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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第426号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、参加者名簿の家族欄に記載された個人識別性のない情報及び既に公になっている者の写真の部分については開示すべきであるが、その他の部分について非開示とした決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成27年1月28日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「県教委が教職員の「相互の絆を深める事業」として実施した県費を支出する事業の全内容について分る全ての文書(実施年度全年度、同種類似事業含む)」についての開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成27年2月10日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、当該事業の受託者が履行確認を受けるために実施機関に提出した参加者名簿及び写真である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 不適正とされた教職員の家族の事業への参加費用支出について、家族の氏名や参加者の顔写真を一律非公開としたのは、説明責任を果たせていない。
  もともと教育環境の向上とは無縁な教職員個人の交流事業に助成金を支出することは納税者たる県民感情に沿わないもので、事業内容からは「効果」があったとは到底評価し得ない。
  開示された文書では、公金の支出に関する証拠が明確でなく、履行確認の証拠書類等を隠そうとする体質を改める必要がある。それらを公開し、国民に検証してもらう必要があり、それが情報公開制度の意義である。
  また、包括外部監査で指摘がなされたように、不適切な県費の支出があったことを考えると、参加者のうち、委託事業の対象外である者に関する検証を行うためにも、開示をする必要がある。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 教職員の家族の氏名及び顔写真を非開示とした理由は以下のとおりである。当該事業の対象外である教職員の家族の氏名及び顔写真については、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別され、又は識別され得るため、条例第7条第2号(個人情報)により非開示とした。
 教職員の顔写真を非開示とした理由は以下のとおりである。当該事業は、教職員を対象とした休日や平日の時間外に行われた福利厚生事業であることから、当該事業に参加することは公務員としての職務ではないが、教職員のメンタル対策として、教職員が職場において相互に相談しやすい関係や職場を越えたネットワークを構築し、互いに支え合える気運の醸成を図ることなどを目的とした事業であることから、公務員の職務に関連する活動といった側面は有している。しかし、当該事業のこのような性格を考慮しても教職員の顔写真については、具体的な職務の遂行と直接関係のない情報であるうえ、当該事業に参加した教職員の顔写真は、公開することを前提として撮影されておらず、本人の同意も得られていないものであり、一般的に人は自己の容貌を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益を有することからすると、個人の情報であり、その中でも強く保護されるべき情報である。
 なお、当該事業は、平成26年度の包括外部監査において当該事業の対象外の者への不適切な県費の支出があるとの指摘を受け、受託者に対し事業対象外である教職員の家族分に係る委託料の返還を求めるに至った経緯があり、事業内容についても新聞報道等がなされ県民の不信を招いた事業である。このことから、県民からの情報開示請求には、県教育委員会として説明責任を果たすため、より適切な対応が求められていると考えられ、当該事業に参加した教職員の氏名、所属、役職の情報は、職務に関連する活動の側面を有している情報として開示としたところである。しかしながら、教職員の顔写真については、上記の理由から非開示とした。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 本件対象公文書及び非開示部分について

 本件対象公文書は、当該事業の受託者が履行確認を受けるために実施機関に提出した参加者名簿及び写真であり、非開示とした部分(以下「本件非開示部分」という。)は、以下のとおりである。
(a) 教職員の家族の氏名及び顔写真
(b) 教職員の顔写真
 実施機関は、これらの情報について、条例第7条第2号の個人情報に該当するとして非開示としている。
 そこで、これらの非開示部分について、当審査会において本件対象公文書を見分した結果を踏まえ、以下、非開示情報該当性を検討する。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であれば全て非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(4) (a)に係る条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 本件非開示部分(a)は、個人に関する情報であり、特定の個人が識別され得る情報であることは明らかである。したがって、本件非開示部分(a)は本条本号に該当し、また、本号ただし書のいずれにも該当しないため、非開示とした実施機関の判断は妥当である。
 ただし、本件非開示部分(a)を精査したところ、参加者名簿の家族欄に家族の氏名ではなく「家族」と記載されている箇所、著名人を招いた講演会の履行確認のための書類に著名人の写真が含まれていた。前者については、その記載を開示したところで個人が識別されるものではないため、本条本号には該当せず、また、後者については、著名人が当該事業の講演の講師を行うことが明らかになっており、顔写真についても既に公になっていることから、本条本号のただし書イに該当するため、実施機関はこれらの部分については開示すべきである。

(5) (b)に係る条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 ア  公務員の職務情報の原則開示

 本号は、「公務員の職務に関する情報」を個人情報から除外し、原則開示することとしている。これは、公務員の職務に関する情報は、そもそも公務員の職務の性格上公益性が強いことから「個人に関する情報」には含まないこととし、当該情報を原則開示することとしたものであると解される。

 イ 本件対象公文書(b)は「公務員の職務に関する情報」か

 実施機関から聴取したところ、本件委託事業はその目的から公務員の職務に関する活動という側面はあるものの、勤務時間外に実施されており、各教職員は職務命令を受けているわけではなく、自主的に参加をしているため、職務に関連する活動の側面は小さいといえる。したがって、本件対象公文書(b)は公務員の職務に関する情報とはいえず、また、本号ただし書のいずれにも該当しないため、非開示とした実施機関の判断は妥当である。

(6) 異議申立人のその他の主張について

 今回の委託事業については、実施機関の説明にもあるとおり、当該事業の対象外の者への不適切な県費の支出があるとの指摘を受け、受託者に対し事業対象外である教職員の家族分に係る委託料の返還を求めるに至った経緯がある。このことについて、異議申立人は対象外の者について検証を行うためにも、本件非開示部分を開示する必要があると主張する。しかし、当該事業の対象の参加者、対象外の参加者の人数は実施機関から公表されており、また、当該事業の対象である教職員の氏名は開示がされていることから、なお教職員の家族の氏名、教職員及びその家族の顔写真を開示する必要性は乏しく、異議申立人の主張は認められない。
 また、異議申立人は履行確認のための文書として、領収書等の証拠書類を開示すべきであると主張する。実施機関に聴取したところ、履行確認を行う際には、委託先からそれらの書類を提示させ、確認を行っており、提出までは求めておらず、公文書として取得していないとのことである。このことについて、当審査会は本決定時に行った判断の妥当性を調査、審議するものであり、事業の履行確認のあり方を調査、審議するものではない。

(7) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の意見

  当審査会の結論は以上のとおりであるが、審査会として次のとおり意見を述べる。
 委託事業の実施に係る履行確認について、県民への説明責任という観点からそのあり方を改めて精査する等、適切な運用に努められたい。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

 _別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
27. 3. 4

・諮問書の受理

27. 3. 6 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
27. 3.20

・理由説明書の受理
・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

27. 4.21

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

(平成27年度第1回A部会)

27. 6. 2 ・審議

(平成27年度第2回A部会)

27. 7.21

・審議
・答申

(平成27年度第3回A部会)

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名 役職等
※会長

早川 忠宏

三重弁護士会推薦弁護士

※会長職務代理者 岩﨑 恭彦 三重大学人文学部准教授
会長職務代理者 川村 隆子 名古屋学院大学現代社会学部准教授

※委員  

髙橋 秀治

三重大学人文学部教授

委員 東川 薫

四日市看護医療大学准教授

委員 藤本 真理

三重大学人文学部准教授

※委員

村井 美代子

三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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