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平成22年11月5日 新エネルギー調査特別委員会 会議録 

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新エネルギー調査特別委員

会 議 録

(開 会 中)

 

開催年月日    平成22年11月5日(水) 自 15時15分~至 17時11分

会 議 室      601特別委員会室

出席        10名

                           委 員 長   野田 勇喜雄

                           副委員長   藤田  宜三

                           委  員    長田 隆尚

                           委  員    服部 富男

                           委  員    中森 博文

                           委  員    日沖 正信

                           委  員    前田 剛志

                           委  員    吉川    実

                           委  員    永田 正巳

                           委  員    萩原 量吉

欠席        3人

                           委  員    中川 康洋

                           委  員    笹井 健司

                           委  員    藤田 泰樹

参 考 人

   ドイツ ラインランド・ファルツ州環境情報センター所長

                                               Roland Horne(ローランド・ホーン)氏

   ドイツ NABUヘッセン州支部代表

                                           Gerhard Eppler(ゲルハルト・エプラー)氏

   奈良県 社団法人 まちづくり国際交流センター理事長

                                               吉田 浩巳氏

委員会書記

                   議  事  課   主査      竹之内 伸幸

                            企画法務課  主査      石田 学

傍聴議         なし

県政記者クラブ  1名

傍 聴 者        1名

議題及び協議事項
Ⅰ 常任委員会
 1 参考人による意見陳述
  (1)ドイツの行政における新エネルギー政策について
  (2)NPOから見たドイツ行政のエネルギー政策について

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

Ⅰ 常任委員会
 1 参考人による意見陳述
  (1)ドイツの行政における新エネルギー政策について
  (2)NPOから見たドイツ行政のエネルギー政策について


○野田委員長 グーテンターク。
 ただいまから、新エネルギー調査特別委員会を開会いたします。
 本日は、新エネルギー等の調査の参考人として次の方にご出席願いましたので、ご紹介いたします。
 ドイツ、ラインランド・ファルツ州環境情報センター所長、ローランド・ホーン氏、ドイツNABUヘッセン州支部代表、ゲルハルト・エプラー氏、よろしくお願いします。それと、奈良県社団法人まちづくり国際交流センター理事長の吉田浩巳氏です。よろしくお願いします。通訳としまして、ドイツ語の通訳で鈴木千鶴子さん。よろしくお願いします。
 それでは、吉田様、お願いします。


○吉田参考人 皆さん、こんにちは。
 私は8月30日から9月10日まで、京都大学大学院のインターンシップ生ということで、三重県議会にお世話になっておりました。その中で新エネルギービジョンについての調査という、業務を与えていただきまして、かかわらせていただきました。そして、今回ドイツからお二人の方を招聘するイベントを奈良県で開催をさせていただく予定をしておりまして、来る今月の7日にお二人にご講演をいただくという来日日程がございました。それで、この機会に、非常にお世話になりました新エネルギー調査特別委員会で、ぜひドイツにおける新エネルギー政策について、生の声を聞いていただける機会を持たしていただけたらどうかということで、議会の高沖次長と、そしてまた野田委員長、そして藤田副委員長にもいろいろとご調整をいただきました。まことにありがとうございます。
特に私自身は、昨年の10月末から11月にかけてドイツに10日間程訪問をさせていただきました。そしてお二人からいろんな話を聞かしていただきました。日本全国の環境NPOの代表ら6名と一緒に、団長ということで訪問をさせていただきました。そんな中で、特に、全般としまして、ドイツは非常に環境先進国というイメージを持っていたのですが、たくさんのごみが町には落ちておりました。また、分別収集が進んでいるということでしたが、ごみ箱をのぞきますと、ペットボトルと紙が一緒になっているという、そういった状況もたくさん見させてもらいました。
 その中で、なぜドイツが環境先進国と言われるかということをいろいろ聞きますと、1970年代にライン川に、魚が浮き上がるという大きな事件がありまして、そこから市民活動が活発になり、そして、そういった市民の声を反映して、行政施策として制度設計をうまくしてきたということをいろいろと教えていただきました。例えば環境に対していろいろとペナルティーを受けた、罰金が、日本であれば国庫に入りますけれども、環境NPOに入る制度になっているとか、例えば公共工事で森林の部分が伐採でなくなったりしますと、同じ面積をほかのところに植樹をしないといけない。そのことによって、国の森林の絶対面積を確保していくという、そういったたくさんの環境に対する制度設計を実施している国でもあります。
 そんな中で、特に今回、事前に打ち合わせもてさしていただきまして、新エネルギー分野においてドイツの―また後程紹介もあるかと思いますが、ホーンさんは、省の直轄の州の環境情報センターの所長ということで、いろいろと行政からの新エネルギー政策を、そしてまた、一方のエプラーさんは、ドイツでは45万人という―日本では最大のNPOで5万人弱の日本野鳥の会です―そういった45万人の会員を誇る州の支部長でございます。それで、NPO側から見た行政の新エネルギー政策、そういった視点からお話をしていただこうというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

○野田委員長 ありがとうございます。
 これからはドイツ語の通訳も入れながら進行さしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 参考人の皆様には、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただきましてありがとうございます。
 委員会を代表してお礼申し上げるとともに、本日の調査につきましてよろしくお願いいたします。
 議事については、まず参考人の皆様から1時間程度で順次ご説明いただいた後、各委員からの質疑を行い、参考人退室後に委員間討議を行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
 なお、参考人からの聞き取りは、質疑を含めて終了時刻は5時を予定しておりますので、ご了承願います。
 参考人の方々からは、ドイツにおける新エネルギー政策等について重点的にご意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 それでは、早速ですが、参考人からご説明願います。

