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令和4年1月24日 差別解消を目指す条例検討調査特別委員会 会議録

資料はこちら

差別解消を目指す条例検討調査特別委員会
会議録
(開会中)

開催年月日    令和4年1月24日(月曜日) 午前10時0分~午後3時49分
会 議 室    601特別委員会室
出席委員     11名
        委員長   北川 裕之
        副委員長  山崎 博
        委員    石垣 智矢
        委員    小島 智子
        委員    山内 道明
        委員    山本 里香
        委員    稲森 稔尚
        委員    藤田 宜三
        委員    石田 成生
        委員    東  豊
        委員    中村 進一
欠席委員     なし
出席説明員    出席を求めず
事務局職員    企画法務課政策法務監兼班長 水谷 憲司
委員会書記
    議事課 主幹    櫻井 彰
    企画法務課 主任  長谷川 智史
傍聴議員     1名
        杉本 熊野
県政記者   なし
傍聴者    なし
協議事項
1 条例案中間案の検討について

【会議の経過とその結果】
〔開会の宣言〕

1 条例案中間案の検討について
○北川委員長 本日は、各会派からの意見及び執行部からの意見を踏まえて、前回の委員会に引き続き条例案中間案の検討を行いますので、よろしくお願いします。
なお、本日の進め方ですが、まず前回の委員会での議論等を受けた条例案中間案の修正点について事務局から説明した上で、条例案中間案について各会派からの御意見を説明いただき、それぞれの意見について検討した後、執行部の全部局に対して書面にて実施した意見照会の結果報告とそれへの対応の検討を行い、可能であれば条例案中間案を確定させたいと考えております。
それでは、最初に条例案中間案の修正点について、お手元に配付の資料1、2に基づいて事務局から説明願います。

○水谷政策法務監 それでは、お手元の資料1を御覧ください。
前回12月21日の特別委員会以降での御議論を踏まえて、正副委員長と相談の上、修正いたしました点について、主なものを御説明させていただきます。
まず、題名ですが、「差別のない人権が尊重される三重をつくる条例」とございましたのを「差別を許さない人権が尊重される三重をつくる条例」というふうに、委員間討議の内容を踏まえて修正いたしまして、その内容を趣旨のほうに記載しております。
続いて、2ページ、3ページの前文のところを御覧ください。
前文の2段落目のところ、「近年、我が国においては」という文章の前に、「地方公共団体における人権尊重に関する先駆的な取組も踏まえ」ということで、人権三法に先立って地方自治体で条例制定などがなされていたことなどを踏まえた記述を加え、その旨の解説も解説のほうの2番に加えております。
続きまして、前文の3段落目、最後のほうの文章ですけれども、「県においても」のところで、当初の中間案では「施策に積極的に取り組んできた」とありますのを、委員間討議を踏まえまして「積極的に」を削っております。
その他、たくさんあるんですけれども、全体を通じて前文が分かりにくいというふうな御指摘がございましたので、それに関しまして、例えば一つ上の2段落目で人権三法の名称についてかぎ括弧で法律名を挟むといいますか、くくっております。通常、条文の中ではこういったことはしないんですけれども、前文なので委員間討議の内容も踏まえて分かりやすいようにということで、かぎ括弧でくくっております。
そのほか、同じ分かりやすくという観点から、例えば「不当な差別その他の人権問題」というふうなフレーズが幾つかありましたが、「その他の」という文言、言い方は法律用語ではあるんですけれども、前文においてはより分かりやすいようにということで「不当な差別をはじめとする人権問題」といったような書き方に修正しております。
ほかにも5段落目で「当該責任を負わなければ」とありましたのを「その責任を負わなければ」と言い換えたりしております。
あと、5ページ目の目的規定のほうをお願いします。
ここでは、この「もって」以降、12月21日の段階では「もって誰もが不当な差別その他の人権侵害行為を行うことのない」とありましたのを、委員間討議を踏まえまして「もって不当な差別その他の人権問題のない」に修正いたしまして、同じような表現を取っております前文とか第10条なども修正しております。
以上が当日の議論を踏まえて修正させていただいたところなんですが、あと、ちょっと脱字がございましたので、申し訳ございませんが34ページ、第19条のところでございます。
第19条の第1項、第2項のところで「基本的人権を有する」という言い方をしておったところなんですが、この中間案あるいは日本国憲法などでもこういった「基本的人権の享有」という、生まれながらにして持っているということで「享有」という言い方がよりふさわしいということで、お手元の資料1を御覧いただきますように「基本的人権を享有する」という言い方に修正させていただいておるところでございます。
資料1につきましては、以上申し上げたようなところが主な修正点でございます。あと資料2のこの「差別を許さない人権が尊重される三重をつくる条例(仮称)案中間案概要」、ポンチ絵の1枚物につきましても若干レイアウトの修正を行った部分がございますが、こちらについては大きな修正はございません。

○北川委員長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 次に、条例案中間案について各会派に持ち帰って御検討いただいた結果を、各会派の代表の方から順次御説明願います。
それでは、最初に新政みえ、お願いします。

○小島委員 新政みえといたしましては、全体として特に異論はなく、了とされました。

○北川委員長 それでは、続いて自由民主党、お願いします。

○石垣委員 我々自由民主党会派からは、主に8点御意見をいただきましたので、また御議論いただきたいと思います。

○北川委員長 自由民主党の御意見は、ペーパーで整理したものを置いていただいていますので、それを御覧いただきながら聞いていただきたいと思います。

○石垣委員 紙面に沿って御説明させていただきたいと思います。
まず、該当箇所でありますけれども、条例の題名及び全般的に、第2条に規定する用語の定義に照らすと、「不当な差別」や「人権侵害行為」を含むより広い概念である「人権問題」で表記することで十分であると考えるが、中間案全体を通して「不当な差別その他の人権問題」との表現を用いることによって、条例の題名に対する津市の意見である「差別のない」の文言を追加することで、人権を尊重することが少し狭まってしまう、限定的な行為などに捉えられかねないことを懸念することにもなると感じますので、題名の再考と、中間案にある「不当な差別その他の人権問題」を単に「人権問題」と表記することを提案させていただくというのが一つ目でございます。
二つ目が、条例の題名関係であります。こちらも「差別のない」から「差別を許さない」への変更は津市の意見と逆の方向性になるのではないかというところでありますので、差別を許す、許さないというような差別する側、される側の対立構造ではなく、線を引いたり溝を深めたりすることが差別の本質であるところを表面化してしまうというところもありますので、この条例の題名を再考していただければどうかという御意見であります。
次に、第2条の定義関係の部分であります。「人権侵害行為」の定義について、国の人権委員会設置法案と同様の解釈をしているということですけれども、それであればその文言をそのまま変更せず定義とするべきで、財産権を含むことが適切でない部分については財産権を除外することを明記してはどうかという御意見がありました。
次に、第8条の部分であります。第2項にある「情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能なときは、当該措置を講ずるものとする」との規定は、プロバイダ責任制限法を超え事業者の経済活動を過大に制限するおそれがあるため、努力規定としてはどうかという御意見であります。
次に、裏面に移っていただきまして、第3章、不当な差別その他の人権問題を解消するための体制の整備及び第2条(定義)の関係についてであります。県としてどこまで対応できるのか、できないことを義務づけるのはいかがなものか。国の制度や司法との整理はできているのかどうか。金銭、騒音、日照などのトラブルを県が受け付けることになるのか。人権問題の定義に国際的な問題を含むとあり、主権国家が解決すべき事柄にまで介入するのか。問題を広げ過ぎると実効性のない条例となりますので、限りある行政資源の無駄遣いにならないかが心配であるという御意見であります。
次に、その下の第18条の関係部分であります。中間案を通じて、調整委員会が暴走すること、例えば議論が過激になった場合や、申立てを受けた相手方などが逆に不当な差別を受けるおそれがある、こういったことを抑止する規定が設けられていないことを危惧する。環境生活部の意見にあるように、「日本国憲法の保障する基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない」旨の内容を確認的に条例に盛り込むべきではないか。調整委員会のメンバーは、知事が選定する中、調整委員会の諮問を受けた知事に抑止力が働くとは考えにくいという御意見であります。
次に、第19条、人権教育及び人権啓発関係であります。これまでも人権教育や人権啓発は行われてきておりますが、それをよりよいものにするために、もう少し具体化してはどうか。これも、例えばというところでありますが、なぜ差別が発生するのかにまで踏み込んで啓発するとか、前文にある世界人権宣言が県民の間できちんと共有できるようにするなど、といった具体例を記載してはどうかという御意見であります。
第24条、災害その他緊急事態の発生時における人権侵害行為の防止等の部分であります。中間案を厳格に踏まえると、災害発生時の行方不明者の氏名公表、これが過度に制限されるおそれがある。「救命救助に必要な場合を除く」、こういった規定を盛り込んではどうかという御意見をいただきました。
以上、8点でありますけれども、御意見をいただいております。

○北川委員長 それでは、続いて草莽、東委員、お願いいたします。

○東委員 去年、年末年始をまたいで会派の皆様と御検討申し上げました結果、この特別委員会の出されている案について特にこの部分を修正するとかという御意見はございませんでした。

○北川委員長 それでは、続いて公明党、山内委員、お願いいたします。

○山内委員 公明党といたしましても、全体的にこれでよいのではないかということでまとまりましたけれども、題名に関して「差別を許さない」という表現は少し強いのかなという感覚で共有しております。

○北川委員長 日本共産党、山本委員、お願いします。

○山本委員 大きくは二つ、そして今後のことということでちょっと考えたいことがあります。
一つは、タイトル及び前文及び第1条のところで特になんですけれども、先ほどからも出ています「差別を許さない」という表記の仕方なんですが、やはり少し違和感があって、例えば前文において最後の2行、3行のところで、「あらゆる不当な差別をはじめとする人権侵害行為を許さないと改めて宣言する」、これは宣言として重要なこと。そして、これを宣言しているのだから、その後に「不当な差別その他の人権問題のない、人権が尊重される」ということが何か重なる、宣言を強く差別のことについて今回はクローズアップするということであっても、目的は、その次にあるものは「人権問題のない、人権が尊重される社会」、あるいは「人権が尊重される社会」ということで包含できるのではないかと。
ですから、そこのところを、下から2行目の終わりのところからが消えても、宣言は不当な差別をはじめとする人権侵害行為を許さないという思いがここに表れて、人権が尊重される社会を実現するというほうがいいかなというイメージです。
そうなってくると、大きく構えてこれまでの「人権が尊重される三重をつくる条例」というのをタイトルで、人権ということを大きく捉えるという意味合いが一つできてくるのではないかということで、第1条のところの下の2行目の「もって不当な差別その他の人権問題のない」というところも、宣言を前文で声高らかにするということの中で、ここも「人権問題のない」とさらっとしたほうが、よりよいのではないかというのが一つ目です。
それから、第2条の定義ですが、これまでも述べておりますけれども、「社会的身分」という中に「被差別部落の出身であること」は含まれると、7ページでも一番上のところに少し記述がされておりますけれども、そういう考え方で社会的身分の中に含めたほうがいいのではないかということで、これがこの内容に対する意見です。
それと、今後のことで、第13条より後の救済のシステムなんですけれども、この思い入れのある条例を現実、行政がこれから運用していくということに当たって、運用がこの思いをきっちりと反映できるような形にするためにどうしていかなくちゃいけないかというのは私たちが考えることなのか、行政が考えることなのか分かりませんが、でもそれがきちんと反映していただけるようなシステムづくりをどうしたらいいかということを共に考えないと、このままを渡して魂が本当に入っていなかったら困るので、そこのことが一つ。
それと、瑣末なことですけれども、年末年始のドラマで若い人たちに評判になった「ミステリと言う勿れ」の中でいじめの問題が取り上げられていて、もちろんいじめ、あるいは差別された人を救済するということも大事なんだけれども、いじめをする、差別をするという人の問題意識を啓発することが今、この中ではそれは駄目だということを啓発しなくちゃいけない、教育しなくちゃいけないとなっているんですけれども、差別をしている側の救済というか、その心の闇に対して手を入れなくちゃいけないというか、援助というか、そういうことも今後は考えていくことも必要なんじゃないかな。ここに入れるかどうかは別として、そういう観点も要るんじゃないかなということを思いました。

○北川委員長 それでは、最後に草の根運動いが、稲森委員、お願いいたします。

○稲森委員 私も、中間案では全体的にこの方向でよいかと思います。
1点、気になるところなんですけれども、不特定多数に対して、例えば公共の場などでヘイトスピーチが行われた場合、あるいは第三者が差別や人権侵害を見聞きした場合に、そういう差別や人権侵害を抑制したり、あるいは不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制に乗っかっていくようにするにはどうしたらいいんだろうかという疑問が、この中間案の中というか、これまでの議論の中でも不足しているんじゃないかなというふうに思いました。

○北川委員長 順番にそれぞれ代表の方から報告をいただきましたけれども、特に補足いただくようなことはございませんか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 そうしますと、いただいた意見を中間案に向けて整理していきたいと思いますので、順番に議論を固めていきたいというふうに思います。
ただし、幾つかの会派の御意見として題名に関しての御意見を頂戴しましたけれども、題名については全体の議論をした中で、最後のところで議論をしたいというふうに思いますので、題名の部分だけはちょっと除いて、もちろん関連するんですけれども、題名は最後にもう一回決めさせていただくとして、それ以外の部分について順番に皆さんから御意見をいただき、ケースによっては政策法務監のほうから解釈も含めて考え方も示していただきながら議論し、条例の中身を固めていきたいというふうに思います。
まず、新政みえはありませんでしたので、自由民主党の御意見から委員間討議をしたいというふうに思います。自由民主党の意見としてはペーパーがございましたので、題名を除いて順番に議論をさせていただきたいというふうに思います。
初めに、題名の部分は除いて、全体的に中間案の中に出てくる文言として「不当な差別その他の人権問題」を単に「人権問題」とするというふうな御提案でありますけれども、山本委員の意見の中にも同様のニュアンスのお話があったように思います。このことについて、不当な差別その他の人権問題というのは各条例の中に、初めであれば目的、第1条にもありますし、以降、我々のこの条例の中の扱いとして「不当な差別その他の人権問題」という言い方で表現を統一していますので、このことについては以前からの議論で、現人権条例の全部改正という中ではあるけれども、もともとこの特別委員会があらゆる差別の解消ということを目的にスタートして議論を重ねてきたという中で、表現としてはそこの部分を特出しといいますか前につけて条例の中身を議論してきたという、委員間討議の一定の結論といいますか、方向性はあったわけですけれども、今改めてこのことについての御意見がありましたので、議論いただきたいというふうに思います。
御意見のある方はどうぞ。

○藤田委員 その前に、ちょっと確認ですけれども、自由民主党のこの案というのは、会派全体の意見として了解すればよろしいですか。自由民主党の考え方という理解でよろしいですか。

○北川委員長 基本はそうだと理解しておりますが。

○石垣委員 会派の中で御意見を賜って、もちろん会派としての意見にはなるんですけれども、問題提起として、今回いただいたというところですので、これを踏まえて委員の皆さんで御議論いただきたいという形で提案させていただいております。

○藤田委員 了解いたしました。ちょっと、その辺の確認で。
先ほど、委員長がおっしゃったように、私どもも、もともとは差別をどうやってなくしていこうかというところから始まった話ですので、この辺のところは先ほど委員長もおっしゃった内容でいいのかなというふうに私は個人的に思いますけれども。皆さんはどんなふうにお考えなのか分かりませんけれども。

