このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

スマートフォンサイトへ移動

三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成21年度 委員会会議録 > 平成21年4月22日 健康福祉病院常任委員会  会議録

平成21年4月22日 健康福祉病院常任委員会  会議録  

    健康福祉病院常任委員会 公聴会

会議録

(開会中)

 

開催年月日    平成21年4月22日(水) 自 午後1時03分~至 午後3時38分

会 議 室      全員協議会室

出席委員       8名

                         委  員  長   竹上 真人

                         副委員長   藤田 宜三

                         委   員   中川 康洋

                         委   員   後藤 健一

                         委   員   田中  博

                         委   員   舟橋 裕幸

                         委   員   山本 教和

           委   員   萩原 量吉

欠席委員        なし

公 述 人     5名

                         〔委員会が選定した公述人〕

                         米田 幸夫 氏(前島根県隠岐広域連合立隠岐病院副院長兼事務局長)

                         内田 淳正 氏(三重大学学長)

                         〔公募による公述人〕

                         塩飽 景子 氏(志摩市)

                         丸山 喜平 氏(津市)

                         岩脇 文郎 氏(津市)

委員会書記   議  事  課  主幹     中村 洋一

                         企画法務課  副課長  川添 洋司

議   長           萩野 虔一

傍聴議員       35名

                         長田 隆尚         津村   衛         森野 真治

                         杉本 熊野         村林   聡         今井 智広

                         辻 三千宣         笹井 健司         中村   勝

                         稲垣 昭義         北川 裕之         服部 富男

                         奥野 英介         末松 則子         中嶋 年規

                         水谷   隆         真弓 俊郎          舘  直人

                         日沖 正信         前田 剛志         大野 秀郎

                         青木 謙順         中森 博文         前野 和美

                         岩田 隆嘉         貝増 吉郎         山本   勝

                         吉川   実         三谷 哲央         中村 進一

                         西塚 宗郎         永田 正巳         西場 信行

                         中川 正美         藤田 正美

県政記者クラブ 16名

傍 聴 者      20名

議題及び協議事項

Ⅰ 「県立病院改革に関する考え方(基本方針)(案)」に関する公聴会

 1 委員会選定による公述人による公述及び質疑

  (1)米田 幸夫 氏(前島根県隠岐広域連合立隠岐病院副院長兼事務局長)

  (2)内田 淳正 氏(三重大学学長)

 2 公募による公述人による公述及び質疑

  (1)塩飽 景子 氏(志摩市)

  (2)丸山 喜平 氏(津市)

  (3)岩脇 文郎 氏(津市)

Ⅱ 委員協議

 

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

Ⅰ 「県立病院改革に関する考え方(基本方針)(案)」に関する公聴会

○竹上委員長 本日は、「県立病院改革に関する考え方(基本方針)(案)」に関し、公述人の方からご意見を述べていただくこととしております。
 公述人については、去る3月25日から4月10日まで公募いたしましたところ、8名の方から申出をいただき、その中から賛否が公平になるよう、委員会で選定をいたしました。
 その結果、本日は、志摩市の塩飽景子さん、津市の丸山喜平さん、津市の岩脇文郎さんの3名の方にご意見を述べていただくことといたしましたので、よろしくお願いいたします。
 また、公募による公述人に加え、委員会が選定した公述人として、反対の立場から、前島根県隠岐広域連合立隠岐病院副院長兼事務局長で、現在は医療経営アドバイザーなどをされております米田幸夫さん、また賛成の立場から、三重大学学長の内田淳正さんに、それぞれご意見を述べていただくこととなっております。
 本日の公聴会の進め方ですが、公述人のご都合を考慮し、まず委員会選定の公述人2名の方にご意見を述べていただき、これに対する質疑を一括して行います。
 その後、2名の公述人にはご退席いただいたあと、公募による公述人の方に入室いただき、3名の方にご意見を述べていただいたあと、一括して質疑を行います。
 また、本日は委員以外の議員が多数傍聴されておりますので、委員からの質疑のあと、時間の許す範囲で傍聴議員にも質疑を認めることといたします。

 

 1 委員会選定による公述人による公述及び質疑

  (1)公述人による公述

○竹上委員長 それではまず、委員会が選定した2名の公述人にご意見を述べていただくことといたします。
 この際、委員会を代表して公述人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、お忙しい中にもかかわらず、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表して心から厚くお礼申し上げますとともに、忌憚のないご意見を述べていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 公述に入る前に、公述人の方にお願いいたします。
 ご意見はお1人15分以内で述べていただくようお願いいたします。
 また、ご発言をされる場合は挙手いただき、委員長の許可を得てから発言するようお願いいたします。
 発言の内容は、「県立病院改革に関する考え方(基本方針)(案)」に関する意見に限らせていただきますので、その範囲を超えないようお願いいたします。
 さらに、公聴会は、委員会が公述人のご意見をお聴きする場であり、公述人から委員に対して質疑をすることはできませんのでご了承願います。
 それではまず、反対の立場の公述人からご意見を延べていただくことといたします。米田公述人、お願いいたします。公述時間はこの部屋の時計で、午後1時20分までといたしますのでよろしくお願いいたします。

○米田公述人 ただいまご紹介いただきました、島根県から来ました米田です。
 私は、有識者というよりは地域医療を守る観点から、自治体立病院の再建に向けた経営健全化計画の策定と、新病院建設に取り組んできた経緯から、本案件に対し、反対の立場で意見陳述を行わせていただきます。
 そもそも、県立病院の設立の趣旨や概念は、県の医療行政上、県民の命と健康を守るため、県知事が議会に上程し、議会承認で誕生となります。その医療行政上の医療政策の推進母体が県立病院でありますので、医療行政上の県立病院の位置づけ、そして使命、役割に基づき、直轄で運営されるべきものと考えます。特に、県立病院は2次、3次医療圏の基幹病院として、救急医療を初めとした高度、専門、先進、特殊医療などの不採算医療や感染症、精神医療等の政策医療、また災害拠点病院機能を担い、地域医療の先進的な役割と使命、そして地域での医療水準の向上に向けた大きな責務があるわけでございます。そのような視点から、総合医療センター、こころの医療センター、志摩病院は、立地条件、医療環境、事業規模、診療機能が違えども、県立病院としての使命と役割を果たしていると考えます。
 一志病院につきましては、市町村合併により広域性がなくなったといえども、医療環境やニーズに変化はなく、引き続き高齢化の進む奥一志地域の1次医療を含めたセーフティーネットとして、現行の運営形態を維持することを前提に、現在取り組まれております総合医の育成や、保健、医療、福祉にまたがる総合的な高齢者ケアを関係自治体と連携しながら、医療政策への位置づけの検討を行うべきと考えます。
 また、もう1つの役割であります地域医療を守る観点から、基幹病院として医師、看護師を初めとした医療従事者の確保が困難な公的病院、自治体立病院、診療所への人的支援や医師の臨床研修の制度化に伴いまして、教育臨床研修体制の構築、看護師を初めとした医療従事者の質の向上に向けた認定講習、各種研修への支援体制の構築に向けて、ハード面、ソフト面での拡充が求められているだろうと思います。
 そのような使命と重責を担いながら、今回の案件は、県としての医療行政責任を放棄するような、病院財政悪化を理由とした提案であり、医療行政や医療政策の推進母体である県立病院の医師を初めとした現場からの参画や意見が反映された内容とは言いがたいものであります。
 「病院事業の在り方検討委員会」議事録の事務局説明から察しますと、このような経営悪化を招いた原因は、設置者と病院事業管理者になります病院事業庁、病院との内部的なシステム的欠陥から生じたものであるととらえます。このような内部的欠陥から生じた現状の問題点や課題点の解決に向けて、運営形態を変更すればすべてが解決できるという一方的な見解であると同時に、案件の実現に向けて行政総体の事態収拾はできないとの判断から、公立病院改革の名のもとに、経営形態の見直しを迫り、設置者責任の形骸化や事業管理者責任を放棄し、地方独立行政法人や指定管理者に医療行政上の課題をゆだね、民間医療機関へのしわ寄せや責任転嫁を前提とした安易な手法としてとらえざるを得ないと思います。
 次に、経営についてでございますが、公立、私立病院を問わず平成16年度以降の経営悪化の大きな要因でございますけれども、まず1つは臨床研修制度の必須化に伴い、この臨床研修そのものは非常にいい制度でございますけれども、それに伴いますマッチングによりまして、研修医師の都市部集中を招き、結果といたしまして地元大学への研修希望者、入局者が減少し、地元大学から派遣されている医師の引き揚げにより医師不足が生じて、大きく収入のマイナスになっているだろうと思います。
 2点目でございますけれども、診療報酬上、新しく7対1看護師配置基準が新設されました。これによって、都市部の病院や地方の基幹病院、特に急性期を担っている病院等においては、この7対1看護師基準の取得を目指したため、地方の病院では医療提供上必要な看護師の確保は困難となり、受診抑制や病床規制などの苦渋の選択を余儀なくされ、地域住民の皆様方に多大な迷惑をかける事態を招いたばかりか、大幅な減収となっています。
 3点目でございますけれども、2年ごとに改定されます診療報酬改定では、平成14年度はマイナス2.7%、平成16年度がマイナス1%、平成18年度に至りましては3.6%のマイナス改定となっております。
 この改定で、官民問わず大幅な減収を招き、70%以上の病院が赤字となり、病院経営は大変厳しいものになったという経緯がございます。やはり、病院事業は多くの職種、多岐の職員の配置が必要であることから、典型的な労働集約型の事業であることや、現行の診療報酬改定方式は総額決定方式とも言うべきものであり、国の医療費抑制策の考え方から、医療経営の実態、物価指数、人件費等の動向が適切に反映されているとは言いがたいものになっております。
 また、自治体立病院は公務員であるということから、公的医療機関よりも中途退職者が少ないことや、全部適用といえども県立病院の賃金決定基準は、国の人事院勧告、県の人事委員会勧告に追従することになりますから、これらの勧告は病院の大多数を占める看護師の確保、離職防止などの看護師に重点を置いた勧告がなされたことから、人件費の増加につながっていると考えます。
 このように、国の医療政策の動向や診療報酬点数改定の動向により、病院経営は大きく左右され、三重県の県立病院も同様に大きなダメージとなっております。結果といたしまして、病院運営をしていただくために一般会計からの財源補てんにつながり、今回の案件になったと思われます。
 このように、国の医療費抑制策の中での法制度改正や、診療報酬点数の改定は院長を初めとした病院職員だけでは解決できない医療政策上の課題であることは言うまでもありません。ちなみに、自治体立病院の運営のための財政措置は、地方公営企業会計原則である独立採算制と、県立病院の役割として公共の福祉の増進にかかわる経費については、地方公営企業法第17条の2、第17条の3に基づき、負担区分が明記されています。その中には15の繰出項目や基準が定められ、病院の役割や診療機能に応じて病院会計のルール化がされ、その金額の2分の1は県の地方財政計画の基準財政需要額に算入され、普通交付税措置や特別交付税措置として、県に戻入される仕組みとなっています。なぜ2分の1の算入かと申しますと、県民の医療提供に対する責任の半分は国、半分は自治体責任としてとらえ、独立採算の部分は自立、自助努力が求められるからであります。そのような観点に立ち、記述されている一般会計からの繰出金は約45億円とありますが、これは平成20年度決算でございますけれども、約半分は国が肩がわりしているわけでございますので、三重県の県費として純然たるルールに基づく繰出金は、約20億円強と推測いたします。ただし、これは年度によって違いがあるということは言うまでもございません。
 県費の投入を約45億円で議論するのか、20億円強で議論するかでは大きな違いがあります。ちなみに、三重県は47都道府県の比較において、1床当たりの繰出金は全国平均を下回っております。また、日本医師会の平成20年12月の定例記者会見では、医師数が減少した病院比率のワーストワンは三重県であり、その比率は63.6%になっています。また、平成18年12月現在の厚生労働省の調査では、人口10万人に対する医療施設従事医師数の全国平均206.3人に対し、三重県は177.9人と、全国平均より約30人少ない、悪い方から11番目となっている状況です。
 また、第4次改定の三重県保健医療計画では、県内の病院が不足している診療科別医師数は、内科の64人を筆頭に小児科25名、麻酔科18名、産婦人科16名、脳神経外科14名、その他194名、合計328人不足となっています。
 一方、三重県民医療意識調査では、今後充実を望む医療分野の上位は、がん対策、救急救命医療、在宅診療、小児医療、脳疾患、心疾患などの県行政として対応していかなければならない重要な課題があるだろうと思っております。
 特に、救急医療対策は、本年3月に津市で開催され、私も参加いたしました県民シンポジウムでの救急救命士の発言の中で、出動要請のあった患者様の家族や本人の前で救急病院を探すのに、7回、8回連絡しなければ引き受け病院が見つからないという現状報告もありました。
 また、看護師の状況でございますが、看護師の需給見通しでは、平成18年度に848人不足、平成21年度には157人の不足と見通されていますが、現状では恐らく大幅な不足になっていると思われます。このような現状から見ましても、三重県の最優先課題として、医師、看護師確保対策と、いつでも、どこでも、誰でも安心してかかれる医療提供体制の整備が、まさに行政の責任として求められています。
 医療を持続的に、安定的に提供するにあたっては、独立行政法人や指定管理者では、法人、管理者の中途撤退や、事業倒産、医療行政上の課題の解決に関して、事業者との意見の乖離、負担金を含めた予算、決算等において課題があります。地方独立行政法人の場合、議会に対しては報告でよいとされ、設置者や議会の関与が形骸化されるおそれがあります。他県でも十分な医師が確保できずに、当初の計画どおりの経営健全化が進まなかったりしている事例も聞きます。
 また、自治体と経営移譲先との力関係において、相対的に自治体が不利になる状況が見られます。三重県には、移譲対象と考える公的医療機関としては、日赤や済生会は既に設立されていますし、また厚生連については7つの病院が現在あるわけでございますので、経営基盤の確立された法人や指定管理者の進出は本当に厳しいものになっているのではなかろうかなと思います。
 以上、申し上げました現状から、本案件の議会決議は、県立病院の医師を初めとした医療従事者から見れば、3年後の経営形態の将来像を前提とした議論になり、当然のことながら経営健全化に向けた諸問題、諸課題への取り組みや、モチベーションのさらなる低下、離職者の増大につながり、現状以上の経営悪化を招きかねないと危惧します。とりわけ医師、看護師不足という厳しい状況で、長時間勤務などの労働環境、個人の犠牲を余儀なくされる救急医療や、地域住民の皆様方の健康と命を守るため日夜奮闘している現状をご理解いただき、医療職場全体のモチベーションの低下は避けなければいけない課題であると考えております。
 現段階では、経営健全化に向けて、設置者や事業管理者、病院長を初めとした病院職員と一体となり、現状打開に向けて相互の信頼関係の構築と地域住民、県民の皆様方のご理解をいただきながら、地方公営企業法の全部適用を前提に議論を展開していただきたいと考えます。
 なお、本案件が具体化されますと、他の自治体病院に対する大きな影響や、また自治体に対して波及することになりますので、それこそこの三重県における医療崩壊に拍車をかけることになるわけでございます。そういうことから、私がかかわってきました自治体立病院の経営健全化・再建・新病院建設には、4つの視点が必要だろうと考えております。
 これを自治体立病院協議会の邉見会長の言葉を借りますれば、まず1点が、やはり県立病院は設置者、議会、事業管理者とのパートナーシップが必要であるということであります。時間的にございませんので中身には触れませんけれども、やはり県立病院の設置趣旨に基づいて、やはり行政総体でやっていかなければならない課題だろうと思っております。
 2点目につきましては、事業管理者、院長、管理職の強力なリーダーシップだろうと思っております。
 3点目は、職員としてのプロフェッショナルシップでございます。やはり専門職としての質の向上やチーム医療の推進、意識改革等がまさに求められるだろうと思っております。
 4点目といたしましては、地域住民の皆様方のフレンドシップでございます。やはり病院の現状への理解や信頼関係の構築、過酷な労働環境の理解等について、やはり住民一体となってこの医療提供、そして県立病院の位置づけ、あり方、役割をご認識いただかなければならない課題であろうと考えております。
 この4つの視点がなければ、病院改革はなし得ないものと考えております。
 以上、私としてのこのような、この場におきまして発言の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げまして、本案件に対し反対の陳述を終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○竹上委員長 ありがとうございました。
 次に、内田公述人、ご意見をお願いいたします。公述時間はこの部屋の時計で、午後1時38分くらいまでといたしますのでよろしくお願いいたします。

