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平成25年11月8日 戦略企画雇用経済常任委員会 会議録 

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戦略企画雇用経済常任委員会

会 議 録

(開 会 中)

 

開催年月日     平成25年11月8日(金) 自 午後1時1分~至 午後2時23分

会  議  室     302委員会室

出 席 委 員     8名

             委 員 長   藤田 宜三

             副委員長    石田 成生

             委    員   下野 幸助

             委    員   今井 智広

             委    員   後藤 健一

             委    員   北川 裕之

             委    員   中森 博文

             委    員   中川 正美

欠 席 委 員     なし

出席説明員     出席をもとめず

参  考  人      1名

             三重大学社会連携特任教授  佐々木 宜彦 氏

委員会書記

             議  事  課  主幹          坂井   哲

             企画法務課  課長補佐兼班長  中西 正弥

傍 聴 議 員     2名

             稲垣 昭義

             舘   直人

県 政 記 者     1名

傍  聴  者     なし

調査事項

Ⅰ 常任委員会

 1 三重県中小企業振興条例(仮称)について

  (1)参考人からの意見聴取

 

【会議の経過とその結果】

 

〔開会の宣言〕

 

Ⅰ 常任委員会

 1 三重県中小企業振興条例(仮称)について

  (1)参考人からの意見聴取

〇藤田委員長 ただいまから、戦略企画雇用経済常任委員会を開会いたします。
 本日は、三重県中小企業振興条例(仮称)について、参考人からの聞き取り調査を行います。
 前回の委員会で決定したとおり、本日は事項書にありますとおり、三重県中小企業振興条例(仮称)検討分科会委員長であり、三重県中小企業振興条例(仮称)検討分科会専門委員会の委員長も務めておられます三重大学社会連携特任教授佐々木宜彦様に、参考人として出席を求めております。
 この際、参考人に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は大変お忙しい中にもかかわりませず、本委員会のために御出席いただき、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして心から御礼を申し上げます。また、忌憚のない御意見をお述べいただきますようにお願いをいたします。
 早速ですが、議事の順序等について申し上げます。
 まず、参考人の方からお話をいただき、その後に各委員からの質疑を行うという順番で調査を進めます。
 なお、参考人からの聞き取りは、質疑を含めて1時間程度といたしたいと存じますので、御了承願います。
 また、聞き取り調査の終了後、参考人に御退室いただいた後に、委員間討議を行いたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。それでは、参考人からの意見聴取を行います。
 参考人の方からは、県内中小企業や小規模企業等が抱える課題や現状などについて、また、これまでの検討経過などについて御意見をお聞かせいただければと存じます。
 では、佐々木参考人、よろしくお願いいたします。