○小島委員 そもそもこの議論がどこから出発しているかと考えたときに、人権が尊重される三重をつくる条例というのがあって、だけれども大変たくさんの聞き取りをさせていただいて、私たちが差別だと考えることは現にあるというところから出発したというふうに思っています。
ですので、差別を解消する、差別をなくすということが非常に大きな趣旨であって、やっぱりこれは特出しするべきではないかと思っています。出発点を考えると、それを特出ししていくことが大切だと思います。
それから、差別を温存しておくことによって人権は守られない。逆に言うと、差別を解消することによって人権が守られることにつながるんだというふうに思いますので、このコアな部分の差別解消ということは、人権尊重の社会をつくるに当たっても必要不可欠なことだというふうに思いますから、そこははっきりと打ち出したほうがいいのではないか、そんな議論がこの特別委員会の中では行われてきたのではないかなというふうに私自身は受け止めています。

○北川委員長 ほかの委員の皆さんは、いかがでしょうか。お二人からは、議論の経過として原案の形で表現があったほうがいいということに御意見をいただいたわけですけれども。

○山本委員 先ほども申させていただきました。思いとしてですので、みんなで決めていくことだとは思っていますけれども、新しく私たちが掘り起こしをしてというか、これを新しいものへと全部改正でつくっていくということの中で、差別というものが大変な問題ということを特にクローズアップして勉強もしてきたということの中で、前文の中で宣言をするという、この宣言というのは重要なことだと思っています。それをここできちんと入れることで、全体としての今までの人権条例をグレードアップするという意味合いで、広い中でポイントも押さえてということの中で考えて、今のような意見を出させていただきました。
クローズアップするということと、前提として大きな問題であるということはあると思います。それは認識します。だけど、大本のものを全部改正という意味合いの中で、逆に宣言を大きくクローズアップするということにとどめたのでいい、それが大事かなと。人権というもう少し広く考えたものを条例としてのタイトルにするということのほうがよりよいかなと思っています。

○北川委員長 ほかに御意見はございませんか。

○東委員 各会派、言わなかったかなと思って言うんですが、「不当な差別その他の人権問題」で、自由民主党から御意見をいただいておるので、これを議論してくださいという話になるわけですが、この特別委員会でここの部分についてはかなり集中して議論が進んできたというふうな認識ではあります。再確認という意味ですが、現条例では、小島委員もおっしゃっていますが、現状があまり変わっていないので強調したいというところだと思います。特別委員会ができたいきさつ、それから議論の中で取り組まれてきたことがあって、「不当な差別その他の人権問題」というのは表現を強調しようと。題名にも「差別のない」というのが最初にあって、今、中間案では「差別を許さない」まで来ましたけれども、意図はそういうことだと思います。強調していきたいということなので、せっかく御提案いただいたんですけれども、ここの部分はやっぱりより強調した形のほうがいいんじゃないかと思います。

○北川委員長 正副委員長としては、一度議論してきたことで、東委員のおっしゃった形で置いてきた文言ですので、大事にしたいなという思いでおります。
ただ、一方で、御意見のことというのは懸念として示されているので、そのことについて少し払拭するために、逐条解説にそういう狭い限定的なことの意味で使っているのではないですよと、逆に差別をなくすことで人権が守られる社会になるんですよということの趣旨を、我々の思いを示させていただくという形で対応したいと考えるんですが、いかがでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいでしょうか。
じゃ、新たに逐条解説という形で書き加えるということで対応したいと思います。
それから、題名は飛ばさせていただいて、定義のところになります。「人権侵害行為」の定義についてですが、国の人権委員会設置法案と同様の解釈をしているということなのであれば、その文言をそのまま定義としてはどうですか、また、これは前回議論していますけれども、財産権の除外について明記してはどうですかという御意見をいただいています。これについては、定義ですので、解釈が非常に重要ですので、政策法務監のほうから考え方を確認させていただいてと思いますが、よろしいですか。

○水谷政策法務監 それでは、御説明させていただきます。
御指摘いただいています人権委員会設置法案におけます「人権侵害行為」の定義というのは、「不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」というふうになっておりまして、それを踏まえますとこの第2条第3号、資料の6ページ目でございますけれども、ここでの「人権侵害行為」の定義を「不当な差別、いじめ、虐待、プライバシーの侵害、誹謗中傷その他の人権を違法に侵害する行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)」というふうな修正ということが考えられまして、要は現在の中間案の中での「他人の権利利益」というのを「人権」に修正して、さらに「違法に」というのを追加するということで人権委員会設置法案と同じようになるかと思います。
まず、「他人の権利利益」を「人権」に修正するということにつきましては、既に執行部意見への対応のところで御議論いただいたところなんですけれども、権利利益という表現は人権侵害行為の禁止に関する規定のある法律や条例、具体的には障害者基本法とか三重県感染症対策条例などにおいて一般的に用いられておることから採用いたしまして、ここで言う利益というのは権利利益、名誉感情や平穏に生活する利益といった法律上保護される利益を指しておりまして、この権利利益を先ほど申し上げましたように人権というふうに置き換えた場合には、一般的には人権侵害行為と考えられますそういった利益が含まれるのかどうか疑義が生じるというふうに考えられます。
ただし、国の解釈を見ますと、人権委員会設置法案の解釈としても、民法等の規定に照らして違法とされるものが該当するとありますので、そこで言う同じ解釈を取りますと人権の中に法律上保護される利益が含まれるというふうに解されるので、「権利利益」を「人権」と修正しても大きくは変わらないのかなというのが1点でございます。
もう1点の「違法に」の部分でございますけれども、以前の委員間討議の中で、これについては余計に解釈が混乱するということで「違法に」は加えないということになった経緯がございましたけれども、ここもまた国の解釈を参考に、憲法の人権規定に抵触するような公権力による侵害行為のほかに、先ほど申し上げた民法その他の違法とされる侵害行為が該当するというふうに考えられるのであれば、やはり条文にも「違法に」ということがあったほうが、同じように明確になるとは考えられます。
あと、ちょっと説明を飛ばしましたけれども、国の人権委員会設置法案に比べまして、人権侵害行為の事例をたくさん示しておったり、あるいは最後にインターネットを通じて行われるものを含むということで追加しておりますけれども、このあたりはこれまでの委員意見とか、あるいは執行部意見への対応を踏まえた部分でございまして、あくまでも例示に追加しているとか、あるいは括弧書きを確認的に追加しているということなので、現在の中間案どおり置いておいても人権委員会設置法案と特に異なることにはならないかなと思います。
最後、財産権のことでも御議論がございまして、これを除外するということにつきましては、財産権というのも日本国憲法で保障された重要な人権でございますので、人権侵害行為の対象となる人権から財産権を除くということはなかなか難しいかと思いまして、御意見の御趣旨にありますように、単なる金銭トラブルなどについては相談対応の中での調査や関係者間の調整ということは想定していないということで以前の委員会でも共有いただいているかと思いますので、その辺について逐条解説のほうに追加するということで可能ではないかなというふうに考えます。

○北川委員長 ありがとうございます。
聞かせていただいていても、なかなか難しいところはありますけれども、「人権侵害行為」の定義については、人権委員会設置法案の文言との相違点は二つ。ここの委員会では「他人の権利利益」と書いてある部分が、法案のほうでは「人権」ということになっていることと、それからもう一方は「違法に」という文言がついているというところになっているようです。
権利利益のところは、政策法務監の説明にあったように、言い方を逆にすると人権というふうに置き換えても構わないけれども、人権の中にある、含まれると解される法律上保護される利益、このことについては他人の権利利益をということで書いてあったほうがより幅広く理解されるという意味で、既にある三重県感染症対策条例だとか、国の法律でも障害者基本法であるとかいうところはこの表現が使われているということですので、その他人の権利利益を侵害する行為という表現でも逆さまに言えば問題はないということになりますし、より分かりやすいのではないかということで、そういう置き方を事務局的にはつくり込んできたという考え方を御説明いただいたわけですが、よろしいですか。
これは、究極の言い方をすれば、そちらに合わせても、もともとの表現でも根本的には問題はないということですよね、政策法務監。

○水谷政策法務監 さようでございます。

○北川委員長 ということで、御意見がありましたらいかがでしょうか。

○藤田委員 この議論の中で、もう少し具体的に書いたらどうかという意見があってこれを書き込んだように私は記憶しているんですが、そうではなかったですか。

○北川委員長 具体的なというのは、執行部からの意見でも例示があったほうがいいということで、それは結局、不当な差別、いじめ、虐待、プライバシーの侵害、誹謗中傷という形で例示を前に置かせていただいているという意味合いです。

○藤田委員 そのことが、他人の権利利益を侵害するということに当たるというふうに今、政策法務監からお話しいただいたので、これのほうが分かりやすいんと違いますか、と私は思います。

○北川委員長 という御意見ですが。
正副委員長としては「人権侵害行為」の定義の部分ですので、厳密さも求められるわけですけれども、二者の中に大きな相違点はないという中で、「権利利益」と「人権」という用語の置き換えについては、政策法務監の説明にあったように法律上保護される利益についても分かりやすいという意味では、「権利利益」のほうが分かりやすさがよりあるのかなというふうに思いますので、そのままの表現でいいのではないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。大丈夫ですか。
一方、「違法に」という部分は、人権侵害行為は違法行為なので違法であるに違いないんですけれども、それについて、これも人権委員会設置法案になぞらえてきちんと「違法に」というふうに入れておくほうがいいのか、以前にあるとかえって混乱するのではないかという御意見もいただいたという記録があるわけですが、いかがいたしましょうか。
政策法務監、これも「違法に」と付け加えることは、明示するか明示しないかというだけの違いで、条例としての人権侵害行為の定義が大きく影響を受けることではないという理解でいいんですか。

○水谷政策法務監 おっしゃるとおりで、実質的に指すところは変わらないけれども、条文中に書いたほうが明確であるのは確かなんですけれども、そのぐらいの違いかなと存じます。

○北川委員長 という御説明ですが、いかがでしょうか。
ここは、正副委員長としては、明確さを重視するのであれば、逆に「違法に」というふうにすっきり入れてしまうという考え方でもよいのかなと思うんですが、以前このことについて御意見いただいたのは石田委員じゃなかったか、どなただったかな。御記憶のある方はいらっしゃいませんか。なければ、ここはもう「違法に」ということで法案に準じてすっきり入れさせていただくという形でいいですか。

○藤田委員 政策法務監にお聞きしたいんですが、例えば私が差別的な発言をしたという話になったときに、その内容が違法であるかないかということが先に検討の対象になって、私の行為そのものに対して相談であったりそういうことが受けられないという話にはなりませんか。私がやっている行為は違法じゃないんだから、相談にも対応しませんというようなことが言えるような条文にはなりませんか。

○水谷政策法務監 お答えになるかどうかちょっとあれなんですけれども、今の入れない場合の読み方としては、この人権侵害行為の定義の中で、「その他の他人の権利利益を侵害する行為」とある。侵害という中に当然違法なもの、違法性というのは含意されておると考えますので、委員がおっしゃるような相談を受ける、受けないというところのレベルの話でなしに、当然受ける話にはなると思うんですけれども。

○藤田委員 そのことをもって、違法であるか違法でないかということが先に来て、そのことを根拠に相談に出てこないとか、拒否をするというようなことが出てこないというのであれば、入れていただいて大丈夫だと思います。そういう心配を一瞬したんですけれども。

○北川委員長 その部分は、私もうまく表現ができるかどうか分かりませんけれども、人権侵害行為にとどまらず、前段の差別行為も定義していますが、同じ話で、基本的に相談業務の中で明らかにその定義に当てはめて差別にしても人権侵害行為にしても、これは当てはまるものではないよなということが明確なものまで相談を受ける、傾聴はもちろん必要ですけれども、その先の対応をしていくということはまた別のことだと思うんですけれども、現実問題としては恐らくグレーのものもあるんだろうと思うんですよね。それは、やはり受け付けた担当のところの中で一定の蓄積、当然判例やいろんなものもありますけれども、そういう中で一定判断をしながら対応いただくことになるんだろうというふうに思います。
1点、誤解のないように申し上げれば、申立て以降の解消の仕組みは差別行為だけなので、人権侵害行為は範疇に入らないということだけ確認しておきたいと思います。そういう考え方で大丈夫ですか。

○水谷政策法務監 おっしゃるとおりかと存じます。

○山内委員 ちょっと確認なんですけれども、国の人権委員会設置法案と同様の解釈をしているということはどこに書いてあるんでしたっけ。

○北川委員長 これは、多分以前の資料のところだったか、何かどこかで出たんですよね。
中間案の7ページの人権侵害行為の注釈といいますか逐条解説といいますか、その最後の6行のところにそのことについて書いてあるんですけれども、言われている人権委員会設置法案云々という表現は出てこないです。以前、執行部への対応のペーパーのときに政策法務監から説明いただいた人権委員会設置法案になぞらえて考え方を書いたという形になっています。今、この条例案のところにはその文言がありません。

○山内委員 先ほどの藤田委員のお話の中で、「違法な」というところを入れると、相談を受け付ける側が前段である程度の判断をしてしまうんじゃないかということだったんですけれども、逆にその言葉が入ることで相談する側が違法かどうかを自分で問うてしまって、違法とは言えないということで自分で解釈をしてしまって相談しないというケースがあるんじゃないかなと思って。まずは相談しやすくするために、「違法な」という言葉は要らないと思うんですけれども、どうでしょうか。別に問題がなければいいんですけれども。

○北川委員長 山内委員から、相談側からするとそれが一つの足かせになってしまうおそれがあるのではないですかという御意見をいただきましたけれども、どうでしょうか。

○稲森委員 僕もそのとおりだと思っていまして、今、山内委員がおっしゃったとおりで、相談する側が少しでも心理的にちゅうちょしてしまうようなものがあって、入れても入れなくても同じだというようなことであれば、わざわざ入れなくてもよいと思います。

○北川委員長 お二人からは、入れないほうがいいのではないかという御意見をいただきました。うちの委員会のスタンスからいけば、相談体制の中でより相談しやすい環境をつくっていくということが一つのスタンスでありましたので、そういう意味合いではお二方がおっしゃるお話は重要なポイントでもあります。正副委員長からは同じであれば入れてもという提案をさせていただきましたけれども、従来どおり、あえてそこは解釈としては当然違法であることには変わりませんので、そのまま今の中間案、たたき台の案のとおりということでさせていただいてもよろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
続いて、プロバイダーの件ですが、「当該措置を講ずるもの」ということで、これは議論の経過で和歌山県の事例も見ながら、努力義務から逆に「措置を講ずるもの」と委員間討議で変えた経緯のある話でありますが、努力規定としてはどうかという御提案、御意見だというふうに思いますが、これについて御意見がありましたら。いかがでしょうか。

○稲森委員 「講ずるものとする」というのは、何か罰則があったり強制力があったりするものじゃないと思うので、努力規定には当たらないんでしょうか、これは。配慮してくださいということじゃないんですか。

○水谷政策法務監 義務規定の全てに罰則があるわけじゃないので、講ずるという義務を課しているのと、「講ずるよう努めるものとする」というふうに努力すればいいよと言うとる場合では、やはり若干の温度差があるのかなということで、その辺の使い分けについての御議論の話かなと思います。罰則がないのは委員のおっしゃるとおりだと思います。

○稲森委員 経済活動を過大に制限するおそれというのはあり得るんですか。

○水谷政策法務監 プロバイダ責任制限法の構造は、前にも委員会のほうで若干概要を御説明させていただいたんですけれども、例えば権利を侵害するような情報が書かれていたときに、削除しなさいということを義務づけているわけじゃないんです。ちょっと曖昧な言い方になってしまいますけれども、例えばそういう情報が掲示板に書かれていてそれを技術的に削除することは可能で、しかも他人の権利が侵害されていることを知っていたときには損害賠償責任が生じるよという、いわば民事上のルールとして決めておいて、それに従うように誘導していくというふうな形の法律かと存じます。そういったいわば民事上でのルールとしてやっていこうとする法律と同じようなスキームの中で、それを義務づけるということは、権利侵害行為を掲載しておくこと自体は決して好ましいことではないんですけれども、それを自主的に解決されるのか、あるいは条例として削除義務を課すのかというところの違いをもって経済活動の過大な制限というふうな御意見をいただいておるところかと思います。