○ホーン参考人 まず、野田議長を初め、本委員会の皆様に、本日お招きいただきましたことを心よりお礼申し上げたいと思います。また、吉田さん初め、吉田さんの団体にも大変お世話になりまして、今回来日することができ、またこのようなすばらしい場で意見を述べさせていただくことができますことに対して皆様に心からお礼申し上げます。
済みません。通訳に関してもお礼の言葉をちょうだいいたしました。詳しくは訳しません。通訳の役割というのがなかなか評価されないことが多いのにとおっしゃっています。
 私たちは、ドイツで政党の壁を越えて、あらゆる人々が今歴史において非常に重要な節目を迎えているという意識を持っております。私たちの国ドイツにとりましても、エネルギー問題というのは将来に向けて非常に重要な問題だというふうに考えております。私たちの国では、約30年程前から、このエネルギー問題について広く議論が行われるようになってきております。特に国民の間では、原子力発電に対する賛成の議論、反対議論というところから始まりまして非常に熱い議論が行われております。ドイツでも、原子力発電を利用しているわけですけれども、多くの、その支配的な意見というのは、原子力というのは一つの橋渡し的なエネルギーであるという考え方で、これから新しいエネルギー政策というか、新しいエネルギーの構図に向かって行く一つの通過点であるというふうに一般的に考えております。
 エネルギー政策というのは、まず2つの面から考える必要があると思っております。
 まず、1つの側面としては、資源としてのエネルギーです。これは炭素系のエネルギーということで、限りのある資源を使っているエネルギーであるということです。そして、もう一つが気候変動に関する問題で、私たちがエネルギーをつくり出すことによって、炭素CO2が空気中にまき散らされ、それが地球の気候に大きな変化を与えているという問題です。もちろんどちらも重要な問題なんですけれども、特に資源の問題というのは戦争と平和にもかかわってくるような大きな問題であるというふうに考えています。ですから、この地球の限られた資源をどのように、だんだん少なくなっていく資源をほかのたくさんの民族がどのように分け合って、平和的にともに暮らしていくか。奪い合いで戦うことにならないように、どういうふうに平和に暮らしていくかという問題につながってくるものであります。そして、この問題については、私たちも皆様と考え方を同じくしているということを申し上げることができると思います。
 この資源の問題につきましては、歴史的にこうすればいいというような簡単な解決方法があるわけではなく、私たちはこれからその問題をどういうふうに解決していくかということを考えなければならない、まだ初めの状況にあると思っております。現実的な、あるいは社会的な分配の問題ということにつきましては、3つの大きなポイントがあるというふうに考えております。それがこの問題の80から90%を占めていると思います。建築と、それから家に住むという住居の問題です。2番目が、食べたり飲んだりするということ、そして3番目が交通、あるいは輸送の問題です。この3つのポイントを考えながら、私たちは日々の生活の中でのエネルギー問題を考えていく必要があるというふうに考えております。
 これらの問題について、特に私たちのラインランド・ファルツ州の環境大臣の考え方をもとにご紹介したいというふうに考えております。
 第1には、これらの3つの領域において効率について考えるということです。2つ目が、自然のあり方というものをお手本にして、そのあり方に学ぶということです。3番目は、どれだけあれば十分なのかと、つまりどれだけ使えば十分なのかを考えたいということです。
 イギリスのある有名な経済学者が、永遠の成長というのを信じている人は、永遠にこのような高度成長が続くということを信じている人は、精神的に病んでいるか、あるいは経済学者であると、こういう2種類の人だけであるというようなことを言っております。
 これから、この3つのことについて詳しくご説明していきたいと思います。
 もちろん、ドイツ人ということなんですけれども、私たちは非常にエネルギーを浪費しております。まず、暖房する必要のない家まで暖房しております。6000㏄の排気量を持つような車を乗り回しております。そして、ある一定の土地が私たちに与えてくれる量以上のものを、その土地から収奪しております。このことは疑えないと思うんですけれども、これからそれを政治的にどういうふうに解決していくかということについては大いに議論があります。
 メルケル首相によりますと、ドイツ国内全体で―ドイツは工業国でありたくさんのCO2を排出しているわけですから、実際、これから望ましいのは80から90%の排出量を減らすことが本当に希望というか、希望的観測という意味では必要だというふうに言っています。これは、そういうことを望むかどうかという問題ではありません。今の間に、少し余裕のある間に、その対策を進めておかないと、後から、もっと危機が目前に差し迫ったときに非常に慌ただしくというか、急いで効果を出さなければいけないということになってくるはずです。地球というのは資源が足りない、貧しい星なのではなく、豊かな、私たちにすばらしい生活を与えてくれる星であります。そのことを可能にするために、私たちは自分たちの知性を利用しなければならないと思います。
 そこで、ラインランド・ファルツ州における具体的な数字を挙げさせていただきますならば、約500万人の人口を持っている、ドイツの中では小さな州であります。ラインランド・ファルツ州では、2020年までに30%のエネルギー消費を再生可能なものに変えていこうと考えています。2050年までの大きな長期目標をつくるならば、2020年というときまでには、そのくらいのことをしていかなければいけないだろうという計算に基づくものです。政治的に言いますと、そのための前提条件というのは大変整っています。
 日本についてはわかりませんけれども、ドイツにつきましては公然の秘密というようなものがございます。それは、人間がいつまでも同じような生活をずっと続けられる、あるいは同じように資源をずっと使い続けることはできないというものです。ですから、私たちは個人の家に関しまして個人の家のつくり方についてもアドバイスするインフラストラクチャーをつくり上げました。このインフラストラクチャーというのは、専門家に一般の人が電話をして、例えば窓を交換するのにどのぐらいの費用がかかって、どういう効果があるというような専門的なアドバイスを受けることができる機関です。一般の人たちのみでなく、企業に対しても、その企業の設備投資、あるいは環境に順応した投資をすることによって、どのように収益を上げることができるかというようなアドバイスもすることができます。そして、このような助言というのは、家庭あるいは、先程述べました企業だけじゃなく、学校とかプールとか、そういうような一般的なあらゆる組織に対して行うことができるようになっております。
 ラインランド・ファルツ州では、現在消費電力の18%を風力によって賄っております。その風力発電に関する技術も進んでまいりまして、以前と比べて柱を高くすることによって、今までより2倍の電力を得ることができる、そのような技術革新がございます。もちろん、風力発電というのは、ドイツにおいては、現在のところ一番エネルギー効率がいいので、有望な新しいエネルギー源だというふうに考えられております。自治体レベルで風力発電を行うところもございます。市民グループでそうしているところもあります。もし、皆さんがご自分のおうちの前に、そういう風力発電機を建てられて、この羽が1回回るごとにいくらかの電力、そしていくらかのお金が生み出されるということになりましたら、きっとこの風力発電機をすばらしくきれいなものだというふうにお感じになるでしょう。
 もし誰か外部の人が、あなたのお家の近くにお金もうけのため―もちろん、それ自体悪いことではないんですけれども、収益のためにその風力発電の大きな機械を建てたらば、毎日それをごらんになって、余り多分いい気持ちはしないだろうと思うわけです。ですから、私から何か皆さんに助言として申し上げることがあるとするならば、それは住民も巻き込んでそういうものをお建てになった方がよいのではないかということです。
 今日乗ってまいりました飛行機からも大きな風車が見えたんです。日本でも使っておられることだと思いますけれども、そういう風力発電装置をつくられる際には、市民の協力を得て、市民の知識、あるいは市民からの資金なども利用しながらつくっていかれるのが一番いいのではないかというふうに考えています。それが従来のエネルギー政策と今後のエネルギーの新しい取組というものの違いではないかと私は考えております。
 将来のエネルギー政策というのは、中央化の反対、ですから分散化ということが一番大切なのではないでしょうか。各地域でそれぞれが小さな単位でエネルギー政策をつくっていく、かかわっていくということが特に大切だと考えております。といいますのは、風力、あるいは太陽光というのは、中央集権化というか、中央化、集権化として、どこかだけにあるものではなく、どこにでもあるものだからです。
 中央化というのは、もちろん政府というのは中央化でありますし、そして法制、あるいは条例などを決めるのが中央政府の役割ではあります。そういう意味で政府の役割というのはもちろん大切で、私たちのラインランド・ファルツ州におきましても、15年、20年前の状況から考えると、今日のエネルギー政策の進みようというのは、やはり政府の強力な後押しがあったからだということを言わねばなりません。
 余り時間がないのですけれども、私が見るところ、日本はいろいろな資源があると思います。例えば地熱なども日本にはあるのではないでしょうか。ということで、私に与えられた時間はほとんど終わりになってしまいました。
 地球が何百年もかかって創り出した石油、あるいは石炭というような資源を短い時間で使い果たしてしまうというのは本当にばかげた考えだと思います。そうではなくって、太陽とか空気とか、あるいはバイオエネルギーのような再生可能なものを使っていくことが非常に大切であるというふうに考えています。
 どうもご清聴ありがとうございました。