   ①参考人意見陳述

〇佐々木参考人 佐々木でございます。よろしくお願いいたします。私のほうから、三重県の中小企業振興条例(仮称)の制定に向けまして、これまでに専門委員会を3回、それから県内の中小企業経営者を集めました検討分科会を2回開催しました。この中でいろんな議論を行いまして、現在、条例(仮称)ということで、事務局のほうで取りまとめていただいておりますけれども、これまでの委員の意見なども御紹介しながら説明をさせていただきます。
 この中小企業振興条例をつくるんだ、委員長をやってくれというお話を県の行政事務方のほうから受けまして、私なりに、委員長を引き受けるといってもどう考えたらいいかなと思いました点をちょっと最初に紹介させていただきます。
 今、何で条例なんだと。この意味は、中小企業に関する施策が国の施策展開も含めて非常に幅広く、いろんな根を張ってきているというのが現状だからだと思うんですね。この時代を見てみますと、本当に激しく変化し、そしてまた国際情勢も変わってきておるし、日本の国内のいろんな市場の変化、新しい技術といったような、こういうときにこの条例をつくるということの意義をやはり相当きちんと意識してやらなきゃいかんだろうなというふうに思いました。そういう意味では、この条例が何を目指すのか、その基本理念は何なんだということをやはりきちんと議論しなきゃいかんだろうなというふうに最初に思いました。
 2点目は、この中小企業政策で今申し上げましたように、従来からあらゆる施策がとり行われている中で、それとはどう一線を画した、あるいは何か新しく生み出す軸というものを、いわば三重県にこの条例をつくるんだという意義というものが、従前のいろんな施策というものとの関係から考えて、どういう新しい基軸を打ち出していけるだろうかなというものでございました。
 3点目は、私も三重県のこの雇用経済部関係のお仕事にここしばらくおつき合いさせていただいた中で、県の行政当局の働きが非常に大きな役割を果たしているなというのを、肌で感じております。これは、最近特に県の行政当局の職員が1000社の訪問でありますとか、あるいは5000社のアンケート調査を実施するということで、県の職員自身が自らの体で歩き、聞いてきて、見てきて、そういうものを議論しながら施策展開をやっていこうという、そういう強い意志なり動きが見られるということで、県の行政の今のやり方にも現場と現実というものをきちんと直視して、その中から何かやっていこうという雰囲気が見られるという意味では、これだけ熱心に取り組んでいる地方行政の中でも、三重県のこの行政の取組というものを私なりに大変評価をしております。
 そういう意味で、お話を受けたときに、これは引き受けようと。この3つの点から引き受けようということで引き受けました。
 これまで開いてきたこの意見を少し御紹介いたしますけれども、特に専門委員会の中での議論としては、三重県らしい特色のある条例を考えようじゃないか、そしてまた、なぜ中小企業の振興が必要なのかということでありますし、また、どういうことをやるのかということについて申し上げれば、まさに今の日本では、挑戦こそが成長への道だというようなことでございますけれども、チャレンジとか挑戦、あるいは意欲のある人、あるいは意欲を引き出すような支援策というもので、本気で現場、現実に根差した政策を打ち出していくべきだなという御議論が多かったわけでございます。
 我々の専門委員会の中の議論でも、一口に中小企業や小規模事業といっても、その様態も違いますし、それぞれのニーズもみんな異なるわけですけれども、また、それらがお互いに連携して、これまでは考えられなかったような連携が生まれてきたりとか、いろんなことがありますが、そういう意味で、我々は何でもありだよなというか、言い方は悪いんですけれども、物を生み出していくということであれば、この中小企業振興条例の中で理想として目指す方向というのは何でもありだなということが一つ、委員の間での大きなコンセンサスではありました。
 三重県の今の中小企業、小規模企業の実態というのも事務当局から教えていただきましたけれども、とにかく製造業、流通業、小売業、それから一定の、これまでに実績を上げて、世界に冠たる、日本に冠たる中小企業もたくさんいらっしゃいますが、それぞれの抱える課題、ニーズといったものは実に千差万別だなということをひとつきちんと認識しなきゃいけないことと、それから、地勢的にいっても、三重県の場合には、やはり南北格差という問題がありますし、それぞれの地域において、また、特に小規模事業の場合には、その実態が地域経済との関係でとか、あるいは伊勢、鳥羽のようなところで、もう国際的にも知られているというようなところとか、いろいろで、この地域地域や地勢上の特徴にいたしましても、雇用にしても消費動向にしても随分違うという認識を持ってやらなきゃいかんなということは議論になりました。特に、やはり地域経済を担って、地域に密着して、小規模事業であれ中小企業であれ、そこになくてはならない方が抱えている問題、そのことがやはり大事だよな、そこをどうしていくのかということに光を当てていかなければいけないよなという意見が多く出たことも事実でございます。
 したがいまして、中小企業振興に取り組むに当たって言えることは、要するに一律的にこれを決めりゃいいんだよとかじゃなくて、具体的にきめ細かいいろいろな対策というものというのは、やはりそれぞれの実情、それぞれのニーズ、あるいは企業創業であれば、企業創業から一定の規模に至るまでの一貫した支援策であるとか、それぞれの発展段階に応じた対策が必要ではないかというようなことが非常に大きな議論のポイントにもなりました。
 最初に、冒頭に申し上げました、今なぜ条例なのかという意味でいえば、やはりこの大きな世界の流れや日本の経済状況の今後を考えたときのいろんなことがこれから変化していくわけですけれども、三重県の中小企業、小規模事業者がどのように生きていくのか。日本の中で、あるいは世界の中でどのように生きていくかという、「どのよう」というものを乗り越えるためには、「やるぞ」とそのことをみんながお互いに助け合ったり、あるいはそういう情報をみんなが知り合ったり、そしてそれを結んでいくようなネットワークをつくったりとか、そういう新規の取組をどんどんしていくということが非常に大事だなということで、この条例づくりの意義というのもまさにその辺にあり、人の意識、雰囲気を盛り上げていく、そしてみんなが同じ思いを持っていくということがこの条例をつくる意義ではないかと、こういうふうなことを議論したわけでございます。
 それじゃ、どんな支援策が必要かというのは、まさに今後、この条例のいろんな条文との関係で申し上げますと、それぞれどんな具体的な施策を考えているんだ、その具体的な施策は現場、現実からいったとき、多様なメニューというものが本当に用意されるんだよなという現実の施策との関係が非常に大事になってまいりますけれども、どんな支援というものがこれから必要なのかというものの考え方として、この専門委員会あるいは分科会のいろんな御意見もお聞きする中で考えてみますと、やはりやる気のある方、何とかもう一声をしたほうがいい、そしてその「やるぞ」という気持ちになっていただくというようなことにどんな仕掛けが必要なのかということ、あるいは、潜在的なポテンシャルはあるけれども、現実の問題としての制約要因ですね、これもいろんなお話をお聞きしますが、人材の問題がとにかく大変なんだ、それに次いで資金の問題もあるけれども、とにかく人の問題が一番大変なんだとか、あるいはいろんな法的な手続面でとか、いろんなことで、制約要因を抱えながらそれをひとりで抱え込んでいると。どうやって乗り越えていったらいいかということになかなか一歩前へ進めないというような方に対して、やはりそこを丁寧に一つ一つ取り除いていくというような、そういう仕組みづくりというのも非常に大事だよなと。
 それから、3つ目に、何事もいつでも成功するとは限らないよなと。失敗することもあるよなと。これは再チャレンジということをもっと日本社会というのが受け入れられ、できるような仕組みをつくっていかなきゃいけないよなというような、そういう環境整備というのも非常に重要だなというような議論をしました。
 これまでの議論で、いろいろ事務当局のほうでも取りまとめていただいたものが中間素案として取りまとめられておりますけれども、この中に分科会での意見とか、専門委員会での議論も入れ込んでいただいておりますので、その辺はある程度ごらんをもういただいていると思いますが、少し補足的に御説明いたしますと、専門委員会では、中小企業は地域を支える、あるいは地域の雇用を守るという存在である。とにかく人が大事で、人材がいないことには企業として成り立たないよと、こういう問題提起をしておられる方が多かったです。御意見も多かったです。また、中小企業振興条例では中小企業の存在意義、県の立ち位置をきちっと今回明記をしなさいというような意見もございましたけれども、このような点も今回の素案の中に組み込まれていると思っております。
 また、県の行政当局のほうにお聞きしますと、台湾等海外への展開も知事自らがいろいろ足を延ばしてというようなことで、非常に熱心に取り組んでおられるというふうにも思っておりますし、こういうことは、この条例をつくる際にも非常にいい影響になると思うんですが、この条例をつくったときに、何かできたけど、それはわしらに何か影響のあることなのかいと思う人はいっぱいいるはずです。具体的にどうなんだよ、何が変わるんだよということが一番大きいと思うんですね。