○稲森委員 今の条文の中で、経済活動を過大に制限するおそれがあるとは言えないと思いますし、前文にもありましたけれども、地方自治体の条例が先駆的な条例をつくって国を引っ張ってきたという自負を位置づけてあることも含めて、やっぱり頑張れるところは頑張っていきたいなというふうには思うんですけれども。

○北川委員長 ほかの皆さんはいかがでしょうか。

○藤田委員 自由民主党のは、ぴんとこないんですが、例えば掲示板に明らかに差別に関わる表現があったと。それを、この条例によって消してくださいねということをやって、それを消したことによって利益を得るという経済活動に対してどんなふうな不利益が生じるのか、どういう意見でこの過大に制限することになるというのがぴんとこないんですが、どういうことを具体的におっしゃっているんですか。

○北川委員長 石垣委員、何か具体的なお話はございましたか。

○藤田委員 あればで結構ですが。

○石垣委員 具体的にこれという会派の中での議論はなかったんですけれども。

○北川委員長 私もなかなかぴんとこないところはあったんですけれども、例えば、これは議論も何もしていないので事務局で違うと言われるか分かりませんけれども、人権侵害行為なりのその文言があって、削除することも可能だし、明らかにそれが分かる状態にあって、当事者からも申入れがあって削除した、そんなプロバイダーは気に入らんでやめたれということはあるのかな。そういうことを常にやっているプロバイダーであればやめとこうというユーザー側の心理が働くのかな。あまりいい例じゃないな。今、お聞きすると、削除をする、しない、した、しないに関わっての様々な裁判への申込みといいますか、そういうことに関わっての経費が想定されたりということもあるということですけれども。

○小島委員 この第2項関係のところに、「特定電気通信役務提供者が、情報の流通に関する認識と当該情報が人権侵害行為に当たるという認識とをいずれも持っている場合であると解されます」というふうにあります。この情報を載せておくことが、これは人権侵害に当たるんだという認識を当該プロバイダーが持っている場合というふうに書いてあるので、例えば県民の責務の中にはそういう人権をきちんと尊重しましょうねということも書いていただいてあるわけで、そういうことを考えれば、罰則があるわけでもないし、こうは書いてあっても、する、せんの判断はきちんとプロバイダーのほうにあるわけですから、このままにしておいて、中間案として出す場合にはこういう考え方でということをきっとお伝えもいただくんだろうというふうに思いますから、そこでプロバイダー自身がどうやって捉えるかということも見ていただく分には可能なんじゃないかと思います。
でも、この特別委員会の意思としては、和歌山県の条例にもこういうふうに書かれていますから、これはきちんと「講ずるものとする」というふうに書き込むべきではないかというふうに思います。

○北川委員長 ほかに御意見はございますか。
正副委員長としても、小島委員のお話にもあったように、参考人招致をたくさん続けてきて、当初の新型コロナウイルス感染症に関わる部分からもそうですけれども、インターネット上の差別や人権侵害というのが大きな課題であるという認識でずっと来ました。とはいえ、有効な手だてを県として条例としてどこまでできるのかという部分は悩ましく考えてきたわけですけれども、和歌山県の事例を見ながらプロバイダーの対処について措置を講じていただくというふうに書かせていただいたというのは、やっぱり委員会としての思いがそこにあると、委員間討議でもそういう議論で決めていただいたことなので。おっしゃるように強制力とか罰則がない形になりますので、条例ですので、県内のプロバイダーに係ることなので、関係団体としてケーブルテレビが県内でプロバイダーをやっていますので、そこには文書照会もさせていただいていますが、特に問題提起をいただいている形ではありませんので、正副委員長としては、一旦案としてこの形で出させていただいて、場合によってはまたこの後パブリックコメントをやりますので、事業者から御意見をいただくこともあるかと思いますので、それを踏まえた形で再検討させていただくとして、現段階では原案どおりで進めていくということではいかがでしょうか。

○石垣委員 プロバイダー等の関係団体でケーブルテレビに御意見を頂戴する形で、主な御意見がなかったというところなんですけれども、三重県の中でのプロバイダー等の関係団体から御意見をいただくというところだと、どれくらいあるかというところは別にして、パブリックコメントでの意見聴取という形しか方法がないという感じなんでしょうか。

○北川委員長 事務局と詰めた中では、県内にある事業所に係る条例なので、県のいわゆる業界団体があれば文書で意見を求めたいということでいろいろ当たってはいただいたんですけれども、プロバイダーは世界的にあるわけですけれども、県内にそういうまとめて御意見をいただく団体はほかにはなかったという経緯がありまして、ケーブルテレビは、県内のケーブルテレビ協議会がありますので、そこに打診をさせていただいたというのが現状です。

○石垣委員 ここの「特定電気通信役務提供者の」というところの対象が、ケーブルテレビの御意見だけでいいのかなというところもちょっと疑問に思っているところもあるので。その方々のどういった影響が出てくるのかというところの御意見も聞かせていただきたいなというふうには思ったので。その意見を聞かせていただくのが果たしてパブリックコメントだけでいいのかなというところをちょっと思ったので、何かしら御意見をいただけるような形も検討いただけたらありがたいんじゃないかなというふうには思います。

○北川委員長 事務局、どうでしょうか。何かすべはありますか。

○水谷政策法務監 県内の事業者を幾つか調べてはみたんですけれども、結論から言うと、それに当たるような団体がほかに見当たらなかったというところでございます。

○北川委員長 おっしゃるとおり個別の事業者となりますと、これはもう膨大な数がありますので、どこに聞いて、どこということもなかなか難しい面があって、逆に申し上げると県内のケーブルテレビ協議会自体はしっかりした団体ですので、そこから御意見をいただいていないというのは、一つの懸念としてはそんなにないのかなという判断をさせていただいているんですけれども、パブリックコメントをする際には、もしそういう団体が窓口として考えられるようでしたら、お声がけをさせていただくことは決してやぶさかではないかなというふうには思います。以前のように文書で意見を求めるということはしないですけれども。それくらいかな、できるのは。政策法務監、どうでしょうか。

○水谷政策法務監 具体的に特定の団体というのが思い当たらないものですから。もしあれば委員長がおっしゃるようにお声がけをさせていただきたいとは思いますが、そうでなければ広くパブリックコメントの中で御意見を頂戴できればというふうに考えます。

○北川委員長 よろしいでしょうか。

○石垣委員 分かりました。

○北川委員長 1時間経過しましたので、換気休憩を取らせていただきます。再開は11時15分とさせていただきます。
(休 憩)

○北川委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
自由民主党の意見を引き続き議論させていただきます。
プロバイダーのところはよかったですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 では、いただいているペーパーの裏面に行きまして、第3章の不当な差別その他の人権問題を解消するための体制の整備並びに定義に関わってということで、不当な差別その他の人権問題を解消するための体制の部分ですが、どこまでできますか、国の制度や司法との整理は大丈夫ですか、先ほども議論になりましたけれども、金銭、騒音、日照などのトラブルを受けて大変なことにはなりませんかという御心配、それから、人権問題は広く国際的な問題を含むとありますから、主権国家が解決すべき事柄にまで介入するのはどうでしょうかということで御意見をいただいていますが、これも定義といいますか解釈の部分もありますので、政策法務監のほうから考え方を確認させていただこうと思います。

○水谷政策法務監 御意見の順に御説明させていただきたいと思いますが、まず全般的な話としまして、この条例の中の相談対応につきましては、たしかに人権問題全般を対象として、県としてどこまでできるのかという、県の仕事の範囲という意味の御意見もあろうかと思います。条文を見ていただきますと、あくまでもそれぞれ人権問題に応じた必要な対応を求めるというふうなつくりになっておりますので、必ずしも県側の相談機関に過大な対応を義務づける、課すものというわけではないのかなと思いますし、一方で個別の法律やほかの条例などで相談や救済措置などを決めているような、例えば虐待などですけれども、そういったものについては一般法と特別法の関係からそちらが優先される。当然、条例は法律の範囲内ですので、そういったことから必ずしも全てに対応が課せられるわけではないというふうに考えられるかと思います。
あと、不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制につきましても、条文でいうと第13条第4項で、何でも申立てができるわけじゃなくて、例えば裁判で確定したものとか裁判で係争中のもの、行政不服審査法の対象となっているものなどは紛争解決体制の対象から除外するというふうになっておりますので、そういったことから国の制度や司法との整理ができているのかということにつきましても、一定できているというふうに考えられます。
ただ、念のため申し上げますと、法務省の人権審判事件の調査処理手続につきましては、法務省の中で訓令で定めておる行政指導的なものですので、これについてはすみ分けというよりはむしろこの条例との重複があり得るというふうな話を以前の特別委員会のほうでも御議論いただいているところかと思います。
続いて、金銭トラブルに関しましてですが、既に何度も御議論いただいていますように、こういったものについては人権問題としての対応は想定されないということで共通認識をいただいているかと思いますが、今回、御指摘のありました騒音とか日照などにつきましても、相談対応の中で県がそういったものについて調査や関係者間の調整を行うことは想定しなくてよいということで、この場で委員方の認識の共有をいただけるのであれば、この逐条解説のほう、具体的には20ページの第12条、相談体制のところの4番目、第2項関係の4のところで金銭トラブルだけでなしに騒音、日照などに関するトラブルについても含まないということをこの4に記載するということも考えられますので、そういった対応ではいかがかと考えます。
なお、そういったトラブルについて具体的に相談があった場合には、従来から御議論のありますように傾聴していただくとか、あるいはしかるべき機関を紹介していただくといった対応が考えられます。
あと、もう1点の御指摘の国際的な問題、人権問題に関してですけれども、確かに広く人権問題といいますと国際的な人権に関する問題も入ってまいりますが、それは現在の県の人権施策でも同じようなことであって、県としては啓発などできる限りのものを行っていただいているところかと思いまして、今回、条例の全部改正を行った場合にも基本的には変わらないのかなと。
もし、国際的な人権問題について御相談があった場合には、県がその解決に向けての調査や関係者間の調整を行うということではなしに、国の取組の情報提供などを行うのかなというふうに考えられまして、この辺についても先ほどの相談があったときの対応の4番目のところに逐条解説のほうで書き加えるということが考えられるかと思います。
今回、御意見といいますか、仕事を増やし過ぎるのではないかという御指摘でございますが、広く人権問題に関する相談につきましては、現在でも三重県人権センター条例の中で人権センターの事業として人権問題に関する相談ということが掲げられておりますので、今までどおりといいますか、今回のこの条例の中間案でもって新たに相談業務が増えるわけではないというふうに考えておるところでございます。

○北川委員長 ありとうございます。
まとめて説明をいただいたので少し分かりにくいところもあったかも分かりませんが、県としてどこまでできるかというところで、できないことを義務づけるべきではないということで、このことについては条文にあるように、第12条第2項第1号ですけれども、「必要な対応を行う」というふうに書かせていただいて、当然「市町、関係機関等と必要に応じて連携して」となっていますので、関係のところにつないでいくことも可能ですし、何もかも県が請け負ってやっていくということではありませんので、過大な対応、義務を課すものではないのではないかという政策法務監の説明がありました。
国の制度や司法との整理はできているのかということなんですが、これについては、特に申立ての部分については対象から除外する規定を細かく設けておりますので、一定整理ができているという判断だという説明とお聞きしました。
それから、何度も話が出ている金銭、騒音、日照などのトラブル、これについては懸念があるのはあると思いますので、以前からあるようにそういうものまで県が調査して関係者間の調整を行うということではないですよということを逐条解説の中に入れていくということで考えてはどうかという御説明だったと思います。
それから、人権問題については、広く国際的な問題までも含むわけですけれども、このことについてももちろん今も全く受け付けないということではありませんので、県として必要な対応を行っていくということになろうかと思いますけれども、まさにそれこそ調査や関係者間の調整を行うというふうなことではなくて、必要な対応として国の取組等の情報提供を行うだとか、関係機関等につないでいくだとか、もちろん傾聴はするとしてもそういう対応をしていくんだということを丁寧に逐条解説に入れていってはどうかという政策法務監の説明だったと思いますが、委員の皆さん、どうでしょうか。

○小島委員 私も、そのように思います。
例えば第2条に定義を設けた理由は何かと考えたときに、既にいろんなことが行われているんだけれども、この条例ができた後、相談を受け相手方に調査をしたりとかということが必要なものは一体何かということの基準を明確にするためにこの定義を置いたんだと思うんです。ということは、別に今までやってきたことから広げたわけではなくて、逆に次のステージに行くのは何かということをきちっと絞り込んだというふうに考えられるのかなと思うので、おっしゃったように相談には来ていただいたけれども、これは県が受け取って調査云々するものではないという判断をしたら、そこから後は今までと同じなんじゃないでしょうか。いろんなところにつないでいただくということなんだろうと思います。

○北川委員長 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。

○石田委員 「人権問題の定義に国際的な問題を含むとあり」というのは、どこに書いてあるんでしょうか。「国際的な問題を含む」とどこかに書いてあるんでしたっけ。

○北川委員長 中間案、たたき台の8ページに、定義の第4号関係の「人権問題」の注釈を入れています。国際的な人権に関する問題などが含まれます、ということで、「飢餓、紛争、環境問題など」の部分を指してのお話だというふうに思います。
よろしいでしょうか。

○石田委員 ここの「国際的な」とは何ぞやという捉え方に疑問を言っているのかなという気がして、8ページの第4号関係、「人権問題」のところに「国際的な人権に関する問題」を「飢餓、紛争、環境問題など」と、括弧で書いてありますけれども、これを改めて見ると、国際的な問題ってどういうことなのかと。国家間の問題を含めたらあかんという意味なんでしょうね、この意見は。私たちは、「国際的な」というと、例えば三重県内で起こる外国人とのことも「国際的な」ということで捉えていた、私の認識として。それは国際的な、そうなんですけれども、今回、うちの会派からの意見は国家間の問題は含めたらあかんよねという意味なのかなと。すみません、うちの会派のやつを私がこんな言い方は変なんですけれども。

○北川委員長 8ページのところに、飢餓、紛争、環境問題とかありますので、これは現在の人権施策基本方針でも記載のある内容だということですし、国家間といっても、今も拉致問題とかいうのもある意味、国家間にはなるんですけれども、当然、啓発的なことのレベルではありますけれども、県でも取り組んでいる部分でもありますので、一定、こういう国家間の問題はオミットされて、こういうものは入りますよというふうなことはなかなか難しいのかな。どちらかというと相談対応の中で、これは申立て以降の解決体制には入らない話ですので、誤解のないようにですけれども、相談体制の中で県としてできる対応をしていくということにしかならないのかなというふうには考えますが。広く捉えていますので、線引きがなかなか難しいのではないのかなというふうには思いますが。
政策法務監のほうはどうでしょうか、その点については。

○水谷政策法務監 先ほど委員長がおっしゃったように、既に今でも人権問題という中に国際的な問題も含まれておって、ただその中で県としての関われる余地が確かに違うものですから、情報提供程度までしかできないことから、積極的に県として関わっていけるもの、啓発なども行って主体的に関われるもの、中身次第で温度差はあるかと思うんですが、定義から外すというよりは、それぞれの関わり方がおのずから変わってくるので、その辺で運用が変わるというようなことかなと。今もそうなので、そのようなことを想定したつくりになっております。

○石田委員 政策法務監の言われるとおりで、外すのではなくて、それも人権問題として捉えて、その関わり方とか対応の仕方のところで整理をしていただければいいのかなと思うんですけれども。