○エプラー参考人 委員長を初め委員の皆様、本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。また、吉田さんにもお礼を申し上げたいと思います。
 私は、政府、あるいは地方行政の立場ではなく、ドイツで最大の自然保護グループでありますNABUというグループのヘッセン州の代表をしております。ヘッセン州の中だけでも―自然保護同盟なんですけれども、約4万人の会員がおりまして、ドイツ全体では42万人程の自然保護会の会員がおります。
 NABUといいますのは、ドイツでも一番古い自然保護団体でありまして、創立されましたのが1899年です。我々の団体は、従来におきましてもドイツのいろいろな面での政策決定にいろんな提言をしてまいりました。そして、我々の歴史におきまして、私たちは常に行政、あるいは政治と話し合って、協力して、私たちが求める成果を得ようと努力してきたと言えると思います。
 ドイツと日本は、その点では多分非常に似ていたかと思うんですけれども、1960年代、あるいは70年代の著しい経済成長の時代におきまして、いろいろな問題が生じて、その問題を解決するに当たって政府、あるいは行政、あるいは地方議会などと協力してきました。もちろん、そのような流れの意味といたしまして、私たちが政治家の皆さんと話し合いをしてきたということはあるんですけれども、政治家や、あるいは行政の方の意識が上がったためということではなく、私たちがさまざまな成果を得ることができたのは、もちろん市民の皆さんの意識が高くなったためであると言うことができると思います。
 その市民の意識の高まりという点におきまして、ドイツでは原子力エネルギーの容器を輸送することに対する反対運動が非常に強く起こりまして、一時その反対デモが非常に激しくなったことがございました。このように原子力発電というのは、私は非常に大きな問題だというふうに思っておりますし、原子力発電の問題などを通じて市民の意識が高まってきたと言うこともできると思います。
 ドイツでは、現在、数カ所ある原子力発電所の利用期間を延長するということが大変な問題になっております。本来ならばこの時点で止めるというふうに決まっていた原子力発電所を続けて利用していくということなんです。これは見かけ上は非常に効率的で安いエネルギーを提供することになるんですけれども、ご存じのように原子力発電所にはいろいろな問題がつきまといます。また、先程申したような代替エネルギー、再生可能なエネルギーに移行していくという面では、それは反している部分であります。もちろん、原子力発電の問題といいますのは一つにとどまらずに、廃棄物をどのように最終処理するかという問題がございますし、また原子力発電自体の安全性ということが確実に担保できていないという問題もございます。
 ですから、原子力発電所の利用を延長するということは、表面上は大変経済的、安上がりなエネルギーを得ることができるということになるんですけれども、その廃棄物の最終処分の問題をとりましても、これは問題を次の次の次の次の世代に引き延ばしていくということで、そのことすべてを考慮に入れますと、安くていいエネルギーと言うことはとてもできないと思っております。
 再生可能なエネルギーにつきましては、それぞれの地域の特性というものがありまして―地理的条件などです、そういうものによりまして、それぞれの地域にとって一番よいエネルギーというのが違ってくるものです。先程ホーン氏もおっしゃいましたように、風力発電につきましては、突然自分の家の近くに風力発電機を建てられた方は、もう反対派になってしまわれることがよくあるんです。そういうふうになかなか難しい点もございます。
 エネルギーにつきましても、お金と同じように収支というものがあります。ですから、私たちの社会にエネルギーを十分に確保していくということは大切なことではありますけれども、同時にCO2の排出を制限していくということも大切な問題であります。
 エネルギー政策については、3つの重要な点があると私は考えております。まず、第1にエネルギーの節約ということで、不要なエネルギーはつくらないし、使わないということです。2番目は効果的な利用ということで、エネルギーというのは割とロスの生じやすいものですから、そのロスを少なくしていくということ、そして、もう一つ、最後の3番目のポイントといたしましては、再生可能なエネルギーにシフトしていくということです。
 もちろん、再生可能なエネルギーにつきましても、原子力発電所程ではないにしても、何かしらの不利な点、あるいは悪い点があります。ドイツ、あるいはベネルクス3国などを見ておりますと、夜間にも不要な、例えば高速道路に明々と電気がつけられているなど不要なエネルギーを随分消費しているというふうに思います。
 NABUの取組として、一度エコロジカルな照明についてという展覧会をやったことがあるんです。この展覧会におきましては、あたり一面を照らすのではなく、LEDランプなどの新しい種類の照明で必要なところだけを照らすというような照明のあり方というのを提案しておりました。今ホーンさんが私に言ってくれたように、人が来たときにだけつく電灯というのもございまして、そういうふうにして不要なものは一切使わないというような考え方をとっていく必要があると思います。
