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平成25年2月21日 総務地域連携常任委員会 会議録 

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総務地域連携常任委員会

会 議 録

(開 会 中)

 

開催年月日         平成25年2月21日(木) 自 午前10時00分~至 午後11時29分

会 議 室           301委員会室

出席委員            9名

                           委  員  長      藤田 宜三

                 副委員長   東         豊

                 委       員   彦坂 公之

                 委       員   舘      直人

                 委       員   中嶋 年規

                 委       員   水谷   隆

                 委       員   舟橋 裕幸

                 委       員   山本   勝

                 委       員   中川 正美

欠席委員            なし

出席説明員        なし

参 考 人           3名

                           三重県市長会長                               河上 敢二 氏

                           三重県商工会議所連合会専務理事   井ノ口 輔胖 氏

                           株式会社百五経済研究所研究員   山口 祐佳里 氏

委員会書記

                 議   事   課     主査  竹之内伸幸

                 企画法務課  主幹  今町 嘉範

傍聴議員            4名

                                               藤根 正典

                                               中西   勇

                                               稲垣 昭義

                                               前田   剛

県政記者クラブ   1名

傍 聴 者           なし

調査事項

Ⅰ 常任委員会

 1 「みえ緑と森のきずな税(仮称)」について

  (1)参考人の出席要求について

  (2)参考人からの意見聴取

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

Ⅰ 常任委員会

 1 「みえ緑と森のきずな税(仮称)」について

  (1)参考人の出席要求について

  (2)参考人からの意見聴取

    ①参考人意見陳述

〇藤田委員長 参考人からの意見聴取を行います。
 参考人からは、今議会に提案予定の「みえ緑と森のきずな税(仮称)」に対するお考えについて、それぞれのお立場で御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
 初めに、河上敢二参考人、お願いいたします。

〇河上参考人 この表示には、三重県市長会の会長として表示していただいておりますが、市長会ではこういった制度や仕組みに対して調整をする、意見の集約を図るという手続は余りとりませんので、まず、熊野市長としての発言をさせていただくということでお許しをいただきたいと存じます。
 この「きずな税」については資料を細部まで読ませていただきましたけれども、結論から言えば、全般的に見て非常によく検討された内容になっているのではないかと思っております。これまでの導入に向けてのいろんな検討の経緯等を踏まえると、税の導入の時期としては決してベストなタイミングでないと思いますけれども、諸般の状況を考えると税導入に向けて議会の皆さん、県当局の皆さんの決断をぜひともお願いしたいと考えております。
 こう言ってしまうとこれで終わってしまうものですから、少し細かな点までお話をさせていただきたいと思いますが、名称については、他県と比較しても決して悪い名称ではないというふうに思います。余り細かなことにこだわってもいい名称になるとは思えないものですから。特に、災害に強い森林づくりと、森林づくりを県全体、県民で支えるという2つの目的を1つの名称に集約するのは難しいだろうというふうに思っています。いつまでも名前にこだわる必要もないんじゃないかなという思いです。市町が徴税を担うという立場からの、少し縦割り的な意見でございますけれども、「みえ」という名前をつけていただいておりますので、これで県税ということが市民の皆さんにも説明しやすくなります。そういう意味では、徴税部門の不安を若干和らげる名前にもしていただいているんじゃないかと思います。
 それから、税を活用した施策として、基本方針Ⅰの災害に強い森林づくり、基本方針Ⅱの緑・森・人の絆づくりというこの2つについてはこれで妥当なものだと思いますし、この2つの方針のもとでの5つの対策の内容についても、これでよろしいんじゃないかなということでございます。
 それから、まず基本方針Ⅰの災害に強い森林づくりに重点を置いて取り組む、という初期ハード優先という考え方も、税導入の経緯、必要性から判断して適当なものだろうと思っております。
 それから、市町への交付金の制度でございますが、この税収事業についても原則として既存事業の財源に巻きかえることがないようにということが掲げられておりますけれども、全くこのとおりであって、この原則はしっかりと維持していただく必要があると思います。しかしながら、恐らく市町からのいろいろな要望を踏まえてのことだと思いますが、この原則を維持しながらも、既存の事業を規模を拡大して行う場合等については、新規に準ずる取組として柔軟かつ弾力性のある対応ができるようにされております。非常にきめ細かなところまで考えられた内容にしていただいていると思っています。ただ、今後、市町からは、この税収事業の使途については、さらにいろいろな質問や要求といったものが出てくると思いますけれども、当局におかれましては、税導入の目的に反しない範囲で柔軟な対応をお願いしたいと思っております。
 それから、税について県と市町の配分が5対5と、同等の割合になっていることについても、市町においても納得できる配分割合じゃないかと思います。市町への配分については、基本配分枠と特別配分枠を設けられておりますけれども、この考え方もその割合も妥当ではないかと思います。基本配分枠の均等配分、人口配分、森林面積配分の算定の考え方についても、これは県のほうで決めていただくしかないだろうと。特に、北勢地区においては、金額でいうと負担が大きくなるということになります。ですから、そういった視点での配分を主張されるところもあると思いますし、一方で、森林を守る側の市町からは配分を多くしてほしいという意見も出てくると思いますけれども、こういったところはやっぱり客観的な立場から、県のほうで配分を決めていただくしかないだろうと思っております。
 それから、細かい話ばかり続いて申しわけないんですけれども、5年間という事業展開の期間を設置して、その間、第三者による評価委員会を設けて、事業が適切に行われているか、効果あるものとして行われたかという仕組みを取り入れていただいてますし、5年後に見直しを行うというようなことも最初から想定されているということでございますが、いずれもしかるべき内容じゃないかなと思っています。
 税の導入のタイミングということでございますが、最初にも言いましたけれども、消費税の増税とか復興増税の導入といったことと時期が重なってくるということを考えれば、決していいタイミングとは思えません。しかしながら、この税導入については、紀伊半島大水害をはじめ近年、三重県内において多発する台風や洪水による被害が検討のきっかけになっているということで、それから、パブリックコメントの反対意見が非常に少なかったと。これは私も非常に驚いてますが、それはやはり、県内でこの10年間を見ても、平成16年には旧宮川村とか旧海山町、伊勢市でも洪水があったと思いますが、それから平成20年には菰野町で、23年には紀伊半島大水害と、こういったことを県民がよく理解されているんじゃないかと。そういう意味では、負担の増えることですから、決して大きな賛同を得られるとは思いませんけれども、税導入、税の必要性そのものについては一定の理解が得られる状況にあるのではないかなと思っています。したがって、過去にも導入に向けて大きな動きがあったと思いますが、いろいろな経緯を踏まえてみても、この税導入については最後のチャンスではないかなというふうに思ってまして、重ねてこの導入に向けて皆さんの御配慮をお願いしたいなと思っております。
 参考までに申し上げますと、平成12年に林野庁が試算をした結果がプレスリリースで出ておりますが、それによりますと、水源の涵養とか、土砂流出の防止とか、CO2(二酸化炭素)の吸収といった森林の有する公益的機能の価値について試算が行われ、それを貨幣評価するとおおむね75兆円の公益的機能があるという試算結果が出されております。余りに数字が大き過ぎるものですから、腹にすとんと落ちる額ではないんですけれども。いずれにしても、非常に大きな公益的機能の試算結果が出ております。
 蛇足になりますが、申し上げれば、試算の方法は、例えば土砂の流出防止の機能がどれぐらいあるかという計算を行うに当たっては、森林が持つ土砂の流出の抑止量を砂防堰堤等で賄おうとした場合の建設費を充てて、この代替法で貨幣評価をしたと。その積み上げが75兆円だということのようでございます。貨幣評価しづらい、良好な景観を提供するとか、気候の急激な変動を抑制するといった機能は、この評価の中には入ってないということです。日本の林業の総生産高といいますか、林業産出額は年間で約4200億円ですから、外部経済効果としての公益的機能のほうが余りにも大きく、数字としてそのまま受け止めることはなかなかできないんですけれども、それにしても、大きな外部経済効果を持っているということは言えるんじゃないかと思っております。さらに言えば、日本の森林面積の約1.5%が三重県の森林面積の割合だそうでございますので、75兆円に1.5%を掛けると1.1で、1.1兆円が三重県の森林が持つ公益的機能ということになります。少なくとも、外部経済効果というのは、その便益の利用に排除性がない場合、適正な生産を維持するためには一定の支援は必要だというのが経済学の理屈でございますので、そういうことも含め、税の導入については、熊野市長としては賛同というか、ぜひともお願いをしたいというふうに考えているということでございます。
 与えられた時間が過ぎましたけれども、これで私の意見とさせていただきたいと思います。