○内田公述人 それでは私はこの提案に賛成の立場から、意見を述べさせていただきます。
 元々こういうことを議論する中で、最初に必要なことというのは、県立病院というのはどうあるべきか、ということから議論をスタートしたというふうに私は認識しております。そういう意味では、政策医療を遂行するために必要な病院の位置づけをまずする必要がある。その中で、県立総合医療センターというのは、これは三重県の必要な政策医療、災害医療、それから救急医療、それから感染症の医療拠点として、これはもうなくてはならない病院であるということが1つ。それから、こころの医療センターもしかりです。精神疾患に対する中核を担う病院である。この2つの病院は、診療機能はもとより、教育的な観点でも病院としてなくてはならないものであるというところから、まずこの2つについては、特に県立病院として維持していくのは必要なことである。
 次に、県立志摩病院をどういうふうに位置づけるかというところは、議論が分かれるところですね。志摩地域という、比較的限定された地域に存在する県立病院であります。そんな中で、現状を考えますと、県立志摩病院というのは、あの地域で1次救急、2次救急も含めて住民の健康を守る中核病院であるというふうに位置づけますと、これについても県立病院として維持していく必要性を否定するものではないという観点で、何とか県立病院で維持していきたいと。
 それから、次にこの3病院の経営形態をどういうふうに考えるかという議論に進んでいくことになるだろうと思います。こころの医療センターにつきましては、現状ではいささか悪いところもあるかもわかりませんけれども、これはほぼ許容範囲であろうということで、現在の運営形態でいきましょうということは受け入れられる状況だろうと、私は理解しておるところです。
 それから県立総合医療センター、これについてどういうふうに考えるかという中で、我々国立大学の附属病院も平成16年に法人化しました。法人化してやっぱり随分意識が変わってきました。大学附属病院をどうしたらいいかということについて、院長を中心に皆さんが意識改革をすることによって、経営の状態は随分改善しましたし、それだけじゃなくて医療の安全、それから住民にどういう医療サービスを提供するかという観点での意識改革というのは大きく改善しました。
 この中で、三重県は平成11年に地方公営企業法の全部適用を導入して、約10年間経過を見てきた中で、総合医療センターについて、その適用が十分浸透したかというと、現状を見ますと、それは否定的な考えに至らざるを得ないということで、さらなる意識改革を求めるということで、独立行政法人にするということを選択するというのは、私は次のステップとしてこれは必要なことだろうというふうに思っておる中で、こういう提案になったと理解しております。
 それから、県立志摩病院についてこれをどう考えるか、指定管理者制度を適用するのがいいか悪いかということについて、在り方検討委員会の中でも随分議論されましたし、提案者側にも随分考えていただいたと思います。その中で、幾つかの指定管理者制度で成功している事例もあります。特にこういう地域、僻地というと志摩の人に怒られますけれども、かなりの遠隔地である中で、これはあくまで例えばということですが、自治医科大学なんかがやっている地域医療振興協会なんかが成功事例を持っている。そういう人たちの協力を得て運営をしていくというのは1つの選択肢でありますし、それはぜひこれからの病院の運営を改善していく上では、必要なステップであろうと考えております。
 それから、最後に県立一志病院、ここをどう考えるかということの中で、非常に限られた地域であるというのはもうご存じのとおりです。ここをまず県立病院として維持する必要性というか、県立病院としてやっていくことについて県民全体の合意が得られるかどうかということを在り方検討委員会でも一生懸命議論しましたし、提案者側もそれは考えたことの結果だと思います。県立病院としてやっていくには、あの地域の医療のサービスとして何を提供する必要があるかというと、やはり高齢者に対してどういう医療の体制がいいかというと、いろいろな意味で自由度のある医療提供体制をとる中で、これは県立病院としてはなかなかそれを進めるのには問題が多い。いろいろなところに、県立病院としてやる以上は、いろいろな機関との調整を図りながらやっていくということは非常に難しい。そういう中で、もう少し自由に病院の経営、運営ができるようなところとの関係で進めていけばいいんじゃないかということをもとにした提案で、これは決して病院がなくなるとか、そういうふうにとらえていただいたら困ると思っております。
 この、多分皆さんが持っているお手元の資料の中の14ページを見ていただくとおわかりのように、一志病院及び志摩病院の運営形態の変更に当たって、この提案しているところは、現在地での医療の継続は確保し、現在の医療を継続して、さらに先程お話ししましたように、高齢者の医療、それからプライマリーケアをそこで補完することを引き受けていただけるような事業主で、それをさらに進めて、あそこでもう一段進んだ高齢者コミュニティを考えられるような医療システムをぜひ構築することが、これは三重県にとってモデルケースにもなるし、そういう展開をぜひ期待しながら、みんなが満足というか、その地域の人のニーズに応えられるような医療提供体制をつくる。こういう将来展望を含めた提案であるというふうに理解していただく必要があるのではないかなと私は思っておりますし、そういう観点で今回の提案というのは、決してこの現状の体制から引き下がるんじゃなくて、これから県民にさらなる、よりよい医療を提供するためにはどういうふうに進めていくべきかということを考えた上での提案であると、こういうふうにご理解いただきたいと思いまして、私の発言を閉じさせていただきます。

○竹上委員長 どうもありがとうございました。

 

  (2)質疑

○竹上委員長 それでは公述人に対する質疑を行います。質疑に当たっては、公述人を指名いただいた上でお願いします。
 なお、公述人におかれましては、このあと大学でのご予定があり、午後2時10分頃までには退席されたいとのことですので、公述人に対する質疑はそれまでにお願いいたします。