 それで、私が思いますに、一番大きな問題といいますか、一番大事な点は、家を建てるときにあると思っております。家は新築のみでなく、手直しをするときなどにも十分にいろいろなことができるのではないかと考えております。例えば、家を建てるときに暖房といたしまして、ソーラー、太陽光発電、太陽エネルギーを利用したガス暖房というようなものを利用いたしますと、個人としても非常に、エネルギー消費量を節約して、もちろんお金の節約にもなるわけですから、そういうことについて補助をしていくというようなことができると思います。先程述べましたように、家をそういうふうな仕様に変えていくということは、家の持ち主にとってお金を節約することになりますし、そしてエコロジーの、地球環境のことを考えてもいいわけです。また新しい技術を導入することによって、労働市場が生まれるという、新しい仕事ができるという効果もございます。
 日本は海に囲まれていて、山の多い土地柄でありますから、日本におきましては、恐らく風力発電というのが非常に有利なのではないかと思います。地熱ということを先程ホーンさんもおっしゃいましたけれども、私もそれにつきましてはドイツで一度催し物をしたことがございます。そのときに、地熱発電の家をつくったという方がいらっしゃいましたので、その方に聞いてみたんですけれども、そのエネルギーの収支といたしましては、まず1単位の電気をポンプを使うために利用いたします。というのは、地熱を取り出すためのポンプを動かすために1単位の電気が必要だとして、その4倍の地熱によるエネルギーが得られるという話でした。
 こういう個人の家の建て方、新しい家をつくるときにどういうエネルギーを利用するかというような話におきましても、行政、あるいは中央政府の関与というのは非常に必要になってくると思います。もちろん住民の協力が一番大切なわけでして、そのときに一人一人の住民の方を、こういうふうにしなさいと強制することはもちろんできないんですけれども、先程おっしゃったみたいな、助言する機関、アドバイスする機関をつくること、そして助言を与えること、そして何よりも情報を与えて、個人それぞれに何が一番いいかということを判断していただく。そのための、最終的には個人の判断なんですけれども、その前にさまざまな条件を整えるということが、行政の役割として一番大切なものではないかと思います。再生可能なエネルギーを利用していくに当たっては、人々の意識を高めるということが非常に大切になってくると思っております。
 先日、私たちのヘッセン州NABUでは、ヘッセン州の中のどのような場所が具体的に風力発電に適しているかというようなことを考えるプロジェクトをいたしました。CO2の排出に関する問題につきましては、ホーンさんが先程結構詳しく述べられしたので、私はここで繰り返しませんけれども、もう一つ違う点について指摘したいと思います。
 その問題というのが生物多様性の問題であります。皆さんご存じのように、先日、日本の名古屋市におきまして、それに関する会議が開かれたわけです。そして、私が申し上げたいことは、地球環境というかCO2排出の問題を解決するために、生物多様性の問題が犠牲になってはならないということです。一例を申し上げますと、ドイツではバイオマスを利用したエネルギー開発が行われておりますけれども、バイオマスがいいからといって1つの作物だけをすべての場所でつくるというようなことが起こってはならないというふうに考えております。
 先程来申し上げております風力発電のことについてでもなんですけれども、渡り鳥が来るような地域に関しては、自然をそのままに置いておくということが大切だと思いまして、渡り鳥が来れなくなるようなことをしてはいけないというふうに考えております。鳥たちが来ないような地域には風力発電をつければいいけれども、そうでないところは、鳥たちが毎年やって来るようなところはそういうふうに自然を変えることはやめておいた方がいいと考えています。
 先程来述べております、住民を巻き込むという意味におきましても、私のようなNPOは、経済界と、それから行政と、それから住民のこの三者の橋渡し的な役割を果たすことができるのではないかと考えております。
 外から見ていると、ドイツは順調に事が進んでいるように見えるのかもしれないですけれども、実はドイツにおきましても、再生可能なエネルギーへの移行、あるいは生物多様性を守っていくというような活動においても、反対する勢力というのはあるわけです。私たちの団体NABUについて、先程も42万人の会員と申し上げましたけれども、これだけの会員を得るに当たりましては、簡単にできたわけではなく、もちろんいろいろな企業がどのように人集めをしているかというようなところも参考にさせていただきました。そして、この数のパワーで政治に影響を与えていくために非常に努力をしているということをご理解いただきたいと思います。
 CO2の排出の問題一つをとりましても、CO2の排出が地球にとって悪影響を及ぼすという点においては、そのCO2が排出されるのが日本であろうがドイツであろうが北極であろうが、その点について変わりはないということです。私も、本日このように三重県に来させていただきまして、ここで私たちの考えを発表することができましたことに対して非常によかったと思っております。また、皆様方が何かしらのことを私の発言からお学びいただけたように、私も皆様方のお考えを聞かせていただいて勉強させていただきたいというふうに考えております。
 ホーンさんが、そっと時計を私の方に出してきてくださいましたので時間だということがわかりました。ここらへんで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○野田委員長 ありがとうございます。
 今からもう質問の方に入らしてもらってもよろしいですか。