〇藤田委員長 引き続き、井ノ口輔胖参考人、お願いいたします。

〇井ノ口参考人 経済団体としての立場から意見を申し上げたいと思います。まず、私ども経済界、あるいは経済界を形づくっております企業の現在置かれております立場ですが、昨年選挙がございまして、安倍政権の誕生ということになったわけでございますけれども、安倍政権の中心的な政策と申しますのは景気対策でございます。私ども経済界といたしましては、この景気対策に非常に期待を持っております。そんな中で、公共事業の拡大ということで景気雇用対策あるいはいろんな公共設備のメンテナンスというようなことがこれからどんどん始まっていくのかな、ということで非常に大きな期待を持っております。
 そういう中で、私どもの会員企業であります中小企業が置かれております立場でございますけれども、こうした政治の経済効果というものが三重県内の中小企業にあらわれてまいりますのには、かなり時間がかかります。この県内だけを見ましても、北から南まで非常に長い県土の中で、これはいつの時代でもそうでございますけども、景気の波及効果が南のほうへは非常に遅れて来るというような事情もございます。
 先ほど河上参考人もおっしゃったように、消費税、それから復興税というようなものが今後実施されるということになっております。そんな中にあって、三重県の経済界というのは、例えて申しますと四日市商工会議所が一番会員数も多く、それなりに大きな企業があるわけでございますけれども、その四日市商工会議所でも81%が小規模事業者でございます。小規模事業者と申しますのは、製造業ですと従業員が20人以下、商業、サービス業ですと5人以下で、中には御夫婦でやられているという企業もたくさんございます。現在、私どもの会員企業は、12の商工会議所で約4万4000社余りでございます。過去10年、5年を見てみますと、過去10年で5884社が会員から抜けられております。ほとんどが廃業でございます。5年だけを見ましても3086社が廃業とされているというような状況でございます。そういうふうな環境にございますので、いかに小規模事業者の方がこの景気対策に期待を持ってみえるかということがおわかりいただけるかと思います。
 そういう状況の中で、御承知だとは思いますが、中小企業金融円滑化法、これが本来ですと昨年期限が来ておったわけですけれども、非常に景気が悪いという中で1年延長されまして、この3月に期限が到来するわけでございます。この「金融円滑化法」と申しますのは、中小企業を中心に、いわゆる運転資金を借り入れておったものの期限を繰り延べするというような形で、何とか運営できるようにということからなされた法律でございますけど、これが期限到来すると。その期限到来だけで、かなりの企業が大変困られるような状況になるのではないかと心配されております。一方、国のほうでは、この「円滑化法」が切れるということで、中小企業経営力強化支援法というものを施行いたしまして、いわゆる支援事業の担い手の多様化・活性化、それから海外展開、こういうものに資金調達の支援をするというふうな政策を打っていただいております。この「経営力強化支援法」というのには2つございまして、一つは、要するに海外展開をするときに資金を支援しますというものなんですね。ですから、中小企業が海外へ出ていくときにそれを支援しますということです。そうなりますと、外へ出ていって活躍できるだけの体力がないと、なかなかその支援を受けられないということになるわけですね。そうすると、私が今申し上げたような企業が、そう簡単に、今までノウハウも何もない中で海外へ進出して展開できるかというと、これはなかなか難しい。系列会社なんかで大手と一緒に行くようなところはある程度のことができると思いますけれども、そういう企業ばかりではございませんので、その辺が非常に難しい。
 もう一つは、いわゆる支援をする担い手を多様化・活性化するということです。どういうことかといいますと、現在、商工会議所なり経済団体が支援をいたしておりますけれども、例えば銀行等の金融機関とか、税理士、公認会計士、あるいはコンサルタントとか、そういうところも含めて支援体制をとりますよという話なんですね。そういうことになってまいりますと、中小企業のほうで経営力そのものを強化するというのはなかなか。もちろんそういうメリットを受けられる企業もございますけれども、先ほど申し上げたような小規模事業者では、幾らそういうノウハウをやっていただいても、高齢化しているとか、そういうこともあって、そういうことがなかなかできないという企業もたくさんあるわけです。そうなりますと、幾ら「強化法」といいましても名前ばかりというような形になってしまう恐れがあるわけです。そのようなことで、なかなか効果的な手が打てないというのが現状でございます。そういう中でこの税の実施という状況になっていくことを、ひとつ御理解いただきたいということでございます。
 そこで、私どものこの税に対する考え方でございますけれども、私どもといたしましては、森林等の整備については、先ほど河上参考人がおっしゃったようなことで、その必要性については認めております。決して反対しているものではございません。ただ、先ほど申し上げたような会員企業等の現在の状況、あるいは資金繰りの厳しさ、そういうことを考えますと、先行き不透明な中で、特に次の点に御配慮をお願いしたいと思います。
 まず、この税収の使途の特定でございます。どういうことかと申しますと、私どもは県の執行部のほうから、この税の使途について詳しく聞かせていただきました。それで、先ほど来出ておりますように、本来の森林の整備とか、涵養とか、そういうことに使われるものについては何ら問題はございませんが、先ほど申し上げたように三重県の県土が南北に非常に長いものですから、特に北勢地域の整備について聞きましたところ、そのときの説明では、公園の整備とか、道路の整備とかで使われるというようなことも聞いております。そういうことになりますと、本来の「緑と森のきずな」というところからかなり離れるということになってしまいます。バランスのようなことを考えられてそういう話が出ているんだと思うんですけれども、私どもとしましては、「緑と森のきずな」というところで特定していただいて、きちっと枠をはめていただきたいというのが1点目でございます。
 もう一つは、先ほど河上参考人もおっしゃいましたけれども、評価・検証でございます。これは必ず第三者の評価・検証機関をつくっていただいて、その内容が本来の目的に沿ったものに使われておるのかどうか、あるいはそれによって一定の効果が出ているのかどうかというようなことの評価をきちっとしていただきたいということが2点目でございます。
 3点目は、制度の見直しでございます。一応5年間ということになっておりますが、こういうことを申し上げますと非常に僣越でございますけれども、実は私どもで従前から、この話とは違う、県民税の超過課税の話を議会のほうへお願いしております。法人税の超過課税は5年間で見直しということになっておりますが、御承知のように、あの超過課税ももう20年以上続いております。5年ごとにきちっと見直しをしていただきたいということを何度も申し上げ、また、基金のウエートでも50%以上を産業振興に使っていただきたいということをお願いしておりますけれども、現状はまだそこへ至っていないというような事実がございます。そういうことがありますので、制度の見直しに当たっては、ぜひ先ほど申し上げた評価・検証の結果を反映するような形できちっと見直しをしていただきたいということでございます。
 それから、これは蛇足でございますけれども、お願いがございまして。もしこの税が実施されるということであれば、ぜひ大きいところから小さいところまで一律にということじゃなくて、できればある程度小さいところと大きいところ、いわゆる小規模事業者等への実施時期を少し食いとめるなりということで考えていただきたいということが1点目でございます。2点目は、新年度の予算等でもぜひ中小企業対策への配慮を十分にしていただきたいということでございます。
 最後に、これは本当にお願いだけになってしまうんですけれども、実際にこの事業が行われる場合は、ぜひ県内の事業者の活用ということもあわせて考えていただきたいということでございます。
 よろしくお願いします。

