには、内容を精選する、吟味する、しっかりと検討する、焼き直しをする、そのことが、今の発言も含めて、重要だというふうに思っていますので、これまでの調査では問題がありという認識で、不十分であるということも含めて、これを人権意識調査でやるか、どういうものになるかは分かりませんけれども、発展的な、リアルに私たちが望んでいるような実態が分かり、それが次に解消につなげられるような、そんな調査ができればいいなということを思いとして共有して付記していただきたい。付記というか、この内容でいいんだと思うんですけど、そういう認識を持たなければいけない、行政に求めなければいけないと思います。

〇北川委員長 文言に入れるべきかどうかというところは、もし御意見があればいただきたいとは思いますが、二人から御意見いただきましたけども、漫然と今までの調査を続けるということではいかんよということで、やはり手法も含めてきちんと練り直していっていただくことも必要ですし、また、当然ながら本当の意味での実態、リアルな実態とおっしゃっていただきましたけども、そこがきちんと把握できて差別解消につなげていける、そういう調査でなければならないということも含めて、逐条解説等でもしよろしければ書き込んでいくというふうなことで考えてみたいとは思いますが、いかがでしょうか。

〇藤田委員 その意見、大賛成で、これを見ると、最後に実態調査の具体的手法は県民意識調査と書いてあるんで、この文言は非常に、これでいいよと書いてあるような感じなんで、もうぜひとも逐条解説の中で、その内容について、本当に実際の実態が分かるような、そういう内容を入れていただきたいと私は思います。

〇北川委員長 文言をこうすべきという御意見はございますか。よろしいですか。
 じゃ、いただいたような意見を反映できるような書きぶりを少し考えさせていただきたいと思います。
 もうちょっと先を、急いだらいかんのですが、急がせていただいて、第22、情報の収集、蓄積及び分析について。
 ここも米印の課題はございません。この条項について、全般的に御意見がありましたらいただきたいと思います。

〇小島委員 中身は書いていただいてあることでいいと思うんですが、この情報の収集、蓄積及び分析をどういうスパンでやるかということを明らかにしておく必要があると思います。
 この行動プランに沿って年次報告が出されるので、そこに例えば先ほどのいろんな事例も加味しながら情報を盛り込んで、やっぱりきちっとその年度にどういうことがあったとか、そういうことが分かるような情報の蓄積をしていかないと差別解消にはつながっていかないのではないかと思いますので、その辺りは逐条解説に書いていただくのか、この辺にやっぱり年次できちんと含めていただきたいなというふうに思います。

〇北川委員長 この収集、蓄積、分析は、当然ながらそれをどう差別解消につなげていくか、そのための情報提供・共有の在り方について言及しておくべきだという御意見だと思いますが。

〇小島委員 全体像を年で見なきゃいけないと思っていて、大体10年に1度人権施策基本方針の見直しが行われる、それから、行動プランは4、5年に1度見直しが図られる、それに沿って年次報告は行われる。ですから、さっきの調査も含めると、県民意識調査は大体7年ごとということになっているので、このあたりのサイクルをどう効果的にするかということも、全体像を描いて見直すことも必要かなと思いますから、この第22になるのか、第21になるのか、その辺りは分かりませんけれども、どう回せば不当な差別をはじめとする人権侵害を本当に解決できるのかということは、本当に全体を見て考えないといけないんじゃないかなということも思います。

〇北川委員長 まさに差別解消するための、あるいは未然に防いでいくためのPDCAということにもなるのかなというふうには思いますが、スパンということもおっしゃっていただいたので、調査も含めて、その辺は執行部とのやり取りの中で議論ができればいいかなというふうには思いますので、そういう場面での議論をお願いしたいと思いますが、よろしいですか。

〇藤田委員 情報の収集、蓄積をされたものを報告していただくという必要はないですかね。このままですと収集、蓄積、分析をしますよというだけですが、この文章で内容の報告にはつながるんですかね。

〇北川委員長 少し手前でも言及させていただきましたけども、この第22も含めて、誰と、どんなふうに、どれだけの情報をお互い提供したり、共有していくかというところがちょっと一本見えていない部分があります。
 当然、収集、蓄積、分析をして行政が抱え込んでいるということでは駄目だと思いますので、行政機関同士、市町もそうですし、我々議会もそうですし、場合によっては事業者も含めて、取り組んでいっていただいている皆さんで共有していくということも必要なんだろうし、その辺の情報提供へのつなげ方がちょっと、何も書き込みがないので、執行部とのやり取りも含めてですけど、その辺の書き込みができるように工夫をしてみたいと思います。第21の話も同じですけれども。

〇稲森委員 第21、第22にも関わってくるんですが、今、藤田委員がおっしゃったように、隠さなあかん情報以外は原則公表するという方向でやっぱりオープンにしていただきたいなと思うのは、やっぱり市町との情報共有も大事ですし、県民との情報共有も大事ですけども、例えばいろんな人権課題に取り組んでどういう成果があったかということなど、そこと何か学術と結びつくことによって、それが社会の進歩に貢献していくようなことにもひいてはつながってくると思うので、そういう意味でも、行政で抱えとくだけではなくて、それのぜひ報告なり公表ということを積極的にしてほしいと思います。

〇北川委員長 一定の制約は、当然ながら情報が情報だけにあるとは思いますけれども、可能な限り情報が公開される、提供される、そういう道筋をつける表現はちょっと入れていきたいというふうに思います。

〇石田委員 条例文を作るときにどんなルールがあるのかどうか分からんまま言いますけど、第21と第22は非常に似ている話で、実態調査も情報であって、それも蓄積、分析もしなきゃいけない。これは一緒にすると変なんですかね、21と22を。
 第22の趣旨等の2つ目のポツのところに違いが書いてあって、実態調査は、第21は能動的なものに対して第22は受動的と書いてあって、これの違いなんですけども、ここは違うっちゃ違うんだけども、これの違いなら1つの条文で整理できないのかなと思うんですけど、どうでしょうかね。

