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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第126号

答申

1 審査会の結論

実施機関は、本件異議申立の対象となった公文書のうち、徴収第3号様式(1)及び同様式(4)中延滞金計算基礎欄、滞納額欄、収納額欄(延滞金の消込に関する記載を除く。)については開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成13年12月26日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定法人の不動産取得税の延滞金の計算根拠がわかる資料」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成14年1月8日付けで行った非開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

実施機関の主張を総合すると、次の理由により、非開示決定が妥当というものである。

(1) 条例第7条第3号(法人情報)に該当

本件対象公文書である滞納整理カードに記載されている法人又は業を営む個人の滞納者名、滞納額、整理状況等のうち、法人等の団体に関する情報は、例えば経営方針、経理、人事等内部管理に関する情報であって、開示することにより、当該法人の事業活動が損なわれると認められるものが分かち難く含まれており、競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるため、非開示とした。

(2) 条例第7条第6号(事務事業情報)に該当

法人名のみであっても、税の情報は公にすることにより第三者からの貸付や債権回収など経済行為の判断材料となる。このことから資金調達力に影響が出たり、会社の存続自体ができなくなる等して、税の確保が困難になるおそれがある。

また、滞納者に関する情報には、質問検査権や滞納処分に関する調査などによる銀行や民間会社など滞納者以外の第三者が複雑に絡んでおり、開示することにより第三者からの情報を得られなくなる影響が大きい。滞納者に対しては強制的な手法は当然であるが、第三者からの情報取得の多くは公平、公正性や情報が漏れないという信頼関係のうえに成り立っているものである。

上記の理由から、開示することにより、税務行政の適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあり、条例第7条第6号に該当する。

4 異議申立ての理由

異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈運用を誤っているというものである。

  1. 実施機関が非開示とした情報は特定法人の延滞金の計算根拠に過ぎない情報であって、単なる数字情報に他ならないから、条例上の非開示理由には該当しない。
    なお、非開示決定通知書の備考欄には計算式が書いてあるが、始期と終期が明記されていないものであり、加工情報としても完全なものではない。

5 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(2) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることを定めたものである。法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる影響から県民等の生活又は環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報、及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる

(3) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

本件対象公文書に記載されている法人等の団体に関する情報は、例えば経営方針、経理、人事等内部管理に関する情報であって、開示することにより、当該法人の事業活動が損なわれると認められるものが分かち難く含まれており、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると実施機関は主張している。

一方、異議申立人は、実施機関が非開示とした情報は特定法人の延滞金の計算根拠に過ぎない情報であって、単なる数字情報に他ならないから、条例上の非開示理由には該当しないと主張している。

そこで、以下のとおり検討する。

滞納者の滞納する行為は、経済状況等種々の要因により発生するものであり、滞納法人を直ちに悪質な法人であると断ずることはできない。また、再建途上にある企業(法人)にとっては、滞納の事実が判明すると、取引先や融資元より取引条件の変更を求められたり、取引を停止されるなどの致命的な不利益をもたらす可能性が十分にあることから、一般的には、「滞納法人(業を営む個人も含む)名」を開示することは、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、本号に該当すると認められる。

しかしながら、本件事案に関しては、特定法人を名指ししたうえでの開示請求に対して、実施機関が本件対象公文書の存在を明らかにしたうえで本決定を行っている以上、「滞納法人名」は既に開示されているものと判断される。

さらに、本決定の際の決定通知書備考欄に、本件請求内容に対して当該法人の不動産取得税の延滞金の計算方法について情報提供していることから、本件対象公文書の全てを非開示とすることについては、適当でないと言わざるを得ない。

上述のとおり、滞納法人名が既に明らかとなっていると判断される以上、本件対象公文書中に記載の情報のうち、真に当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる情報以外の情報については、開示すべきである。

そこで、本件対象公文書の部分開示の可能性について以下のとおり検討する。

本件対象公文書である滞納整理カードは、その名称が「徴収第3号様式」となっており、後述のとおり(1)から(4)の大きく4つに分類することができる。

そのうち、(1)には、当該法人の住所、名称、電話番号が記載されているとともに、年度別に付された番号が記されている。上述のとおり、既に「滞納法人名」が開示されているものと認められる以上、非開示にすべき理由はないと言わざるを得ない。

