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三重県議会 > 県議会の活動 > その他 > 第4回 会議録

第4回 会議録

開催年月日  平成18年7月20日(木)  10:00 ~ 17:00
開催場所   四日市市大字日永5450-132 総合医療センター西棟2階特別会議室
       津市白山町南家城616 一志病院管理棟2階会議室
出席委員   9名
    委 員 長   大住 荘四郎 氏 
    委員長代理   古宮 正章 氏
    委   員   阿曽沼 元博 氏
            熊木 登 氏
            鈴木 裕子 氏
            野田 由美子 氏
            北川 裕之 氏
            石原 正敬 氏
            野田 勇喜雄 氏
出席説明員   総合医療センター 院 長     小西 得司
                 運営調整部長  片山 達也
                 看護部長    竹下 ちづる
        一 志 病 院  院長心得    垣本 斉
                 運営調整部長  西山 善久
                 診療部診療部長 小西 邦彦
                 看護部長    吉水 千代子
        県立病院経営室  室 長     伊藤 隆 ほか

【会議の経過とその結果】

1.総合医療センターの現地調査について
 ○大住委員長 本日はご多忙の中ご出席を賜り、厚く御礼申し上げます。
   ただいまから「第4回三重県議会公営企業事業の民営化検討委員会」の総合医療センターの現地調査を開始させていただきます。
   私ども委員会の構成メンバーは事前にお知らせさせていただきましたところですが、勝手ながら最初に、院長先生から皆さんの紹介をお願いできればと思いますので、よろしくお願いします。

 小西院長によるスタッフ紹介
 ○大住委員長 ありがとうございました。それでは、ご説明をいただいた後、各委員から質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

片山運営調整部長から資料説明。
(質疑・応答)
 ○大住委員長 ありがとうございました。それでは、引き続きまして質疑に移りたいと思います。各委員から何かご質問等がございましたら、発言をお願いします。
 ○阿曽沼委員 がん治療、特に放射線治療など、装備が重要になってくると思いますが、ハードウェアとしての装備及びソフトウェアとしての人材の確保という面で、どのようにお考えでしょうか。
 ○小西院長 まず人の問題ですが、腫瘍専門医は三重県では非常に少ないです。国立がんセンター等に私の後輩がおりますので、こちらへ来てくれるようお願いは続けているのですが、現実問題、国立がんセンターも医師の取り合いとなっており、なかなか厳しい。三重大学で今度、新しい腫瘍講座ができまして、その先生とは以前からコミュニケーションを取っていまして、できあがった医師というよりも、若い興味のある医師に来てもらい、こちらで研修に出して人材育成をしていかないとダメだろうと思っています。
   放射線科の治療専門医については、うちに専門がおりますので、これはそれほど問題となっていません。
   先生仰られたライナック治療(放射線治療)ですが、数ミリ単位の放射線治療の世界となっており、うちの機械はかなり古く、十数年前のもので、精度もだいぶ落ちてきています。ですから、この病院が将来何をめざすのか、または公立病院として何をしていかなければならないのか、それには何の機械が必要なのかという議論をしていかなければなりません。今現在、機械は相当小型の、一番小さい機械を借りていますがかなり大きい。今、ライナック治療については世界で2つか3つのメーカーしかございません。その機械を買うとなってくると、建物の見直しもしないといけない。もう少し小型の機械ができてくればいいですが、悩みの種でございます。
   それから、がんをほんとにやっていこうと思うと、PET-CTは避けて通れません。この問題は先般、知事とお話しさせていただきましたが、機械を買ったらいいという問題ではなく、公立病院として「なにを、どこまで、どうするか」という、大きなビジョンを立てる中で、投資するならするという基本戦略を作らないといけません。もう一点は、同じ機械を近隣の病院も買っているというのは無駄な投資となります。地域の、北勢地区の医療をどういう風に分担し、病病連携をしっかりやっていかないと、無駄な投資が発生してしまいます。棲み分けというのを考えていかないといけないと思っています。今現在、医療計画に従い、より高度な救急医療、また、がんを目指せということになっておりますが、救急医療となるとどうしても血管系の病気は避けられませんので、神経内科、脳外科、循環器科、心臓血管外科を中心とした血管疾患、それから、がんを治療するチームの2つをメインとしまして動いております。
   平成6年に病院ができましたが、治療機械は十数年経過したことになりますが、機械として数世代時代遅れのものとなり、今後病院をどうしていくか、それにはどういう機械がいるかという議論を院内ではやっております。
 ○阿曽沼委員 経営的視点から見ると、縮小均衡して、だんだん病院が悪くなる、なくなっていくという悪循環が多く、モラルが向上して、なおかつ人材が集まって来るというのは非常に難しい。
 ○熊木委員 病病連携についてお話が出ましたが、四日市にはこちらと同規模の市立病院があり、機能分担はどのようなものか、例えば病病連携のような形で実際に具体的取組は行われているのでしょうか。
 ○小西院長 院長同士、医師同士の意見交換会のレベルでは、「うちはこれをやめるから、そちらでやってください」といった話は正直言って難しい、というかできていません。ただ、うちの病院としては、市民病院が眼科医を3人持っているのであれば、「こちらは縮小しようか」という話はしていますが、大きな流れとしての話は難しい。この問題は院長同士が話できる問題なのか、やはり、病院の設立者、管理者たるものが話をしないと、院長同士のプライベートコミュニケーションだけでは難しいということは理解していただきたい。現実として、診療科目はかなりの部分が重なっています。私立は600床近く、こちらは400床と、病院の大きさは違いますが、とくにうちがやっていて向こうがやっていないというのはありません。当初、病院を設立する段階で、市民病院と県立医療センターで話し合いがありましたが、単なる口約束で全部覆っております。病院としては、収益が上がる部分、患者が多い部分はどんどん拡げて、病院を大きくしていきますから、平成5年当時はそういう話し合いがありましたが、そのとき限りで、今はもうすべて同じようにやっているという状況です。