〇北川委員長 その辺りは多分に事務局の法務的な取扱いの考え方もあると思います。単純に考えれば、よりどちらが分かりやすいかということだけで捉えると、それぞれ分けたほうが分かりやすいということで今分けてあるのかなと個人的には思っていますけれども、逆に一緒にして駄目だということでもないんだろうとは思いますけれども、その辺り、事務局とまた法務的にも詰めて考えてみたいと思います。よろしいでしょうか。
 ちょっと時間がお昼を超過してしまいましたので、第22に関わってほかに御意見がなければ、ここを切れ目として終えたいと思いますが、午前中、よろしいでしょうか。
 じゃ、暫時休憩をいたします。再開は午後1時5分とさせていただきます。

(休  憩)

〇北川委員長 それでは、休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
 42ページをお開きいただいて、第23、インターネットによる人権侵害行為の防止、この項目から委員間討議を再開させていただきます。
 この項目については、米印にありますように、人権侵害行為自体はしてはならないと前段で定めているところですが、モニタリングやインターネットリテラシーの部分については、教育・啓発と少し分けて書かせていただいて、とりわけネットの差別行為自体の数が多いことと、非常にここ数年、大きな影響を及ぼしているということも鑑みながらこの項目を置かせていただいたということですが、内容も含めて、御意見がございましたらお願いいたします。

〇石田委員 確認ですが、インターネットという単語で置いてありますけども、IT機器というか、電子機器を使った全ての手段と読み取ってええわけですかね。例えばスマホでやる、いろんなのがありますよね。あんまり得意じゃないけど、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、LINE、ショートメールだったり、それを全部含むとここでは解釈してよろしいのかどうかということ。

〇北川委員長 恐らく、いわゆるネット上ということですから、ホームページも含めて、今おっしゃっていただいたようなSNSの類いのもの含めて、全てを含むということだと思うんですが、法務監、よろしいですか。

〇水谷政策法務監 はい、そのような想定で記載してございます。

〇北川委員長 ほかの皆さんはいかがでしょうか。この項目を置かせていただくということで御異議はございませんか、内容も含めて。
では、そのようにさせていただきます。
 続いて、44ページにまいります。第24、災害その他緊急事態の発生時における人権侵害行為の防止等。米印には、「災害発生時のほか緊急事態の発生時も対象とすることでよいか」ということで、これは趣旨のところに、緊急事態も様々想定されますので、それを含んだ形でということで書かせていただいていますが、全体的に御意見がありましたらお願いいたします。

〇中村委員 この災害時というやつが、今まで災害が起こったときのいわゆるプライバシーとか、そういったものも問題になってきておりますし、そういった中で、中で差別事象がどんな形で行われているのかというのがなかなか現実に見えなかったというふうに思うんですよね。
 私自身も、災害で何か体育館へ避難したという経験もないですし、それから、女性がどういう状況に置かれているのかとか、あるいは障がい者の方がそういったところでどういう目に遭っているのかとか、そういったこともほとんど経験もありません。ただ、話を聞いたり、書いたところで随分大変な状況になっているみたいなことも聞きますので、もう少しどこかで具体的に、避難所なんかではこういうことが起こっているんだとか、そういったものを少し浮かび上がらせるようなことをしたほうが、条例をつくっても、災害のときにどういうことになっていると一般の県民の方にも分かるような、そんな書きぶりができたらいいなという感じですね。

〇北川委員長 それは条文の中にということですか、それとも趣旨等にいろいろ書いてありますけれども、後の逐条解説的な部分で詳しく説明があったほうがいいよというお話なのか。

〇中村委員 逐条解説的なところで入れてもらったらどうかなという感じがします。

〇北川委員長 ほかにいかがでしょうか。

〇小島委員 対策その他の必要な措置とは何を指すかということやと思うんですけれども、やっぱり起こる前にどういうことが起こり得るかということを県民が知っていること、それから、例えば避難所等がどうあればいいのかということを知っていること、これは未然防止につながると思うので、この対策はそういう意味ですよということがはっきり分かるほうがいいかなというふうに思います。ここに書き込むべきか、逐条解説に書くかというのはあると思うので、そういう意味合いを含んでの対策ではないかなと思うんですね。だから、前もって知っていなければ防げないと思うので、その辺りは丁寧にやっていかなくちゃいけないんじゃないかなと思います。

〇北川委員長 ほかにはいかがでしょうか。

〇石田委員 米印のところで、「災害発生時のほか緊急事態の発生時も対象とすることでよいか」と検討事項になっていますが、これが今、緊急事態であるかどうかというのはどこかで、判断をどうやってするのかなというのがちょっとイメージできないんですけども、そこはどう捉えるとよろしいんですかね。

〇北川委員長 趣旨のところではそこまで書き込んでないので、これは法務監、お答えいただけることはありますか。

〇水谷政策法務監 想定されるものということで、趣旨の2ポツ目にございますように、自然災害だけでなく、感染症とか武力攻撃などが想定されるということで、どのようなものがどのようになったらという具体的な線引きとかまでは考えてないんですが、想定されるものということでここに書かせてもらった次第です。

〇石田委員 想定されるもそうですけども、想定されないことも起こり得るわけで、緊急事態。その都度、想定の中にはなかったけども今は緊急事態だというのをどこで判断を誰がするのかなと思ったんですけど。

〇北川委員長 ある意味、規模によって境目があるということでもないのかなと思いますので、この差別の事象については。小規模な災害であったとしても、たとえ地域の10人の方が避難しましたということであったとしても、起こり得ることは起こり得ることになりますので、例示的にこういう書き方をしていますけれども、逆に、先ほどからお話が出ているように、より具体的な起こり得る事例、当然ながら東日本大震災があり、その後も様々な全国各地で被害がありましたし、新型コロナウイルス感染症もあってという中で、行政としても一定の蓄積があると思いますので、またそれがマニュアルに反映されているようなものもありますし、でき得る例示というのを示しながら、未然に防いでいくということを丁寧に書き込ませていただいたらどうかなというふうに思いますが。どの境で災害その他緊急事態かどうかということのお答えにはちょっとなってないですけど。

〇石田委員 おっしゃったとおり、境界線ってそのことが起こったときでも非常に引きにくいものだと思うんです。誰が引くのって、そんな権限を持った人は誰もいなくて、多分両論出てくると思います。今は緊急事態なのか、いやいや、そうじゃないだろうとか両論出てくるので、となると、その線が果たして要るのかどうかという議論にもなってこないかなと思ってしまうんですよね。ちょっと考えの途中なんですけど、どう考えていくとええのかなと。

