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平成25年8月6日 新エネルギー等活用調査特別委員会 会議録 

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新エネルギー等活用調査特別委員会

(開 会 中)

 

開催年月日     平成25年8月6日(火) 自 午前10時0分~至 午前11時15分

会  議  室     202委員会室

出 席 委 員     9名

             委 員 長    服部 富男

             副委員長     藤根 正典

             委    員    東    豊

             委    員    吉川   新

             委    員    杉本 熊野

             委    員    小林 正人

             委    員    後藤 健一

             委    員    永田 正巳

             委    員    西場 信行

欠 席 委 員     なし

出席説明員     なし

参  考  人     1名

             中京大学 総合政策学部 教授 並河 良一 氏

委員会書記

             議  事  課  主査  藤堂 恵生

             企画法務課  主査  中西 宣之

傍 聴 議 員     1名

             中西   勇

県 政 記 者     3名

傍  聴  者     1名

調査事項

Ⅰ 新エネルギー等を活用した地域活性化、産業振興について

 1 参考人からの意見聴取

   中京大学 総合政策学部 教授 並河 良一 氏

Ⅱ その他

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

Ⅰ 新エネルギー等を活用した地域活性化、産業振興について

 1 参考人からの意見聴取

  (1)参考人意見陳述

〇服部委員長 それでは、参考人からの意見聴取を行います。
 参考人の方からは、特に、地域資源や地域特性を生かした新エネルギー等の導入促進の方策や、新エネルギー等を活用した地域活性化、産業振興について、地方自治体、事業者、県民に期待されること、また地方自治体の新エネルギー政策のあり方などについて、御意見をお聞かせいただければと存じます。
 では、並河様、お願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