 ただ、先ほど申し上げました知事の今の動き、それから県の行政部局の動きなどですけれども、県民の皆さんにやはり共鳴してもらう、三重県は本当に今、頑張ってきてるよなという気持ちになってもらう、それから、いろんな施策展開が、隅々まで行き渡るということはどういうことかということは、手間暇かかると思うんです。それから、施策展開をしていく行政部局は、県だけじゃなくて、関係団体や市町村もありますけれども、そこの窓口で対応される方の一つ一つの言葉遣いや、「いや、こういうメニューがあるそうですよ、ここへ御相談なさったらどうですか」というような、そういう一つの声かけムードとかというものが、これから物すごく大事になると思うんですね。したがいまして、この条例の文章で説明できる範囲というのは限られていますけども、大きな意味でいえば、この条例の意義や精神を普遍すれば一人ひとりの行動がこれからどう変わっていかなきゃいけないのかというのでは、県民の皆さんも含めてこの条例の意義というものを理解してもらうということが非常に大事になるなということであります。
 最後に、まとめさせていただきますけれども、この条例制定に向けて整理すべきことといたしましては、今回の条例というのは、起業、あるいは業を行う、小規模事業を含めて規模の大小、業種、業態にかかわらず、地域に大きく貢献していらっしゃる企業もたくさんあるわけでございまして、地域に根づいてその事業を長く継続する、あるいは地域の新しいニーズを捉えて新しいビジネスにチャレンジするとか、機動性とか柔軟性を発揮して新しい分野に進出するなど、多様であるなということでございますし、また、その発展段階も様々であろうと思いますので、それぞれのきめ細かさ、ということは、その段階段階に応じてのきめ細かい施策メニューというものが必要だろうと。私が申し上げた県民の皆様も、あるいは大学も、あるいは商工関係団体も、というのは、それぞれ全ての関係者がその気になるような仕掛けというので、どういうことをもっともっとやっていかなきゃいかんだろうかというようなことも、この条例の中にぜひ組み込んでいけないだろうかというふうに考えております。
 私は意見を求められましたときに、この条例制定というのは、そういう一つの方向性を示して、人間の気持ちがそこに向けて一つになるきっかけ、スタートだよなと。ある意味では、行政のほうでいろんな施策を現実に広げてみた場合に、それが本当に浸透していくというプロセスも大事なことではあるんだけれども、本当に生きた施策展開が行われているかということをどうやってフォローしたらいいのか、有効な施策として皆さんに知ってもらって、使ってもらっているだろうかというこのフォローアップなり、施策の展開の、はやりの言葉で言うならPDCAというんでしょうか、そういう検証、評価といった作業もあわせながら、本当にこの条例が生きて、文章でできたものじゃないんだということの証左を示すということは、これからの検証、実証をどうやってうまくやっていくかということも、この条例の仕組みの中にきちんと入れ込んでいったらどうかというようなことを考えておるわけでございます。
 大体お約束した時間の、約20分になりましたけども、ちょっと一、二分だけ。参考資料1、2ということで、どんな議論をやったかというのをちょっとごらんいただきたいんですけども。
 まず、参考資料1、こちらのほうは、専門委員会、分科会のほうでございますけれども、最初の3回のほうです。今申し上げましたような条例全般についてということでは、県は明確なビジョンを示す、あるいは、なぜ今中小企業を守るということなのか、支援するのかということを県民の皆様にわかってもらわなければいけないとか、あるいは、下から3つ目ですけれども、商店街などの小規模事業者自身の変革も促し、このままじゃいけないんだという気持ちになってもらう、そのためには何をどうしたらいいんだというようなことで、ここには、やはりマネジメントということが大事なんだよなという御意見もございました。
 それから、2枚目をちょっとごらんいただきますと、人材育成の欄でございますけれども、三重県の場合も伝統的産業の継承というのは非常に大事な問題だよなという御意見もここへ出ております。そのための人材の確保の問題なんかも指摘されております。
 それから、2ページの下のものづくり産業の振興のところでございますけれども、県内中小企業では、やはりすばらしい技術や製品に関する情報を発信していくことが、やはり弱いということが現実だよなということでございまして、この情報の発信の仕組みというようなことで、もう少しネットワーク構成のやり方、発受信の仕組み、そこにコントロール的な機能というようなものが工夫できないのかというようなことも議論がございました。
 それから、3ページ目の小規模企業者に対してですけれども、小規模企業者に対して配慮するという言い方はそもそもおかしいだろうという議論でございます。要は小規模企業者が果たしている役割に光を当てて、さらにチャレンジできる環境整備をしていくということが基本だよなというような御意見なんかが主なものでございました。
 それから、もう一つ、参考資料2というのがございます。これは、企業経営に今当たっておられる方から具体的に悩んでおられることも腹蔵なくお話ししていただいたものの記録ですけれども、最初の精密機械、電子部品製造の方のお話では、県内の本社工場で工業高校から実習生を受け入れているんだけども、結果としては15年間も採用に結びついておらんのだと。これと同じ話は、三重県の大学を卒業してからどれくらいの方が三重県に戻ってきて、中小企業で働いておられるのかという話については、8%ぐらいでしょうかねというお話がありましたけども、せめてこれをもっと引き上げるというような手だてはないのかというお話もありました。
 それから、車ディーラーの方のお話でしたけれども、この方については、非常にいいことを言っておられた。人材の確保というのは、経営者が自らと。自分で、まさに努力しなきゃいかんということを言っておられて、大学に出向いて、自分の言葉で、俺の企業はこう考えているんだ、俺のところへどうだというような話を直接学生に語りかける。そして、彼らが感動するとか、そういうことが非常に大事なんだよ、経営者自らのこういう努力とその場が大事だよなという御指摘がありました。
 さっき申し上げました車ディーラーの中の2つ目は、行政当局にとって、まさにこれからいろんな施策を浸透させていく上で大事な話なんですけども、行政の窓口業務での対応には不満があるよというお話があって、こういうお話が出ると、うんうんとうなずくほかの経営者の方もいらっしゃったりした。これはどこにでもある話かもしれませんけれども、こういうことは本当にこれからいろんな施策を浸透させる上で大事な点だと思いました。
 それから、1ページ目の一番下でございますけれども、医療・光学分野の方でございますけれども、本当にこれからの国際展開を考えると、どういう人材が、というのは、それはいろいろあるけれども、国際人としてもやれる、中小企業であってもそうなんだよと、グローバル人材というものをどうやって確保して育てていくかという視点をもっと強く持ってほしいというような御意見がございました。
 それから、2ページで、同じ方からでございますけれども、ああ、なるほどなと思ったのは、これは法律的な今の制度上の問題もあって、国のほうでもいろいろ今制度改善を考えているようでございますが、後継者問題の場合の、非上場の株式の評価ということでございます。おやじさんから事業を引き継いだときの株式というのが幾らで、例えば5万円でしたと。今は、物すごく頑張って200万円になったと。今度、これを息子に譲るというようなときの後継者問題は、税の問題ですね。こういう問題というのは、実は大きいんだよなと。ただ、一方で弁護士とか、税理士が言っておられたのは、こういう問題には、経営者が自ら、もっと若いころから後継問題を考えたときに、それなりの税務対策なり相続対策といったことをきちんと展開していくようなことをもっと指導してあげ、相談にも乗ってあげるという手は必要だよなというお話がありました。
 それから、2ページ目の食品加工、卸売の方でございますけれども、これは紀北町の方でございましたけれども、なかなか悩ましいことをおっしゃっています。いろいろ新しい分野が食品加工に出てきているんだけども、人の確保、あるいは工場で新たに設備投資をしたいというときには、やっぱり北へ工場を移そうかと考えている。だけど、現実に俺のところがこれから移るということになると大変だよなということも悩みだと。こういう生の声も出ているということも一つでございます。
 それから、商工会などとも協力していろんな取組をしているけれども、中小企業の振興施策というのを末端まで浸透させるような条例を考えてくれと。それから、いろんな制度で、やっぱり言いたくないけども、使い勝手が悪い面もあるよ、書類の作成などの事務手続も煩雑でと、これはもう、前からいっぱい言われてますけれども、県でおつくりになるときは、この辺は思い切ったことをやっぱりやっていただくという工夫が必要だと思います。
 それから、3ページのほうに行くと、工作機械製造の方の例でございますけれども、女性の活躍・進出をもっと考えろという御意見がございました。
 それから、この人材の確保の面でも、右腕になる人材で、特に高校や大学を卒業後、県外で活躍している方を三重に戻すという施策で魅力のある施策というものは何か打ち出せないのかという御意見なんかもございました。
 それから、3ページの下ですけども、工業用刃物製造の方がなかなか厳しく言われました。抽象的な言葉で条例をまとめても何の意味もないぞと。中小・零細企業が商売をしていくに当たって、本当に困ったときにどういう支援ができるのかということを具体化し、見えるようにしてくださいねという、もっともな御意見ですけれども、厳しい御意見もございました。
 幾つか御紹介も申し上げまして、お約束の時間をちょっと超えて大変恐縮でございましたけれども、私からの説明は以上とさせていただきます。