〇北川委員長 災害時であったり、自然災害だけではなくて感染症の流行であったりだとか、あるかないか分かりませんけれども、他国とのトラブルであったりだとか、そういう。議会の基本条例にも「大規模な災害その他の緊急事態」という形で上げていただいてはあるので、規模自体よりも種類というか、災害の、そういうものが起こった場合には人権侵害が起こり得ますよということで、あまり程度を決めてかかる必要性があるかと言われると、そこにはそんなに重きを置かなくてもいいのかなと、個人的に委員長としては感じるところですけれども。

〇小島委員 通常でない状態だと思うんですけれども、啓発と裏表というか、何かそういう場面もある。特にこういう自然災害が起こったときとか、コロナ禍みたいな、そういう通常でない状態が起こったときには、人権侵害が起こり得る危険性が高いですよね、だから気をつけましょうということを一般啓発の中に入れ込むんではなくて、そのときに危険性が増すということが明らかになったので、ここに特出しをしましょうねという意味で書いたんやというふうに私は思っているので、そんなふうに捉えて、だから一般啓発が物すごく必要な場面を特にここに出したという捉えかなというふうに思うんですね。だからこそ事前にやっぱり啓発をする、研修をする、そこが必要になってくるんだというふうに思うんですけれども。
 だから、そことの絡みが結構深いけど、三重県においては、来ると言われている南海トラフ地震のことであったり、その辺りのことを考えたときに、やっぱりここはきちんと特出しをしましょうと。私たちはいろんなところから、特に避難所においては、障がいのある方、外国の方、女性とか、その辺りについては属性によって大きな被害を受けたということがあるから、そこは事前に知って、そうはならないようにしましょうねということをここに書き込もうという意味やと、何か回りくどいですけど、思うんです。

〇北川委員長 極端な話をいえば、この文言がいいのかどうか分かりませんが、発生時ということになっていますけど、例えば南海トラフ地震のことであれば、発生しなくても、気象庁から地震が起こりますよという情報が流れる、もうその事態で緊急時という考え方にすれば、そういう情報が流れただけでもデマやいろんなことが起こり得る状態にはなりますので、ちょっとその辺りは幅広く見ていただいたほうがいいのかなというふうには思いますけども。

〇石田委員 先ほどの小島委員の話を聞いていて思ったのは、これは今がそのときだというときの対応じゃなくて、平時の対応と読み取ったほうがええのかなと。緊急時がいつかという線を引くんではなくて、そうなったときも人権侵害が起こらないように、平時の対応をこういうふうにしていきましょうという読み方かなというふうにお話を聞いて思ったので、それで落ちるんですけどね。

〇小島委員 とすると、発生時においてではなくて、例えば発生に備えとか、そういう書きぶりにしたほうがいいのかもしれません。発生したときにもと言うんやったら2つ要るかなと思うし。ただ、もう発生したときのことをこの条例に書いたとしても実効性はないので、やっぱり発生に備えやと思うんですよね。で、研修だったりとか、そういうことをやるということの必要性を書いておいたほうが実効性は担保できるというか、意味があるかなと思います。

〇北川委員長 二人ともおっしゃっていただいているように、やるべきことは事前の話だと思いますし、そのためにも例示が必要なんだろうと思いますし、場合によってはそのための訓練も必要なのかもわかりませんし、事前の備えという意味で、今の表現がいいのかどうかはちょっと事務局的に考えさせてもらいますけれども、事前に想定してないことはなかなかその場ではやり切れないことなので。

〇小島委員 すみません。と言いながら、両方要るかなと思ってきました。備えるのと、やっぱりそのときにどうするかということは2つあったほうがいいかなと思います。

〇北川委員長 少し書きぶりを考えさせてください。ほかの点ではどうでしょう。よろしいでしょうか、内容的に。
 じゃ、45ページにいかせていただいて、三重県人権施策審議会の設置。これについては、現条例から引用している形になっておりますけれども、米印の課題はございません。
 この項目について御意見がありましたらお願いしたいと思います。当然ながら、もうあえて言うのも変ですけど、調整委員会とは別ですので、審議会は。特にございませんか。よろしいですか。

〇小島委員 条例に関してどうこうではないんですけれども、当然、差別解消についてこんな事例があったということも例えば年次報告の中に入れていただくようなことになると、この審議会の役割も少し膨らむ。こういうことがあったんだねということを確認しながら、でもやっぱりこういう事例が多いから、県としてはこの辺は注力してもらったほうがいいよねとかいう話をこの審議会でしていただく必要があるので、少し役割は変わってきたり、オンされるのであれば、そのことは丁寧に審議会の皆さんにお伝えいただかなければいけないと思います。

〇北川委員長 はい、分かりました。少し丁寧に趣旨のところに書き込みを素案の段階ではさせていただきたいと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、46ページにいかせていただいて、今の審議会の組織ということで、これも現の条例から導いた形になってございます。特に懸案の米印はございません。
 全体的に御意見がありましたらお願いします。

〇石田委員 こここそ第25と第26、一緒ではあかんのですかね。

〇北川委員長 まあ一緒でも構わないようなところではありますけれども、法務的なことも含めて考えさせていただきます。
 ほかに御意見はどうでしょうか。内容は、前条例に準じた形で問題ないですか。
 では、48ページにまいります。雑則として、まず1つ目が第27、財政上の措置。今回は、「措置を講ずるよう努めるものとする」とさせていただきました。その理由については、趣旨等に書かせていただいたとおりですけれども、米印の懸案内容はございません。
 御意見がありましたらお願いをいたします。よろしいでしょうか。
では、この形にさせていただいて、49ページにまいります。第28、適用上の注意、ここに表現の自由についての言及をさせていただいています。これの必要性の有無についても改めて御議論いただければと思います。いかがでしょうか。