〇藤田委員長 
 次に、山口祐佳里参考人、お願いいたします。

〇山口参考人 私は本日、百五経済研究所研究員という肩書でお邪魔してるんですけれども、今回の税の導入に当たっては検討委員会のメンバーでもあったというところで、一般的な、広い考え方でお話をさせていただきたいと思います。
 検討委員会のほうでも検討を重ねてまいりまして、その中で出た、県民1人当たり約65万円分の恩恵を受けているんですよという話であったり、また、公益的機能があるということも理解した上で、森林を守ることがいかに生物を守ることにつながり、そしてまた、その地域に住む人々の命を守ることにもつながっていくということを非常によく理解いたしました。もともとは森林に関して全然知識もなかったものですから、そこの場でいろいろと教えていただいて理解いたしました。
 その中で、やはり単に増税だというふうな認識をされないためにも、県民に理解してもらう努力は引き続き行うべきだというふうに思っています。これが1つ目です。先ほどからもお話がありましたけれども、やはり消費税増税が取り沙汰されていることを前に新税の導入というのは抵抗がありますし、増税というこの言葉自体にも非常に抵抗感があると思います。また、実際には、所得が増えているのかと言われたら、決して増えているわけでもないにもかかわらず税だけが増えていくというような不安感もあると思いますから、そのあたりの納得性の高い材料を提供すべきだと思うんですね。
 特に、三重県は南北に長いわけなんですけれども、山間部の方々は比較的森を身近に感じて生活しておられると思うんですが、都市部の方というのは非常に遠い話というか、余り身近に感じないんですね。その中でも、人口から見ると、どちらかといえば山間部よりは都市部のほうが人口が多いですから、人口の多い都市部から山間の地域へ協力をしていくというような色合いがどうしても強くなってしまいます。だからこそ、ただの増税ではなく、納得性の高い、税というか寄附のようなイメージで皆さんに御理解いただく努力が必要かと思います。
 それから、私自身も最初に思ったことですが、既存の事業の精査はできているのかなという視点です。要はわざわざ新しく税を導入しなくても、既存の予算の中でできることがあるのじゃないかと。ですから、既存の事業がきちっと見直しをされているのかどうかという議論にも発展していくと思うんですね。本来、説明をする際には、既存事業のことも含めた上での説明が必要だと思うんですけれども。これまで話を聞いていた中では、比較的、地域が抱える課題があって必要だから、既存の事業とは別建てで、使途を明確にした上でこの税を導入しますよという説明をされるものですから、既存事業と切り離した話になってくると思うんですが、一般の方が聞くと同じに思えると思うんですよ。ですから、そこも含めた理解が必要ではないかと思います。
 ただ、今までは理解されにくい話をしてきたんですが、反面、理解を得やすい側面もあると思うんですね。今回の税というのは、地域の方々からいただいて地域に還元していくわけですから、非常にわかりやすい。なおかつ、先ほどから話もありましたけれども、県民の方が比較的必要だと感じておられるんじゃないかと思います。検討委員会のほうでも県民の方500人にアンケートをした結果を見せていただいたことがあるんですが、約8割の方が、賛成はするけれども使途は限定されるべきであるというように意見されていました。ですから、税の基本原則である応益原則の考え方からいきますと、広く県民が享受するものなんですよという説明が必要かと思います。
 もう1点は、やはり平成23年9月に紀伊半島大水害が起きたということが挙げられるのではないかと思います。実際、紀伊半島大水害が起きた地域には、今もまだ災害の状況が残っていたりするんですけれども、北勢部の方々からすると、非常に遠い話といいますか、既に風化しつつあると思います。一方、規模は違うんですが、東日本大震災の場合でいきますと、今でもマスメディアでよく取り上げられて、そこから私たちは何を学ばなければならないかとか、まだ支援が必要だという話が引き続き放映されているんですが、最も身近で起きた紀伊半島大水害についてはもう風化しつつあると。ですから、今回の税を導入するということは、地域が抱える森林にまつわる課題を皆さんに認識していただいて、何かが起こったときには実際に災害が起きる可能性がある地域を抱えているということ、そして防災の視点とか、非常に様々な意味合いがあると思いますので、そのあたりの災害に関することもあわせて御説明いただければなとも思います。
 理解を促すための取組として、既に説明会もたくさん行われているんですけれども、やっぱり実際目にしないと現実として考えにくいところがありますので、実際に見ていただくツアーを組むという取組をされるとか、また、消費税増税を前に住宅の駆け込み需要が増えているということがよくニュースでも挙げられてますけれども、これを機に三重の木の住宅を建ててみようとか、そういったチャンスでもあると思いますから、そのあたりも含めた御説明をしていただきたいというふうに思います。
 2つ目に、環境教育の必要性をお伝えしたいと思っています。今回の使途の中でも教育という面があると思うんですけれども、教育というのはすぐに効果の出るものではなく、5年、10年、20年と、森林と同じように時間がたてばたつほど、たっていく中でわかってくるというようなことだと思うんですね。これまでの取組を見てますと、比較的、小学生とか中学生に対して自然とふれあうことが大事だという、子どもの発育に合わせた取組を多くされていたと思うんですけれども、今林業が抱える課題として、担い手の不足とか技術者の不足が挙げられると思うので、そういう現状があるのであれば、キャリア教育という視点も環境教育の中に取り入れてみてはいかがかなというふうにも思っています。
 例えば進路選択をするという、人生の岐路に立たされる高校生とか大学生に、もっと三重県の抱える森林の課題を理解してもらったり、山とかかわる仕事を知っていただくというような取組も一つの方法としてあるのではないかと思います。特に、大学生になってしまいますと、もう県外に出てしまうんですね。地域のことを考える最後のチャンスが高校生なんです。ですから、そういった人たちに対して何か環境にかかわるアプローチができるような取組、例えば大学生に木材を使ったビジネスアイデアコンテストをしてみるとか、そういった何か若い、新しい柔軟な発想を取り入れられるような仕組みというのも方法として考えられるのではないかなと思います。
 最後に、3つ目なんですけれども、長期的な視点を持った取組をしていただきたいというところです。今回の税収を森林整備に充てる際には、整備を行う森林所有者の方が適切な森林管理を実施しているのかということをチェックする必要があると思います。もしくは、具体的にはわからないんですけれども、何かしらの義務とか規制も検討すべきではないのかなというふうに思います。今回は第三者評価機関を設置して5年間で見直すということになっているんですけれども、この第三者評価機関の構成メンバーも、できれば森林事業者だけに偏らないようにすべきだと思うんですね。検討委員会の構成メンバーを見ておりましても、比較的森林事業者の方が多く、税に関しては御専門の方がいらっしゃらなかったという現状がありまして、必要性とか、課題とか、そのあたりの議論が主にされていたように感じております。
 ですから、今回の第三者評価機関のほうには、三重県の中で森林に実際携わっておられる方ももちろん必要だと思いますし、それから、既にほかの都道府県で森林税に関することは導入されておるわけですから、森林税の使途に関して、いい効果が出るもの、また、効果が出にくいものというような全国的な動向をよく御存じの専門の方を入れていただくとか、また、一般の県民の方を入れていただくとか、様々な視点から議論ができるような場が必要ではないかと思います。三重県というのは全国的に見て、どちらかというと導入の遅い県でございます。ということは、それだけほかの都道府県の効果の出る対策とか事例をたくさん学べる機会があると思うんですね。三重県というのは雨が多く、災害が起きやすい地域も抱えているわけですから、ほかの地域の事例を学びつつ、三重県という地域の自然環境に合わせた対策をぜひとっていただきたいというふうにも思います。
 最後になりますけれども、本来はこういった税を投入しなくても自立できる仕組みであるべきだと思うんです。ですから、5年間で精査をするとはいうんですけれども、この税を投入することが常態化しないように、10年後、20年後を見据えた長期的な取組をしていただきたいと思います。
 以上の3点になります。