○舟橋委員 ありがとうございました。両公述人に幾つかお聞かせいただきたいと思います。
 まず、内田公述人にお願いいたします。
 内田公述人は在り方検討委員会のメンバーでもあられましたし、今回のパブリックコメントの資料を見ておりますと、例えば一志病院について、添付されています資料に、県が民間に委託して行った運営診断があります。あの資料を見ますと、「一志病院は、診療所もしくは介護施設へ転換するのなら民間では可能だが、そうでなければ民間では難しい」という表現が入っているんです。しかしながら一方で、一志病院はその病院機能を持った民間でというところに、果たして在り方検討委員会でも恐らくその民間の調査結果というのは十分尊重されて活用されていると思うんですけれども、流れとして少し矛盾があるのではないかなと思うところがありますので、その点を聞かせていただきたいと思います。
 それからもう1つは、民間にゆだねることによって、福祉も含めた総合的な1つのモデルケースということをおっしゃいましたけれども、これは議事録の内田公述人の発言を見ておりますと、総合診療部による家庭医療の発展に対する期待感とか、特徴ある医療として県の積極的関与ということを発言されてみえます。その点と何か矛盾が出るのではないか。例えば、三重大学は一志病院を1つのフィールドとしてもって、今おっしゃったような新たなモデルケースとしてとっていくならばこれは1つの方法かもしれませんけれども、三重大学や民間に三重県の福祉行政をゆだねることには少し無理があるのではないかという思いがいたしております。
 その2点をお聞かせいただきたいのと、志摩病院については、先程三重大学も独立行政法人になって意識改革がされてよくなったというご発言がありましたけれども、私も実は三重大学の先生方に知人も大変多い中で、「いいことばかりではないよ。」と、随分そういうお話を聞かせていただくことが多くありました。同時にこの指定管理者制度は、確かに成功事例があるとおっしゃいましたけれども、他の都道府県の資料なんかを見ておりますと、失敗事例も随分見られるわけでございます。そうした際に、どこかの指定管理者に病院を預けて指定管理をした場合、思うように医師が集まらなかった、看護師が集まらなかった、そうした際に、耐え切れるだけの財力を持つ団体であればいいですけれども、そうでなかった場合、もうやめますということで、途中で辞退というか退去される、そういうケースもあると思うんです。そういうリスクのことについては、在り方検討委員会の中でも、また内田公述人のご意見の中でもどう考えてみえるかをお聞かせいただきたいと思います。この3点です。
 それから、時間の関係で一遍に言わせていただきます。米田公述人にお聞かせいただきたいんですけれども、米田公述人のほうからは独立行政法人化や指定管理者については、今、それ以上に大切なのはやはり医師の確保だと、経営形態を変更することに対してはさまざまなリスクがあるというお話もお伺いしました。
 内田公述人のほうは独立行政法人、指定管理者の成功例という話がありましたけれども、僕はリスクの高い失敗例のほうをよく聞いておりますので、そういった意味で他の都道府県における、このリスクの関係、医師確保や何かについても含めた、とりわけ経営形態の変更に伴うリスクの問題についての事例等についてお聞かせいただけたらというのが1点。
 それからもう1点は、これは三重県の方ではありませんのでちょっと聞くのがつらいかもしれませんけれども、米田公述人からはやはり最優先課題として医師、看護師確保というのをまず言われました。そしてそのためには、経営健全化に向けての4つの視点をおっしゃっていただきました。これを、三重県の今の行政に当てはめた場合、どういった取組をまず三重県としてしなければならないか、そういった点についてお教えいただけたらと思います。
 以上です。

○内田公述人 まず第1点は、一志病院における議論の中での変遷といいますか、これは矛盾ということではないと私は理解しております。いろいろな議論の中で、どういう形態が一番いいかということを考えての結果なんですね。
 「民間」というと皆さんどういう民間を考えるかというと、例えば全く民営の病院を、事業主を考えるのか。半官半民の事業主ということもあり得るわけです。この病院を引き受けてくれる団体というと、三重県において全く私立の病院が引き受けられるのか、または半官半民のどこかが引き受けてくれるのかということについては、これからもう少しいろいろな面で検討していかないといけないし、ここに提案者が掲げている7項目を満たしてくれる事業主って、そう簡単に私立が引き受けてくれるとは思いがたい面もあります。
 そういう中で、今の一志病院のやり方というのは、家庭医療センター的な役割を果たしてくれていまして、三重大学としてはここに全面的な支援を今後も続けていければと思っておりますし、それを踏まえた上で引き受けてくれる事業主ということが、まずは求められると思います。
 私の発言のいろいろなぶれといいますか、それは私の個人的な思いは思いとして、在り方検討委員会の中で発言した部分が議事録として残っていますけれども、それはあくまで私の最初の個人的な意見であって、最終的にこの在り方委員会の提言としてまとめられた中では、皆さん全体の総意としてそういう中で合意が形成されていったというふうに理解していただければいいと思います。
 それから、独立行政法人化の問題で、いいところもあるけれども悪いところもある、それはもうどんな経営形態にしても当たり前だと思います。そんないいところばっかりだったらみんなそれを取り入れるのは当たり前で、いいところをこれからどんどん強調して、悪いところを少なくしていく、100人いたら100人とも万万歳ですべてのことが進められたら、元々こういう問題は多分起こらなかったと思います。ですから、独立行政法人化で嫌な面も当然あります。例えば大学で言えば、独立行政法人化して病院の経営という観点を強調すればするほど、大学本来の持っておる教育とか、研究という機能が弱まってくる。これはある程度やむを得ないというふうに今の段階では考える必要がありますし、県立総合医療センターを独立行政法人化したときに生じる問題点というのは、今総合医療センターが持っている教育的な機能がやや弱まる可能性は否定できません。ですけれども、そこを乗り越えるような病院長とか事務局長、それを作って、ぜひみんなが支援するという体制で臨まないと、これはどんな経営形態をとったって成功しないと思いますよ。
 それから、指定管理者制度も結局は同じです。これは県がこの条件に沿った指定管理者を選定して、それを支援するという体制で臨むわけですよね。成功させるように支援するんですよ。三重大学も、それはそのために、三重県の医療を補完するために全力を挙げて支援することになりますし、その制度を入れたからそれが成功するとか、失敗するとかいうような考えでいてもらったら、私は困るなと思う。成功させるために制度を入れるのであると、そういうつもりで県も考えていると思うし、議会もそう理解して最大限の支援をしてもらいたいと思っております。

○米田公述人 私への質問でございますけれども、まず1点目は、この運営形態、経営形態を見直しされたことによる事例でございますけれども、皆さん方もご存じのとおり、一番今注目を浴びておりますのが、千葉県の銚子市立総合病院だろうと思っています。
 これにつきましては、当時の市長が強硬にこの指定管理者制度を導入することを議会に提案いたしまして、その応募者に歯科医院を開業している方の応募があったということでございますけれども、結果として、これは管理者として不適当であるということから、実際にはそこの病院が今どういう状況になっているのか。マスコミでも報じられておりますけれども、地域住民不在の議論が行われて、医療提供、そして銚子市立総合病院そのものが今休止という状況になっています。この経営形態変更によって、いかに地域住民の皆さん方に多大な影響を及ぼすかということが、一番今まさに注目を浴びる病院だと思っています。
 結果といたしまして、市長のリコール運動につながり、そして今度新しく選挙という格好になっているわけでありますので、いかにこの地域医療という部分が住民にとって大切な状況であるかということをご理解いただければなと思っているところであります。
 それから、2点目が氷見市立病院、ご存じだと思いますけれどもこれは富山県で、金沢大学の方が病院長としてやっていらっしゃったんですけれども、これも市長が金沢医科大学を指定管理者に指定するということから、その方向で出された。結果といたしまして、金沢大学から来ておられた医師が20人やめられるような状況になっている。医師の確保ができないということから、実際には医師数が減少している状況を招いて循環器系の専門医の減少とか、心臓カテーテルの検査がこれまで常時行われていたのが週1回行われるというような状況になっておりますし、また飯塚市立病院なんかですと、先程内田公述人からも地域医療振興協会という名前が出たんですけれども、こちらのほうを指定管理者として開業されたわけでありますけれども、医師が当初計画の6割しか確保できず、脳外科は休診となり、泌尿器科、耳鼻科などは非常勤医での外来診療のみとなっておる。神経内科については内科の常勤医が兼務しているという状況になっています。
 共立湊病院等においても、これも地域医療振興協会が指定管理者として運営しておりましたけれども、病院の移転、新築をしなければ撤退すると一部事務組合に迫って、一時紛糾したという経過等もございますし、これはちょっと古い話ですけれども、札幌の厚生北野病院においては、地域医療支援は継続するという約束で厚生連に移譲しながらも、診療を継続していくための医師確保ができず、2007年に閉院したという経過があります。
 また、私の地元でございますけれども、津和野共存病院、これも地域医療中核病院になっていたんですけれども、やはり厚生連の病院が経営悪化を招きまして撤退することになった。それでこれはもう自治体の責任ということで、津和野町が13億円で買い取って、指定管理者制度によって運営されていたんですけれども、しかし残念ながら1年ももたずにして指定管理先は自己破産となった。
 このように、運営形態の見直しに伴うリスクというのが非常に大きいということをぜひともご理解いただきたいなと思いますし、三重県においても、やはり先程も申し上げましたとおり、日赤、済生会、厚生連も含めて、本当に経営基盤の安定している病院というのは、ほかにここへ進出してくる事業体があるのかなというのが、私の本音の部分でございます。
 それともう1点でございます、2点目でございますけれども、行政の問題点というご指摘の部分ではなかろうかなと思いますが、先程の私の発言の中で、「内部的なシステム欠陥」というとらえ方でお話ししたと思います。
 三重県のことで私がこういうことはちょっとどうかなと思うんですが、経営という観点から申し上げましたら、やはり事業管理者の人事が2年で、本庁人事の中でやられているということが一番問題じゃないかなと思います。大変申し訳ないんですけれども、事業管理者になられた方が本当に大変じゃないかなと思うんです。病院は、やっぱり院長を含めて医療従事者たちのプロフェッショナルですから、その職場ですと長いんですね。だから事業管理者の2年任期の中で、本当に病院の事務を熟知していらっしゃる方が事業管理者になられれば、それは本当にすばらしいものになると思うんですが、行政総体の中で、この在り方検討委員会の議事録を見ましても、事業管理者の部分につきましては、やはりその専門性において乏しいというご指摘も、あるいは事務局からの説明もそのようになっていたんではなかろうかと思っています。
 そういうことから申しますと、病院の医療行政上の政策課題として、そしてまた病院の経営改革を進めていく上においては、専門職をきちんと理解させ、それを具体的に実施していかなければいけないわけでございますので、そういうことから申し上げますと、事業管理者責任が非常に重要な役割でありながら、その事業管理者の人事がそのような形で行われるということが一番ネックになっているのではなかろうかなと思います。
 こんなことを言っていたら怒られるかもしれませんけれども、ある程度県立病院のこの赤字の原因は、ある意味ではそういうような人事から来た部分があるのではなかろうかなと、私は推測いたします。どちらになりましても、事業管理者の人事をそういう形での指名で行うというのはいかがなものかなと思いますし、もう1つ申し上げますと、やはり本庁人事でなりますと、設置者の見解、そして事業管理者の見解、病院としての見解、それぞれ思惑が違うと思います。事業管理者というのは全権委任を受けているわけでありますので、本来ならば病院の経営責任は全部事業管理者にあるわけなんです。ただ、その人事がそういう形で着任されてくるということになりますと、どうしても本庁の意向を余儀なくされる部分があるだろうと思いますし、また事業管理者権限を駆使することもできないだろうと。そして結果として院長、医療従事者含めてやはりその事業管理者に対する不安、そして行政に対する不信、こういう部分につながってきている。その延長上の結果としてこのような大きな赤字を出したんではなかろうかなと考えております。
 そういうことが、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、私どももそのような形で、病院の再建にはやはり行政と一体となったパートナーシップが必要だということをずっと訴えてきた観点から、現状について、私見も含めてお話をさせていただきたいと思います。
 大変申し訳ありませんでした。