〇並河参考人 それでは、パワーポイントで御説明いたします。
 まず最初に、地域政策の分類ということの中から、新エネルギーの位置づけを御説明いたします。
 地域政策は、社会政策と産業政策に区分できます。社会政策というのはハンディを負った地域だとか人に対する支援ということです。特徴としては、福祉的な要素があって採算はとれるわけがありません。したがって、予算を永続的に計上する、注ぎ続けるということになります。
 一方、産業政策というのは企業とか産業を支援する。最終的には企業とか産業の自立を促す、将来はその産業から富が還元される。したがって、予算計上は原則として一時的ということになります。新エネルギー政策は産業政策の中に位置づけられるというふうに解しております。
 社会政策の予算はこれから増大していきます。社会政策の中から社会政策の予算というのは生み出されないので、産業政策の中で生み出された富を社会政策の中に入れる、こういうふうになります。
 地域の新エネルギー政策は産業政策と申し上げましたけども、主たる目的というのは大きく分けると国と地域とがございます。どちらも共通の目的ですけれども、国はエネルギーの安定供給というのが非常に強い、大きな動機になっております。地域においては、エネルギー、日本全体の安定供給ということよりは、地域の環境とか振興、それから、産業の振興というところに重きが置かれるんだと私は考えております。災害時のエネルギーとか教育、啓蒙ということも含めてが、地域のエネルギー政策の目的ではないかと思っております。
 具体的には、新エネルギーにつきましては3つに分類されるというふうに思っております。1つは導入促進、家庭でのエネルギーの生産とか需要を増やす。それからエネルギー事業、これはメガソーラー等に代表されるエネルギーの供給、それから関連産業の育成等々に分類されるというふうに理解しております。
 これはよくある資料でございますけれども、日本の一次エネルギーの供給構造です。約4%が一次エネルギー、総エネルギーの中の4%が新エネルギー、地熱等々で供給されているということでございます。極めて小さな値でございます。
 これはエネルギーの自給率ですけれども、4.4%、その占める中には水力だとか廃棄物等を含んでおりますので、いわゆる典型的な新エネルギーというのは極めて少ないというのが現状です。
 過去に石油ショック、あるいは石油価格が急騰したというのが5回ございます。そのたびに新エネルギーの開発というのが大きく叫ばれてきました。しかし、この資料で示すとおり、ほとんど新エネルギーのシェアというのは伸びていないのが現状です。したがって、1974年のサンシャイン計画から始まって、ありとあらゆる施策を講じられたけども、余り量としては伸びていないのが現状です。したがって、今後の国の政策次第ですけども、新エネルギーというのが量として本当に確保できるかというと、私はやや懐疑的ではあります。したがって、新エネルギーは、特に地域の場合は量というよりは地域の振興との関係で考えるべきだというふうに思っております。
 じゃ新エネルギーの開発、特に中でも事業として実施される場合、どういう効果があるかということをまとめたのがこれでございます。まず操業前の効果というのは、例えば太陽光発電の用地が買収される、そのお金が地域に落ちる。建設工事が地域に落ちる、資材が発注される。
 それから、直接効果としては、事業が軌道に乗ったときには雇用が生み出される。それから、原材料や機材が納入される。補修事業、それから事業所内での作業、それから輸送というのは、できた材料を搬入する等々の事業がというのは、これは一般的な効果でございます。
 そのほかに間接効果としては、人が増えれば商店での購買、サービス業での利用、交通機関の利用、例えばタクシーとかバスの利用、こうようなものも含めて間接効果がある。さらに、この事業がうまくいけば自治体に対して税収が上がる。社会的効果としては、人口増加、あるいは行事への協力等々といった社会貢献も考えられます。
 じゃ新エネルギーの事業をする場合、2つの考え方が私はあると思っております。これは多くの産業に適用できる考え方です。1つは内発的事業、1つは外発的事業。外発的事業というのは企業誘致のような形です。内発的というのは、地域の資源を利用した地域に根差した新エネルギーの事業ということになります。これは地域のリンケージが非常に重視されます。具体的に言えば地域に立地する、当然そういうことです。それから、地域の資源を利用する。地域によって所有される、第三セクターとか自治体等々ですね。それから、地域によって経営される、経営者も地域の人である。それから、労働力も地域である。その結果、利益は地域に還元される。これが典型的な内発的事業になります。
 他方、外発的事業というのは企業誘致型でございまして、別に特定の地域を考えずに一番最適の地域に立地する、それは本県ではない可能性もある。最適な資源を使う、例えば地元の間伐材でなくても、安いものがあればよそから持ってくることになります。それから、出資企業、これは県外の人である可能性があります。それから、経営者はプロの企業家によって経営される。労働力も現地、安ければ外から持ってくるということがあります。それから、利益は出資者、企業にということになります。したがって、内発的事業のほうが基本的には地域に対する貢献は大きいというふうになります。
 ただし、内発的事業というのは大きな弱点があります。それはコストが高くなるということ、具体的には、最適でない地域であってもこの地域に立地するんだというところから出発しているということがあります。もう一つは、最適でない資源、例えば地域以外の間伐材を使う、地域の間伐材のほうが高ければそれはコストとしては高くなるということになります。それから、そういうものがなければ稼働率が落ちるというふうになります。また、経営の限界というのは、営業力だとか技術力等々が、地元のものだけを使うとやはり限界があるということになります。それから、資金の負担力、増設をする、それから償却後に新たに設備を更新するというときの資金力にも限界があります。要するに内発的事業というのは、事業は地域の振興の手段になっていて、事業の企業性よりも地域の振興の効果が重視されることになります。したがって、事業の永続性に懸念があるということが言えます。
 一方、外発的事業については、基本的には雇用としての効果しか余り期待できない。波及効果は少ないということになります。特に低条件、条件の悪い地域には事業そのものが来てくれないということになります。場合によっては、もうからなければ安易な撤退ということもあり得ます。したがって、内発的、外発的、いずれも弱点を持っている。ただ、内発的というのが推奨されますけども、コストとか事業性から見ると、やや弱点を持っているのが現実です。
 ちょっと例として、個別にメガソーラーの例題、これはあくまでも架空の事例ということで御説明いたします。例えば小規模なメガソーラーということでございます。用地が1万坪で出力2メガワット、パネル1万枚、こういうような仮定をいたします。それから、事業主体は第三セクターで自治体も出資しているということです。そういう前提で考えてみます。費用負担については初期費用が8億円で借入金が例えば6億円で、自治体の債務保証がない、自治体の出資が2億円、こういう前提で考えてみます。用地については、よくあるケースですけども、土地開発公社の工業用地の売れ残りの用地を使うと考えます。何のためにこれをやるかというと、通常売れ残り用地を抱えているところにおいては累積債務があるということになります。これを何とか解消したいというのが、よくある小型のメガソーラーの前提です。これはあくまでも内発型、地域に立地しております。地域の資源を使う、地域によって所有される、事業主体が第三セクター、それから地域によって経営される、地域の労働力を使う、利益は地域に還元、こういうことになりますから典型的な内発型の事業になります。
 この場合、金額をちょっと追加いたしておりますが、例えば発電量は年間200万キロワットぐらいが出ます。売電価格が、買い取り制度だと40円パー・キロワット・アワー、事業ベースですと中部電力から我々が買ってる値段が約20円程度ですので、それよりも安くなければならないということになります。売り上げは、補助ベースですと8000万円、現実の事業ベースですと4000万円以下でなければならないというふうになります。
 支出を単純に試算してみますと、用地代を仮に坪1000円と仮定しますと1000万円かかる。返済を20年としますと、6億円を20年で割ると年間3000万円ずつぐらいは返さなきゃいかん。それから、金利を仮に3%といたしますと1000万円弱かかります。保守管理修繕費等を3%と仮に試算いたしますと3000万円、これをトータルしますとこれで8000万円を上回るということになります。そのほかに利益が出れば諸税、それから配当ということになるわけでございます。用地代を減らそうと思えば減らせるんですが、そうするとこの本来の目的からはずれてしまう。用地代を減らせば当然配当が増える。ですから、配当と用地代というのはトレードオフの関係になるというふうになります。