○北川委員長 先ほどの金銭、騒音、日照等のトラブルも含めてですけれども、そして今の国際的な人権問題も同じように逐条解説の中で、県として適切な対応をやっていくということで、そこに過度な対応を求めていく形のものではないという、その表現がいいかどうかはちょっと別ですけれども、何かしら逐条解説の中に少し丁寧に書き込みをさせていただこうと思いますが、どうでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、この項はいいですか、大丈夫。
先を急ぎます。その次が第18条の三重県差別解消調整委員会の関係で、以前にも議論のありました日本国憲法の保障する基本的人権を不当に侵害しないように留意する、これは以前、表現の自由の文言を入れるか入れないかのところで議論になった観点と同じかなというふうに思うんですが、表現の自由については何度も議論をしてきて、入れないという結論を出したというふうに考えています。改めて、同様の観点からの御指摘をいただいているわけですが、委員の皆さんの御意見はいかがでしょうか。

○藤田委員 前にも申し上げたんですけれども、条例の中に憲法の条文の文言を入れるというのは、例えば前文にそういう話があるというのは分かりますけれども、条文の中にそういうものを入れるということについては、何か物すごく違和感があります。皆さん方はどのように思われるか知りませんが、憲法というのは、もう基本中の基本の法律であるわけですから、それをこの基本的人権を守るためのこの条例案の中で、あえて条項の中に書き込むというのに、私個人としては違和感があります。

○北川委員長 ほかの皆さんはどうでしょうか。
たしか、この議論は環境生活部の意見の中でも改めて議論をさせていただいたとして、差別側のある種の正当性の根拠に使われやしないかという懸念もあって、委員会としては入れないという結論にしたと記憶していますが、委員の皆さんとしてはそれを引き続き踏襲するということでよろしいですか。逆の御意見はございませんか、改めて。

○山本委員 逆ではないですけれども、そこへ持っていくまでの傾聴であったり、さっきの振り分けとか、そこで扱わないまでも、その相談者の方がどこへ行ったらという道筋を紹介したりすることとともに、そういった相談者の方は本当に困っているからみえるんだけれども、その困り方というのは差別のこともあるし人権侵害のこともあるけれども、感情的にもなってみえるだろうし、そこを冷静にきちんと見極めて対象者の相手方も含めて対応してという、その力量がそこですごく大切になるので、わざわざ書くということではないにしても、そういうことを肝に銘じるということは当たり前のことなんですけれども、そこのことが大事なんやと思うんです。
条文に書くと言うと、今までの論議が出てくると思うんです。だけど、そのことは十分分かった上で皆さん、進めていると思うので、相談体制のところで、相談から次へ行くところでの力量を高めていただくしかないんかなというふうに思います。

○北川委員長 その意味でも、一つの判断の道しるべとして三重県差別解消調整委員会の意見を求めることはできますので。あとは調整委員会の委員の選定についても公正さを求めていくように記しておりますので、一定担保されている話ではないかなというふうに正副委員長としては判断をしておるわけですけれども、どうでしょうか、あえて入れたいという方はいらっしゃいますか。

○石垣委員 ここの一番大きな意見として、三重県差別解消調整委員会が大きく走り過ぎてしまったときとかというところの万が一の部分を想定してという考えなのかなというふうにも思っていまして、あくまでも「日本国憲法の保障する基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない」という内容を確認的に条例に盛り込むべきではというところなので、今後、差別解消調整委員会のほうの規則であったりだとか、運営に関してというところを事細かに定めていく中に、改めてここの認識の一致というか認識の共有をしていただくような形で進めていってはどうかというところを、我々委員会の中でも認識を共有しながら進めていくという形で対応させてもらったらどうかなというふうに思うんですけれども。

○北川委員長 中間案、たたき台の33ページに三重県差別解消調整委員会の委員の任命要件についての注釈を書かせていただいていて、ここに「委員は、調整委員会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、人権に関して高い識見及び豊かな経験を有する者のうちから知事が任命することとしています」、さらに、「不当な差別に該当するかどうかの判断等にはより一層の公正性や専門性が求められることを踏まえた表現としている」ということで注釈をきちっと書かせていただいています。選定するのは当然執行部の作業になりますので、我々が選ぶわけではありませんけれども、これで御懸念の部分については知事、執行部でしっかりとした方を選んでいただけるというふうに正副委員長としては考えておるんですが、いかがでしょうか。よろしければ、原案で進めていくということで御理解いただけますか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいですか。
次に参ります。人権教育及び人権啓発のところで、「より良いものにするために、もう少し具体化してはどうか。たとえば、なぜ差別が発生するのかにまで踏み込んで啓発するかとか前文にある世界人権宣言が県民の間できちんと共有できるようにする、など」というふうなことを御意見としていただいております。このことについては、何か御意見がございますか。

○小島委員 なかなか条文に書き込むって難しいかもしれませんけれども、とても大事なことだというふうに思うんです。どうして差別が起きるかということとか、そういうメカニズムのようなものとかを知るというのは大事だと思いますので、例えば具体的にこういう内容などということで、それこそ逐条解説に書き加えるとか、そういうことはあってもいいのではないかと思います。

○北川委員長 ほかに御意見はございますか。
ここは、正副委員長としてはあまり細々と幾つも具体的に書くということではないですけれども、一定ここに挙げていただいたようなニュアンスを逐条解説に少し丁寧に書き込みをさせていただくということで対応したいと思うんですが、いかがでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。
それから、自由民主党の最後の意見のところが、災害その他緊急事態の発生時における人権侵害行為の防止等についてで、行方不明者の氏名公表が過度に制限されるおそれはないですか、そういうのは除きますよという規定を盛り込んだらどうですかという御意見をいただいていますが、これは少し解釈的な部分がありますので、政策法務監の見解を確認したいと思います。

○水谷政策法務監 中間案の第24条関係での御指摘でございますが、こちらの条文を御覧いただきますと、緊急事態の発生時においては風説の流布の防止のための対策その他の必要な措置ということで、風説の流布の防止、デマ防止、その他の必要な措置ということで、デマ防止も一つの例示であって、必要な措置を講ずるという一般的な広い包括的な規定を置いておるものでございまして、御意見のような行方不明者の氏名公表の制限といったものが直接的にそういったものに結びつくということはちょっと考えにくいのかなと。
ですので、逆にそれを条文の中で書くというのも、このすごく包括的な条文の中に一つ具体的な行方不明者の氏名公表のことだけ除くといったことはなかなか書きにくいのかなと思うんですが、ただそういったことについての考え方を、これも例えば逐条解説の中で、この条文に基づいて氏名公表が行われることを妨げるものではないというような解釈的なものを置くということではどうかなと。先ほどから逐条解説がたくさんあって申し訳ございませんが、例えばそういった条文で書くというよりは解釈として書くのではどうかなというふうに、そんなことが考えられるのかなと存じます。

○北川委員長 ありがとうございます。
想定していたことではないんですけれども、逆に条文の中に書き込みをするというよりは、行方不明者の氏名公表について妨げていくようなことではないですよということを逐条解説等に示していくということでどうですかという政策法務監の説明ですが、そのような対応にさせていただいてもよろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、そのように書き込みをさせていただくことで対応したいと思います。
これで自由民主党の分を終えさせていただいて、次が順番からいくと日本共産党の御意見になります。
4点ほどおっしゃったんですけれども、冒頭の「不当な差別」云々の文言の部分については、自由民主党の意見の中で一定議論をさせていただいたというふうに思いますので、その点はよろしいですか、山本委員。
二つ目が、第2条の「不当な差別」の定義のところの「被差別部落の出身であること」の文言について、これは以前から何度もおっしゃっている御意見ですけれども、「社会的身分」に含める形で対応するべきではないかという御意見ですけれども、これも何度か議論して委員間討議をしてきた結果、今こういう形にしておりますが、改めて委員の皆さん、御意見はございますか。いかがでしょうか。

○小島委員 「社会的身分」云々と書いていただいてありますけれども、そこにあるように、社会的身分というと家系だとか血統だとか、そういう感じだと思うんですが、部落差別に関しては、長い間、地域社会がその歴史でつくり出してきて今も残っている問題であって、ここに来ていただいてお話しもいただいたと思いますし、これは本当に解決すべき問題であるということで、包括的には入っているのかもしれませんが、人権三法の中でも社会的身分の中からそれを特出しして法律をつくられたという経緯もあるというふうに思っていますので、このこと自体は外すべきではないというふうに思います。

○北川委員長 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。
委員会としては、一定の議論の中で参考人招致も含めて、やはり部落差別の解消というのは大きな課題であって、そこの部分はきちんと明示して解決を図っていくべきだという一旦結論を出していたわけですので、引き続いて同じ考え方を踏襲するということでよろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
三つ目は、第13条以降の不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制について、きちんと運営というか反映というか、実効性について本当に大丈夫になるのかなという御懸念のお話だったかなと思っています。予算もしかり、人員もしかり、欠かせない内容でもありますので、具体的にどうというよりは、そういう懸念がありますよねという御意見だったように思うんですけれども、改めてお聞きしますけれども、山本委員。

○山本委員 自由民主党のところで、最初のところで少し話も出ていたと思うんですけれども、今、皆さんがいろいろ人権的なことだとか差別のことで聞いておられる問題についても多分様々なものがあって、そして悩まれていると思うし、そして、そうしたらここへというときに、現実的には大変難しいだろう、だから、相談員の方とかの力量と先ほどから申し上げていますけれども、そこのところが大事だなと思っています。
またケーススタディーもされるということなので、そういうことも含めて運用をしていただくときに、本当にしていただきやすいと言うたらあかんのですけれども、その趣旨を全うできるようなことをここでもう少し、条文とは限らず、もんでおくとかいうことが必要かなと思っています。ですから、具体的にこの文言の中でということではありません。

○北川委員長 立場は違いますけれども、環境生活部からもやはり同じようなニュアンスの御意見をいただいていたかと思うんですよね。我々としては、単に環境生活部なり人権センターだけに求めるにとどまらず、条例が出来上がった段階では、知事はもちろんのこと、総務部等も含めて、総務部にも限りませんけれども、県部局全体で予算も、それから人員もきちんと確保していっていただくことが重要だし、何よりもその質というか研修も含めて、おっしゃったようにその力量をきちんと持っていただくための仕組みといいますか、研修等も含めて人材をつくっていくということも非常に重要なことになりますので、それは条例が出来上がって終わりということではなくて、議員提出条例でつくる条例ですので、引き続いて議会がその行く先も責任を持って見ていかなきゃならないことだろうと思いますので、様々な機会を通じて知事、執行部にも注文はさせていただきますし、また我々委員も、条例が仮に完成したとしても、しっかり見守ることが重要だなというふうに思っていますので、これは山本委員がおっしゃったように、ここの委員でそういう意識、考え方をこれからもしっかり共有していくという確認ということでよろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、そのように確認させていただきました。
それから、四つ目がいじめを例に挙げていただいて、差別をしている側の問題というか、心の闇というか、そういうところにも手を入れていくって、必要ですよねということをおっしゃったと思います。
確かに、基本理念の中でも、あるいは人権教育及び人権啓発のところでもいろんな意見を出してきたんですけれども、差別される側の中身の問題、例えばいじめでも、いじめられた側の子どもをケアしていくのも重要であれば、一方でいじめに至った子どもの持っている社会的な背景だとか経済的な背景だとか、いろんな課題が多分あるんだろうということを考えると、そういうところにも目線がないといけませんよねという御意見かなというふうに聞かせていただいたんですけれども、そういう趣旨でしょうか。

○山本委員 前文にも、「社会構造の中で」というのを組み込んだと思うんです。もちろん、困っている方の闇を何とか解消するためにということですけれども、視点として、相談からずっと入っていくときに、それが最後のところまで審査して知事のというところまで引き継ぐかどうかは別として、そういうところにも手を差し伸べられるような。差別は悪いです。人権侵害は悪いです。けれども、そういう背景もきっちりと見ながら。それだから擁護するというわけではないんですが、そういうことをしていかないと社会全体としてのこういう人権問題はなくならないと思いますので、そういう視点ということを申し上げさせていただきました。

○北川委員長 なかなか、どこにどう書き込むのかというのは難しい課題だなというふうに今は感じていまして、うまくどこかの条文に沿ってそういう表現がはまるところがあれば入れるのも一つの案かなと思うんですが、ちょっとどこにというのがまだ浮かばなくて。もちろん対話を重視するという基本理念があります。対話を重視するということは決して片方だけを見ているわけではなくて、両者を見て話を進めていくということにはそういうことも含まれるのかなというふうには思いますが、ちょっとこの点だけは正副委員長に預けていただいてよろしいですか。

○山本委員 前文に、「社会構造の中で」ということが書き込んでもありますので、それは運用の中での、先ほどの研修であるとか意識の問題、それは担当者だけの問題ではないですけれども、そういう視点がこれからやっぱり大事かなというふうに思っています。進めていくに当たってということです。

○北川委員長 分かりました。
おっしゃったような視点が必要ですということを委員会の中で確認させていただいたということでよろしいでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 ありがとうございます。12時を過ぎましたので、ここで一旦休憩をさせていただいて、最後の草の根運動いがの意見は午後に議論ということにさせていただきますので。再開は午後1時とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(休 憩)

○北川委員長 休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
各会派の意見についての議論を進めてまいりましたけれども、最後、草の根運動いがの御意見が一つ残っている形になります。
特に、不特定多数の人を対象に公共の場で行われるようなヘイトスピーチ、あるいはまたそのヘイトスピーチを第三者が見聞きしたようなケースについて、第13条以降の不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制に乗っていくのかどうか疑問がありますという御意見だったと思うんですが、稲森委員、そういうことでよろしいですか。

○稲森委員 まず、県民の責務の中には、傍観者であってはならないということが位置づけられているわけなんですけれども、今、おっしゃったようなヘイト街宣とかそういうことが繰り返し行われた場合だとか、具体的に差別や人権侵害を見聞きした場合に、相談体制や助言、あっせんの仕組みの中でどういうふうに乗っかってくるのかというところと、あとは不特定多数へのそういう差別や人権侵害をどういうふうに抑止していったらいいかというところをこの条例の中ではどういうふうに考えているのかというところが気になっています。

○北川委員長 今、お話しいただいたような点については、ヘイトスピーチということでよろしいんですか。内容的には。

○稲森委員 はい。

○北川委員長 この不当な差別に係る紛争の解決を図るための体制、例えば相談であったり、それから後の申立てであったりとかいう部分にどのような対応があり得るのかというところについては、条例の解釈に関わる部分でもあるので政策法務監のほうから意見をもらえたらと思いますけれども、よろしいですか。

○水谷政策法務監 それでは、まず不特定多数の者に対するヘイトスピーチみたいなものがあったときに関する対応ということで、先ほどおっしゃった後者の第三者のほうが比較的単純かなと思いますので、そちらから申し上げますと、中間案の第12条で相談体制のことを規定してございますけれども、ここでは誰が相談できるかということに関しては、「人権侵害行為を受けた者、その家族その他の者」ということで広く、ここを限定していないので、委員がおっしゃった第三者が見かけた場合というのもこちらの相談体制というところで相談いただいたら、その後の必要な対応などにつながっていくかと思いますが、さらにその後の第13条以降になりますと紛争解決体制ということでございまして、こちらの申立てができる者も不当な差別を受けた者などということで限定されておりますので、第三者は相談のところまでと、あっせんなどには行けないというふうにまず考えられると思います。
さらに、ヘイトスピーチなどがあった場合にどのように適用されるかというところなんですけれども、まず人権侵害行為を考えたときに、一般的には人権侵害行為というのは、被害者が特定されないので不特定多数に対する行為というのは人権侵害行為には該当しないというふうに考えられまして、またそのような趣旨の国会答弁もあるところでございますが、一方で法務省の通知の中で、インターネット上の不当な差別的言動に係る事案の立件及び処理についてという通知がございまして、そこではちょっと要件が限定されるんですけれども、何でもかんでもではないんですけれども、一定の要件、具体的には二つありまして、一つがその集団等を構成する自然人の存在が認められること、ぼやっとした団体ではなしに、あくまでも具体的な個人がその背景にいる、自然人がいるということ、二つ目の要件として、その集団等に属する者が精神的苦痛等を受けるなど具体的被害が生じている、またはそのおそれがあると認められるような場合には、不当な差別あるいは人権侵害行為に該当すると解されるというふうなことを通知の中で書かれております。
どのような場合が、精神的苦痛を受けるなどに該当するかということにつきましては、当該集団に属する者であれば精神的苦痛を受けるような性質のものであったかどうかということを社会通念に照らして客観的に判断するというふうになろうかと思います。
今申し上げたのはインターネット上の不当な差別的言動についての解釈を読ませてもらいましたけれども、この考え方というのは街宣活動における差別的言動にも適用できる考え方というふうに考えられまして、この考え方に立つと、例えばなんですけれども、在日外国人の方が多数いらっしゃるような地域において、それらの方の地域からの排除をあおるようないわゆるヘイトスピーチのデモ行進などが行われたような場合には、不当な差別に該当するというふうに考えて、その後の条文の適用ということになろうかと思われます。
取りあえず以上のように考えまして、またこの後の議論次第ですけれども、そのようなことを逐条解説などに書くということも考えられるかなというふうに考えるところでございます。

