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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第262号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、当審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成17年9月12日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の社会福祉法人に対する最新(直近)の監査に関する一切の情報」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成17年9月26日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)うち、当該開示請求に係る社会福祉法人(以下「本件社会福祉法人」という。)の役員名簿における役員等(理事、監事、評議員)の住所を非開示とした部分、並びに本件社会福祉法人が経営する介護老人保健施設(以下「本件介護老人保健施設」という。)の職員名簿における職員の職名、性別、年齢、最終学歴、免許・資格等、平成16年4月の給料の号級及び月額、平成17年4月の給料の号級及び月額を非開示とした部分の取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、本件社会福祉法人の役員名簿及び本件介護老人保健施設の職員名簿である。

4 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

○ 条例第7条第2号(個人情報)に該当

 役員等(理事、監事、評議員)の年齢、住所(理事長を除く)、職業、履歴及び親族関係並びに職員の職名、氏名、性別、年齢、最終学歴、免許・資格、給与等は、個人に関する情報であり、特定の個人が識別され、又は識別され得る。また、開示することで、私生活上の権利、利益を害するおそれがある。

5 異議申立て理由

 本決定は、「公開しない理由」がないにもかかわらずなしたもので、違法である。

 本件社会福祉法人は、施設における法定の職員数の最低基準を下回っているなど問題の多いところであり、そのような確認ができるような開示を求める。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。

 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。

 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。

 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないことととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 本件異議申立てに関して、実施機関が本決定において本号に該当し非開示にすると通知した情報は、本件社会福祉法人の役員名簿における役員等(理事、監事、評議員)の住所並びに本件介護老人保健施設の職員名簿における職員の職名、性別、年齢、最終学歴、免許・資格等、平成16年4月の給料の号級及び月額、平成17年4月の給料の号級及び月額である。

 まず、本件社会福祉法人の役員名簿における役員等(理事、監事、評議員)の住所の本号該当性について検討する。

 実施機関は、本件社会福祉法人においては、理事長(代表理事)の住所のみが登記され、他の役員等の住所は公にされていないため、役員等(理事、監事、評議員)の住所を非開示にしたと主張している。

 一般に法人の役員の住所は、条例第7条第2号本文に規定する「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され得る情報」であるところ、本件社会福祉法人の理事長以外の役員等の住所は、法人登記等により公にされていないから、同号ただし書イの「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当しない。また、同号ただし書ロに規定する「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとも認められないから、これらの情報を本号に該当するとして非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

 次に、本件介護老人保健施設の職員名簿における職員の職名、性別、年齢、最終学歴、免許・資格等、平成16年4月の給料の号級及び月額、平成17年4月の給料の号級及び月額(以下「職員非開示情報」という。)等の本号該当性について検討する。なお、職員の氏名が非開示とされていることについては異議が申し立てられていないため、判断しない。

 実施機関は、職員非開示情報を開示すると、既に本決定により開示している採用年月日と組み合わせることにより、たとえ氏名を非開示にしていても、当該介護老人保健施設の内部の情報を知っている者からみれば、特定の個人が識別されるため、非開示にしたと主張している。

 そこで、当審査会が本件介護老人保健施設の職員名簿をインカメラ審理により見分したところ、当該名簿の1枚目から3枚目までには、同一の職名を有する複数の職員の氏名、採用年月日、職員非開示情報などが印字されており、4枚目には、それぞれ1人しかいない職名を有する職員の氏名、採用年月日、職員非開示情報などが印字されているとともに、複数の個人について氏名、任免に関する情報、給料に関する情報が手書きで記載されていた。ただし、手書きで記載された任免に関する情報は、本決定において非開示部分として通知されていない。

 一般に特定の事業所の職員が有する免許・資格、給料月額は公にされていないため、これを開示しても、一般人が通常の方法によって入手し得る情報と組み合わせることにより特定の個人を識別することができるものとは認められない。ただし、本件介護老人保健施設のように不特定多数の利用者が継続的に利用する事業所においては、同じ職名を有する職員が複数いる場合には、職員の性別、年齢、最終学歴を開示することにより、不特定の利用者が特定の職員個人を識別し得るものと認められる。したがって、本件介護老人保健施設の職員名簿の1枚目から3枚目までにおける職員非開示情報のうち、職名、免許・資格等、平成16年4月の給料の号級及び月額、平成17年4月の給料の号級及び月額については、これを開示しても特定の個人が識別されないから本号に該当せず、開示すべきであるが、性別、年齢、最終学歴は、本号本文に該当し、本号ただし書イ又はロのいずれにも該当しないから、非開示とすることが妥当である。

 これに対し、本件介護老人保健施設の職員名簿の4枚目に印字された情報のように、特定の職名を有する者が1人しかいない場合には、職員の性別、年齢、最終学歴だけでなく、その職名又は免許・資格等を開示することによっても、特定の職員個人が識別される可能性は否定できない。しかし、これらの職名に係る職は、本件介護老人保健施設の性質上置かれていることが当然な職であり、当該職名及びその職に必要とされる免許・資格等は開示すべきであるが、反面、給料の号級及び月額等の情報は、特定の職員個人が識別された場合に当該個人の権利利益を害するおそれがあり、非開示とすることが妥当である。したがって、本件介護老人保健施設の職員名簿の4枚目に印字された職員非開示情報のうち、職名及びその職に必要とされる免許・資格等については、本号に該当せず、開示すべきであるが、性別、年齢、最終学歴、その職に必ずしも必要でない免許・資格等、平成16年4月の給料の号級及び月額、平成17年4月の給料の号級及び月額は、本号本文に該当し、本号ただし書イ又はロのいずれにも該当しないから、非開示とすることが妥当である。

 また、本件介護老人保健施設職員名簿の4枚目に手書きで記載された情報のうち、任免に関する情報、給料に関する情報については、これを開示しても特定の個人が識別されないから本号に該当せず、開示すべきである。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会からの意見

 当審査会の結論は以上のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。

 異議申立人は異議を述べていないが、実施機関が本件社会福祉法人の役員名簿において非開示とした情報のうち「親族等(続柄)特殊関係者」欄は、役員(理事及び監事)が社会福祉法(昭和26年法律第45号)第36条第3項(欠格要件)の規定もあることから、具体的な個人の氏名などが記載されていない限り、開示すべきであったと考える。

8 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年月日 処理内容
17.11.26 ・諮問書の受理
17.11.30 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
17.12.20 ・非開示理由説明書の受理
17.12.22  ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
19. 1.17 ・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議                
(第261回審査会)
19. 2.14 ・審議
・答申                
(第263回審査会)

三重県情報公開審査会委員

職名 氏名 役職等
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※会長職務代理者 早川 忠宏 弁護士
※委員 藤野 奈津子 三重短期大学助教授
※委員 丸山 康人 四日市大学総合政策学部教授
委員 伊藤 睦 三重大学人文学部助教授
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 渡辺 澄子 元三重中京大学短期大学部教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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