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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第468号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成28年3月16日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った特定法人への指導等に関する文書についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成28年3月29日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、実施機関が特定法人へ立入検査を実施した際に作成した「業務報告書」である。

4 本件非開示部分について

 本件対象公文書のうち、非開示とされた部分(以下「本件非開示部分」という。)は、次のとおりである。
 (a)解体された自動車の車台番号
 (b)解体した自動車を特定法人へ持ち込んだ自動車の車両登録番号
 (c)取引きされた金属の数量
 (d)取引きされた金属の金額
 (e)解体した自動車を持ち込んだ人物の氏名

5 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 実施機関は、本件非開示部分(a)及び(b)は個人情報だと説明しているが、いきすぎた拡大解釈である。金属類を持ち込んだ車両は、特定法人との取引業者の車両であり、法人所有ないしは個人事業者の所有であり、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当する。
 本件非開示部分(c)及び(d)のうち、金属の取引数量を公開しても、法人の競争上の地位その他正当な利益を害する具体的な支障はないし、具体的支障は主張も証明もなされていない。
 本件非開示部分(e)についても、特定法人との取引業者であり、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当する。
 以上の理由により、非開示は違法であり、取り消すべきである。

6 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 本件非開示部分(a)及び(b)については、運輸支局(又は自動車検査登録事務所)に登録事項等証明書を請求すれば、車両の所有者等を確認される可能性があり、開示することにより特定の個人を識別し得るものと認められる。
 本件非開示部分(c)及び(d)については、開示することで同業他社との競合により、当該事業者が不利益を被る危険性があり、法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するものと認められる。
 本件非開示部分(e)については、個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものと認められる。

7 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であれば全て非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

 (3)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康または財産を保護し、又は違法若しくは著しく不当な事業活動によって生ずる支障から県民の生活を保護するために公にすることが必要であると認められる情報、及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務付けられることになる。
 また、「公にすることが必要であると認められる」とは、当該情報を開示することにより保護される人の生命、健康等の利益と、非開示とすることにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が後者を上回る場合をいうものである。

(4) 条例第7条第2号(個人情報)及び第7条第3号(法人情報)の該当性について

ア 本件非開示部分(a)及び(b)について
 まず、本件非開示部分(a)及び(b)について検討する。実施機関は、特定車両の車台番号又は車両登録番号を開示してしまうと、当該車両の所有者が特定される可能性があると主張する。しかしながら、運輸支局又は自動車検査登録事務所にて自動車の登録事項等証明書(所有者等の氏名、住所等が記載されている。)を交付請求するときは、車両登録番号及び車台番号の双方を記載する必要があり、例外的に一方のみで請求する場合も放置車両の撤去や裁判での利用等に限られている。
 本件非開示部分(a)は解体された自動車の車台番号であり、すでに解体されていることからその車両登録番号を確認することは実質的に不可能であり、本件非開示部分(b)は解体した自動車を特定法人に持ち込んだ自動車の車両登録番号であり、一般的に所有者以外が当該車両の車台番号を知ることはできない。
 したがって、これらの車両の所有者が個人であったとしても、他の情報と照合することにより所有者を識別できる情報であるとはいえず、条例第7条第2号には該当しない。また、これらの車両の所有者が法人であったとしても、所有者がその法人であると識別できる情報であるとはいえないため、法人の競争上の地位その他正当な利益を害することもなく、条例第7条第3号には該当しないため、これらの情報を非開示とした実施機関の判断は妥当ではない。
イ 本件非開示部分(c)及び(d)について
 次に、本件非開示部分(c)及び(d)について検討する。実施機関は、これらの情報を開示すると当該法人の競争上の地位を害すると主張しており、異議申立人は、本件非開示部分(c)のみを公開しても、当該法人の競争上の地位を害することはないと主張している。
 確かに、本件非開示部分(c)及び(d)の双方を開示すると、当該法人の取引単価が判明してしまうため、これらが開示されることにより、競合他社等による対抗的な事業活動が行われる等、当該法人の競争上の地位その他の事業活動に不利益を与えるおそれがあると認められる。
 しかしながら、本件非開示部分(c)を開示したとしても、実施機関が聞取りを行った1回の取引における数量が判明するだけであり、これを開示したとしても当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとまではいえない。
 したがって、本件非開示部分(d)を非開示とした実施機関の判断は妥当であるが、本件非開示部分(c)については開示すべきである。
ウ 本件非開示部分(e)について
 次に、本件非開示部分(e)について検討する。異議申立人は、本件非開示部分(e)は「事業を営む個人の情報」であるため、公開すべきであると主張しており、実施機関は、個人の氏名であり、個人が識別できる情報であるため、条例第7条第2号に該当し、非開示が妥当であると主張している。
 この点において当審査会にて本件対象公文書を見分したが、本件非開示部分(e)が事業を営む個人の氏名であるか、法人の従業員の氏名であるかは判然としなかった。したがって、条例第3条において「個人のプライバシーに関する情報がみだりに公にされることがないよう最大限の配慮をしなければならない」と規定されていることを考慮すると、法人の従業員の氏名である可能性が否定できない以上、条例第7条第2号に該当するとして非開示とした実施機関の判断は妥当であるといえる。

(5) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
28. 4.22

・諮問書の受理

28. 4.26 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
28. 5.24 ・理由説明書の受理
28. 5.26 ・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
28. 6. 2

・意見書の受理

28. 6. 6 ・実施機関に対して意見書(写)の送付
29. 2.16

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

(平成28年度第7回A部会)

29. 3.15 ・審議
(平成28年度第8回A部会)
29. 4.18

・審議
・答申

(平成29年度第1回A部会)

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名 役職等
※会長

早川 忠宏

三重弁護士会推薦弁護士

※会長職務代理者 岩﨑 恭彦 三重大学人文学部准教授
会長職務代理者 川村 隆子 名古屋学院大学現代社会学部准教授

※委員  

髙橋 秀治

三重大学人文学部教授

委員 東川 薫

四日市看護医療大学教授

委員 藤本 真理

三重大学人文学部准教授

※委員

村井 美代子

三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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