    ②参考人への質疑

〇藤田委員長 御質疑のある方がございましたら、どうぞ。どなたでも結構でございますので。

〇山本委員 三重県市長会長の河上参考人にお伺いしたいと思うんですけれども。私は北勢に住んでおりますので、あとお二方の話等も割と理解できるところがあるんですが、北勢から南勢まであるわけでございますけども、「市長会」あたりで「きずな税」とか、こんな問題について少しお話しされるような機会があったのかなかったのか、また、そんなことを「市長会」の中でテーマにというか、意見交換できるような場があったのかなかったのかをお聞きしたいと思うんですが。

〇河上参考人 「市長会」の会議のテーマとして「きずな税」が掲げられ、議論をするという場はこれまでにございませんでした。したがって、冒頭にも言いましたように、今日の私の意見は熊野市長としての意見になります。一方で、やはりお互いに接する機会があるわけですから、立ち話の中で、北と南で若干ニュアンスが違うなというのはありますけれども。ただ、北勢地区の方々から明確な反対の考えが出たということもございませんので、この点だけは申し上げておきたいと思います。

〇山本委員 私も北勢に住んでおる関係で、いろいろと一般市民の皆さん方から意見を聞く機会はあるわけでございますが、何せ浸透しとらんという面もございますので、反対、賛成というのを議論するような機会はなかなかないわけでございますけども、首長の場合は税を導入する窓口にかかわるということもございますので、ちょっと御意見をお聞きしたいなと思ったんです。

〇河上参考人 恐らくどこの市町におかれましても、林業にかかわる部局を抱えているわけですから、先ほど少しお話しさせていただいたとおり、徴税を担う部局から、明らかに賛同するというよりは、どちらかというとネガティブな意見が出てくるわけですけれども、総合的に考えて、各市町の判断としては、さっきも言いましたように、若干南のほうへ行けば行くほど当然前向きな感じになります。北勢の方はそれほど前向きではないけれども、反対は、言葉として私は聞いていないということでございます。

〇藤田委員長 ほかにはいかがですか。

〇中嶋委員 河上参考人に、今のお話でちょっと確認させていただきたいんですが、今回の県民税の超過課税というやり方でいけば、徴収コストとしてはそんなにアップしないという認識でいらっしゃるという、そこはよろしかったでしょうか。

〇河上参考人 当初予算で各市町のシステム改修分についても面倒を見ていただけるということになってますので、市町において徴収コストが上がるということはないと思います。ただ、先ほど山口委員も言われましたように、県当局だけでなく各市町においてもこの税導入が決まった場合は必要性をPRしていかなきゃいけないとか、税導入時には、市町において多い、少ないはあるかもしれませんけど、苦情なりいろんな批判というものが出てくると思います。そういうことに対して理解を求める活動というのも必要になってくるので、そういう面での負担というのは、市町においても、この税導入の恩恵を受けるわけですから、当然担わなければいけない責務だというふうに考えてますので、コストというふうには捉えなくていいんじゃないかと思っています。技術的な面で物理的にかかる費用というのは、余りないんじゃないかと思いますけど。

