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三重県議会 > 県議会の活動 > 本会議 > 平成16年第4回定例会で可決された意見書(12月17日可決分)

平成16年第4回定例会で可決された意見書(12月17日可決分)

「公契約法」の推進など公共工事における建設
労働者の適正な労働条件の確保に関する意見書

 建設業の就業者数は全国で630万人と、全産業の就業者数の約10%を占めており、我が国の基幹産業として経済活動と雇用機会の確保に大きく貢献している。
 しかしながら、建設産業の特徴である元請と下請という重層的な関係の中で、建設労働者の賃金体系は常に不安定な状態にあり、加えて、不況下における受注競争の激化と近年の公共工事の減少が施工単価や労務費の引下げにつながり、現場で働く労働者の生活に深刻な影響を及ぼしている。
 国においては、平成12年11月に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が制定され、参議院で「建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」との附帯決議が付されている。また、諸外国では、公契約における適正な賃金の支払いを確保する法律、いわゆる「公契約法」の制定が進んでいるところである。
 よって、国におかれては、建設労働者の適正な労働条件を確保するとともに公共工事における安全や品質が適切に確保されるよう、下記事項について特段の配慮をされるよう強く要望する。

  1. 公共工事における建設労働者をはじめ、労働者の適正な労働条件の確保ができるよう「公契約法」の制定について検討すること。
  2. 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の附帯決議事項について実効ある施策を実施すること。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩名 秀樹

(提 出 先)

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
国土交通大臣




WTO・FTA交渉に関する意見書

 WTO(世界貿易機関)の貿易自由化交渉は、平成16年8月1日に、今後の交渉の前提となる大枠合意がなされたが、農業分野の市場アクセス、国内支持、輸出競争について、具体的な数値などは今後の交渉に委ねられた。
 しかし、アメリカや農産物輸出国からは今後とも、上限関税の設定や、高関税品目の大幅引下げ、関税割当数量の大幅拡大などが要求されるものと考えられる。これは、農産物輸出国がますます輸出を拡大しやすくするためのものであり、我が国の農業に打撃を与えるのみならず、食料の安全・安定、環境などにも大きな影響を与えるものである。
 また、アメリカなどが行っている国内農家への手厚い補助や、輸出補助政策について、大枠合意後の交渉によっては実質的削減に結びつかないものとなるおそれがあり、途上国などから反発が高まっている。このような公平さを欠いた交渉を是正し、地球規模での食料・環境問題を解決するため、各国が自国の生産資源を最大限活用し、共生・共存できる「新たな農産物貿易ルールの確立」が求められている。
 また、FTA(自由貿易協定)については、現在、韓国、マレーシア、フィリピン、タイとの交渉が行われているが、特に東南アジア各国からは農産物の貿易自由化が求められている。先のメキシコとのFTA交渉でも見られたように、工業製品の輸出自由化のために、農業分野が大幅な譲歩を強いられ、食料や農業は大きな影響を受けることになるのは必至である。
 よって、本県議会は、国において、WTO及びFTAにおける農業分野の交渉に当たって、農業の多面的機能の発揮と食料の安全保障、各国の農業の共存と食料自給向上が可能な貿易ルールの実現を強く求め、下記の事項に取り組むよう強く要望する。

  1. WTO農業交渉では、世界的な飢餓の拡大や地球規模での環境悪化につながることのないよう、農林水産業の多面的機能の発揮や食料自給率の向上を図るとともに、各国の多様な農林水産業が共生・共存できる貿易ルールに改めるよう確固たる姿勢で臨むこと。 
  2. 上限関税の設定や関税割当数量の一律的・義務的拡大には断固反対すること。
  3. 国内農林水産業の維持を可能とする関税率水準や国家貿易体制、特別セーフガードの維持などの国境措置を確保し、急速な市場開放には絶対に応じないこと。
  4. 行き過ぎたAMS(助成合計量)削減の是正と、「緑の政策」の要件緩和など国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。
  5. 東南アジア諸国とのFTA交渉では、農林水産物の関税撤廃・削減は、国内農業への打撃を与え、WTO農業交渉や他国との交渉に重大な影響を与えることから、絶対に行わないこと。
  6. WTO・FTA交渉についての情報公開を徹底し、各国の農業者や消費者・市民の声を反映すること。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩名 秀樹