〇稲森委員 前も言わせてもらいましたけれども、まず、公権力の行使に当たらない条例の中で表現の自由を侵害のしようがないんですから、必要ないという考えはあるんですけれども、その考えは前述べたとおりなんですけれども、一方で、悪意を持って差別や人権侵害を行う人がいるという、そういう前提に立って少し考える必要があると思っていて、結局は表現の自由ということを盾にして、ヘイトスピーチなんかもそうですけども、これは正当なものなんだというような、そういう対立とか紛争を生みかねないような一文だと思うんです。
 大阪府の条例とか、さっきも前段で啓発とかの自主性という話もしましたけれども、条例制定の中でしっかり、法律もそうですけども、この表現の自由の何か本質的なところの議論があったのかどうかということも含めてこういうところへ僕は持ってくるべきだと思っていて、何かこういう文言が多分、推測ですけども、結構観念的に、感覚的に置かれているんじゃないかなというふうに思っているんです。
 もう一つは、大阪市や川崎市もそうなんですけども、確かに表現の自由をめぐって訴訟とかになっていると思うんです。結局、最高裁とかでも、公共の福祉に反する差別や人権侵害に対しては表現の自由は制限されるんだということははっきりしてきているので、そのことについても、表現というのはしっかり位置づけないといけないんではないかと思います。

〇北川委員長 結果的には置く必要はないという御意見ということですよね。

〇稲森委員 はい。そう思っていますし、併せて、今の表現の自由とヘイトスピーチなり人権侵害の関係というのが司法の判断としてどういうふうになっているかというのもまた情報としていただきたいなと思います。

〇北川委員長 法務監、よろしいですか。

〇水谷政策法務監 判例の御紹介ということでよろしかったですか。

〇北川委員長 はい。

〇水谷政策法務監 分かりました。ちょっと整理いたしまして。

〇北川委員長 ほかにこの項目について御意見はいかがでしょうか。

〇山内委員 今回の条例の制定に向けた全体的に貫かれている趣旨とか思いといったところで、被害者の側に立ったというところではあると思うんですけども、この第28ですか、適用上の注意をここに入れる必要があると判断する方が被害者の中にみえるかどうかも大事かなと思うんですけども、特にこれを希望される方はいるのかなと思うんですが、私は必要ないと思っています。一応意見表明だけさせていただきますけども。

〇北川委員長 ほかに御意見はいかがでしょうか。

〇石田委員 法務監にお尋ねしますが、この一文があるのとないのと、条例運用について何か変化が出てくることはありますか。

〇水谷政策法務監 この趣旨の2ポツ目の下から三、四行目ぐらいにちょっと書いておりますけども、あくまでも適用上の注意ということで、勧告とか人権教育・啓発などが事実上の影響を与える可能性があるので、念のためにこの適用上の注意規定を置いておるというような趣旨でございまして、これがあることによって、委員がお尋ねのように、何かが変わるかというよりは、必要以上の影響を与えることのないように注意して運用しろという訓示規定、確認規定、注意規定といった位置づけになろうかと思います。

〇石田委員 これを書いていなくても、憲法の保障する基本的人権を普通に侵害しないように留意しなければならないのは当然であるということ、そういう解釈ですよね。

〇水谷政策法務監 おっしゃるとおりで、当たり前のことですが、念のため確認的に書いておる次第です。

〇石田委員 分かりました。

〇北川委員長 ほかに御意見、いかがでしょうか。

〇小島委員 罰則がないので、大きく何かの権利を侵害・阻害するとか、そういうことはこの条例自体では起こり得ないですよね。ということは、逆に考えれば、必要がないというふうに考えられるのかなと思います。

〇稲森委員 もう一言強調したいのは、この条文があるために、残念ながら悪意を持って差別や人権侵害を行う側に表現の自由じゃないかという口実を与えかねないような条文というのは、今、小島委員がおっしゃったような罰則がないところにわざわざ入れる必要はないというふうに思います。

〇北川委員長 全体的に憲法できちんと明示をされている内容ですから、あえてここに書き込まなくてもいいのではないか、場合によってはそれを、悪用という表現がいいのかどうか分かりませんが、ということにもつながっていくのであれば、リスク軽減も含めてないほうがいいのではないかという御意見かとは思いますが、全体的に、皆さん、その方向性でよろしいですか。まあ、あってもなくてもというのも正直な話なのであれなんですが、よろしいですか。はい、分かりました。
 では、続いて第29、50ページ、「この条例に定めるもののほか、条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める」ということでございますが、これは技術的な部分かとは思いますけれども、特に問題はございませんか。
 では、最後に、附則のところ、51ページがございます。これもテクニカルな技術的な話なので、下の米印だけ確認をさせてもらっときましょうか。
 施行期日をいつにするかについては、最終段階で改めて検討、ただ、助言・あっせん、勧告の体制であったり、あるいは相談体制であったり、体制の整備に一定の準備期間が必要と考えられますので、「障がい者差別解消条例と同様、原則的な施行期日から遅れて施行することを検討する必要があると考えられる」とありますが、このことは、執行部との聴き取りの中で準備期間も含めてやり取りをさせていただいたらいいのかなと。ここの議論で想定して決めてしまうものでもないのかなと思いますので、その議論に委ねたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それから、米印2つ目に「検討」規定を置くことでよいかということで、これは附則6番目かな。「この条例の規定については、この条例の施行の状況を勘案し、必要があると認められるときは検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」という規定を置いています。そういうことを置くということでよろしいですかという確認です。

〇石田委員 この検討というのは、どこで検討することになるわけですか。

〇水谷政策法務監 執行している側で検討して、それを所管常任委員会に諮って方向性が決まっていくということが通常かと存じます。

〇北川委員長 議会のことなので、条例の見直しについては両サイドから出る話だと想定されると思います。執行部側から出ることもあれば議会側から出ることもある、両方からあるということですので。それを誰がどうやるかということについては、たしか代表者会議で議論をして、執行部が勝手にやりますとかいうことではなくて、代表者会議に諮って、どちら側でやるかということを議論した上で進めるというルールになっていたかと思います。
 体裁として、この附則をこういう形で置かせていただくということでよろしいですか。
 それでは、予定の資料1の項目は、最終項目まで終わらせていただきました。いただいた御意見なり、あるいは正副委員長や事務局で整理をする宿題がございます。まとめて、次回の委員会でできる限りそれらを反映した条例案素案の修正版をお示しして、さらなる検討を行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、次に、去る8月19日の委員会において、条例の効力について、正副委員長の考え方の案を事務局から説明いただきましたが、これは一通り議論を終えてからということで置いていた経緯もございますので、改めて確認といいますか、検討いただきたいと思います。以前お配りしたものと同じですけども、一旦資料を配らせていただきます。
 それでは、事務局から説明をいただきます。

