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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成14年度 委員会会議録 > 平成14年8月6日 教育警察常任委員会 会議録

平成14年8月6日 教育警察常任委員会 会議録

教育警察常任委員会会議録
(閉 会 中)

開催年月日   平成14年 8月6日(火)  14:00 ~ 16:55

開催場所   全員協議会室

出席委員   9名

委員長 福山  瞳 さん
副委員長 杉之内 昭二 君
委員 田中  博 君
委員 木田 久主一 君
委員 中村 進一 君
委員 萩野 虔一 君
委員 溝口 昭三 君
委員 水谷 俊郎 君
委員 岩名 秀樹 君

欠席委員    0名

 

参考人   県立津西高等学校前校長 佃    薫 氏

参考人助言者  三重大学名誉教授 若松 孝慈 氏

         立命館大学法学部教授 吉川 義春 氏

出席説明員

〔教育委員会〕

教育長    土橋 伸好 君

政策企画分野
総括マネージャー    中沢  薫 君

教育支援分野
総括マネージャー    安田 敏春 君

学校教育分野
総括マネージャー    澤川 和宏 君

その他関係職員

〔県立津西高等学校〕

校      長    山下 統生 君

教      頭    梶原 久代 さん

前教頭
(現宮川高校長)    福田 一哉 君

その他関係職員

 

傍聴議員   4名

松田 直久 君

真弓 俊郎 君

大野 秀郎 君

辻本  正 君

 

県政記者クラブ加入記者      20 名

傍聴者              22 名

議題又は協議事項

   教育委員会関係

    1 所管事項の調査

      平成14年度県立津西高等学校入学者選抜問題について

    2 委員協議

 

 〔会議の経過と結果〕

 〔開会の宣告〕

 〔参考人の紹介〕

 〔参考人の助言者の紹介〕

 〔カメラ取材の許可〕

 

 〔教育委員会関係〕

  1 平成14年度県立津西高等学校入学者選抜問題について

  (1)佃参考人の意見陳述

  (2)参考人の助言者の発言

    〔三重大学名誉教授 若松孝慈氏、立命館大学法学部教授吉川義春氏〕

 

○佃参考人 本日、参考人として出席の求めに応じることを決意しましたのは、今回の津西高の追加合格通知を出したことについて、その事実経過と私の考えていたことを申し上げ、本来合格すべきであった生徒が不合格のままとならないよう、改めて正しい判断のもと、追加合格を確定していただきたいという願いからであります。
 本日の委員会も、プロジェクト会議の一般代表の委員の御指摘がありますように、この問題解決に必要なのはどのような手続きが必要であったとか、だれにどのような決定権があったとかというのでなく、適切な採点基準で採点ミスのない採点がなされたかということにポイントを置いて質疑を進めていただきたく存じます。
 この問題で最も重要なことは、当該の生徒の答案が正確であったのか、部分点対象であったのか、あるいは誤答であったのかを明らかにすることです。県教委の方々、教科の教員、教頭とともに答案をチェックする中で問題となりましたのは、次の点であります。
 英語につきましては、お手元の資料13、14ページをごらんください。
 英語4番、(1)の(2)の回答について、正答例がShall I go with you?ですが、正答例と同じにもかかわらず減点されている者が5名おりました。
 また、Let's go together. Shall I go there together? がそれぞれ1点減点となっておりました。
 またその下の4番の\(2\)の解答について、B、家で本を読んだを選択した者が、"I read a book at home." という英作文に続いて、自由発想の英文を求められているところで、正答例は、It was very interesting.ですが、It is very popular.は0点とされていました。私は英語科教師でもありましたので、これは正解ではないかと考え、若松先生の御意見も聞き、4の(1)については1点、4の(2)については2点を、合計7名の受験生に加点いたしました。
 社会につきましては、5番目13ページです。5の(2)の正答例が、憲法の内容に反しないようにすること、2点ですが、憲法に従う、憲法に基づく、憲法に沿う、憲法の精神を守るが0点とされていました。私は専門家の意見に基づき、72名に1点を加点いたしました。
 以上の結果、5名が合格点に達しましたので追加合格者とし、3月31日に合格通知を発送いたしました。この学問上の専門的な内容につきましては、助言者である若松教授、吉川教授の御見解をぜひお聞きいただきたいと存じます。
 追加合格通知を発送するに至った経緯につきましても、御承知のこととは存じますが、資料の0ページに簡単な時系列のメモ、また詳しくは5ページ以降をごらんいただきたいと思います。
 私が今考えておりますことは、資料1ページの(1)と(3)に書きましたように、本来合格すべき生徒が採点ミスで不合格になることは、当該生徒の一生に大きな心の傷を負わせることになります。1点に泣き1点に笑う高校入試において、この学問的正当性の検討が何にもまして優先されなければなりません。そういう意味で、それこそ教育的配慮から一日も早く追加合格者の権利回復の是非について協議をしていただきたいということであります。
 私が3月31日に追加合格決定をし合格通知を発送するに至りましたのは、そういった思いからであり、もしそのまま放置すれば不合格になってしまうことに耐えがたく、学問的正当性、真実性の視点に立って短期間に判断し、取り急ぎ苦渋の決断をせざるを得なかったわけでございます。
 今回のことは、3月25日に県教育委員会が答案の閲覧を認めたことがことの発端であります。県教委の御発言の中に、答案の閲覧は学校長が決めたとおっしゃっているやに伺っております。しかし、まぎれもなく3月25日に教育的配慮から閲覧させることを県教委が発案し開示請求者に通知し、学校長に指示したものであります。
 この県教委の判断は、私は正しかったと理解をしておりますが、それを行ったことから答案についての質問なり疑問が発生してまいりました。県教委におかれましては、最後まで正しい判断で追加合格を認めていただくべきであると考えております。
 確かにいろいろ論議がなされておりますとおり、私の追加合格決定と合格通知の発送には、手続的には不十分なところがあったかもしれません。このことにつきましては、既に厳重注意書をいただき、その非難は甘んじて受けさせていただくべきものと心得ております。しかし、最も大事なことは、正しい答案を書きながら合格すべきだった生徒が不合格になっているという事実です。その救済のため、やむにやまれぬ緊急の措置をとったものです。
 最近、入学試験の判定ミスが相次ぎ、社会問題化しておりますが、三重県も他府県の高校や国立、私立大学のように迅速かつ誠意を持って、この問題の解決に御対応をいただき、間違いがはっきりした場合には改めて間違いは間違いと認め、正式に合格となるようお願いする次第です。
 私がこの問題で心を傷めているこの4カ月間に、見ず知らずの県民の皆さんや教育関係者、特に中学校関係者などから、佃は間違っていないとの励ましの電話や文書をちょうだいいたしました。また新聞記事によれば、文部科学省や教育評論家の尾木直樹先生の御意見、さらに三重県立高校入学選抜プロジェクト会議委員長の織田教授が、三重大学の学生諸君に新聞記事を読ませて書かせたレポートの多くが、私の判断をサポートしてくださっていてありがたいことと思っております。束の間ではあったのですが、報われた気分にひたることができました。しかしながら、不合格のままになっている生徒たちの心情を思えば、断腸の思いがいたしております。
 教育警察常任委員会の先生方、県教委の皆様方、そして津西高の管理職の先生方、この後若松先生、吉川先生に御意見を述べていただきます。どうかお話をお聞きいただき、受験をする中学生やさまざまな教育関係者、三重県民に納得していただけるような解決に向けて御協議賜りますようお願い申し上げ、私の陳述とさせていただきます。
 そこでまことに、時間がもう少しあるわけでございますけれども、私のこの話を完結するためにぜひ委員長さまにお願いしたいわけでございますけれども、お二人の助言者に私の述べえなかった学問的な見地からのアウトラインと言いますか、そこを少しばかりお二人から述べていただいて、あわせて私の陳述とさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○福山委員長 佃参考人の発言が終わりましたけれども、御要望がありましたので、お二人の学者の方に簡潔に、ご本人に20分ということでしたので、少々のところは結構でございますけれども、簡潔に述べていただけますでしょうか。

○若松三重大学名誉教授 失礼します。若松と申します。昨年の3月まで三重大学教育学部におりましたが、定年を迎えまして、昨年の4月から岡崎市にある愛知産業大学短期大学に勤務しております。三重大学の方には、現在も週に1回ですけれども大学院の学生とか学部学生の一部授業をやっております。
 高等学校及び大学における入試につきましては、かねがね関心を持っておりました。平成14年度県立津西高等学校の入試の合否判定につきまして、最大の問題点はどこにあるのでしょうか。それは、入学試験選抜検討プロジェクトの会議の委員の方の提言にもありますように、佃前津西高等学校校長先生の作成されたこの平成14年度津西高入学者選抜に関するメモ、資料、新聞記事等ちょっと長いタイトルがついておりますので、メモ、資料と今後読ませていただきます。その2ページの下から3行目に、記述式問題はなぜ導入されたかという点と関係していると、私は思います。
 日本は経済大国と言われながら、日本人のものの考え方がよくわからないと、こういう意味で日本社会はブラックホールと例えられ、日本人は舌のもつれた巨人、tongue tired giants と、こう表現されております。21世紀を迎えて国際化時代、情報化時代の真っ只中にいる私たちは、明治以来築き上げてきた受信機文化から脱出して発信型コミュニケーションのできる若者を育成したい。1998年から1999年告示の学習指導要領外国語(英語)の中のキーワードは、実践的コミュニケーションという表現が使われております。マスコミによりますと、県教委の方々も、今後も記述式を重視すると言われております。私はこの方向は間違っていないと確信しております。
 このような試験問題を、おのずと記述式問題がふえる傾向をたどりそうですが、出題者と採点者は非常に慎重な作業をしていただきたいと願っております。
 時間的な制約もございますので、具体的な英語4の(1)と(2)について申し上げたいと思います。
 私はかねてからネイティブスピーカーの英語はすべてではない、日本の中学生や高校生の実状に配慮した採点があってもいいのではないかと信じております。私のスタンスは、メモ・資料の17ページに表明しておりますが、一つだけその中で、一部修正をさせていただきたい部分がございます。それは(1)のShall I go together?のtogetherというのは、あくまでも複数の人間が対象であるべきだと思います。正確には、その点ではShall we go together? またはShall I go with you?と言うべきかと思います。
 しかし、私がネイティブチェックをした中には、2点満点の中のうち1点をあげてもいいのではないかという声もありましたし、採点につきましては、出題の趣旨に合っていれば部分点も可との付記もありますし、日本語では一緒にというのはtogetherとこう考えがちな日本人の英語学習の実状を考えるときに、0点はかわいそうであろうと考えますので、1点ということではそのとおりでよかろうと、私は思っております。
 しかし、一応は判定基準にいささかの狂いがあってはいけないという私の気持ちと、本会議での説得性を持たせるためにも、私もネイティブスピーカーズ・オブ・イングリッシュからコメントをもらいました。協力してくださった方々は、名前はもちろん申し上げませんけれども、全員現在日本の大学、三重大学、四日市大学、名古屋女子大学、静岡大学、信州大学、こういうところで英語を教えられているネイティブスピーカー5人と元三重大学教育学部英会話講師をされて、日本の英語教育に非常に関心の強い米国一般市民の方御夫妻一組、それから現在アメリカのミシガン州立大学で教授をされている方1名を含めて、計7組、人数としては8名のコメントをいただいております。
 4の(1)と(2)につきましては、結論的に言いますと、Shall I go with you?これは御異論ないかもしれませんが、正解、2点満点。それからShall I go together?これが少し私も問題にするところですが、このtogetherの使い方が日本人には非常にわかりにくということがあります。
 それからネイティブスピーカーでも、1点やっていいのではないか。あるいはちょっと完全なまとまった考えにはまだなってないなというようなことを考えまして、私は1点でかまわないと思っております。
 Let's go together.についてですが、これは1点とされていると思います。これについては、いろいろな考え方も出てきておりますので、あとで紹介できると思います。Let's go together.とLet's go there together.一緒に行きましょう、一緒にそこへ行きましょう、there があるかないかということでは、ネイティブスピーカーの人に聞きますと、これは何の相違もありえない。there というのは当然わかっているわけだからあえてthere を言わなくてもいい。でも言っても間違いではないということで、Let's go together.につきましては、全員の方が丸、2点をあげるべきだというふうに言われております。ただ一人の方が、Let's go together.で1点をあげた人たちの考えも理解はできるということを言われております。
 それから、Shall we go together? そこへ一緒に行きましょうかと。これは大体全員が正解、丸、2点とこういうふうにしております。
 問題は、Let's go together.が1点になってるということです。こういうネイティブスピーカーの非常に熱心な解答がありました。Kazuyaの回答がThank you.である。それを考えるときに、Shall I go with you?よりもむしろLet's go together.の方がより正しい解答である。
 なぜならばもしBetty がShall I go with you?あなたと一緒にいきましょうかと言ったのであれば、それは明らかに質問しているわけであるから、Kazuyaの回答はThank you.の前にYes をつけて、Yes\ thank you. と言うべきであった。この場合、日本語ではありがとう、Thank you.でもよいが、英語では私たちはまず質問に答えて、次にその人に感謝の言葉を述べるのが普通である。例えば、Would you like to have some coffee? コーヒーを飲みますか、と言われたときに、黙ってThank you.と言わないで、Yes,thank you.あるいはNo,thank you,please. こういうふうに言うのが英語の普通の考え方だということでございます。私もこの考え方、ほかの方気づいておられなかったかもしれませんけども、ほとんどの方が間違いなく支持されるであろうとは考えております。
 次に、(2)It is very popular. ということですが、これは0点をとっているわけですけれども、私が先ほど述べました全員の方がなんでそんなことがあり得る、満点だよこれは、という人ばかりでございました。一人の方が、もう時間がありませんが、その生徒が0点を取った理由の一つがpopular という単語を他に使っている者がいないからですか。それは大変ひどいし度量の狭い者のように聞こえます。私なら満点を与えたと思います。以下、ちょっと時間の関係で省略しますけれども、全員がいろいろかなり厳しい言葉も含めて満点だということを宣言しております。
 結論的に私は、4の(1)においてはLet's go together.はthere の有無に関係なく完全に正解とすべきであり、1点ではなく2点を与えるべきであると考えます。
 4の(2)につきましては、I read a book at home.に続くIt is very popular. もこれも完全に正解とすべきであり、0点でも1点でもなく2点を与えるべきであると確信しています。
 言葉はきついかもしれませんけれども、私は正しいことは正しいということが通るのでなければ、三重県の教育界の将来は暗いものになると思います。若者がびくびくすることなく、のびのびと外国語を楽しみながら学習する時代が来るべきだと思います。改めるにおそすぎることはありません。こういう会議は3月の時点ですべきだったとは思っております。
 以上です。