○稲森委員 何か、その辺がこの条例の全体像の中から抜け落ちているところなのかなというふうに思いまして、傍観していたら駄目よということなんですが、これだったら相談しかできないということなんですか。

○水谷政策法務監 先ほど申し上げましたように、紛争解決体制という第13条以降ですと、文字どおり紛争解決ということで紛争の当事者があって解決になっていくと。第三者が勝手に解決しちゃうというか、勝手に納得して勝手に終わらせちゃったんではやはりこの条例の趣旨に合わないかと思うもので、その辺は相談して行政のほうで何らかの対応が必要であればやっていくという対応までなのかなと。それ以上の紛争解決というのは、その当事者同士で進めていくものということになろうかと思います。

○稲森委員 だから、助言、あっせんとかとは少し違うのかなというふうに思ったりするので。今おっしゃったような相談を受けて、行政として措置と言いますけれども、何かそういう裏づけとか、何ができるかとかというのは担保されているんですか。
例えば、駅前とかでそういうことをやられたら、どこの誰に向けられているか分からない非常に怖いことだと思うので、そういうことを県として駄目だよという意思表示もできないということは、この条例の欠陥かなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○水谷政策法務監 中間案の第12条第2項の各号でございますけれども、相談があったときには次のようなものを行うとあって、第1号では「市町、関係機関等と必要に応じて連携して、助言、調査、関係者間の調整その他の必要な対応」と、あくまでも必要な対応の例示として助言、調査を挙げておるところでございますし、あと第2号では、これはまた必要に応じてですが、「関係機関への通告、通報その他の通知」ということで、具体的には委員がおっしゃるようなことは挙げられてはいないんですが、広くこの「必要な対応」という中で読めるようにはなっておるかと考えます。

○北川委員長 ごめんなさい、今の説明がよく分からなかったんですけれども、どう読めるというんですか。

○水谷政策法務監 すみません、言葉が不十分でございます。
条例に何も規定していないんじゃなくて、例えばこの第12条第2項第1号で、「市町、関係機関等と必要に応じて連携して、助言、調査、関係者間の調整その他の必要な対応を行う」というふうに、この「必要な対応」の中で読めるというふうに考えるんですけれども。書いていないわけじゃないということでございます。

○北川委員長 稲森委員の言われている部分で、いわゆる相談者は広く取っていますから、当事者、属性がなかったって「その他の者」という範疇の中で相談はかけられますよと。その後の対応は、今おっしゃったような形で必要な対応が行政としても考えられますよということですけれども、申立てのほうはあくまでも紛争解決で、当事者が属性をもって相対している形でないと申立てをする者に当たらない。したがって、属性を持った当事者でなければ、第三者が申立てをするという形にはなりませんよと、こういう話で間違いないですか。

○水谷政策法務監 そのようなことと考えます。

○北川委員長 後段の話としては、不特定多数の者に対する行為であっても、一定客観的に社会通念に照らしてその属性を持った者が精神的苦痛を受けるようなものであれば、属性を持った者、あるいはその当事者であれば相談の後に申立てもできるという説明なんですか。

○水谷政策法務監 おっしゃるとおりでございまして、外形上、不特定多数の者に対する行為というふうに見える行為であっても、先ほど委員長がおっしゃったような要件を満たせば、この第13条の「不当な差別を受けた者、その家族その他の関係者」というところの要件に入ってきて、第13条以降の紛争解決体制のルールに従った紛争解決が図られるというふうに考えます。

○北川委員長 そうすると、ウイークポイントとして、ウイークポイントという表現がいいかどうか分かりませんが、対応がかなわないと想定されるのは、何度も申し上げますけれども、申立て以降で属性を持った当事者自身でない者が申立てをしてその行為を止めさせるという作業はできないところが課題としてあるという認識でいいですか。

○水谷政策法務監 そうでございます。この第13条以降の手続にのっとって止めることはできないんですが、これは申し立てた県民の方が望むものになるかどうか分かりませんが、第12条のほうで必要な措置がなされるので、それでもって望ましくない行為が止められることはあるかもしれませんけれども。申立制度の、第13条以降にのっとった形での適用はないということでございます。

○北川委員長 ということですが、そのことについて委員の皆さんから御意見はございますか。

○稲森委員 もうちょっと確認させてほしいんですが、例えば差別的な書き込みを県民が見つけて、こんなことを書いてあるけれども、県でどうにかしてくださいと相談しますよね。そうしたら、この第12条第2項第1号の範疇で削除依頼なりそういうことをしてくれるということなんですか。

○水谷政策法務監 そうですね。今も多分既にされているとは思うんですけれども、この中間案の条文上の位置づけというと、第12条第2項第1号になろうかと思います。

○稲森委員 少なくとも、どういう対応をするかということももう少し例示的に位置づける必要があるのかなと思います。

○北川委員長 ほかの皆さんはいかがですか。

○小島委員 相談というと、どうしても個人的な、困り事ではないですけれども、こんなことがあってこんなふうにということっていうニュアンスがあるんですけれども、例えばヘイトスピーチのようなこととかを見聞きして、こんなことがあったんですけれども、これは放っておいていいでしょうかと言ってきたときどうするかということやと思うんです。
そのとき、ここに書いてあるようにそのことを受けてどう判断するかというのは、多分その相談体制のところに関係する件に関わる人たちの判断やと思うんですが、個人的な申出とか関わる、関わらないとかよりもっと幅広の訴えに対してどうするかということがこれでは分からないということかなというふうに、稲森委員の意見を聞いていて思ったんですけれども。
なので、それができるということであれば、例えばきちっと、こういう場合は、その起こった事象とか内容に照らし合わせて、この第2条にあるような、例えば不当な差別や人権侵害行為に当たると判断されたときは、ちゃんと第12条に書いてあるので、連携して必要な対応をするということがはっきり分かればいいのかなと思います。そういうことをきっと求めている。抜けているなと私もそこは思います。

○北川委員長 いわゆる相談体制の中で、ヘイトスピーチ、不特定多数の者に対するものであっても、ここの解釈としては、第三者的なものであっても、「その他の者」ということですから相談が持ち込めて、県も必要な対応を行うと。それは、場合によっては調査もあるでしょうし、場合によっては条例で、相談体制を定めていますから、相手方に行ってお話を聞くだとか、この行為は差別行為に値するのでやめてくださいとお話をさせていただくだとか、そういう対応が必要な対応に入るということでいいのかな。
であれば、その旨を少し説明書きとして逐条解説に入れていくということにしたいと思いますが、委員の皆さんはそういう形でいいですか。
ただし、その対応は第12条までですよね、という理解になりますけれども、よろしいですか。

○山本委員 ちょっと不確かなんですけれども、例えば子どもの虐待の防止のときに、通報義務とかいう言葉があります。虐待を感知したときに市民の通報義務とかいうのがありますよね。例えば、県民の責務、義務と言ったらあれですから、責務のところにそういった人権侵害行為、差別行為に遭遇したときには通報という言葉がインターネットのところには出てきているんですけれども、その資料のところに、通報することとともに意識を高めること、意識を高めるが書いてあるんですよね、県民の責務のところには。
その趣旨のところに、意識を高めることとともに通報することとか、それをみんな「こと」にしてしまうことがいいことかどうか分からないんだけれども、子どもの虐待のところには通報するというのが何かあったようなイメージがあるんだけれども、そういうことも含めてなんですが、その書きようというのは。

○北川委員長 県民の責務で、受け取り方かも分かりませんけれども、「不当な差別その他の人権問題に対して傍観することなく」と、これは課題に対して傍観することだけじゃなくて、現場も含めて傍観しない、主体的に自ら率先して解消、解決のために取り組むという姿勢をここでうたわせていただいているので、おっしゃっている意味はここに含んでいるのかなというふうに委員長としては思いますが。

○山本委員 私も、そのような形でこれを読み取って、ただ、そこのところに通報という言葉が何か微妙で、難しいと思うんですけれども、もしそういうふうな県民から知らせてもらうということも大事だよとするなら、ここの書き方を少し深めるかなとかいうふうには思いました。今、言われているような第13条までのところでというような中で。

○北川委員長 先に申し上げた第12条の相談体制の中で、ヘイトスピーチへの具体的な対応の形というか、そういうものは少し説明を加えるということについてはいかがですか。よろしいですか。

○石田委員 第13条のところに。

○北川委員長 第12条。

○石田委員 第12条のところですね。

○北川委員長 第12条です。相談体制のところです。

○石田委員 第12条のところの解説に加えると。どのような感じで加えるんでしたっけ。

○北川委員長 そこは、法務的に考えていただかないといけませんけれども、先ほど何度も出ているように、まず相談ができる人は「不当な差別その他の人権侵害行為を受けた者、その家族その他の者」となっていますので、ヘイトスピーチで差別的な言動を見聞きした者が相談窓口に相談するということも想定されるということが一つだと思いますので。以降は、必要な対応としてここにあるような調査や関係者間の調整も状況に応じてあり得ると、ちょっと今思った形での表現ですけれども、そういう趣旨のことを書かせていただくかなというふうに思いますけれども。よろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 通報を義務的なものにするというのは、ちょっとそこまでここでというのは。

○水谷政策法務監 確かに、「傍観することなく」の中に通報とかも広い意味では入ってこようかとは思うんですが、午前中の御説明の中でも申し上げたみたいに一般法、特別法の関係というのがございまして、この中間案のほうは広くいろんな事象に関するものについて一般的なことを書いておって、虐待に関しては、私も具体の条文を存じませんけれども、通報とかが特別法として書かれておれば、当然それはその特別法が適用になるので、ここの中で通報まで書くと、今度は逆に強くなり過ぎるので、一般的には傍観しない、特別な法律がある場合にはそれにのっとって通報するというような形で一応整理ができるのではないかなというふうに考えますが。

○山本委員 私も、義務という言葉がすごく引っかかりながら先ほどは発言したんですけれども、そういう意味合いでいくと、今言われた第12条のところに、ヘイトスピーチに限ってその記述を入れるみたいなことだったけれども、それは、この条例は全てのことになってくるので、書きぶりとして差別行為、あるいは人権侵害行為ということについての記述になるんじゃないかなと思います。ただ、意味合いとしてはそういうことだということですけれども、そのことによってすごくたくさん相談が寄せられるということになったらとは思いますが、今、そこまでにはなるかなというふうに思います。
先ほどの義務づけということについては、ちょっと引っかかりながら言ったことなので。でもそれは県民の意識としては大切なことだなということで発言しました。

○北川委員長 いずれの議論もそうですけれども、後ほどこんな形で書き加えたらどうかとかいう案を示させていただきますので、それでまた確認いただければと思いますし、また修正もあれば修正をしていただいたらというふうに思いますが、この点についてはよろしいでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、以上で各会派から出していただいた意見に対する委員間討議をさせていただいて、一つ一つ確認させていただきましたから、よろしいですか、作業できますか。
〔「はい」の声あり〕

○北川委員長 それでは、各会派からの意見への対応についての検討はここで終了させていただいて、次に執行部の全部局に対して書面にて実施した意見照会の結果とそれへの対応案について、資料3に基づいて事務局から説明願います。

