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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第460号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成27年9月4日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「国土交通省が、アベノミクスに基づき公共事業工事の労務単価等を改訂した「特例措置」に伴う請負工事契約の変更事例の全部と、変更契約に伴う下請負契約の変更を元請が実施したか発注者として「特例措置」の履行確認又は元請業者に対する指導を行ったかが分る全ての文書」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成27年9月30日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、入札時に受注者から提出された特定の工事に係る工事費内訳書である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 請求は、アベノミクス効果を全国津々浦々に波及させるとした政府の方針を実施現場で検証するために行ったもので、当初契約時の請負者側見積内訳書と労務単価改訂に伴う変更契約に対する変更見積内訳書や下請負契約額の変更が行われなければ、アベノミクス効果は及ばない。以前の答申に固執して部分非開示としたことは、政府の方針に反するもので容認できない。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 部分開示とした「工事費内訳書(見積内訳書)」は、落札業者の工事価格と工事種別毎の金額の内訳が記載されたものである。
 「工事価格については、入札時に各法人が入札金額として提示する金額そのものであり、入札結果調書等で公にされるものであるため、開示されるべきものであるが、工事種別毎の金額については、各法人の営業に関する情報であり、これを開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるため、条例第7条第3号に該当する。」とした答申第375号に基づき、工事種別毎の金額を非開示としたものである。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる影響から県民等の生活又は環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、開示が義務づけられることになる。

 (3)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報は、工事費内訳書に記載された工事価格、消費税及び地方消費税相当額、本工事費計を除く工事種別毎の金額である。
 実施機関は、これらの情報を開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると主張するため、以下のとおり検討する。
 当審査会において調査したところ、工事費の積算においては、工事内容の表示方法を工種の分類毎に標準的に規定するとともに、使用する用語・項目毎の表示単位などの記述方法についても標準化し、契約内容の明確化を図ることを目的に、国土交通省国土技術政策総合研究所が定めた「工事工種体系」を使用していることが認められる。
 この「工事工種体系」は、工事の具体的項目をレベル0からレベル6までの七つの体系階層(レベル)でツリー状に整理し、使用する単位について規定しているものである。
 これによると、「河川改修」、「河川維持修繕」といった予算制度上及び事業執行上の区分であるレベル0(事業区分)、「河川維持」、「河川修繕」といった、工事発注ロットや工事名称を示すレベル1(工事区分)、また、「河川土工」、「軽量盛土工」といった、一定の構造を持つ部位を施工するための一連作業の総称を示すレベル2(工種区分)、「掘削工」、「盛土工」といったレベル2とレベル4をつなぎ体系全体の見通しを良くする区分を示すレベル3(種別区分)が定義されている。
 次にレベル4からレベル6については、まず「細別区分」(レベル4)があり、工事を構成する基本的な単位目的物若しくは単位仮設物であって、単位とともに契約数量が定義されている。さらに「規格区分」(レベル5)、「積算要素」(レベル6)には、細別の構成要素である機械経費、労務費、材料費の仕様・数量・価格、これらを算出する根拠となる作業条件等が定義されている。
 本件対象公文書には、レベル1からレベル3までの情報及びその他の情報が記載されていることが認められるので、以下の分類毎に開示の是非を判断する。

(ア)レベル3(種別区分)の情報

 レベル3(種別区分)の情報は、「準備工」、「掘削工」、「作業残土処理工」、「工事用道路工」、「運搬費」、「安全費」、「技術管理費」、「共通仮設費(率計上額)」の金額である。
 レベル4の情報については、工事を構成する基本的な単位目的物若しくは単位仮設物であり、レベル5の規格やレベル6の積算要素と合わせて、法人はその知識や経験を活かしてこの金額を算出しており、このような情報が競合他社に提供されると、法人はその後の事業活動において競争上不利な立場に置かれることとなると認められる。
 しかし、レベル3の情報の金額は、それぞれの摘要欄記載の明細表に記載されているレベル4以下の情報の金額の合計に過ぎず、これらの金額が明らかになっても、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないため、原則開示すべき情報にあたる。

(イ)レベル1(工事区分)の情報、レベル2(工種区分)の情報

 レベル1(工事区分)の情報は「河川維持」、「全工種共通(仮設工)」、レベル2(工種区分)の情報は「河床掘削工」、「仮設工」、「共通仮設費計」の金額である。これらについては、当審査会が開示妥当と判断するレベル3の金額の合計に過ぎず、その金額が明らかになっても、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないため、原則開示すべき情報にあたる。

(ウ) 現場管理費、一般管理費等の金額
 「現場管理費」、「一般管理費等」については、工事工種体系に該当しない項目である。「現場管理費」は工事施工において、品質管理、工程管理、原価管理、労務管理、安全管理などいわゆる工事監理を実施するために必要な経費、「一般管理費等」は、工事施工にあたる法人の継続運営に必要な費用である。
 このような情報が競合他社に提供されると、法人はその後の事業活動において競争上不利な立場に置かれることとなると認められる。したがって、公にすることにより、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第3号に該当する。
(エ) 直接工事費計、純工事費、工事原価の金額
 「直接工事費計」の金額については、当審査会が開示妥当と判断するレベル1の「河川維持」と「全工種共通(仮設工)」の金額の合計に過ぎず、その金額が明らかになっても、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないため、開示すべき情報にあたる。
 次に、「純工事費」の金額についても、上記のとおり当審査会が開示妥当と判断する「直接工事費計」とレベル2の「共通仮設費計」の合計の金額に過ぎず、その金額が明らかになっても、法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められないため、開示すべき情報にあたる。
 「工事原価」の金額については、これが明らかになると、既に開示している「工事価格」の金額から減算することにより、非開示とすべき「一般管理費等」の金額が明らかとなってしまうため、非開示が妥当である。

(4)その他

 実施機関は、過去の当審査会における答申第375号に従って判断を行ったと主張している。しかし、この事案の他にも、実施機関において当初より工事設計内訳表の直接工事費について開示し、さらに直接工事費以外の費目についても開示妥当と判断した類似の事案もある。当審査会は、開示・非開示の判断の妥当性について、事案ごとに審査しており、慎重な審議をしたうえで今回の結論に達したものである。

(5)結論

 よって、主文のとおり答申する。
 

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
27.12. 1

・諮問書の受理

27.12. 1 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
27.12.11 ・理由説明書の受理
27.12.14

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

28. 4.22

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

(平成28年度第1回B部会)

28. 6. 1 ・審議
(第456回審査会)
28. 7. 8 ・審議
(平成28年度第2回B部会)
28. 8. 5 ・審議
(平成28年度第3回B部会)
28. 9. 8

・審議
・答申

(平成28年度第4回B部会)

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名 役職等
※会長

早川 忠宏

三重弁護士会推薦弁護士

会長職務代理者 岩﨑 恭彦 三重大学人文学部准教授
※会長職務代理者 川村 隆子 名古屋学院大学経済学部准教授

委員  

髙橋 秀治

三重大学人文学部教授

※委員 東川 薫

四日市看護医療大学教授

※委員 藤本 真理

三重大学人文学部准教授

委員

村井 美代子

三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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