○山本委員 3点、内田公述人にお伺いしたいと思います。
 内田公述人は一番初めに、四日市の総合医療センターはとても大事な病院だと、また医師の教育面でもこの施設は大事だということをおっしゃっていました。結論的には、総合医療センターは独立行政法人になって、志摩病院は指定管理者にということですが、この相違というか、なぜ志摩病院は独立行政法人にならなかったのか、それが1点です。
 それと、内田公述人の先程の話の中で出てきました地域医療振興協会、今日は志摩市からも市議会議員の方もおみえになっているんですが、ご承知のとおり、今、地域医療振興協会に志摩市の老人保健施設の指定管理者として頑張ってもらっているんですが、例えば将来、地域医療振興協会が志摩病院を担うということになったとして、三十数名の医師が地域医療振興協会、特に例えば自治医科大学のほうから大量に送り込まれるかといったら決してそうじゃなくて、当然三重大学の協力も仰がなきゃいけない。そこで私が懸念しておるのは、地域医療振興協会にお願いしたら、ここぞとばかり三重大学の医師がそこから1人抜け、2人抜けて、ひょっとして今建設中の伊勢の山田赤十字病院に移管されるのではないかというようなことを懸念しておるんです。そのところについて、今の見通しですけれどもどうかということが1つ。
 それと、これは内田公述人に尋ねていいものかどうかわからないんですけれども、指定管理者という制度でどうかという前に、もう1つだけ努力をしなければいけないことがあったんじゃないか。それは、いわゆる病院のマネジャーを送り込むということ。今は、病院長は午前中ずっと診療して、それで自分の席へ帰るのが大体午後3時ぐらいなんですよ。それまでずっと医療をしながら、また入院患者のところを診ながらやっておる。それをやっておるということと、もう1つは管理部長がいます。管理部長はすべてのことを全部やっておるんですね。それでなおかつ病院の経営もやらなければいけないというと、とても忙しいわけですよ。だから、私は観光政策などでよくプロデューサーなんかを導入するのと同じように、例えば病院経営専門のマネジャーを投入して、それでもだめならということで、この指定管理者なり独立行政法人という、結果的にそういうシステムを導入しなければいけないというならまだわかるんですが、そこをやらないままにこの指定管理者でどうだというのはいかがなものかなと思いますが、内田公述人のお考えを聞かせていただきたい。
 医療はやはり地域完結型じゃなきゃいけないと思うんです。ますます拠点病院が充実していくというようなことの中で、忘れ去られていく地域があってはいけないわけで、やはりそれぞれの地域で医療は守っていかなきゃいかん、そういうような観点で3点申し上げました。
 以上です。

○内田公述人 はい。そういう意味では病院のマネジャー、院長に管理能力があってそれを支える事務組織が存在するという形態をどうやって構築するかということになったときに、今までのこの歴史を振り返ってみますと、それを一概に口で言ってすっとできるんだったら、多分もう既にできていたと思います。残念ながらそれは三重県だけじゃなくて、多分どこの県もそうだったし、大学病院もそうだったんですよ。できなかったんです。それをする1つの手段が独立行政法人化であるし、指定管理者制度なんですよ。
 だから、私が三重大学でとった手法というのは、法人化したときに、院長の権限を使って、いい事務部長を作る。自分を支えて病院を管理できる事務組織でないと、病院はよくならんのですよね。それを作るのが独立行政法人化であり、指定管理者制度である。そのための手法というふうに考えていただいたらいいと思うんです。それがなかったから、今、米田公述人もいみじくも指摘されたように、病院の事務組織が全く体をなしておらんじゃないかと。それはおっしゃるとおりですよね。大学も今まではそうだったんですよ。だから独立行政法人化という手法で事務組織をきっちり構築していった。それで、指定管理者制度がいいのか独立行政法人化がいいのかというところについては、まだ議論があると思いますし、それじゃ県立志摩病院で指定管理者制度が導入されて、ある指定管理者が入ってきたからといって、そこだけでは絶対運営はできません。やはり三重大学と協力できる指定管理者であり、そういう形態を作らないとこの病院というのは維持できないと思いますので、その点については提案者も十分理解しているし、三重大学もそれは理解の上での話だというふうに考えていただいたらいいと思います。

○萩原委員 時間がないので手短に、端的に内田公述人にまず聞きたいんですが、三重県の県立病院だけが問題だということではなくて、今やっぱり全国どこでも一緒だと。やっぱりすべて国の責任だとは言いませんけれども、医療費全体として抑制する、削減するという中から出てきた話で、だから今ごろになって三重大学の医学部の定数も100人から110人、120人になってきているわけですよね。今ごろになって医師を養成しなければならんという形になっているわけで、これは確かに職員の皆さんの努力も大事であります。全く努力しなくてもいいと言うわけじゃないけれども、医療政策のあり方そのものを変えなければ、医師不足やら病院の経営形態なり、健全化ということはやっぱり非常に難しいのではないか。
 端的に、これは米田公述人がおっしゃったけれども、3回の診療報酬の抑制だけでも7.3%。これだけ見ても三重県の診療報酬、病院事業の医療収益に引き合わせると約10億円が、それだけでプラスになる。平成19年度の経常損益はそれでクリアされるみたいな状況であるわけで、だからそれだけで赤字、黒字という議論は、私はやっぱり非常に問題ではないのかと。だから経営形態を変えれば何とかなるだろうという議論というのは、私はやっぱり医療従事者の努力を大変そぐことになって、モチベーションを落としてしまうことにならないのかということを、率直に指摘したいと思うんです。
 その点について、内田公述人もこの在り方検討委員会の委員をしておられて、そのあたりの議論はどこまで深められたのか。どうも十分よくわからないという部分があったり、あるいは結果的に言えば人を減らしたい、一般会計からの繰入れを減らしたい、なくしたい。人減らし、金減らしというところにやっぱり行き着いている。また、まずそれがありきのような形の答申になってきている。そのような点ではどうなんでしょう。

○内田公述人 今ご指摘のように、国の医療制度に欠陥があって、今の状況を醸し出しているというのは、かなりの部分そのとおりだと思います。それじゃ現状を放置しておいていいのかということになりますね。韓国であったように医師が全員ストライキを起こしてでも、国家に改善を迫るというのも1つの方法ではありますけれども、それをした時に一番困るのは誰かというと、やっぱり国民だと思うんです。国民が困らないような中で、ドラスティックでない改善をどうやってしていくかということが、我々の今の課題だと思います。それは行政しかり、医療の現場に働く医師もしかりだと思います。
 この議論の中で、モチベーション、そこに現場で働く医師たちというか医療従事者のモチベーションが下がるのではないかということについては十分議論しました。私も医療の現場の立場からすると、急激な運営形態の変化というのは、そこで働く人間の不安を募るということについては、十分こういうことをするに当たって配慮してほしいと。そうでないとこれはさっきも言った、結局運営形態を変えたから病院がよくなるとかそういう夢を抱いてもらっては困りますよと、運営形態を変えるんだったら変えるだけの責任をきっちり提案者側は持ってもらわないといけないし、そのためには現場で働く人、それから県民に十分説明責任を果たしてもらった上での行動ですよということについては、十分議論したつもりです。

○萩原委員 すみません、米田公述人に一言お尋ねします。
 先程4点の改革といいますか、病院改革に対する重要な点で、4点目の地域住民のフレンドシップ、住民一体となったということを指摘されまして、非常に大事な視点だと思うんですが、今までの経験とのかかわりで、今特に一志病院が民営化というか、民間でというような形になっているだけに、住民の皆さんが大変不安に思ってみえると思うんですが、そんな中で今までのご経験で、今必要なことはこんなことじゃないかというのを、よりリアルな実践なんかも含めておっしゃっていただければありがたいと思います。

○米田公述人 私のこれまでの経験、特に人口1万6000人の離島の、隠岐病院という病院に行ったときに、実は6年前に行ったんですけれども、非常に住民との信頼関係がなかったのは事実であります。
 そういうことから言って、やはり住民との信頼関係がなければできないだろうなということが大前提でありましたので、まずは職員の意識改革から取り組んでまいりました。そして、意見箱を1つの目安といたしまして、当時非常に苦情が多い病院であったんですけれども、職員の意識改革、それから医療の安全の体制の充実とか、それからまた1つの目印になります医療機能評価だとか、そういうこと等の内部改革を中心にやってまいりました。あとの3年間につきましては、やはりこれは私のところだからできた課題だとは思いますけれども、夜の7時半から10時くらいまで院長と幹部職員が全員地域に持ち回りで出まして、1つの住民の皆さんとの信頼関係の構築に向けて、座談会等も開催してきましたし、それから医学講座等を開催してきましたし、それから病院の、私は「経営」というのはあくまでも赤字、黒字の問題だろうと思いますけれども、「運営」というのは地域住民がどのような形で、その病院に何を期待しているのか、行政として何をやっていかなければいけないのか、先程申し上げたんですけれども、行政の一環として自治体立病院があるわけでありますので、その役割をどうその地域住民に返していかなければいけないのか。赤字でもやらなければいけないのか。そのことを含めて、私も設置者並びに議会のほうに勉強会を開いていただきまして、財政の仕組みとか、今の医療行政の動向とか、そして情報の共有化を図ってまいりました。
 そして、その情報の共有化を図る中で、今本当に医療現場の医師がどんな状況で働いているのかというのを理解していただきたいと。例えば1人診療科のドクターは、小児科の医師でしたら、昼間仕事をして夜急患で呼び出されて、そしてまたあくる日は8時半から診療しなければいけない。外科の医師でしたら、診療して緊急の手術があれば、即手術に入らなければいけない。寝ないであくる日また診療していかなければいけない。そういう実態をぜひとも理解いただきたいと。
 住民の皆様方から見れば、病院はいつ来ても診てもらえるという、その部分は当然お持ちでしょう。当然そうでなければいけないと思います。だから、それによってどのような現状になっているかということもご理解いただきたいということを訴える、そういうような中身、そして開かれた病院づくりということで出かけていきました。
 去年が16回、前年度が14回だったかな。で、それをずっと継続しております。いろいろなご意見をいただきました。やはり、特に県立病院というよりは、どちらかというと町村立病院の課題だろうと思いますけれども、やはりそういうような視点で、地域住民との信頼関係の構築は一番重要な課題だろうと思っています。そのためには、私ども医療を提供する立場も意識改革は必要ですし、当然それに対してきちんと行政としても不採算部門でも対応していただける、そういうようなお互いの相互の信頼関係が課題だろうと思っています。そのところが一番重要じゃないかなと思って取り組んでまいりました。