(提出先)

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣




食品安全行政の充実に関する意見書

 平成13年9月の日本におけるBSEの発生以来、日本の食品安全行政及び食品事業者に対する消費者の信頼感は地に落ちた。その後も無認可添加物、無登録農薬など、生産者や食品事業者による不祥事は続き、行政や事業者に対する消費者の不信は改まっていない。
 政府は平成15年5月に食品安全基本法を成立させ、同年7月には食品安全委員会がスタートした。安全性の評価を行う機関と、安全管理を行う農林水産省、厚生労働省などの機関を分離したことは、これまでの産業振興に係る省庁が消費者の立場を軽視してきたことからすれば一歩前進したといえる。 
しかしながら、食品安全基本法に「消費者の権利」に関する規定が盛り込まれていないことや、リスク分析においては科学的な評価ばかりが強調されている。
 今後、食品の安全性評価をどのように行うのか、消費者に軸足を移したリスク管理は実現するのか、また、利害関係者間での双方向の討議が担保されるのかといった不安や課題が残っている。
 食は命の礎であり、食べ物が安心・安全・安定的に供給されることは、すべての住民の願いである。よって、本県議会は、国において、食品安全行政の充実を図るよう、下記の措置を講じるよう強く要望する。

  1. 食品安全委員会の審議に県民の意見を反映するため、消費者の申出制度を新設し、措置請求権を保障すること。
  2. 生産段階での安全性確保と環境に負荷を与えない「有機農業」や「有機畜産」の推進のための法制度を確立するとともに、直接支払いなどの奨励制度を設けること。
  3. 安全性の評価に当たっては「予防原則」の立場に立つとともに、予想される結果が重大な場合は、科学的根拠が不十分であっても規制を行うこと。
  4. 食品安全委員会の自主独立を確保し、そのために必要な予算を確保すること。
  5. 食品安全委員会委員の選任に当たっては、それぞれの関係団体などからの推薦リストを基に選出し、選考基準・過程の透明性を確保すること。
  6. 輸入農産物の安全性を確保するため、輸入検疫や表示制度の充実を図ること。
  7. 違反事例については国や自治体が積極的に広報し、消費者に情報提供すること。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩名 秀樹

(提出先)

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣




「食料・農業・農村基本計画」の見直しに関する意見書

 現在、政府は平成12年に定めた「食料・農業・農村基本計画」の見直しを検討している。平成17年3月に策定される新たな基本計画は今後の日本の食料・農業政策を大きく左右するものである。先に出された「中間論点整理」(中間まとめ)では、(1)担い手政策の在り方、(2)品目横断的政策等の経営安定対策の確立、(3)農地制度の在り方、(4)農業環境・資源保全政策の確立が示されたが、最大の課題である食料自給率の向上に向けての施策については先送りされ、また、出されている政策改革の方向が食料自給率の向上にどのように結びつくのか明確に示されていない。
 これまでの規模拡大・効率化一辺倒の農業政策を進めてきた結果が、BSEなどの食の不安を引き起こしている現状から、食の安全や環境問題などに配慮した政策への転換が必要とされている。
 基本計画の見直しに当たっては、「食料・農業・農村基本法」に基づき、食料自給率を引き上げ、食の安全・安定に結びつく施策を展開することが、日本農業の再生・発展につながると考える。
 よって、本県議会は、国において、「食料・農業・農村基本計画」の策定に当たって、下記の事項に取り組むよう強く要望する。