 ○大住委員長 役割分担としては、市立病院とミッションが近いという理解でよろしいでしょうか。
 ○小西院長 今の段階では、「うちはこれをやるから、あなたはこちらをやってください」という話は、総合病院として、ある部門が抜けると時計の歯車が一つ抜けたような状態となり、そこらの棲み分けが、三重県では進んでいないところがあります。うちの病院として、例えばがんに特化するというと、がんというのは救急医療ではない、慢性期の医療です。そういう慢性期の医療と救命救急センターという急性期医療を併用しながら400床の病院をここでやっていけるかというと、かなり荷が重いと感じています。だから、がんの中でも、分野を絞って基本的な戦略を作らないと、あれもこれもとなると非常に膨大な投資、400床の病院でこれだけの投資をして、ヘリポートもありますので建物としても非常に高い、そのために減価償却も大変であると。荷物をたくさん背負いすぎると何でも屋になってしまう。その場合に、話し合いというと、今後医療計画を県で、あるいはもう少し広域になるかもしれない、その中で、四日市、北勢地区の病院の棲み分けとして、要らなければ潰してしまえばいい、そういうコンセプトのようなものがないように思える。総合病院としては、私は、基本的には市民病院がやればいいのであって、県立病院としては、特殊医療だとかより高度な医療を目指すべきだと、個人的には思いますが…。
 ○阿曽沼委員 普通に考えると、救命救急に重点を置くと、病床稼働率を落とさざるを得ないといった面についてはどうでしょうか。
 ○小西院長 診療科によって、稼働率の高いところと低いところに差があります。特に小児などは、感染症がありますと、症状によって同じ病院に入れられないなど、非常に稼働率が悪い、4人部屋に1人といった状況は良くあります。ところが、整形外科とか外傷部門は非常に多い。いかに早く他の慢性期病院に返すかという現状で動いております。救命救急センターに患者が入った場合も、一般病室へ移せない、それで、1次、2次救急ですと、外傷が来ても他の病院でお願いしますとお断りせざるを得ない状況です。
 ○阿曽沼委員 市立とは競合関係にあり、患者としては競争して安く良い医療が受けられればよいということもありますが…。
 ○小西院長 病院というのはある程度コンペティションが必要だとは思います。地域に一つで我が物顔になってしまうとまずい、良い意味でコンペティションがあった方がお互い切磋琢磨して医療レベルが上がるという面はありますが、ただ、無駄な投資となると、それは逆効果ということです。
 ○野田由美子委員 今までのお話を伺っていても、市立病院との診療科の重複関係など、なかなか県民にとっては受け入れられない部分の話もありましたが、適切な役割分担、それを実現していくためには何が必要だと考えますか。  ○小西院長 院長一人の考えでは何ともなりませんが、一つは、県の医療計画に従って県立病院の在り方が決められるのであって、「がんと救急をやれ」ということで、今その2つの分野に集中して取り組んでいます。では、他の分野はどうするのかというと、どうしても地域の患者さん、地域の開業医から、「自分の診ている患者さんを受け入れてくれる病院であってほしい」ということになりますので、はっきり言いましてコンビニのようにいろんなレベルの症例がいっぱい送られてくる。もう一つは、公立病院だと、高齢者などなかなか民間病院で受入を敬遠されていたり、色々な病院を回ってきた後の手の掛かる症例を多く受け入れないといけない。しかし、我々ががん、救急だけをやるということは、院長としてはやりやすいですが、そうすると地域の医療機関からものすごいクレームが来る、「なぜ我々の患者を診てくれないのか」といったことです。要は、開業医にとって都合のいい病院というのが地域医療、市民病院ということです。ところが、公立病院ですと、この疾患だけをやって、こういうことをやってきます、より広域に、病院から患者さんを送っていただけるようなものにならないといけない、そうすると、地域の患者さんを受けることができないというギャップがあるというのが現状になります。そういうことから、「県立総合医療センター」という名前から、「総合病院ではないか、何でも入院なり、治療なりしてくれるべきではないか」と言われてしまうので、「総合」の語句を取りたい、「コンビニではない、専門店だ」と言いたいという思いがあります。
 ○阿曽沼委員 大阪などは成人病センターががんの拠点となって、歴史的に世間に認識されてうまくいっていますが、そこまでいくと良いのですが…。
 ○小西院長 自分だけですべてのがん患者が診られるわけではないので、私としては、乳ガン、肺ガン、子宮ガン、前立腺ガン、大腸ガンの5つに特化して、スタッフも勉強しなさい、それには医師、看護師という別ではなく、組織横断的なチームとして、患者さんの診断、治療、化学療法、緩和ケアまで含めた、テーラーメードの医療システムを作っていかないと、従来の縦の組織だけではダメだとみんな理解していますので、そういう組織を早く確立していきたいと思っています。
 ○阿曽沼委員 前立腺となると放射線治療の比率がどんどん高まりますよね。
 ○小西院長 小腺源の問題と全身照射とありますし、2~3ミリの誤差を問われる機械が今三重県ではございません。これを大学がやるのか、どこがやるのか、決めていただいて、うちがやるなら「やります」と、私は声を出します。小腺源に関しても、設置場所を特定しておりまして、小腺源を扱う色々な周辺機器も整備しています。ただ、それを三重県180万の規模で考えたい。そうすると、非常に高い機械ですが、三重県全体で一つあればよいが、三重大学が数年先に買うかもしれないというのではもったいない。あるいは、一人か二人でできるものではない。やはりチームとして、前立腺ガンしか診ないという看板を立てないと、尿管結石などたくさん外来で来られると手が回らない、やはり、この病院としてやっていけない。いずれにしても、民間にして好きにやりなさい、経営主体としてやりなさいというのも一つの選択ですが、公立病院として、地域では難しい分野をやっていくのであれば、やはり特化をして、投資して、人材育成をやっていかないと、何でも屋というのでは難しいです。
 ○阿曽沼委員 チームというのはセンター化するのですか?