 これをもう一度、最初の地域振興の効果のところに戻って当てはめて考えてみますと、例えばこの場合は、機材は地元からとるかどうか、架台というのは多分地元で調達できる。しかし、パネルを例えば海外から輸入したものってなってくると、この部分については地元にお金が落ちないというふうになります。工事は通常地元で行われる。これは、地元にとっての影響は大きいと思います。直接効果として用地代は明らかにこれは大きな効果があります。ただし、小型のメガソーラーについていえば雇用はほとんど発生しません。まさにメンテナンスフリーというのが、このメガソーラーの最大の目的です。原材料は太陽エネルギーですから、これも発生しない。それから、壊れた機材の購入等々につきましては、やっぱりパネルをどこから持ってきているかによって決まってきます。普通の工場のような外注費というのはほとんど発生しないというのが現実です。それから、人が増えないので商店街の売り上げといった間接効果も余り期待できませんし、全国に大型のメガソーラーはたくさんございますので、観光効果というのも余り期待できないということになります。
 自治体への効果というのは、税収、これは利益が上がれば税収が上がる。あるいは配当、先ほどの自治体も出資してますので、配当がある。これは利益が上がれば配当がある。こういう効果は明らかにございます。社会的効果は余りない。ただ、社会貢献としていろんな地域の事業に対するバックアップ等々は期待できるということになります。自治体への効果は、トータルでもうかっている場合だけですけど、もしもうかっていないと、これは不採算の場合には大きな問題が発生します。助成が終了すると、すなわち事業が終了するというふうになります。撤収費用も発生してまいります。累積赤字を処理する必要があります。したがって、地域振興ということで税金が上がってきておったとしても、それが最終的にはまた税金が出ていくことになります。
 したがって、最も重要なのは採算がとれるというのが重要だと思います。小型メガソーラーのこの例の場合ですと、採算がとれなければほとんどほかの効果は余り期待できないということになります。繰り返しますけど、用地費をたくさんとれば配当が減るということになります。用地費を少なくすれば配当が増える。この両者がトレードオフの関係になるということになります。もう一回繰り返しますけど、こういう新エネルギーというのはメンテナンスが余り要らないというのが最大の特徴ということになります。
 じゃ新エネルギーについて、事業について行政としてどういうふうにバックアップしていくかということを考えた場合に、基本的な考え方は、事業で利益を出すというのであれば、原則として支援はしてはならないというのが一般的な原則です。これは、1つの企業に対して助成をすると不公平になる、こういう考え方があります。もう一つは、国際的なWTOのルールからいえば、個別の企業とか事業に対して助成するというのは、基本的にはいろんな意味でできないというのが大原則と、これはあくまで原則です、ただし、そのほかの効果がある場合には行政は支援をすることができる。いわゆるこの新エネルギーの場合に一番大きなことは外部性ということになります。
 右のほうに外部性というのを説明してございます。典型的には負の外部性を示します。鉄道事業の場合には、例えば鉄道が敷設されると、地域の周辺の地価が上がると周辺の人は利益を得ることができます。しかし、その利益を得たものを鉄道事業に対して一切支払いはしていない、すなわち経済活動が他の者に影響を与えているけれども、その対価の支払いがないというのが外部性です。例えば発明をすると、それをそのまま他の人が利用してしまうと、巨額の発明のための開発資金を負担した人はとられてしまうということになります。そうすると、開発した人が不利益をこうむる。それをとってしまった、利用する人が利益を得てしまう。経済活動が他者に影響、プラスのいい影響を与えているんですけれども、開発した人に対してはお金が戻ってこない。したがって、特許を付与する。こちらの場合には料金がきちっと採算が合うようにする。こういう行政が入ってくる役割があります。
 下へ飛びまして、環境汚染、駐車場のない店舗、この場合には負の悪い影響を周りに与える。しかし、その間の支払いは何もない。例えば駐車場のないコンビニがあると道路に駐車をする。そうすると、そのほうがコンビニの店主にとっては都合がいいわけですから、決して何も起こらない。市場経済に任せておいても、コンビニの店主は特に例えば誰かに対して支払いをしない。駐車場をただでつくったようなものであるということになります。したがって、こういうようなものは放置しておくと全く何も起こらない。したがって、行政が介入してくるという根拠になるわけでございます。
 新エネルギーというのは、この中でいいますと正の外部性、非常に環境にとっていい等々の効果がある。したがって、行政が支援するということになります。これが、いわゆる新エネルギーに対して助成するという一つの考え方の根拠になるわけでございます。
 農業についても同じようでございまして、農業の多面的な機能がある。例えば洪水を防ぐとか、それから二酸化炭素を吸収する、こういうような機能があるから助成する、こういう考え方であるので、農業という産業に対して助成するという根拠になるかと思います。したがって、新エネルギーについても基本的には同じ考え方になります。ただし、新エネルギーについてはずっと助成し続けるということは基本的にはできないと思います。したがって、何らかの形でこれ自身がペイしてこないといけない、黒字にならなければならないと思います。当初についてのみ、こういう考え方で支援できるということになるかと思います。
 具体的には、新エネルギーの事業の支援の方法というのは幾つかありますけれども、1つはコストに介入、これは典型的な補助金ですね。最初の初期費用について補助をする等々です。それから、2つ目が、現在の買い取り制度に見られる、価格に介入する。高い値段をつけておけば、それで事業は成り立つということになります。それから、もう一つは需要の喚起、需要者への補助、それからコストの低下の起爆剤、これは例えばエコポイントというのはまさにこの方法です。それから、成功事業例を見せる。これはモデル事業、これは多くの場合は、多くの新エネルギー事業で自治体が最初にやるケースにはこれを使われるということです。これらは、しかしいずれも一時的な予算でしかあり得ない。
 こちら側の仕組みを変える、規制緩和というのは、これはもう一つの方法になります。さらに、最も大事なのは、いずれ独立してもらわなければ困るということがあります。民間活力を利用するというのは最も大事な仕組み、要するに努力すればもうかるというのが一番典型的な産業政策です。行政の予算を使わないというのが大事。ただ、この方法というのは、まだ行政手法としては開発されていないのが現実です。努力すればもうかる仕組みをつくって、しかも行政予算を使わないというのは、なかなかこういう方法はないんですね。
 ただ、1つあるのは炭素税とか、あるいは二酸化炭素取引というのは、実は先ほどの負の外部性を持つものについてはこういう方法が開発されている。例えば炭素税をかけると二酸化炭素をたくさん出す事業は損をする。逆に言えば、二酸化炭素をできるだけ少なくすればするだけ税金が少なくなる、こういう仕組みを導入したのがいわゆる炭素税、あるいは二酸化炭素の取引ということになります。買い取り制度はそれにやや近い考え方ですけれども、要するに42円なら40円で買ってもらえる。ただし、もっともっとコストダウンをすればその分利益が上がるということで、努力すればもうかるという仕組みを一部導入していることになる。
 ただし、問題は、これは行政予算を使っている、こちらのほうは行政予算を使っていない。税金を高くすることによって、逆に行政のほうに収入がある、その収入をまた環境政策に使う、こういう考え方ででき上がっているというふうに思っております。したがって、まだ未開発の行政手法であるというのが現実です。炭素税という考え方もそれほど古い考え方ではなくて、最近開発された考え方、したがって未開発の行政手法というのは何かあるんじゃないかと思っております。ただ、私自身は、今アイデアを持っているわけじゃございません。最終的には、自由な経済活動とか自由な発想とか努力、こういうようなものが結果として新エネルギー対策にプラスの行政効果を持つという、そういう仕組みが開発されるべきだと思っております。
 民間主導の新エネルギー対策として、これもちょっと私の頭で勝手に考えたのですと、一番いいのは場の形成、企業が本当に何が必要かがわかるような情報交換とかネットワークが必要だということが1点。
 それから、例えばユーザーの組織化、新エネルギーを導入したユーザーが組織化されていると、これは需要化、将来、新エネルギーを導入する可能性のある人だと、こういうものを組織化するというのも一つの方法。
