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平成21年02月17日

情報公開・個人情報保護

三重県個人情報保護審査会 答申第28号

答申

1 審査会の結論

実施機関は、本件異議申立ての対象となった個人情報のうち、審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成18年1月17日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「平成3年10月16日 中国残留孤児の肉親調査について(○○町あて)」、「平成3年11月20日 中国残留孤児の肉親調査について(厚生省あて)」、「平成4年2月3日 中国残留孤児の肉親判定のための血液鑑定料国庫負担申請について(厚生省あて)」、「平成4年2月7日 中国残留孤児の肉親判定のための血液鑑定について(肉親と思われる者あて)、平成4年6月27日 永住帰国した身元未判明孤児の血液鑑定結果について(厚生省通知)」、「その他中国からの引揚・帰国並びに帰国後の自立援護に関する保有個人情報」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成18年1月30日付けで行った部分開示決定の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明

実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。

(1) 異議申立人及びその家族以外(身元引受人を除く)の氏名、住所、電話番号、身分関係、生年月日の非開示について
異議申立人と「△△」の間に姉妹関係が認められ、それにより、「□□」と「△△」の姉妹関係が否定されたのは平成4年のことである。「□□」と「△△」の姉妹関係が否定されてから約14年の歳月が経過しており、現在は全く別の家族として平穏に暮らしている状況の中で、異議申立人が知り得たかもしれないというだけで、異議申立人以外の特定の個人を識別することができる情報を開示することは妥当でない。また、「□□」に係る非開示情報については、過去における異議申立人の姉との一時の関係において、知り得た情報であり、単純に、異議申立人が知る情報、又は知り得べき情報とは言えず、当該情報を開示することは妥当でない。よって、条例第16条第2号に基づく非開示決定は適正であると考える。

(2) 身元引受人の住所・電話番号の非開示決定について
異議申立人以外の個人に関する情報であり、異議申立人の言うような慣行として知ることができる情報ではなく、身元引受人の立場で異議申立人と関わりを持つ期間中の必要性に基づき知ることができる情報である。いかに過去に知り得た情報であっても、知り得るための要件が失われている現在においては、条例第16条第2号イに規定する「法令等の規定により又は慣行として本人又はその遺族が知ることができ、または知ることが予定されている情報」には該当しないものと考える。

4 異議申立ての理由

異議申立人が異議申立理由書で主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。

(1) 異議申立人及びその家族以外(身元引受人を除く)の氏名、住所、電話番号、身分関係、生年月日の非開示について
「□□」なる人物は、異議申立人の身元が判明するまでの過去数年間、「△△(異議申立人の姉)」と姉妹として交際し、一時期は実際同居していたことがあることから、異議申立人においてもその名前を把握しているところである。よって「□□」なる人物及び関係者に関する情報は、異議申立人において当然に知り、又は知り得べき情報であるから、かかる情報が異議申立人に開示されたとしても、当該個人の権利利益が侵害されるおそれは皆無である。

(2) 身元引受人の住所・電話番号の非開示について
身元引受人は身元未判明孤児世帯の日常生活上の諸問題の相談、自立更生に必要な助言、指導を行うものとされている(昭和60年3月29日援発第207号、厚生省援護局長通知)。すなわち、異議申立人の身元引受人は異議申立人の生活を支援する役割を有していたものであり、身元引受人の住所や電話番号についての情報は、当然に異議申立人に開示されることを前提とされている。よって、かかる身元引受人に関する情報が開示されたとしても当該個人の権利利益が侵害されるおそれは皆無である。
なお、条例第16条第2号イにおいても、「慣行として本人が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」については開示すべきと規定されている。しかるに、本件部分開示決定は、身元引受人の制度趣旨を全く考慮することなく、身元引受人が異議申立人及びその家族以外の個人情報であることから、漫然とその住所・電話番号に関する情報を非開示としている。よって、かかる非開示決定は条例の適用を誤ったものであり、非開示決定は取り消されるべきである。

(3) 三重県個人情報保護条例では開示請求に対しては原則開示することとなっており、例外的に非開示決定をなす場合には、条例第16条第2号に則して言えば、かかる情報を開示することで具体的に個人の権利利益がどのように侵害されるおそれがあるのか明らかにすべきである。具体的理由を明らかにすることなく非開示決定を行うことは、非開示決定の濫用的行使により個人情報開示請求権が不当に侵害されるおそれがある。しかるに、本件部分開示決定は具体的な理由について全く明らかにされることなく、条文上の根拠を挙げるのみで非開示決定を行っているのみである。仮に本件異議申立てにもかかわらず、非開示決定をなす場合には、非開示部分を開示することにより具体的に、誰の、どのような権利が、どのような態様において侵害されるのか明らかにされるよう求めるものである。

5 審査会の判断

当審査会は、異議申立ての対象となった個人情報並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。

(1) 本件対象個人情報について本件異議申立てに係る対象個人情報は、次のとおりである。
ア 平成3年10月16日付け起案の「中国残留孤児の肉親調査について(依頼)」に添付された平成3年10月4日付け●●福祉部社会課から厚生省援護局庶務課中国孤児等対策室あての事務連絡、平成3年11月20日付け起案の「中国残留孤児の肉親調査について(伺い)」、「三重県送出▲▲関係」及び平成3年11月20日付け三重県福祉部老人福祉課から厚生省援護局庶務課中国孤児等対策室あての事務連絡に記載された異議申立人及びその家族以外(身元引受人を除く)の氏名・住所・電話番号・身分関係・生年月日。
イ 平成3年10月16日付け起案の「中国残留孤児の肉親調査について(依頼)」に添付された平成3年10月4日付け●●福祉部社会課から厚生省援護局庶務課中国孤児等対策室あての事務連絡、及び平成3年11月20日付け起案の「中国残留孤児の肉親調査について(伺い)」に添付の「三重県送出▲▲関係」に記載された身元引受人の住所・電話番号。