○中川委員 時間がないので端的にお尋ねします。
 今日は大変ありがとうございました。総論的に米田公述人に端的に3点お伺いをしたいと思うわけなんですが、米田公述人の話の中に、いわゆる県の医療政策のあり方にまで言及をしていただいたところがあるかと思います。それで、冒頭に県立病院というのは県の医療政策の推進母体であるというところを主張していただいて、具体的には2次、3次の基幹病院であるとか、先進的な医療を施す、ないしは人的支援の機能も有するというようなお話をいただきました。本来の県立病院のあるべき姿としては、そのような状況はしかりだと私も思います。
 しかし本県の県立病院の場合、4病院あるわけですけれども、経緯がそれぞれ違うというところがあります。総合医療センターは旧海軍の病院であった。こころの医療センターは、これは設置義務があって設置したわけですが、一志病院、志摩病院は医療団の解体により移管されたというところを考えると、本来県の医療政策で考えた場合、マスをしっかり考えて、いわゆる全域的に張りめぐらすということが大事だと思うんですが、そうはなっていないというところを考えると、三重県における県立4病院が、本来米田口述人がおっしゃった県の医療政策の推進母体であるというところは、これを担うべきなのか、また担っているのかというところを総論的に考える必要があると思います。
 私は、この県の医療政策というのは、県が中心となりながら、三重大学、また県立、その他の公立、市立病院もたくさんあります、民間も含めた全体をもって考えていくべきであると思うわけですけれども、そうではなくて、この4病院をもって県全体の医療政策をこれからも担う必要性があるのかどうか、ゆえに県立の必要性があるのかどうか、これを1点目にお伺いしたいと思います。
 2点目に、米田口述人は運営形態の変更の部分で、今模索されているところよりは、いわゆる全部適用の継続のほうがよいのではないかというお話をされました。本県の場合は、4病院一括の全部適用という状況になっております。例えば、四日市の市立病院は1病院のみで全部適用しておりまして、非常に市民ニーズに応じた病院になっておるということも聞いておるんですが、県は4病院一括の全部適用で10年間やってきたわけですけれども、その課題も非常に多く出てきております。ゆえに、本当にこの状態の継続で機能の改善並びに維持ができるのかどうかというところ、ここは改めてお伺いしたい。というのは、今回のねらいというのは、機能の担保は当然としながらも、内田公述人もおっしゃいましたし、米田公述人もおっしゃっていますけれども、運営形態の変更による意識の改革、ここを最も大事にしておると思います。これが全部適用の継続で果たしてできるのかどうか、そこは端的にお伺いをしたいと思います。
 3点目に、米田公述人に答弁していただいた今回の大きな問題は、本庁人事による人事、これがあるからだと。いわゆる事業管理者の責任がより重要であるにもかかわらず、そこがちゃんと見られていないがゆえにこのような状態にきているのではないかと。おっしゃるとおりだと思います。ゆえに、私は独立行政法人化等によるものによっての意識改革がなされ、いわゆる事業管理者においても責任の明確化が図られる、これこそが今まさしく大事なのではないかなと思いますが、そこに関してのお話をいただければと思います。
 以上3点。

○米田公述人 まず1点目ですけれども、県立病院が県の医療の推進母体であるということを申し上げました。やはり県立病院の役割としては、民間医療機関にそれぞれ担ってもらっているところもありますし、他の自治体立病院がやっているところもあるわけでございますので、ただ、特に自治体立病院の場合等においては、医師の確保、看護師の確保は非常に厳しい、そういう状況からなってきますと、私どもの病院も以前そうだったんですけれども、やはり民間からのドクターの支援とか看護師の支援というのはできないだろうと思っているんです。なかなか厳しいだろうと思っています。
 私ども隠岐病院の経過から申し上げますと、県立中央病院が基幹病院としてきちんと医師を派遣していただいたり、看護師を同時に病院へ派遣していただいたりする、そういう県の医療政策上に位置づけがある、そういうようなスタンスから申し上げて、県立病院の位置づけ、あり方、役割ということを申し上げたと思っています。
 県立病院が全県下を見ることは絶対不可能でございますので、そういうことなればオープンの、やはり他の自治体立病院に対しても県民の命を守っているのは一緒でございますので、そういう意味では何らかの形で医療行政上の位置づけをした中で、公的病院も対等の、本当ならあるべき姿にすべきではないだろうかという、私の個人的な見解でございます。
 2点目が機能の改善、意識改革できるかという部分でございますけれども、私は一部適用というのは地方公務員ということになりますし、全部適用は地方公営企業職員になって、より経営については効率化を求めなければいけないし、当然あるべき姿に戻っていくべきだろうと思っています。本来ならば一部適用でも全部適用でも同じスタンスだろうと思うんですが、さらに全部適用になればそれは強く求められるということは事実であろうと思っています。
 そういうことで申し上げましたときに、やはりこの全部適用というメリットは非常に大きいものがあります。例えば事務処理の簡便化があります。それから政策的な課題等についても、この病院事業管理者をトップにして、もう経営をゆだねるわけでありますので、そこがもっと指導体制がしっかりとできておれば、私は職員の意識改革はできるだろうと思っています。今、自治体立病院といえども、地域住民から見放されたら自治体立病院の必要性はないだろうと思っています。そういう観点に立ったときに、自治体立病院の設立の趣旨だとか、置かれておる現状だとか、みずからの役割というものを職員としてももう1回見つめ直す時期に来ているだろうと思っています。
 まずそういうところに対してきちんとリーダーシップが発揮される事業管理者が絶対必要ではなかろうかなと思っているところでございます。そういう意味では、本部とのパイプ役でございますので、事務局の体制が非常に重要だと思います。
 そういうことから申し上げたら、私は全部適用で、きちんと行政が関与した中で、三重県全体の医療提供の基軸となる病院にしていかなければいけない課題ではなかろうかなととらえております。

○竹上委員長 委員の皆さんに申し上げます。
 まだまだ質疑もあろうかと思うんですけれど、お約束の時間がちょうどもう超過したようなことになっておりますので、残念ではありますが、これで質疑を終了したいと思います。
 最後に委員会を代表してお礼申し上げます。米田公述人及び、内田公述人におかれましては、大変お忙しい中にもかかわらず、貴重なご意見を述べていただき、心から感謝いたします。
  皆様からのご意見は、今後の調査に十分活かしてまいりたいと思います。
 本日は誠にありがとうございました。
 公述人入れ替えのため、10分程度休憩いたします。再開は午後2時30分といたします。

 

 2 公募による公述人による公述及び質疑

  (1)公述人による公述

○竹上委員長 それでは、公聴会を再開いたします。
 次に、公募による公述人からご意見を述べていただくことといたします。
 この際、委員会を代表して公述人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、お忙しい中にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表して心から厚くお礼申し上げますとともに、忌憚のないご意見を述べていただきますようお願いいたします。
 3名の公述人からご意見を述べていただいた後、一括して委員及び傍聴議員から質疑をさせていただきます。
 なお、公述人の方にいくつかお願いしたいことがございますのでよろしくお願いします。
 ご意見はお1人15分以内で述べていただくようお願いいたします。公聴会は公述人に公平に意見を述べていただく必要がございますので、時間につきましては厳守いただくようお願いいたします。
 また、発言をされる場合は挙手していただき、委員長の許可を得てから発言されるようお願いいたします。
 発言の内容は、「県立病院改革に関する考え方(基本方針)(案)」に関するご意見に限らせていただきますので、その範囲内でご意見を述べていただくようお願いいたします。
 範囲外の発言や不穏当な発言があった場合は、委員長よりご注意申し上げますが、なお改まらない場合は、発言を制止したり、ご退席いただくことになりますのでご了承願います。
 また、公聴会は、委員会が公述人のご意見をお聴きする場であり、公述人から委員に対して質疑をすることはできませんのでご了承願います。
 なお、丸山公述人から、公述に当たり、補足資料を配付いたしたいとのお申し出がございましたので、委員長においてこれを許可しております。お手元に配付しましたのでご了承願います。
 それでは公述人のご意見を述べていただくことといたします。
 まず、塩飽景子さん、お願いいたします。公述時間はこの部屋の時計で、午後2時48分までといたしますのでよろしくお願いいたします。

○塩飽公述人 私は、志摩市の塩飽景子です。「県立病院改革に関する考え方(基本方針)(案)」について、中立の立場から意見を述べさせていただきます。
 志摩病院は精神科も併設し、数年前までは黒字だったと記憶しております。赤字になったのは正確には三、四年前ぐらいでしょうか、診療報酬制度が改定になったから、それでも志摩病院を増改築するときは黒字だったとも聞いております。
 病院事業の在り方検討委員会で検討が行われ、時期はひょっとしたらまだ黒字のときだったのではないでしょうか。ということは、検討委員会で検討が始まったときには、今のような状況をある程度想定できていたわけです。それならばなぜ、病院の増改築を着工したのか。県の健康福祉部に疑問を禁じ得ません。天下の百五銀行でも本店の建築を延期いたしました。やはり時代を読むことも必要だとも思います。建てたのが悪いといっているわけではありませんので。
 さて、指定管理者の件ですが、念のため県の検討委員会のほうに2日前問い合わせてみました。指定管理者に医師の確保と民間のノウハウで病院経営をしてもらうということですが、こんなに医師の確保が難しいときに、本当に医師の確保ができるのかと念を押しましたら、電話に出られた方が「医師の確保ができるルートがある。」とおっしゃいました。そんなばかなことが本当にあるのでしょうか。民間の事業者にそのようなルートがあるくらいなら、医療従事者はできているはずですし、病院の経営も苦しまないで済みますよね。指定管理者のほうを選択するのであれば、必ず医師の絶対必要数が確保できないと意味がありません。また、いろいろな条件もつけて正式な契約書にうたってください。形式的な契約書ではだめで、条件がクリアできていないものについては、こういう場合はこうというように細部までうたってください。何の罰則もなしでは一方的でよくならないと思います。
 おいしい部分だけを指定管理者に与えるのでは住民は納得しないですし、サービスの質が悪くなることは許せません。その場合でも、現職員の身分やサービス、給料等、また指定管理者に移ってから入ってくる職員の身分や給料などに違いが生じるであろうこと、大変難しい問題があるのではないですか。病院を2分する危険性もあります。
 「県立病院として維持します。運営体制について指定管理者制度を導入します。」とありました。県立の病院であるということで、自治体が運営、公立病院として医療所得の法人税が非課税という優遇を堅持しながら指定管理者に経営をやらせるためでしょうか。早く言えば管理料ももらって、税金は払わなくていいということですか。
 私も今日の日のために少し調べてみました。この制度を採用して行っている事業のところもありますが、全部がうまくいっているわけでもなく、逆に失敗のほうが多いように思われます。単に医師が確保できるから、運営形態にノウハウがあるからというだけでは、指定管理者にゆだねるのには少し問題があるように思われます。県の担当者も、何が何でも推し進めるのであれば、失敗した場合の責任はとる覚悟は持っていただきたいと思います。
 10年もすると医師は確実に余ってくるでしょう。今でも全国的に見ると絶対数はあるのです。ただ、偏っているからにほかなりません。毎年8000人近い医師が誕生してくる。もう一度言いますが、本当に10年もすると開業医は満杯となり、医師過剰が起こります。
 今地域住民が集まると、病院の話は必ず出ます。不安が生じております。公立病院の役割の1つ、医師や看護師を育てることも必要ではないでしょうか。産科では助産師を育て、お産に当たる。昔はお産婆さんで子どもを産んだものです。今でもほとんどの時間、赤子の頭が見えてくるまで医師はいません。助産師の方が「先生、全開ですよ」という連絡でやってきて取り上げるというのが現状です。全開ってわかりますか、子宮の口が全部開くことなんです。地方都市が人口も減少して来ているので、都会へ働きに出た、また嫁いだ娘の里帰り出産もできないのでは、寂しいではありませんか。
 勉強ばかりしてきた若いインターンがそれ以上に勉強をするのは、人間性の勉強ではないでしょうか。日本医学中興の祖である曲直瀬道三も、「人間性こそが名医たる必須条件である」と言われています。医師過剰時代に入ったら入ったで、きっと形の違う問題が生じてくるでしょう。そのときは困らないような土台作りを今から始める必要もあります。
 今のこの問題は確かに大変な問題です。すべての人に一石を投じたことには間違いありません。もしこのまま存続してくれるのであれば、県立病院として、私たち地域住民も、これから微力ではありますが病院をサポートするボランティアを立ち上げて、協力体制をいたします。お約束します。私たちも病院に命を預けているのです。医師の重労働を少しでも緩和できるような、病院のかかり方にも気を使いましょう。私たち地域住民も努力いたします。
 医師の皆さんにもお願いがあります。医療の世界においては心がなくてはいけないと思います。医師の温かい一言でどれだけ助けられ、生きる力を持たせることができるか、退院するときの希望に満ちたうれしそうな、まるで神でもあがめるように手を合わせる、お金ではない。医師にとって無上の喜びであり、どんなしんどいことも耐えられるのではないのでしょうか。お金も大事ですが、真の豊かさとは何かを問うてみてください。
 県の方にも申し上げたい。苦しくなったからといって見放すのはどうかと思います。もっと違った観点から、もう1つ先を読んで、病院の存続を模索してみてください。密室でどこかの業者と密約ができていないことを願います。頑張っていると、大阪の橋下知事じゃありませんけれど、おばちゃんがリュックにお金を持って寄附しにきてくれるかもわかりません。また、不良息子と一緒です。自分の子なら何度手を焼いても面倒を見るではありませんか。そんな不良息子が立派になったとき、一層の喜びがあるはずです。病院と不良息子は同じではありませんが、あと数年したら医師の問題もクリアでき、間違いなく黒字になるはずです。病気は突然やってきます、待ってはくれません。あすは我が身です。
 私は、中立でした。なぜならば、どんな形であっても病院がなくてはいけないと思っています。公的な地域医療の責任は1分1秒でも命を守ることではないでしょうか。公的な地域医療の使命は、崇高で純粋なものでなくてはいけないと考えます。よって、今私は県立病院をそのまま存続してほしい、その方に賛成いたしたいと思います。
 最後に、このような機会をいただき、感謝いたします。ありがとうございました。