 それから、場合によったら、新エネルギーの事業会社の設立、例えばメガソーラーをするというときに、何かそのたびに組織を設立するんではなくて、現業型の単に官庁型とかシンクタンクのような事務処理をするんではなくて、すぐに何か事ができる。極端な言い方をすると、消防とか警察とか、現実に自ら動くというそういう組織があったらいいんではないかなと私は思っております。あるいは研究機関ということもあるかと思います。
 それから、最近はやりのソーシャルビジネス、行政上の問題、社会上の問題を解決するための企業を設立する、こういうような考え方もあるかと思います。
 それから、エネルギー大学、長浜バイオ大学というのが滋賀県にございますけれども、現実にはなくてもこういうようなものも一つの端緒になるかもわからないと思っております。これらをあわせまして、企業がいろんなアイデアだとか方向とかそういうものを、需要がどこにあるかというのを把握できるというのが、先ほどの民間活力を利用するという方向の一つではないかと思っております。
 次に、最後に、本県はメタンハイドレートというのが非常にブームというか話題になっているので、一言ふれておきたいと思います。
 賦存量は、諸説ありますが膨大である。日本にもたくさんございます。世界中たくさんあるということがございます。それから、これは天然ガス成分でありまして、したがって環境にも比較的よいということです。ただ、将来のエネルギーであって、現在は資源の調査中であり、回収技術の開発中であるということです。ただ、回収技術がそれほど短期間に開発できるかというのは、ちょっとまだわかりません。それから、経済的に回収できるかというのは大きな問題です。それから、パイプライン、これは1カ所に海から持ってくると、大きなパイプラインで他の地域へ持っていくことになりますが、そんなことが、現実日本の社会で巨大パイプラインを敷設できるかどうかというのは、やや議論があるかと思います。それから、最も大事なのは世界との競争ということになります。
 追加の資料ですが、これは石炭、日本はかつて石炭を自給しておりました。5000万トンつくっておりました。ところが日本の需要全体は伸びています。しかし、日本の石炭は崩壊した。なぜかというと、これが石炭の値段、国産の石炭とこれは輸入炭ですけども、これは要するに海外のものに比べて国産の石炭が非常に高かった。石炭という資源があるにもかかわらず、全て日本の石炭は使われなくて、石炭産業は崩壊した。需要が伸びている、しかも原料はある、賦存のエネルギーはある、にもかかわらずなくなったということです。したがって、世界との競争にコストで負ければ、基本的にはメタンハイドレートであっても、日本近辺にあっても多分使われないということになります。
 天然ガスというのは、基本的には石油に代替する、原子力に代替するということで伸びています。もう一つは、非常にいいものだ、ほとんどは中東に余り依存していないということで評価されています。ただ、用途は電力とガスだけです。やっぱり値段が高い、相対的に高いということがあります。これが例ですが、相対的に高い。例えば現在は特に米国のシェールガスの革命の影響もありまして、米国の天然ガスは2.7ドル・パー・ミリオンBTU、日本の天然ガスは16ドル、17ドル、なぜかというと基本的には日本はエネルギーがない。したがって、何とか確保しなきゃいけない。したがって、固定的な、とにかく調達するためにはいろんな条件をのむ、長期契約をする。少々条件が変わっても同じような値段で買わなきゃいけない、しかも石油の価格と連動しているというのをのんでいるというのが現状です。かつ国際市場がないということです。したがって、高いものを買わざるを得ないということになります。
 ということで、電力、ガス以外は原料として使われることはほとんどないというのが現実。メタンハイドレートというのは、私は天然ガス資源として物すごく大きな可能性を秘めていると思っております。国内で開発されれば、エネルギーの自給率が極端に上がってしまうということになります。それから、エネルギーの価格が非常に低下する、先ほどの16ドルじゃなくもっと下がってしまう可能性があります。その結果として、新たなエネルギー産業、石油企業だとか石炭とか、そういうものにかわる新たなエネルギー産業ができる可能性があるということがあります。それから、当然それを開発するためのエンジニアリング産業も発展することになります。
 それから、エネルギーの値段が下がれば、日本はエネルギーの値段が高い、海外に依存しているということで、例えば基礎産業、石油化学とか鉄鋼はもうほとんどここ数十年間生産の伸びがない。しかし、安い値段で入ってくる、国内で調達できればこういった産業ができると思っております。それから、結果として、今石油の輸入に15兆円使っておりますけれども、その分を国内でエネルギーを調達できれば大幅な貿易黒字になるということで、全然変わってしまう可能性があります。それから、C1、メタンというものを出発点としたエネルギー開発ができる、ということは新たな産業体系とか技術体系ができる可能性があります。
 それから、アメリカのシェールガス革命というのは、エネルギーの値段が一気に下がったということで、この辺のことが大きく変わりつつあるというのがシェールガス革命。同じようにメタンハイドレート革命というのがあり得るのかもしれないと思っております。
 じゃ地域でこれがどういう影響があるかといいますと、研究開発機能の集積ということがあり得ます。これは地域が取り組むべき課題かもわからない。集積をつくるんであれば、こういうようなものがスタートポイントになると思っております。
 それから、もう一つは、海洋でとれますので、これを液化する、あるいはパイプラインで陸上、陸揚げしていく、ここにいろんな集積が発生します。例えば貯蔵施設群であるとか、陸揚げのための施設、それからエネルギー産業、この新エネルギー産業の新たな産業がここに何か基地を設ける。さらに、その下流として、現在のエチレンからを出発点としたコンビナート群とは違うコンビナート群ができるということになる。さらに、その川下に化学産業ができる、こういう産業群が発生する可能性があります。
 このC1というのは、石油ショックの後に、当時の通商産業省が大型プロジェクトで約10年間、七、八年開発をして、技術は開発した、しかし、石油の値段が下がったので技術はお蔵入りになっている、こういうものがございます。これが復活する可能性があるというふうに思っております。
 最後に、メタンハイドレートというのは地域にとって大きな影響があるんですけど、必ず地域間競争になります。三重県の沖にもありますが、静岡の沖にもある。日本海側にもあるということになります。したがって、どういうスタイルになるのか、例えばつくばのように1カ所に陸揚げ基地ができるのか。テクノポリス等々のように全国にいろんな基地が分散するのかということがあります。どっちのスタイルになるかは、私はわかりません。ただ、国内で巨大な幹線のパイプラインができない可能性があります。その場合には、やっぱり分散型になる可能性があるということになります。
 あと、メタンハイドレートについては、地域が取り組むときにリスクがあります。そういう時代が来るかどうか、コストが合うかどうか、日本に優位性があるか、さっきの石炭の例です。それから、三重県に優位性があるかどうかというのが問題になるかと思います。先行的な何をすべきかというと、私は研究開発を進める、あるいはC1を出発点としたコンビナートのイメージを構築する、それから関係企業、これらを取り組むであろう、新たな産業になり得るであろうエネルギー関係企業とのネットワークを構築していくというのが、大きな第一歩であるべきかと思っております。
 最後に、もう一回まとめさせていただきますけども、地域資源や特性を利用した導入促進については、内発的な政策に特化し過ぎないほうがいい。でないと、コストが合わなくなるということです。ここを考えております。それから、産業振興につきましては、赤字を負わない、短期的な土木事業と考えずにトータルで採算がとれて、それが自治体に還流する、地域に還流する、そういう方法が大事かと思っております。
 さらに、自治体としての新エネルギーのあり方については、直轄事業というのは非常にリスクがあります。赤字になったときには、それまでの地域振興のために得たお金が全て出ていってしまうことになります。もう一つは、まだ考え方は開発されていないけれども、民間企業の活用の方法について考えていかなきゃいかんということがあります。
 最後に、メタンハイドレートにつきましては、将来の主流のエネルギーの可能性がある。しかも経済とか産業に与える影響は極めて大きいと思っております。しかし、リスクもあります。コストというリスクと技術というリスクがあります。それから、当然これが成り立ったとしても、三重県が他の県に先駆けて、あるいは日本の中で最も優位な地位を占めるかどうかについては、競争があるということというふうに考えております。
 以上でございます。