  1. 食料自給率については、この5年間、食料自給率が横ばいで推移してきた原因と関係諸施策の問題点を明らかにし、生産者と消費者の理解と協力のもと自給率引上げ政策を推進すること。
  2. 政策対象者たる担い手は、意欲を持つ農業者及び地域で「育成すべき担い手」として推薦される者等を対象とし、また、集落営農は、地域の条件に見合った多様な農業の展開を可能とするものとして位置づけること。認定農業者以外の農業者にも生産意欲を持てるよう施策を講じること。
  3. 新たな経営安定対策(品目横断的政策等)については、地域農業を支える経営が他産業並みの所得が得られ、耕作意欲を持てるよう本格的な所得補てん策とすること。
  4. 農地制度の在り方については、土地・農地等土地利用規制の体系を整備し、農地を農地として利活用できる法制度を早急に確立すること。また、構造改革特区でのリース方式による株式会社の農業参入の全国展開については、地域農業への効果、影響の検証、評価結果を十分踏まえて対応すること。
  5. 農業環境・資源保全政策の確立については、担い手以外の農家、非農家、地域住民などを含めた農業資源保全の「共同」の取組に対する支援策を、経営所得安定対策とセットで導入することとし、また、有機農業など環境保全型農業をこれまで以上に支援すること。現行の中山間直接支払制度については、拡大・充実して継続実施すること。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩名 秀樹

(提出先)

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣




郵政民営化に関する意見書

 日本郵政公社は中央省庁等改革基本法に基づき、郵便・貯金・保険の各事業を総合的かつ効率的に行うことを目的として平成15年4月1日に、国営の新たな公社として発足した。
 この中央省庁等改革基本法第33条には、「郵政公社の経営の独立採算制などの措置により民営化等の見直しは行わないものとする」と定められている。しかるに政府においては、公社発足後1年半で「郵政民営化の基本方針」を閣議決定し、平成19年の民営化をめざし来年の通常国会に郵政民営化の関連法案を提出しようとしている。
郵政事業は、全国24,700の郵便局のネットワークを通じ都市部を始め中山間地域、過疎地域にも広く公平なサービスを提供しており、地域住民にとって身近な存在となっている。三重県においても470の郵便局があり、金融機関の少ない中山間地域や過疎地域をきめ細かくカバーしている。
 しかし、郵政事業の民営化がなされれば、収益の向上など採算性を重視した経営が行われることとなり、不採算地域における窓口の統廃合や公平で均質なサービスの低下により、過疎地域等の住民の利便性が大きく損なわれることが懸念される。
 よって、本県議会は、国において、郵政事業が地域において果たしている公共的・社会的役割の重要性をかんがみ、その在り方について、利用者の立場に基づき十分な議論と慎重な審議を尽くされるよう強く要望する。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩名 秀樹

(提出先)

衆議院議長
参議院議長 
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
郵政民営化担当大臣




違法伐採木材等の輸入規制を求める意見書

 我が国は古くから森林を舞台として木材生産を行い、住宅や身の回りの生活用品として利用してきた。こうした持続的な営みの中で森林は守られ、国民はおいしい水、きれいな空気などの豊かな森林の恵みを享受してきたところである。
 しかし、近年、我が国では林業経営環境の悪化などにより、間伐など必要な作業が行われず、また、伐採後の植林さえ行われないような森林が増加しており、危機的な状況となっている。
 また、世界的な森林減少の危機が叫ばれ、その原因の一つとして森林の違法伐採が挙げられている。英国とインドネシアの合同調査によると、インドネシアで生産される木材の50%は違法伐採であるといわれている。このような熱帯雨林を中心とする急激な森林の減少は、持続可能な森林経営を阻害するものであるばかりでなく、途上国の経済発展、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすほか、地球温暖化や生物の多様性の喪失など地球規模での環境保全面から極めて重要な問題である。
 このため、2002年の環境国際サミットにおいても違法伐採について議論されており、既に、国際協力機関等を通じた違法伐採の問題の解決に向けた政府間協力が始まっている。
 我が国は、国産材蓄積が充分であるにもかかわらず、木材需要の約8割を海外から輸入しており、世界第2位の木材輸入国となっている。また、我が国は、世界的規模の森林減少に対して、地球温暖化防止など環境面における国際的な責務を果たすためにも、違法伐採等の外材輸入規制等の措置を講ずることが求められている。
 よって、本県議会は、国において、当該国の法律や条令に反して行われた森林の伐採による木材が我が国に輸入されないよう必要な措置並びに制度を早急に確立するよう強く要望する。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩名 秀樹