 ○小西院長 将来はセンター化したい。ただし看板だけ掛けても意味がない。チームで特化して、成績が上がって、第三者に評価されるようになってかたセンター化したい。
 ○古宮委員長代理 BSCですが、「当院の推薦率」では3年間で急速に上がっていますが。
 ○小西院長 アンケートによるものです。簡単に言うと、外来、入院患者両方から。
 ○古宮委員長代理 3年間でこれだけ上がっているのは、どういう成果であると見ていますか。
 ○小西院長 具体的には推薦度は「あなたがまた病気したときにまたここに来ますか、他人に紹介しますか」という内容に近いものですが、やはり、顧客に対する接客度・説明が一番だと思います。また、インフラが良くないと、アメニティという面で良くない。「ここへ来て良かった」と、「医療を受けて良かった」という結果がこういうフィードバックになっている。一番は、看護師の接遇が大切です。
 ○古宮委員長代理 市立病院との紹介率の差などは分かりますでしょうか。
 ○小西院長 これは、四日市は北と南で大きな道に隔てられておりまして、その北と南ではっきりと棲み分けられています。非常に地域性があります。
 ○阿曽沼委員 病院の経営というと、これからは事務官の質が重要になってくる、例えば、すべてに通じている、病院財務の数字が読める、経営のサポーターが必要・重要だと考えますが…。
 ○小西院長 アメリカなどは、マネージャーが院長よりも強い権限を持っている。スタンフォードのマネージャーからコンピュータのシステム説明を受けたことがありますが、血管の医師が何人手術室に入って、どれだけ手術して、手術時間がすべてチェック記録され、来年の契約に使われている。日本の病院はその辺が非常にアバウト、どんぶり勘定です。病院の収入というのはどこでも厳しい。その収入をいかに確保するか、いかにコストを下げるか、これはもう経営の哲学ですが、医者というのはどちらかというと会社で働いている技術者で、院長はプラスアルファで度量、ノウハウなり先を見る目が必要ですが、やはり、事務長、マネージャーは本当の専任職員が欲しい。後ろにいる方には失礼になるかもしれませんが、数年おきに異動で転勤となる、こんな状態では病院におけるDPCとか分からない、よく分からない請求書が出てきたりしたときなど、コメディカルが行った適切な医療をきちっとした診療報酬でもらうというどん欲さが必要ではないかと思います。今のやり方ではダメで、替わってきたばかりの人に診療報酬やら病院のコンピューターシステムの委託とか言っても分からない、逆にかわいそうでもある。最低でも5~7年は一生懸命勉強しないと無理です。本来、プロの職員がいるべきポジションです。コンピュータ部門、医事部門、病院部門をきちっとマネジメントできて、それが事務部門から診療部へフィードバックされるシステムであって欲しいです。
 ○野田由美子委員 独立行政法人など、運営形態としてはどう考えますか。  ○小西院長 私の考えですが、独立行政法人であろうが、地方公営企業であろうが、やろうと思えばできます。制度の問題ではないと思います。民営化しないと何かできないというのは言い訳に過ぎないと思います。抵抗勢力の違いは少しありますが。
 ○阿曽沼委員 個人的には経営主体をどうするのかという議論ではなく、柔軟に、かつ、スピーディに動ければ、要はそれでよいと思いますが、全部適用事業などで、誰が責任をとるのかという部分が曖昧な面があります。
 ○大住委員長 経営形態については、本質の話ではないのかもしれませんが、より、ましな方といっては何ですが、より好ましい形態というと、どうでしょうか。
 ○小西院長 民間病院では当然利益を中心に医療ができます。利益が上がらない部門は切り捨てていかざるを得ない。それでも納得してくれる。しかし、県が、この病院で何かやっていけというなら、影響力を残しておかないとだめです。民営化したら、もう言うことは聴きません。「そんなことしたら赤字になる」と。災害医療など最も顕著な例ですが、災害のために人を育成するなど、普段何もなかったら、何の役にも立たない。消防署も火事がなければ仕事がない。それが災害医療なのです。いざという時、そのために人、物を備蓄しなければならない。これは民間では無理です。災害拠点病院という位置づけがありますが、民間では名ばかりです。県立は曲がりなりにも、それなりの訓練をしていますが。
 ○鈴木委員 逆に災害拠点やがん専門にやっていく方が、県立病院として相応しいと。
 ○小西院長 これを決めるのは県民、県の行政のトップであろうと思います。各々現場の意見はありますが、それを決めるわけではない。それが医療計画であって、我々は県立病院でありますから、医療計画に従ってやっていかなくてはなりません。
 ○鈴木委員 医療計画は5年に一度の見直しであり、機動性に欠けるのでは。
 ○小西院長 意思決定に1年、2年かかっていては遅すぎる。2~3年経ったら今の医療の考え方が変わっているかもしれない。
 ○鈴木委員 県立病院の意思決定を行う行政のトップは、管理者である病院事業庁長ですか。