○吉川立命館大学法学部教授 では、ごく簡単に述べさせていただきます。
 問題は皆さんご存じのとおりでございますし、教育委員会の方からお配りになっておりますパンフレットの3ページに出ておりますが、この問題5というところの、Aの三角形の一番頂点を日本国憲法と書いてその下が法律、その下が命令、規則と書いた図がありますが、これがA班がつくった資料だと。これが日本国憲法が最高法規であることを示していると。憲法の下位にある法規はどのようなことを守っていかねばならないか、A班の用いた資料に着目して書きなさいという問題なんですが、教育委員会の示された正答例は、憲法の内容に反しないようにすることということだそうでございます。
 この教育委員会の資料では解答として憲法に従うと、これがいいのかどうかと、0点であると、その理由を3ページにお書きになっております。どういう採点基準であったのかというのがちょっとよくわからなかった、いろいろな情報で知っておったわけですが、きょうお書きになってるのと私が聞いておったりいろいろな情報から得たものとは必ずしも一致はしていませんが、ちょっと変わってきております。
 今回の新しいといいますか、三重県教育委員会のきょうお配りいただいたものによりますと、どのようなことに相当する解答を求めることになるのか、どのようなことを守って、どのようなことに意味があるんだというようなことをお書きになっておりまして、内容についての言及が不十分で憲法を守るという解答と同じだ、0点だと、同義反復だという言い方をしておるわけであります。
 私が把握しておりました西高校の教科会議か何かの話による採点基準だと、教育委員会の正答例にあります憲法に反しない、違反しないということが書かれてることが重要で、これから離れてはだめなんだと。したがって、では法律はつくられていない。上から下ろして法律をつくっているわけではない、不適切だからバツだということでありました。
 それから最近入手しました情報開示異議申立書ですか、理由書に添付されているところを見ますと、県の正答例は内容に反しないんだと。2点という満点をもらえるのは、反しないとか違反しないなんだと。1点もらえるのは内容面についての関係の説明が十分とらえられていない、きちんと読み取れないから1点だと。内容に合致したとか基準としてだと。
 ちょっとごめんなさい、私のつくりました意見書の2ページのところの1点、次2点とありますが、これは0点です、訂正しておいてください。0点だというのは、内容面での関係が不十分だと、説明がなされていないというようにつくるとか守るとか従うはだめだと。
 憲法、法律という上位規範と下位規範との関係について言及しているのみで、内容面での関係について説明がなされていないと判断した。それで、なお注として、文章的には広くとらえた場合には正解とすることもあり得るが、津西高では内容面での関係についての説明を求めているのであり、同校の求めている水準には達していないと判断と、こうあります。概して言うならば、内容を強調しておられているわけですね。
 意見として、時間がないということで簡潔にやらなければいけませんが、簡潔に言いますと、従うを中心に言いますと、従うという意味がどういう意味があるかと、一般の受験生なり中学校を卒業した高校の受験生なり学生さんがどういうことを知っておればいいのかと、日本語として。これは2ページにお書きしたとおりでございまして、いろいろな辞書にも法律に従い、言われたとおり、意向のとおりするとか、広辞苑によりますと自分より強大なもの、不動不変な物の権威や存在を認め、自分の行動をそれにあわせるというふうなことですが、その他ずっとありますが、法の条項で従うとか遵守と書いてありますが、慣例法規などに倣う、依る、違反しないようにするという意味を持っておるというふうなことが書かれております。
 その他のことは省略いたしますが、憲法98条の最高法規性ですけれどもsupreme law という第10章に3カ条を設けている、97ないし99条を設けています。この問題では、別に県が言っております98条というのは問題文には出ておりません。最高法規であることを示しているがということでございますので、この3カ条とも生きているのではないかと思われる節があります。
 ところで、日本国憲法が最高で、このピラミッド型の憲法、法律、命令とありますね、3ページの三角の絵。このような図解は上位規範、下位規範を示しているのですが、これはハンス・ケルゼンという今日だれも疑わない法段階説を示しているわけですね。憲法は成文憲法といいまして、法律と同じような改正手続ではない。国民投票も必要ですし、議会の3分の2以上の賛成も必要ですしということで、硬性憲法という硬い性質の憲法と言われるんですが、そういうものを持っているときには当然のことなんだと。別に最高法規ということを言わなくても、法段階説で上のものに反する下の下位規範は無効、その次から、その下のものに反するものは無効とこうなりまして、だから憲法だけではなくて法律に反する命令も無効なわけでございます。そういうことで当然のことなのであります。
 だから、日本国憲法が特に98条で最高法規性を定めているのはどういう意味かということについて、当然のことを規定したに過ぎないんだと。あるいは実質的な意味は何なのかということですが、これはいろいろイギリスの法の支配とルール・オブ・ローと英国憲法の法は何人の下にもない、しかし神と法の基にあるということで、根本規範である憲法を王様も守らなければいけないというようなことから出てきている。憲法による国家性、権力の制圧性とモンテスキューの法の精神などに由来するものなんですが、アメリカは連邦優位の条項としてこれがあるわけですけれども、日本は連邦優位の条項は直接関係がございません。
 そこで、問題は、憲法が最高法規性で特に断って、98条でこれに反するものはその効力を有しないと規定しておりますが、これはどういう意味かということですけども、非常に時間がないようですのではしょりますと、矛盾するということですが、これは形式上の矛盾、すなわちある法令の内容が憲法の条項に違反しなくても、内容でなくても、その法形式が憲法の定める正当な法形式によらないで定められている場合、権利を奪い義務を課す条項、あるいは刑罰を定める条項を命令で定めたという場合は、憲法違反の無効になります。白紙委任命令も同じなんですね。憲法が白紙委任で命令にゆだねたという場合は無効になります。だから内容だけを言うというのは誤りです、これは明らかに。
 その次に、手続上の矛盾、内容の矛盾や形式の矛盾がなくても、その制定手続が憲法の定める正当な手続により制定された場合。条約が事前にも事後にも国会の承認がなく締結された場合、これも無効ですね、憲法違反になります。内容、実質上の矛盾。内容そのものが憲法の禁止している事項であると。検閲を定め検閲をしてはならないとありますが、検閲を定めるものとか、両院制を廃止するというような法律をつくってもこれは無効になります。そういうことで内容だけが無効だと。守ればいいというものではないということであります。
 最後に、このように検討してきますと憲法に反しない、内容がしるされていない解答は丸をつけないというのは、どうも誤りではないかなと思われます。その点、従うは違反しないことで同じようなことになるんですが、そのほかのことで先ほど問題になりました、憲法に沿うとか憲法に基づくとか憲法の精神を守るとか、みな同じ趣旨だろうと思います。
 なお、ちょっとつけ加えますと、みんなはしょりまして、どのようなことをことを守ってつくられなければならないかというのが問題ですね、この問題は。下位の法律などはどのようなことを守ってつくらねばならないかということなんですが、今のような法律的な議論をちょっとさておきましても、憲法に違反しないからよい、ほめられたものであるというわけではないので、ぎりぎりかつかつ合格点、60点で憲法には違反しないけれども、100点ではないというのはたくさんございます。
 例えば、憲法で文化的な憲法第25条の最低限度の生存権を保障する。あるいはここの教育委員会でもやっておられますが、教育を受ける権利の実質的保障というものはプログラム規定として立法の裁量にゆだねられておりますので、多少、悪くたって別に憲法違反にはならないと思いますけれども、立法に携わっておられる委員さん、県議の先生方は、そういう憲法の理想に向けてよりよい教育とか生活保障とかを実現しようとして尽力しておられるのではないかなと、このように思います。
 だから、単に憲法に違反しないということだけで事足りるというのは、かえっておかしいのではないかと。むしろ先ほど解答例にありました憲法の精神を守ると、精神を推進していくというふうな方が、かえってどのようなことを守ってつくらねばならないかに合致するのではないかなというふうに感じます。
 詳しい内容は、また後に。終わります。

 

  (3)質疑・応答

 

○福山委員長 まず委員長から、委員会を代表いたしまして質問をさせていただきます。
 今回の津西高校の入学者選抜問題について、なぜ冒頭申し上げましたような事態になったのか、その根本的な原因は何だとお考えになりますか。
 参考人、教育委員会、学校関係者の方にそれぞれお聞きいたします。順次御発言いただけますでしょうか。

○佃参考人 根本的な原因を一つ申し上げれば、県教委が、従来そうであったんですが、入学者選抜問題の採点基準、正答例が一つしか用意されていなかった。後は学校の裁量、判断に任せるというところにあったかと思います。これは現在、プロジェクトで検討されているところでありますけれども、前年度まではそこに根本的原因があったと思われます。
 私の経験したどの学校におきましても、特に受験生の多い学校におきましては、当日、学科主任が大変な思いをされて、自分の科目が始まりますと、早速自分なりに目をさっと通して何番をどの先生にやっていただこうか、これに奔走するわけでございます。そして、時間のあいてきた人からすぐに、あなたは1番、2番、あなたは7番、8番と言われて、早速採点にかかるわけでございます。大体私の経験した学校では2名が中心だったです。2名の先生が本当に採点をしながら基準をつくっていくということでありまして、さまざまな時間的な、物理的な、人数的な制約から全員が一同に会して、まず何か協議をしようというような場はとてもつくれません。
 それと、あと文部省の見解なんですけれども、私の資料の9ページをごらんいただきたいと思います。資料9ページの4月16日の朝日の朝刊のところに御紹介がございます。9ページの真ん中辺でございます。読ませていただきます。文部科学省の見解は、教委が採点基準の幅を示し各校がそれに倣うべき。県内の全校が同じ目の高さで採点するのが望ましいという見解を述べられております。
 また、その下の5月6日の中日新聞の記事でございますが、これは尾木直樹先生、教育評論家であり東大の教育学の講師をしていらっしゃる方ですが、低レベルな混乱というタイトルで、憲法に従うを0点にしたのは極めて主観的な採点である。採点基準だけを学校に任せたために起きた低レベルな混乱だ。記述式問題で生徒のどんな力を見ようとしているのか県教委が明確に示すべきだ。採点基準をきちんと決めて公表すれば学校にも責任感が出てくるということでございます。
 そして、私が常に思っていることでございますが、来年から中4日間という日を取っていただくようでございますけれども、ぜひとも社会なら社会の10人の先生が一同に会して、本当に中学生の受験をした身になって実際に解いてみていただきたい、全県下でやっていただきたい。同じ時間内で中学生がどれだけできるのか。それでもって県教委に対して、ことしの問題はよかったよ、難しかった、ちょっと多かったかな、そういうことが進言もできるかと思います。そして解答例に、恐らく来年からも複数解答が予定されるようでございますけれども、そこに出てこない発想が、高校の先生、集団から出てくるはずでございます。
 そういう中で、もう一度県から与えられた模範の解答、複数の解答を例に、その学校の先生方が加わって、その学校独自の解答、正答例基準というのをつくっていただきましてするならば、本当に生徒の立場に立った、中学生の立場に立った採点ができるのではないか。私は常にこれを持論として持っているところですけども、特に来年からはそういうことをぜひみずからやってみると。そして協議をすると自分の学校で採点をきっちりとつくるということをやっていただきたいと思うわけでございます。
 とにかく、根本的原因というのは、従来からやっておりましたその学校裁量における正答例が一つということにあったように、私は思っております。

○土橋教育長 今回の一連の津西高校の入試につきまして、これまで受検生初め保護者、県民の皆様の高校入試に対する信頼を損ねましたことに、改めて心からお詫びを申し上げます。
 まず、県教委といたしましては、資料1に基づきまして今回の経緯について澤川総括マネージャーから簡単に御説明を申し上げます。

