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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第224号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成16年10月29日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「四日市農政商工部が発注した鈴鹿川井尻頭首工における魚道設置工事について設計段階から工事契約後の時点までの全ての文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成16年11月12日付けで行った部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書は、「地域公募型指名競争入札参加届出書」、「閲覧カード」、 「落札決定について」及び 「工事請負契約の締結(支出負担行為)について(伺い)」(以下「本件対象公文書」という。)である。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書中の非開示部分は条例第7条第2号(個人情報)、条例第7条第3号(法人情報)に該当し、非開示が妥当というものである。

○条例第7条第2号(個人情報)に該当

 「地域公募型指名競争入札参加届出書」中の技術者等の最終学歴、卒業年月日、本籍、生年月日、住所及び雇用保険被保険者証(全面非開示)、「閲覧カード」中の閲覧者氏名、「工事請負契約の締結(支出負担行為)について(伺い)」中の技術者等の現住所、生年月日、学歴、印影及び本籍は、開示することにより特定の個人が識別され得るため。

○条例第7条第3号(法人情報)に該当

 「落札決定について」中の明細書の単価及び金額、「工事請負契約の締結(支出負担行為)について(伺い)」中の解体工事に要する費用、再資源化に要する費用、再資源化等をする施設の名称及び所在地は、開示することにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

5 異議申立ての理由

 公正な契約入札であれば何ら部分開示とすることはない。

 建設業法が定めている規定及び、「指名願い」に添付すべき書類に記載された個人情報は全面公開が当然である。「責任技術者」が、直前3ヶ月間に直接雇用したという証拠書の添付の義務付けは、「虚偽申請」を排除するための方策であるが、これを非開示とすることは、「資格審査」の信用性を損ない、契約の正当性を損なうものである。

 また、「見積書」価格は、実際の取引価格とは言えないから、公開しても何等差し支えないもので、単に「談合」していないとする証拠として出されたものであるなら、積極的に公開すべきである。当該業者と取引の有る業者から苦情の申し出があるわけでもなく、系列下請け会社が公開によって、自社の価格の偽装や、不当性が明らかにされることになれば、当該元請け会社の違法性・虚偽申告の実態が明るみになることによって、不正や、違法行為が防止できる効果がある。そのことによって公共事業の透明性の確保や品質の向上が図られるなら効果は大きい。それを「非開示」とすることによる県民の損失や公益が損なわれることのマイナスこそ問題である。

 再資源化に要する費用は、公金の支出を伴うものであるから、積算価格や工事費明細を全面公開している三重県の公共事業においてこの部分だけを非開示にする理由は一切見当たらない。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、この点について情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 

 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号(個人情報)に該当するとして非開示としたのは、「地域公募型指名競争入札参加届出書」中の現場代理人、主任技術者又は監理技術者の最終学歴、卒業年月日、本籍、生年月日、住所及び雇用保険被保険者証(全面非開示)、「閲覧カード」中の閲覧者氏名、「工事請負契約の締結(支出負担行為)について(伺い)」中の現場代理人、主任技術者又は監理技術者の住所、生年月日、学歴、印影及び本籍である。

 実施機関は、これらの非開示とした情報は、特定の個人が直接又は間接に識別される情報であり、また、本号ただし書にも該当しないことから、非開示が妥当と主張している。

 他方、異議申立人は、公正な契約入札であれば何ら部分開示とすることはなく、建設業法が定めている規定及び、「指名願い」に添付すべき書類に記載された個人情報は全面公開が当然であり、また、雇用保険被保険者証を非開示とすることは、「資格審査」の信用性を損ない、契約の正当性を損なうものであると主張している。

 最初に閲覧者氏名について検討する。

 「閲覧カード」は、入札前に工事仕様書の閲覧希望者が閲覧時に閲覧日、閲覧者の会社名、氏名等を記入するものである。閲覧者氏名は、特定の個人が識別されるものとして本号本文に該当することは明らかである。また、この「閲覧カード」は、他の閲覧者等が自由に閲覧できるものではなく、本号ただし書イ、ロの情報にも該当しないことから、非開示が妥当である。