○竹上委員長 どうもありがとうございました。
 次に、丸山喜平さん、お願いいたします。公述時間はこの部屋の時計で、15分間ですから午後2時57分ぐらいまでですか。よろしくお願いいたします。

○丸山公述人 私、名前は丸山喜平と申します。住所は津市安濃町でございます。「県立病院改革に関する(基本方針)(案)」、私は賛成という立場で述べさせていただきます。
 まず、最初に、私が申し上げようとすることは、むしろ病院の内部の専門的な立場ではなくて、外部的なことを中心に申し上げることになるかと思いますので、1つそういうことを前提にご了解いただきたいと思います。
 間違えるといけないのでペーパーを用意しました。まず、私の立場として、私の仕事が不動産鑑定士でありますので、そういう立場でこの約40年間地方の経済、それから社会、こういう変動を見てきたという立場で申し上げます。特に最近三重大学大学院との共同研究を通じて、この地域というものの変動が急激に来ているという背景、そういうことの取りまとめを行っておりまして、そういうことから病院経営そのものに対する先程の両先生のような専門的な知識を持っておりませんので、そういうことを最初にお断り申し上げます。
 結論的に申し上げますと、地域経済、社会の構造的な変革というのをきちっと踏まえた上で、病院の再構築ということが大事だと、そういう時代背景をしっかり理解した上で改革を進めていただくと。したがって急激なグローバル経済なり、高齢化社会という、日本が世界に類のないスピードで高齢化が進んでいることはもう事実でございますので、そういう急激な社会構造の変革、これに対応するには大変なエネルギーが要るはずだと。そういうことを放っておいていくら病院改革を唱えても、相当優秀な人でもその時代の大きな波の中に飲み込まれてしまうと、私はそういうふうな考え方を持っております。
 本件、改革の基本方針(案)なんですが、これは県立病院を廃止するということではなくて、もう一遍ここで振り返ってみますと、病院機能を廃止することではないということと、2点目が運営体制を再構築ということと、健全な経営を継続させるということをうたっております。3番目に、県民に良質で満足度の高い医療を安定的・継続的に提供するんだと、これだけのことを書いてありまして、これをやるんだということなら、これが前提の話ですけれど、やはりその改革というのは進めるべきだと、そういうことを申し上げておきたいと思います。
 今までのようなお役所経営、これはもう無理だということを、県がみずからそれを認めているというふうに理解し、それを再構築するということを今提案していると、我々民間の経営者から見ると遅きに失したと考えます。でも、この基本方針(案)は、むしろ遅まきながらも当然の改革だと理解しております。
 民間企業では、決算という段階で、赤字が予想される段階で、さまざまな改革に手をつけるわけなんです。倒産してからでは遅いということ、そういうのが経営のあり方でございます。そういうことで、この基本方針(案)を推進するということは、私はむしろ当然の成り行きだという意見でございます。
 3番目の話なんですが、この改革の基本方針(案)に賛成だということの根拠を申し上げさせていただきます。
 まず1点目が、非常に厳しい地域経済、中小企業は決して怠けているわけじゃない、すさまじい努力をしておっても利益は出ない、こういう地域経済。で、高齢化社会、特にこの周辺ですね、美杉とか白山とか美里とか、そういう周辺地域というのはすさまじい高齢化率になっております。ここを県立病院が黒字で経営するということ自体が1つの大きな要因になっていると、その経営実態、収支すべて赤字なんですが、後で触れますけれども、そこには問題が、経営の実態に課題があることは承知していますけれど、とにかく赤字をこのまま先送りするということの罪の方が大きいはずだと、これは納税者、県民から見たら許されることではないはずだと申し上げさせていただきます。
 地方自治体の行財政が厳しいことはもう皆さんよくご存じで、今の体質ではいつまでもずるずると病院経営は赤字を続けざるを得ない。それをわかっていながら無責任なことになると思われていたし方ないと思っております。
 2番目の賛成の根拠なんですが、結局組織の問題、先程からもご発言がありましたとおり、この経営組織が非常に難しい。なぜなら、役所が経営をやるということ自体に既にもう無理があって、やっぱり経営者、かなりリーダーシップを発揮した経営で常にそれに対応する、変化に対応する経営をしていかなければならんというのが実態だと思います。行政の今まで予算がふんだんにあったときの組織を変えないと、そういうお役所仕事的な組織になって、この組織自体に欠陥があるというのが私の見解でございます。
 私事になって恐縮なんですが、私のところも専門家なんです。専門家が何人かおりまして、25年間経営を続けてきて一度も赤字を出さずに今日まで来られたというのは、やはりまずトップの強い信念がなければならない。そして職員が絶え間なく研究、創意工夫というのがこの時代の変化の中に埋没していくと、そういうことが不可欠だと、私の経験からそういうことを申し上げさせていただきます。
 まだまだ地域経済、これは衰退すると私は予想しております。なぜなら高齢化社会、人口減少社会、このことは大変厳しい現実だと、世界に類のない高齢社会、もう40%ぐらいまで、美杉町なんかはそういう状態です。そういう高齢化社会というのは経済の衰退と必ず結びついていく問題だと思っておりまして、この厳しい現状認識をしっかりとわきまえて、病院経営の再構築をお願いしておきたいと、同時に先程ご発言ありましたけれど、地域住民の方々もそれに協力していただかないと病院の経営だけで成り立つものではないと思っております。
 3番目に、賛成の根拠として申し上げますが、今回の県が提案している改革案は、私から見ますと第1ステップであると。この独立行政法人なり地方公営企業法全部適用なり、指定管理者制度の導入など独自性を発揮しようとするもので大変結構なんですが、そう簡単にはいきません。これを段階的にやらないと一遍にはできない。その段階を第2段階、第3段階、10年計画でやるということが大事な視点じゃないか。一遍で頂上にヘリコプターで上るようなやり方は不可能だと。常にその変化に対応しながら研究開発していくということがないと無理だと。我々の小さな会社でも常にそれはこの10年間そういうことをやり続けてきたつもりでおります。そういった今後の地域経済の変動にどうやって向き合うのか。今回の改革はそれに向けた第一歩であって、これをやり遂げなければもちろん次のステップはありませんし、ますます厳しい状況に陥っていくだろうと考えております。
 先程から一志病院の話が出ていましたので、これは賛成というよりも、若干疑問を感じておるもので、ここで申し述べさせていただきます。
 この文章で「ただし、地域医療を確保するため、県として必要な支援策等について検討します」とあります。この「検討します」という言葉は、我々の県民の常識からすると行政のこの独特な表現は、「やりません」というふうに受け止めております。「できません」と後で言うだけの、これは逃げの表現だと。民営化を前提として地域住民とともに、これからの新しい地域医療体制を確立しますと、やはりここできちっとした責任ある方針を打ち出すべきだと申し上げさせていただきます。
 若干時間がありますので、これは提案でもあるんですが、住民参加型の医療が好ましいということですね。特に私も69歳、高齢者ですから、高齢者があれもせよ、これもせよという甘えがあるように思いまして、それはいいことにはならない。やっぱり高齢者もはつらつと生きていく、その上で手助けしてもらうのが地域医療じゃないかと思っております。
 最後に、先程からのご発言ありました。私も専門家の端くれなんですが、医師、看護師、それぞれ夢をお持ちです。私がちょっと関係しておるところがすばらしいスタッフでやっていますけれど、やはり院長の経営理念があって、医師やそこで働く人々が常に創意工夫と、いろいろな提案をなさって地域住民とも一緒になってやっているということを、実際に私は関係していまして、それを最後に申し上げさせていただきます。
 以上です。

○竹上委員長 ありがとうございました。
 次に、岩脇文郎さん、お願いいたします。公述時間はこの部屋の時計で、午後3時14分までといたしますので、よろしくお願いいたします。