○澤川学校教育分野総括マネージャー お手元にお配り申し上げております平成14年教育警察常任委員会と題する資料をごらんいただきたいと思います。
 1ページをめくっていただきまして資料1の1ページについて、平成14年度県立津西高等学校入学者選抜についてと題する資料の1ページについて、簡潔に御説明申し上げます。
 まず第1番目の経緯についてでございます。
 3月13日、県立高等学校入学者選抜の第1次学力検査が実施されておりまして、同日、津西高校におきましては、各教科の採点が行われました。
 2つ目の○3月18日、入学者選抜委員会合否判定会議を経まして合格者が決定され、翌19日、発表となったわけでございます。
 3月25日、受検生二人の保護者が、県の情報公開室に答案用紙の開示について相談があったわけでございます。うち一人の保護者からは答案用紙と合格基準の開示請求がその後なされております。また津西高校におきましては、受検生二人の全教科の答案、及び佃前校長から指摘のありました英語については、全受検生の答案を確認したところでございます。その過程で、英語の一部に採点のブレ、採点ミスが判明しましたが、合否には影響がないということを確認してございます。
 3月26日、二人の受検生が津西高校において答案用紙の閲覧を受けております。
 3月27日、津西高校におきましては、各教科の担当教員が学校としての採点基準を再点検しております。採点基準に問題がないということを結論として確認してございます。
 3月28日、佃前校長は、二人の両教頭に対しまして、これら二人の受検生から指摘のあった箇所について、みずからの意見に基づき採点を見直した場合にどうなるかシミュレーションを行うようにというような指示を行っております。
 一つ飛ばしまして、3月31日23時ごろと、私どもは認識しておりますが、佃前校長が該当中学校長及び県教委宛の文書を投函しておるというところでございます。
 年度が変わりまして、4月1日でございます。その日の朝、前校長から連絡がございまして、私ども県教育委員会といたしまして、前日の3月31日に該当の文書が投函されたということを私どもとして知ったわけでございます。その後10時ごろ、県教育委員会は前校長から事情を確認いたしましたところ、重大な問題があるというふうに判断するに至ったわけでございます。なお、この投函した郵送文書の回収につきましては、前校長も同意しておるところでございます。その後、県教委からの指示、連絡を受けた新校長の判断によりまして、関係中学校の同意を得た上で、開封前に各学校から郵送した文書を回収したということでございます。
 また、4月2日、3日の両日でございますが、新校長の体制のもとで社会、英語の2教科について教科担当教員で採点基準について改めて見直し、当初の採点基準で問題がないということを改めて確認しておるわけでございます。
 あと、資料には書いてございませんが、補足として説明させていただきますと、5月8日になりますが、佃前校長に対しまして県教育委員会から5名に対する追加合格文書は所定の手続を経ていないと。したがって公務員の信用を失墜させる行為であるということを記しました教育長名の文書を手渡して、遺憾の意というものを伝えておるところでございます。
 翌5月9日、津西高校にかかる一連の事実関係について記者会見し、事実関係を公表させていただいたというところでございます。
 1枚めくっていただきまして、資料1の2ページについてでございます。2の採点基準についてということでございます。繰り返し申し上げるまでもございませんが、各学校における採点基準は、県教委の示す正答例等を基に各学校の判断により決定されるというのが現行の制度でございます。
 あと3番の合否決定についてということでございますが、合格者の選抜は、三重県立高等学校入学者選抜実施要項に定められておりまして、各学校はこれに則りまして学校ごとで内規を定めているというところでございます。
 津西高校におきましては、入学者選抜委員会で合格者決定の原案というものを作成いたしまして職員会議である合否判定会議を経まして、最終的に学校長が合格者を決定するということでございます。合格者の決定というものは学校長の権限とされておるわけでございますが、これら御説明申し上げた所定の規則でありますとか内規に基づいて適正な手続を経るということがあくまでも必要でございます。
 以上でございます。

○山下津西高等学校長 校長の山下でございます。
 今回の一連の津西高校の入学者選抜で、受検生、保護者、県民、県議会の皆様方に対しましていろいろと御心配をおかけいたしましたことに対し、学校の責任者として深くおわびを申し上げます。
 なお、3月末日までのことにつきましては、その当時の梶原教頭、秦教諭及び福田教頭が順次御説明申し上げますので、御了承ください。
 以上でございます。

○梶原津西高等学校教頭 昨年より津西高校の教頭をさせていただいております梶原でございます。
 本校の採点、合否判定、そして英語の採点基準を御説明申し上げます。
 まず本校の採点についてでございます。本校では、今回の採点には全体で70人の職員が当たりました。各科目とも入学試験が開始されると同時に教務主任から問題と正答例が該当の教科主任に手渡され、採点の業務分担案を作成いたしました。試験終了後、採点担当教員全員で採点基準について協議し、その後採点に取りかかりました。
 英語については、佃前校長を含め14人、社会については15人が採点に当たりました。採点する前には熱の入った議論を行うなど十分に検討した上で採点基準を定めておりますが、ただ予期しなかった解答が出る場合があり、その場合には採点基準を見直し調整するなど、慎重に採点業務を行いました。
 次に、合否判定に至るまでを説明させていただきます。
 まず校長から命じられた教員で構成される入学者選抜委員会が、県教委が示した入試要項に従い、本校の14年度の選抜要項並びに実施要項を作成し、校長がこれを了承しました。これらの要項に従い、本校のすべての入試事務が進行していきます。入学者選抜委員会は、調査書や学力検査等の各種資料をもとに合格者の原案を作成し合否判定会議を経て、最終的に校長が決定いたします。
 次に、前校長が問題にしておられる英語の問題の採点基準について、配付資料2の1ページをもとに簡潔に御説明申し上げます。
 まずお手元の資料2の1ページの四角で囲まれております問題を確認していただきたいと思います。4、(1)の(2)の正答例はShall I go with you?となっています。3の部分の当該解答Let's go together.については、次の理由により1点の減点を行いました。
 問題の指示文の中に、四角の中に示された内容に合うように対話を完成させなさいとあります。また四角の中に、Betty はKazuyaと図書館まで一緒に行くことにしたとあります。従って、望ましい解答としましては、私が何々します、または私が何々しましょうかのように、Kazuyaに対してBetty の意志を明確に示す助力の申し出をあらわす英文が求められると考えました。ところが、Let's は私と相手の行動についての勧誘、提案であるため四角の中の指示を踏まえたものとは言いがたいと考えました。
 次にBetty とKazuyaの関係については、Kazuyaの最初の問いかけがExcuse me.で始まっていること、問題四角の中に、Kazuyaは図書館の場所がわからないので近くにいた女性に道を尋ねたとあることから、初対面の間柄であると判断ができます。Let's という表現は一般に、家族、友人同士等の人間関係が築かれた者同士の間柄で用いられるものであり、設問文の状況の中で Let'sという表現が使われることについては、二人の人間関係に応じた自然な発言とは考えがたいものであります。以上の理由により当該解答については、1点の減点を行いました。
 次に、同じく4、(1)の(2)の当該解答Shall I go together?について御説明申し上げます。
 togetherという語は、通常単数の主語とはともに用いないことからこれは1点の減点を行います。
 次に、お手元の資料2の2ページの四角で囲まれております問題を確認していただきたいと思います。
 4、(2)の問題について御説明申し上げます。この正答例は、I read a book at home.It was very interesting. です。ところが3番に書いてあります当該解答は、I read a book at home.It is   very popular. となっております。これについて、次の理由により0点といたしました。
 第1文、第2文各2点の配点とし、2文全体を一つの発話または発言としてとらえて、まとまりがない場合は、第2文を0点とする採点方法を取りました。当該解答につきましては、今から申し上げる理由により解答の第2文を0点としました。
 第1文と第2文が一定のまとまりを持つためには、例えば本を読んだ、その本はおもしろかったと自然なつながりが必要であります。解答の第1文、第2文ともに客観的な事実しか述べていないために、聞き手または読み手にそれでどうしたのか、その本はどうだったのか等の違和感や心理的な落ち着きのなさや唐突感を与えます。したがって、これらの2つの文だけではまとまりのある発言とは言いがたいと判断しました。
 また、第1文が過去のこと、第2文が現在のことをあらわしていますので、聞き手または読み手は視点を急に移動させなくてはなりませんし、第2文のItの指示関係についてもあいまい感を与え、違和感のある発言となっております。以上の理由により、2文全体としてまとまりがないと判断をし、第2文を0点といたしました。
 特に、英語につきましては英語を専門とする前校長みずからも協議とともに採点業務に携わりました。最も採点基準及び採点の経緯を熟知している前校長が、後になって採点基準がおかしいと言われるのは、私には到底理解ができません。
 以上でございます。

○秦前津西高等学校教諭 当時、社会科教諭で政治経済を担当しておりました秦でございます。
 社会の問題の採点基準につきまして、配付資料2の3ページをもとに御説明申し上げます。配付資料2の3ページをごらんください。問題5の(2)の採点につきまして御説明申し上げます。
 この問題は、ある学級のA班が国の基本法としての憲法というテーマで調べたことを発表したという設定のもとに、まずA班が発表で用いたとされる憲法を最も上に、そして法律、命令及び規則と続く三角形の図が置かれております。三つの図の一番左のものです。そしてその下に次のような問題文が書かれております。問題文は、A班が用いた資料は日本国憲法が最高法規であることを示しているが、憲法の下位にある法律などはどのようなことを守ってつくらなければならないか、A班の用いた資料に着目して書きなさいというものです。
 正答例として県教育委員会は、憲法の内容に反しないようにすることを示しております。受検生の解答の中に、憲法に従うというものがございました。この設問は、憲法の内容に反しないようにするという正答例が示しますように、憲法の最高法規性についての考え方を問う設問であります。憲法98条の内容をどの程度理解しているか、そしてそれを明確に表現しているかを採点に当たっての基準といたしました。申すまでもございませんが、憲法98条第1項とは、この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部はその効力を有しないというものであります。
 さて、この設問を要約しますならば、法律などはどのようなことを守ってつくらなければならないかということでありまして、この中のどのようなことの部分に当たる解答を求めているものということができます。ここで、どのようなことの部分に当たる解答としましては、憲法とそのもとでつくられる内容面の関係が的確に述べられていることが得点の条件となります。例えば、憲法を守るという解答につきましては、問題の中の波線を引きました部分です。どのようなことを守ってつくらなければならないかのどのようなことを憲法に直接に置きかえたものであり、解答として求めております憲法と法律の内容面の関係の部分が全く述べられていないと判断し0点といたしました。
 憲法に従うという解答につきましても、どのようなことに相当する部分、つまり憲法と法律の内容面の関係についての言及が不十分で、先ほどの憲法を守ると同様の解答であるととらえまして0点といたしました。
 なお、ここには記載しておりませんが、県内の中学校で使用されております社会科公民分野の教科書におきましては、憲法の最高法規性の説明といたしまして、憲法に反しないあるいは違反しないことの必要性が明記されております。そして多くの受検生が憲法98条の文言である反しないという表現によって最高法規性を正しく理解していることを、答案から読み取ることができました。
 以上でございます。