○吉田参考人 お願いします。

○野田委員長 それでは、ただいまのご意見、ご説明を受けまして、委員の皆様からご質問をお願いしたいと思います。その際には、お答えしていただきたい論点を明確にしていただきますようお願いいたします。
 なお、念のため申し上げます。参考人は委員長の許可を得てから発言願います。
 それでは、ご質疑等ありましたらお願いします。日本語で結構ですのでよろしくお願いします。
 いかがでしょうか。

○長田委員 長田と申します。
 先程、風力発電のところで、渡り鳥とかのことに対しては環境に配慮しなければだめだということを聞いたんです。日本ではどちらかというと低周波なんかで人体に与える影響とかっていう話も出ておるんですが、ドイツではそのへんのところはどうなっとるんでしょうか。

○エプラー参考人 ドイツでは、風力発電の機械を建てるときに、道路とか集落、あるいは森なんかからの距離をどれだけ離すかということが厳密に定められております。それは、例えば高圧電線なんかと同じような、影響があるものと考えられているから、そういう措置がとられているわけです。特にドイツでは、高圧電線なんかは海の上を通したりすることもある程で、集落の近くにあるというようなことは危ないと考えられているということと同じような考え方に従って、そういう規則が定められています。
 あと、先程ホーンさんがおっしゃったように、見た目が嫌だというような感想ももちろんあり得るわけなんです。しかし、それは、例えば騒音、風車が回る音がうるさいというような場合は別ですけれども、そうでなくって、ただ見た目が嫌だというような理由は、風力発電を認めないという理由としては弱いと思います。原子力発電などから生じる問題と比べると、風力発電から生じる問題は何といっても小さいというふうに私は考えています。

○長田委員 先程の見た目という中で、結構日本は景観というのを重視されて、それが判断基準になることもあるんです。そうすると今のお話を聞いておりますと、比較的それは判断基準にならないのがドイツという感じでとらえといてよろしいでしょうか。

○ホーン参考人 私の方から答えさせていただきたいと思うんですけれども、私が発言させていただいた部分で、住民を取り込まなければならないということを申し上げました。
 皆さんの中で知っておられる例として、高圧線に対しての問題について取り組まれた方がいらっしゃると思うんですけれども、その近くに住んでいる人は、それになれるということもあるのではないかと思います。ここで問題になっているのは従来のエネルギーにかわる新たなエネルギー源が必要だということですので、その点を忘れてはいけないというふうに思います。
 ドイツでも、同じように景観のことが問題とされることは当然あるんですけれども、政治の、バランス、力関係において、いろいろな決断がなされるということです。この問題については、権力と、それからお金のこともかかわってきます。90年代の初めに、ドイツで風力発電が始まり、最初につくられた頃といいますのは、ドイツにおきましては大きな電力会社が、そういう景観とか、そういう問題をもって風力発電が進むことに反対してきたという歴史がございます。
 今日では、そういうドイツの大きな電力会社というのは、ドイツの風が非常に強く吹く地域というのは、小さな電力会社、あるいは住民たちの手によってほとんど風力発電がされるようになってきていますので、そういうところの景観はもうだめになったというようなことをおっしゃっております。具体的に申しますと、私は数千の風力発電機がドイツで毎日回っているということを知っていますけれども、その風力発電の機械によって病気になった人がいるというようなことは、1つの例も聞いていません。
 もちろん、風力発電ということにつきましても、それぞれの土地に適したものであるということが必要です。どこでもいいから建てればいいというものではないことはおわかりいただけると思うんですけれども、有効な土地利用という観点から考えましても、風力発電は、すぐれた土地に建てれば非常に利益が大きいというふうに考えています。ですから、もしその風力発電を計画するのであれば、住民をまず巻き込んで、住民たちが風力発電の利点を十分に感じられるようにしていけば、決して問題は起こらないのではないかというふうに考えております。
 もちろん、県議会の皆様方が決断をなさるわけで、決断というのはいつでも100%正しいということではございません。ですから、間違いが100%ないということではなく、よりよい結論ということを、2つのものを比べた上でのよりよい結論ということを考えていっていただくべきだと思います。その意味においては風力発電の欠点によって生じる問題というのは小さなものだと思いますし、原子力発電などの後の世代への影響を考えると、それは非常に大きな問題があるというふうに言わなければならないのではないかと思います。