(2) 条例第16条第2号(開示請求者以外の個人情報)の該当性について
条例第16条第2号は、「開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関するものを除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお、開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を非開示とすることができることを定めたものである。ただし、本号ただし書により、「法令等の規定により又は慣行として本人又はその遺族等が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」等は除かれている。
これについて実施機関が非開示とした個人情報を個別に検討し、以下のように判断する。
 ア 異議申立人及びその家族以外(身元引受人を除く)の氏名、住所、電話番号、身分関係、生年月日の非開示について
 これらの情報は明らかに条例第16条第2号に規定する「開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関するものを除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」であると認められる。
 また、異議申立人は「□□」なる人物は、開示請求者の身元が判明するまでの過去数年間、「△△(開示請求者の姉)」と姉妹として交際し、一時期は実際に同居していたことがあるから、開示請求者においてもその名前を把握していると主張しているが、異議申立人は「□□」の日本名及び関係者の個人情報を、姉を通じて知ったとしても、そのことが条例第16条第2号ただし書きイに規定する、慣行として本人が知ることができ、又は知ることが予定されている情報とまではいえず、非開示とすることが妥当である。
なお、実施機関が部分開示決定通知書の「上記部分を開示しない理由」の欄に「開示することにより当該個人の権利利益を侵害するおそれがあるため」と記載したことから、異議申立人は、情報を開示することで具体的に個人の権利利益がどのように侵害されるか明らかにすべきと主張していると思われる。しかしながら、現行条例(平成17年10月1日施行)は「開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの」を非開示情報としており、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる場合には「個人の権利利益が侵害されるおそれがある」ことまで非開示情報の要件としていないのであるから、個人の権利利益がどのように侵害されるおそれがあるのか明らかにする必要があるとは認められない。
イ 身元引受人の住所・電話番号の非開示について
身元引受人は身元未判明孤児の日常生活上の諸問題の相談、自立更生に必要な助言、指導を行うものとされており、異議申立人が主張するように、お互いの住所や電話番号などの情報は知るべき立場にあるものと認められる。このことは実施機関も認めるところであるが、実施機関は、身元引受人である期間中の必要性に基づき知ることができる情報であって、いかに過去に知り得た情報であっても長い歳月が経過し、知り得るための要件が失われている現在においては、条例第16条第2号ただし書きイには該当しないと主張する。しかしながら、いかに長い歳月が経過しているとはいえ、当時、異議申立人は身元引受人制度の中で、当然、身元引受人の住所、電話番号等を知り得る立場にあったのであるから、条例第16条第2号ただし書きイに規定する「法令等の規定により又は慣行として本人が知ることができ、または知ることが予定されている情報」に該当すると認められる。

(4) 結論
よって、主文のとおり答申する。

(5) 審査会の意見
当審査会の結論は以上のとおりであるが、次のとおり意見を述べる。
ア 実施機関は、平成3年11月20日付け起案の「中国残留孤児の肉親調査について(伺い)」に添付の「三重県送出▲▲関係」に記載されている異議申立人以外の者の「戸籍回復年月日」、「帰国年月日」、及び「特定の都道府県へ移った年月」について非開示としているが、平成18年1月30日付け保有個人情報部分開示決定通知書の「開示しない部分」には、これらの事項が記載されていない。
実施機関は、これらの事項を非開示とした旨及び理由を、改めて異議申立人に通知すべきである。
イ 実施機関は、本件対象個人情報の中にある開示請求者以外の個人情報を本件開示請求とは関係がないとして、特定の部分を開示請求者に示さずに非開示としている。
一般に開示請求者以外の個人情報が文書単位あるいは項目単位で区分できる場合に開示請求の対象外として非開示部分として明示せずに開示する場合もあるが、本件において非開示部分として明示せずに非開示とした箇所は一つの項目中にあるため、不自然な文章の開示になっている。また、異議申立人に対して非開示部分として明示していない旨の説明もなく、本件部分開示決定は不適切なものであったと考える。

6 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1 審査会の処理経過

年月日 処理内容
平成18年6月13日 ・ 諮問書の受理
平成18年6月22日 ・ 実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
平成18年7月28日 ・ 非開示理由説明書の受理
平成18年8月2日 ・ 異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
平成18年10月16日 ・ 書面審理
・ 実施機関の補足理由説明
・ 審議
(第39回個人情報保護審査会)
平成18年11月13日 ・ 審議
(第40回個人情報保護審査会)
平成18年12月12日 ・ 審議
・ 答申
(第41回個人情報保護審査会)

三重県個人情報保護審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 浅尾 光弘 弁護士
会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 寺川 史朗 三重大学人文学部助教授
委員 藤野 奈津子 三重短期大学法経科助教授
委員 安田 千代 司法書士、行政書士

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