 ○小西院長 そのために、地方公営企業にしたのではないですか。病院事業庁長は、人の採用とか色々なことができる権限を持った。今までは知事に許可を取る必要がありましたが、今は責任を持ってできます。私は病院事業庁長ではないので決定権はありません。独立行政法人もうまくいっているところとダメなところもある。そこは私も勉強している最中です。一番大事なことは、我々の病院が、県民の医療サービスをいかに下げずにいい医療を提供していくかという基本的な概念を持っておかないと、やれ経営だ、やれ組織だと動いてしまうと、医療レベルが下がって病院の収益が上がったというのでは、それは本当に県民にとって幸せなのか、医者という立場では、収益一辺倒ではとてもやっていけません。
 ○阿曽沼委員 病院毎のBSCはありますが、病院事業庁としてのBSCはありますか。
 ○片山運営調整部長 あります。
 ○阿曽沼委員 それは、目標はちゃんと達成しているのか、この目標で良いかどうかという判断は誰がするのでしょうか。
 ○片山運営調整部長 病院事業庁長です。  ○阿曽沼委員 例えば人材育成の問題、県民全体の医療政策だとかは、事業庁の人が考えるのですか。
 ○片山運営調整部長 県の医療として、我々を含めた4病院で、それぞれどういう姿、方針でというのはありますが、それに従いさえすればよいというものではなく、それを受けながら各病院が役割を踏まえて行動していくというPDCAサイクルを回すという仕組みです。
 ○野田由美子委員 仕組みとして現場にどれほど浸透しているのでしょうか。
 ○小西院長 病院としての院長BSCシートと、部門シートと、もう少し小さい単位のグループで作成していますが、あまり関与しない他の部門までを、お互いがチェックし合うのは無理です。ただ、職員とのフリートークを年4回行っており、全部説明しています。興味のある人は、「他の人、部門ではこういうことをやっているのか。これは取り入れられないか。」といった話は出ています。この仕組みは、ないといけないと思っています。実際、重要なコミュニケーションツールとなっていますし、数値目標が一人歩きしないよう、議論は積み重ねているつもりです。
 ○竹下看護部長 看護部長のBSCシートもあります。
 ○鈴木委員 診療報酬制度の改訂を受けて、全国的にますます看護師不足となってきていますが、来年度に向けて看護師の採用試験の応募者はどうでしたか。
 ○竹下看護部長 思いのほか少なかったです。現状は中堅の30歳台から50歳台の看護師が「研修する時間や機会が欲しい」と言って離職することも多く、定着率は3割程度です。20歳台前半の就職して初めての仕事だと、一種のカルチャーショックを受けて辞めていってしまうので、できるだけ事前に実習生として受け入れて採用試験を受けてもらうよう努めています。県外の看護学校へも募集に出向いています。診療報酬改訂で七対一看護ができたので、増やしたいと思っているのですが…。
 ○阿曽沼委員 日赤93病院あって七対一看護がとれるのは2病院しかない…。

 ○小西院長 もし、確保できれば、そういう方向に向いていきたい。今のままでいくと、ベッドを減らすか在院日数を減らすかどちらかしかない。十対一のままで当分やむを得ないが、いつまでもこのままではいけない。在院日数を減らす方法を多くの病院が採るのではないでしょうか。
 ○野田勇喜雄委員 民営化となると利益追求が第一目標となるおそれがありますが、現場の医師、看護婦、職員が望んでいるのであれば、そういう方向で報告書も検討していきますが。職員の成果主義による報酬制などの手法も含めて…。
 ○小西院長 私は民営化論者ではありません。民営化すればすべて解決するという単純な話ではないと思います。
 ○野田勇喜雄委員 複数年予算、事務職員の異動ローテーションなど、今の枠組みではうまくいかないといった現場の声があるのなら、そういったものも報告書の中に入れていければと思っているのですが。
 ○小西院長 病院として、1年1年の単年度ビジョンでやっていってもダメで、そのために病院事業庁が中期計画、3年計画を作ってやってきました。予算は単年度でも、中長期目標の中での短期目標をこなしていくという姿勢は必要で、それはやってきています。企業と同じことだと思います。民営化が即問題解決とは考えません。県として、県立病院は持たないというのも考え方の一つであって、福岡県などがそうですが、国立も独法化し、県立も民営化、独法化が進んでいますが、結局は病院の努力、経営形態を先行して話をするのではなく、この病院には何が足りないか、地域的なマネジメントをしっかりしてからでないと、目隠しして高速道路を走るようなことになってしまいます。私が今一番思っていることは経営のマネジメントができる職員、事務部門で、プロパー職員が必要であるということです。県の職員がダメというのではありません。異動になって1~2年で、コンピュータ維持管理の契約はできません。やはり7~8年やっていただかないと難しいです。