○中森委員 グーテンターク。
 確認ですけれども、各個人の家の前に風力発電かなんか、そういうように私は受け止めたんです。日本の風力発電というのは、ばかでかくて、見上げても手の届かないような風力発電を私どもはイメージしているんですが、それと同じものなのか。そうでないんだろうと思いますので、規模が、大きさがもう少し小さいものではないかと、想定するんです。そのへんの、イメージが各個人が建てるということとなれば、そういうものではないかなというのを確認したいのと、1基あたり設備投資、どのぐらいの経費がかかるものかという、日本円換算でどのぐらいのものかと。例えば100万円ぐらのものなのか、10万円ぐらいのものかによって全然イメージが違うので、それがちょっとわからないので、教えていただけますか。

○ホーン参考人 まず、80年代、最初の頃に建てられた発電機というのは大体30メートルから40メートルの高さのものが主でした。第2世代といいますか、最近の新しい風力発電機は、羽の部分を除いた高さが90メートルから120メートルのすごく大きなものになってきておりまして、こちらの方が出力がもちろん高いということです。
 それで、第3世代というものもありまして、そちらの方は、まだそこから30メートルぐらい高い。これに関しては2つのことが言えると思います。その設置されているところから、場所が離れれば離れる程、その大きさの違いというものが小さく感じられるということが言えると思います。つまり、二、三キロ離れた場所から見ている分においては、高さが60メートルであろうと120メートルであろうと、そんなに違わないと。
 ですから、大きさ、エネルギーの出力に関しましては、高さが2倍になると出力も2倍になるというのではなく、等比級数的に上がっていきますので4倍、8倍、16倍というふうな増え方をしていくものというふうにおわかりいただけると思うんです。ですから、1基のものを建てるのと、大きなものを1基建てるのでは、2倍とかではなく、4倍、8倍等の出力が得られるという……。もちろん、風力発電というのも再生可能なエネルギーの一つの種類であるのみで、いろいろなエネルギーをミックスしていくことが大切だというふうには感じます。
 もちろん、風はいつも吹くわけではないので、ほかのエネルギーも必要です。

○中森委員 私が聞いたのは、個人で、そんなん発想するもんじゃないだろうと思うもんです。個人でされるって聞いたもんで、普通常識では考えられないので、個人でつくるなんて。そんなんするのに、1基数千万円かかるわけでしょう。家をつくるよりも高くつくので、そんなことは日本では、個人でつくるということは、普通考えられないことであるのに、ドイツではそれを個人でつくるということを今おっしゃったもんで、何かそれは不思議なことやなと。不思議だなと思うんです、常識では考えられないです、個人では。

○ホーン参考人 ドイツでも個人でつくるというわけではありません。

○中森委員 それやったらわかるんですけど、個人でつくるっておっしゃったもんで、そんなことは普通考えられない。

○ホーン参考人 家の前に建ったら、自分の家の前にもし建てられたらという……。

○中森委員 それはどこでもそうです。

○ホーン参考人 ドイツでは、2人の人が始めたある会社が風力発電機をつくり出し、今日ではすごい大きな会社にそれが成長しているということなんです。

○中森委員 日本でも、そういう風力発電はやっていますし、太陽光発電もやっています。じゃそれの、何が問題なのかというのがちょっとわからないんです。風力発電もやっていますし、太陽光発電もやっていますし、エコに対する補助金も出ています。あとは蓄電の方法と売電する方法が経済的に合うかどうかというのが今問題であって、それは個人が家を直すときに太陽光発電にすれば―風力発電は置いといて―個人でするわけですので、家を新築する際には太陽光発電を入れて、採算、要するに売電と蓄電とうまくいけばうまくいけるし、結果的に国の補助、行政の補助があって採算がとれているというのが今現状なんです、日本は。それを進めていくというのが今日本の政策だと思うんですけども、ドイツはそういうことと、何か違うことがあるかなというのを知りたいんです。

○ホーン参考人 先程の私、お話しさせていただいた中でも申し上げたと思うんですけれども、政治が決定する枠組みというのが必要というか重要であるというふうに考えています。この分野にかかわって20年たつんですけれども、その間で学んできたことは、枠組みをつくるということは、自分たちが何をしたいかということと一番かかわってくるということです。従来どおりのやり方を続けていきたいと思うのであれば、何も変えなくていいというか、何も変わらないということになると。そして、何かを変えようとするならば、やっぱり枠組みから変えていかなければいけないということだと思います。
 現在利用している石油エネルギーや石炭を燃やして得られるエネルギーのコストというのは、大きな意味で言うと、私たちがまだそれを払っているわけではないということで、CO2を排出することによって、次の世代や、あるいは地球に対して、そのコストを持たせているという形になっている。
 今回の経済危機と、それから地球環境の危機というものが、2つが共通点を持っているとすると、それは短期的な考え方、短期的な収支のみを重視する考え方によって引き起こされたということだと私は考えています。その意味では、私たちは社会、エネルギー、石油、石炭を燃やすことのエネルギーをちゃんと負担していないということをまだまだ十分意識できていないのではないかというふうに考えます。
 行政が新しい計画をつくるとして、その計画のことを市民の皆さんに正しく理解していただいて、その必要性をわかっていただけるならば、市民の方がそのコストを負担するということについてもご理解いただけるのではないかと考えております。
 そして、新しいテクノロジー、新技術というものがこの分野ではたくさんあることは皆さんご存じのとおりで、熱ポンプとか太陽エネルギーを利用するための電池、あるいはいろいろなスマートグリッドといわれるようなものがございます。これは、アメリカは石油エネルギーがたくさんあるので、この分野の開発に関してはおくれていますので、日本やドイツが世界に先んじて開発することができる分野で、これはもちろん経済的に言っても、将来大きな利益をもたらす可能性があるものだと思います。