〇水谷政策法務監 それでは、前回御説明させていただいた内容と重複しますが、留め直しということで再度御説明させていただきます。
 まず1点目、基本理念におけます条例の効力についてでございます。
 基本理念として、何人も不当な差別などをしてはならないということをうたうものでございますので、県内外問わず、いかなる人や団体も人権侵害行為を行ってはならないという県の意思表明を示す条文ということになりますが、しかし、実際上効力が及ぶ範囲としましては、県民、県内の滞在者、県内に立地する法人や法人でない団体に限定されると考えられます。それは、そこにもございますように、基本理念としての人権侵害行為の禁止というのを県外にある者に対しては周知することが実務上困難だと考えられるためでございます。
 次の相談体制についてでございます。相談対象となる人権侵害行為の主体が県外にあるかどうかにかかわらず、県民、県内の滞在者、県内に立地する法人や法人でない団体からの相談に県は応じなければならないと考えられます。
 ただし、相談対象となる人権侵害行為の主体が県外にある場合は、その主体に直接面会して調査や調整を行うことは実務上困難な場合もあると考えられるので、助言や関係機関の紹介などが対応の中心となることが想定されます。それは、相談が傾聴や助言が基本となるものであって、相手方当事者に何らかのアクションを取ることが義務づけられるものではないので、相談者が県民、県内の滞在者、県内に立地する法人や法人でない団体であれば対応することが適当であると考えられるためです。
 3つ目の不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制についてでございます。
 相手方当事者にアクションを取ることが前提となりますので、相手方当事者が県外にある場合は、基本的に適用は難しいと考えられます。それは、助言・あっせん、勧告は、相手方当事者との対話を重視した仕組みであるところ、相手方当事者が県外にある場合は、相手方との面会等が実務上困難であると考えられるためです。
 隣県であれば可能な場合もあるとは考えられますが、地域的な線引きが難しいので、隣県の場合も、相談体制において適切に対応することが考えられます。特にインターネットを通じた行為の場合、海外からの発信も想定されますが、海外在住者に県からアプローチすることは極めて困難であると考えられます。
 これに関連しまして、前回御報告しました和歌山県の条例の運用におきましても、例えば電子掲示板などへの記載は、県内にあるプロバイダーといいますか、県内の掲示板に書き込まれたことが対象だというふうな説明もあったかと思いまして、本県における整理と同じようなものを考えていらっしゃるのかなと思います。
 以上、文言上の属地主義という考え方と実務上とがなかなか結びつけにくい、整理しにくいもんですから、今回は実務上の整理ということにさせていただいた資料でございます。

〇北川委員長 3つの項目に分けて説明を書かせていただきましたけれども、このことについて御意見や質問ございますか。

〇石田委員 県の条例だから県内で発生したりという、県外へ及びにくいという趣旨が書いてありますが、この前、和歌山県の課長の話の中で、国外は難しいかわかりませんが、国内であって他県の場合は、そこの県と連携を取るようなこともおっしゃったように思うんですが、それは可能なんですかね。

〇水谷政策法務監 その辺もたしか和歌山県の御説明でいくと、条例が直接適用されてというよりは、条例の中で他の関係機関と連携を取りながらというものの一つに他県があるというふうな整理だったかと思いますので、やることは一緒かもわかりませんが、条例の効力としては県内であって、ただ、県外の場合であっても、可能なものは実態として及ぼしていくというふうな御整理だったかと思いますし、恐らく本県の場合も同様になるのではないかと考えられます。

〇北川委員長 よろしいでしょうか。

〇石田委員 はい。

〇北川委員長 ほかに御質問、御意見ございますか。
 実際、運用面でこういう整理の仕方で運用に当たっていくということにもなりますので、共通認識というか、確認はしておきたいというふうに思っております。よろしいでしょうか。
 じゃ、そのように整理をさせていただくということで進めさせていただきます。
 それから、最後に、条例案素案には入れておりませんけれども、以前からの検討課題として残っているのが1つありまして、公の施設の利用制限の件であります。
 このことについて、検討のための資料を用意させていただきましたので、事務局に配付させます。
 それでは、事務局から説明を願います。