〇中嶋委員 あわせてお聞かせいただきたいのが、県が実施する事業については、一応財源を基金という形で明確化するということで、我々議会としてもチェックできる仕組みとしていただいているんですが、市町のほうには交付金として行くわけですよね。例えば熊野市で交付金事業をという場合は何々三重何とか税交付金事業とか、県民、市民に対してよりわかりやすくするようなやり方、これはいわゆるいただいた税でやっている事業なんですよ、交付金でやっている事業なんですよということを市町レベルでも明らかにするような取組について、県とのやりとりの中でお話があったかどうかというのはいかがでしょうか。

〇河上参考人 その税収事業の使い方については、県のほうから、非常に事細かに考え方が示されております。報告をしなければいけないことになるわけですから、結果的に税収事業がどういうもので行われているかというのは明確になってくるんじゃないかと思います。市町において基金をつくる場合は、先ほど少しお話がありましたけれども、北勢地区においては、森林そのものに使える部分が少なくなってくると、お金は確保しなきゃいけないけど使い道をどうしようかなというところも、ひょっとしたら出てくるかもしれません。そういう場合において、とりあえず基金に置いておこうかなという意味での基金の造成があるかもしれませんけれども、市町においては今言ったように報告によって使途が明確になってきますので、その御心配は余り必要ではないんじゃないかと思います。

〇中嶋委員 わかりました。
 井ノ口参考人にちょっとお聞かせいただきたいんですが、導入時期のことについては、例えば法人の規模に応じて、影響とかを受けやすい、非常に苦しい立場にある小規模事業者を中心に時期をずらすということも検討されたりという、小規模事業者に対する施策の充実ということとセットでとか、山口参考人もおっしゃった、この税は一応応益原則でいただこう、均等割で、応能ではなくて応益でという部分の考え方については、特段反対されるものではないという理解でよろしいでしょうか。

〇井ノ口参考人 その点については、私どもも特に反対ということではございませんので。もちろんもろ手を挙げて賛成というわけではないんですけども、正直言って、やむを得ないんだろうなというふうに思っております。ですけど、申し上げたように、中小企業と一くくりに言っても企業規模で随分違いますから、やっぱりそこは実施時期に配慮していただきたいなと。消費税の導入もどういうふうなことになってくるのかよくわかりませんし、今後の景気対策も、今の政権は景気浮揚ということで言っていただいてますけど、まだ見えないというところがございますので、そこら辺を見てやっていただければありがたいと思っています。

〇中嶋委員 じゃ最後に、検討委員会のメンバーという立場からではなく、御社のHRI研究員として、山口参考人に教えていただきたいんですが。例えばこの税を導入することによって、当然、県内経済に対するプラス・マイナスの効果があると思うんですけど、算定を県から依頼され、そういう数字がもしあれば教えていただきたいなと思うんですが。

〇山口参考人 現状で、特に依頼をいただいたとかは全くなく、検討委員会のほうでも特に経済波及効果とかの算出はしておりませんので、ほかの資料を見たんですけれども、どこかの大学の先生が個人的に出されたものとかは多少見かけたような気もするんですが、三重県としてはまだ出てないのかなというふうに認識しております。ですから、検討委員会のほうで発言したのが、少なくとも県民の皆さんに意見を聞く場が本来はあるべきなのではないかという中で、アンケートをとられたり、また、ワークショップという形で、説明して県民の皆さんが議論できる場を設けていただいたりとかもしてたんですけれども、そういった視点からも、やはり理解を促す取組が必要ではないかとも思っております。

〇藤田委員長 ほかにはいかがですか。

〇舟橋委員 既存事業との精査、これはやっぱり我々も十分その視点を持ってこれから見ていかなければならないなと改めて認識させていただいたんですけども、広く県民が享受する税であるべきという話は、直接と間接とがありますやんか。当然山を持っているところは直接的に享受しますけども、山のない鳥羽市だとか、桑名市もないかな、ちょっとあるのか、そういうところは結局、森林を守る、災害に強い森林づくりということになかなか使えないと思うんですよね。だからやむを得ず学校の机を木にするとか、さっき初めて聞いた、道路、公園にまで使うと言っていくと、それこそ「きずな税」をつくるときの趣旨に反するような気がするんですよね。そこら辺の、いわゆる広く享受できるという、直接・間接のニュアンスみたいなものを、検討委員会のときの議論も含めながら、もう少し突っ込んで山口参考人から聞かせていただきたかったんですけど。
 それから、河上参考人にお伺いするんですけど、山を持ってない市町の人らはこれの使い道をどうするんでしょうか。

〇山口参考人 直接・間接という部分なんですけれども、まず森林が果たす役割として、例えば森林の土壌が豊かであれば、そのまま海の豊かな漁場にもつながっていくというように、山から海へつながっていくというふうなお話を伺うことがよくありますので、森林と言ってしまってますが、森林を守ることがそのまま海を守ることにもつながるとか、環境の話からいきますと、地球温暖化の防止とか、生物多様性とか空気を守るというような部分で、ただ林業を守るというのではなく、幅広く三重県という地域資源を守るというか、環境を守るという、非常に間接的な話にはなるんですが、県民1人当たり約65万円という算定基準が出たのもそういう理由だというふうに伺っておりますけれども、そういった広い意味での恩恵を皆さんお一人お一人が受けていると思うんですね。今、環境問題がよく言われてますけれども、環境問題というのも結局私たちが住むこの日本という地域や世界という地域を守るためにみんながどうするかという話になってきますから、それと同じで、県で税を導入するということは、私たちが住んでいる県というわかりやすい、身近に感じる地域に対して使われるわけですから、そういう視点では、直接森林と接しているというわけではなくても、まだ理解が得られるのではないかなというふうに感じております。