○水谷政策法務監 それでは、お手元の資料3、A4横型の資料を御覧ください。
順番に参ります。
まず、ナンバー1、条例の題名に関する子ども・福祉部からの意見でございまして、内容としては「差別を許さない」というよりも「差別を解消し」などがいいということでございますが、題名については後でということでございますので、ちょっと飛ばさせていただきます。
続いて、ナンバー2、雇用経済部からの意見でございまして、人権が尊重される三重をつくる条例では「県民等」ということの中に含まれていた「事業者」で、意見の内容としましては、そういった事業者が「県民」とは別建ての条文になっているので、「事業者」の定義を置く必要があるのではないかという御意見でございます。
これの対応案としましては、確かに第3条とか第7条でこの「事業者」について記述がございますけれども、これについては基本理念や訓示的な責務や役割等でございまして、そういったものについて既存の県のほかの条例では特にその定義を設けていない場合がほとんどでございますので、この中間案におきましても「事業者」の定義は設けておらないところでございます。
ただ、この条例で、実際何を指すのかというところにつきましては、一般的な意味として「国、地方公共団体等を除く、商業、工業等の事業を行う団体や個人」ということが想定されるものですから、その旨を逐条解説のほうで補足的に書いてはどうかというふうに考えておるところでございます。
続きまして、ナンバー3、第12条関係でございます。
御意見の内容としましては、相談対象事案について、誹謗中傷などの人権侵害行為はどのような内容であるのか具体的に示す必要があるということでございます。
まず、相談の対象としましては、人権侵害行為を含む人権問題ということで、それぞれ定義を定めている第2条第3号や第4号で記載しておるところでございまして、想定される具体例というのは逐条解説のほうで示すこととしておるところでございます。
具体的にどのようなものが当たるかということについては、一律の基準を示すということは困難でございますけれども、恐らく人権に関する法令の規定や裁判例、法務省の人権侵犯事件調査手続での対応例や学説等を踏まえることになるという旨も逐条解説に記載してはどうかと考えます。
続いて、ナンバー4です。第12条の相談対応関係で、「それぞれの事案に応じた県の機関」が適切に対応できるよう、一元的に対応を支援する仕組みが必要という意見でございます。
対応案としましては、県の各相談機関での対応を支援する仕組みの構築を含めた相談体制の具体的な運用の在り方については、条例施行後に執行部内で調整いただくべきだというふうに考えますが、これは取りあえず正副委員長で考えていただいた案ですので、皆さんがよろしければ、特別委員会としては環境生活部において、相談対応者への研修など県の各相談機関への一定の支援が行われるものと期待しているというふうな回答でどうかなということで、対応案のほうをつくらせていただいております。
続いて、ナンバー5でございます。これもまた相談体制のところでございますけれども、「調査」とか、あるいは「関係者間の調整」という中で、相手方の氏名や連絡先など個人情報の収集や取扱いということが出てくるので、それについての整理が必要だという意見でございます。
対応案につきましては、まず相談対応における「調査」や「関係者間の調整」というのは、相手方等の協力を得て行うことが前提ですので、その方々の意に反して個人情報を収集するということは想定しておりません。
ただ、相談者からの情報提供の中には、自分の情報だけじゃなくて相手方の情報、第三者の情報を先方が言ってくるということも考えられますが、第三者の個人情報の取得ということにつきましては、ちょっと個人情報保護条例の話になってしまうんですけれども、三重県情報公開・個人情報保護審査会の答申を得てそのような本人収集じゃない個人情報の取得ということも認められておりますので、相談対応に必要な範囲内で個人情報を利用して、例えば教えてもらった連絡先に連絡を取るといったことも可能、許されるものではないかと考えます。
以上、個人情報の収集のことで申し上げましたけれども、収集した後の個人情報の取扱いにつきましては、ほかの業務での個人情報と同じように個人情報保護条例等に基づいて適切に取り扱われることが必要であるというふうに考えます。
続きまして、4ページ目のナンバー6です。雇用経済部からの、これも相談体制に関する御意見でございます。雇用経済部が所管する労働相談室という業務の中では、労働問題に関する相談を受け付けているけれども、労働問題に関する差別事案が発生した場合には、職業安定法などの規定に基づいて三重労働局が調査、指導等を行っていることになりまして、次のような追記を行ってほしいという意見でございました。ちょっと補足いたしますと、労働相談室というのが相談者に対する助言を行って、助言に当たって必要な情報収集、事実の調査など可能な範囲での聞き取りを行っているという実態がどうもあるようですので、その旨をこの「次のとおり」ということで追記してほしいという御趣旨の意見です。
この対応案としましては、既に現在の第12条第2項関係の解説でも書いておりますように、「調査」云々というのは「必要な対応」の例示であって、調査を実施するかどうかとか、具体的にどのような取組を行うかというのは各相談機関において判断されるということで、あくまでも書いておるのは例示であるので、具体的に何をどのように行うのかというのは相談機関での御判断なので、今回、御意見をいただいたような「可能な範囲において」という意味も既にその中に含まれておるということが考えられますので、特に御意見のような追記を行う必要はないのではないかというふうに考えます。
続きまして、ナンバー7でございます。先ほどと同じような理由でもって、「助言、説示又はあっせんを行うことが適当でないと認められるとき」というのが、既に中間案の解説のところに書いてあるんですけれども、そこに「関係法令等で、関係する調査やあっせん等を行う機関が知事以外とされている場合」というものも付け加えてほしい。あっせん、助言等を行わない場合の例示を増やしてほしいという御意見でございます。
これを検討しまして、法令に基づいてあっせん等を行うような事案というのは、この中間案に基づく紛争解決体制と類似した仕組みでもって、より専門性のある対応が期待できるので、そういった場合には条例の申立ての対象から除外して、個別の法令等に基づくあっせんや調定などのほうで専門的な手続として処理されるほうが望ましい、適当であるというふうに考えられますので、申立てができない場合が、資料1の22ページ、第13条第4項に第1号から第7号まで列記されておるところでございますが、そこにもう1号、この中ほどにありますような第3号というものも追加して、この場合には助言、あっせん等の申立てはできないというふうにしてはどうかと考えます。
その内容としましては、三とあるところですけれども、括弧書きを飛ばして「法令に基づくあっせん、調定又は和解の仲介の申請等をすることができる紛争に関するものであること」という場合には、このあっせん等の申立てができないというふうにしてはどうかというものでございます。
なお、ここで言う申請等によらずに、いわば職権で指導や勧告をする場合というのも法令のほうでありますので、そういったものはこの中間案と類似した仕組みとは言えないので除こうということで考えておりまして、そこが申請等をすることができる紛争ということで、申請に基づいて解決がなされるようなものは除くということが一つと、あと民事調停法を除いておりますのは、民事調停法というのが非常に幅広いものを対象としておりますので、これを除いてしまうとこの第13条に入ってくるようなあっせん等の申立てがかなり外されてしまうおそれがありますので、民事調停法については適用除外としないというふうに考えて、この中ほどにありますような第3号の条文というのをつくっておるところでございます。
その解説につきましても、次のページで追加する案を考えておりまして、6ページの4行目ぐらいからでございます。この中間案の第13条の解説に9番目ということで記述を増やそうと考えておるんですけれども、そこでは個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づくあっせんとか、あと雇用機会均等法に基づく調定、国民生活センター法に基づく和解の仲介などといった法律に基づくあっせんなどは、条例に基づく紛争解決体制と類似する仕組みなのであって、より専門的な対応が期待できるので、これらの申立てなどができる紛争については条例に基づく申立てからは除くという、先ほど申し上げたような内容を記述しておるところでございます。
なお書きとしまして、先ほど申し上げたことと重複しますが、民事調停法については広範に過ぎること等から除外せず、また法令に基づく仲裁についても、あっせんなどより裁判に類似したような厳格な仕組みになるため、除外しないというふうな記述を対応案のほうに書いてはどうかと考えております。
あと、この資料にないことなんですが、少し補足させていただきますと、今、あっせんとか調停とか仲裁といったことをそのまま申し上げましたけれども、御存じかもしれませんが、大体あっせんというのは当事者の自主性を基に解決に導くためのものでして、調定というのは第三者が調停案をつくって受諾を進めるようなもの、仲裁というのは第三者の判断で紛争を解決するもので、当事者を拘束するということで、イメージ的に言うとあっせん、調停、仲裁という順に拘束力が強くなるものなんですが、そういったもののうちのあっせんと調停について、今までは条文のほうに書いていなかったんですけれども、今回、雇用経済部からの意見を踏まえて見直した結果、民事調停法以外の法令に基づくあっせんや調停、和解の仲介というのもあっせんみたいなものなので、そういったものについてはこの適用を除外してはどうかというふうに考えます。
説明が長くなりましたが、もう一つ、前の9月の特別委員会で、山本委員からあっせんと調停の違いというのを問われたときに、私が、調停には従う義務があるというふうな説明をしてしまったと、議事録を読むとそのような説明をしておるんですけれども、今申し上げたみたいに従う義務がある、拘束するというのは仲裁のほうでございまして、あっせん、調停、仲裁とあるうちの仲裁のほうは第三者が紛争解決のために当事者を拘束するものでございまして、9月の説明がちょっと不十分でございましたので、先ほどの説明をもって訂正させていただければと思います。
ちょっと説明がややこしくなりましたが、以上のようなことで対応案を考えているところでございます。

○北川委員長 ありがとうございます。
この執行部からの意見については、今、対応案を水谷政策法務監のほうから説明いただきました。
正副委員長としては、基本、この対応案で進めていってはどうかと考えます。その上で、問題点があるとか、別の対応が必要ではないかという御意見をいただければありがたいんですが。正直ナンバー6ぐらいまでは分かりやすいんですけれども、最後、ナンバー7あたりがちょっと。もし質問、疑問等があれば出しておいていただければと思いますけれども。もう一つ一つはやりません。いかがでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいですか。
最終、またこれも含めて案を出しますので、確認いただければと思いますけれども、原則この正副委員長で確認した対応案で処理をしていくということでよろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 では、そのようにさせていただきます。
次に、条例の題名です。条例の題名について、これは会派からの意見にもございますし、執行部からの意見、また以前は市町からの御意見もございましたので、少し考え方も含めてまとめて、政策法務監のほうから説明いただきますので、よろしいでしょうか。

○水谷政策法務監 それでは、資料4のほうを御覧ください。
今、委員長のほうからもおっしゃっていただきましたが、条例の題名に対する意見というのが、大きくまとめますと現在三つございまして、一つ目、二つ目が自由民主党から出ている会派意見でございますが、まずマル1の「差別のない」という文言を追加することで、人権を尊重するということが狭義なものや限定的なものに捉えられかねないということで以前、津市からの御意見がございました。そういった意見を踏まえ再考すべきというのが一つ目。
マル2の「差別のない」というのを「差別を許さない」というふうに変更するのは、今申し上げた津市の意見と逆の方向ではないか、差別を許す、許さないというような差別をする側、される側の対立構造にすべきではないというのが二つ目。
マル3の、執行部からの意見でございました、「差別を許さない」という表現よりも、「目的」や「基本理念」の内容に鑑み、「差別を解消し」などの表現がよいのではないかというのが三つ目の意見でございます。
これらの意見を踏まえて考えた場合には、次のようなものが考えられるのではないかということで、三つ挙げております。
一つ目が「差別等を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」ということで、三つともに「等」をつけておりますのは、特にマル1の意見にございましたような人権というものを限定しないということから、差別だけじゃないということで「差別等」ということにしております。
その後のフレーズとして、「を解消し」とか、あるいは「のない」、「をなくし」というのは、「許さない」じゃない表現ということでそのようなバリエーションを考えているところでございます。
あと、括弧書きでそれぞれに「不当な」というのをつけておりますのが、これまでの議論でもって題名では特につけないというふうな意見でございましたので、取りあえず括弧書きでもって書かせてもらったところでございます。
以上の3案でございます。

○北川委員長 ありがとうございます。
今日も、既に何人かの方から御意見をいただいているわけですけれども、この段階で題名について再検討を行いたいというふうに思っています。
2番では、事務局、正副委員長で、いただいた御意見を踏まえて案として書かせていただきましたが、これに限らず最終、どういう題名で行くかということについて御意見をいただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
午前中におっしゃった方も、もう一度おっしゃって結構です。いかがでしょうか。

○小島委員 確かに、許す、許さないというのは非常に主観的なものだなというふうに思われる部分もありますので、執行部からの意見で、「目的」や「基本理念」の内容に鑑み「差別を解消し」などの表現のほうが良いのではないかは、私もそのように思います。
今までずっと勉強してきて、ベースに置いてある人権三法を考えると、差別は基本的に、差別する人がいるから起こるわけで、差別する側の問題であって、その差別を解消しないと人権は保障されないという観点に立つと、やっぱり差別を解消するということが大事なのかなと思いますので、「許さない」というよりは「解消し」のほうがいいかなというふうに思います。

○北川委員長 ほかの委員の皆さんは、いかがでしょうか。今、小島委員からは「差別等を解消し」ということで御意見がございましたけれども。

○稲森委員 僕は、「差別を許さない」というままのほうでいいと思います。「差別を解消し」とか「差別のない」ということではなしに「許さない」ということは、やっぱり反差別だという立場を表明することで非常に明確で分かりやすいし、県民へのそういう意思の表明にもつながるので、非常に大事なところではないかというふうに思います。
条例の題名を変える、変えないは置いておいて、やっぱり歴然とした差別があって、差別される側がいて、差別される側が泣き寝入りをしているんだということを忘れてはいけないと思いますし、それを何か対立構造にするべきではないという御意見もありますけれども、その差別されている側、現実にしんどい思いをしている側を置き去りにしてそういう議論をするんであれば、何か傍観者的な感じがすごくしてしまうなというふうに思いました。

○北川委員長 これはもう、率直に皆さんから御意見をいただければと思います。たくさん意見をいただかないと、手を挙げて賛否というのもあまりあれなので、大体の皆さんの御意見をまとめたいなと思うので、少しでも。せっかくここまで出来上がってきた条例ですので、皆さんの思いが体現される形で決めていきたいと思いますので、全員が異議なくとはいかないかも分かりませんけれども、一定皆さんの思いが固まるような形にはしておきたいので、もう少し御意見をいただければありがたいですが。

○山内委員 私も、この子ども・福祉部のところの「目的」や「基本理念」の内容を鑑みて、「差別を解消し」というところがいいと思う。前回もこういった発言をさせていただいたと思うんですけれども、稲森委員のおっしゃることも一理あるかなと思いつつ、誰もが差別をする側にもされる側にもなり得るのかなというふうに考えたときに、どういった状況であれ、とにかく解消を社会全体で目指していくと。失敗は許されるというか、何があっても解消を目指してしっかりと前を向いていくという感覚がこの「差別を解消し」という文言にあるのかなという感覚で捉えると、より、逆に傍観しないというか、社会全体で前を向いていくという感覚が伝わってくるような気がするので、「差別を解消し」がいいのかなというふうに思っております。

○北川委員長 ほかの皆さんはいかがでしょうか。

○中村委員 せっかくみんなでつくる条例だし、県民全体の思いというのかな、そういったものをやっぱり色濃く出したいということであれば、出したいというのは自分も思っているんですけれども、「解消し」、あるいは「なくし」、このどちらかかなという感じはしますけれども。「許さない」というのは自分の思いにあるかなというふうに思うんですけれども、みんなが分かりやすいので「なくし」がいいかなと思います。

○北川委員長 ほかの委員の皆さんはいかがでしょうか。

○石田委員 うちの会派からの意見を二つ出させてもらっておるので、会派から持ってきた意見を尊重する意見を言わせてもらおうかなと思っていて。一番上の「差別を解消し」というのが、うちの会派から出されたものを尊重するとそれに当たるので、それがいい、それにしていただけたらなと思いますが。「解消し」で。

○北川委員長 ほかはいかがでしょうか。
名は体を表すとも申しますので、大事なことなので。

○東委員 たしか、前回この委員会で、やっぱり強調すべきだ、「許さない」のほうがいいと。私はあまりそうは思わなかったんですけれども。「差別のない」というだけで素直にいったらいいんじゃないかなと思って。多分、委員会の御意向では、皆さん、やっぱりこれは許さんぞというほうがいいという方向だったのが、今日はちょっと雰囲気が違うかなという感じを受けました。
「差別を解消し」と、子ども・福祉部からの御提案があったのは、なるほど言い当てているなと思うんです。多分、これは人権条例というふうにイメージがあったと思うんですけれども、これで人権条例と言わなくなるなと思ったんです。差別解消条例というふうに言うんじゃないかなと思うんです、ニックネームを。だから、人権条例というと、いわゆる人権と言うと、もう最初から、私も議員になる前からずっと、人権て何やろなと、すごく重たいんです、人権という言葉そのものが。なので、なるべく軟らかい手法を使ったほうが、いわゆる国民、県民、市民、町民に分かりやすいのがいいというふうに思うんです。
そういう意味からすると、差別という言葉を出していく「差別のない」、あるいは「差別を解消し」というほうがよくて、いわゆる条例のニックネームは、人権条例よりは差別解消条例のほうがより響くんじゃないかなという気がします。差別条例という「差別のない」だけやと、今になって思うとちょっと言葉が届かないかなという気もします。消去法でいくんですが、差別解消というふうなほうが、全部改正にふさわしいネーミングかもしれないなと。
ただ、これってネーミングと一般の県民がどうやってして理解するのかというのとは、また名前だけ独り歩きするのもよくないと思うので、やっぱりここへ魂を入れるために、せっかくつくる条例なので、本当に思いを込めて。ひょっとすると今日決めなくてもいいかもしれないですね。もうちょっと思い、中間案を出して、委員会として。またひょっとしたら新しいネーミングができるかもしれないと、何かそんな思いもあったりします。

○北川委員長 この後、パブリックコメントにかけていく流れがありますので、絶対変えないというわけではないですけれども、一定委員会の意思としては確定して出したいというふうには思いますので。今、御意見を伺っていて、これは私自身の思いもあって、当初はやっぱり差別を許さないというか、そういう強い思いを表現したいという思いが前に立っておったんですけれども、いろんな御意見を積み重ねていただく中で、条例の中の全体的な趣旨というか、特に差別解消、単に人権条例じゃなくて差別を解消していくための仕組みを今回入れたということは、やはり大きな流れでもありますので、そういう意味で名は体を表すではないですけれども、条例として何を言わんとしているのか、何を体現しようとしているのかというところでは、「差別を許さない」というよりは、「差別等を解消し」とか「差別等をなくし」という表現のほうがふさわしいのかなと思い、考え方も少し変わってきたところもあって。
午前中にもありましたけれども、当然前文の中では差別、人権侵害を許さないと改めて宣言すると、強い意思表示をしていますので、その部分は何も揺るがないわけですけれども、タイトルとしては、皆さんの今日の御意見の中では、「差別等を解消」のほうが御意見としては多いのかなというふうに受け取らせていただいていますので、今日この委員会の思いとしては、「差別等を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」ということを中間案として定めてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○小島委員 結論はそれでいいと思うんですけれども、さっき稲森委員が言われた、許さないという気持ちというのはベースに絶対あるべきで、差別する側、される側の対立構造にすべきでないという考え方もお示しいただいてありますが、私は、場合によっては差別と対峙する、差別者と対峙するということもあり得るというふうに思っています。だから、「差別を解消し」という題名ということになったとしても、基本はやっぱり絶対許さないということですよ。差別する側は駄目なんですから。そこはやっぱりしっかりと含めた上で。その上でどうするかといったら、やっぱりなくさないと駄目だよねということやと思うので、そういう意味で「差別を解消し」というふうにすればいいなというふうに思っています。
だから、何も対立を避けるためとか、そういう安易な、安易なと言ったらおかしいですけれども、そういうことではないと思っています。