○福田津西高等学校前教頭 この3月まで津西高校で教頭をしておりました福田でございます。よろしくお願いします。
 受検生から情報開示請求があった時点から3月31日深夜までの佃前校長の言動につきまして、最も身近にかかわった者として、配付資料2の4ページで御説明申し上げます。津西高校の説明概要と書かせていただいたものでございます。ごらんいただきますようによろしくお願いします。
 まず、開示請求についてお話をいたします。
 3月22日金曜日でございますが、校長室で私ども教頭2名が、前校長から受検生Bさんが本校を受検し不合格だったと。合否判定が決まる前に知っていたら何とかなったのにとの趣旨の言葉を聞きまして、えっと驚きました。
 翌3月23日でございます。夜7時ごろ、PTA役員会の後、私と梶原教頭は前校長から答案のチェックを指示されました。実は前日の22日に、ある受検生とその両親が学校へ閲覧の請求に訪れたのですが、その受検生Aさんのではなく、前日、前校長が話題にしていた受検生Bさんの答案のチェックでした。Bさんからはその時点で何ら開示請求の要求が学校に対して一切なされておらず、私は不信に思いました。どうしてBさんの答案のチェックなのですかと尋ねました。すると前校長は、Bさんの答案を見て問題があればAさんのを見ると妙なことを言いました。結局、Bさんの答案を点検しましたが、このとき前校長は、英語の解答の一部について、この答えは丸でもいいのになと感想を述べましたが、結局問題なしと前校長が判断されて、Aさんの答案は見ませんでした。
 次に3月25日でございます。二日後の3月25日の朝、前校長が親しい関係にある保護者の受検生であるBさんとCさんが、相前後して学校に簡易開示を求めてきました。その後、両保護者はすぐに県の情報公開室を訪れたと、後で知りました。それで、先ほど簡易開示というのを申し上げましたが、この簡易開示につきましては、受検者本人が希望すれば受検した学校で調査書に記載されている各教科の評価及び学検の各教科の点数を知ることができる制度でございます。
 それでは、閲覧についてお話をさせていただきます。
 同じく3月25日午後、前校長からBさん、Cさんの答案を閲覧させることになったと聞きました。夜閲覧に備えて5教科の代表者と校長、教頭の合わせて13人で、5教科の採点基準について再点検を行いました。さらに、閲覧することになったBさん、Cさんの答案も再点検しました。特に英語の答案については、前校長が二つの問題の解答について異論を述べましたので、英語の問題の箇所については担当教諭6名で念入りに検討を重ねました。英語教員であった前校長を交え、夜7時ごろから11時半過ぎにかけて、時間をかけ検討しましたが、結局採点基準について、英語も含めて5教科とも問題なしということになり、最終的に前校長が了承いたしました。
 次の3月26日でございます。Bさん、Cさんに対する当日の閲覧の手順について、前校長を含め関係者で打ち合わせをしました。受検生への配慮から教頭が一人で対応すること。受検生から質問が出れば説明できるよう、担当教科代表が別室で待機する。開示とは違うのでコピーは認めないなどを決めました。
 しかし、梶原教頭が対応することとして臨んだにもかかわらず、受検生と保護者があらわれるやいなや前校長が教頭を制して、みずから直接対応し、答案をコピーしてもよいとか問題があったら塾の先生と相談してくださいとか発言するなどしまして、前校長は事前の打ち合わせとは全く異なった言動を取りました。閲覧はあくまでも受検生に試験の結果を理解していただくためのものと思っていましたが、受検生の疑問をわざと大きくしようとする前校長の言動に、不信の念を抱かざるを得ませんでした。
 英語について、この日にCさんが指摘されたところは、前日に前校長が主張した箇所と論点が一致していまして驚きました。加えて翌日、Bさんから出された意見書の分も合わせると、前校長が主張していた箇所と論点がすべて一致していたことになり、愕然といたしました。
 次に、シミュレーションについてお話をさせていただきます。
 3月28日木曜日でございます。夜8時ごろに津西高校で、私と梶原教頭は前校長から社会の問題についてBさんの保護者の主張に沿って採点基準を見直した場合の合否判定のシミュレーションの作成を命じられました。
 実は、前校長がシミュレーションをやるようにということを県から言われたというふうに伝えられたので、実は私は県教委の方に電話で確認をいたしました。答えは、そんなことは言っていないとのことでしたので、実はそれを校長に伝えましたが、それには答えがありませんでした。私どもはシミュレーションをすること自体、何度も意味のないことだと反対をいたしました。しかし、前校長があくまでも私の参考として知っておきたいだけだというふうに言われ、この夜中に教諭を直接招集しようとしたために、やむなく作業を開始しました。その際、あくまでも単なる前校長の個人的なシミュレーションであり、何の参考にもならないということを私どもは何度も訴えました。このことについては前校長も確認、了承しておりました。
 社会の基準をBさんの保護者の主張するとおり変更するという前提で答案を見直したのですが、類似する解答も含め、私一人が短時間に独断で答案を見直し、検討も全然行っていません。この答案の見直しについては意味のない作業であり、早く終わりたいという一心で行ったものでありまして、正確性を全く欠いたものと言わざるを得ません。
 また英語については、Bさん、Cさん二人について加点したのみで、同じ解答をしていた受検生が他に40数名いたのですが、加点されていないという全く根拠のないシミュレーションとなりました。前校長は、このシミュレーションがずさんなものであり、合否判定データとして使えるものでないことを私が話すと、うんうんとうなずいていました。4月1日以降にも、前校長が我々との話の中でこれを認めているところです。
 次に、3月31日のことについてですが、昼過ぎ、私と梶原教頭の2名が前校長から校長室に呼ばれました。28日に作成したシミュレーションによって合格ラインに入るとされた5人の名前を挙げるよう指示されました。このとき前校長は、県教委に意見書を書くために必要なのだと説明いただいたのですが、私はあくまでも中身、内容がずさんなシミュレーションであることを理由に、はっきりと拒否いたしました。このときは随分、感情的なやりとりをしました。かなりの時間、口論を続けましたが、前校長は県教委に意見書を書くだけだということを繰り返されましたので、私どもは校長の求めに応じてシミュレーションの資料の見方について説明するにとどめまして、その場を離れました。
 実は、その後不穏な空気を感じましたので、前校長の行動につきまして注意を払っておりました。ところが10時30分ごろになりまして、前校長の姿を見失いました。そこで車で市中、走りました。夜10時40分ごろだったと思いますが、校長の車を県庁の駐車場で見つけました。ナンバーまで覚えていませんので確信はありません。意見書を出しに来たのだと思いまして、安心して帰りました。
 ところが実際は、深夜に前校長はこのシミュレーションを参考に、5名の追加合格書を作成し発送いたしました。しかし、シミュレーション作成のときに合格ラインに入るとされた5名と、前校長が追加合格通知書を出した5名とは、人物が必ずしも一致しておりません。加えて、英語の加点をBさん、Cさんにだけ行っていることからも、前校長が恣意的かつ独自の判断で通知を出したということになります。
 後日聞いたことですが、31日の深夜、むしろ1日の朝になるかと思いますが、事務引継のために書類整理をしておりました本校の事務次長に対しまして、佃前校長は、こんなことできるのは退職のときだからできる、あと1年任期があったらとてもじゃないができない、今だからできる。任期があったらやりはしないしやらないと発言していたことを聞きました。
 次に、まとめとして申し上げます。
 さらに、今回の一連のことを踏まえて、もう一言言わせていただければ、3月23日以降、前校長が採点基準について私たち教頭に疑義を示して以来、裁判になれば校長である自分の責任となる。裁判の場に立たされるのは私だ。被告席に立つのは耐えられないと訴えておりました。私どもの印象では、受検生のためというよりは、開示請求をした受検生を合格させることで事態の解決を図ろうとした、いわば自己保身のためこのような行為を行ったと理解せざるを得ません。
 前校長が英語、社会の採点基準に疑問を持ったとき、恐らく3月26日、27日ごろだと思いますが、私ども教頭二人が、校長先生が採点基準を誤りとするならば、すべての教科の採点基準を見直した上で、すべての答案を採点し直す必要があります。そうでないと受験生に対して公平性、公正さを保たれませんと何回も言いましたが、その際前校長は、何でそこまでせなあかんのやというふうに言われました。
 さらに、前校長は英語の採点に疑義を示して以来、27日朝の職員会議において、また英語と社会の採点基準を検討した同じ27日の午後の各教科会議など、3月31日までの間、十分、検討見直しの時間があったにもかかわらず、前校長が時間がなかったと主張されるのは全く腑に落ちません。むしろ、前校長には受検生全体の公平さ、公正さは念頭になかったと思わざるをえません。
 この間、前校長は職員に一切問題提起や指示をすることなく、さらに私どものアドバイスを一切受け入れてくれず、終始独自の行動を取られたのは理解できません。特に、学問的な見解として外部の人々に意見を求めたにもかかわらず、それを一言も職員に説明されなかったことは残念でなりません。
 このことは、私ども採点に携わってきた教員は前校長に信用されず、欺かれたと思わざるを得ず、残念でなりません。
 以上でございます。

○福山委員長 以上で、県教委関係、現場の関係の先生方よろしいでしょうか。
 それでは、佃参考人、教育委員会、学校関係者の方の陳述を終わりまして、委員の皆様からの御質疑をお願いいたします。

○水谷委員 ちょっと私もほとんどわからずに、今ずっと聞かさせていただいておりましたけど、大きく2つの問題点があるのかなという気がします。
 それは、今回の津西高校で行われた一連の問題、これが一つ。それからもう一つは、特に記述式の問題という三重県の入学試験制度の問題、この二つかなというふうに思います。
 最初の問題につきましては、今前教頭先生からいろいろお話をいただいて、ちょっと真実はわからないので、その辺はこの場で本当の答えが出てくるのかなというふうな気がします。その辺は一つ。
 もう一つは、これは参考人の方も問題にしてみえましたけど、これは私もそう思うんですが、余りにも入試の答えが柔軟性がないというか狭められているというか、かたくなというか、結局学校に任せてあるということ自体がおかしな話なんですね。例えば、子供に対して中学校で同じことを教えますよね。そうすると、受験した高校によって答えが違ってくるという、こんなばかなことが、県の教育委員会は行われていたということ。この問題は子供にとって大変大きな問題だと思うんですね。
 この一番の問題を絡めてこれをどういうふうに総括して、2番の問題としては来年から県教委としてはどうするんだということをきちっと回答してもらわないと、この問題そのものが終わらないというふうなことを思いますので、1番目の問題については、これからはっきりしてくるのかなと思いますので、ともかくこの受験の制度の問題、これは私もはっきり言うて間違ってると思うんですね。ですから、この辺はどうするのか、お答え願いますか。

○澤川学校教育分野総括マネージャー 国の学校教育施行規則というのがございまして、合格の決定は学校が行うというふうになっておりまして、今の三重県の問題ということもございますが、全国的に最終的な判断として学校が合否の決定、採点基準というものを決めてるということになってるという、制度上の問題をまず簡単に御説明させていただきまして、あと記述式問題についてでございますが、実際、各それぞれの受検生によって、記述式の問題でございますので解答がまちまちだろうと思っております。各学校もいろいろな形で採点の努力をしておりますが、結果としてあるAの学校とBという学校が全く同じ採点基準だというふうな形になるということも、今の制度を前提にするとなかなか難しいところがあるかなというふうに思っております。
 ただ、先生のおっしゃられることも私としてよく理解できるわけでございまして、今設けられておりますプロジェクト会議で、今後の改善策といたしまして、できるだけ各学校で同じような採点がなされるようにということで、例えば県教育委員会の方から設問によっては複数の正答例を示して、より各学校における検討というか、採点基準策定に至る検討が容易になったりとか、あとは設問の趣旨というものを正答例を示す中で各学校にお示しして議論の参考にしていただくと。あとは日程の問題もあります。時間をとってきっちりと各学校において議論ができるようにと、そういった形の取り組みを進めまして、できるだけ記述式の問題ということがありましても、各学校の採点基準が同一になるような努力をさせていただきたいなというふうに思っております。
 以上でございます。

○水谷委員 時間が余りないので長いことやりませんけれども、各学校で決めるんだ、それは国が決めたことであって、生活者起点、教育なら学習者起点というような、三重県が変えなきゃいけないでしょう。三重県の姿勢はどうなんですか。三重県の姿勢が出てないんじゃないですか。だからおかしいんですよ。
 子供にとって教えられて、僕はそういうのは、真実というのは一つだと思うんですね。ですから、同じことを教えられて受ける高校によって答えが違うということは、これは制度そのものが間違ってるんですよ、間違ってるんです、これ。国がそうですよって言っても、それは間違ってるんですよ。子供にとってどうなんだということを考えてもらわないとね。
 ですから、県教委はそこのところをきちっと整理するのが県教委ですよ、そうやなかったら要らないですよ。

○土橋教育長 御指摘のとおり記述式の問題の継続性、それからどうやって設問していくのか、それから解答をどこまで準備しておくのか、それからいわゆる受験校と言われる学校につきましては多様な答えが出てくることも考えられます。その辺をどうやって整理をして、今先生がおっしゃってみえたように、いわゆることしの学習指導要領、中学校も変わりまして生きる力、いわゆる生きる力を育てていこうという学習指導要領も改訂をされております。
 いろいろもろもろ現在まだ結論は出ておりませんけれども、いわゆる改善のプロジェクト会議で検討していただいておりますので、そういう方たちの意見も参考にしながら、また先生の意見も踏まえて、何とか柔軟に、県民の信頼性が確保できる、そういう形で改善していきたいなというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

○水谷委員 これから変わっていくんですから、大人の方も努力をしてもらうようにお願いします。

○中村(進)委員 参考人佃先生、本当にご苦労さまでございます。また助言者の先生方も、皆さんご苦労さんでございます。
 ここへ来るまでに前もって資料をいただきましたので、何度も何度も読み返させてもらいました。また新聞社さんの資料も随分読み込んでお邪魔をさせていただきまして、多分ここでそれぞれの皆さん方が発言されることは、多分平行線になってしまうんじゃないかなという感じを持って、私はここへやってまいりました。
 お伺いをしたいのは、佃先生、先ほど本当に教育改革、受験のあり方なんかの改革ということでいろいろおっしゃったんですけれども、教育委員会にもおみえになったと聞いておりますし、またいろいろな学校の校長先生もされてみえたと先ほどおっしゃいましたけれど、今までもこういった課題について、特に今回この2点の問題が出てきただけじゃなしに、何度かそういう国語とか、ほかの年数のときにも同じようなことがいっぱい起こったと思うんですよね。そういったときに、先生として今までどういう対応をされてこられたのか。今回、こうやって大ごとになってこういう状態になってるわけなんですけれども、そこら辺の今までの先生の、例えば教育委員会にみえたときにそういった方々に対して自分の思いというのはどういう形であらわされたのか。
 それから今までのおられた学校で何度も何度もこういったことがあったから、今回も先生のお話を聞いておりますと、退職直前にずっとたまっておったものが、今までの学校も含めてですよ、出たんじゃないかと最初そういう感じで思っておりましたので、その辺のコメントをいただきたいのと、それから教育委員会の方は、今水谷委員からも発言のありました記述式の問題というのは、私も大変だと思うんですよ、対応が。
 スポーツでいうと100mとか走り高跳びとか幅跳びとか、そんなのはセンチで答えが出ますよね。ところが、この間から問題になってるフィギュアとか高跳び込みとかそういうことになってまいりますと、今先生方のお話にもありましたように、私やったらこれは1点減点する。いや、10名の方に聞いたら8名ぐらいまではこれやけども2名ぐらいはこれやと、学者の先生方でも0にするか1にするか2にするか、随分分かれる答えも出てきますよね。
 それと、中には今みえる先生方以上の、高校生によっては先ほど予期せぬ答えが出てたという場合がありましたけれども、先生方を越える学生さんの答えが出る場合もありますよね。そういったことに対応するシステムといいますか、こういう問題が出たときはそこの学校だけではなしに、きょう本当にすばらしい先生がお見えになっておりますけれども、そういったところとの対応ができる仕組みみたいなものを、教育委員会としてやはりきちっとつくっておかないと、これからも記述式の問題をどんどんふやしていくという、子供たちの思考力を伸ばしていくという立場に立つのであれば、そういった受け皿をこれから真剣に考えてもらわないとだめかなということを感じましたね。そのことについてのコメントをいただきたい。
 それからこれはお願いですけれども、ずっと聞かせていただいて、県民の皆さんはいろいろな思いを持っておられたと思います。それで浮上してないですけど、私もいろいろなところでいろいろな話を聞かせてもらっておりますと、やはり県民の皆さんの一番の思いは不正があってはならない。それから恣意が絶対あってはならない。恣意をなくすためには、やはり集団できちっと議論をする。一人の、どんなにすばらしい先生であっても、権威の方であっても一人がリードしてしまってしまうと絶対に間違いが起こってしまう。起こらないかもわかりませんけれども、起こる確率が非常に高くなりますので、そういった部分での対応の仕方、それはきちっとしていただきたいなというふうに私は思いますが、その点につきましてもご意見があれば。
 以上、3点だけ。