○岩脇公述人 失礼します。岩脇文郎と申します。住所は、津市白山町に住んでおります。
 先だって、県立病院の改革に関する考え方ということで、答申が出されました。県立一志病院につきましては、民間の事業者に移譲しますというようなことでございました。本日は、議会の皆さんのお計らいでこうした公聴会を開催していただきまして、厚く御礼を申し上げるとともに、私は年はいっておりますけれども、こうしたところは余り出たことがございませんので、いろいろと不穏当な発言もあるかもわかりませんけれども、お許しをいただきたいのと、本来ならこの病院全体に対する、基本方針(案)に対する反対の意見を述べるべきでございますけれども、ほかの病院につきましては存じておりませんので、まことに申し訳ありませんけれども、一志病院のみのことについて発言をさせていただきたい。ご了解を賜りたいと思います。
 民間移譲という答申が出ましてから、実は私の町も非常にこのことについては関心が高くなりまして、今まで60年余り県立病院としてあったときは、何らもうそんなことは夢にも思っておらなかったわけでございますけれども、こうして民間に移譲されるということが出てまいりますと、それこそ住民は黙っておりません。私のほうへも日々どういうことになるんだということで、心配してみえるお年寄りの方が多々ございますし、先だっても院長に会いましたら、患者の皆さんがみんな「一体これからどうなるんだろう、診てもらえるんだろうか。」とか、そういうふうなお話ばかりで、ましてや訪問診療で今の飛松院長にはお世話になっておりますので、行くと、「もうここへは来てもらえんのとちゃうかな。」というふうなことまで出ておりまして、本当に今この病院の話題で持ち切りのような状況でございます。
 また、住民の方からは私のほうへもしょっちゅう電話がございまして、白山、美杉の住民で陳情をさせていただきました。何とか存続してほしいということで陳情させていただきましたんですが、陳情だけではだめだと。「何としてもみんなの意見を伝えるのは署名しかないじゃないか。みんなそういうことで頑張っているんだから、1つもう署名運動に入れ。自治会が入らないんだったらおれらがやる。」というところまで言われまして、自治会も美杉、白山で今署名をとっておるというのが現状でございます。今後よろしく1つお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、民間の病院になった、あるいはなるという場合に、私のところはご承知のように、非常にあのような過疎地でございます。果たして民間で総合的な病院として運営ができるのかどうかということが、非常に我々としては関心もありますし、恐らく将来にわたって病院経営はできないであろう、民間では無理だと思っておるのが1点でございます。
 それから、健全な経営ができなければ、あそこは入院施設が90床ございますから、福祉施設なり、あるいはまた老人ホームというふうなことにかわるのと違うのかというふうな心配もございます。我々といたしましては、ぜひとも今の県立病院として、総合的な病院として立派に運営をしてほしいというのが願いですので、民間にかわればそういうことになっていくのではないかというのが1つ。
 それから、1次救急病院の役割を大きく果たしていただいておるというふうに我々は考えております。年間、救急で入るのが770件ほどございます。大体1日2件ということでございまして、あそこに一時的に入って、処置ができないものは2次に送る。あるいは入院しないといけない者は入院させるというふうなので、大変我々としてはありがたい病院でございまして、この津の中心部まで来ようと思いますと美杉の奥のほうでは50分以上かかる。それが半分の時間で行けるわけでございますので、恐らくこれが民間になりますと、そうはいかんのじゃないか。夜も昼も医師が勤めるということは無理だというふうに考えておりますので、恐らく民間では無理じゃないかとも思っております。まして入院施設のある病院となりますと、美杉、白山ではここしかございません。そういう意味におきまして、ぜひとも存続をお願いしたいというのが我々の願いでございます。
 奥一志、特にこの白山、美杉は、先程もお話がありましたけれども、非常に高齢化が、あるいはまた過疎化が進んでおります。恐らく65歳以上が50%を上回るのではないかというふうに我々は思っておるわけでございまして、そこへもってきて美杉では診療所が次々と閉鎖されていくという中で、美杉、白山にとりましてはこの一志病院はなくてはならない病院なんです。今もお話がありましたが、美杉、白山だけじゃないかと言われますけれども、ああいう地域だからこの病院が長く運営をしていただいたんではなかろうかなと思っておりますし、また我々地域の者も、この病院を何とか、できれば1つ健全な運営ができるようにということで、バスもあそこへ直接入るようにいたしておりますし、みんなで協力をしていこうということで、自治会としても病院祭とかそういうときには自治会挙げて協力体制をとっておるというのが現実でございます。そういうことでございますので、我々の奥一志にとりましてはなくてはならない病院ということで、お願いを申し上げたいと思います。
 なおまた、南隣には白山高校、そして北側には家城小学校があり、白山高校では福祉科というのがございまして、福祉課程の生徒は一志病院で実習なり、あるいはまた教育なり授業なりを受けておるわけでございますし、また医師もこの高校へは授業に行ったり、あるいは指導に行ったりしておっていただきます。ほんの寸志程度でお世話になっておると。恐らく民間ではこれはもうできないんじゃないか。高校の先生も言われるのには、もうこれが民間になりますと白山高校としても本当に死活問題だというふうなことまで言われておりまして、我々としても心配をしておるのが1つでございます。
 それから、平成16年でございました。終末医療ということで、緩和ケアモデル病院として位置づける計画がございました。当時の院長は本当に何とかこれを取り入れようと頑張ってこられたんですけれども、県のお考えで取りやめになりました。これが松阪の市民病院へ行ったと思います。この白山の、山あり川ありの本当に自然豊かな、そういうところで人生の、本当にお気の毒な方ですけれども、終末を迎えるというのは、まことによい考え方だなと我々も賛同しておったんですけれども、結局そういうことになりました。
 先程からもいろいろ、先生方の話もお聞きいたしますと、やっぱりもっと院長、医師あるいは職員の皆さん、そしてまた地域の住民も交えて、また県の担当課の方等とも十分もっと話し合い、あるいはまた院長がやろうと思っておることをできるだけ育てていただくということも、非常に私は大事なことじゃないかと思うんですけれども、それがどうにもしていただくことができなかった。今後もこういうことは多々あろうかと思いますし、それは予算面にしても人事の面にいたしましても、もっともっと話し合いの場を作るということが、非常に私は必要じゃないかと思うんですけれども、それができなかったということはまことに残念であったと思いますし、非常によい考えがこうしてつぶされたということには、本当に我々としても憤りを感じておるということでございます。
 一志病院も、歴史をひもときますと本当に多くの患者さんを抱えたときもございました。あるいはまたそういうことで、この平成16年あたりは医師が内科1人、あと研修生が2人、それも交代で1人ずつですので、医師が2人というときもございました。そのときは確かに経営状態が悪くなったと思います。今徐々に回復をしておるわけでございますけれども、まだまだ黒字というところにはいきません。できれば黒字になればそのままでというふうな県のお話もあったかなとは思いますけれども、赤字といいましても、ほかの病院に比べましたら少額ではあろうかと思いますし、先程米田公述人のお話を聞いておりますと、45億円で半分は交付税で返ってくるというふうなお話がございましたが、私が調べた中では、総額で繰入金が全国レベルで大体30位以下、あるいは1ベット当たりでも30位以下というふうなことで、人の命というのはお金では買えませんし、かわるものではありませんし、人の命を大事にするのであればそのぐらい、あるいはもう少しでも入れていただいてもいいんではないかというふうに思っております。私たち住民の、こぞってのこの存続についての願いでございますので、何とかお聞き入れをいただきますとともに、議会の皆さんにおかれましてもよろしくご支援、ご協力を賜りますようにお願いを申し上げまして、公述にかえさせていただきます。よろしくお願いします。

○竹上委員長 どうもありがとうございました。

 

  (2)質疑

○竹上委員長 それでは、公述人に対する質疑を行います。質疑にあたっては、公述人を指名いただいた上でお願いします。

○舟橋委員 賛成の立場と、それから中立の立場のお2人に質問させていただきたいと思います。
 実は、私が所属します会派の新政みえで、この3月の末にこの県立病院の改革についての意見募集広告を打ちました。その結果、今日の段階ですけれども、75人の方々からメールなりファクスなりでいただきました。賛成という立場の方は実は1人もいませんでした。九十数%、約100%、ほとんどの方が、いわゆるこの案に対して反対という内容でございました。その内容は、公の責任の放棄だというような厳しい表現から、指定管理者や独立行政法人とは何だというレベルのところまでばらつきがありますし、同時に多かったのが、やはり指定管理者とか独立行政法人だとかにした後のビジョンがあの資料からは読み取れない。それからもう1つは、そうなってもし失敗したときにどうなるんだと。そのリスクについても何ら触れられていないというような意見が結構ありました。
 基本的にはやっぱり、今の県が出しているパブリックコメントの資料、ボリュームはありますけれども肝心なところに対する説明責任がされていないという思いを私は持っていますし、それがこの75人の意見に反映されているんだろうなと感じています。
 そうした中で、経営形態を変えるというのはやっぱりハイリスク・ハイリターンだと思うんです。確かに志摩病院で安心してお産ができる状況になるかもしれません。しかし逆に、もうからないし、医師は集まらない、もうやめだと撤退されるかもしれない。また、今の全部適用で当然改善すべきこと、しなければならないこと、できることをやって直していくことは、ある面ではローリスク・ローリターンかもしれません。
 もともと今回の医療崩壊を招いた原因は、やはり臨床研修制度であったり診療報酬の問題であったりだと思います。そうした中で、政府のほうでも研修医制度の都会への集中、ばらつきを是正するとかという動きが見えてきましたし、今日の中日新聞では医師数の格差の表が出ておりまして、三重県はワースト8、下から8番目というのが出ておりました。そうした中で、診療報酬もこの格差に応じた何らかの見直しをしたらどうだという検討にも入ると財務省が言っていると。言いかえれば今の最悪の医療崩壊の事態を招いた一番底の時期に、大胆に経営形態を変えてしまうほうがいいのか、少し政府なりいろいろな動きを見た後に、それでもやっぱりその間当然、努力をして変えたほうがいいのかというのを、私は当然しばらく政府の動きも見ながら、最大限の努力をしていくべきだという立場でおるんですけれども、やはり今発言されたご両人は、ハイリスク・ハイリターンの今の改革を、この県の方針どおりしなければならないというふうにお思いか、もう少し先でもいいというふうにお考えか、そこらへんを聞かせていただきたいと思っています。

○塩飽公述人 先程からちょっとお伺いしていましたら、医師も看護師も本当に何も努力をしていないような、何かそんなふうに聞こえるんですが、看護師も非常に努力しております。病院をどうしたらよくできるか、患者さんに喜んでもらえるか。どうしたらいいか本当に寝ずに、実は私の娘も看護師でございまして、大変非常な苦労をして勤めておりました。
 先程の舟橋委員のお話ですが、私はもうしばらく様子を見た方がいいんじゃないかと。大変な努力をして、物すごいお金もかけて変えるんだったら、もう一度今のままでやれるんじゃないかと思うんです。ただし、原因はどこだということがわかれば、その部分はやっぱり少しは変えるべきだと思います。
 先程言っていました、県と病院の事業管理者ですか、要するに机の上でいくら計算してもだめだということを県の人にはわかってもらいたいです。現場をもっとわからないと、で、確かに志摩病院の中にもありますね、県の方が来ていますよ。その方が書いて県へ送るのかどうかわかりませんけれど、机の上ではやっぱりちょっとずれがあるということを申し上げたいと思います。だからこのままでもうちょっと頑張ってもらいたいと思います。

○丸山公述人 今の制度をこのまま維持した場合に、ますます悪いほうを見ていくだけじゃないかというのが私の考え方でございます。
 確かに、ハイリスク・ハイリターンということになるけれども、それは常に努力して、経営努力というのがどうやって生かされるかという制度そのものをまず作り上げないと、今お話がありましたように医師は夢がある、看護師も夢がある、そういう専門家としてのプライドとか夢を酌み取る制度になっていないというのが今の病院経営だと、それを改善すべきだというのが大事だと。どっちにしても違った形でリスクは伴います。それをどうやってリスクを最小限にしていくかというのが経営の手腕だろうと思いますので、前へ進むこと、私の個人的な性格もあるかもしれませんけれど、一歩進んで考えるということが、今あるべき姿じゃないかなと思います。