(2)には「処理経過」が、(3)には「整理状況」が記載されており、滞納の処理状況等について記載されている。当該法人との直接のやりとりのみならず、関係者等からの聞き取り内容についても記載されており、これらの情報を開示すると当該法人の経営方針や内部管理情報等が明らかとなり、競争上の利益その他正当な利益を害するおそれがあることも否定できず、条例第7条第3号(法人情報)に該当すると判断される。また、(2)及び(3)の部分開示の可能性については、どの部分の開示であれば本号に該当しない情報であるかを判断することは極めて困難であり、部分開示になじまないと解すべきである。

次に、(4)には「誓約事項」、「延滞金計算基礎」、「滞納額」、「収納額」欄がある。これらのうち、「延滞金計算基礎」、「滞納額」、「収納額」については、本決定時の備考欄に記載され、既に情報提供されているものと同内容の情報が記載されているに過ぎない。本決定時の備考欄には、納付日について明らかにされておらず、いつの時点でいくら不動産取得税を収納したかについては、条例上の法人情報に該当するため非開示が妥当である旨実施機関は主張しているが、当該税の当初の納期限がいつであったかについては、本号に該当するとは言えない。

さらに、当初の納期限を非開示とすることが適当でないと認められる以上、既に本決定時の備考欄により情報提供されている情報から、「延滞金計算基礎」、「滞納額」、「収納額」欄に記載されている、いつの時点でいくら収納したかといった情報を推測することは可能であり、非開示にすべき理由はないと言わざるを得ない。

なお、「収納額」欄に記載されている「延滞金の消し込み」については、当該法人が、延滞金をいつ、いくら支払ったか判明することとなり、当該法人の資金計画等が明らかになる可能性があることから、本号に該当し、非開示が妥当である。また、本件対象公文書に添付されている、当該法人から提出された「誓約書」についても、当該法人の資金計画等が明らかになる可能性があることから、本号に該当し、非開示が妥当である。

(4) 条例第7条第6号(事務事業情報)の意義について

本号は、県の説明責任や県民の県政参加の観点からは、本来、行政遂行に関わる情報は情報公開の対象にされなければならないが、情報の性格や事務・事業の性質によっては、公開することにより、当該事務・事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものがある。これらについては、非公開とせざるを得ないので、その旨を規定している。

(5) 条例第7条第6号(事務事業情報)の該当性について

実施機関は、たとえ法人名のみであっても開示することにより、当該法人の資金調達力に影響がでたり、会社の存続自体ができなくなる等して、税の確保が困難になるおそれがあるとともに、情報が漏れないという信頼関係のうえに成り立っている第3者からの情報提供が得られなくなるおそれがあり、県税の確保ができなくなるなど県税事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると主張している。

確かに、税務に従事する職員は、個人のプライバシー性の高い情報や、法人の一般には知り得ない内部事情を聴取したうえで、滞納整理業務を行っており、当該情報を開示することにより、当事者等との信頼関係を損ね、反発や警戒心を招き、将来の効果的な情報の聴取が困難となるおそれや、納税者の納税意欲を阻害するおそれがあることは否定できない。

しかしながら、納税は国民の義務であり、最終的には、強制徴収権限も認められていることや、本件事案の場合当該情報を開示することが税務行政の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとは認めがたく、また、そのようなおそれがあることを客観的に明白に認め得る具体的な主張立証もないことからすると、実施機関の本号による非開示決定は妥当ではない。

(6) 結論

よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
14. 1.16 ・諮問書受理
14. 1.22 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
14. 1.30 ・非開示理由説明書受理
14. 2. 1 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
14. 2. 8 ・口頭意見陳述申出書の受理
14. 4.23 ・書面審理
・実施機関の非開示理由説明の聴取
・審議
(第151回審査会)
14. 5.14 ・異議申立人の口頭意見陳述
・審議
(第152回審査会)
14. 6. 4 ・審議
・実施機関の補足説明の聴取
(第154回審査会)
14. 7. 2 ・審議
・実施機関の補足説明の聴取
(第156回審査会)
14. 8. 6 ・審議
(第158回審査会)
14.10. 1 ・審議
・答申
(第160回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 三重短期大学法経科教授
※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
※委員 山口 志保 三重短期大学法経科助教授
委員 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授

なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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