〇河上参考人 今の山口参考人の話とダブるんですけども、私も県の担当部局と話をしたときに、紀伊半島大水害でほかの市町の港湾、漁港に非常に迷惑をかけたなと大変申しわけない思いだったんですが、それは流出した木材が全部漁港、港湾の中にたまってしまい、その排除にすごくコストや時間がかかったということもあって、まさに山と海はつながっているというのはあるんじゃないかと思います。それと、先ほどもっとPRが必要じゃないかというように山口参考人がおっしゃいましたけども、これは林野庁の数字をそのまま使うのもちょっと問題かなと思うんですけども、例えば大気の保全機能、酸素の供給にかかるだけで約3兆9000億円という数字が出ているわけですね。この数字をそのまま使うかどうかは別にしても、やはり山があって良好な景観とか、空気そのもの、二酸化炭素の吸収の役割というのはオフセットクレジットでさっき言ったように明確になってきてますし、そういったことも含めて一般の方々に対する理解を求めていくことが必要ではないかと思っています。
 それと、山を持ってないところでの使い道ということでいえば、海に関連する取組についても、今回の事業の使途には入っております。それと、井ノ口参考人には申しわけないんですが、道路、公園に使えるというのは厳密に言うと道路、公園の緑化に使えるということなんで、道路、公園そのものをつくることじゃないものですから、緑化という意味である程度使途に含めていくのは、都市部の負担も大きくなるわけですから、緑につながる話としては含めるべきじゃないかなと思っています。ただ、使い道については、先ほど言いましたけれども、特に山の少ないところはこれからいろいろと苦慮される部分があるので、この税導入の目的の範囲内でどれだけ弾力的な使途を県のほうで認めていただけるか、そこは柔軟に考えていただく必要があると思います。でないと基金ばかり積み上がって、5年後にその基金を返さなきゃいけないことになるかもしれませんので。その辺は走りながら考えていただく部分もあるんじゃないかと思いますけども。

〇舟橋委員 確かに環境に役に立ちますとか海と山がつながってますというのは、この「きずな税」を導入する際に県民から御理解をいただくためのお題目としては大切だと思うんです。しかし、現実に熊野市の担当、桑名市の担当がどういった事業をしようかと考え出したときに、そのお題目だけではなかなか事業化はできませんので。ただ、熊野市の場合は治山治水とか、間伐とか、植林とか、直接的な事業が幾らでもメニュー化できますからいいですけども。そうした中で、なるほどなと思ったのは、環境教育とかキャリア教育にこの税を使ったらどうですかということです。それは人口も多い平地の都市部での税の使い道としては大いにあるのかなと、聞かせてもらいながら思っておりました。参考にさせていただきたいと思います。

〇藤田委員長 ほかに御質問はございませんか。

〇中川委員 お三方は、本当に三重県のために頑張っていただいておる皆さん方でございますので、敬意を表させていただきたいと思います。
 その中で、ぶっちゃけた話、この税の金額ですよね。これについての話がなかったものですから、どうなんだろうという問題が一つ。もう一つは、5年間という期間限定なんですけども、これについていろんな検証をしてもらいたいという話があったんですが、それでいいのかどうかという、この2点ですね。

〇藤田委員長 どなたに。お三方でよろしいですか。

〇中川委員 はい。

〇河上参考人 金額について、県としてこれでいいかどうかということを申し上げるのは非常に難しいと思いますが、県当局で、例えば個人1000円という金額を決められたのも、恐らく先行する他県の例を引用されているんじゃないかと。トータルで50億円余という数字が必要かどうかは、逆に、1000円と10%で結果的に50億円余になったんじゃないかというような気がしますので、この辺は政策担当の側で、総合的な視点で決めていただくものではないかなというふうに思っています。少なくとも市町のレベルでは、ここの金額について、これでいいか悪いかという判断は非常に難しいと思います。
 それと、5年という検証期間は、やはり3年では難しいんじゃないかなということで、こういう新しい制度をつくったときには、大体5年ぐらいの検証期間を設けるということが多いようでございますので。10年だとちょっと間延びがしますし、3年だとあっという間という気がしますので、5年という期間は結果的に妥当な期間じゃないかなと思うんですけど。

〇井ノ口参考人 金額については、河上参考人がおっしゃったように、全国的な推移を見て考えられたというふうに理解してますし、そういう意味では妥当なのかなと思っております。5年の期間については、今の時代のことですから、できるだけ短い期間での見直しというものをもっと臨機にやっていただきたいなという気持ちがございます。期間そのものもあれですけども、私どもとしては、よくその状況を見て、その時期その時期で勇気を持ってぜひ見直しをしていただきたいというのが正直なところでございます。よろしくお願いします。

〇山口参考人 私もお二方と同じで、1000円という金額に関しては何とも言えないところがありまして。ほかの都道府県に準じているところもあると思うんですけども、本来、民間企業でいきますと、何かの事業があって予算を立てて、一切の予算ができたら、今度は予算の中でどれだけ効果の高いものを生み出せるかという考え方になると思うんですね。ですから、先ほどから言っているとおり、何でこれまでの税収の中でできないのか、という話になると思うんです。だって、予算がある中で事業を行うわけですから。けれども今回の内容を見てますと、なぜそうなったのかはわからないんですが、平成23年度予算と24年度予算で、例えば教育に関する予算は減っていたり、大水害が起きたことによって復旧に関する予算は逆にプラスでついてたりと、非常に税収の少ない中でも取組をされている。
 今回の税に関しては、復旧というよりは防災、要は災害が起きないためにどうするかという使い方と、実際に予算が減らされてしまった教育とか、出口対策の部分、利用を促すための取組に使いましょうというような内容になっていますから、どちらかというと短期的な視点というよりは長期的に見たときに、要は起きないための取組といいますか、先行投資のようなイメージを私自身は持っているんですね。ですから、5年の見直し期間がどうなのかという視点なんですけれども、実際、林業とか森林って、5年、10年で結果が出るものでもないと思うんですよね。ただ、大体5年が妥当かなというふうには思っているんですが、5年たって精査をして、今結果が出ていませんからやめましょうというふうに、非常に短期的な取組になってしまうというのが一つ懸念材料としてはあるなと。もちろん10、20年後、30年後、木が育ったときのことをイメージしていろいろ私は取組をしていただけるとは思ってまして。5年、10年たって効果が出なさそうだからやめておきましょうよというような短期的な取組になってしまわないように。ですから、長期的な視点での取組をしていただきたいというふうに思っています。

