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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第222号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成16年8月26日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「津地裁平成16年(行ク)第1002号に関するすべての文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年10月7日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、「準備書面(平成16年6月23日付け)」及び「強制執行停止決定の申立陳述書」(以下「本件対象公文書」という。)である。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書中の非開示部分は条例第7条第2号(個人情報)に該当し、非開示が妥当というものである。

○条例第7条第2号(個人情報)に該当

 訴訟記録については、民事訴訟法第91条第1項に基づき、何人に対しても閲覧が可能であるので、条例第7条第2号ただし書イに該当し原則として開示すべきとなるが、何人も閲覧可能な訴訟記録であっても民事訴訟法第92条及び個人情報保護条例等の趣旨に照らし、訴訟記録に含まれる個人情報が私生活についての重大な秘密が記載され、個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあると判断される場合は、条例第7条第2号の規定により非開示とすべきであり、本決定において非開示とした個人に関する情報(以下「非開示情報」という。)は、当該非開示とすべき情報に該当すると判断し非開示とした。

5 異議申立ての理由

 異議申立人は、次に掲げる理由から実施機関の決定は、条例の解釈・運用を誤っているというものである。

 三重県情報公開条例第15条において、非開示理由の記載を義務付け、しかも、その記載は自己完結的に行うべき義務を課しているのは、開示請求者が非開示の当・不当の判断を可能にするために規定されているというべきである。実施機関が非開示とした理由を説明した記載自体からは、どのような個人のプライバシーなのかわからず、当・不当の判断を行うのは不可能である。また、非開示部分とされている箇所が広範囲であり、非開示部分は最小限にとどめるべきである。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 よって、当審査会は、この点について情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 
 
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示としたのは、個人のプライバシーに関する情報である。

 実施機関は、民事訴訟法第91条第1項により何人も閲覧することができる訴訟記録であっても、同法第92条及び個人情報保護条例等の趣旨に照らし、訴訟記録に含まれる個人情報が私生活についての重大な秘密が記載され、個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあると判断したと主張している。

 他方、異議申立人は、非開示部分とされている箇所が広範囲であり、非開示部分は最小限にとどめるべきであると主張している。

 非開示部分の範囲については、当審査会がインカメラ審理により見分したところ、非開示の情報について広範囲に表現されていると認められ、実施機関が非開示とした範囲を不当と言うことはできない。

 また、非開示情報は、個人に関する情報で、特定の個人が識別され得るものであって、本号本文に該当することは明らかと認められる。

 次に、本号ただし書について検討する。

 確かに、訴訟記録については、民事訴訟法第91条第1項に「何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。」と規定され、訴訟記録の閲覧の請求が認められている。

 しかし、民事訴訟法第92条には、秘密保護のための閲覧等の制限について定められており、同条第1項第1号に「訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載され、又は記録されており、かつ、第三者が秘密記載部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあること。」との事由が規定され、この事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当事者の申立てにより、訴訟記録中秘密が記載され、又は記録された部分の閲覧等の請求をすることができる者を当事者に限ることができる旨が、定められている。

 非開示情報は、私生活についての重大な秘密であって、民事訴訟法第92条第1項第1号の事由に該当するおそれのある情報と認められる。このような情報は、本号本文で保護する必要性の高いものであり、また、民事訴訟法第92条第1項により閲覧等の制限が行われる可能性のある情報であって、本号ただし書イの情報すなわち「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に含めるべきとは考えられない。

 また、非開示情報は、本号ただし書ロの情報すなわち「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとも認められない。

 よって、非開示情報は、本号本文に該当し非開示が妥当である。

(4) 本決定の理由付記について

 条例第15条には、「実施機関は、第12条各項の規定により開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときは、開示請求者に対し、同条各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合においては、開示しないこととする根拠規定を明らかにするとともに、当該規定を適用する根拠が当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。」との規定があり、全然理由を付さなかったり、理由らしき理由を付さなかったときは、決定に形式上の瑕疵があるとされる。

 異議申立人は、非開示とされている箇所が広範囲であり、開示しない理由とされている部分にどのように該当するか説明がなく、非開示の当・不当を判断するのは不可能であり、非開示理由を説明した記載自体からは、どのような個人のプライバシーなのかわからないと主張している。

 他方、実施機関は、非開示情報の属性等を説明すれば、記載内容が類推されてしまい、非開示とした意味がなくなるおそれがあることから、あえて具体的な説明をしなかったものであり、情報公開制度の運用上やむを得ないと主張している。

 本決定の通知書において「上記部分を開示しない理由」欄に非開示部分を「個人のプライバシーに関する情報」と記載したことについて、当審査会がインカメラ審理により見分したところ、非開示部分について、さらに具体的な属性を説明することによって、事実上非開示情報が判ってしまうおそれがあると言わざるを得ない。

 したがって、実施機関が非開示部分を「個人のプライバシーに関する情報」と記載したことは不当とは言えず、また、条例第7条第2号は、個人識別情報型を採用しており、この号に該当する場合は、詳細な理由の記載は省略することができると考えられることから、本決定の理由付記は不当とは言えない。

(5) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
16.10.22 ・諮問書の受理
16.10.28 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
16.11.10 ・非開示理由説明書の受理
16.11.15 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提 出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
17. 9. 9 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明 
・審議                 
(第229回審査会)
17.10.14 ・審議                 
(第231回審査会)
17.11.11  ・審議
・答申                 
(第233回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
委員 渡辺 澄子 三重中京大学短期大学部教授
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
※委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
※委員 竹添 敦子 三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。(豊島委員は、平成17年9月まで当部会の構成員であった。早川委員は、平成17年10月から当部会の構成員となった。)

本ページに関する問い合わせ先

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津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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