○佃参考人 3点でございますけれども、従来の学校でこのような問題が起きたときに、その問題の採点の処理はどうするかということでございますけれども、これは年度にはよると思うんですけども、やはり二人でだめであれば3人、5人、全員と協議する場合もあるでしょうし、確か県教委に、こういう答えもあるんだけどもと聞いたこともあったように思います。全教科を把握してるわけではないんですけれども、一応学校裁量ということの中で解決はしてきたと思います。基本的には、大体の私のいた学校は2名で話をして決着をしてきたと。そうでない場合は、もう少し大きなグループで学校としての結論を出したということでございます。
 それから、この問題がことしになって今までのものが出てきたのではないかという御指摘なんですけれども、これはあくまで閲覧開示ということがあって、やはり特定をしてその問題をよく見たと。そして大学の先生のお話も伺ったということになったわけでございます。そして現に、英語の答案については、澤川総括からもありましたように、全員で25日に見たわけなんですね。何か先ほどの教頭からのでは40数名の未チェックのものがあったということなんですけれども、popular についてはもちろん全部見ましたし、Let's go there. というgo thereとかShall I 、Shall weというのは全部書き上げたんですね。28名の者が俎上に上りました、英語についてはですね。そこで処理をして7名に加点をしたわけで、2名のみに加点したわけではありません。シミュレーションのときには7名に加点をしております。いろいろ話があれしますのは、それぞれの見方で物を言いますと、そういうそごが出てくるのかと思います。
 それからあと、県民の立場から見ての不正、恣意があってはならないということでございますが、まさしくそのとおりだと思います。特に私は自分の学校、今回、私の部屋には校長室に金庫があったわけですが、そこにあるんですけれども、私は絶対に見れないシステムをずっと3年間取り続けておりました。一人で見ないということをですね。ですから、教務主任、教頭、その他複数の者で必ず見るということで、私はそのキーのありかも知らないという状況でいたしておりました。
 それから一つ申し上げておきたいんですが、いろいろ他に関連して言いたいこともあるところなんですけれども、先ほど合否判定について、例えばその前に特定の子が受けるということが分かっていたら何とかなったのにというふうなことは、こんなことは何とかなるはずが絶対にありません。どうしてそれはできるんでしょうか。そんなふうな言った覚えも全くありませんし、それこそ恣意でもってするわけじゃなくて、本当に合否判定会議でもって随分厳しく、全員で協議をするわけです。そして職員会議で、判定会議でその説明をするわけでございまして、そういうふうな特に合否判定で、特定の子を入試の段階で何とかするということは一切、これはどこの学校においてもあり得ないことだというふうに感じております。
 ただ、総合判定でございますので、その子の特徴をどう見るかというふうな部分については、いろいろ強い意見を述べられる顧問の先生であるとかあるいはそこを特筆する先生方はあるかもしれませんですけれども、一般にそうでない限りは、その前に何とかなったとかそういう恣意は働かないということでございます。
 以上でございます。

○澤川学校教育分野総括マネージャー 記述式問題の採点につきまして御説明させていただきたいと思います。
 実際、先生おっしゃるように、例えばフィギュアスケートでありましたら採点が違うということもあるわけでございます。実際、先ほど梶原教頭からお話がありましたとおり、実際採点をしていく中で教員同士が、時には熱の入った議論をするというような場面も、実際の採点の過程でまま見られることなのかなというふうに思っております。
 実際、その記述式問題の答え、ばらばら、受検生各人各様だと思いますので、そういうこともあるのかなというふうに思っております。ただ、そういう形で採点していく中で大切なことは、複数の教員が徹底した議論を行って統一した基準で学校として採点していくことが必要なのかなというふうに思っております。
 先ほどの御質問でちょっと触れさせていただきましたが、今回来年度に向けまして、採点の時間というものがより確保できるような形にして、学校で納得がいくまで徹底して議論をしていただきたいと。それが学校に与えられた使命なのかなというふうに思っているわけでございます。
 あと、ちょっと答えにならないかもしれませんが、予期せぬ答えという形でどうするのかということでございます。実際、各年度の入試の後に、その試験問題についての反省を教育委員会として委員会を設けて、来年度の入試に向けてどういう設問がよかったのか、ことしの設問、どういう点で不十分なところがあったのかという形で検討して、来年度の入試に反映させていくというようなことを毎年度行っておるわけでございます。
 できるだけ、ちょっと来年度に向けてそういう吸いよせる意見を、現場の一人一人の教員からもできるだけ吸いよせるような形にして、そういう予期せぬ答えとか、これまでのやり方ではうまく採点できないような答えがあったらどうすべきか、試験問題の作成に立ち返ってどういうことが可能なのかということについて、取り組みを進めていきたいなというふうに思っております。
 以上でございます。

○中村(進)委員 先ほどの3点申しました。
 最後の点、県民の皆さんは、多分恣意的に、全力で皆が頑張ったやつを恣意的に動く状況が絶対あってはならんというふうに思っていると思うんですよ。
 今ほとんどの方々が自分の実力でそれぞれのところへきちっと入られたと思い込んで見えるし、信じてみえるし、そういう状況があるわけですよね。そういう状況にちょっとでも疑問が起こる状況を絶対につくってはならないと思います。
 それはいろいろな形であると思うんですけれども、今私の感想ですが、双方いろいろ聞かせていただきまして、やはり合否を決めるには客観的な状況というのは絶対必要ですよね。今聞かさせてもらいましたらどうも意見も違いますし、やはり個で動いてしまったという部分は、やはり誤解を招いてしまう状況というのができてしまうのではないかと。その部分については、きちっとしたタガをはめて行く必要があるのではないかと思いますが、どうですか。

○澤川学校教育分野統括マネージャー 先ほどお配りさせていただいた資料の2ページのところにもあるわけでございまして、2ページの3番、合否決定についてというところにも書いてございます。
 実際、津西高校におきましては、入学者選抜委員会という校内内規に基づく委員会がございまして、そこで合格者決定の原案というものを作成して合否判定会議を経て、最終的には学校長が合格者を決定するというような、内規でございまして、手続が設けられております。
 こういう複数の者が合否で、委員会の場で審議するということを通じまして、委員御指摘の恣意的なということを排除するように努めておるということでございまして、これからに向けての取り組みということで、今まで内規ということで各学校にすべてこういうような委員会が設置されておるわけでございますが、できるだけ委員会とか会議の責任と権限というものをより明確にする方が望ましいのではないかということでございますので、こういう内規に当たるようなものを、私ども県教育委員会として一種のひな型のようなものをお示して、各学校がそれに沿った形で校内体制を整えられるようなことが可能になるようにしてみてはどうかというのもプロジェクトの意見でいただいておるところでございますので、来年度の入試に向けてそういう取り組みも進めていきたいなというふうに思っております。

○若松三重大学名誉教授 記述式の問題というものが、今から先、私はふえるだろうと思います。そしてそれは、しかも私は健全なことだと思っております。
 これはやはり世の中の多様性において決まった言い方しかできないというのでは、やっぱりいけないだろうと思うんです。あるアメリカから来た大学の教師が、日本ではどうして、もし明日天気がよかったらというのは、If it is fine tomorrow. ってみんなが言うの。それはおかしいんじゃないか。英語だったら、If the weather is fine tomorrow.とかIf it is a beautiful day tomrrow. とか幾らでもある。それが日本では何かIf it is fine tomorrw.になってしまう。もし雨が降れば、If it is rain,tomorrow. になってしまう。それは非常に何というか、特に言うときにはそれでもいいかもしれない。でも相手が言ったときにちゃんと聞き取れるかなという問題が起こってくるわけですね。
 個人的なことは言ってはいけないかもしれませんけれども、私、在日米軍最高司令官の通訳を1日ですけれどもやったことがあります。それからまたRadio NewZealandの教育番組で2回ほど語ったことがあります。それでもなおかつ、私は英語というのは難しいなということを感じます。だからこそネイティブチェックを必ずするようにしてるわけです。
 私は、提言の一つになると思うんですれども、やっぱり入試の判定において開示というものがない時代だったら、私は何をやっても分からないわけですから、それでいいかもしれません。しかし例え部分的であっても開示をするということに対しては、やはりその解答の細かいことについて出題者及び採点者は全責任を取らないといけないと思うんですよ。ということから見まして、私は県の教育委員会の方々にはちょっときついかもしれませんけれども、県の教育委員会の中にはネイティブスピーカー70人ぐらいですか、今、たくさん抱えているわけですよ。そして、全部が全部リライアブルというか信頼性がおけるかどうかわかりませんけども、一応信頼してるからこそ雇っているんだと思います。
 私は入試の漏洩の問題とか何かあるかもしれませんので、初めからALTを組み込むことは難しいのかもしれませんが、少なくとも入試が終わった時点においては入試判定チームみたいなものをつくっていただいて各学校でやって、どうしても自分たちでは解決しにくいという問題がある場合にはそこに相談すると、助言示唆する、そういうようなチームを県教委の名において、私はぜひやっていただきたい。
 それがない限りは、私は記述式問題と採点の難しさというのはいつまでもいつまでも続く問題だと思います。これ永久に、毎年こういうことをやらないといけないとなる可能性があると思うんですね。
 それからついでですが……

○福山委員長 済みません、委員の御質問があったときにお答えいただけますか。

○木田委員 まず教育委員会の方に申し上げたいんですけども、今記述式の問題が問題になってるわけなんですけども、余りにも柔軟性がなさすぎると思うんですよね。今も先生、言われましたけども、英会話、特に会話なんていうものは、いわば普通の社会生活において通じれば会話なんですから、例えばアメリカ人でも三人称単数現在でs をつけない人、たくさんいるわけですね。he goes でないと正解じゃないけどhe go という人はたくさんいるわけなんですよね。そういう中で、余りにも狭すぎるというか。
 それからこの社会の問題にしても、まるで国語の問題みたいに何を問うてるかというような国語の問題みたいになってると思うんですよね。イメージとか内容的に正しければそれが正解ということにしないと、例えば中学校の生徒さんの答えは違反をしないというふうに出てきて、社会科の先生がもしかしたら従うというふうな答えが出てくるかもわからない。よくわかってる人でもそういう答えが出てくるかもわからない。そういうことを考えると、記述式というのは、もう少し考えていくべきじゃないかと。振り落とすというよりも受け入れるというか合格させるという態度でいかないとうまくいかないんじゃないかということを感じましたので、これについての御意見を伺いたいと思います。
 それから佃前校長さんですけども、学問的な正当性と言いますか、正しい答えを書いた人が落とされてしまうというその不幸ということは言われるとおりなんですけども、ただそこへ行くまでに前校長先生の取った態度といいますか行動といいますか、それが余りにも手続をへてない、あるいはみんなの合意を得てないということで、疑問を感じるところがあるんです。
 先生の書かれたこのメモで、全受験者の全答案を見直す必要があるというような無理難題を言われたというふうに、この0ページに書かれているんですけども、私は当然、答案を見直すんであれば一部の人ではなく全員の答案を見直して、そして判定するというのはこれは無理難題でも何でもなくて、全く正当なことだというふうに思うんです。これは一つの例なんですけど、これが。そういうあたりで、先ほど一緒の学校におられた教頭先生から非常に厳しい御意見を言われましたけども、こういうことも含めてどういうふうに反論されるのか、御意見を伺いたいと思います。
 2点お願いします。

○土橋教育長 記述式の問題でございますが、まさに記述式、これからふえていかざるを得ない趨勢にございます。今回のいわゆる問題提起ということで、私ども受けとめさせていただきまして、今後、いわゆる県民に情報開示ができ得る、それに耐え得るような柔軟性を持った形の、水谷先生からも御指摘がございましたですけれども、そういう方向で、今プロジェクト会議でも検討させていただいておりますので、それを踏まえて改善策を講じていきたいというふうに考えておりますので、御理解をお願いいたします。

