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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第450号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった部分について、本件部分開示決定を取り消し、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成27年8月12日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った特定の開発許可に関する内部協議に係る文書についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成27年8月26日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書及び本件非開示部分について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、特定の開発許可に関して、実施機関内部で協議を行うために作成した起案文書及び協議の結果を供覧するために作成した供覧文書であり、本件対象公文書において、実施機関が非開示とし、異議申立てがなされている部分(以下「本件非開示部分」という。)は以下のとおりである。

 (a)公文書名:開発許可に関する照会について(平成27年5月18日起案)

  (a-1)相談内容
  (a-2)今回の論点
  (a-3)相手方の主張
  (a-4)当方の考え方

 (b)公文書名:開発許可に関する照会に対する回答について(平成27年6月22日供覧)

  (b-1)法的問題点
  (b-2)回答
 

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見書における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 弁護士の資格を有する県職員が法律的専門知識を行政執行の各部局に対し「援助」するという「リーガルサポート」システムにおいて、その「見解と助言」が非開示にされ、「事務事業の遂行に資する」とされた内容を不明とすることは、理解不能である。
 係争中の事案であるとするなら弁護士登録をしていない「専門家」が仮処分決定の内容を超え、本裁判での判断を先読みした「助言」や「支援」を行う訳はなく、開発行為の変更許可がされてしまっている時点で非開示に拘るのは不当・違法である。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 今回の異議申立ての対象となっているものは、当該部分開示決定のうち、開示しない理由を、県、国、独立行政法人等、県以外の地方公共団体又は県以外の地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、争訟に係る事務に関し、県以外の地方公共団体の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるとして、三重県情報公開条例第7条第6号(事務事業情報)に該当すると判断した部分である。
 今回は、とりわけ、このことにより、当該訴訟の一方の当事者となっている「県以外の地方公共団体」の当事者としての地位を不当に害するおそれがあり、このことは三重県情報公開条例第7条第6号に規定する、いわゆる「事務事業情報」、すなわち「県、国、独立行政法人等、県以外の地方公共団体又は県以外の地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、争訟に係る事務に関し、県以外の地方公共団体の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの」に該当するものであり、この部分を非開示としたものである。
 それぞれの非開示部分ごとの非開示理由は次のとおりである。
 (a-1)、(a-2)については、訴訟当事者が現段階で訴訟上主張、立証を行っていない論点を、訴訟の当事者一方にのみ明らかにしてしまうおそれがあり、これを明らかにすることによって、訴訟当事者の地位を不当に害するおそれがある。
 (a-3)、(b-1)については、訴訟当事者が主張している訴訟上の論点のうち、重要な部分として県が着目している論点を、一方の当事者にのみ明らかにしてしまうおそれがあり、これを明らかにすることによって、訴訟当事者の地位を不当に害するおそれがある。
 (a-4)、(b-2)については、訴訟当事者が未だ主張、立証していない部分も含めて訴訟のポイントを、一方の当事者にのみ明らかにしてしまうおそれがあり、訴訟当事者の地位を不当に害するおそれがある。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第6号(事務事業情報)の意義について

 本号は、県の説明責任や県民の県政参加の観点からは、本来、行政遂行に関わる情報は情報公開の対象にされなければならないが、情報の性格や事務・事業の性質によっては、公開することにより、当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものがある。これらについては、非公開とせざるを得ないので、その旨を規定している。
 なお、本規定は、実施機関の長に広範な裁量権限を与える趣旨ではなく、各規定の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に照らし、公益的な開示の必要性等の種々の利益を衡量した上での「適正な遂行」といえるものであることが求められる。「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる抽象的な可能性ではなく、法的保護に値する程度の蓋然性が要求される。

