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消費者のための新たな訴訟制度の創設に係る意見書

消費者のための新たな訴訟制度の創設に係る意見書

 本県における消費生活相談の件数は、平成22年度で約1万7千件と依然として高い水準が続いている。これらの消費者被害は全世代を通して発生しているが、最近では比較的高齢者と若年者に被害が発生する傾向にある。

 一方、現在の訴訟制度の利用には、相応の費用や労力を要することから、事業者に比べ情報力や交渉力に劣る消費者は、被害回復のための行動をとることが困難である。

 そこで、消費者が有する法的請求権の実効性を確保する観点から、できる限り消費者の請求権を束ねて訴訟追行ができるよう、消費者のための新たな訴訟制度の案が消費者庁において検討されている。

 この制度案は、共通争点を有し多数発生している消費者被害を対象とし、手続き追行主体を内閣総理大臣が認定する適格消費者団体に限定されている。そして、訴訟手続きを二段階に区分し、一段階目の訴訟で共通争点の審理を行い事業者側の法的責任が認められた場合に、二段階目で個々の被害者が参加し簡易な手続きで被害額を確定し、被害回復を図るという仕組みとなっている。

 そのため、被害者である消費者は、自ら訴訟を提起する必要は無く、事業者の法的責任が確定した段階で、適格消費者団体からの通知等に応じ被害回復を申し出ることで救済への道が開かれる、消費者にとって労力の面でも現行制度より負担が低減される画期的な制度である。

 また、これまでの消費者団体訴訟制度は、適格消費者団体に、事業者の不当な行為に対する差止請求権を認めていたが、損害金等の請求権を認めていなかった。そのため、消費者被害の未然防止、拡大防止の効果は発揮されていたものの、消費者の被害救済には必ずしも結びつかないという課題を有していた。その課題に応える点からも、この制度案は評価できるものである。

 よって本県議会は、国会及び政府に対し、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第6項の趣旨にのっとり、下記の事項について実現されるよう強く要望する。

1 現在、消費者庁において準備されている消費者のための新たな訴訟制度について、平成24年1月より開催される予定の通常国会の審議、議決を経て、早期にその創設を図ること。

2 消費者庁において、適格消費者団体が全国各地に設立されるよう支援すること。

3 同制度の実効性を確保する観点から、手続き追行主体となる適格消費者団体への必要な資金の確保、情報提供など環境整備を図ること。

 以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

    平成23年12月20日

             三重県議会議長 山 本  教 和

(提 出 先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣府特命担当大臣(消費者)

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