○佃参考人 学問的な正当性は別として、その行動、手続にいろいろ疑問点があるということでございます。例として、全受験生の全問題を見直す必要があると、無理難題だと言っていると、また先ほど福田前教頭からもありましたように、なぜそこまでやらねばならないかと私が言ったということと一緒かと思うわけでございますが、これは28日、29日に私、切羽詰まって教育委員会に、その二日間で4回ほど行ったと思います。時間にして本当に五、六時間かかったと思います。
 とにかくこういうふうになってきて受け皿がない中で私が困っている、学者さんの意見もどんどん集まってくるというふうな中でどうしようと、本当に困ってしまったんだということで、先ほどこれも教頭の言った、何とか私はこの問題、英語、社会について正しいと判断する、時間は迫ってくる、だから私はそのように判断したという証明をしてくれと。私がそのてんまつを書いてくるから判こをくださいということを申し上げました。そんなことはできませんよと。そうじゃなくて、604名の生徒の5教科全部を見直してくださいと、要するに始めからやり直しなさいと。津西高校の採点はずさんであったんだから全員のことをやり直しなさいとこう言われたわけです。私はそれを無理難題と言ったわけであります。
 開示請求に応じた子たちが、やはり本当にそのときの危難の回避といいますか、そのとき起きた、それをやはり対応するのが、やはり危機管理のあり方ではないかなというふうに感じたわけです。またその他の子が出てくれば、あるいは他の学校で出てくればやってもらえばいいのであって、今受け皿のない中で、ことしはどんと開示をしますよと、明日しますよと言ってもらうために起きたわけですね。
 かといって、その子たちを、私はやはり自分の任期内に責任のある中で何とか決着をつけるべきだということであわてて学者先生に伺って、若松先生と社会は佐々木先生の意見書をいただいて、それを基に判断をしたわけでございますので。
 英語と社会につきましては、先ほども申しましたけれども英語については13名の者が、25日に全部そこのところは行ったわけです。popular とLet's go there. のところを行ったわけですね。今40何名とかおっしゃられましたけれど、確かに英語の教員でない県教委の方も六、七名みえましたから、いたもしれませんですけども、そこに視点をおけば、私は英語については全部見たと思っているわけです。ただ、そのとき1回しか英語についてはチェックはしておりません。例の金庫に入ってしまって、私はもうそれをどうもしなかったわけでございます。
 社会については、教頭が社会の専門であり、この問題、やはりおかしいですねというふうなことも言われました。彼のいろいろ判断を仰いで、基づいてとか沿ってとか守ってとか従ってというのに、実は点差をつけました。1点にしようか、2点にしようかということで点差をつけて72名の見直しを行ったところでございます。
 最終的には、佐々木教授の、加点されないことには疑義を感じるということからオール1点といたしたところでございますけれども、いずれにしましてもそのように科目についてやはり無理難題というのはそういうこと、全部やり直せと言われたわけです。
 私はやはり先ほどもありました。行く行くこれが将来開示請求が進んでいって、その司法の場に、公の場に立たなければいけないときに、私がそれは責任者になるはずで全責任があるわけですから、そのときに、しかも私が正しいと判断したことを、いや実はうちの教官の言うとおりだと、県教委の言うとおりだと言ってしたときに私が困った立場になる、だからそのためにも県教委に言ってもだめだと。その資料をつくるためだというふうに言ったわけで、私はどちらでもよかった。これは保身といえば保身かもしれませんのですけれども、とにかく私の立場を証明する物が欲しかった、だからつくってくれと、こういったわけです。
 私も当然、そんなものは通るべくして通るんだ、自分が全部できるんだというつもりは全くありませんでした。それは何度も県教委の方に申し上げました。何とか認めてください。私のこの苦しい立場を受け皿なしでオープンにしちゃって、開示が出てきた。合ってるという学者の先生もある、これをどうしましょうかと、こういったわけです。そして、特に最後のときには、七、八人の教育委員会の幹部の先生方がお見えになって、最後の御説明で、佃さん何をしたいのということで私はそこに参りましたけれども、そのときに随分、話を三、四十分聞いてもらったかと思います。ちょっと出てくださいと。そして私が中へ教頭と一緒に入ったときには、もうキャップの方がいなくて、いわゆる担当に当たってるお二人の先生が見えただけで、私が最後の29日、金曜日の夜でございましたけれども、幹部の方からも指示をいただけなかったということがあります。
 これは、私が身勝手かもしれませんが、本当に黙示の承認と言いますか黙認というのか、校長の権限でもいいのかなというふうなことを、ふとそのとき感じたわけでございます。すべて私は県教委に預けてどうしましょうということを常に言っているわけでございます。それがそういう御立場の方から、私が求めても答えが一切なかったということに、大変ショックを感じたことも事実でございます。
 以上です。

○萩野委員 ご苦労さんでございます。佃参考人及び県教委、それから津西高の山下新校長先生、それぞれお聞きしたいんですが、3月19日に県立高校すべて合格発表がございましたね。そのときに合格発表されたのは佃参考人で、合格の入学の許可をしたのは山下校長ですか、入学許可。それを県教委がそのとおり認めたんでしょうか。
 要するに、私たまたま夕べ、津西高の女生徒とたまたま姻戚関係の子と会ったんですよ。その子は、私らは本当に合格したんでしょうか、5人の追加合格者があったら私ら落ちていたかもわかりませんと言われたんです。ですからここで、そんな子が今津西高で疑心暗鬼でおられたら困りますから、3月19日の発表は本当にあれは正しく、ちゃんとした合格発表だということを、一言ずつおっしゃってください。

○佃参考人 そうでございます。職員会議をもって、それは判定会議でございますけれども19日の発表でしたので17ぐらいでなかったかと思いますが、判定会議全員が納得をし、私がそれを承認をさせていただいて、完全にその400名は合格でございます。
 ただ私、関連でお答えさせていただきますけれども、全604名だと思いますが、全教科、全答案を見直したときに基準をつくり直しますね。そうしたならば萩野委員の御親戚の方も御心配だと思うんですけれど、例えばきっちりやれば本当にボーダーというのはごくわずかなんですけれども、70数名の加点をしても四、五人しか出てこないわけなんですが、本当に採点を見直したときには恐らく、例えば30人が合格になる。そうしたら30人はどうするんだと、大変な騒ぎに、私はなっていたんじゃないかとそういうことも感じました。今忘れていたので言うわけですけども、全員を見直して、全基準をやり直しなさいといったときには、大変なことにことになってしまうんでないかと思ったところでございます。
 以上でございます。

○山下津西高等学校長 4月1日に赴任いたしまして、この件について初めて知りました。その後、夜佃前校長から私が要請をいたしまして引き継ぎを行いましたけども、非常に日時が入り乱れて、とにかくよくわからない説明でございました。
 ただ、書類等をきちんと確認いたしましたところ、入学者選抜委員会できちんと協議をし、そして合否判定会議に原案を提出し、その場で前佃校長のもとに決裁をした、そういう形で明らかに正当なものであるというふうに信じております。

○萩野委員 要するに、今行っている生徒については、正規の入学試験をきちっと受けて、正規に入学したと、こういう受け取り方でよろしいですね。
 そうでないと、今ある生徒が本当に私らこれ本当に受かっとったのと、ほとんどの子がそんなことを話し合ってると聞きましたので、ここでお二人の前・現校長にそう言っていただけたことによって、ある程度納得をしていただけるかなというふうなことを思わせていただきました。
 そこで佃先生、こんな大変な資料をつくっていただいているんですけれども、そこの31ページに、県が定めた追検査が受けられる者というのがございますね。そこで第1次学力検査当日病気等やむを得ない理由によって云々とこういうのがあるんですが、これはやむを得ない場合の追加合格というのは、これによって妥当としているんですが、そういう解釈で県教委はよろしいんですか。
 ちょっと待ってください、もう少し質問しますので。
 もう一つ、佃先生の資料の0ページあたりに、佃先生は採点基準の見直しや追加合格について県教委に相談したが、何の返事もいただけなかったと説明しています。書いてあります。県教委は、佃前校長の相談に対して、本当に真摯に対応したのかどうか、それもお聞かせいただきたい。
 それからもう一つは、先ほどの記述式の問題ですけども、私も学校に勤めておりまして国語を担当しておりましたので、記述式については大変、問題を出すときには本当に神経を使いながら問題を出しますし、解答するときもいろんなことを考えながら正答例をつくっていかなければならんと思うんですが、今ここでは皆さんの委員がおっしゃられたように柔軟性はかなりないような正答例になっていますけども、それぞれ今おっしゃった方意見が違いますから、どちらが正しいかというふうなことを判断する、私に残念ながら能力はないんですけれども、その採点基準を各学校で採点基準をつくるということについては、今水谷委員から御指摘もありましたが、私は一定の理解をするんです。
 それは、国語なんかの問題では正答例が3つあったって、出てくる答えは50通りも何通りも子供たちは書いてきますから、それぞれの方言で書いてくる子供もありますから、一定部分のところは学校で採点基準をつくるというのは理解するところもあるんですけども、もう少し木田さんがおっしゃったように柔軟な対応を必要とするんですが、この件についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
 それからもう1点ですね。一つ、違うんですよね。3月28日の佃先生の資料によりますと、0ページですね。夜、寄せられたコメントや採点団の意見を参考にしながら、県教委の提案を受けてシミュレーションを行ったって書いてあるじゃないですか。県教委もこのシミュレーションをしなさいって提案したんじゃないんですか。これについて県教委はどうなんですか、こうじゃないんですか。

○澤川学校教育分野総括マネージャー 幾つか4点ほど御質問があったかと思いますが、私の方から制度にかかわることを述べさせていただきまして、3月31日までの前年度のことにつきましては別の者から答弁させていただきたいと思っております。
 追検査のところでございますが、資料31にございますとおり、このやむを得ない理由というのは病気等やむを得ない理由によって、検査当日学力検査の一部またはすべてを受検できなかった者ということでございまして、あくまでこの追検査というのは実際の学力テスト、ことし3月に行われた入試については3月13日のテストを受けられなかったことについてやむを得なかった理由があった者ということでございますので、試験を受けた者にこれを適用するというのは、ちょっとこの規則の解釈からいってどのようなものかなと、ちょっと私としてしっくり理解ができないというところでございます。
 あと、記述式問題の対応ということでございまして、私どももいろいろ御指摘受けておりましていろいろと考えております。学校に今のところゆだねておるという制度でございますが、できるだけ各学校での採点基準というものが近くなるような形での努力というものをしていきたいなと。常に各学校での採点基準の議論が十分に行われて、A校、B校採点基準が近くなるような努力をしていきたいなというふうに思っております。
 あと、大きな形として入試全体をどう見るかということについては、いろいろな方からの御意見を伺いながら、引き続きまた検討を深めていきたいなというふうに思っております。
 私の方からは以上でございます。

○中沢政策企画分野総括マネージャー 今御質問のあった、佃校長先生と3月末にお会いした話のところなんですけども、25日ですね、採点を点検をしたその日ごろから佃校長先生には、全答案を全職員でという、採点基準をまず自分たちでチェックして、そしてやっていかんと公平性を逸しますよという話はさせてもらっています。
 3月28日夜、僕、お会いしたわけですけども、そのときに会った瞬間に、やっぱり顔の表情は違いました。会話してる最中に自殺とかそういう言葉をほのめかされまして、これは尋常じゃないということで気分を和らげるというか静める、冷静な判断ができないなというそういう感じがしましたので、わざと具体的な内容というのはこの夜の、昼も来ていただいてるんですけれども、夜については別の話題に切りかえ冷静さを取り戻して、僕が申し上げたのは今までの経緯をまとめて、そして次の校長先生に送ってくださいと。やっぱり気を楽にして休んでくださいという、そういうことはかなりお話としてさせてもらったかなという気がいたします。
 そのときに要請されてとあるわけですけども、やっぱり学校の状況で、佃先生がちょっと変だ、おかしいという、そういう職員、教頭先生からの訴えがあってそして佃先生に来てもらったわけですけれども、そのときに教頭先生も同席していただいてその状況を把握してもらったし、それからお互いにメモをとることなくして気分を落ちつけるべく、これは29日も同じです。同じような状況を繰り返して、また29日も何名かで会ってるわけですけども、やっぱりそこでも気を落ちつけることをまず第一に、そして気を楽にしてくださいということを強く訴えたという、そういう場面がございまして、指導の至らなさと言われたらおわびしたいなという気はするんですけども、決してこちらは無理難題を押しつけたというそういう気持ちは一切ございません。
 それからシミュレーションのことについては、28日、私とお会いして、その後での件ですけども、こういう提案は一切しておりません。

○佃参考人 まず1番のページ31の、これを適用できるかできないかということ、この例はちょっと悪かったんですけれども、私は上の方のところに、これは4月1日の話なんですけども、なぜ私が出した書留の通知書を回収するんですかと。なぜ私が越権行為なんですかと、職権濫用ですかと聞いたときに、定員をふやすということは教育委員会の協議を経なきゃいけないんだということを言われたわけです。そのときに、あれ、定員じゃないですよと、これは追加合格ということで定員じゃないと思いますよと、こう言ったわけなんですね。5名というのは、定員というのは私が勝手にふやすわけではないわけですけれども、例えば400名のところに3名風邪を引いていた子がいて、後から追検を受けて合格すれば、合格者は403になる、こういうことがあり得ると、このような例と、その他の例と断りが書いてありますように、そのためにこれを引かせていただきまして、これと同一というわけではありません。
 それから、0ページの3月29日の、何のコメントも返事もいただけなかったというのは、先ほど申し上げましことでございます。その御立場にあるキャップの方々が五、六名が立ち去られて、返事をいただけなかったと、こうしなさいという返事をいただけなかったという意味でございます。
 それから先ほどのシミュレーションなんですけれども、指示というのはもちろんありません、こうしなさい、シミュレーションをやりなさいということはありません。私、どなたかちょっとよく覚えがないんですけども、シミュレーションをやってもいいですかと、いいですよと、ちょっとそれは多くの方がいたところで正式にしたわけではなくて、私はやってみる必要があると思っていたんですけれども、必ずその言葉を聞いてやったわけでございまして、これは福田教頭も言われたことでございますけれども、私がしたのではなくてやっていいですよと。私、やっていいですかと言ったのかもしれませんね。
 そういう形でのシミュレーションで指示を受けてやったのではありません。これは確かでございます。
 それから、結局私は、今中沢総括からの話なんですけども、当時の審議監の話ですけれども、気分が、もちろんこのころ二、三時間の睡眠ではありました。だけど私、常に思うのは子供たちは合ってんのになと。どう見てもこの子たちはちゃんと採点されたら受かってるはずやと、これを強く感じたわけですね。シミュレーションもいろいろ私がしたのが合ってるのかどうかということがありましたけども、私は今なお自分がやったものについては100%の自信を持っているところなんですが、とにかく入ってるのになというふうに思うと、やはり子供の将来にかかわることを私の一手で、私の気持ち一つでそれを変えてしまうことになると。それをいろいろ迫って、それこそ600名見なさい、5教科全部見なさい、恐らく一週間、十日かかるでしょう。私はそれは無理難題だと。そこいらとのどういうんですか、あつれきといいますか葛藤といいますか、そこいらが私の気持ちをそんなふうにさせてたんだと思います。
 やっぱりこれからはこの開示等が行われれば、何とかそういう校長を救うというか、子供たちがどこかにそういう受け皿のところで協議がきっちりされるものができないといけないと思うんです。その悩み、そして睡眠不足からきていたんでありますけれども、私は本当に自分の職業的生命といいますか、それを懸けたつもりです。
 福田教頭からも、何か次長が、最後だからできるんやと、私はそんなことは言った覚えはないんですけど、私が言ったと覚えてるのは、私が次の年度も校長であれば引き続きそれは4月8日までこの仕事ができるんだと。今でしかできないんだと。だから今31日に決断したんですよということを、山下校長には1日にしか伝えられなかったものですから校長に伝えてくださいと、次長が残っていたもので伝えたということでございます。
 以上でございます。