〇藤田委員長 ほかにはいかがでしょうか。

〇舘委員 今日は、大変参考になる御意見を伺ったなと思います。
 この税を導入しようというのは、東日本大震災以降そうですけれども、災害が発生して、今も言われた防災・減災対策ですよねって言われてしまえばしようがないかなというふうなイメージがあって。実際の話、おっしゃったように、今までの税でやってるんでしょう。ならば、長期的なものかといったときに、例えば河川の堆積土砂の関係からでも、予算がずっと減ってあんなことになってきて、さあどうするの、ということになっているようなことではだめなんだというふうに思います。そんなところから言われても、わかるんですけれども、私は井ノ口参考人がおっしゃったことにしっかり共感するんです。前に法人税の超過課税があって、これも見直しをやりながらやっていこうというふうな話ですけれども、私ども議員の中からもというか、本会議やいろいろな形の中で、このあり方はどうなんやと。スポーツの推進も、当然、中小企業への支援、経済対策ということもありますけれども、一回その見直しをすることだって、この厳しい時代だからこそ余計にやったっていいんだろうという提案をしても、変わってこないというところがあります。検証したのか検証してないのかは、私どものチェックが悪いのか、いろいろなことがあるんだと思いますけど。そんな中で、特に私の選挙区では、川越町、朝日町、もう少し行くと木曽岬町なんていうのは何もないわけですよね。そこへ行くのに、使うほうは、例えばそこにそんな企業の方がみえれば、その方はあれできるけれども、使うほうではなく収入として考えたときにどれだけ理解をいただけるのかなと思うんですよね。その使途についてもいろいろな形で出てますし、そんな部分で、先ほど税収の使途は特定せえ、はっきりせよというふうに井ノ口参考人がおっしゃった。その中で、北勢の四日市商工会議所のことが出てきてますけれども、そのあたりのお話しをお聞かせいただきたいことと、時は経過して前へは進んできているんですけれども、これまでの法人税の超過課税で全然前に進んでこなかったことで、その制度自体がもっとという思いになられたときのことを、行政の経験があられることも含めた中で、ちょっとお話しいただけたらなと思います。

〇井ノ口参考人 せっかくの機会でございますので申し上げたいと思います。まず、使い方の話でございますけど、直接・間接という話もございましたし、北勢のほうで私が申し上げたような公園、道路というのは理解しにくいということを。
 河上参考人がおっしゃったように緑を豊かにということもございますけど、私の気持ちから申し上げれば、この話は、直接的に効果がわかる地域については、何ら問題ないと思うんですね。問題は、間接的にしか使いようが難しいねというところをどういうふうに工夫するかということだと思うんです。この話は山口参考人もおっしゃったように、教育とか、啓発とか、そういう問題がかなりあると思うんです。要するに地域が違って、自分たちのところでは直接的にそういうものがなく、間接的に利益を受けているんですよということは理屈としてわかるんですけれども、それを肌で感じることができるかというと、それはなかなか難しいと思うんですね。ですから、例えば北勢の方は、小学校とか、中学校でもいいと思うんですけど、そういうときに、一度南のほうの緑の豊かなところへ、社会見学でもいいと思うんですけど、そういう形で行っていただいて、そういうものがきちっと育つことによって、海を通じて県土全体がこういうふうになっているんだということを、小さいときから理解するというような教育を入れていただくとか、家庭に帰って家族の中でそういう話が出たりすることにより、この「きずな税」というものがあることによって、山があるところばかりじゃなく町のところでもそういうふうになってるんだなということで、それこそ県民のきずなが結ばれるような状態が生まれてくる、そういうものに使われるんだったら、県民の理解は十分得られると思うんです。ですから、こういうことを余り言うと失礼ですけど、無理無理にこれを、緑でどうだからこうなんだとかということじゃなく、少し長期的な視点で政策を打っていただければ非常にありがたいなと思います。
 それから、県民税の超過課税の話をさせていただきましたけれども、私もずっと行政をやっておりましたが、そういうものを取り巻く環境が変わっても、事業とか政策を動かすというのは、利益を受けている人がある限り、なかなか難しいと思うんですね。ですから、どうしてもそれを変えるということになると、やっぱり一定の決断みたいなものが要ると思うんです。その決断ができるかどうかということだと思いますので、5年なら5年の見直しのときには、今申し上げたような県民の環境とか森林とかに対する考え方、そういうものがどう変わったのかを、「一万人アンケート」とか、そういう項目の中にも入れていただいて、変わったのかどうかというようなことを諮りながら。これを10年、20年と続けても、目に見えて変わるということは多分なかなか難しいと思うんです。ですから、そういう意識が変わったのかどうかというようなことも含めて、そこで勇気を持って見直すと。で、どうしても必要なときはそれを延ばすというふうなことをしていただければ、県民の理解は得られるのではないかなというふうに思います。

〇舘委員 今のお話も、しっかりそうやなというふうに思います。
 もう一つ、理解の問題なんですけども。商工会議所は北から12ですよね。南まである中で、当然温度差があるんだと思いますけれど、そこら辺の状況って、どうなんですか。さっき四日市商工会議所のお話をしていただきましたけども、私も北のほうですので、今この話をしても「何」「何で今このときに税を取ってまでそんなことせなあかんの」と。さっきも言ったけど、それは税金でやっているべきことであって、アンケートをとれば、パブリックコメントもそうですけれども、いいほうのお話が多いかなと。そうですよね。ただ、ちゃんと使ってください、みたいな形の中で御理解いただいているんだなというふうには思いますけれども。先ほどもお話がありましたけれども、商工会議所の会員の皆さんのもう少し深いお話と、地域での差といいましょうか、その考え方はどんな形になっているのかを、わかってみえればお話しいただきたいと思います。

〇井ノ口参考人 私も商工会議所に来させてもらって、経済界のいろんな方とお話しするんですけれども、やっぱり本当に三重県って南北に長いなというのを、肌をもって感じます。例えば伊勢神宮の話とか東紀州の話を北のほうの経済人の方とすると、何か同じ三重県の話ではないような感覚なんですね。これは本当に正直そうなんです。そのぐらい、普段なじみがないというのを実感として感じます。もちろん、逆もあります。ですから、やっぱり人間の行動範囲はかなり限られるというふうに思うんですね。経済人の方は商売をしてみえるのでかなり動いてみえるはずなんですけれど、それでもやっぱりなかなか理解されない。北のほうの方は、意識が津ぐらいまでという感じなんですかね。それより南になるとなかなかこう、そんな感じでございます。

〇舘委員 どうも済みません、言いにくいことを言って。

〇藤田委員長 今のお話でございますけれども、税金に関してもそういう感覚だというふうに理解させていただいたらよろしいんでしょうか。

〇井ノ口参考人 正直申し上げて、税金もそうですし、それから県営の施設なんかもそうですね。北のほうの方は、税金は我々も納めるけど、何でも利益を受けるのは南の人なんやというのが正直なところですね。私も県にいるときはそれほど思わなかったですけども、経済界へ行きまして、本当にそういうふうに感じます。