 ○北川委員 医師確保について、県立病院が担うべきかどうかは分かりませんが、地域、へき地への派遣について研修医制度の変更で全国的に危機的状況になっている、県内でいうと、これまで三重大が研修医の確保ができなくなっているという中で、県立病院が研修医の受入も含めた医師確保の体制確立に力を注いでいくべきなのか、そこはどのようにお考えでしょうか。
 ○小西院長 三重県にいかに医師を確保するかということですが、お金ももちろんありますが、指導体制に魅力がある病院でないと研修医は来ません。例えば、山田赤十字病院は研修医用の官舎を造りました。鈴鹿市は研修用の建物を造りました。それが良いかは分かりません。山口大学が医師を派遣できないという話になったとき、県立病院と市民病院4つぐらいがプール制度を作りお互いギブアンドテイクしましょうという制度にしました。三重県でもやろうとしましたが、うまくいっていません。大学も県立ばかりに医師派遣するわけにもいかない。三重県全体で医師確保をしていかなければなりませんが、三重県として医師プール制を始め、院長の判断で研修医をシニアレジデントにして5~6名おりますが、うちの病院に置いておきたいのですが、県内の病院とギブアンドテイクしています。今後は研修が終わった後、将来自分の専門へ進む中で、三重県にいていただく制度、県立病院でも大きなところが医師を10名15名なり確保しておき、他の県立病院へ半年、1年なり行ってもらい、その後、帰ってくるところを確保してあげる制度がほしいです。今後、三重県内のそれぞれの研修病院は、自助努力として魅力ある研修制度を作っていかないといけないし、それから、三重県全体のプール制とするかは別として、病院でお互いに困ったところを助けるという基本的な考えは、地域医療部会などで議論して、枠組みを作っていくべきだと思います。
 ○北川委員 議論する場としては地域医療部会?
 ○小西院長 審議会の下部組織です。もう一つは三重県の研修病院全体のMMCという委員会があります。いままで実はあまり動いていませんでしたが、委員長が替わりましたので、少し変わってくると思います。健康福祉部の方も委員として参加していますし、病院事業庁長もおりますので、十分県として発言する機会はあります。
 ○大住委員長 だいぶ時間が過ぎて参りましたので、引き続き、病院内の現場の調査をお願いします。ご説明ありがとうございました。
 総合医療センター内の災害備蓄品、屋上ヘリポート等を調査。

 

2.一志病院の現地調査について
 ○大住委員長 本日はご多忙の中ご出席を賜り、厚く御礼申し上げます。
   ただいまから「第4回三重県議会公営企業事業の民営化検討委員会」の一志病院の現地調査を開始させていただきます。
   私ども委員会の構成メンバーは事前にお知らせさせていただきましたところですが、勝手ながら最初に、院長先生から皆さんの紹介をお願いできればと思いますので、よろしくお願いします。

 垣本院長心得(以下「垣本院長」という。)によるスタッフ紹介
 ○大住委員長 ありがとうございました。それでは、ご説明をいただいた後、各委員から質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 垣本院長並びに西山運営調整部長から資料説明。
(質疑・応答)
 ○大住委員長 ありがとうございました。それでは、引き続きまして質疑に移りたいと思います。各委員から何かご質問等がございましたら、発言をお願いします。
 ○熊木委員 診療単価を見ますと、急激に下がってきています。どのような背景、経緯がありましたのでしょうか。
 ○柿本院長 外科の先生がいなくなり、高齢者、内科中心になっていったことによるものです。
 ○熊木委員 国の政策転換で、療養型病床を介護施設へ転換していくような施策、方向性に対してどのように対応していこうと思っていますか。
 ○柿本院長 国の方針は存じております。ただ、この病院は津市といっても、かなり地域に当たるところですので、療養型病床のニーズが少なくなるとは考えていませんし、そちらの方が逆に役に立つと思います。
 ○野田由美子委員 将来方向として、急性期、療養型の比率はどうなっていくとお考えでしょうか。
 ○柿本院長 病院としての方向性がまだ具体的に決まっていませんし、スタッフの充実度によって変更されていくと思いますが、ただ、個人的な意見も入りますが、今の医師の充足状況から、一般的な急性期治療をこの病院でやるのはかなり厳しいものがあります。療養型だけでいくのも制度改革もありますので厳しいですし、療養型も将来は減っていくかもしれませんが、当面は、一般病床のニーズは少なくなって、一般病床を減らして療養型でいくしかないのかなと、個人的な意見も含めてですが、思っております。
 ○阿曽沼委員 療養型で医療区分が相当効いてくると思いますが、状況として、「1」が多いのか、「2」、「3」が多いのか、どうでしょうか。
 ○柿本院長 今月から、そういう区分を正式に反映させる制度が始まりましたが、今までの流れからいくと、医療区分「1」がかなり比率は多いと思います。6~7割ぐらいは「1」だと思います。