○萩野委員 同じくこれは県教委にお尋ねしたいんですが、この佃先生のおつくりになった資料、メモによりますと8ページに、4月1日の欄です。県教委は追加合格者の回収ですか、これは違法行為であるというふうに県教委は認めたと書いてあるね。開封を差しとめた行為を違法行為と認めたとありますけれども、これはどういうことですか。回収した行為は違法なんですか。

○渡辺高校教育チームマネージャー お答えします。
 回収したことを違法だとは認めておりません。回収したことは正しいと思っております。

○岩名委員 大体いろいろお話は各先生方から出まして、大体大詰めになってきたのではないかなというふうに思います。
 私は、先ほど来先生方からもお話がありますように、記述方式というのは大変大事なことだと思うんです。出題をしてるのは教育委員会ですね。その教育委員会が、その判断は学校に任すと言ってることは、他の先生からもお話がありましたけど、この点が一応、非常に問題だと私は思います。
 ですから、やはり正答例が一つしかないとかそんなことで後の人は全部落としてしまうというようなことでは、子供たちにとっては大変な問題だというふうに思います。ですから、この辺について教育委員会は責任を感じてるのかどうかね。何か、学校の責任だとかいろいろなことに校長の責任だとかということになってるわけだけども、認めるべきところは素直に教育委員会も認めないと、これ話は進みませんで。
 それから情報開示、この件は知事が先頭に立って情報開示、やかましく言ってる件ですわね。そして県民にガラス張りの県政をやりたいということを、しきりに言ってる件ですよ。そこでいろいろな親御さんから情報の開示を求められたわけですけれども、この処理がいかにもずさん。そしてこんなものは形になってませんよ。ですからこういうことに対しても、私は教育委員会は大きな問題があるというふうに思っているわけでございますし、それからもう一つ。
 最後に、きょうも先生方から、いろいろとお二人の助言者の先生に来ていただいたんですけれども、今こちらでは教頭先生がこれは点数をあげられないというようなお話もありましたけれど、私はこちらの先生の話を聞いてると全く私も同感というふうに思うし、私も普通の県民ですから、県民の多くはこの助言者の先生のおっしゃってることが正しい、あるいはそうじゃないのかなというふうに反応されると思うんです、県民は。
 そうしたときに、そのことによってバッテンをつけられたために不合格になった子供さんたちの立場ですね、これに対して教育委員会はどのように対応しようとするのか、聞かせてください。

○土橋教育長 今、岩名先生から総括的な質問をしていただいたと思っております。私自身、今回のこと、何度も議場でも冒頭でも申し上げたんですが、今回の一連のことは先生方からもいろいろ御指摘ございましたように、県教育委員会としても反省すべきところ多々あるということで、改めて深くおわびを申し上げたいと、かようにまず思っております。
 今回のいろいろな問題の発生については、3点ほど大きな問題があったのかなというふうに思っております。岩名先生の、順不同になって申しわけないんですが、まず情報開示についてでございます。
 簡易開示は先ほど説明がございましたように、調査書の評点と学力検査の科目ごとの得点を、開示請求に基づいて見せるということでございますから、そのことから一歩踏み出した形で答案用紙を開示したこと、このことからいろいろ物事が問題発生に至ったのかなと。いろいろな経緯、やりとりがあったにしても、県教委が答案の閲覧を許可したことから、事の発端であることが一つ。またこの間、県教委が適切な指導、相談、それに的確に答えたのかなというのは、まことに反省しなければならないと思っておるところでございます。
 二つ目は、先ほど来それぞれの先生方から記述式問題について御質問がございました。特に私というよりも、憲法に従うという表現、これは正答例の範疇に入るのではないか、せめて2点満点の1点の加点という、先ほど来の意見がございました。これらを謙虚に受けとめる姿勢もあったかもしれない。そういう思いがいたしております。
 しかしながら、御理解いただきたいのは、現行の入試制度では合否の決定は各学校が行うこととされております。各学校では県教委の示す正答例を基に採点基準をいろいろな方、十分協議していただきまして設定をし、最終的には職員会議、合否判定会議でいわゆる合格者を決定すると、そういうシステムでございます。今回の津西高校の採点は、学校の裁量権の範疇の中で合否の決定がなされていることを、これも御理解いただきたいと思うところでございます。
 3点目は、やはり5名の追加合格通知書を佃前校長が出したことも、いろいろ問題を発生させたことになったのかなというふうに思っておりますので、今後は学校長の権限と責任について改めて明確にするとともに、入試システムについての手続規定について所要の整備なども行ってまいりたいなというふうに考えております。
 私といたしましては以上のことを踏まえ、本日の審議の経過、内容を真摯に受けとめ反省すべき点は反省し、改善すべき点は抜本的に見直し、現在改善策を検討していただいております高校入学者選抜検討プロジェクト会議の検討結果も踏まえ来春の入試システムの改善策を明示し、受検生、県民の皆様の一層の信頼を高めるべく万全を期していきたいなと、そのように考えております。
 どうぞ今後とも、よろしくこの改善策に、いろいろと私どもも真摯に対応してまいりますので、格別の御理解を賜りたいと思います。
 以上でございます。

○岩名委員 何か書いたものをきれいに読まれたようだけども、記述方式の採点をめぐっては、どなたかもちょっと触れられたけれども、何とかして合格をさせてやろうという気持ちよりも何とかして落としてやろうという、そういう図式の中でやられてるように思えるんですよ。こんなことを今県民が知った中で、うちの子供もきちっと、今教育長が言ったように憲法に従うも2点のうち1点ぐらいいいんじゃないかとおっしゃったけど、そこまで言ってながら学校に任せてるからと言って学校サイドでは0点にしてるわけですよ。こんなことはちょっと理解しがたいんですわね、県民にとって。
 ですから、私が最後に言ったそういう採点をした子供たちの名誉回復というものはないのかということを聞きたいのですよ。これはもう仕方ないんだと、これで終わりだよというんですか。その辺の見解をね。

○土橋教育長 繰り返しになりますけれども、今後の改善策に生かしていきたいということで御理解を賜りたいと思います。

○杉之内副委員長 大変、きょうは佃参考人そして助言者の皆さん、大変ご苦労さまでございます。それと現場でいらっしゃった校長さん、そして教頭先生とご苦労さまです。
 これ私、もう一度お聞きをさせてもらう大事なことだと思うんですが、今岩名委員からおっしゃった関係での今後の教育長の方針は、それで結構です。現時点で5名の子供たちがいるようでありますが、例えば今憲法問題で出ましたですね。私もその問題、前委員会のときにも言って、それは教育長は答弁なさらなかったけども、きょうはそれは従うもいいんじゃないかということの1点の加点、これは評価しましょう。
 それともう一つは、きょう助言者の方、専門の先生来ていらっしゃいますが、英語の問題ですね。これは0点となって、今先生のお話をずっと聞いておると、これは当然加点されてもいいように思うんですが、これはこちらの話を聞いておるとちょっと見解が違うんですが、もう一度御専門の方から教えてください。

○若松三重大学名誉教授 4の(2)につきまして、資料の1の2ページ、このA、B、C、Dのうち2つを選んで四角の中にそれを英文にして、その内容に続く4語以上の英文を一つ加えなさいと言ってるんですよ。何でIt is very popular. がいけないんですか。しかも説明された先生は、It is は現在形だと言ってるんですよ。過去形にしたらおかしいじゃないですか。何でかというと、It was interesting. というのは確かに個人の考えですよね。だけれどもIt is very popular. というのは、人気があるというのはそんなに一晩で変わるものではなくて、ずっとこの本はみんなに読まれてるよということを言ってるんじゃないですか。
 私が述べました8人のネイティブスピーカーが全部、しかもpopular が他の受験者がだれも使ってないからだめだって、そんなばかなということをしきりにいろいろなメールでもって打ってくるわけです。これが通るんだったら、世の中おかしくなりますよ。受験生のavoidance strategyといって、何ていうか渡りやすい橋だけを渡りなさいと。あえてリスクは負うなということを、奨励しているようなものだと私は思ってしょうがないんですよね。済みません。

○杉之内副委員長 それともう一つ憲法の方で吉川先生、今回の正答例は憲法の内容に反しないようにすることと、その中で同様の趣旨であれば部分点も加点とこうなっておるんで、我々素人からしても憲法に従うとか基づくとか憲法の精神を守るというのは、これは当然点数に入って間違いがないと、こういう認識なんですが、間違いありませんでしょうかね。先生のお考えはどうでしょうか。

○吉川立命館大学法学部教授 ずっと黙っておったんですが、どうもすべて教育委員会はお聞きしていると、学校の採点基準の裁量が悪いからと、法律でそうなってるからとおっしゃっております。
 実は私の目から見ると、この問題自体と問題と正答例が整合していないと。意見書にもちょっと触れておりますけれども、どのようなことを守ってつくらねばならないか、憲法の内容に反しないようにすることを守ってつくらねばという言葉自体が既におかしいのではないかと思われますし、先ほど言いましたように憲法の内容に反する、内容に反するだけではないのですね。形式面でも手続面でも反してはいけないのです。
 それは実は中学校の、法律学的にそうだというばかりでなくて、受験生が使っている中学校の先ほど御紹介になりました社会・公民の教科書にも同じような図が載っております。米印で注記がなされておるんです。これは私の意見書の3ページの注のところに載せております、中学校の教科書でもと、真ん中辺にありますけども、法の構成と書いてありまして、上位の法になるほど強い効力を持ち下位の法が上位の法に反するときは無効ですと書いてあるんです。別に内容とも何とも書いてないでしょう。しかも、憲法の最高法規性とも関係なくそうなるんだと、先ほど御説明したことがちゃんと書いてございます。これはごらんいただければ、むしろ教育委員会のおつくりになった本文の問題及び正答例が、実のところ学問的にも不正確だし、学校で教えてることと完全に整合しているのかなという感じすらするわけでございます。
 だから加点したらいいじゃないかと、私に言わせると、この問題からしたら従ってとか基づくとかいろいろあるんですが、仮に従うだけだとすると従うの方がいいのではないかと。それから精神に反するというのは先ほど言いましたように、社会権的基本権というふうな社会福祉とか教育というようなものは違反しないからいいというものでもないでしょうと。それは人権ですね、人を拘束してはいかんとか他人の住居を侵してはいかんとか、いろいろな自由権的基本権と、言論の自由は侵してはいかんと、それは違反してはいけないとなるでしょう。違反しなければいいということは考えられるけれども、福祉を増進するような施策について、恐らく皆さん方も反しないからいいというようなことではやっておられないでしょう。ますますよくするためにやっておられる、そういうものなのではないかと。
 つまり、例えば憲法の人権にも自由権的基本権と社会権的基本権と2つがあって使い分けねばいけない。そういうことからすると従うとか、かえって基づくとか精神によると、こういう方が答えの整合性が合ってるのではないかと。だから部分加点ではない、全正答にすべきだろうと、1点じゃない、2点にすべきでしょうと。
 それなら正答ばかりになって困るというふうなお考えのようなんです。実はそのきょう、解答として出ておりますが、先ほどの意見書のところにお書きしておるんですが、西高校の教科会議の解答意見とか最近開示請求の意見書についております教育委員会が示したという採点基準についてという文章、1ページの4の(2)のところです。これと必ずしも一致してないんですね、この意見が。
 今回の教育委員会の意見はちょっと違いまして、前の意見では最高法規性の説明がない、内容についての説明がないからと言っておられたんですが、今度はどのようなことを書いてあるから、どのようなことが大事だというようなことをお書きになっております。だからころころ変わっておるんじゃないかというふうな感じがして、それと、意見書についております教育委員会から示されたという採点基準、これによると、何か西高では実際の解答状況がかなり高水準であったと。正解がたくさん多かったと。そこで、厳密に採点するとのスタンスで臨んだというような注意書きをしております。正解が多ければみんな正解にせざるを得ないのではないかと。その中で特に反しない、初めは反しないにこだわっておられたと思うんですが、反しないで採点しておられた。西高の決められた採点基準は、どうしても学校の裁量にゆだねるといっても裁量が誤りになると困るので、学校としては正答例にこだわっております。反しない、反しないということで。そこで問題になってきたのではないのかなと思うんです。
 それは学校の裁量だと言われますけど、もしこれが正解だと、2点だとしますと、明らかに間違いだろうと、誤答だと誤りだと答えるのが学校が。としますと、裁量の著しい逸脱ということになりまして、裁量の範囲を越えておるということになるのではないかなと思います。

○杉之内副委員長 これは、前校長さんであられた佃参考人にも大変大きな、私は子供に対して思いがあるんだろうということは見えてくるんですが、今となっては手続の問題とか基準の問題とか言ってますけども、そうじゃなくてその当時情報開示を求められた関係において佃参考人が動かれたんではないかなと。それを、今ずっと聞いてますと全体を見なさいという形で、どうもそこが少しすれ違いがありますが、したがって佃前校長さんが参考人として来ておりますが、あなたがお考えになられたことは、今でも正しいというふうにお考えでしょうか。