 次に現場代理人、主任技術者又は監理技術者の最終学歴、卒業年月日、本籍、生年月日、住所、雇用保険被保険者証及び印影について検討する。

 最終学歴、卒業年月日、本籍、生年月日、住所及び印影については、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当すると認められる。また、雇用保険被保険者証には、被保険者番号、確認(受理)通知年月日、被保険者となった年月日(被保険者区分変更年月日)、氏名、取得時(変更後)被保険者種類・区分、勤務先の事業所名、転勤の年月日及び交付年月日も載っており、これらの情報は、本号本文に該当するものと言える。

 ところで、建設業の許可申請等に係る提出書類について、建設業法第13条の規定により公衆の閲覧に供されており、監理技術者や主任技術者となる者について、氏名、生年月日及び勤務先の事業所名(以下「氏名等」という。)の情報が閲覧に供されるべきとされている。しかし、最終学歴、卒業年月日、本籍、住所、印影、被保険者番号、確認(受理)通知年月日、被保険者となった年月日(被保険者区分変更年月日)、取得時(変更後)被保険者種類・区分、転勤の年月日及び交付年月日(以下「最終学歴等」という。)は、閲覧に供されている情報ではない。

 したがって、最終学歴等は、閲覧に供されているのではないから、本号ただし書イの情報すなわち「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するとは言えない。また、本号ただし書ロの情報すなわち「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとも認められない。

 監理技術者、主任技術者となる者の氏名等については、上述のように建設業法の規定により閲覧に供されるべき情報であるから、本号ただし書イに該当すると考えられる。

 以上のことから、監理技術者、主任技術者となる者の最終学歴等は、本号本文の個人に関する情報に該当し、同号ただし書の情報には該当するとは認められないことから、非開示が妥当である。また、現場代理人については、最終学歴等に加え、生年月日も同号ただし書の情報には該当するとは認められないから、非開示が妥当である。

 しかし、監理技術者、主任技術者の氏名等については、本号ただし書イの情報に該当し、開示すべきである(現場代理人と主任技術者又は監理技術者とが同一人である場合は、現場代理人の生年月日についても開示すべきである。)。

 なお、上記の結果、本件事案の雇用保険被保険者証については、被保険者番号、確認(受理)通知年月日、被保険者となった年月日(被保険者区分変更年月日)、取得時(変更後)被保険者種類・区分、転勤の年月日及び交付年月日の各欄を除き開示すべきである。

(4) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。

 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは著しく不当な事業活動によって生ずる支障から県民の生活を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に公開が義務づけられることになる。

(5) 条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号(法人情報)に該当するとして非開示としたのは、「落札決定について」中の入札の際に特定の法人から提出された工事費見積書のうち、明細書1号から明細書23号までの各明細書(明細書20号を除く。以下同じ。)の単価及び金額、「工事請負契約の締結(支出負担行為)について(伺い)」中の建設工事請負契約書に添付されている「別添 解体工事に要する費用等」(以下「別添文書」という。)のうち、「(1)解体工事に要する費用」及び「(2)再資源化に要する費用」の金額、「(4)再資源化等をする施設の名称及び所在地」の特定の施設の名称及び所在地である。

 最初に明細書1号から明細書23号までの各明細書の単価及び金額について検討する。

 実施機関の説明によると、入札参加者に提示を求めた工事費見積書は、レベル3(種別)までの設計内訳であるが、特定の法人のみから明細書の提示があった。実施機関は、これら明細書に記載されている単価及び金額は特定の法人が独自に算出したものであって、これらの情報を開示すると、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、また、本号のただし書にも該当しないことから、非開示が妥当であると主張している。

 他方、異議申立人は、「見積書」価格は、実際の取引価格とは言えないから、公開しても何等差し支えないもので、単に「談合」していないとする証拠として出されたものであるなら、積極的に公開すべきであり、また、当該業者と取引の有る業者から苦情の申し出があるわけでもなく、系列下請け会社が公開によって、自社の価格の偽装や、不当性が明らかにされることになれば、当該元請け会社の違法性・虚偽申告の実態が明るみになることによって、不正や、違法行為が防止できる効果があると主張している。