〇水谷政策法務監 それでは、公の施設の利用制限に関する規定を入れるべきとの御意見と入れるべきでないとの御意見、以前から特別委員会のほうでの御議論がございましたので、地方自治法の規定とか判例、他の都道府県等の状況などをまとめて報告させていただくものです。
 まず、地方自治法では、その点線の中にもございます第244条にありますように、正当な理由がない限り利用を拒んではならない、不当な差別的取扱いをしてはならないと定められておりますが、どのようなものが正当な理由、あるいは不当な差別的取扱いに該当するのかについては、その下に引用しておりますような逐条解説などの文献においても、個々具体的に判断するほかないとされているところでございます。
 続いて、判例におきましては、まず1つ目に御紹介させていただくのが、平成7年の泉佐野市民会館事件と呼ばれるものでございます。
 下線を引いたところを少しはしょりながら御説明させていただきますが、公の施設の利用につきまして、「管理者が正当な理由なくその利用を拒否するときは、憲法の保障する集会の自由の不当な制限につながるおそれが生ずることになる」。次の段落にまいりまして、「その利用を拒否し得るのは、」「施設をその集会のために利用させることによって、他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られる」というふうに述べております。
 おめくりいただきまして、次のページの第2段落目ですが、「集会の自由の制約は、基本的人権のうち精神的自由を制約するものであるから、経済的自由の制約における以上に厳格な基準の下にされなければならない」として、次の段落で、この泉佐野市の条例の7条1号で使用を認めないこととできる場合を列挙したものの第1号目で、「公の秩序をみだすおそれがある場合」というふうに定められておるようですけども、それはどのような場合かというと、下線を付したように、「本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも、本件会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、」「単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である」。次の段落にいって、「右事由の存在を肯認することができるのは、そのような事態の発生が許可権者の主観により予測されるだけではなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測させる場合でなければならない」というふうにしております。
 次に御紹介しております上尾市福祉会館事件におきましても、考え方は同様でございますけども、下線部を読みますと、「管理者が正当な理由もないのにその利用を拒否するときは、憲法の保障する集会の自由の不当な制限につながるおそれがある」と述べた上で、やはり会館の使用を許可しない事由としては、「会館の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて、本件会館の使用を許可しないことができることを定めたものと解すべきである」というふうに、どういう場合に拒否できるのかということが、単なる予測でなく、客観的に具体的に予測されなければならないというふうなことを両判決が述べておるところです。
 続きまして、3点目ですが、本県で設置しております公の施設につきましては、それぞれの施設の管理条例の中で、使用許可を与えない場合として、かぎ括弧ですが、「公の秩序又は善良な風俗を乱すおそれがあるとき」などを規定しておりまして、仮にヘイトスピーチ等の人権侵害のおそれを理由として利用制限を行う場合は、このような規定を基に行われることになると考えられます。
 なお、本県におけるヘイトスピーチについては、次のページですが、そういったことは確認されていないようでございます。
 資料、続きまして4点目です。
 他の都道府県や政令指定都市の事例でいきますと、東京都と川崎市では、資料3ページの中ほどの点線の四角の中ですが、それぞれ引用しておりますように、人権尊重条例の中で規定を設けておって、いずれも、施設の設置条例に基づく利用制限の検討判断を行う際に、よるべき基準をヘイトスピーチに関して定めることについて、根拠となる規定を定めたものと考えられます。不許可となる根拠を定めているんじゃなくて、そういったものについての基準を定めることをこの2つの条例の中で規定しておるものでございます。
 次のポツですが、京都府や京都市においては、東京都や川崎市のような条例上の根拠は置かずに、ヘイトスピーチに関する公の施設の利用制限についてのガイドラインを定めているところです。
 もう一つの類型としまして、大阪市においてですが、ヘイトスピーチ対策として条例での規定を検討したようですが、審議会答申として、その次に引用しておりますように、「事前に公の施設の利用を拒否することは極めて困難である」との結論になっておりまして、その結果、次の4ページ目ですね、真ん中辺の点線にございますように、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例では、公の施設の利用制限に関する規定は設けられずに、ここで引用しておりますのはQ&Aですが、憲法や地方自治法、判例を踏まえて、そこのQ&Aのような説明がされております。
 なお、これら、先ほど述べました幾つかの自治体は、いずれも深刻なヘイトスピーチが発生しているという地域事情がございました。
 あと4ページの一番下のポツですが、山形県では、ヘイトスピーチに関するガイドライン等は定めておりませんが、いわゆる在日特権を許さない市民の会(在特会)の会長の講演会を目的とする施設使用申請について、設置条例における不許可条件の一つとして、「センターの管理上適当でないと認めるとき」という設置条例上の不許可条項を使って不許可にした事例があるようでございます。
 以上、法令等の規定を申し上げたところで、最後に5ページ目を御覧ください。
 以上御説明した点につきましては、学説でも分かれておるようでございまして、5ページ目の5番は、特別委員会の参考人として意見を述べていただいた三重短期大学の楠本参考人の見解と、6番目に、北九州市立大学の中村教授の見解をそれぞれ引用しております。それぞれ公の施設の利用制限について、条例で定めることについて積極的、あるいは慎重な見解が述べられておりますので、また御覧いただければと思います。

〇北川委員長 今の説明も踏まえていただいて、今回の条例素案、項目としては最後までいきましたけれども、少し課題として残っていました公の施設の利用制限について、御意見がありましたらお願いしたいと思います。

〇稲森委員 公の施設で万が一そういう差別行為が行われたとすれば、行政がそれに一定の許可を与えてお墨つきを与えたというふうに取られかねないことだと思います。
 その中で、3ページの4番の東京都とか川崎市なんかを参考にしながら、利用制限まで条例に掲げるんではなく、例えば「公の施設において不当な差別的な言動が行われることを防止するために必要な措置を講ずるものとする」みたいな、そんな一文を入れることはできないだろうかというふうに思っています。

〇北川委員長 公の施設の利用について、1項目入れたいという御意見……。

〇稲森委員 例えばどういうやり方があるかというようなガイドラインみたいなのを示すのも一つだと思いますし、申込書の中に「そういうことは行いません」みたいなチェック項目を入れるという方法もあったりするので、そういうやり方ででも何か実効性を高めていったり、こういう規定を置くことで抑止力にもなったりするんではないかなと思います。

〇北川委員長 委員の皆さんはいかがでしょうか。

〇小島委員 事前規制をするということは非常に難しいと思うんですね。だってその団体がどういう団体かと前もって分かってなければやりようがないけれども、例えばさっき稲森委員が言われたように、そういうことはしませんということの下でお貸しして、何かをやっていただいて、でもその中でやっぱり違反するようなことがあれば、次回ですよ。なかなか未然防止は難しいと思うんですけれども、同じことを繰り返さないということは防止ができるのかなというふうには思うんですね。チェック項目を作るとかというのは、手軽でいいという表現は変ですけど、やりやすい方法かなというふうに思います。
 大阪市なんかでも、やっぱり公の施設ではなくても録音したりとか、そういう証拠を持って次の事に当たるというふうになっていて、やっぱり事前に規制することがいかに難しいかということだと思いますが、本当は未然防止がいいんでしょうけれども、でも、やっぱり何か残しておこうと思ったら、そういう方法があるということかなと思います。

〇北川委員長 ほかの皆さんからいかがでしょうか。

〇山本委員 先ほどのチェック項目を入れるということは、使用者がそのことについてきちんと確認をするという大前提になりますので、チェックのことですけれども、それは大変有用なことで、その後のまた抑止力にもなるとは思いますので、いいことだなと思って。それぐらいのことがまず申請のときにはできる、口でいうだけでは駄目なので、チェックというのは必要かなと思います。