○藤田委員 皆さん全員、意見を言われたほうがいいかなと思って、私も手を挙げたんですけれども、そもそもこの特別委員会をつくったというのは、現存している差別をなくしていこうやないかというのが出発点やったと思うんです。どうやってなくすんや、どうやって解消するんやという話を我々はずっと積み上げてきた。その裏には、今、小島委員がおっしゃったように、あるいは稲森委員が言われたように、やっぱり許したらあかんぜ、そのことで本当に自分の日々の生活に影響が出るようなことを議会としては許してはいかんねん、行政として許してはいかんねんという前提があって、それじゃ、どうやったらなくしていけるのか、解消していけるのかということを我々として条例として提案していくという意味では、「なくし」というのが分かりやすいのか、「解消し」というのがいいのか。どっちかというとやっぱり「差別を解消し、人権が尊重される」というほうが、ちょっと格好がいいかなと。
そんな意味も含めて、皆さんがおっしゃっていることは共通しているのかなというふうにお話をお伺いして、「差別を解消し、人権が尊重される」、そういう名前のほうが私もいいなというふうに思います。

○東委員 ちょっと言い忘れましたが、「差別等」という「等」はないほうがいいと思います。委員長がさっき改めておっしゃったので。言葉としてのインパクトが。意味は津市とかも言われて、自由民主党もおっしゃっていますけれども、狭めるという意味は全然ないので、いわゆる言葉として「等」という言葉は省いたほうがいいと思います。

○北川委員長 午前中の議論の中で、そのことについては狭めるものではないということを中で書き込みをするという話にしましたから、ここで「等」をどうしてもつけなきゃいけないことではないのかなというふうに思いますが、そのことについてどうですか。皆さん、つけないほうがいいですか。
その前に、石垣委員に手を挙げかけていただいていたので。

○石垣委員 その「等」とは別の話ですが、小島委員がおっしゃるところは差別を許さないという意思として物すごく大事やと思うんですけれども、会派の中でお話をさせていただいたのは、「差別を許さない」というところが、じゃ、差別を許すということってあるのという話に、変な形で県民の皆さんに伝わっていくと、これはこれで違うよねと。
なので、「許さない」というよりかは「差別等を解消し」という、みんなで解消する方向に向かっていくんだという。題名というのが、やはり非常に前へどんどん進んでいってしまうところもあるので、そういった意味ではいろいろと我々の会派の中でも出たところの話もあるんですけれども、許す、許さないとかそういう話ではなくて、しっかりとこれを解消に向かわせていくんだという方向性を見つけることが大事なんだという会派の意見だということだけ付け加えさせていただいて、私も意見をというところであれば、「解消し」という方向が非常にいい題名になるんじゃないかなということで意見を述べさせていただきたいと思います。

○北川委員長 みんなで決めたいと思いますので、稲森委員、御意見はございますか。
ごめんなさい、先に山本委員。

○山本委員 初めに、「人権が尊重される三重」でいいんじゃないかと私は言わせていただきました。大きな枠組みでは思いとしてはありますけれども、県民の方に理解されやすくて、これからそれを、理解されやすさと短さと運用のしやすさなどを考えると、今ずっと皆さんの御議論を聞いていて、「解消」という言葉で。そのネーミングということも言われましたけれども、そういうことも含めればその方向で中間案をつくっていただくことでいいのかなと、理解しております。

○北川委員長 最後にコメント。

○稲森委員 ノーコメントで。東委員がおっしゃったように。

○北川委員長 いいですか。

○稲森委員 はい。

○北川委員長 分かりました。
じゃ、同じく「不当な」は要りませんか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 それでは、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」という形でこの委員会としては決めさせていただいてよろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 1時間経過していますので、ここで暫時休憩を取らせていただいて、再開を午後2時15分とします。
(休 憩)

○北川委員長 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
以前から石田委員より、新しい条例に基づく相談や申立ての運用について、具体的事例に即してシミュレーションを行ってほしいという御要請がありました。正副委員長と事務局で資料を作成しましたので、御覧いただきたいと思います。
この後、説明をいたしますが、誤解を生じてはいけませんのであらかじめお願いしておきますが、あくまでもこの内容、シミュレーションは、今、条例でいろんな組み立てをしましたけれども、一つの事案があったらどんなふうに流れていくかを具体的にイメージするためのものですので、この判断はおかしいとか、この結論は問題があるんじゃないかという議論はちょっと御容赦いただきたいと思うんです。あくまでもこんなイメージで、皆さん方がまたディスカッションや、また周りの方に会派で説明いただくときに、どんなときにこんなことになるねんやみたいな、こんなときにはこういうケースでこう流れていくのが想定されるんやというふうなものですので、この中身の是非を議論するということはちょっと避けたいと思いますので、その点だけお含みいただいて説明を聞いていただきたいと思います。
それでは、水谷政策法務監、お願いします。

○水谷政策法務監 それではお手元の「差別を許さない人権が尊重される三重をつくる条例(仮称)案」に基づく想定対応事例のマル1からマル8までとじたものを御覧ください。
具体的な事例に基づくシミュレーションということで、既存の判例なり、あるいは資料などに基づきまして作成したものでございまして、表の上のほうにございますように幾つかのケースを想定した不当な差別、あるいは人権侵害行為などについて作成しておりまして、マル1からマル4までの相談体制に対するものが4件、マル5からマル8までの紛争解決体制に関するものが4件でございます。
簡単に御説明してまいりますので、まずマル1を御覧ください。
感染症等の疾病という属性に関する不当な差別の事案ということで、新型コロナウイルス感染症に感染した県民から、差別を受けるのではないかという不安を抱えているという相談があったという想定です。
相談対応としましては、丁寧に傾聴して、いろいろ助言などをしていったところ、結果として不安が軽減されたという様子だったという、傾聴や助言等によって相手方の不安が軽減された事例という想定でつくっておるものがマル1でございます。
次のページを御覧ください。マル2でございます。
国籍に関する不当な差別の事例でございまして、概要は、ネイルサロンをインターネットで予約したところ、外国人であることを理由に予約が取り消されたという相談があったと。
それの相談対応としては、予約サイトの中でそのような記述があったので人権センターの担当者が電話をして確認したところ事実が確認できたということで、そういったものは差別的取扱いに当たることを丁寧に説明し、相手方に対して要望したところ、相談の結果にありますように、店側は理解を示して不適切な記載を削除した上で、今後はほかの客と同様の対応を行うということを約束したと。それを相談者に説明したところ、納得いただいたというようなことでございまして、電話での説明で理解し、対応がされたという事例を想定しております。
次のマル3を御覧ください。
感染症等の疾病に関する不当な差別で、また人権侵害行為としてはプライバシーの侵害や誹謗中傷に当たるものというふうな事例でございます。
相談内容としては、インターネット上の掲示板に息子が新型コロナウイルス感染症に感染したという書き込みがあって、併せて「家族もろとも町から出ていけ」という誹謗中傷などが書き込まれているというものです。
相談対応としては、掲示板を確認したところ、相談者の息子であることは特定が可能であって、その内容についてはプライバシーの侵害であるとともに誹謗中傷であって、不当な差別的言動であると認められた。相談の結果としては、書き込みを行った者の特定が困難であったので、人権センターから津法務局に対してサイト管理者に削除要請をするように依頼した。その後、法務局から要請が行われてそれらの書き込みが削除されるに至ったということで、法務局、関係機関に依頼して解決に当たった、削除に至ったということを想定したものでございます。
次のマル4を御覧ください。
プライバシーの侵害でございますが、相談内容は、近所の住民から常に監視されているという旨の相談があって、相談対応としては、本人からよく事情を聴いたところ不自然な点が多く、加害者にアプローチすることは適当でないと考えられたと。相談者が独り暮らしの高齢者であるということから地域包括支援センターに相談することをお勧めして、相談者の承諾の上で地域包括支援センターに支援の依頼をしたところ、その相談の結果としては、相談者に精神的な問題が生じていて医療的な処置が講じられるというようなことになりました。
その後も、同じような相談が何回も度重なってきたわけですけれども、人権センターとしては対応継続が困難であるというふうに判断されて、今後は対応しかねる旨を相談者に伝えたところ、本人は納得しかねている様子でしたが、その後、訪れることはなく、地域包括支援センターの情報によると医療的な対応が軌道に乗ってきたというふうな連絡があったというような想定です。これは、関係機関と連携して対応したもの、あるいは県の対応が継続困難と判断した事例というふうな想定で作成しております。
次に、5ページ、マル5を御覧ください。
ここからが、紛争解決体制に関する想定対応事例でございます。
まず、国籍に関する事例ということで、相談内容は、外国人である相談者が公衆浴場を利用しようとしたところ、「外国人の方の入場をお断りいたします」との貼り紙がされていて利用できなかったと。公衆浴場側に、外国人であることを理由とする利用拒否を撤回するように指導してほしいという相談があった。
相談対応としては、経営者に電話で聞き取り調査をしたところ、外国人の方が最近、迷惑行為をすることが多くてほかの利用者から苦情を寄せられていたということで、自主的に利用拒否を撤回する気はないということが確認されたようでございます。その内容を相談者に伝えたところ、助言・説示・あっせんの申立てが行われたというようなことでございます。
実務上は、多分、何度も説明とかが繰り返されているんだろうと思うんですけれども、簡略に、単純化してこのように書いております。
申立てが行われた後の対応でございますけれども、改めて調査を行ったところ、やはり不当な差別的取扱いであると判断して助言を行うこととしたと。
不当な差別に当たるかどうか、助言内容が適切かどうかについて三重県差別解消調整委員会に諮問を行い、適切である旨の答申がされたので、その下にありますように、まず不当な差別的取扱いであるということを公衆浴場側に対して指摘した上で、そこのマル1からマル3にありますような内容の助言をしたということでございまして、その後は、6ページに行っていただいて、丁寧に説明をした結果、外国人の利用を一律に拒否するということは撤回して、酒類の持ち込みなど本来禁止すべき行為を禁止して、さらに啓発ポスターを掲示するというような対応を取っていただくことになったということで、これは調整委員会に諮問をして答申を得て、助言をした例ということでございます。
次に、マル6です。7ページを御覧ください。
性別に関する不当な差別の事例でございまして、女性である相談者が自治会の役員に立候補しようとしたところ、規約上制限がないのに立候補の取り下げを迫られたという相談があった場合でございまして、その相談対応については、自治会長に確認したところ事実を認めたけれども、それがこの町の伝統だということで撤回するつもりはないということが回答としてあったようです。これを相談者に伝えたところ、助言・説示・あっせんの申立てが行われましたと。
その後の対応につきましては、改めて自治会長への聞き取り調査を行った結果、これに対して説示を行うこととしたと。調整委員会に諮問し、説示内容が適切であるとの答申を得ましたので、それに基づいて立候補の取下げは不当な差別的取扱いであるので撤回されたいという説示を行ったところ、相手方の自治会長のほうが最終的にはその発言を撤回して立候補を認める方向で自治会内で検討するというふうな回答を得たようで、この事例は答申に基づいて説示した例ということになります。
次のページ、マル7を御覧ください。
性自認に関する不当な差別の事案でございます。
相談内容は、戸籍上の性別は男性であるが、性自認が女性である相談者に、会社で女性用トイレの使用をやめてほしい旨の申入れがあったということでございます。
相談対応としては、会社側に聞き取り調査を行った結果、複数の女性社員から安心してトイレを使用できないというふうな声が寄せられたので、現時点では方針を変えるつもりはないという回答があったと。相談の結果を相談者に伝えたところ、助言・説示・あっせんの申立てが行われ、特に引き続き女性用トイレが使用できるようあっせんを実施してほしいという希望があったということです。
申立て後の対応としましては、相談者や会社側の主張を整理した上であっせん案を提示しようという方針を定め、そのことについて調整委員会に諮問を行ったと。調整委員会では、性の多様性に関する施策に詳しい学識経験者が専門委員として任命され、調査審議に加わったと。その結果、この事案は不当な差別に該当するとして、さらに諮問内容よりもあっせん内容を充実させる方向で一部修正すべきとの答申が得られたというようなことで、その答申に基づいてマル1、マル2に書いてございますようなあっせん案を提示し、会社は補助金を活用してトイレを設置するとともに社内研修も行うことを受諾して、相談者も受け入れたということで、事例としては専門委員の任命とか、あるいはさらにあっせん内容の一部修正の答申を得てあっせん案を提示した例ということでございます。
最後、マル8の事例でございます。
被差別部落出身者であることという属性の不当な差別でございます。
相談内容としては、交際相手の実家に挨拶に行った際、出身地の話に及んだところ相手方の父親の態度が急変して交際を断られたというようなことでございまして、相談対応としては、相談者の交際相手から連絡先を聞いて父親に電話で確認しようとしたところ、話すことはないということで調査への協力を断られたということになりました。その結果を相談者に伝えたところ、助言・説示・あっせんの申立てが行われましたと。
申立て後の対応としては、改めて父親に連絡を取ったところ、事実関係は認めたが、交際を認めるわけにはいかないという回答でしたので、そういった調査の結果を踏まえて、本事案については被差別部落の出身であることを理由とする不当な差別的言動であるということで説示を行うこととしたと。その説示に関して、調整委員会に諮問を行って答申を得て、その下から2段落目にありますように説示を行ったと。ところが、父親のほうは、最終段落ですけれども、娘の幸せを願うためなのでと納得してもらえなかったということでしたので、一旦帰庁したと。
最後のページに行っていただいて10ページ。父親は正当な理由なく説示に従わないと判断されることから、勧告を行うこととなりました。それに先立って意見聴取を行おうとしたところ、父親からは出頭に代えて従来の主張を書面にまとめたものの提出がありましたと。その内容も検討した結果、やはり父親に対しては不当な差別を行わないように書面にて勧告を行ったところ、父親のほうは一定の反省の態度を示したようだという旨の報告があったということで、この事例は答申を得て説示したところ従わなかったので、条例に基づいてさらに書面での勧告を行ったような事例ということで作成しております。
以上、条例の規定に基づいて幾つかのバリエーションで作成した事例でございます。

○北川委員長 ありがとうございます。
あくまでも、これを皆さんに活用いただくというスタンスでつくらせてはいただいたんですが、今の説明を受けて御質問等はございますか。
とはいえ、やっぱりこれはおかしいよねというようなことがあったら、ちょっと言っておいてもらったらとは思いますが。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 いいですか。
一定、うまく収まるような話になってしまっていますけれども、逆にそうはいかないことも多いかとは思いますけれども、あくまでもステップの流れといいますか、想定される流れをこれで参考にしていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
今日は各会派の意見に対する委員間討議、それから執行部の意見に対する委員間討議、そして題名、そして今、シミュレーションということでさせていただいたんですが、最後に中間案全体について、ちょっとここがやっぱり気になっているのでというようなことも含めて御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、何かございますでしょうか。

○小島委員 ちょっと教えてほしいんですけれども。解説とかの中の文章の最後の書き方です。例えば、「考えられます」とか、「規定しています」とか、「必要です」とか、いろんな書き方があるんですが、誰の立場に立って書くのかなということを思います。
というのは、21ページの相談体制の第4項関係のところで、「人権相談に関する県の拠点的機関である人権センターの人員の確保・育成が期待されます」は、当然期待するんですけれども、ここが本当に大事で、この充実が不可欠だよねという話をずっとしてきたので、「期待されます」ではちょっと弱いなという気がするんですけれども、誰のどういう立場でこの語尾を決めるのかということがまず分かっていないので、簡単に変えられるものなのか、「必要です」とか「不可欠です」とかいうふうに言い切ってしまえるものなのかが分からないんですが、そういうニュアンスをここには込めたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○北川委員長 午前中、山本委員からも同じような趣旨というか、懸念も含めてお話しいただいた部分ですけれども、先に政策法務監、この辺の表現、スタンス、逐条解説、その辺りで少し考え方を示していただけますか。