 ○阿曽沼委員 医療区分は日々チェック管理していかなければなりませんが、区分「1」を在宅へ促すといった流れは…。
 ○柿本院長 難しい問題ですが、制度の流れが、介護保険ベースで動いていく施設に移行していくという方向ですが、はたしてそれが県立病院としてやっていくべき事かは別の問題です。地域のニーズとこの病院の役割の整合は難しい時期に来ています。
 ○阿曽沼委員 高齢化社会になってきて、県立、行政が介護保健施設、優良老人ホームの整備をやるべきだという考えがありますが…。
 ○柿本院長 院内では話はしていますが、県立という枠組みの中での話にとどまっています。
 ○野田勇喜雄委員 説明を聞いたところ、平成17年度以降が心配に見えるが、地域連携について、どうあるべきと考えていますか。開業医が診られないものを診るのか、開業医的にやっていくのか。
 ○柿本院長 近隣の診療所と、2次、3次救急である総合病院との関連でしょうが、外来部門の診療所としての機能は、現状では通常の診療所と変わりない事しかできてないというところを取り上げれば、診療所で事足りるのではないか、少し重い症状、救急については久居の国立で足りるのではという考えはありますが、療養型病床という意味ではまだニーズがあると思います。一般的な急性期医療を行う病院としてのニーズは少なくなったのかなと思います。
 ○西山運営調整部長 経営的には、医師の減少により、数字上はどうにもならないという状況です。
 ○熊木委員 在宅のニーズはあるのでしょうか。
 ○柿本院長 あると感じています。
 ○鈴木委員 ここを変えなければならないとか感じていることがありましたら、何か変わるためには、どうしたらよいとお考えでしょうか。
 ○柿本院長 目標の置き方によりますが、1.5次、1次といった診療所より充実した医療施設という目標でいくのであれば、一般急性期治療でもう少し医師の確保をして、津市の西部地域の救急を担っていくという、総合病院までは行かなくても、急性期治療をどんどんやっていくという選択肢もありますが、これは今、非常に厳しい状況ですが、これだけの施設があれば、そういう形でもやっていける方法もあるのではないか、要するに平成13~15年にやっていたような一般的な病院の形態をとり続けて、新しく津市となった西部地域の医療を担うという方法があると思います。療養型以外では、後は、センター化といいますか、特殊な病気を集中して扱うような、難病だとか、○○センターだとか、あるいは教育施設と絡めた啓発活動を伴っていくような施設、緩和の拠点、それをもっと内科の領域とか神経内科、小児科でも良いのかもしれませんが、この立地の中でできるセンター化というのも可能性としてはあるのかと思います。ただし、これは医療政策上いろいろ、大学との絡みで変わってくるものと思いますが。
 ○熊木委員 医師3名で回していけているのでしょうか。
 ○柿本院長 正直辛いところはあります。一般的な救急病院の体制は取れません。たとえ泊まったとしても、内科医2名、1名は交代、後は大学の臨時の応援という形で、なんとか365日救命救急を行っています。
 ○熊木委員 非常勤の医師10名は、常勤換算すると何名相当になりますか。
 ○柿本院長 1.4人くらいです。
 ○熊木委員 急性期の地域のニーズはどうでしょうか。
 ○柿本院長 立地として、旧白山町、美杉村の人口2万人弱の地域を医療圏と考えると、この規模の急性期治療としては、ニーズはあるにはあるが、これから伸びていくことはないのではないかと考えています。患者さんの考え方も、診療所業務と総合病院の二極化して分けて考えている心理があるなかで、中途半端な位置になってしまっている、ここで全部手術までするよりも、総合病院へ行くという意思がある、しかも、ここは離島ではありませんので、久居まで車で30分で行けますので。  ○熊木委員 一志病院以外に、この医療圏で急性期医療に対応できる病院が近隣にあるのでしょうか。
 ○柿本院長 入院可能なものは、旧津市、松阪市、久居市にいくつかあります。国立が久居にあります。
 ○古宮委員長代理 マネジメントシートでの患者のアンケートでは、「友人、家族が病気になったとき、当院を推薦するか」という質問に対して、平成16年度で80.4%が平成17年度で55.6%に下がっています。これは、病院としては総合的なものを目指しているからこういう結果になっているのか、それとも、療養型の中で何か不満があるのでしょうか。
 ○西山運営調整部長 診療体制で、医師が減ってしまった事が原因で、不満があるのかもしれません。
 ○柿本院長 ある意味、療養型に徹していけば、違う結果が得られる可能性もあるのかもしれません。
 ○阿曽沼委員 総合病院から療養型として転院してくるといった連携はあるのでしょうか。後方病院としての役割ですが。
 ○柿本院長 役割として一番高いと思っています。津、松阪地域の総合病院からの受入を地域医療として引き受けていこうと思っています。
 ○阿曽沼委員 今までは、まだそういったところへは力を入れていなかった?