〇藤田委員長 ほかにはございませんか。

〇水谷委員 今の話じゃないんですけども、私は北の端におりまして、正直なところ、議員になるまで南のことはほとんどわかっておりませんでしたし、今もまだ100%理解しているわけではないんですが、熊野のほうへもちょこちょこ行かせていただいておりまして、その状況というのはよくわかるようになったわけですけども、三重県市長会長としてじゃなく、熊野市長としての御意見を賜ったということで、熊野の市長としては本当に北に配慮されておるわけですが、当然こういった税を導入することによって、全てが全て平等にうまく配分されていくというのは非常に難しいんでしょうけども、我々としては、そこをうまく考えた中でやっていかなければならんというように思ってますし、また、北は南のほうにも元気になってほしいというような形で支援をしていく必要があるであろうし、そこが元気になれば、三重県全体が元気になるということにもなると思うんですよね。この税もやっぱりそういった視点で考えていかなければならんというように思っています。
 三重県商工会議所連合会専務理事の井ノ口参考人が、今現在のこの経済が疲弊した状況の中で、非常に厳しい状態が続いていると。特に四日市商工会議所は4万4000余社ですが、5884社が廃業などで脱退されたところが多いということで、我々の東員町は商工会ですけども、結構加入率が落ちています。そんな状況の中で、これを導入していかなければならないという状況もよく理解していただきたいし、理解されているというようにも思います。我々はそういった状況の中で、三重県の商工会、事業主、事業所に対し、どういうふうに雇用を確保されたり、これが元気になったりする方策を、県として真剣に考えていかなければならんというふうに思っています。先ほど要望もありましたように、こういった事業をやる中では、どうしても県内事業者が中心になってやっていただきたいということもありました。これは当然のことやと思ってますし、我々としてもやっていかなければならんというふうに思ってますけれども、先ほど舘委員からも質問がありましたけども、商工会議所全体としての雰囲気というのは先ほどお聞きしたんですが、正直なところ、どうなんですかと。井ノ口参考人としては渋々賛成のような感じだけども、我々としてもやっぱりこれはやっていかなければいかんということでございますので、そういったところをお聞きしたい。
 山口参考人からは、本当に長期的な見方でやっていかないかんと。それと、当然のことながら自立できる状態をつくっていかなければならんと。これはもう、どんなところでもそうですよね。やっぱり自立できるように持っていくにはどうしたらいいかというのが一番難しいところで、農業にしてもそうですし、漁業にしてもそうですし、全ての個人事業にしてもそうですよね。この辺を、研究員の立場としてどういうふうにしていったらいいのかというのがあればお聞かせ願いたいということで、よろしくお願いします。

〇井ノ口参考人 正直に申し上げてどうかということなんですけれども、小規模事業者の話をさせていただいたところからいうと、こういうものを創設しなくても森林が守られるのであれば、わざわざ創設する必要もございませんので、もちろんそういうことが一番望ましいというふうには正直思います。山口参考人が言われたように、既存の予算の中で整備していただけるということであれば、それに越したことはないわけですから。そういうことでございますけど、非常に厳しい中で特別に意を用いてそこへということであれば、やむを得ないなというふうなことでございます。
 税を納めることは当然しなきゃいけないので、納めることはそういうことですけれども、経済というのは常に動いておりますので、一方で税を納められるような経済活動ができるように、我々としてはむしろそういう支援をぜひお願いしたい。新年度予算についても中小企業対策への配慮をお願いしたいというのはそういう意味で、回していきたいということでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

〇藤田委員長 山口参考人にでございますけども、ここは林業政策を審議する委員会ではございませんので、簡潔にお願いいたしたいと思います。

〇山口参考人 そうですね、林業の専門というわけではありませんので、何とも言いがたい部分もあるんですけれども、実際、今よく話題にされているのが、ペレット化したりまきストーブを使ってもらえたりするように促進しようとか、また、先ほどからありますとおり学校で三重の木材を利用していこうとかという話がよくあります。考え方としては、例えば先ほどから言いましたように山間部と都市部の人で意識の差があるという話がされてましたし、内容に関しても山間部は身近に感じるけど、都市部は余りという話でしたが、それぞれの地域の役割があると思うんですよ。山間部の人は木をつくり出す役割があって、都市部の人は使うという役割があると思いますので、本来は三重県という地域の中で地産地消ができたらいいと思うんですね。ですから、三重県の人が三重の木材を使って家を建てたり学校を建てたりして、三重県の木材だけ価格がどんどん上がっていけばいいと思うんですけど、実際は外国の資材を使ったりほかの県の木材を使ったりしているがために、林業が非常に圧迫されているわけじゃないですか。ですから、先ほどから言ったとおり、例えば教育という部分でも、当たり前に地域のものを使うような人材ができればいい話で、それぞれの役割があるわけですから、今回、導入をもしされるのであれば、これを機に、三重県のものは三重県で守っていこうというような、経済循環も含めてそういった考え方のほうを増やしていけたらいいのではないかというふうに思います。

〇水谷委員 委員長はああいうふうにおっしゃいましたけども、関連というのがありますので大丈夫ですか。本当に5年ごとの見直し、これはしっかりとやっていかなければならんと思ってますので。5年後、私はおるかおらんかわかりませんけども、しっかりとこの辺をやっていきますので、よろしく。

〇藤田委員長 ほかにはいかがですか。

          〔発言の声なし〕

〇藤田委員長 ほかになければ質疑を終了いたしますが、傍聴議員の方から御意見、御質問は何かございますか。

〇河上参考人 最初にちょっと時間が超過したので、1つだけつけ加えさせていただきたいんですけども。井ノ口参考人、それから山口参考人の言ったこととつながるんですが、ちょっとお願いなんですけども。実は市町の連携、協力というのは、いろんな分野で行われているようで、案外進んでないんですね。東紀州の場合は以前から県に先頭を切っていただいてますので、比較的連携、協力が密になってますけども、特にさっき言った南北の関係でいうと、正直言って全くつながりがないわけです。四日市とか鈴鹿とか、北勢地区の市長方はよく存じ上げてますけれども、実際の行政間の連携ということになると余りないわけです。さっき言われたように緑の少ないところでの環境教育をどうしていくかとか、税収事業としてどういうことをやっていくかというときに、受け入れる側の緑の多い市町も潤うだけじゃいけませんので、当然負担をしなければいけませんけれども、そういう南北の連携とか、緑の大小による連携みたいなことを、この税の導入をきっかけにしてやっていただくことによって、「きずな税」以外でのつながりも深まってくるんじゃないかというふうに思っています。
 特に防災対策では、今、県に音頭をとっていただいて、県内の市町と県を含めた総合的な応援協定の仕組みの内部を詰めているところですけれども、防災に限らずいろんな意味で連携、協力を深めていくためには、この税の導入はある意味一つのきっかけになる可能性もありますので、そういう県としてのリーダーシップもぜひともお願いできればなと思います。よろしくお願いしたいと思います。

〇藤田委員長 
 ほかにないようでございますので、質疑を終了させていただきます。

          〔参考人 退室〕

    ③委員間討議   なし     

 

〔閉会の宣言〕

 

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。

総務地域連携常任委員長 藤田 宜三

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