○佃参考人 シミュレーションを含めまして、ますますその気持ちが募るばかりでございます。もう3月19日の発表から4カ月もずっとたってしまったわけですね。やはり何とか今の先生方、私が参考人としてお呼びした先生方の意見も十分取り入れていただいて、きょう教育長がおっしゃったようなことで幕を引くのでなくて、本当に学問というのはどこへ行っても世界でも中学でも一般社会でもやはり一つであるべきだと思うんです。答えは二つある場合もあるかもしれませんですけれどもね。
 やはりその原点に戻っていただいてぜひ継続なり、先生方は加点すべきだと、むしろこちらの方がよいと言ってる点数があるわけですね。その先生方の御意見を封じ込めるといいますか参考にされないようなために、私は失礼ですがここへ出てきたのではなくて、私もいろいろな瑕疵がありましたと。手続的にもあったかもしれません、気もおかしかったかもしれません。それはやっぱり子供たちを思う心であって、今もそれは全く変わっておりませんし、ぜひこういうことが皆さんに知られたわけですから、ぜひ参考にしてしかるべく前向きの協議を続けていただきたい。きょうが時間があるのであれば。

○杉之内副委員長 よくそのお考えもお気持ちもわかりました。
 それで、きょう現場の来ていらっしゃる校長先生、教頭先生、先ほど来いろいろとお話が出ましたが、何とどうなってるんだろうと。大人の世界というのはここまで来るかと、こう実は思わざるを得ません。感じとして。
 したがって、もう一度教育長にお聞きしますが、これ本当に僕は間違ってるような気がしてしょうがないんですよ。書いた子供の解答は正しいというふうに思えてならない問題が含まれております。したがってこれを今後の糧にするというふうにしておっしゃいますが、私はこの問題は本当に避けて通りたいんだけど避けて通れないと思いますよ、これ。そこをどう考えるかということを、ひとつ我々も委員協議やっていくときにもっときちっと整理したいと思いますけど、教育長、これをプロジェクトにゆだねる前にこれをまず解決して次へのステップ、プロジェクトに対してどうするかという問題、これはやっぱりどうでしょうか。あんた、きょう言えと言っても答弁できないかもしれないけど、僕はそんな思いが今まだまさに子供を思う気持ちを考えたら、これはやっぱり避けて通れんな、こういう思いがあるんですが、それに対して所見あったら聞かせてください。

○土橋教育長 今の杉之内先生のお気持ちも、私、前回の常任委員会でもお聞きしましたし、今のお気持ちもよくわかるつもりでございます。
 しかしながら、入試がいわゆる現行の入試制度において、県教委といたしましては、いわゆる採択基準の設定、採点、これは職員が一丸となっていわゆる採点業務を取り決めの順によって、硬直的だと言われるかもわかりませんけれども現行制度の中では適正に、いわゆる採点基準も設定し採点をなし、そして点検もし、そして定員合格者を発表したということについては、適正に妥当な経過を踏んでおるというふうに御理解していただきたい。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、いわゆる記述式問題というのは情報公開も踏まえて、よほど慎重に柔軟に、県民の納得の得るようなそういうシステムづくりを、きょうから私ども真摯に取り組んでまいりたいなというふうに考えておりますので、その点御理解賜りたいと思います。

○杉之内副委員長 本当にこれ、佃参考人にもう一度お聞きしますけども、僕は手続の問題とか教育委員会がどうこうという問題を僕は今議論してるのではないんです。僕が今求めて、ぜひこれは正しかったのか、子供が書いた答えが0点であって加点されなかった、2点、1点になったときにどうなったんだというここが知りたいのであって、もう今となってはどうにもならないという、これでは私は納得できないですね。
 ということは子供のことがまず基本ですよ。今皆さん方言ってらっしゃることは、手続のこととか採点基準のこととかというふうに言われますけども、今まさに問われて問題提起されたのは、佃前校長も恐らくいろいろな思いで今回のこのことに対して恐らく心傷めながら今日の問題を提議されたんだろうというふうに、私も思いますよ。
 したがって、いろいろな見方が僕はあると思いますけれども、もし手続の問題は別として、もしそれが加点されておれば合格者はおったんですか、いなかったんですか。この点は佃前校長どうでしょうか。携わった前校長として。

○佃参考人 お気持ち、非常に両方に揺れていらっしゃると思います。ここに一同に会していらっしゃる方が。今杉之内副委員長が言われましたと同じことなんです。私は、この皆さんのお心持ちと同じ状況に、たった一人で、教頭も手伝ってくれません。県教委は一切です。いろいろ言いたいこといっぱいあるんですけれど、時間がないから省略しますけど、私一人で三日間で解決しなければいけなかったんです。私と同じような立場をお二人、社会の吉川先生には4月になってから御意見書をもらったんですが、当時は佐々木三重短大助教授から、また非常に強い御意見書とともにいただいてたわけです。皆さんの心が今どっちかなと思ってる、これをたった一人で、三日間で決めねばならなかったんです。夜は寝れませんでした。
 だから、本当に何というのか子供たちの立場に立って、しかも学者さんが合ってる。裁量とか判断が、その学問的正当性が行政権とか学校の裁量権を越えるものではないはずなんですよ。それを、裁量権なんて本当に条例や規則に違反する、憲法に違反する条例規則と同じなんですよ。憲法というのは学問だと、私は思っております。奇しくもこの図を見てください。憲法のかわりに学問と書いてくださいよ。その下に入学試験等ですね、書いてくださいよ。ここなんですよね。私はこれを本当にたった一人で行ったということでございます。
 2つ目の質問ですけども、加点したら合格というのが確かに30人か40人、英語の群れがあったらしいんですけども、その子たちがボーダーになるかどうか知りませんが、皆さんが英語について604名を見ていただいたわけですから、その中で私がチェックをして7名に加点したんです。そして5名というのがラインに乗ったんです。2次合格、3次合格、4次合格、人数もきっちりできます。何度もして間違いないと100%自信を持ってたわけですし、それは全く変わりません。それよりも子供たちに対するその思いが、本当にますます募って、きょう参りました。

○杉之内副委員長 わかりました。
 あと、我々教育委員会の方はまた議論する場所がありますので、ここで私はあえて突き合わせて討論するつもりは全くありません。きょうは参考人のお二人、そしてまた先生方に来ていただいての意見の見解にしておきたいと思います。

○土橋教育長 今いろいろ議論になっておるところを、教育委員会としてもちょっとお時間をいただければありがたく思うわけです。
 まず1点は、いわゆる正答例についての見解、私どもも専門家の意見も徴しておりますのでそれを少し。というのは、いろいろ意見が出てくるというところですね、加点、配点については。
 それと、いわゆる追加合格について簡単に、いわゆるシミュレーションについて、私どもの方から説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

○渡辺高校教育チームマネージャー 英語につきましてですけれども、御専門の大学の教授に御意見をいただいております。
 まず。Let's go together.につきましては、誤解が生じるか否かというコミュニケーション上の観点から考えると問題はないように思える。しかし、Let's を使ったこの解答は幾らか自然さに欠けることがあるように思えるということで、あとちょっと簡潔に御説明申し上げます。
 それからShall I go together?につきましては、通常は見られる使い方とは言えないであろうと。先ほども大学の先生の方の御指摘もございました。
 それから問題のIt is very popular. につきましてなんですが、この出題意図からすれば、このvery popular、評判がよくて大変よく読まれているは、主語、私の主体的関与を含まないこの本の客観的な情報であること。また聞く者に何らかの落ち着きを感じさせる願意にも乏しいと言えることの2点から不自然であると言えるのでないだろうか。
 次に、最初の文が過去の場面を設定しているのに2番目の文は現在形なので、Itは何を指すのか指示関係がすぐにわかりにくいということとともに、評価につきましては、現行のシステムにおきまして入学試験がきちんと選抜が行われるようになされることが大事なことと、学校ごとに評価を緩やかにしたり細かい評価の違いを設けることは、入学試験の目的趣旨から考えてあり得ることであるし、現実問題としては避けられないことであり、また受け入れざるをえないことと考えるというようなことで、大変短く申し上げましたので申しわけないんですけれども、いわゆる学校の裁量として尊重されるべきとの立場に立っておられる御意見でございます。

○梶原津西高等学校教頭 津西高校の合否判定に関しまして、その経緯を御説明させていただきたいと思います。シミュレーションの結果、今問題になっておりますものに関しても、ちょっと御説明をしたいと思います。ホワイトボードの方を御利用させていただいてよろしいでしょうか。

○福山委員長 シミュレーションですね、ちょっと食い違いがございますようですので、どうなんでしょうね。委員長としては、少し時間が押してきたんですけれども、どうでしょう、委員の皆さんのちょっと待ってくださいね。委員の皆さんの御意見を。

○水谷委員 さっきから聞いておると、重箱の隅をつついてるような議論がずっと行われてるんですよ。だからその辺、これは平行線だと思うんですよ。さっきの話も僕としてもおかしいなと思うところもあるんだけど、そんなことを言ってもしょうがないですよね。多分若松先生、怒ってみえると思うんですけど、それはわかる、よくわかるんですよ。私もわかります。だけど、これやってても平行線ですよ。これ重箱の隅つついて生徒を落とすことしか考えてないんだから、要は今の話は格差をつけることしか考えてないわけですよ。そこに問題があるんだから。だからちょっと置いといて、この話これ以上、何時間やってても、僕は同じだと思うんですよ。だからちょっとぼちぼち結論の方へ向かって、委員長、かじを取っていただきたい。

○福山委員長 いろいろお聞きしてたんで、進め方についての何か御意見があったら聞いてから舵取りをさせてもらいます。もうよろしいですか、今水谷委員がおっしゃったことで、何か、いやいやという方、ございますか、委員の中で。もうそろそろ終結せよということで。大体おわかりになりましたですか。
 きょうの委員会の趣旨は冒頭に申し上げまして、いろいろと食い違いのある点とかお聞きするということですので、学問的なことについて言いだしますと、いろいろ両論あったり、今教育委員会も申しましたようなこともございますので、ちょっと申しわけないんですけれども、ちょっとそこはけりをつけさせていただきまして、今後、今はこれからのことなんですけれども、大体は両方からかなり時間をかけてお聞きしました。どうしてもこれだけはというのだけお聞きしまして、あと委員協議をさせていただくことになっておりますので、それだけちょっと簡潔に、それぞれの立場でもしこれだけは言っておきたいと、再度なかなか開けないと思いますので、簡潔にちょっとずつ三者からお聞きして終結したいなと思います。

○吉川立命館大学法学部教授 憲法の問題のことはもうやめておきます。
 合格か追加合格かの法的判断の助言を行います。これは行政法の行政的な立場から助言を行います。
 まず、合格発表がありました、一次のですね。それはもう校長が判定会議に基づいて合格発表をし通知されておりますので、合格という行政行為が成立して到達しております。効力も発生しております。それは何ぼ次の追加合格があろうとなかろうと変わりません。まず第1点。
 第2点は、では佃校長が行った追加合格はどうなるんだということですが、文章を取り戻しました。だけども、手続的に教育委員会と相談しなきゃいけないとか何とかあるんですが、それはちょっと置いときまして、それは別にどうでもいいので、ともかく合格採否の権限が校長にあると、今の段階では。これから改正するとおっしゃってますけど、今の段階では。したがって、校長がこいつを合格させようと決断をして、内心で考えてるだけでは合格になりませんが、何らかの発送行為、発表行為が行われた。これは佃校長が中学校の校長あてに合格したよと連絡してくださいという文書を送って、本人宛の文書も着いてるようですが、そうしますと、そこで一応合格という行政行為は成立しただろうと思われます、成立は。ただし、受験者に到達してませんので、効力は発生しておりません。
 だから、効力を発生するためには、受験者が何らかの形でその通知を知る必要があります。この、今、情報開示で知ったかどうかが問題です。そこを私は把握してませんが、問題文は把握したようですが、佃先生の文章、追加合格者が父兄なり本人が知ったかどうかはちょっと私は把握しておりませので、もし知ったとすれば効力が発生するんじゃないのかなと思います。
 一たん合格が成立しますと撤回、撤回ですね、決めたけどやめやという撤回は、正当な理由がないと許されません。佃校長も勝手に撤回はできません。では、佃校長は教育委員会に言われて、あの文書を取り戻してもいいと言ったとか同意したとかいう話がありますが、それが撤回になるかと、追加合格を撤回したことになるかという問題があります。ありますが、実は、同意したときには佃校長は校長でなかったのでないのかなと。撤回する権限がないと、そのように私は考えます。
 これはちょっと法的な判断を示しておいたというだけです。

○福山委員長 教育委員会はございますか、最後これだけはというのがありましたらおっしゃってください。

○土橋教育長 特にございません。

○福山委員長 津西の現場から来ていただいた方ですと、これだけはというのがございましたら、おっしゃってください。

○山下津西高等学校長 特にございませんが、学問論争ということになればいろいろな考えの方があると、先ほど水谷先生の方からおっしゃられましたけれど平行線になるということもおっしゃられました。この場というのは学問論争をする場ではないということをおっしゃられましたので、確かに私自身もそのように思っておりますし、今後、本校におきましても事務の改善について一生懸命努力をしていきたいというふうに思っておりますので、その決意だけ述べさせていただいて終わらせていただきます。

○福山委員長 あとよろしければ、申しわけないです、時間に追われまして。
 以上をもちまして、本日の調査を終了させていただきます。いろいろな問題が提起されましたので、また教育警察常任委員会としてもまたこの後協議をいたしまして、いろいろな先生方の御意見を参考にして、今後の方向を出させていただきます。
 佃参考人、並びに助言者の方々には長時間、まことにありがとうございました。委員以外の方は退室願います。

 

 〔委員協議〕

  1 本件の取り扱いについて

                  

 〔閉会の宣告〕

 

以上、会議の要綱を記し、ここに押印する。

平成14年 8月 6日

 

教育警察常任委員長   福山  瞳

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