○エプラー参考人 アメリカにつきましては、アメリカは産油国ではあるんですけれども、それ以上に中東からも石油を輸入しています。もちろんアメリカの国内でそういう輸入体質からの脱却というような点においても、もっと考え方が変わってくるということを期待しております。ドイツも、もちろん莫大な量の石油を輸入しておりまして、そのことを考えても、当然これは必要なことだというふうに考えております。そして、この新エネルギー関連においては、雇用の促進もできるというふうに思います。

○日沖委員  ドイツでも太陽光発電であるとか、今風力発電の話もありましたが、新エネルギーを導入するときに個人の家庭、また民間の企業なんかに導入するときの補助金の制度なんかあると思うんです。そのへんはどうなっているのか聞かせていただきたいのと、もう一つ、ドイツの方々から見て、日本の新エネルギー技術、また省エネルギーも含めて、日本の技術で特に注目するような、ドイツから見て注目するようなことがあれば、参考に教えていただきたいと、この2つお願いします。

○ホーン参考人 もちろん、先程お話させていただいた枠組みの中には、そういう補助金などのことも含まれるわけなんです。私が基本的に考えることは、例えば電気を消費するときに、その電気を使う分以上の料金を払う必要があるのではないかと。一人一人の利用者がその料金に上乗せして支払う必要があるのではないかと思っています。
 風力発電につきましては、今日もう補助金なしでやっていけるという領域まで達しています。
 まず、太陽電池につきましては、ドイツでもだんだんと技術が進歩するにつれて補助金が少なくなってきておりまして、特に、先程の2つ目の質問に関しましても、太陽電池の開発については日本が大変進んでいるというふうに聞いております。

○エプラー参考人 個人で屋根の上に太陽電池を取りつけますと、優遇措置があります。それから、利子的に大変優遇されたローンを、家を建てるときに利用することができます。
 そして、そういう有利なローンを借りて、その太陽電池を屋根の上に乗せた家をつくりますと、ローンを返していくのにもお金を、20年かけて返していくとするならば、その大部分は補助金、あるいは電気代が浮いた分で賄うことができますし、20年かけて返した後は、もうすべて自分の利益ということになります。

○ホーン参考人 建築基準法が改正されまして、ドイツでは新しく家をつくるときには、その必要とするエネルギーの一部を、太陽電池で賄わなければいけない。あるいは太陽熱を利用して、温水装置ですね、温水システムというようなものを入れなければいけないということが義務づけされています。

○エプラー参考人 国ではなくて都市の方の政策といたしましては、ヘッセン州のマールブルクという町は、家を建てる、新築する場合だけではなく、改築するときにも、少なくとも一部は太陽熱の温水システムをつくらなければいけないということを義務づけています。
 ですから、情報提供したり勧めたりというだけでなく、一部義務づけする、義務化するということも実際に行われているということです。

○萩原委員 簡潔に。
 お話を聞いていて、原子力発電所が数カ所まだ残っている。それを将来なくしていくんだという方向で聞いていたんだけど、最近はその見直しというか、原子力発電に頼らざるを得ないという部分が逆の流れとして出てきているという、そんな感じで聞いていました。私の理解が間違っているかわかりませんが。
 ドイツ大使館のNABUのあれやら、パソコンでもちょっと見せてもらって、環境先進国ドイツに学ぶという、連載で、ライン川のほとりの改修やそんな面も、なかなかすばらしいNABUの活動は見せてもらっています。今原子力発電所は、廃棄物の最終処理の問題がある、安全性の問題があるということで、安上がりだけれども、問題を次の世代に負担をさせるということになる。その意味では安くていいエネルギーとは言えないんだと、それで再生可能エネルギーへの流れにっておっしゃった。我が意を得たりというか、私は、原子力発電所の危険性をと言うていますが、残念ながら日本では少数派です。そして、この電気も、今現在でも3分の1とか、4割は原子力発電だみたいな話になって、採算性といいますか、経済性といいますか、そのこととの相矛盾というようなことで原子力発電所の危険性や、あるいは廃棄物問題が解決してないのに、先送りになっているというような状況が日本ではあります。なぜドイツでそんなふうに変わっていったのか、そういう考えがドイツの国民の多数になっていってんのかっていうあたりは、どこに違いがあんのやろうとか、そんな違いを学びたいという思いが率直にしました。

○エプラー参考人 まず、おっしゃった日本とドイツの意識の違いということについては、情報のことがあるのではないかと思います。その最終処理の問題以外にも、CO2の排出が少ないというようなことが原子力発電に関しては言われているんです。ただ、その原子力発電のエネルギー源となるウランの精製過程においては結構CO2を排出しているんだけれども、それが加えられていないとか、あとナイジェリアなどにありますウラン鉱山で、例えばどのような労働状況でウラン鉱がつくり出されているかというような問題。また私たちドイツ人から見ると、日本はこんなに地震の多い国なのに本当に大丈夫なのかというようなこととか、いろいろな点があって、それらすべてを総合的に考えるということにおいて、情報提供が日本ではまだ十分ではないのではないかということも感じます。
 プルトニウムの半減期というのは200万年でしたか、2000万年だか忘れましたけれども、何か物すごい放射線の、半減期がありまして、そんな長い時間について、私たちはもちろん責任はとれません。また、最終処理工場というところできちっと密封して埋めるということになっているんですけれども、それが30年たったら、どういう状況になっているかということさえ、私たちは責任が持てないというかはっきりわからない状況にあるわけです。
 ですから、資源問題で大きな問題になるところの一つの原因が、短期的な視点と長期的な視点という部分であると思います。今日の私たちが、効率的だということで、いいということで原子力発電所を利用したとしても、私たちがもういなくなってしまったずっとずっと先の時代にまで問題を引き延ばしてしまって、それが私たち自身には、自分の目で見ることができないということでいろいろな問題が生じてくると思っております。
 今申し上げたような意味において、教育の意味というのが非常に大切だというふうに思っております。大人だけではなくて、子どもたちに、例えばNABUの環境センターでは、子どもたちにソーラーエネルギーを使った自動車をつくってもらったりして、太陽のエネルギーでおもちゃの車を走らせることができるということを実際に体験してもらうとような取組を通じて、エネルギー問題に対する理解を子どもたちの間にも広めていくということが非常に大切だと思っております。