  (2)参考人への質疑

〇服部委員長 どうも並河先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見を受けまして、委員の皆様から御質問等をお願いいたします。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言をしていただき、また委員に対しては質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、御質疑があればお願いいたします。いかがでしょうか。

〇吉川委員 先生のお話を伺いまして、私自身は、新エネは地球の温暖化も含めて、あるいは経済的な意味で今ハンディがあるのは確かなんですけども、社会政策という意味、福祉的というようなイメージの社会政策じゃなくて、もっと進めやなあかんという考えでおります。今、先生が新エネのパーセントが4%弱で、5回のオイルショックといいますか、その契機にもシェアは上がらんだという報告があるんですが、実はドイツが、御承知のようにソーラーパネル、日本の生産量が一番シェアも高かったのが、ドイツの、今の日本の固定価格買い取り制度に相当する制度の導入で一気に逆転し、普及もしたという事実がございます。
 そういった中で、今日、御報告で4%強ですといいながら、震災以後も、去年もソーラーの普及なり、風力のほうはまだ立ち上がりが余り見えてませんけども、急激に増えてきておるんじゃないかと思ってます。そういった意味でいくとやっぱり政策誘導、コストの負担という、これは国民が負担することになるんで、ちょっと先生のお話、今までのトレンドというか資本の論理という意味では正しい分析だと思うんですが、今の地球が置かれておる状況からいくと、新たな行政手法というかそういう表現をされてましたですけども、そちらが要るんじゃないかなと私は思っておるんです。その辺、先生はどのように。それで、実際、今回の固定価格買い取りでどれぐらい増えたんか、ちょっと新しいデータを持ってませんので、その辺も含めてお教えいただきたいと思います。

〇並河参考人 私、申し上げてるのは、価値がある、新エネルギーの開発というのはあくまで価値があるということ。したがって、先ほど申し上げた正の外部性があるので、行政としてお金を負担する、国民としてお金を負担するのは何の問題もないと思っております。ただ、お金を負担し続けると、いつまで続けるかというのが最大の問題だと思うんですが、高い値段なら高い値段を設定すれば、それは既得権になるということが私、一番心配だと思っております。お金さえ注ぎ続ければ、コストがなくても注ぎ続ければ必ず増えていくことは可能なんです。幾らでも増やすことは可能だと思っています。それを続けている限りは、本来は富を生み出すべき産業にお金を注ぎ続けていると、それは社会政策に回るお金がなくなっていくんじゃないのかというのが、私の最大の懸念です。
 したがって、いずれ立ち上がらなきゃいけない。いずれコストが合うような産業でなければならないんじゃないかというのが、私の考え方です。現実にドイツでもその制度によって成り立っています。ただ、ドイツの場合は、やはりあれだけの規模になってくると、企業として成り立たなければ膨大な予算を注ぎ続ける。したがって、安い太陽パネルを調達しよう、で、何が起こっているかというと、ヨーロッパのパネルじゃなくて、例えば中国といったように非常に安いものが導入されている。それは、そうしてみると地域の振興というのは、実は効果がなくなってくる。ただ、エネルギーとしての産業では成り立つ、そういうトレードオフの関係も出てくるのが現実としてある。そういうことをドイツも念頭に置いて申し上げたわけでございます。
 農業と同じように、社会に対する効果があればお金を注いでいいというんであれば、その考え方をとるというコンセンサスがあれば、それはそれでずっとそれでもいいんですが、私はいずれ独立しなきゃいかん、そのためには民間企業のアイデアで企業が成り立つという考え方に立たなければならない、こういうふうに思っております。

〇吉川委員 今回の固定買い取り制度で、どれぐらい増えたかのあたりはどうですか。

〇並河参考人 ちょっと具体的な今、データは持っておりません。私自身、持っておりませんので申しわけございません。

〇吉川委員 先生と議論する気はないんですけども、正直言いまして、今回の制度、ドイツでもそうなんですが、国際的に、今、安いところから調達したいというのは当然そういう動きになるんだろうと思うんですけど、片やソーラーパネルの効率の話とコストはもう急激に下がってます。これは何でしたんかと、従前の話やったら、そこまで短期間に進まなかったんじゃないかなと、こういうふうな気がしてますんで、そういった中で行政が、いつまでも42円とか、あの制度も毎年改定されますから、先生が御懸念された話も緩和されるんかなとは思っておるんですが。もう一つはコストの考え方をですね、正直言いまして、普通火力発電所でも何でも、耐用年数期間で金利を含めて計算するんですけども、このソーラーの場合は今のところ、計画期間20年とかという話なんですが、それより後ろ、パネルの場合、モールやとかいろんな意味で耐用年数はそんなもんかもわかりませんが、石そのものはもっとまだ発電するんじゃないかと私は思っておるんです。実際の耐用は。本来そういった視点でいくと、もうちょっと長い計算期間で、資金繰りの話は別ですけども、そんな視点も含めての行政課題というか、していかなあかんかなと思っておるんですが、その辺はどのようにお考えですか。