(3) 条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

 実施機関は、本件対象公文書において、実施機関及び異議申立人以外の者が当事者となっている訴訟に関する問題点を整理し、今後考えられる両当事者の主張、立証方法等について検討し、当該事件の争点に対して、一定の結論を導き出しており、この内容を公開することにより、訴訟のいずれか一方の当事者が検討内容を有利なように利用するなど、当該訴訟に影響を与えるおそれがあり、今回は、とりわけ、当該争訟の当事者となっている県以外の地方公共団体の地位を不当に害するおそれがあると主張する。
 しかし、第三者が何らかの見解を示したからといって、それにより当事者の一方が争訟を有利に進めることになるとは考え難い。すなわち、争訟において、主張・立証の手段及び内容を決定する責任と権限は争訟の当事者にしかなく、また、判決を下すのはこれらを審理判断する裁判所であるため、第三者の見解が直接、争訟の結果に影響を及ぼすものではなく、本件非開示部分を開示したからといって、県以外の地方公共団体の地位を不当に害することになるとは到底考えられない。
 したがって、本件非開示部分について、条例第7条第6号に該当するとした実施機関の判断は妥当ではない。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。
 

7 審査会の意見

 当審査会の結論は以上のとおりであるが、審査会として次のとおり2点、意見を述べる。

(1) 一方の当事者にのみ開示されることについて

 実施機関は今回の開示請求について、争訟の一方の当事者である県以外の地方公共団体の争訟の相手方のみに情報が開示されることによって、当該地方公共団体の地位が不当に害されるおそれがあると考えている。これは、理由説明書においても口頭意見陳述においても、県以外の地方公共団体の地位を害することについてのみ主張し、その相手方の地位を害する可能性については言及していないことからも明らかである。
 しかしながら、条例は何人に対しても公文書の開示請求権を認めており、開示を求める目的、公文書に記載されている情報と請求者との関係の有無等、開示請求者の属性を開示決定の判断過程で考慮すべきではないことは言うまでもないことであり、実施機関においては今後、適正な条例運用に努められたい。

(2) 条例第7条第6号を不必要に適用した部分が見受けられることについて

 実施機関は、県以外の地方公共団体が当事者となっている争訟に対して一定の見解を示すことで当該地方公共団体の地位を不当に害すると判断し、本件非開示部分に対して条例第7条第6号を適用したとのことであるが、本件非開示部分には、明らかに当該争訟には関わりのない、開示してもおよそ争訟には影響がないであろう記述も含まれていると判断できる。
 この点について、実施機関は、結論に至る論理構成全体、論理構成を補完する参考資料等をひとつのパッケージとして捉え、また、直接的に争訟の当事者の地位を害さない記述についても、開示することによって全体の論理構成が推論できるおそれがあり、どの程度の情報で推論できるかはそれぞれ各個人の法的知識の熟度によることから、そのような不確実な状況で一部のみを開示するのは適当ではないと判断したと主張している。
 しかし、条例第7条第6号を適用するには支障が発生するおそれについて抽象的な可能性に基づき判断するのではなく、法的保護に値する蓋然性に基づかなければならず、本件非開示部分には「開示しても全体の論理構成が推論されるおそれがない部分」及び「開示しても全体の論理構成が推論される可能性が低い部分」も含まれていると判断できる。
 条例は、原則公開を理念としており、不必要に非開示部分を広げることはこの理念に反すると言わざるを得ない。実施機関においては今後、適正な条例運用に努められたい。
 

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
27. 9. 7

・諮問書の受理

27. 9.14 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
27. 9.24 ・理由説明書の受理
27. 9.25

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

28. 1.27

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

(平成27年度第9回A部会)

28. 2.24

・審議
・答申

(平成27年度第10回A部会)

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名 役職等
※会長

早川  忠宏

三重弁護士会推薦弁護士

※会長職務代理者 岩﨑 恭彦 三重大学人文学部准教授
会長職務代理者 川村 隆子 名古屋学院大学現代社会学部准教授

※委員  

髙橋 秀治

三重大学人文学部教授

委員 東川 薫

四日市看護医療大学准教授

委員 藤本 真理

三重大学人文学部准教授

※委員

村井 美代子

三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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