    ②参考人への質疑

〇藤田委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御意見を受けまして、委員の皆様方からの御質問等をお願いいたしたいと思います。
 なお、念のために申し上げますけれども、参考人は委員長の許可を得て発言し、また、委員に対しては質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、御質疑があればお願い申し上げます。いかがですか。

〇下野委員 ありがとうございました。私が言うのもなんですが、本当につぼをついたしっかりした協議がされているんだなというのが率直な初めの感想でございます。
 その上で3点ほどお伺いさせていただきたいと思うんですが、先ほどの最後の資料の中で出てきました、資料1のほうの、人材育成についてという2ページのところですけれども、我々の協議の中でも承継についてということについていろいろ話されている中で、こういった人材育成、大学など教育機関との連携が必要であるというコメントも出ているんですが、今回の条例では具体的にもう少し踏み込んだ形で表現するべきだなというふうに私は個人的には思っているんです。そこら辺のところで、参考人の条例に対する立ち位置を教えていただきたいというのが1点。
 それから、もう1点。参考資料2のほうの2ページで、私も中小企業を歩いていると必ず言われるのが下から2つ目の丸なんですけども、補助制度があるけど、そんなものをぐちゃぐちゃやっとったら、何か書類を出すのも面倒でということで、出されない中小企業もたくさんいらっしゃると思うんですが、そこのところ、参考人が一番最初に言われた、具体的に実情的なニーズにきいた政策を打っていかなくちゃいけないというところでありながら、こういった補助制度というのは、やっぱり簡素化していかなくちゃいけないし、県職員の方ですとぱっぱと処理できるようにしていかなくちゃいけないんですけど、そこのはざまのところをもうちょっと具体的に解決するにはどういう手だてがあるのかなというのが2点目でございます。
 それから、最後の3点目ですけれども。参考資料2の最後のところ、4ページの下から2つ目の大学教授というところで、経営者はもっと従業員に対して自社のよい点、中小企業がもっとすばらしいんだよということで魅力を伝えていくべきだと。私は広報的な部分でもこれが非常に大切だというふうに思っておるんですけども、経営者の方にも自分の会社をどういうふうな形で従業員や今後の雇用につなげていくのかというのはまだまだわからない部分があるかと思うんです。そこら辺でもうちょっと具体的に、経営者サイドとしてどのように伝えていけばいいのかというのを教えていただけないでしょうか。
 以上3点、よろしくお願いいたします。

〇佐々木参考人 それぞれ難しい問題でございますけれども、人材の育成あるいは確保といった面というのは、1つのこの施策があればというようなことではもちろんないわけですね。特に我々のいろんな議論の中でも、まずどういう人材がどういう場で必要とされているのかという現実の問題と、それから、これから経済情勢も世界の情勢も変わっていく中で、未来、将来にわたってどういう人材を確保しておかなければ継続的な活動ということが難しくなるよなとか、いろいろあるんですね。
 1番目のほうの現実の問題というのは、とにかく何かを解決して乗り越えていくためにはスキルも要る、専門的な能力も要るといったような人材について言えば、やはり具体的にはそこの中小企業の方が使いやすいようなネットワークをもっともっと強化していくというのが一つあるよなというのもありました。
 それから、2つ目にまさに御意見の中にもあった帰ってきてもらう。IターンであるとかUターンということをもっと現実的にやれないのかといったところで、何か具体的な施策展開はというのは条例の案文として書けるか書けないかということも大事なんですけども、その精神を入れたときの具体施策もパッケージでお示しすることによって、ああ、そういうことまで考えているのかということとあわせて考えていただいたほうがいいと思うんですね。
 それで、分科会のほうでちょっと御意見があったのは、中小企業の人材を育成する組織、機関というのは三重県にはないんだよなというような御意見があって、かといって、そういうものをどういう形で、というのは、昔の国の施策でいえば、中小企業大学校の誘致とかってあるでしょう。これはまた、費用の面とか、いろんなことが制約要因として一方であるわけだけども、例えば、心ある経営者が何人か集まって、若いやつを鍛える塾でもつくろうかという話もありますね。今、三重大学の西村副学長なんかは、最近の学生は、物わかりはいいんだけども、やるぞとか、ガッツとか、覚悟とかが見えないんだよ、人の話を聞いて、うんという話だよと。というのは、意識というものは、感動させたり、俺もやってみるぞという、そういう現場の迫力ある方のお話を聞くというのが物すごく大事なことらしいですよ。中小企業に働いておられる方の単なる技術だけが教育じゃないんです。どうしたらうちの会社を大きくできるかとか、どんなことをもっとやらなきゃいかんのかとか、そういう気持ちになってもらうということなんかの教育というのが物すごく大事なんですね、そういう人材を育てるということでは。そういうところにもっと目を当てるとすれば、中小企業大学校がないぞと言っているだけじゃなくて、県内でそういう有能な経営者もいっぱいいるわけだから、そういう人が手を組んで鍛えるんだというようなことを、それこそ自分たちのお金でやろうということだって、それに対して、例えば県が一定の助成をするということであれば、そんなに費用はかからなくて、しかも、設備は、それぞれの中小企業から、俺のところのやつを貸してあげるから使えとかもあり得るわけですよね。そこはいろんな工夫があると思うんです。
 将来のグローバル人材というようなことをどうやって考えていったらいいかということは、これは少し長期にかかります。ある委員が言っておられたのは、三重県の子どもたちを県費で留学させたり、向こうの企業で実習をしたりとかいう、国際感覚を小さいころからつけさせるような施策なんかは考えられませんかね、なんてつぶやいておられる方もいました。誰からもコメントがなかったんですけども。そんな御意見もありましたけども、これからの人材というのはやはり県内でとか、そういう新しいことをやるということで、国際的な目で見ていく人たちをこれから育てていくとすれば、それは時間のかかる話ですよ。そこからどうしたらいいかなというので、学校教育の中でそういう問題を扱っていくのかとかということも、いろいろ、これから施策展開の中で考えていただいたらいいと思います。これが1つ目ですね。
 それから2つ目の、いろんな制度で簡単にするとか何かいろいろ言われてるんだけれども、結局、窓口に行くと、いや、これが足りないとか、書類を完備していませんとかという話っていっぱいあるんだなと。というのは、根本的に言えば、このいろんな制度の中で俺は何をやりたいかという意思が大事。紙をもらって、要するに最近5年間の売り上げを示せから始まって、利益率がどれくらいあってとか、うちの会社は収益の見通しがと、細かいものを出させ過ぎているというのはいっぱいありますよね。補助制度といった場合には、国の制度ですと会計検査院のあれがあって、ちゃんと補助金が適正に使われているかどうか検査をしなくてはとか、法律がいろいろある。
 僕は県で補助制度を今回お考えになっているのかどうかわかりませんけど、基本的に今考えておられるのは融資ですね。補助制度もあることはあるんです。これは、一つの解決策としては、商工団体とか、商工会議所とか、中小企業団体中央会とか、ああいうところの職員の方がもう少し、まず書類そのものの書式を簡素化するということが大命題ですけども、つくるときに相談に乗りますというサービスぐらいしろよとか、もっともっと考えられることはあるんじゃないのと、これは少し個人的な見解ですけども、そういうふうにも思います。もっともっと改善できるはずだと思います。
 それから、3つ目の経営者の問題ですけれども。どうやったら本当に小規模事業所の方にも、俺もやるかという気持ちになってもらえるかというときに、いつも一定の成功をおさめた経営者の話を聞けば、とにかく経営者には覚悟が必要なんだとか、それから力量、技術力、判断力と、そういうふうに言われると、今度は、俺はとてもそこまではなというふうに思っちゃう人も一方で出てきますよね。
 今、経営者というものがどうあるべきかということについて一般論から言えば、経営者というものには、やはり従業員の幸せ、ここで働いてもらう、もらっているんだ、一緒にやってくれているんだという、そういう意識の持ち方の問題とか、経営者としてのたたずまいや覚悟というものが物すごく大事だと。これは一般論です。ただ、一方で、小規模事業経営なんかに携わる方にとっての、経営者というものはこうあるべき、あるいはもっとこういう工夫をしなきゃいけないんだよねというようなことについては、もっと参画型で、自分自身を意識改革していきたいと思う小規模事業の経営をなさっている方が、自分だけで悩むのではなくて、もっと広い場で、俺のところはこうなんだよ、おまえのところはうまくいってるのかよとか、そういう自分ひとりで悩まないでという、そういう場の設営というもので、もう少し経営者の意識改革につながっていくようなものが何か工夫できないのかというような議論はあります。
 こういう点も、きめの細かさという点でいえば、やっぱりどうやったら本当に人の気持ちがやる気になるということをワークする条例になるのか、その具体的施策は何なんだという議論だと思うんですよね。そこは、もう行政当局のほうでも、新しい時代には何が本当に必要なのかということをいろいろ議論する中で、知恵も出てきますし、それから、いろんな企業の実態を今聞いておられる中で、こういうこともやらなきゃいかんのだよなということで考えてもらえると思うんです。そこにまた、この審議の過程の中で、条例の案文は別としても、この条例の意図から考えれば、こういう施策展開が非常に大事だから、きちんとそこを展開してやっていったらどうかというような御意見をきちんと言っていただくようなことも大事だと思うんですよね。