○水谷政策法務監 まず、この解説の部分でございますけれども、この特別委員会で議論をして、いわば立法者の意思といいますか、そういったものとか、あるいは解釈などについて書く項目でございますので、立場というのは立法者の意思というのを書くものになろうかと思います。
今回、議員提出条例で執行部側とはまた違う立場で御議論いただいてきたところでございますので、一定どのような体制でやるかというのは執行部側の裁量もあるかとは思うんですけれども、どのような体制かそのものを具体的に書くのはなかなか難しいかと思うんですけれども、考え方を一定書くということは可能かなと思います。ちょっと抽象的な言い方で申し訳ございませんが。

○小島委員 可能であれば、「必要です」とか「不可欠であると考えられます」とかいうふうな形でお書きいただければいいのかなと思いますけれども、法務的によく分からないので、またその辺は御検討いただけたらと思います。

○北川委員長 委員で、障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例に参加いただいていた方もいらっしゃるので、たしかそこは、相談員については人数を何人という形で、2人を配置するというのを逐条解説か何かに書いていたよね。実際はなっていない、1人。それは、今は1人で十分対応できているということなのであれなんですけれども、どこかに2人設置というその議論の経過が書かれていた記憶があるんですけれども、そういう意味ではかなり踏み込んだものかなというふうには思うんです。
ただ、ここでの議論は、相談員に限ってですけれども、これは包括条例なので、人権センターに限らずそれぞれ相談窓口も幅広いので、充実は必要ですけれども、人数までの書き込みはそぐわないよねということで書かなかったという議論のプロセスもあったように思うんですけれども、どの辺までの書き方がというのはちょっと。こちらで考えると「不可欠であると考える」とかいう表現なら議員提出議案で書いても行けるのかなという考え方もあると思いますので、少し工夫させてください。思いは十分分からせていただきますので。皆さんも同じ思いだと思いますので、よろしいでしょうか。
ほかにはどうでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいですか。
そうしましたら、中間案の議論をここで終わらせていただいて、今日の議論、検討結果を踏まえて条例案の中間案を確定したいと思いますので。本日の検討結果を踏まえた条例案中間案の修正点を確認するための資料を作成したいと思います。暫時休憩をいたしたいと思います。40分程度いただきたいと思いますので、再開予定を午後3時20分とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(休 憩)

○北川委員長 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。
お手元に配付した資料に基づいて、修正点について事務局に確認させます。

○水谷政策法務監 それでは、お手元に配付させていただきました朱書きの見え消しの資料と既存の資料1のほうを対比していただければと思います。
見え消しのほうで順番に参ります。
まず、1ページ目が、議論のございました条例の題名について、「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例(仮称)」ということで、その点の修正をしております。
あと、下のほうで、趣旨のところの、である調になっていたのをですます調にこの際、直させていただいております。
続きまして、めくっていただいて資料1の4ページを御覧ください。
4ページのところは前文の解説に1項目加えて、「不当な差別その他の人権問題」という議論のございました部分について、条例制定者の意思ということで6番目を追加しております。内容としましては、この条例において全体として「不当な差別その他の人権問題」という用語を使っているけれども、これは不当な差別を解消するということが重要であるという認識の下、どの条文においても不当な差別を念頭に置いていることを明示するためということであって、条例の対象となる人権問題を限定する趣旨ではないという旨を、全体を通じた共通部分ということで前文のところに加えております。
続きまして、ページが飛んで恐縮ですけれども、資料1の8ページの下のところを御覧ください。
内容としましては、定義既定のところの第2号・第3号の「不当な差別」とか「人権侵害行為」の定義に関する部分ですが、稲森委員から御指摘いただきました不特定多数の者、あるいは集団に対する差別的言動について、法務省の通知なども引用しながら、その解釈について記載を追加してございます。
続きまして、裏面と資料1の9ページを御覧ください。
こちらにつきましては、雇用経済部の意見を踏まえたもので、「事業者」について、定義既定を増やすのではないんですが、その指す内容について説明を加えておる、事業者についての説明を加えておるものでございます。
その後の10ページは、いわゆる番号のずれでございます。
その後の19ページを御覧ください。
相談体制の第12条のところですけれども、これも昼から御議論のありました不当な差別とヘイトスピーチなどを目撃などした者も相談できるという旨、この相談についてはそういったものも含まれるという旨を、逐条解説のほうに書き加えたものでございます。
続きまして、20ページをお願いします。
第2項関係の4、「相談があったときの県の業務について」ということで、この1段落を加えておりますが、中身はいろいろ加えているところでございまして、なお書きで書いておりますように単純な金銭、騒音、日照等に関するトラブルの相談については、県の相談機関で調査や関係者間の調整を行うことは想定しておらず、そういった相談があった場合にはしかるべき機関の紹介等の対応が想定されるということ。また、国際的な人権問題についてもここで加えておりまして、県の相談機関で調査や関係者間の調整を行うことは想定しておらず、その場合には国の取組の情報提供などを行うということが想定されるという旨の記述を追加しております。
21ページを御覧ください。
小島委員から御指摘のございました相談体制に対する部分でございますが、「人員の確保・育成が不可欠であると考えられます」ということで、特別委員会としての思いが強い書きぶりとしております。
次の22ページを御覧ください。
これは執行部からの意見に基づくもので、分かりにくい説明で申し訳なかったんですが、適用除外の類型を一つ増やすということで、法令に基づくあっせん、調停などができるものについても適用除外とするということで、第13条第4項第3号を新たに追加するとともに、25ページでは9という項目で法令に基づくあっせん、調停、仲裁等についての記述を増やしておって、あといわゆる号ずれ、番号ずれを修正しております。
35ページを御覧ください。
人権教育・人権啓発の具体的な内容を書くべきという自由民主党からの御意見だったかと思いますが、これを踏まえて具体例ということで、マル1で人権問題の構造的要因とか、マル2で世界人権宣言、人権に関する諸条約などについて、マル3で社会的障壁の改善の意識づけなどといったことで、見え消しで消しておりますような抽象的な表現ではなしに、マル1からマル3のような具体的な内容をこちらのほうに書くということで修正しております。
40ページを御覧ください。
第24条に関しまして、災害等の発生時の行方不明者の氏名公表等について、この条項でもってそれを妨げるものではないという旨を、解説の3ということで項目を起こして追加しております。
最後、45ページです。
人権施策基本方針に関する経過措置の規定のところで、条例名が変わりましたので、改正後の条例名ということで一番下のところを修正しております。

○北川委員長 説明をいただきましたけれども、短時間で整理をさせていただいたこともありますので、委員間討議をして修正等の意見があったにもかかわらず反映されていないものがないかどうかの確認、それから修正したものについて、少し趣旨が違うのではないかというようなことはないかどうかの確認をしていただきながら、少し読んでいただく時間が必要かとは思いますが、御意見がありましたらいただきたいというふうに思います。

○石田委員 短時間で事務局に頑張っていただいたなと思います。ありがとうございます。
今回、修正したところに限らずですが、「考えられます」、「想定されます」と、「られます」、「されます」という表現が多いんですが、「られます」で、「考えられます」というのは、考えることができますという意味じゃないかなと思うんですけれども、水谷政策法務監が言われていたように、立法者の意思として表すのなら、「考えられます」じゃなくて「考えます」というのはまずいんですか。全部「られます」、「されます」と、「考えられます」、「想定されます」とかじゃなくて、「想定します」とかいう表現に変えると不都合があるんですか。

○水谷政策法務監 立法者の意思として書く場合と、客観的にこうこうこういうふうに考えられますというものとが、ばくっとした言い方ですけれども、ちょっと混在していると思うので、意思を強く表す部分はそのように主体的な書き方もあると思うんですが、そうでない客観的なものは「られます」というものでもいいのかなと思います。

○石田委員 全部をどちらかというの判断を一つずつする時間はちょっとないんですが、特に最後、小島委員が言われたところは、はっきりとした意思であるという表現で、「考えます」と。明らかにこの1か所については「考えます」ではっきり意思表示をするべきところかなと、休憩の前からちょっと思っていたんですが、どうでしょうか。

○北川委員長 あまり意識していなかった表現のところではありますので、先ほどの相談対応のところで、立法者の意思を表現するという説明がありましたから、それを念頭に置けば石田委員のおっしゃることもそのとおりなのかなというふうには思います。
ただ、ほぼすべての文言がそういう表現になっているので、いわゆる条例としてのつくり方として、それは議員提出だから逐条解説のこういう表現になっているのか、条例自体、逐条解説というのはこういうふうなものなのかというところも含めて、どうなんでしょうか。

○水谷政策法務監 今、障がい者差別解消条例の逐条解説をめくりながらお聞きしておったんですが、何々と「考えられます」というふうな記述もありますので、「られます」が一概に駄目だということには多分ならないと思うんですが、先ほどおっしゃったように、より立法者の意思を強く示すということであれば、「考えます」という表現もありかなと思います。

○北川委員長 少なくとも、この21ページのところに書き加えて。

○水谷政策法務監 全部を見たわけじゃないんですが、比較的「考えられます」というふうな客観的な言い方が多いようではありますが、先ほどおっしゃったような主体的な表現が駄目というわけではないかと思います。

○北川委員長 少なくとも、21ページの相談対応に係る人員の確保・育成については「不可欠であると考えます」という意思の表示の仕方はありということですね。全部が全部、そう変えなくてもいいのか分かりませんけれども。

○水谷政策法務監 そうですね、このぐらいの言い方であれば。執行権限にあまり立ち入るのはどうかという別の議論もあろうかと思うんですが、このぐらいであればいいのかなと考えます。

○北川委員長 申し訳ないですけれども、重要なところではありますので。ただ、言い回しということでもありますので、正副委員長のほうで最終的に確認をして、詰めた形で。ちょっとお預けいただいても大丈夫ですか。
ほかにはいかがでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 事務的な訂正といいますか、こんな文言修正的な部分というのはそんなに問題なく修正させてもらったかなと思うんですが、例えばこの人権教育・人権啓発のところなんかは、新たに書き込んだ内容になっていますので、逆に言いますと表現的に教育・啓発の趣旨としてこういうことが求められるということの明示になっていくわけですけれども、よろしいですか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 御意見がなければ、現段階でこの修正したものを条例案の中間案として確定させていただくということでよろしいですか。

○小島委員 8ページのヘイトスピーチのところなんですけれども、「一般的に不特定多数の者に対する行為は、被害者が特定されないので、人権侵害には該当しないとされており、そのような趣旨の国会答弁もされています」って、国会答弁もされているのは事実なんですけれども、「一般的に不特定多数の者に対する行為は、被害者が特定されないので、人権侵害行為には該当しないとされており」は、そうなのかなと。この条例の中で、たとえ個人でなくてもその属性を持っている人全体に対する誹謗中傷は人権侵害ではないのかなと思うんですけれども。
「インターネット上」云々、ここから下はいいんですが、こうやって立法者の意思と言われてしまえば、自分としては、書くことに少し抵抗があるなと思うんですけれども、それは皆さんはどういうふうに思われますか。

○山内委員 私もチェックしました、同じところを。ここは、削除したほうがいいかな。この国会答弁の話は、事実であったとしても書き込む必要がないんじゃないかなというふうに思っていて、ごめんなさい、発言するのを忘れておりましたけれども。どうなんですか、「被害者が特定されないので」から「国会答弁もされていますが」までぐらいですかね、ここが要らないのかなと思って少し気にしておりました。私も同じくです。

○北川委員長 ほかの委員の皆さんはいかがですか。

○小島委員 書くことによって、そのことを除外しようとする意思が働くことは、我々の望む方向ではないのかなと思うんですけれども、そういう危険性がある表現なのであれば、山内委員が言ってくださったようにないほうがいいのではないかな。だから、こんなふうに解されるというところだけでは駄目なんですか。自然人の存在が認められて、その集団等に属する者が精神的苦痛等を受けるなどの具体的被害が生じているということが「不当な差別」であり、「人権侵害行為」に該当すると解される、それがベースにある考え方なのではないかなと思うんですけれども。

○藤田委員 私もその意見に賛成です。恐らく書いていただいたのは、こういう国会答弁はあるけれども、その後に出てきたインターネット上のことについては「不当な差別」であるということをわざわざ書いていただいているんだというふうに思いますけれども。「インターネット上の」は、恐らく最近の話だと思うんですけれども、そこでこういうふうな考え方になっていますよということなので、重要なのはこの点かなということを考えれば、わざわざ書く必要はないと私も思います。

○北川委員長 お話のとおり、ここの逐条の説明の趣旨は「が、」以降の、「法務省の」云々以降の内容を説明しているということなので、そこに主眼的なものは何もないんですけれども、外したほうがいいということであれば、そこはもう外していこうかと思いますが、よろしいですか、御異議ございませんか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 そこだけ修正点追加ということでお願いしたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいですか。
短時間でしたところもありますので、軽微な文言の修正等については正副委員長のほうに御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 では、そのようにさせていただきます。
それでは、条例案の中間案ということで今、確定をいただいたわけですけれども、次に、その条例案中間案に対するパブリックコメントの実施について御協議を願いたいと思います。
資料を配付いたします。
(書記配付)

○北川委員長 それでは、先ほどの最後、8ページのところの修正はありますけれども、確定いただいた条例案中間案について、今後、県民の皆様から意見募集、パブリックコメントを実施したいと思います。
実施の内容について、お配りした資料に基づき事務局から説明願います。

○水谷政策法務監 お手元にお配りした資料で御説明させていただきますが、冒頭にちょっとおわび、お断りなんですけれども、条例名の修正をいただいたところでございますが、このパブリックコメントの資料につきまして修正が間に合っておりませんでして、申し訳ございません。「差別を許さない」というふうにあるのが3か所ございますので、「差別を解消し」というふうに修正してパブリックコメントのほうをかけたいと思います。
内容について御説明いたします。
まず、意見募集の期間につきましては、1月31日から3月1日までの1か月間ということで考えております。この中間案と中間案の概要をパブリックコメントの対象としまして、意見募集の告知方法につきましては、従来のほかの議員提出条例と同じですが、議会のウェブサイトに掲載するほか、議事堂受付、議会事務局、あと県の各庁舎に配付してパブリックコメントの告知をしたいと考えます。
意見の提出方法につきましては、2枚目にあります意見記入用紙に御記入いただいた上で、郵送、ファクシミリ、電子メールによって御提出いただくということで、電話や口頭での意見は受け付けないということでございます。
提出された御意見の取扱いにつきまして、これも従来と同じですが、まず、御意見のほうは条例案取りまとめの参考とするということで、個別の回答は行わない、意見募集と関係しない意見等については公表しないですとか、あと類似のものはまとめる、個人の利益を害するおそれのあるものなどは公表しないといったふうな取扱いをしたいと考えております。
後ろのほうに6番として個人情報の取扱いなども定め、3ページの意見記入用紙、このような様式でもって御提出いただくように募集をしたいと思っております。

○北川委員長 ありがとうございます。
質問等はございますでしょうか。
〔発言する者なし〕

○北川委員長 よろしいですか。
なければ、ただいまの説明のとおりパブリックコメントを実施したいと思います。
なお、パブリックコメントの実施については事務局に任せるとともに、実施内容等について軽微な変更が生じた場合の修正は正副委員長に御一任いただきたいと存じますので、御了承願います。
次に、次回の委員会ですが、パブリックコメントでいただいた意見への検討を行いたいと存じますが、日程等詳細はこの後の委員協議で御協議いただきたいと存じますので、御了承願います。
本日御協議いただく事項は以上でございますが、特に何か御意見がございましたらお願いします。
〔発言する者なし〕

〔閉会の宣言〕

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
差別解消を目指す条例検討調査特別委員長
北川 裕之

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