 ○柿本院長 今までも、急性期をやりながら、療養型としては、従来からそういう方を引き受けさせてもらっています。
 ○熊木委員 この医療圏以外の、他の医療圏の総合病院からも転院はあるのでしょうか。
 ○柿本院長 実際に入ってこられる患者さんの住所は近隣が多いです。地元の人が帰ってくるのが通例で、まったく住むところが違う方が一志病院を選んでくるというのは、実際はありません。
 ○大住委員長 マネジメントシート、バランススコアカードだけで見させていただくと、目標の設定の仕方、目標に対してのアプローチ等、どうもうまくいっていないのかなと感じます。ミッションの再定義が必要ではないかと。平成14・15年度が計画上の一つの区切りで、平成16~18年度が現在の区切りですが、BSCも単純に引き継いでいくのではなく、その時期によって書き直しが必要ですが、そこが行われていないようです。
 ○西山運営調整部長 今の中期経営計画が平成16~18年度で、現状は、今までのものに、状況に応じて変更を加える程度の見直しを行うのみで、当然全面的な見直しの必要性は認識しておりますが、医師不足で想定外の事態になっており、緩和ケア問題で大学、事業庁も含めまして、いろいろありまして、現在の状態では大きな方向性は打ち出すこともできず、やむを得ない面があります。
 ○野田由美子委員 マネジメントシートによると、スタッフのモチベーションが下がってきてしまっています。医師不足等による悪循環に陥ってしまっているのかもしれませんが、もし、緩和ケアに集中して取り組み成果を出していけば、モチベーションの改善につながるのでしょうか。
 ○吉水看護部長 確かに下がっているのは感じます。ただし、現状の中でも少しでも向上していこうという気持ちを持たないとダメだということで、研修で、他の県立にも行かせていただいているし、地域に貢献できる研修、特に訪問診療ケア、CATV回線による遠隔診療、ホスピスケア、緩和ケア等に重点を置いて研修を行っています。
 ○野田由美子委員 やはり地域に貢献しているという意識、実感が、モチベーションの向上につながるということになりますか。
 ○吉水看護部長 そうです。緩和については小西診療部長も専門で理解をいただいているので、一緒になってやっています。
 ○小西診療部長 緩和ケアにというのは、医師主導でやるのではなく、看護師あるいはコメディカルによるところが大きい、そういう面もありまして、非常に高いモチベーションが保てています。ただ、三重県として、緩和ケアのニーズはあるはずですが、まだまだ医療サイドからの提供が少ない、例えば、麻薬の使用量について、一番多い北海道と比べますと、単位人口当たりの麻薬使用量は、三重県は半分くらいしかありません。そういったことは一つの象徴ですが、三重県は緩和ケアについて遅れているのが現状です。  ○阿曽沼委員 午前中、総合医療センターの方で、「がんの専門性を高めたい」という話がありまして、その中で緩和ケアについても少し話がありましたが、そことの連携の計画はありますでしょうか。
 ○小西診療部長 県立病院全体として緩和ケア機能を担っていきたいと思っています。これから緩和ケアの経済情勢も随分変わってくるのではと思っています。例えば緩和ケア病棟に関しても、今までは、もう治療はあきらめて入るというのが暗黙の了解だったところがありましたが、現在は、緩和ケア病棟に入っても、治療を継続したいというのが当然となってきまして、そうなりますと、今の緩和ケア病棟でやっている3万なにがしの金では足りないということになります。そうしたら、急性期病棟でやっている緩和ケアがうまくいくかといいますと、急性期病棟では1日1万7千円が4週間で終わりで、出ていってくれという状況になってしまう。いろいろ心配事があります。
 ○熊木委員 緩和ケアの患者さんは、地域だけか、三重県全域から来るのでしょうか。
 ○小西診療部長 他の地域の患者さんがここへ来るというのはありません。やはり、家族のそばというのを一番に考えますので。
 ○古宮委員長代理 マーケティングというか、連携を進めるということで、他地域の患者さんへの働きかけというのはどうでしょう。
 ○小西診療部長 インターネットでホームページを見て問い合わせはありますが、それ以上のものは今のところありません。
 ○大住委員長 一方で地域ニーズがあり、一方で三重県の政策医療に対し役割を担っていくということで、一志病院として何かやりにくい面もありますでしょうか。あるいは積極的に何か働きかけていくというお考えはありますでしょうか。
 ○柿本院長 県立病院としての制約は感じています。ここ以外で医療政策を検討する部会はありますし、色々な意見を聞きながらというのがありますが、ただ、病院としての展望は持ちたいと思いもあります。
 ○大住委員長 経営形態について、緩和ケアに特化するということもあり、公立の方がいい面があるということも考えられますか。
 ○柿本院長 公立の方がいいとうことは、ある意味、不採算部門ということで割り切りができるのかもしれませんが、そういう意味では、特殊なことをやっていくのであれば、公立というのは良いのかもしれません。ただ、経営的な面がうまくいくかどうかは分かりません。
 ○大住委員長 先進的、実験的試みについては良いのかもしれません。そういった面で、何か取り組んでいるというのはありますか。
 ○柿本院長 小西部長の方が詳しいですが、緩和に関してもいろんなシステムにチャレンジしているところはたくさんあります。意思決定一つにしても、公立では難しいところもありますので…。病院としての意見は小西部長から。