○永田委員 委員長も私も、吉川委員も、この2月にドイツにお邪魔して、エネルギーと環境についていろいろ調査をさしていただきました。余り時間もないんで一つだけお聞きします。今の原子力の問題について、地球温暖化の問題、CO2問題で、ひとつ京都議定書にも盛られておりまして、1990年対比の20%削減というようなことが、世界の流れとして決定をされたわけです。そんな中で、世界の流れが、特に新興国が非常に電力を必要とするときに、原子力発電に向いているわけです。それについてどのような感覚で今いらっしゃるのか、ちょっとそこお聞きしたいです。

○ホーン参考人 ドイツでも、電気エネルギーの約30%を原子力発電で賄っております。全世界的に考えていきますと、ウランっていう原子力発電のエネルギー源自体が、そんなに長く続くものではないというか、いつかなくなるということがわかってきています。これは統計的に計算しますと、世界じゅうのエネルギー消費を、すべてウランを利用した原子力発電で賄うことができるとして、それだけ原子力発電所を建てますと、毎年1回チェルノブイリ規模の事故が起こるということになってしまいます。
 ドイツでは、新たな原子力発電所をつくるということは、もちろん政府から補助金が出ないということもありまして、一般企業も全然そういうことをしようとはしません。ということで、新興国におけるエネルギーの問題についても、もっと有利な条件でできるエネルギー源が必ずあるのではないかと思います。

○永田委員 結構でございます。ありがとう。

○前田委員 時間もありませんし、通訳の方にご迷惑かけてもいけませんので、議論を避け質問だけさしていただきたいと思います。
 原子力発電について、いろいろと国の考え方があろうかと思います。ホーンさんから橋渡し的なエネルギーだというご説明もございました。そして、停止の延長という政策変更もされた中でございますが、いつ頃―新たな技術開発が当然されてですが、いつ頃どのようなものが代替エネルギーとなって廃止が可能と思われてみえるのか教えてください。

○ホーン参考人 まず、太陽電池の効率がこれからますますよくなってくると思います。大体1キロワット当たり18から19セント、1セントはユーロの100分の1ですから大体十数円というようなレベルで発電できるようになるということが予想されております。そんなに遠くない将来に太陽電池で、各家庭がそれぞれの必要な電力をかなりの部分賄うことができるようになるのではないかと思っています。
 まず、その技術革新ということについては、自動車が最初につくられた頃のすごく高い値段から、今日の普及用の車のように安くなったということを考えていただければ、太陽電池も同じように大量生産することによって値段が下がり、また効率もよくなって、そういうふうなことが可能になるのではないかと思います。もちろん、電力会社とかはそういうことになるということは不安に感じているところだとは思います。各家庭がそれぞれ電気を発生するということを目指すわけですから。
 それによっていろいろと雇用も生み出されるでしょうし、社会の仕組みが大きく変わるということではないかと考えています。

○前田委員 晴れていない日はどうされるんですか。

○ホーン参考人 もちろん大切なことです。
 そのために、あらゆる形でエネルギーを供給していくために、もちろん太陽電池だけではなく風力発電、それからバイオエネルギー、そして地熱発電とかさまざまなエネルギーを組み合わせること、そして、そのエネルギーを保存すること、電力でいうと蓄電ということになるんです。それをまた分配するための効率的なシステムというのを総合的に考えなくてはいけませんので、それに対しては、もちろん日本だけでなく、世界じゅうがいろいろな知恵を集めていかなければならないということを考えています。
 あと、エネルギーの使い方についても、もちろん有効な使い方というか、効率的な使い方が必要です。例えばこの部屋の、同じだけのこの明るさを得るためにも、違う電球を使えば5分の1の電力で同じだけの明るさを得ることができるというようなことになっています。

○エプラー参考人 今ホーンさんがおっしゃったさまざまなエネルギーというのは、お互い補い合う関係にあるわけなんです。地熱エネルギーというものだけは無尽蔵にあるというか、地球の中心はいつでも熱いわけですから、そこからのエネルギーを取り出すという意味においては、非常に、お互いを補うものではなく、それだけで独立した特別なエネルギーだというふうに私は思います。

○野田委員長  時間もまいりましたんで、もうよろしいでしょうか。
 参考人及び関係者の方々に対しまして、委員会を代表して一言お礼申し上げます。
 本日は、お忙しい中、本委員会のためご出席いただき、ありがとうございました。
 本委員会といたしましては、ちょうだいいたしましたご意見を今後の調査に十分生かしてまいりたいと思います。
 本日は、まことにありがとうございました。
 引き続き、委員間でご議論いただきたいと存じとるところですけども、予定ではやろうかと思ったんですけども、次回に回したいと思いますので、ご理解いただきますようお願いいたします。
 よろしいでしょうか。

          〔「はい」の声あり〕

○野田委員長 ありがとうございます。
 本日は、以上で新エネルギー調査特別委員会を終了いたします。

 

〔閉会の宣言〕

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。 

新エネルギー調査特別委員長

野田 勇喜雄  

 

 

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