〇下野委員 ありがとうございます。

〇藤田委員長 ほかにいかがですか。

〇中森委員 ちょっと2点ほどお伺いさせていただきます。我々の委員会のほうでも議論をさせていただいておる中で。
 1つが今のお話ですね。専門委員会のお話でも、地域性の事情を考慮していただきながら地域に密着したものでなければならないと。このようなコメントもいただきました。三重県は南北に長いということから、非常に南北格差とか、いろいろと言われております。いろいろと地域の事情、人材の素材とか、そういうことがあるのは承知しているところでありますが、それは手続上のこともあるんでしょうけれども、行政的な役割とすれば、中部経済産業局があって、東海エリアがあって、三重県という補助制度、支援政策の流れがあるんです。ところが、三重県でも、私どもが住んでいるのは伊賀地域ですので、元請がある関西の影響を受けている下請や中小企業が結構おられまして、いろんな制度を利用するについても、三重県を通しますと、行政的な手続をとると、どうしても東海管轄のエリアの所管となって、実際に仕事している親分というか、親方が関西ですので、なかなかそれとの結びつきが、縁が悪いということを我々の地域のところから声を聞いたりするんです。それで、そういうお話から何か条例でも工夫できないかなというふうに思っておりまして、何かそういう点で御教示いただけるものがあればありがたいなというのが1点。
 それから、もう1点は、人材のこともいろいろと御配慮いただいておる中で、条例案でなかった女性の登用については、先日も委員会で指摘させていただき、今日の御報告では女性のことが大事やということの御報告をいただいていまして、それはそれでほっとしているんですが、さらに広げますと、やる気のある障がい者であったり、場合によったら、大学を卒業した若者も大事ですが、若干、専門の高等学校の工業科とか、そういうところの職業高校卒業生とか、それから、工業高等専門学校の卒業生に対する人材育成にかかわることについてもこの条例に反映できるものが何か御意見があったらなと、こんな感じもしておりまして、もし御教示いただけるものがありましたらありがたいなと思ってお伺いします。

