三重県個人情報保護審査会 答申第35号
答申
1 審査会の結論
実施機関が行った不存在決定は妥当である。
2 異議申立ての趣旨
異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年10月30日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った以下の開示請求に対し、三重県教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成17年11月14日付けで行った不存在決定の取消しを求めるというものである。
私、○○が平成○年○月○日強盗事件を受けた件などについて、これらの事柄を知った県民等が三重県立○○学校へ問い合わせた手紙等に対し、三重県立○○学校の教頭が出した返事について次の事項
①「○○さんのHP上のここの事柄に対し、とるべき対応は、各個人が、名誉毀損で訴訟を起こすしか、方法が有りません。」と私、○○が名誉毀損をしたと述べ、
②「私や保護者、生徒、職員一同、○○さんが免職となり、ほっとしています。」と私○○が免職になって「ほっとしている」などと誹謗し、
③「○○さんのHPをごらんになり、矛盾やおかしいと思われることはないでしょうか。事実をねじ曲げ、○○さんが述べたいシナリオに従い、記述しているのにすぎないと思います。」と私、○○が事実を捻じ曲げ、記述していると誹謗している。
④「HP上で取り上げられたここの人が、○○さんに対し名誉毀損で告訴するしか、方法はない。」と私○○が名誉毀損したと決め付け、
⑤さらに「書きたいと思うことを好き勝手に書き、不誠実、無責任な言動を繰り返してきた○○さんは現在免職処分に対し、裁判を起こそうとしています。」と私、○○が「不誠実」「無責任」と誹謗中傷している。
⑥これら①~⑤の私○○への誹謗中傷、名誉毀損についてその根拠となる資料
3 実施機関の不存在理由説明
実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。
教頭の返事の内容は、教頭が異議申立人と同時期に同じ特定の県立学校に勤務し、異議申立人の言動等に直接関わってきた当時の体験から総合的に判断したもので、その具体的な根拠となる書類は存在しない。
4 異議申立ての理由
異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。
教頭は2の①、③及び④の主張について根拠を異議申立人のホームページに求めている。当然、異議申立人のホームページ上には教頭の主張する根拠となるべき資料が存在しているはずである。⑤では、教頭は異議申立人が「書きたいと思うことを好き勝手に書き」と主張しているのであるから、「好き勝手に書いた」資料は存在しているはずである。また、「私や保護者、生徒、職員一同、○○が免職となり、ほっとしています。」と主張しているのであるから、当然それらの根拠となるべき資料は存在しなければならない。資料が不存在ということはありえない。
5 審査会の判断
当審査会は、異議申立てに係る資料並びに異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
(1) 本決定の妥当性について
異議申立人は、自らのホームページの記載に教頭の主張の根拠が存在しているはずであると主張しているが、教頭のメールの記載内容は、異議申立人のホームページの記載内容を見たうえで、その内容に対する意見等を述べたものであり、ホームページの記載そのものを教頭の判断の根拠とすることはできない。
実施機関は、教頭の返事の内容は、教頭が異議申立人の言動等に直接かかわってきた当時の体験から総合的に判断したもので、その根拠となる資料は存在しないと説明しているが、その実施機関の説明に特段の不合理な点は認められない。したがって、実施機関の行った不存在決定は妥当であると認めざるを得ない。
(2) 結論
よって、主文のとおり答申する。
6 審査会の処理経過
当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。
別紙1
審査会の処理経過
年月日 | 処理内容 |
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平成18年6月28日 | ・ 諮問書の受理 |
平成18年7月14日 | ・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼 |
平成18年 7月24日 | ・ 理由説明書の受理 |
平成18年 8月4日 | ・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、 意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認 |
平成18年 8月14日 | ・ 意見書の受理 |
平成19年 4月16日 | ・ 書面審理・ 実施機関の補足説明・ 審議(第45回個人情報保護審査会) |
平成19年 5月21日 | ・ 審議(第46回個人情報保護審査会) |
平成19年 6月18日 | ・ 審議・ 答申(第47回個人情報保護審査会) |
三重県個人情報保護審査会委員
職名 | 氏名 | 役職等 |
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会長 | 浅尾 光弘 | 弁護士 |
会長職務代理者 | 樹神 成 | 三重大学人文学部教授 |
委員 | 寺川 史朗 | 三重大学人文学部准教授 |
委員 | 藤野 奈津子 | 三重短期大学法経科准教授 |
委員 | 安田 千代 | 司法書士、行政書士 |