現在位置:
  1. トップページ >
  2. 県政・お知らせ情報 >
  3. 県政情報 >
  4. 情報公開・個人情報保護 >
  5. 三重県情報公開・個人情報保護審査会 >
  6. 答申 >
  7.  三重県情報公開審査会 答申第142号
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  総務部  >
  3. 情報公開課  >
  4.  情報公開班 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line
平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第142号

答申

1 審査会の結論

本件異議申立ての対象となった公文書を非開示とした実施機関の決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成14年11月18日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「(1)マニュアル「管理人の仕事」、(2)特定県営住宅管理人の新任のための講習の日付が分かる文書、(3)平成9年から14年までの各年度4月1日時点の特定県営住宅の居住者名簿(特定居室の居住者人数が分かる部分)」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成14年11月25日付けで行った部分開示決定の取消しを求めるというものである。

なお、本件請求に対して、実施機関は上記(1)及び(2)に関する公文書を全面開示し、(3)に対する公文書(以下「本件対象公文書」という。)を非開示としている。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

実施機関の主張を総合すると、次の理由により、条例第7条第2号(個人情報)に該当し、非開示が妥当というものである。

本件請求に対して非開示としたのは、「管理台帳」、「公営住宅電算システムの入居者管理の名義人情報管理ファイル」及び「県営住宅入居者収入報告書」である。

居住者の名簿については、個人に関する情報であり、開示することにより特定の個人が識別されるため非開示が妥当であると判断した。また、特定居室の居住者人数が分かる部分については、当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあるため非開示と決定した。

異議申立人は、居住人数のみの開示であれば家庭の状況が推察されるというほどのものではなく、公益的な意味から公開すべきであるとしているが、居住者の名簿については、居住者及び連帯保証人の氏名・生年月日・職業等が記載されており、居住者の家族の状況が分かることから、これらの情報は保護されるべき個人の情報に該当すること、また、特定居室の人数についても、入居者の家族の状況の一部の情報であり、他の情報と組み合わせることにより、家庭の状況が推察されることになることから同様に保護すべき情報であると判断した。

4 異議申立ての理由

異議申立人の主張を総合すると、次に掲げる理由から、実施機関の決定は、条例の解釈運用を誤っているというものである。

県営住宅に不正入居者の事例があり、担当チームに申告したが不正入居の事実を是正しようとしない。開示請求は、居室別の居住人数のみの請求であり、居住人数のみの開示は家族構成により家庭の状況が推察されるというほどのものではないと考える。県営住宅の家賃は居住人の総合所得で算定されており、不正入居者を放置する行政は、家賃賦課の公平の見地から問題があると考えている。居住人数のみの開示は、不正入居者の申告にもつながり、行政の公平の実現に必要なことから、公益上開示されるべきである。

なお、実施機関は、非開示理由説明書の中で、「管理台帳」、「公営住宅電算システムの入居者管理の名義人情報管理ファイル」及び「県営住宅入居者収入報告書」の3件の公文書を特定しているが、これらは個人のプライバシーに属するものであり、このような公文書全体の開示を求めているのではない。「県営住宅入居者収入報告書」のうち、居室号数、住居者の姓(名は不要)、生年(月日は不要)、性別の部分のみを区分して開示されるべきである。実施機関が居住者の名簿全体を非開示としたのは、開示請求内容を拡大解釈しての理由付けに過ぎない。

5 審査会の判断

本件対象公文書について、実施機関は、条例第7条第2号(個人情報)に該当するので非開示が妥当であると主張している。そこで、以下について判断する。

(1)基本的な考え方

条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。情報公開条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

本号は、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨の規定であり、プライバシー保護のための非開示条項として、個人の識別が可能な情報か否かによると定めたものである。

しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。そこで、個人識別情報を原則非開示としたうえで、個人の権利利益を侵害せずに非開示にする必要のないもの、及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優先するため開示すべきものをただし書で例外的事項として列挙する個人識別情報型を採用している。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

実施機関は、本決定において、「管理台帳」、「公営住宅電算システムの入居者管理の名義人情報管理ファイル」及び「県営住宅入居者収入報告書」の3件の公文書を特定し、非開示としているが、異議申立人は当審査会あてに提出した意見書及び審査会における意見陳述において、求めている情報は特定居室の居住者人数が分かる部分のみであるとしたうえで、「県営住宅入居者収入報告書」のうち、居室号数、住居者の姓(名は不要)、生年(月日は不要)、性別の部分のみの開示を求めている。したがって、当審査会は、異議申立人が開示を求めている部分に限定して、以下のとおり判断する。

異議申立人は、本件請求に際して、特定の居室を明示していることから、特定の個人が識別される情報を求めているものであり、本号本文に該当することは明らかである。

次に、本号ただし書きイ及びロ、並びに条例第10条の該当性についてそれぞれ検討する。

本号ただし書きイでは、「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」を保護すべき個人情報から除外している。住民基本台帳法によれば同法第11条第1項に基づき、住所、氏名、生年月日及び性別については何人でも閲覧を請求できることから、法令の規定により既に公にされている情報であると考えられなくもない。

しかしながら、住民基本台帳は、「個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して」作成されているものであり、例えば同一の所在地に複数の世帯が居住している場合もあるなど、異議申立人が求めている情報が、必ずしも同法の規定に基づき何人でも容易に入手できる情報と同一のものであるとまでは言えない。よって、既に公にされている情報であるとまで断言することはできず、本号イには該当しないと判断すべきである。

異議申立人は、県営住宅への不正入居防止にもつながり、行政の公平の実現に必要なことから、これらの情報は公益上開示されるべきである、と主張しているので、本号ただし書きロ及び第10条の該当性について、以下のとおり判断する。

確かに、県営住宅は県民に対して公平な条件に基づき運営されるべきであり、入居の条件や家賃の算定についても一定のルールに基づいた運用が求められるのは言うまでもない。不正入居の疑いがあるのであれば、行政が確認し、事実であればそれを是正する措置が講じられなければならないのは当然である。

また、県民が不正入居の事実を明らかにする目的で、これらの情報を求められているのであるから、公益上開示されるべきである、という異議申立人の主張も理解できなくはない。

しかしながら、本制度は目的を問わず何人に対しても等しく情報を公開することを趣旨としており、昨今の個人情報保護に対する国民の意識の高まりにかんがみれば、異議申立人が開示を求めている特定の個人を識別できるこれらの情報が、何人にも等しく公開されるべきであるとするほどの公益上の必要があるとまでは言えない。よって、公益上開示すべきであるという異議申立人の主張を認めることはできない

(4)結論

よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
14.12.25 ・諮問書受理
14.12.27 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
15. 1.16 ・部分開示理由説明書受理
15. 1.17 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
15. 2. 6 ・異議申立人からの意見書受理
15. 4.18 ・書面審理
・実施機関の非開示理由説明の聴取
・異議申立人の口頭意見陳述
・審議
(第172回審査会)
15. 5. 9 ・審議
・答申
(第174回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 早川 忠宏 弁護士
※委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
※委員 冬木 春子 三重短期大学生活科学科助教授
会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 渡辺 澄子 松阪大学短期大学部教授
委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授

なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000030881