(提出先)

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
環境大臣




北朝鮮による日本人拉致問題を解決するため、
経済制裁を視野に入れた対応を求める意見書

 政府においては、日本人拉致問題の解決を図るため、第3回日朝実務者協議を11月9日から開催したが、北朝鮮からの説明は従来の説明と変わらず、示された物証については疑問点が多く、説明の訂正が相次ぎ、拉致被害者家族や国民にとってはつじつま合わせとしか考えられないものであった。
 このようななか、国会では、6月、参議院に北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を設置し、引き続き、今回の日朝実務者協議で持ち帰った資料の精査や北朝鮮への今後の対応を議論する場として、衆議院に北朝鮮による拉致問題に関する特別委員会を設置した。また、政府においても、横田めぐみさんのものとして北朝鮮側から提出された遺骨について鑑定作業を行ったところ、本人のものでないことが判明した。
 拉致問題の早期かつ完全な解決は、日本人拉致被害者やその家族はもとより国民全ての願いであり、北朝鮮側の時間稼ぎとも取れる対応を一刻も早く打開し、拉致問題を早期に解決するため、毅然とした態度で交渉に当たることが強く求められている。
 よって、本県議会は、国に対して、安否不明の拉致被害者の再調査を含めた拉致問題の早期かつ完全な解決に向け、経済制裁も視野に入れ、諸外国の協力を求めるとともに全力で取り組むよう強く要望する。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成16年12月17日

三重県議会議長 岩 名 秀 樹

(提出先)

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣官房長官




日米地位協定の改正を求める決議

 我が国には、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づいて米軍が駐留している。そのうち沖縄県には、全国の米軍専用施設面積の約75%にのぼる米軍基地が集中し、県土総面積の11%、特に沖縄本島の2割近くを米軍基地が占めている。
 本年8月13日の沖縄国際大学構内への米軍ヘリ墜落事故においても明らかになったように、これらの米軍基地のほとんどが県民の住宅地区に近接しており、県民は生命の危険にさらされている。さらに、米軍基地から派生する航空機の騒音、実弾演習に伴う弾薬の住宅地への飛弾と騒音や振動、山火事や赤土の流出による自然環境の破壊、油や汚水の流出、PCB等有機廃棄物の不適正な処理等による環境悪化の諸問題は、戦後59年を経た今日においても後を絶たず、県民生活に多大な影響を及ぼしている。
 これらの米軍基地に起因する様々な事件・事故等から国民の生命・財産と人権を守り、福祉の向上を図るためには、施設及び区域の提供、管理、返還や合衆国軍隊の活動及び合衆国軍隊構成員等の法的地位等について規定している現行の日米地位協定を改正する必要がある。
 ドイツのボン補足協定は、1959年の締結以来3度も改正されているのに対し、日米地位協定は1960年の締結以来一度も改正されていない。日米地位協定が締結されて44年を経過した今、もはやその運用改善だけでは米軍基地をめぐる諸問題の解決は望めず、日米安全保障条約を堅持しつつ、対等な立場で日米地位協定を改正するときが来ている。
 よって、本県議会は、国において、国民の生命、財産及び人権を守る立場から、日米地位協定を見直し、抜本かつ適正に改正することを強く求めるものである。

 以上、決議する。

  平成16年12月17日

三重県議会


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