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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第5号

答申

1 審査会の結論

 「環境影響評価の実施に関する通知書」については、実施機関が行った非開示部分のうち、担当者連絡先の氏名、市町村の字名、河川名、位置図、調査地点図、事業者の住所、氏名及び印影、調査担当機関名、担当者連絡先の所属名及び電話番号を除き開示すべきである。

2 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、平成2年9月7日、三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った「環境影響評価の実施に関する通知書」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事が平成2年9月21日付けで行った部分開示決定の取消しを求めるというものである。

2 異議申立ての理由

 異議申立人が、異議申立書、実施機関の部分開示理由説明書に対する意見書及び口頭による意見陳述で主張している異議申立ての主たる理由は、次のように要約される。

 雲出川流域には多数のゴルフ場開発計画があるという噂を聞いて飲料水の問題など不安を感じる。しかし、市町村や県から情報を得ようとしても、設計協議以前のゴルフ場開発については国土利用計画法(以下「国土法」という。)の守秘義務を理由に情報が得られない。
 個人についての情報や事業者、調査担当機関名が知りたい訳ではなく、開示を求めたいのは面積・ホール数・関係市町村名であり、それらまで非開示にする必要はないと思う。
 本請求に対して、県は国土法の通知に基づくとして多くの部分を非開示にしているが、他方で、県が参画している事業計画については、県庁で事業者が、事業内容を発表・宣伝することを許している。両者の対応の差に矛盾を感じる。
 事業者が、広範囲の開発を行うには、広く住民に情報を提供し、理解を求めることが必要である。

条例第8条第2号(法人情報)に該当しないことについて
 指定事業等の予定の場所、指定事業等の計画の概要、環境に影響を及ぼすおそれがあると認められる市町村名については、公開しても、即、地権者や事業者の競争上の地位その他正当な利益、及びプライバシーを害することにはならないと思われる。
 また、用地買収とのからみで計画は刻々と変化するものであり、最も早く県に提出される本件通知書に記載されている計画内容は公開すべきであって、非開示とすることは納得できない。

条例第8条第2号ただし書きに該当することについて
 現在、ゴルフ場の乱開発とその環境汚染が社会問題になっている。山の木を伐採することによる保水力の低下・洪水の心配・水脈の変化・地下水の減少等によって下流で安定した一定量の水を取水している水道事業体などへの重大な影響を与えることを考えれば、ゴルフ場開発は、住民の生命、身体、健康の源たる水の量への危機さえ含んでおり深刻な問題である。
 また、土壌改良剤を使用することによる下流への影響、農薬散布による付近に住む者への健康に対する影響等周辺住民に及ぼす影響は多大である。従って、本件情報が仮に条例第8条第2号にいう法人情報に該当するとしても、人の生命、身体及び健康を保護するため、本号ただし書きにより、開示することが必要である。

条例第8条第3号(国等協力関係情報)に該当しないことについて
 美里村では、「美里村議会だより」の中で、住民にゴルフ場の計画をオープンしており、また、某企業が計画している○○開発事業は、事前協議承認前に、事業計画を公表しているものも見られることから、本号による非開示は納得できない。

3 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、部分開示としたというものである。

1 条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 担当者連絡先の項中、個人の氏名の部分は、個人に関する情報であり、開示すると特定の個人が直接識別され得ることは明白である。
 なお、本号ただし書イの法令の規定により、何人でも閲覧できるとされている情報及びただし書ロの公表を目的として作成し、又は取得した情報に該当するものではない。また、ただし書ハの個人のプライバシーと公益とを比較衡量し、公益を優先させて開示することが必要のある場合にも該当しない。

2 条例第8条第2号(法人情報)の該当性について

 事業者の住所、氏名及び印影、指定事業等の規模、実施予定の場所、目的及び計画の概要、並びに位置図については、事業計画の根幹となる事項である。また、関係市町村名及び調査河川名等は、事業実施予定の場所を特定ないし推測させるものであり、開示すると土地の高騰等土地取引に支障が生じ、計画の変更あるいは断念等が予想され、法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると考えられ、開示できないものである。
 また、調査機関名、担当者連絡先の項中の所属及び電話番号の部分は、事業の取引内容に関する事項であり、開示すれば法人の競争上の地位その他正当な利益を害するものと判断した。

3 条例第8条第2号ただし書きの該当性について

 農薬等の使用に関しては、本件対象公文書では具体的に示されているものではなく、計画があることをもって直ちに人の生命、身体及び健康に危害を生ずる蓋然性があるとは言えないものである。
 よって、法人の事業活動に起因して、現に発生しているか、又は将来発生するであろうことが確実である危害から人の生命、身体及び健康を保護するため、開示することが必要であると認められる情報とは言えない。
 また、ゴルフ場開発自体は、都市計画法等において否定されたものではなく、本件ゴルフ場開発計画についても、三重県独自の「ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱」に従っているものであることから、違法又は著しく不当な事業活動とは考えられず、ただし書きには該当するものではない。