〇並河参考人 おっしゃるとおり、大量生産をするという、促す効果があるんだと思うんですね。ですから、今回の買い取り制度は、とにかく大量生産をさせれば値段が下がっていく。それから、もう一つは、これによって事業者がたくさん参入してくる、参入してくるとその人たちが自分のアイデアでもっと違うやり方を考える、あるいはシステムを考える、あるいは研究開発をしてもっと安いものをつくりかえるということがあると思うんです。
 それから、耐用年数も、これは技術開発によって確かに伸びると思います。したがって、買い取り制度そのものを私は別に否定していないです。ただ、今の20円という中部電力から私どもが買っている値段より安くつくるとなると、15円ぐらいだと思うんですね。そこまでするにはかなり時間がかかるだろうということです。それがいつぐらいにできるのかな、いつまでそのお金を注ぎ続けるかということに対しては、国民のコンセンサスが要るんじゃないかと思っております。大量生産の効果というのはきっとプラスになる。

〇服部委員長 吉川委員、よろしいですか。

〇吉川委員 もう1点だけ。先ほど石炭の話が出まして、、炭酸ガスの話はちょっと置いて、日本{の競争力があれで、もう石炭産業をやめましたと、あるいは北海道なんかも随分海外炭とギャップを埋めるために補助金も出しておったと、そやけど耐えられやんだという話までは現実としてそうなんですが、先ほどのグラフで尻尾のほう、日本が潰れてから後、石炭価格のグラフがずっと上がってましたですね。あのとき耐えられとったら、日本の石炭産業はもったとお考えなんですか。その辺はどうなんですか。

〇並河参考人 石炭産業は、しかし、つい数年前でも100万トンとか数十万トンはつくってるんですね。したがって、完全に滅びたわけじゃない。ただ、産業としては完全に滅びた。そのために技術者もなければ大きな会社もない。それから、労働者ももう逸散してしまっているということで、もう対応ができなくなったんですね。ですから、おっしゃられたような形で産業を無理やり維持しておけば、ひょっとしたら今、成り立って、また国内炭というのができたかもわからないと思います。ですから、そういう可能性は大いにあったなと思っております。1つの産業を完全に滅ぼしてしまうというのは、産業構造全体にとって本当にプラスだったのかというのはあります。同じようなことで、アルミ精錬なんかも電気代が高いから滅びた。そういうのは産業として、政策としてやったときにはそれが正しかったのかどうかというのは、ちょっと私わからないんですけども、まあ議論はあると思います。

〇吉川委員 石炭の例をお聞きしましたのが、正直言って、炭酸ガスが多いという意味は何度も言いますが置きまして、日本も巨大な露天掘りやら何じゃらかんじゃらで、競争で穴掘るやつに負けると、いろんな意味で負けたと、原則でようけのところが負けたもんで寡占的にですね。石炭の賦存量は地球規模ではたくさんあるわけですから、そういった中で……

〇服部委員長 吉川委員に申し上げます。簡潔に質問をお願いいたします。

〇吉川委員 済みません。要するに需要が減ったんじゃなくて競争に負けてなくなったもんで、逆に国際価格が上がったんじゃないかなと思っておるもんで。そんなような仕組みで国内のエネルギーを賦存しておくという思考が要るんじゃないかなと私は思ってますんで、それを確認したかったためにお聞きいたしました。

〇服部委員長 並河参考人、よろしいですか。

〇並河参考人 石炭の値段が上がってるのは、石油の値段が上がっていて、相場としてその値段が上がっているということだと思っています。予測できなかったということもあると思います。

〇吉川委員 ありがとうございました。

〇服部委員長 よろしいですか。ほかにございませんか。

〇東委員 ありがとうございます。メタンハイドレートについてお尋ねをしたいと。資料の17ページのところで優位性の確保というところがあるんですね。地域間競争で優位性の確保と先行的な動き、研究開発とコンセプト構築、関係企業とのネットワークとかというところをお示しいただいたんですが、この部分で例えばメタンの将来性、世界で実証試験が成功して実用化に向かうまでの中で、日本的な立場はまず世界における優位性があるのかどうかですね。
 日本の企業が例えば日本近海以外で、カナダとか違うところへ進出されようとしておるのかどうかという部分も含めて、日本の優位性があるのかということが1つと、それから日本の中で三重県が、熊野灘といいますか南海トラフ上の部分ですが、埋蔵量がかなりあると言われるんですが、三重県の優位性があるのかどうかという部分です。仮に優位性を持つには、何か戦略的に県が自治体として取り組むべき課題があれば参考に聞きたいのと、3つ目は、関連企業、つまり大手商社とか、技術開発は国がやるとしまして、実際商業化しようと思うとどうしても企業の参入というのが欠かせないと思うんですが、大手企業の職種といいますか、動向ですね、現状のメタンに対する。情報があれば御教示いただきたいなと。関連企業というのはどういうところを指すのかということと、そういう企業はどういう状況におられるのかということ、ちょっと3つぐらいお尋ねしたいです。

〇並河参考人 日本の優位性があるかどうかということは、これはちょっとわからないですね。まさにまだ賦存量の開発調査とか、回収技術の状態ですから、これは私自身も今はちょっとわからないと思います。ただ、メタンの優位性というのはあると思います。というのは、メタンハイドレートの前にシェールガスが、これメタンですから、これが大量にアメリカで出てるということは、これを基礎とした技術体系なり産業体系ができていく可能性があります。そうすると、それが世界に伝搬していくという可能性はあると思っております。ですから、メタンの優位性は多分あるだろうなと思っております。
 それから、三重県の優位性ですけれども、これは三重県が今、優位性があるかというと、これは言えないかなと思ってます。というのは、三重県の優位性というのは、1つはコンビナートを持ってたということ、それから、そういう経験が他の県に比べれば、他の日本海側とか、あるいは静岡とかに比べれば大きいかなと思っております。それ以外のことは、特に優位性というのは、私はないと思っております。
 それから、関連企業とは何か。関連企業というのは、一番大きなのは、現在は例えば石油は石油企業が輸入してきている。それからJX日鉱等々。それから石炭は商社が入れている。天然ガスも商社が入れてますね。ところがメタンハイドレートは誰が入れるのかとなってくると、多分そこに多くの企業は、誰がやるんだろうと、俺がやろうかというのを考えてると思うんですね。
 当然、メタンハイドレートが主流になってきますと、石油会社はその分需要をとられるわけですから、石油会社は非常に大きな興味を持っている。どうなるかわからない。それから、商社もやはり非常に関心を示していると思います。あと、エンジニアリング企業といいますか、パイプラインをつくるだとか、回収をするためのそういうエンジニアリング、それからパイプライン企業というのは非常に興味を持っていると思います。それから、さらに持ってきた、陸揚げしたメタンを貯蔵しなきゃいかんと、その貯蔵施設、現在のLNGタンクのようなものをつくるかどうか、そういうような産業。それから、さらには海洋からパイプラインで持ってくるのか、一旦海洋でとった上で液化して持ってくるんであれば液化したものを運ぶための船舶、今のLNG船のようなものをつくる産業が関心を持つ。さらには、陸揚げした後コンビナートができるんであれば、化学メーカーはどういう維持体系でやろうか、従来はもう日本は競争力がないということで、ほとんどエチレン、ナフサの処理も増えていない。でも、この分野であれば一気に世界のシェアをとれるかもわからないと考えれば興味を持つということで、非常にたくさんの企業が関心を持つと思います。
 こうようなところを県としては、一応ネットワークを構築して、三重県が何か中心だねというふうな産業のネットワークをつくるのが非常にいいんじゃないかと思います。