〇北川委員長 ほかに御意見はいかがでしょうか。

〇稲森委員 ちょっと補足ですけど、すごく変な言い方なんですけど、仮に公共施設でもうとんでもない大騒ぎがあったとして、じゃ、行政は何してたんやとなったとき、チェック項目はいただいていましたと、説明はできますよね、と思ったんで。何か行政のリスクを一番避けられる方法でもあるかのなと思いました。

〇山本委員 それで、もしそういうようなことがあったときには、その場で中止を申し入れるということが、制止することができるということもありますよね。それをどこまでやめていただけるかというのはあると思うんですけれども、そういうことをちゃんと言えるというものになると思います。

〇北川委員長 私の頭が固いのかもわかりませんけれども、申込書にそういうのを書いて、意識づけもしていただいてというところまでは普通にできる話なのかなというふうには思うんですが、そのことをもって、じゃ、何かありましたというときに対応するということであれば、まさしくそれが差別行為かどうかの判断をしていくということにならざるを得ず、つまりはそれに対してのガイドラインも必要になってくるということで、結果としてはフルメニューをそろえるということになるのではないかと思ってしまうんですが、そこまでは考えなくていいですか。

〇小島委員 この条例ができた後の話やと思うので、例えばこうこう、こういう条例の趣旨を理解し、そこに違反することはしないということやと思うんですけれども、そこから先はどこに書き込むか。条文じゃなくて今後のことですよね。だから、調査研究するというようなニュアンスで残しといたらどうかなと思います。今すぐガイドラインまで整えるということにはならんのじゃないかなと思うんです。
 そうすると、逆に先ほど委員長が言われたのは、そうやって例えばチェック項目を一つでも設けるということは、そこまで担保しなければ簡単にそういうことって難しいですよということですか。

〇北川委員長 いえいえ、実効性の話で、先ほど小島委員の話の中に、ゼロベースでの判断はやっぱり難しいですよねというお話がありました。やっぱり一定の行為があって初めて判断ができますよねということだったと思うんですけども、次は貸さないという話になれば、その一定の行為が該当するかどうかのガイドラインは結果的に必要になりますよねという、ちょっと固い頭の中ではそう思ってしまうんですけれども。
 そんなことはしませんと、ペーパーはそういう形でサインしてもらいますけれども、起こった事象に対して何かやるということではありませんよという、何かというか、この条例上でできることはやりますけれども、公共施設を次は貸しませんということにつなげるかどうかということに関わってくるのかなと思うんですけども。

〇稲森委員 何か僕のイメージだったら必ずしも直結するものじゃないと思っていて、言い方はすごく難しいんですけど、そういうことを確認した上で貸すという、あくまで建前かもしれないですけど、そういう建前は必要じゃないかなと思うんですよね。
 それを破ったからどう判断するかとか、次は貸さないとかというのはまた別の、その先の話かと思うので、貸す段においては、いろんな規約、公共施設を見てみたんですけど、たき火したらあかんとか、公の秩序を乱すおそれがあるとか、暴力団関係者は駄目ですとか、いろいろあるんですけども、その中の一つにそういう項目を盛り込むというのは十分、行政としての姿勢を示すという上でも大事なんじゃないかなと思います。

〇北川委員長 ほかの皆さんはいかがですか。
 特にヘイトスピーチが、公の施設の制限に関わっては、関係する点でもあるのかなというふうには思います。そういうことも含めながら、ここの部分を条例に上げていくかどうか、あるいは具体的にどうしていくかというのは結構重たい重要な視点ですので、時間もあれですので結論までいかなくてもいいですけれども、できるだけ意見は伺っておいたほうが後の整理がしやすいんですが、ほかの皆さんはいかがでしょうか。

〇山内委員 私もチェック項目を入れるのは賛成です。具体的にどんな項目か、ヘイトスピーチとかという言葉はぜひ使っていただきたいなと思うんですけども、やはりその啓発にもつながるのかなと思いますので、逆にぜひ入れたほうがいいのかなというふうに思いました。

〇北川委員長 条項として、条文としてどうしていくかというところについてはいかがですか、皆さん。

〇東委員 大変難しい話ですね。ここの場で話をするのは結論的に難しい、いろんなケースを考えないといけないと思うんですね。
 やっぱり最もシンプルな条文を1つ入れて、あとは規則で、執行部にちょっと丸投げというと言葉は悪いですけども、とりあえず公共施設の利用方についてはこうだみたいなこと、東京オリンピックの憲章でうたわれているみたいな、そういう条文を入れられて、テクニック的には後でもうお任せするのがいいんじゃないかなと私は思います。簡単に、シンプルにといいますかね。

〇北川委員長 ほかの皆さんはどうでしょう。
 何かしら公の施設の利用制限についての言及が条文の項目としてあったほうがいいのではないかという御意見が今のところは多いと思うんですが、ほかの皆さんからどうでしょう。
 ただ、入れ方はなかなかシビアなところが……。

〇石垣委員 私も、この公の施設の部分に関して入れる入れないという判断はなかなか、ちょっと自分自身もまだ答えが出てないようなところなんですけど、先ほどチェック項目、稲森委員がおっしゃっていただいた内容も非常に有効だなというふうに個人的には思うんですけど、我が特別委員会で細かい内容であったりだとか記載に関して本当に決められるものなのかというところもあったりするのかなと思うので、その範疇の常任委員会の部分にこういう声があったというような話で問題提示をするだとか、そういった具体的に形になるようなことは進めていくべきなのかなというふうには思うんですが、条例に盛り込むかというと、私もなかなか答えが出ていないようなところなので、しっかりそういった声があったということはぜひ常任委員会のほうにも伝えていただいて、前に進めるような形は取るべきなのかなというふうには思います。

〇北川委員長 ほかの皆さんはいかがでしょうか。

〇藤田委員 明らかに内容的なものが想定される、あるいは過去にやられたというような場合に対する対処ということで、シンプルな文言は入れておくべきかなというふうには思います。

