現在位置:
  1. トップページ >
  2. 県政・お知らせ情報 >
  3. 県政情報 >
  4. 情報公開・個人情報保護 >
  5. 三重県情報公開・個人情報保護審査会 >
  6. 答申 >
  7.  三重県情報公開審査会 答申第119号
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  総務部  >
  3. 情報公開課  >
  4.  情報公開班 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line
平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第119号

答申

1 審査会の結論

実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち「聴取内容」に該当する部分を非開示とした部分開示決定を取り消し、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成13年9月5日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「産業廃棄物処理業(特定法人)の安定型処分場のボーリング結果に関する報告書と三重県の指導などその後の対応がわかる文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成13年9月19日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

本件事業者は、安定型処分場を5区画に区分して、1区画づつ埋立をしていた。第1区画及び第2区画の埋め立てが終了し、第3区画の埋立を開始するにあたって、使用前検査の前に第3工区を数m深く掘り廃棄物を埋めて使用している事実が判明した。実施機関は、違法に埋立てた分を撤去せよと改善命令を発令した。命令をうけて事業者は改善し、すでに埋められたものを全量掘り出して改善命令は履行されたが、埋立終了している第1、2区画においても、計画より深く違法に埋立されている疑いもあったので、実施機関は事業者に自ら確認するよう指示した。

本件対象公文書はこの指示に基づき、事業者が自ら実施した第1工区と第2工区のボーリング調査の状況を記載した産業廃棄物監視指導業務日報(別紙1の公文書のとおり)であり、その内容は、大きく「立入状況(立入において確認した事項)」、「聴取内容(現地等で関係者から聴取した内容)」及び「指導事項(事業者に指導した内容)」に分けられる。このうち、本決定において実施機関が非開示としたのは、「聴取内容」であった。

4 実施機関の部分開示理由説明要旨

実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書は条例第7条第6号(事務事業情報)に該当し、部分開示が妥当というものである。

本件事業者は改善命令に忠実に従い、また、第1工区及び第2工区においても自らの潔白を証明するため行政指導に従い実施した調査である。改善命令はすでに履行されており、今回の第1工区と第2工区のボーリング調査結果からは使用前検査と相違するところがないので、違法性はないと判断している。この件に関しては、別途ボーリング調査結果も全て開示しているので、住民に不安を与えることもない。

また、異議申立人が主張している他の事案では産業廃棄物処理業者には自己情報として「聴取内容」を含めて全て開示しており偏頗的な運用をしているとの指摘については、被聴取者自身の発言内容が日報に誤って記載されていないか確認する機会を認めないと、今後の立入において聴取活動が難しくなるからである。

「聴取内容」は、現場にて事業者や従業員から聴取した内容であり、実施機関が今後の指導方針等を検討するうえで必要なものであるが、必ずしも職責を負った者の発言ではなく、また、聴取者も被聴取者に黙秘できる旨を伝えて聞いているわけではない。

したがって、開示すると事業者の反発や警戒心を招き、今後、産業廃棄物処理業者から効果的な聞き取り調査が困難になったり有効な情報を得られなくなるなど、将来同種の事務事業を適正に執行できなくなるおそれがある。

5 異議申立ての理由

異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈 運用を誤っているというものである。

本部分開示決定は、特定法人の産業廃棄物処分場の第1工区と第2工区で掘削予定深さの約10メートルを越えて、約18メートルの深さまで違法な埋立をした業者からの聴取内容であって違法行為のおそれのある弁解に関するものであり、開示することに高い公益性がある。けだし、三重県は、農業用水の水利権者らの再三再四にわたる違法掘削指摘の申し入れにもかかわらず、これを確かめる独自の掘削調査も実施せず、本件事業者の自主検査なるものに委ねてごまかそうとしている。

今回の事案では、当該事業者の第3工区で改善命令が発令されており、違法性が強く事業者が守られる利益はない。

実施機関は、開示すると産業廃棄物処理業者から効果的な聞き取り調査が困難になったり有効な情報を得られなくなるなどと危惧しているが、情報を公開しない悪質な事業者は淘汰されるべきであり、同種の事務事業を適正に執行できなくなるというのは行政の怠慢である。

また、実施機関は、他の事案では産業廃棄物処理業者には自己情報として「聴取内容」を含めて全て開示しており偏頗的な運用をしている。

このような態度は、環境省大臣官房が平成13年5月15日付けで発した「行政処分の指針について(通知)」に反する措置であり、三重県民の信頼を得られないばかりか、産業廃棄物処理業者との癒着行政そのものであって、不法埋立による環境破壊の一層の深刻化を招くものである。