〇佐々木参考人 地域に密着した具体的施策の展開では、いろんな施策がありますけれども、特に伊賀の場合には、接壌的な面があるので、こっちはこっちに申請、こっちはこっちにというような、現実の問題があるということですよね。
 この条例で施策展開をする範囲というのでは、基本的に県の施策展開でいえば、どういう申請窓口にすることが一番適当かとか、それを今度は県の本庁で拾い上げたときに、どういうスピード感でもってそれをうまく処理できるような体制がいいのかというのは、具体案件に即して考えたほうがいいんじゃないかと思うんですね。
 いろんな中小企業振興施策があって、国の施策というような中でやる場合に、中心になる大企業があって、一緒に大企業と中小企業が組んで提出されるような場合に、例えば、その企業が大阪に存在していれば大阪申請になって、説明も大阪に行かなきゃいかんというのは、それは現実にありえますよね。そこは現実問題として仕方のないやつもあると思うんです。ただ、県でやるいろんな制度は、工夫できる余地があると思うんですね。ですからそこは、県の本庁と地域機関との関係の事務整理を、具体的にはこういう点でもう少しスピード、簡素化という観点から考え直してみたらどうかというような御提案を逆にしていただければ、県の行政当局としても検討する余地はあるんじゃないかと思います。ちょっと今、具体性が私も頭に入らないものですから失礼いたしますけれども。
 それから、人材の問題については、いわば障がいのある方とか、企業にとってそういう方を雇われるときに、いろんな助成制度なんかも含めて、日本中、こうした方に中小企業の中でも生きがいを持って働いてもらうような環境を整えていかなきゃいかんじゃないかというのが基本的に大きな流れとしては既にあって、今回の条例の中でも、その点はきちんと頭に置いて、条例にしましょうと。障がい者の方とは書いていないんです。だけど、そのことを念頭に置いている条文を書こうと思っているはずでございまして、障がい者の方についていえば、議論をしたプロセスでは、そういうことは大事なんだよねと。じゃ、どう書くかというのは、障がい者ということだけを取り上げたり、女性という言葉を使ったりとかというのは難しいね、そういうのを念頭に入れた条文案にしようというようなことを議論しました。
 工業高校であるとか、あるいは職業専門学校について少し御意見が出た中で、逆に御参考にしていただきたいと思うのは、要するに、三重県の中小企業者は誰のところに来ているかというと、例えば、工業高校の就職担当の先生のところに来てべべっと言う。学生に直接語りかけて、どうだというような、そういうチャンスもない。それから、工業高校では、中小企業の技術系の方から言わせれば、おまえが高校の先生をやっているなんて、技術をわかっているのかと言う人もいるとか、お互い問題があるんです。中小企業の経営者も、うちはどうせ言っても人はもらえないだろうとか、ずっと来てないしと、そういう感覚でおられるというのがやっぱり間違いで、自分が本当に欲しいと思うときは、行って、学生に働きかけさせてくれぐらいは言わなきゃ、やっぱりそういう具体的な行動というものが三重県の経営者には抜けているんじゃないかという御指摘があったのを一つ申し上げておきたいと思うんです。

〇今井委員 今日はどうもありがとうございます。いろいろお話を聞かせてもらって、参考人の言葉の中で特に私が心に残ったのは、いろんな仕組みとか生きた施策という言葉もあったんですけど、仕掛けが大事だという、この仕掛けという言葉がすごく印象に残りましたし、今回の条例はどちらかというと、一部救済していかないといけない中小企業、小規模企業というのがあって、そこへの救済も大事ですが、それ以上に伸びる可能性のある、また伸びようとするところをしっかりと支援していく条例でなければならないというところで、それをしてもらうためにどんな仕掛けを今後していくのかというのがすごく大事やなというのをまず感想で1つだけ、象徴的に思いました。
 県のほうからこの条例の素案、考え方等が出たときに、三重県らしさというところで、そのときの説明では三重県版の経営の向上及び改善に係る計画の認定及び支援というところを言われてて、三重県はそういう、中小企業者等が今後このようにやっていこうという、そういった計画を作成して、それを県が認定するという、そういった認定制度みたいなものをつくるということを書いてもらってあるんですけど、逆に、先ほどの書類作成など事務手続も煩雑やとか、使い勝手が悪いというのは、出す書類が出す価値のあるものであれば皆さんも一生懸命つくると思うんですが、今までのいろんな政策、補助であるとか、そういったことがそれの価値に値しない部分があったので、こういう意見も多く出てくるというように思います。
 三重県が計画を認定するというときに、当然、認定するまでに中小企業の皆さんは、小規模企業の皆さんも、様々、認定を受けるための書類の作成をしてもらったり、会社外の税理士であるとか、会計士であるとか、いろんな方にも相談をしたりしながらやらないといけない。かなりの手間がかかると思うんです。そこの簡素化をどのように図っていくかというのと、あわせて、認定を受けたら、やっぱり県としては、関係団体と協力しながら本当にしっかりと支援をしていかないといけないと思うんですが、その辺のところで、三重県の特色の一つとして認定制度を設けることに対しての、県の行政として、しっかりと気をつけなければいけないこと、やらなければいけないことというのを明確にするべきであると思っとるんですけども、その辺についての参考人のお考えを聞かせていただきたいのが1点。
 もう1点は、途中で参考人のほうからPDCAサイクル、その検証、実証が必要ですよということで、本当にそうだと思うんです。先ほどの、抽象的な言葉で条例をまとめても何の意味も持たないという厳しい御意見もあるんですけど、条例ではある程度しか書けないと思うんですね。ということは、先ほど参考人も一人ひとりというところに恐らく障がいをお持ちの方々や女性、いろんな立場の方々というのを含められたと思うんですけど、条例の条文としては個別具体にだらだらとは書けないので、その意味では、やっぱりこの条例が本当に言葉だけで終わらないためには、この条例に基づくしっかりとした、参考人の言葉の生きた施策展開をしていくための計画というのが必要やと思います。その中で検証や、さらなるバージョンアップも図っていかないといけないと思うんですけど、今回のこの条例の素案の中には、計画をつくるというのがないんですね。
 参考人には、みえ産業振興戦略のほうでも主査という形で分科会のほうでお世話になっとるんですが、みえ産業振興戦略というのは、この中小企業、小規模企業者に対する部分も入っておるんですけども、ちょっとこれとはまた色が違うといいますか、みえ産業振興戦略だけでは賄い切れない部分があると思いますし、みえ産業振興戦略を毎年見直していくとはいうものの、あそこの中にしっかりこの中小企業、小規模企業の方々への支援という今回の条例の目指すものが盛り込んでいけるのかというと、ちょっと不安なところもあります。
 でありますので、私としては、この条例を委員の方たちが一生懸命、いろんな方々の御意見を聞いてつくってもらっとる中で、条例というのは条例の性格上、ある一定の部分までしか書けませんけども、その先にある、本当に生きた政策を集大成した計画というものを、条例にのっとった計画というのをみえ産業振興戦略やみえ県民力ビジョン等との連動も図りながらつくるべきだと思うんですが、そこに対する参考人の御見解を聞かせていただきたいと思います。