〇東委員 ありがとうございました。それ以上先は独自でまた勉強させていただきたいなと思っています。

〇服部委員長 ほかにございませんか。

〇永田委員 1つ教えてほしいんですけども、エネルギーの自給率なんですが、4.4%でしょう、新エネが。今後どういうふうに、このまま日本の政策で進めていけば、どれぐらいまでということをちょっとわかれば、予想がつけば。

〇並河参考人 日本には基本的にはエネルギーが現在のところないので、増やすためには石炭を使うか、それともメタンハイドレートの時代が来るか、あるいは新エネルギーをつくる。これ以外方法はないんですね。石油はほぼ100%輸入、石炭もほぼ100%輸入、国内炭はコストが高い。それから、天然ガスも97%輸入。ですから、一次エネルギーが全部ないわけです。新エネルギーと石炭以外にはもう自給率を増やす方法がないというのが現状です。それは、いずれもコストにかかっていると思っております。

〇永田委員 そこで出てくんのが新エネルギーだと思うんです。全体のエネルギーからすれば、メガソーラーとか何とかいろいろやっていますけども、エネルギーの自給率からすれば、まだ量的にはパーセントは微々たるものじゃないかと私は思うんですが、今後そういう新エネルギーの開発をどんどん日本がやっていけば、どれぐらいまで伸ばせますでしょうかね。

〇並河参考人 コストを無視してお金を注ぎ続ければ、幾らでも新エネルギーによる自給率は増やすことができると思います。ただ、それがいつまでできるかということです。エネルギーが高くなると、結局電力の値段が上がるとアルミ産業が崩壊したり、というようなことが起こります。それから、石炭についていえば、かなりの期間にわたって日本の高い石炭を買わせるために電力会社とかに買わせとったんですけど、これはさすがに経済界から結局ノーだと言われたんですね。
 とにかくコストさえ無視すればできる。どこまでやるかというのは、まさにこれは国として決める問題だと思うんですね。

〇永田委員 新エネルギーの問題については、我が国としては引き続きやっていく問題だと私も思ってます。そこで出てくるのが、私はシェールガスだと思うんですね。このシェールガスが日本へ実際にエネルギーとして影響を与えるのは、大体何年ぐらいになるのかなと思うんですね。

〇並河参考人 既にアメリカは日本へ輸出しようということですから、遠からず影響を与えると思います。安いものが入ってくれば相対的にほかのエネルギーも下がってくるということになりますし、オーストラリア等々に対する交渉もできるので、シェールガスが国内にアメリカ等々から入り始めたら、あっという間に影響は出るんじゃないかと思っております。ただ、エネルギーの値段全体が下がると、新エネルギーには多分マイナスじゃないかなという気がいたします。

〇永田委員 もうこれで終わります。したがって、メタンハイドレートは今も御質問がありましたんですけど、ちょっと先になるかと。実際に商業化できるのは先になる。だからシェールガスの影響がどこまで出てきて、そのところのバランスが日本としてどういうふうに影響してくるかと、これは私は非常に大きな問題であろうと思うんです。シェールガスさえきちっとした供給圏ができりゃ、かなり日本経済に与える影響、エネルギーに与える影響というのは、物すごく大きくなると私は思うんですわ。そこら辺が、だから開発状況、アメリカの開発、あるいはまたほかのアメリカ以外の国でもシェールガスは随分ためてるところはあるわけですね。ソ連だってそうじゃないですかね。そういうのが実際のエネルギーで市場に出てくるのはいつか、いつごろかなということですわな、これ。

〇並河参考人 繰り返しですけども、短期的には値段ということですぐに反映すると思うんですが、量として他の石油に代替するかどうか、その時期について私はちょっとわかりかねるのが現状です。

〇永田委員 ありがとうございました。

〇服部委員長 最後の質問でございますけども、どなたか。

〇西場委員 三重県で新エネルギービジョンというのをつくりました。早くつくる予定だったんですけども、東北で原発事故が起こりまして、原発に頼っていこうという概念が、考え方が吹っ飛んでしもうたわけですな。それで、それから県も一生懸命努力してみんなでやってきて、石油換算で新エネルギーを10%にしようと、これが三重県の基本方針です。
 先ほど先生のいろいろ詳細な研究のお話を聞かせてもらいますと、とてもお金をかけて、コストを上げていけば可能だけれども、そんな不採算なものをやっていくのはなかなか難しいというようなお話をちょっと承ったので、この三重県がこれから平成32年に向かって10%に高めようとする方針について、改めて先生のちょっと御所見をお伺いしたいなというのが1つと、それからメタンハイドレート、将来の課題として非常に期待が膨らむわけでありますけれども、先ほどお話がありましたようにパイプラインとか貯蔵施設とか、これに関連する企業群が、三重県のどのあたりに立地していただくかなというのは物すごい関心事なんですがね。例えば尾鷲が適地だとか、企業の集積する四日市のほうに長いパイプラインを持ってきてそれも可能だとかですね。全く様子がわからないもんですから、そのあたりを少しコメントいただきたいですね。