よって、三重県の把握している「聴取内容」の開示をはじめとして、一切の違法情報を公開のうえ一刻も早い対処が望まれる。

6 審査会の判断

本件対象公文書について、実施機関は、条例第7条第6号(事務事業情報)に該当するので部分開示が妥当であると主張している。そこで、以下について判断する。

(1) 基本的な考え方について

条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第6号(事務事業情報)の意義について

本号は、県の説明責任や県民の県政参加の観点からは、本来、行政遂行に関わる情報は情報公開の対象にされなければならないが、情報の性格や事務・事業の性質によっては、公開することにより、当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものがある。これらについては、非公開とせざるを得ないので、その旨を規定している。

(3) 条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

産業廃棄物監視指導業務においては、立入検査権は認められているものの事業者及び関係者に供述を強要することまではできないため、聴取調査には対象者の協力が不可欠と言わざるを得ない。したがって、「聴取内容」を開示することにより、事業者や関係者との信頼関係を損ね、事業者の反発や警戒心を招き、将来の効果的な聴取調査が困難となるおそれや、将来関係者から有効な情報提供を得ることが困難となるおそれも否定できない。したがって、「聴取内容」の開示が、将来の同種の事務事業の適正な執行に著しい支障を生ずるおそれがあるとの実施機関の主張は理解できなくはない。

当審査会においても、従来は実施機関の上記主張を認め、将来にわたり事業者が行政指導等に適正に対応することが期待できないなど、実施機関の将来の情報収集活動に何ら影響を及ぼさないと認められるような特段の事情がある場合を除いては、「聴取内容」については非開示とすることもやむを得ないと判断してきたところである。

しかしながら、産業廃棄物処理施設等をめぐる諸問題は、人の生命、身体、健康に深く関係し、環境問題に対する住民の関心が日増しに高まっていることを勘案すると、これらに関して行政が保有している情報は、非常に公益性の高い情報であると言える。

また、実施機関は昨年12月から監視指導業務日報の「聴取内容」を「確認事項」として整理し、確証を得たものについて慎重に記載することにより開示できるよう努めていると説明している。本件対象公文書は、実施機関がこのような事務を行うようになった以前のものではあるが、「聴取内容」に記載されている情報のうち実施機関が確証を得た部分について開示をしたとしても、事業者の反発を招いたり、関係者からの情報収集が困難になるなど将来的に同種の事務事業の適正な執行に支障を生ずる可能性は極めて低いと言わざるを得ない。

このような状況を勘案すると、「聴取内容」を原則として非開示としてきた従来の運用を見直し、「聴取内容」も原則として開示すべきである。ただ、「聴取内容」の中には、内部告発のような情報も含まれていることも考えられ、そのような場合、情報提供者の氏名等を個人情報として非開示とするだけでは、情報提供者の保護に不十分な場合もあり、これを開示すれば、将来、従業員等関係者からの情報提供が期待できなくなるおそれがある。

したがって、このような情報については、開示することで将来の同種の事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある場合も考えられるので、そのような場合に限って、非開示を妥当とすべきである。

当審査会が本件対象公文書をインカメラで審理したところ、本件事案については開示することにより将来の当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれは認められない。よって、本件事案について、実施機関が「聴取内容」の部分を非開示としたことは妥当ではなく、開示すべきである。

(4) 結論

よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙2審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

本件対象公文書

(平成13年度)

平成13年 7月30日 産業廃棄物監視指導業務日報

平成13年 8月 1日 産業廃棄物監視指導業務日報

平成13年 8月 8日 産業廃棄物監視指導業務日報

平成13年 8月 9日 産業廃棄物監視指導業務日報

平成13年 8月24日 産業廃棄物監視指導業務日報

別紙2

審査会の処理経過

年月日 処理内容
13.10.10 ・諮問書の受理
13.10.11 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
13.11. 7 ・部分開示理由説明書の受理
13.11. 8 ・異議申立人に対して部分開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
13.11.13 ・口頭での意見陳述申出書の受理
14. 3. 1 ・書面審理
・実施機関の部分開示理由説明の聴取
・異議申立人の口頭意見陳述
(第148回審査会)
14. 4. 5 ・実施機関の部分開示理由説明の聴取(第2回目)
・審議
(第150回審査会)
14. 5.14 ・審議
(第152回審査会)
14. 5.21 ・審議
・答申
(第153回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
委員 山口 志保 三重短期大学法経科助教授

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000030857