〇佐々木参考人 最初の計画認定に関してですけれども、これについては、分科会のほうで御意見をお聞きしましたところでは、大方の皆さんから、そういう制度を県単独でつくってもらうということは、いろんな意味で自分のやっていることの価値の認知とか、あるいはその活動の広がりとか、お互いが刺激になるとかということで、この制度をつくって動かしていくということについては賛成であるという御意見が多かったわけです。
 問題は、今おっしゃったような、いかに使い勝手とか、ある意味では、この制度をつくると、それを受ける方からすると何かえらくかたいものに見えちゃって、俺が申請したって通るのかしらとか、こういうことってあると思うんですね。それから、出さなきゃいかん書類を見ると、何かえらく厚そうだなとか。少なくとも委員長として県の事務当局の皆さんとお話をしているときのお話は、とにかく書類中心ということから、要するに実態ですね。そこにどんな工夫ができるかですけれども、書類は簡素化するにしても、一定の評価をするために、書類から見えない評価といったものは、例えば、実際に申請なさっている方のところにお伺いして、どれだけのことを考え、どれだけの夢を現実にしていこうかと思っていらっしゃって、今どうやっておられるかを、実際に見に行って、自分の目で確かめて、これは行けるぞというようなことが判断できるなら、必要最低限の書類の簡素化というようなことを心がけて、そして、伸びて本当にやる気のある、これは何とか行けそうだよ、この認定ということを一つのきっかけにしてと思ったら、自信を持ってお送りすればいい。
 一方で、この認定ということを受けて、じゃ、何があるのかという支援策については、恐らく単に融資の制度だけじゃなくて、いろんな相談、例えば経営指導員の方であれ税理士の方であれ、あるいは弁護士の方であれとかいったようなことをコントロールタワーからお話があればすぐに御紹介してやっていただくようなことであるとか、いろんなそういう施策と重ね合わせて、認定を受けた価値があったな、認定を受けたら、世界中から何か来たよとか、日本の全く今まで知らなかった北海道の企業から、おたくはこんなことをやってらっしゃるんですねなんていう話が来たよとか、認知度が上がるということにより、日本国内だけじゃなくて、あるいは発展途上国に進出していこうというようなときにも、そういうところからも声がかかるとか、そういう一つの情報発信としての重要さというのも、この制度をうまく使うということが非常に大事だと思うんですね。せっかくの認定ということにどういう意義があるかを、申請される方にとっては単にお金のことだけだということじゃないということをわかっていただきつつ、申請しようという気になってもらう、これが一番大事です。ですから、書類の簡素化というのは、まず最初にやらなきゃいかんお話だと思っていまして、また、そういう議論が多かったです。
 それから、2つ目で、この条例は申し上げたように、この時期、この新しいいろんな今の日本の流れの中で、三重県らしい条例は何かといったときには、今のまさに激しいこの日本の動きの中で、しかし成長を担うということは挑戦であり、それを担うには中小企業や小規模事業者の経営者の意思、あるいは工夫、そういうものを大事にしていかなきゃいかんというのはみんなが今思ってきている。条例をつくった、施策をつくったら、それがどこまで皆さんに浸透しているかなんていうことを検証する必要もある。その施策が本当にどれぐらいワークしたか、どれぐらいの皆さんの要望に応えられたかということもある。
 こういうもので実際にPDCAを回していくためには、私として今、事務当局にもお話ししているのは、何らかの、やはり地域によって相当違いますから、幾つかの地域に分けて、そこでの小規模企業など中小企業の皆さんとの直接の協議会のような方式で戦略や計画を策定し、そしてこの条例に基づくいろんな施策展開の具体的効果の有効実証を話し合ったりして、これについてはこういうところをもう少し直してほしいということが、直で県の本庁に伝わるような仕組みとか、何らかの形で県内を一まとめにするということになると、どうしても話が拡散しちゃうので、やはり幾つかの地域に分けて、その中で何らかの、PDCAを回して、戦略や計画を策定し、フォローしていくような一つの組織母体みたいなものを考えていくということはあるねというような話をしておるんですね。いわば、せっかくのこの条例の中にと、そういう評価、検証しながらいろんな改善をしていくということもやっていくのなら、条文の中で扱っていくことも一つの選択だよな、堂々とそういうことを条例の中に書き込んでいくというのもあるよなというような意見は申し上げたことがあります。

〇今井委員 私もそう思うんです。条例の中にしっかり書き込んでいかないと、中小企業の方々から見れば、条例ができただけで、ああ、いいことを書いてあるなで終わっていってしまうと思うので、地域ごとの計画がまた三重県全体を集めたものになると思いますけど、そういったことを条例の本文の中で入れていくことというのが、打ち出していくことというのが大事やと思いますし、参考人は条例の検討分科会等の委員長ですけれども、計画をつくってもらうときにも、ぜひ、委員の方々に今回やってもらった議論の中から出てきた様々な問題がしっかりと生きた政策、また計画になるように、ぜひお力添えいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

〇藤田委員長 委員の皆さんに申し上げますが、参考人は今日この後東京で予定を持っていただいておりまして、遅くとも午後2時20分にはここを出ていただかなければならないという状況でございます。最後にどうしてもこの点だけはお聞きしたいということがあれば質問を受けさせていただきますが、いかがでしょうか。

〇北川委員 できるだけ端的に。
 中小企業、特に小規模事業者については、今、日本の農業とよく似た状況かなと私は思っていまして、特に後継者という面では、今の代で終わりかな、息子にはやらせたくない、あるいは、息子は別の職業にということが多く、人材育成というのは非常に大事だというふうに思っていまして、人材バンク的なものを提案させてもらってるんですけれども、同時にキャリア教育というのは非常に重要で、ここでおっしゃっていただいてるように、直接経営者の方に訴えていただくというのは、非常に有効な手法だなというふうに感じさせていただいています。
 キャリア教育自体はずっとやっていただいているんですが、最大のウイークポイントは、県立高校の7割を占める普通科においてキャリア教育がないことなんですよね、実は。職業系ばかりで。これは、高校を卒業して就職ということもありますし、また、大学に進学しても、地元でそういう経験があって、地元に戻ってこようだとか、そういう面でぜひここの部分に踏み込むべきだと私はずっと言わせてもらっているんですが、逆に委員の中で、キャリア教育をしていただいてる企業もたくさんあってくれたと思うんですが、今のキャリア教育はどうなんだと、ここで意見がもし幾つか出ているお話があったら、参考に聞かせていただけたらと。ここにも1つは挙げてはいただいているんですが。