○田中委員 どうもありがとうございました。田中と申します。
 岩脇公述人にお伺いしたいんですが、大変大きな不安を持っておられるということで、先程、舟橋委員が申しましたように、我々のほうにも大きな不安があるというアンケートをたくさんいただいておるんですが、民間で今の一志病院の形を維持していくのは無理だろうという、そういう結論的な考え方をお持ちですね。それから地域の自治会と非常にうまくやっていただいている、それも民間じゃ無理だろうと。それから白山高校のことも出ましたけれども、それも無理ではないかという。実は県の答申も、病院を安定的、継続的に運営していく医療を提供していくと言っておるんですが、どのようにやっていくからこの形態がいいということは一切書いていないんですね。
 逆に、今岩脇公述人のおっしゃられたことも民間だとなぜ維持できないのか、なぜ地域あるいは学校と連携がうまくいかないのか。そういう結論に至られたというお考えがあれば少しお聞きをしておきたいなと思うんです。

○岩脇公述人 民間であれば、恐らくこの24時間救急なんかも受け入れることはもう無理だと思うんです。それがまず1つ、そういうことが表にございますのと、健全な経営ができない、例えば先程も話がありましたけれども、県がある程度支援をしていくということになりまして、恐らく民間で健全な経営ができるのだったら県営でもできるはずですし、またやってもらわないといけませんし、しかし民間でそれができないとなれば支援はしていくというお話でございましたけれども、恐らく支援をいつまでもするというわけにはいかんと思うんです。赤字だから支援をするということになれば、ほかの赤字の民間の病院が出てきた場合に支援をせねばならんことにもなってこようかと思いますので、恐らくそこだけを支援するということは無理だと思います。
 そんなことから、恐らくうまくいかなかったらもうやめるか、あるいはまた、もう支援をしてもらうことが切られて削減をされてなくなるかということだから、これはもう民間では無理と、私はこう見ておる。県営であれば、申しわけないですけれども、多少の赤字はご了解をいただいて運営をしていただけると思っておりますので、そういうことです。

○萩原委員 公的な病院であるがゆえに、いろいろとやってもらいたいという県民からの願いというのは、当然あり得ると思うんです。そこの点で、いろいろな行政の仕事があるけれど、病院というのは診療報酬を得て収入もあるからというので公営企業になっているし、ついつい歳入歳出が赤字だ、黒字だ、みたいな議論になるんですけれども、警察の事業だとか、あるいは防災だとか、消防だとかというところに赤字や黒字っていう議論はないですね。人の命、安全、健康を守っているという立場であっても。この病院事業ではやっぱり確かに両面あると思います。人が多いほどいい、仕事は少ないほうがいいというようなことで職員がさぼっているんだったら、住民の側からどんどんと、こんなのおかしいのと違うのか、税金で食べているんじゃやないかという議論は、大いに改革を迫るというか要求するというのは、これはこれで大事だと思うんです。
 一方で、だけれどもいろいろな切実な要求、命や健康や安全という点で、ましてや僻地で、そして、公的な病院であるがゆえにいろいろと、このごろ保険証がない人なんて物すごく増えているとか、四日市市なんかでも外国人が物すごく増えてきて、外国人が悪いわけじゃないけれども、保険に入っていない人も多いとかいう、そういうところでも医療をやらなければならんという部分があるんです。
 そこで、丸山公述人に聞きたいわけですが、お役所仕事である、民間ならすぐつぶれるじゃないかというけれども、看護師の養成であるとか、あるいは高度医療だとか、救急医療だとか、やむを得ずに公立であるがゆえに持たなければならないような、感染症やさまざまな防災の立場でというようなこともあり得ると思うんですよ。だから、そういうようなものが、民間になってしまったらということになると、もちろん経営努力はどんどん要求しないといけないと思うんですけれども、やっぱりそこの点で公的な責任が外されてしまったということになれば、民間病院が悪いというわけじゃないけれども、これはやっぱり民間ならば採算性を優先せざるを得ないという、そういう要求を迫られるということになりませんか。そういう心配が正直あるんではないだろうかと。
 そこの点で、私なんかはもちろんこの病院民営化は反対の立場で言っていますので、そのあたりについては率直にご意見を聞いておきたいと思うんですが、いかがでしょう。

○丸山公述人 確かに、経営という言葉、利益を出すのが大前提でございます。でもお金がすべてではないという面は、これは病院という大きな使命があってやっているわけですから、特に医師とか看護師の目指したそういう心意気というのがあると思うんです。私も専門家の端くれなもので、そういうものを持っていなければやっていないはずだと思っています。
 問題は、その利益を出す部分は経営者がやればいい、だから経営と管理は別にすればいいという考え方です。院長の意向を踏まえて、マネジメントはそういう専門の者がつかないと経営は成り立ちませんので、これは第1点で必要なことですが、その中で公的なことは、医師としてこれはやるべきだということは持っているはずですから、むしろそれはそれで専門家としてやっていくだろうと、そういう経営の利益の中でやれる仕組みを作れるはずだと。社会貢献ということをできることが大事なので、そういうことが大きな使命だろうと。それがやれなかったら、金もうけだけだったら確かにおっしゃるとおりだと思います。

○萩原委員 岩脇公述人にお聞きしたいんですが、先程の米田公述人の話も聞いてみえたと思うんですけれども、住民一体となっての地域住民のフレンドシップという言葉を使ってみえましたけれども、もちろん今も病院のお祭りという話なんかも含めて言ってみえましたけれども、今後、この一志病院を本当に県立病院としてぜひ守ってほしいというお立場のご意見だったんですが、そのために地域住民の皆さんと一緒にどんなことができる、またどんなことをやりたいとか、そんな意見がございましたら、ぜひ教えていただきたい。

○岩脇公述人 地域住民の者といたしましては、こういうことになったことを契機に、こんなことを言うと悪いんですけれど、今まで病院って空気か水かぐらいにしか思っていない人もかなりあったと思うんです。そうだけれど、こうして住民皆がこぞって署名運動もして、何としてでもこれは県立で残してもらわないといけないという強い意識のもとに今動いていますので、できれば今度は住民もある程度、医師なり看護師なり、職員の皆さんとともに話し合いの機会を持って、何としたらこの病院を守っていけるか、また黒字にできるかということで努力をしていきたいなと、このように思っております。

○中川委員 きょうは大変に貴重なご意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
 岩脇公述人にお伺いをしたいと思うわけですけれども、その前に塩飽公述人の話の中で、最後やっぱり心の問題に触れるようなところを、病院並びに医師、ドクターとして非常に大事な部分、心を打たれた部分もあります。
 それで、今回のこの改革の大きなテーマは、いわゆる運営形態とかそういった部分に話が行きがちなんですけれども、当然そういうことになることは間違いないと思うわけですけれども、やっぱり皆さんのご意見を聞いていて1つ感じるのは、意識改革を非常に求められていると。これは病院の側だというふうに思いますけれども、一部県民の側というのもあるのかもしれません。もっと言うならば、運営形態の変更を大きなきっかけとした意識改革とか制度改革なのかなとは感じておるところがあります。
 それで、書かれている部分においては、その機能の維持・充実、これは図っていくと。しかし、そこにご心配があるというのは十分私も共感するところではあります。また、今後その地域におけるニーズに応じた多様性の実現、例えば一志病院においては高齢者ケアをどうしていくかというような問題も書かれております。
 そこで、1つお伺いをしたいんですけれども、形態として、地域住民の声としてもう率直に当然そうだろうと思いますけれども、要は公立というこの形を本当に強く希望をされておるのかどうかというところを、改めて確認をさせていただきたいと思います。というのは、今回の答申並びに県の出した基本方針(案)の中には、変更に当たってこういう条件をつけますよというところが出ています。丸山公述人がおっしゃったとおり、そこには「検討していきます」とか、あと運営形態の変更に当たっての案には、「条件を例示します」という表記しかなされていなくて、私はこれに関しては、こんな「例示」とか「検討」で県民の理解を得られるのかというふうに思っておる1人です。ここはそのままでは県民が理解するということには感じないと。塩飽公述人が言われたように、どうせ条件をつけるのならば、よりその条件を明確にして、最終的には罰則まで示していくべきじゃないかというのは、ある種当然の話だというように思います。
 そこでお伺いしたいんですけれども、やはりよりその地域のニーズに合った形にしていくということは、私は必要な部分だと思います。ご心配としてすべて福祉の機能になってしまうんじゃないかというお話もありましたけれども、医療の機能は当然維持しながら、やはり高齢者ケアというところもその施設において考えていくこともあるのかなと思います。それで、この件は今例示している範囲ですけれども、一志病院において7つの点が例示されております。これがまさしくその罰則等も示しながら、未来永劫までというと誰もそこまでの担保はとれないですけれども、県の責任としてこれが確実になされていく、要するに、機能の維持はなされるんだとなった場合、そこは地域住民として理解できるところとなるのか。そうではなくて、やっぱり地域住民としては県立というところにこそ担保があって、不安の解消があって、そこにこだわっていくんだというのか、ここのところを率直にお伺いしたいと思います。

○岩脇公述人 知事はよく安心・安全という言葉を使われますけれども、本当に住民が安心して暮らせる、それで安全に暮らせるというものをやっていこうと思いますと、やっぱり公立病院があるんだったら、この病院だったら将来にわたってそのまま県立でいってもらえるという安心感というのは、私はこの特に美杉、それから白山では高齢者が多いだけにそういうことになる。訪問医療もされておりますけれども、そういう患者の皆さんの中には、「もうこれで訪問もしてもらえんわ。」、「病院ももう、ここも仮に民間になってなくなってしまったらもう死ぬしか手ないな。」というふうなことを言われておるご老人もいらっしゃると聞いております。ですから、みんなが本当に安心してできるのはもう公立以外にないと私たちは思っておりますので、やっぱり県立で存続してほしいというのが、みんなの、これはもう偽らざる願いでございます。

○竹上委員長 はい。委員の皆さんはもうよろしいでしょうか。
 傍聴議員の中でご質疑のある方がありましたらお願いします。なお、質疑に当たっては公述人を指名いただいた上でお願いします。
 ございませんか。

          (発言なし)

○竹上委員長 ないようですので、これで質疑を終了いたします。
 最後に委員会を代表してお礼申し上げます。塩飽公述人、丸山公述人、岩脇公述人におかれましては、大変お忙しい中にもかかわらず、貴重なご意見を述べていただき心から感謝申し上げます。皆様からのご意見は今後の調査に十分活かしてまいりたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。
 以上で、健康福祉病院常任委員会公聴会を閉会いたします。
 なお、委員の皆様にはご協議いただくことがございますので、このままお残りいただくようお願いします。 
 委員以外の方は退席願います。

 

Ⅱ 委員協議

 今後の調査の進め方について

 

〔閉会の宣言〕

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により押印する。

健康福祉病院常任委員長

竹上 真人

ページID:000019974
ページの先頭へ