 ○小西診療部長 実験的な試みをやっていかないと、これからの緩和治療はどんどん進んでいますので。先程申しましたように、病院からどんどん追い出される患者が増えてくるとなると、在宅で看ないといけない人が増えてきます。在宅で看る社会資本が徐々に整備されつつありますが、まだ有機的にうまく繋がっていない。その辺を公立病院としてうまく繋ぐことができましたら、三重県初の在宅緩和ケアができるのかなと、そういう面でのモデルとなれるのかなと、個人的考えですが、開業医の先生で24時間体制をやってやろうではないかという方も随分増えてきまして、三重県では100人近くになってきまして、協力して下さる先生方が出てきている。その辺がもう少しうまく繋がれば、もう少し在宅で過ごしていただけるのかなと、今まで在宅で何人か看させていただきましたが、在宅で自分の親類を看取られた方というのは、かなり自分の生活を犠牲にされた方しかいらっしゃらなかったですが、そういうことなしに在宅緩和ケアができるようになれば素晴らしいことで、モデルケースとして発信できればという思いはあります。
 ○阿曽沼委員 この施設の器を有効利用することを考えると、今後の緩和ケアを考えると、家族が病院に泊まれる部屋を用意し、収入を得るなどの方策を考えても良いのではないでしょうか。待合室を改修して通所リハビリ施設にしたら相当立派な施設になるのではとか考えたのですけど。
 ○小西診療部長 家族泊は若干ですがやっております。
 ○大住委員長 この委員会では、昨年度からの経緯もありまして、民営化検討委員会ではないのです。ですが、経営形態の変更を一つの視野には入れています。その点について何かご意見はありますでしょうか。例えば、独立行政法人、指定管理者といった、新たな経営手法を取り入れることについてですが。
 ○柿本院長 これも今後の方針内容によりますが、地域に根ざした医療をやっていくということであれば、実質的に津市立病院という形で市町村レベルの役割がほとんどとなります。介護保険とかきめ細かいサービスをするために小回りよくするためにもその方がよいと感じております。独法化や指定管理者方式については、私としては、今の状態との明確な差を見つけだすことについてはよく分かりません。
 ○石原委員 踏み込んだ話になるかもしれませんが、緩和ケアで、近くに七栗サナトリウムがありまして18床、四日市で25床、松阪で18床あります。一方で緩和ケア病棟を作るという話がありましたが、予算を凍結しました。これは三重大学がガン拠点病院になるかどうかという話で新病棟を建てる建てないという話もありまして、県全体として、緩和ケアそのものをどうするかというのが問題としてありまして、情報として委員で共有していただきたいと思います。それと、もう一つ、津市として地域医療を担うという、県立から市立にという話について、そうなると療養型、旧美杉村という奈良県との県境に位置するところを医療圏として抱えているという状況の中で、私としてはPFI的な、もう少しこの検討委員会で、新たな視点でもって、療養型にするかとか、在宅というのがキーワードになるかと思うのですが、そのあたりで先ほどのご意見と齟齬がないかなと私は思っているのですが、現場の感覚としてはどのように考えているのか、どのようなご感想をもたれるのか聞いてみたいのですが。病院事業庁がいないと思っていただいて結構なので。
 ○柿本院長 私は内科医としての立場で、一般的な医療の方向で考えてしまいますが、地域医療ということであれば、介護保険も医療保険も無視した、地域の拠点としての役割で、在宅も含めてやっていく方向が、地域にとっては一番ありがたい施設になのかなと思っています。緩和というのは、もう少し大きい視野での話になるのかなと思います。方向性によって大きく変わる話です。
 ○石原委員 その中に緩和があっても、私は別に構わないと思います。もっと津市も、この地域の社会福祉というものに関心を持っていかないといけないと思いますし、そういう面からは、この病院については具体的な提言ができるのかなと思っています。
 ○吉水看護部長 以前、この地域で訪問介護をしていました。介護保険が入る前でしたが、訪問の車もありまして、白山地域を中心に訪問していました。介護保険がらみでステーションが置けないということがありましたので、訪問診療という形での訪問看護をしていますが、なかなか、地域的に美杉は山奥ですので、今やっております訪問看護ステーションも美杉まで入ってもらえないというのが現状です。採算に合わないということもありまして。再三、「県立病院として訪問看護は残していきたい」とお願いしていたのですが、現実はそれが叶わない状況です。地域の病院ということであれば、訪問看護は必要と考えます。在宅ホスピスも一緒に対応できる形態がとれれば良いということは小西部長とも話しています。
 ○阿曽沼委員 看護、診療、ケア、リハビリなど、全部患者さんから見ればシームレスなんですね。そういうトータルで対応できる必要性はあると思います。
 ○野田由美子委員 経営形態として、PFIというのは、コアの医療は自前で、周辺業務を民間に委託していく、一つの医療の現場で公共と民間が一緒にやっていくという、丸ごと民間に委託するのではないのですが、そういうやり方は実際現場としてどう考えますでしょうか。
 ○柿本院長 PFIをやっているところはいくつかありますが、私自身、経験として持っていないので、何とも言えませんが、業務委託といっても、周辺業務で、すぐに影響が出るところではないとはいっても、どこの部門についても、常に責任が、どんな行為についても付いて回りますので、マネジメントは相当難しいのではないかと想像していますが。この病院については、規模的にあまりメリットは出にくいのかなと、もっと大病院のところであれば、スケールメリットも入ってくるのかなと思います。
 ○大住委員長 他にございませんか。それでは、引き続き、病院内の現場の調査をお願いします。ご説明ありがとうございました。
 一志病院内のCATV回線による遠隔診療設備、緩和ケア病室等を調査。

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