〇並河参考人 10%は、先ほど私申し上げたように、お金を注ぎ続ければ可能です。ただ、他方、太陽エネルギー、太陽電池のパネルの値段が大幅に下がれば、これもまた可能になるかと思います。2030年といいますとかなり先ですので、決して不可能ではないかなと思っております。太陽電池の値段に依存すると思っております。
 それから、あと三重県のどのあたりにというのは、一般的にいえば、ある程度の産業集積があるところとか需要地に近いところというのが有利かと思いますけれども、逆に全く新たなコンセプトで産業部門をつくるというのであれば、そういう素地のないところでというのも可能性があると思っております。

〇西場委員 参考にさせてもらいます。

〇服部委員長 時間を少し延長させていただきまして、御質問等がございましたらお願いいたしたいんですが、いかがでしょうか。よろしいですか。

〇永田委員 なければ1点だけ、もう一遍。

〇服部委員長 簡潔にひとつ。

〇永田委員 ソーラーメーカーの経年変化といいましょうか、三重県も木曽岬干拓地でかかっているわけですが、国内のメーカーを優先していくわけですが、価格的な問題で例えば中国とか、そういうような場合は経年変化で非常に効率が悪いと、こういうことをよく聞くんですが、そこら辺はいかがでございますか。

〇並河参考人 中国の製品についてのデータは私は今持ってないんですけれども、確かに発電効率と、それから値段と、それから経年変化と、そのバランスだと思うんですね。ですから、ある程度バランスをとって対応することでリスクが減るということだと思っております。今のコストさえ安ければいいというんであれば中国製になりますし、そのほかのいろんなことを考えればベストミックスというのを考えるということかと思います。これは、それぞれの太陽光発電の事業所におけるコストとかリスクの評価の仕方によって変わってくるんだと思っております。

〇永田委員 ありがとうございました。

〇服部委員長 よろしいですか、ほかにございませんか。最後の質問、よろしいですか。
 それでは、質問も今終わりましたので、これで質疑を終了させていただきたいと思います。
 この際、参考人に対し、委員会を代表いたしまして一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中を本委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。このたび頂戴をいたしました貴重な御意見は、今後、この本委員会での新エネルギー等を活用した地域活性化、産業振興についての県施策のあり方などの議論に反映をして役立たせていきたいと思いますので、どうぞまた改めて御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日は、まことにありがとうございました。
 それでは、以上で、参考人からの聞き取り調査を終わらせていただきます。

          (休  憩)

Ⅱ その他

 1 今後の委員会の進め方等について

〇服部委員長 次に、委員間討議を行います。
 委員間討議は、引き続き公開で行いますので、御留意の上、御発言願います。
 最初に、本日の聞き取り調査について、御意見のある方はお願いをいたします。

               〔発言の声なし〕

〇服部委員長 よろしいですか。

               〔「今後をどうするというのは、また後でありますんでしょう」の声あり〕

〇服部委員長 はい。
 それでは、次に、今後の委員会の進め方について御議論をいただきたいと存じます。
 今後の進め方といたしましては、県内外調査の実施や、さらに参考人を招致して意見聴取を行うことなどが考えられるかと存じますが、私としては、まずは県外調査を実施してはどうかと考えております。
 前回の委員会でも少し申し上げましたが、県外調査につきましては、メタンハイドレートについての最新の動向を調査するため、国の経済産業省や、海洋算出試験を行った独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構など、東京都近辺を中心として行程を組んではどうかと考えております。
 特別委員会の県外調査は1泊2日以内で実施できますので、メタンハイドレートだけに限らず、ほかにも新エネルギーを活用して地域活性化を行っている先進地などの調査を組み合わせたいと存じます。
 具体的な日程につきましては、後刻、日程調整をさせていただきたいと存じますが、時期につきましては、10月下旬から11月上旬の間あたりで実施することで、いかがでしょうか。

               〔「異議なし」の声あり〕

〇服部委員長 それでは、そのような日程の中で決定をさせていただきたいと思いますが、なお、特に調査内容について御希望がありましたら、御意見をお願いいたします。よろしいですか、何か調査内容で御希望がありましたら。

               〔「今、委員長が調査内容を言われたんやなかったっけ」の声あり〕

〇服部委員長 はい、それでよろしいですね。

〇永田委員 10月の末ですか。

〇服部委員長 はい、10月の下旬からですね。

〇永田委員 大体の例えばこの週だとか、そういうような提案をいただくとありがたいです。

〇服部委員長 それでは、日程は、私のほうで後刻、報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 なお、行程等、実施の詳細につきましては、正副委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。

               〔「異議なし」の声あり〕

〇服部委員長 御異議なしと認め、そのようにいたします。
 次に、県内調査について御協議をいただきたいと存じますが、本委員会の重点調査項目にも、新エネルギー等を活用した地域活性化を掲げております。実際に地域へ出向き、地域の声を聞くべきであると考えますが、調査先の候補について委員の皆様から御意見をいただきたいと存じます。
 なお、相手方との調整もありますので、この場で具体的に決定するのではなく、本日はあくまでも候補ということで御議論をいただきたいと存じますが、御意見のある方はお願いいたします。

               〔「委員長、副委員長にお任せ」の声あり〕

〇服部委員長 よろしいですか。
 それでは、行程案についても正副委員長で詳細に詰めさせていただいて、後日お示しをさせていただきたいと存じますので、よろしいでしょうか。

               〔「はい」の声あり〕

〇服部委員長 なお、県内調査の実施期間につきましては、場合によっては、県外調査と前後する可能性もありますので御了承願います。
 次に、次回の委員会でございますが、これまでの執行部からの聞き取り調査や、参考人からの聞き取り等、またこれから実施する県外調査等の調査結果を踏まえ、今後の委員会の進め方について委員間討議を行うために開催したいと存じます。
 委員会の開催日時につきましては、県外調査の実施後ということで、後日、日程調査をさせていただきたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。

               〔「異議なし」の声あり〕

〇服部委員長 よろしいですか。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 御協議いただく事項は以上でございますが、ほかに何かございませんか。よろしいですか。

               〔「なし」の声あり〕

〇服部委員長 なければ、以上で新エネルギー等活用調査特別委員会を閉会いたします。

 

〔閉会の宣言〕

 

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。

新エネルギー等活用調査特別委員長     

服部 富男

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