〇佐々木参考人 余り突っ込んだ議論が何回も我々の専門委員会なりで行われたわけじゃないんですけれども、何人かの大学出身の委員からのお話というのでは、キャリア教育の重要性という認識が不足していると。それから、現実にその意識が工業高校なりにまだ十分じゃないと感じていると。もう一つ、このごろの学生はとよくありますけれども、本当にどうやったら学生自身にもっとガッツと俺はやるんだとかという気持ちになってもらえるかという、そういう中で、とにかくうちの工場を見てもらうというようなことも一つあるしとか、経営者が自ら出かけていくということもあるしなとか、やっぱり三重で本当に人材を確保してどうだと言ったときに、その情報が余りにも伝わってないという現実があるよなということを言っていました。
 そこはどうしたら改善できるのかということについては、私はやっぱり、経営者の皆さんの意識の改革や、経営者というものはこうなんだとか、あるいはそこで働いている従業者の方がこうなんだよということを伝えるというチャンスをもっと持つべきだよなというのを感じたところです。それを高校の教育プログラムの中でというようなことになると、私が発言すると踏み越えちゃうんでしょうが、もっとやったらいいのになというふうにも思うんですけれどもね。昔は大学に行くと初めて実習という制度があったんです。ところが最近では大学でさえ、工学部なんかでも実習が必修単位でなくなってきている。
 とにかく、本当に必要なことというのは何か、なんですよね。何か、形を整える、文句が保護者からから出るとそれをおそれちゃうというような雰囲気。三重県からどんどん、高校教育からもう実習も入れるんだぐらいおやりになったらおもしろいでしょうね。いや、これは評論家としてですから、委員長という立場からでなくて。本当にそう思いますね、今の教育を見ていて。

〇北川委員 三重大学に頑張っていただいているんですが、やっぱり大学という時点で既に外に出てしまうので、それまでにしっかり手を打たなきゃいけないし、そういう場づくりを県としてしっかり考えなきゃいけないなというふうに改めて感じさせていただきました。

〇藤田委員長 それでは、時間も参りましたので、質疑を終了させていただきたいと思います。
 この際、参考人に対しまして、委員会を代表して一言御礼を申し上げたいと思います。
 本日は大変お忙しい中御出席いただき、本委員会のためにいろいろお話しいただきまして、ありがとうございました。心から御礼を申し上げる次第でございます。
 このたびいただきました貴重な御意見につきましては、今後、私どもの委員会におきまして、三重県中小企業振興条例の審査や県内の産業振興策等を進める上での議論に反映させて、役立てていきたいと考えております。
 本当に本日はありがとうございました。
 それでは、以上で参考人からの聞き取り調査を終わります。
 ここで暫時休憩といたします。

〔参考人 退室〕

(休  憩)

    ③委員間討議

〇藤田委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 委員間討議として、本日の聞き取り調査等について御意見のある方はお願いいたします。

〇今井委員 前にもちょっと言わせてもらいましたけど、今後のスケジュールですね。特に、今日、検討分科会委員長に来てもらいましたけども、検討会並びに専門の分科会であるとか、そういったのが今後の条例制定までにどのように開かれるのかということもお教え願いたい。せっかく今日、いろんな御意見も聞かせてもらったんですけど、今まででもう終わりなのか、これから県議会、パブリックコメントで、検討会もこのような形で入ってきて最終的にでき上がるという部分を、ぜひ一遍日程で示していただきたいなというふうに思いました。

〇藤田委員長 はい、わかりました。
 ほかにございますか。今回、参考人に来ていただきまして、お話をお聞きいただいたんですが。

〇北川委員 今日は検討会の会長でしたっけ。

〇藤田委員長 分科会、それから専門委員会の両委員長でございます。

〇北川委員 という立場でお話を伺って、ただ、やはり立場としては大学の先生ということなので、今後委員会として、タイトな中ですけども、調査、審査をどんなふうにしていくか。おっしゃったことも含め、個々の委員に委ねて情報収集していくという形にしていくのか、あるいは何かしらもう少し現場の声を聞かせていただく場を設定するのか、その辺を一度、御協議いただいたらどうでしょうか。

〇藤田委員長 この場でですか、それとも。

〇北川委員 後でいいですか。委員協議でも構わないです。

〇藤田委員長 はい、わかりました。
 今後については正副委員長を含めまして検討し、皆さん方から御意見もいただきながら方向性をお示ししたいというふうに思っておりますので御了解ください。

〇中森委員 関連してもう1点。
 前回の委員会及び今回の参考人招致の委員会を通じまして、条例にどう反映するのか、させるのか、委員会として一旦整理する必要があるのではないかなと。それがないと、各委員の発言内容も踏まえて、共有の認識にしておくべきで、もし改正する点があれば、共有すべきということで、改正すべき案としてまとめる必要があるのではないかな。
 そうしないと、ちょっとばらばらっと言っているところがあって、もうそのように改正せなあかんなと思っている、修正を加えやなあかんなと思っている委員もおれば、言っただけで県はどう対応してくれるのかなというような感覚を持たれている委員もおられるのではないかなというふうに思って、その辺を一旦ちょっと整理しておかないと、次に県が作成しようとする中間案がパブリックコメントで提出されるわけですので、何か言ったのかな、そこまで反映されているのかなというのが、出てしまってから、また何かあのとき聞いてなかったのと違うかとか、言ってあるわとか、その辺が出てきそうな気がするので、13日に委員会を予定されているということは聞いてますが、ちょっと正副委員長で簡単な、箇条というのか、メモというのか、そういうのを整理していただいて、それで共有の認識を持っといたほうがいいかなという気がするんですけど、いかがでしょうか。

〇藤田委員長 はい、わかりました。
 それでは、正副委員長で案を取りまとめさせていただくということでよろしいか。それとも、この際、皆さん方、今お聞きいただいて、この点は執行部に対して、ぜひとも条例に、表現の方法は別として、今までいろいろお話をいただいた中で、県に対してお話をいただいている部分もございますので、それはそれなりに県は対応してくると思いますけども、今日お話をお聞きした上で、この点についてということがありましたら、この際お聞きして。

〇中森委員 もうちょっと。
 それで、前回、各委員が当局に質問したときに、相当軽く、わかりましたというようなところが多かったんです。軽くというか、対応します、みたいな。尋常じゃないぐらい対応するみたいな印象を持ったもので、相当変わるのと違うかなということも思ったりしながら、いや、そんなことはならんというふうにも思ったりしながら、ちょっとその辺がどうなっているのかなと。出てしまってから、また時間を要するのかなという気はしたし。今日の話なんかは執行部は聞いていないわけやから全然わからないしね。

〇藤田委員長 それでは、その件について正副委員長でまとめさせていただく、それで皆さん方にお示しするということで。

〇北川委員 少なくとも共通認識にできるできやんは別にしても、少なくとも、こういう意見が出たという羅列というか、箇条書きというか、そういう整理をしていただく必要はあるのかなと思います。

〇藤田委員長 はい、わかりました。
 それじゃ、今日の意見も含めて、正副委員長でまとめて皆さん方にお示しすると。それは同時に執行部のほうへもお示しするということでよろしいですか。

               〔「はい」の声あり〕

〇藤田委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
 ほかに御意見はございますか。

               〔「なし」の声あり〕

〇藤田委員長 なければ、これで委員間討議を終了いたします。

 

〔閉会の宣言〕

 

三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。

戦略企画雇用経済常任委員会委員長   藤田 宜三

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