〇北川委員長 とは言いながら、私も言葉の、条文のイメージが頭に今浮かばない状況なので、思いとしては、でき得るならば入れたいよねというニュアンスで受け止めさせていただいて、どういう文言なら今の中で入れられるかというのは、ちょっと考えさせていただいてよろしいですか、具体的なことも含めまして。
 皆さん、具体的なアクションについてはいいよねというお話もありましたから、ちょっと条文に入れる可否を決めておきたかったところですが、御意向としては、どちらかというたら何かうまいこと入らんかいと、ちょっと言い方は荒いですけども、そういう委員の皆さんの御意思というふうに判断をさせていただいて、検討させてください。
 あとありますか、内容的に。いいですか。
 それでは、以上で条例案素案について委員間討議を終了したいと思いますが、何か付け加えてどうしてもという方はありますか。よろしいですか。

〇東委員 またちょっと蒸し返すようで、34ページの委員を選任するところですが、「人格が高潔であって」という話ですね。何かほかのをざっと調べてみると、結構使われているんですね、委員を選ぶときは。
 人格が高潔でというのはそんなに聖人君子みたいなものを指すというんじゃなくて、例えば過去に刑事罰があるとか、反社会的にどうとかということ以外は、一般的に人格が高潔という表現を使うんじゃないかなという気はするんですね。なので、何か世の中の動きで人格が高潔というとすごく御立派な人を想像するんじゃなくて、普通の方を指して、だからあえてこれを削るというのもどうなんかなとちょっと思ったんですね。さっきちょっとうやむやとなっとったんで、そこだけもう一回確認をしたいなというのが。また後刻というか、後日でも全然大丈夫なんです。
 それから、もう一つは30ページ、今日、朝一番で助言、あっせん、勧告、説示、説諭という御説明をいただきましたけど、この説示というのを和歌山県は一生懸命使われていたんで、このこともちょっと最後取りまとめがどんなんだったかなというのも、どう扱うのかなという、その言葉そのものを。ちょっともしあれだったら御確認をさせていただきたいなと思います。

〇北川委員長 今度の条例案、15日に修正版を出させていただくときにその辺りは、説示という、和歌山県の事例も含めて、助言・あっせん、勧告の解決の仕組みの中で一つの使える手法かなという思いもありまして、上手に盛り込めるのであれば、それも含めながら考えたいなというのが、今、正副委員長と事務局のレベルで、ただ、どういう形になるかはまだ検討段階ですので、15日にお示しさせていただくということで御容赦いただきたいというふうに思います。
 委員のおっしゃっていただいている部分については、我々も、評価も含めて認識をさせていただいていますので。

〇稲森委員 今、話が蒸し返されたところで、僕も気になっていたんで。
 差別解消の調整委員会の中には人格が高潔とあるんですけども、一方で、審議会の委員には人格の高潔がなくて、ここに差をつけていいのかどうかということが1つと、もう一つは、人格が高潔って割と、国の例えば何か附属機関の委員を決めるときとか、議会の議決が必要な公安委員とか人権擁護委員とか、そういう人に、その委員会、附属機関の何か格付みたいな感じで僕はイメージしているんですけども。
 だから、この調整委員会がどの辺の格にあるかというのを、ちゃんとほかとの均衡を図って文言を書かなあかんのじゃないかな。じゃ、何で審議会の委員は人格が高潔じゃなくていいんですか、みたいな。

〇東委員 今、別に反論するわけでも肯定するわけでも何もないんですけども、一番身近なのに、記憶だけですけど、教育委員会の教育委員を選ぶとき、長も含めてですけど、人格が高潔でという言葉が入るんですね。
 要するに教育委員会の委員は、もちろん教育に熱心な方もいらっしゃいますが、普通の子育てをしていらっしゃる方とか、普通に社会活動を送っていらっしゃる方も入っているというのが実態としてあるので、そういう位置づけじゃないんかなと私は思います、むしろですね。

〇北川委員長 その辺も、法律や条例の使い方として確認させていただきたいと思います。ある意味、東委員がおっしゃっていただくように、特段反社会的な問題があるとか、そういうことはない人ですよという、単にそういう捉え方かもわかりませんし、使い方について。
 また、おっしゃっていただくように、私も気がつきませんでしたけど、審議会と調整委員会のバランスの問題もありますので、ちょっと事例も確認しながら整理をさせていただいて、改めて15日にお示しさせていただこうと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

〇小島委員 絶対取れという意味ではないですけれども、ここで申し上げたような専門性とか当事者性を担保するというようなことやら、障がい者差別解消条例に書かれているような具体のことを入れるのであれば、文章上のバランスとか分量とかあると思うので、その辺りを見ていただいたらいいかなと思います。知事が任命されるので大丈夫かなみたいな、そんな感じです。

〇北川委員長 15日に向けて最終整理をさせていただくんですが、何度も申し上げているように、今日の議論も含めて、パーフェクトのものまでは至りませんので。恐らく、時間的に。前回ぐらいまでのはほぼ反映できていけるということで、今日のあたりは大きな課題もあったりするんですけれども、まだパーフェクトなものにはならないかもわかりませんが、その辺は時間的なことで御容赦いただきながら、できる限りのものを15日にお示ししたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、以上で素案についての委員間討議を終了いたします。
 次回以降は修正版をお示しして、それに基づいて引き続き、残る論点も幾つかありますので、委員間討議を進めたいと思います。日程等の詳細については、この後の委員協議で御協議いただきたいと存じますので、御了承願います。
 本日御協議いただく事項は以上でございますが、特に何か御意見がございましたらお願いします。

〇石田委員 この中身じゃないんですが、先般、和歌山県の課長とリモートでやらせていただいて、あれが地方自治法上正式な参考人招致とならないということで正式な委員会にならなかったですけども、それを三重県議会から、地方自治法改正になんのかな、ああいう方法も正式な委員会として、参考人招致として認めていただけるような改正を国に求めるような意見書なりを上げていただくとすれば、もう実際にやった北川委員長なんかなと思うので、ぜひ御検討いただきたいなと。

〇北川委員長 そのことに関わっては、委員長会議ではその旨を、議長もおみえですので、申し上げたところですし、それから、議会改革推進会議でも取り上げていただきたい旨の申出はさせていただいた経過はあります。ただ、具体的にアクションが進んでいるかと言われると、ちょっとそこのところはまだ至っていないのかなというふうに思っています。努力はさせていただきたいと思います。
 
〔閉会の宣言〕
 
三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
北川 裕之
 

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