 そこで、当審査会において明細書1号から明細書23号までの各明細書に記載の項目名(工種又は使用材料等)を確認したところ、明細書1号にある項目名には、魚道工が4項目にわたって記載されているが、これらの項目は、入札参加者に提示を求めた工事費見積書のレベル3と同等のレベルであることが判明し、また、項目個々の金額も大括りなものであることから、これらの実施機関が非開示とした情報を開示したからといって、法人の正当な利益を害するとは認められない。

 また、明細書1号の開示に伴い、そこに記載されている金額が明らかになることから、明細書1号に記載されている金額と同じ金額が記載されている明細書2号から明細書8号までの各明細書毎の合計金額を開示しても、法人の正当な利益を害するとは認められない。

 ところで、明細書2号から明細書23号までの各明細書の項目名は、レベル3よりさらに詳細な工種や使用材料等が記載されており、数量とともに開示されている。

 よって、これら明細書の単価及び金額(明細書2号から明細書8号までの各明細書毎の合計金額を除く。)を明らかにすれば、当該法人がどの項目をいくらで実施する予定であるという当該法人が独自に算出した詳細な工事費や使用材料費が容易に判明することとなり、これらの情報を開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、本号本文に該当する。

 また、これらの単価及び金額は、本号ただし書に掲げる情報にも該当しないため、非開示が妥当である。

 したがって、特定の法人から提出された工事見積書のうち、明細書1号の単価及び金額、明細書2号から明細書8号までの各明細書毎の合計金額については、開示すべきである。

 次に別添文書のうち、「(1)解体工事に要する費用」及び「(2)再資源化に要する費用」の金額、「(4)再資源化等をする施設の名称及び所在地」の特定の施設の名称及び所在地について検討する。

 当該工事の建設工事請負契約書の「7 解体工事に要する費用等」の項目には、建設工事が、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)(以下 「建設リサイクル法」という。)第9条第1項に規定する対象建設工事の場合は、別添(別添文書の様式)に記入することとなっている。

 確かに、この別添文書に記載されている情報は、請負者と解体工事及び再資源化に係る私企業間の契約等の情報の一部でもあり、これらの情報を開示すると、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとの実施機関の主張は理解できないわけではない。

 しかし、当該工事は、建設リサイクル法に基づき、特定建設資材の分別解体等及び再資源化等の実施について適正な措置を講ずることとなっており、また、「三重県公共建設工事における分別解体等・再資源化等実施要領」(以下 「実施要領」という。)においては、別添文書の様式に記入する内容について、契約締結時に発注者と請負者の間で確認した事項を請負者が記入し、この際には、「(1)解体工事に要する費用」及び「(2)再資源化に要する費用」については、積算上の費用に対して大幅に差違がないかを留意して確認することとなっている。つまり、別添文書は、建設リサイクル法及び実施要領の趣旨を鑑みれば、解体工事及び再資源化に必要な費用をかけ、適正な措置が行われるのかを確認するためのものと考えられる。また、「(1)解体工事に要する費用」及び「(2)再資源化に要する費用」は、金額のみの開示であれば法人情報性が希薄であり、開示したからといって、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められない。

 したがって、建設工事請負契約書に添付されている別添文書のうち、「(1)解体工事に要する費用」及び「(2)再資源化に要する費用」の金額については、開示すべきである。

 しかしながら、特定建設資材の再資源化施設間における競争があることは否定できず、「(4)再資源化等をする施設の名称及び所在地」の特定の施設の名称及び所在地は、開示することよって、私企業間の取引関係を開示することとなり、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、本号本文に該当する。

 また、本号ただし書にも該当しないため、非開示が妥当である。

(6) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
16.12. 1 ・諮問書の受理
16.12. 3 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
16.12.24 ・非開示理由説明書の受理
16.12.27  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提 出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
17.10.18 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                 
(第232回審査会)
17.11.15 ・審議                 
(第234回審査会)
17.12. 6  ・審議
・答申                 
(第235回審査会) 

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 豊島 明子 三重大学人文学部助教授
※委員 渡辺 澄子 三重中京大学短期大学部教授
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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