4 条例第8条第3号(国等協力関係情報)の該当性について

 本件対象公文書は、環境影響評価を行う旨の通知であるが、内容的に土地取引に係る事項と共通する事項を多く含んでいる。
 土地取引に係る届出書の公開について、国は、「本来私人が排他的に管理すべき資産、財産運営上の情報又は個人のプライバシーに関する情報であり、そもそも一般に公開されるべき性格のものではなく、また、このような情報が一般に公開されることは、行政側と届出をした者との信頼関係を損ない、国土法の的確な運用に重大な支障を及ぼすおそれがある」として、土地取引に係る当事者名、土地の所在及び面積、利用目的等は、非公開として取り扱われるべきものであるとしている。
 本件対象公文書は、国土法の届出そのものではないが、前述のとおり、内容的に土地取引に係る事項と共通する事項を多く含んでおり、国土法に関係する大規模土地取引等事前協議申出書で非開示としている内容を、本件対象公文書で開示するということは、行政上問題を生じるとともに、国の指導に抵触し、国との協力関係が著しく損なわれるので非開示とすべきである。

4 審査会の判断

1 本件対象公文書の性格について

 本件対象公文書は、環境影響評価を行おうとするときに、事前に事業者が知事及び関係市町村長に通知をするものであり、当該通知書が県に提出された際に、事業者に対して手続き並びに調査、予測及び評価の方法などの技術的事項について十分周知をさせ、調査項目、調査方法等の不備による調査のやり直しを防止し、適切な審査の実施を図るために提出させているものである。
 また、本件通知書の届出は、「ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱」又は「大規模土地取引等に関する事前指導要綱」の規定に基づく事前協議の申出書が市町村長において受理された後に行うものであり、ゴルフ場の開発及び土地取引に関する事務事業と密接な関連を有している。
 なお、本件対象公文書は、1環境影響評価の実施に関する通知書、2位置図、3環境影響評価実施計画書からなっている。

2 基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書の開示を求める権利を保障するとともに県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示規定を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

3 本件審査の中心争点について

 実施機関は非開示理由として条例第8条第1号、第2号及び第3号を挙げている。
 条例第8条第1号の個人情報に該当するため非開示とされた担当者連絡先の氏名については、本号に該当するとして非開示とした実施機関の判断は妥当である。異議申立人も、この点をとくに争っていない。
 また、実施機関は、条例第8条第2号の法人情報及び条例第8条第3号の国等協力関係情報に該当するという理由で非開示にしている。
 ところで、第8条第3号について判断するに、本件対象公文書は実施機関が申し述べている国土法に基づく大規模土地取引等事前協議申出書の実施予定場所等の土地取引に係る事項と共通する事項を多く含むことは認められるが、直接第3号に係るものではない。国土利用計画法に基づく届出書の公開についての国土庁の通知の趣旨は「事業者名、土地の所在及び面積、利用目的については、本来、排他的に管理すべき資産、財産運営上の情報であり、一般に公開されるべき性格のものではない」というもので、これは、適正な地価の形成と適正かつ合理的な土地利用の確保を図る観点から示されたものであり、本県条例の非開示規定に照らせば、本条第2号の法人の競争上の地位その他正当な利益の解釈の中で判断すれば足りると解される。
 よって、条例第8条第2号の法人情報の該当性の有無についてのみ以下判断することとする。

4 条例第8条第2号(法人情報)の該当性の有無について

 本号は、事業を営む個人又は法人等の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該個人又は法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものは非開示とすることを定めたものである。
 競争上の地位その他正当な利益が害されると認められる情報とは、例えば、生産、技術、販売、営業上のノウハウに関する情報、経営方針、経理、人事等の内部管理に関する情報のほか、開示することにより、社会的評価、社会活動の自由等が損なわれる情報をいう。
 ところで、本件対象公文書の中で、市町村の字名、河川名、位置図及び調査地点図は、土地取引等事業計画に関する事項であり、開示すると具体的に事業の実施場所が特定されるため、土地の高騰等土地取引に支障が生じ、事業計画の変更あるいは断念等の事態が起きるおそれがあると考えられる。
 よって、これらの部分については、開示すれば法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、非開示にしたことは妥当と判断する。
 しかし、市町村名は、開示しても具体的な実施場所を特定ないし推測させるものとは認め難いため、開示すべきである。
 次に、事業者の住所、氏名及び印影は、事業主体そのものであり、法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、非開示にしたことは妥当と判断する。
 指定事業等の規模、指定事業等の目的及び計画の概要、面積の部分については、特に営業上秘密にすべき内容とは言えず、開示しても法人の競争上の地位その他正当な利益を害するとは認められず、開示すべきである。
 更に、調査担当機関名、担当者連絡先の所属名及び電話番号の部分は、事業の取引内容に関する事項であり、開示すると法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、本号に該当するとの理由で非開示にしたことは妥当と判断する。

5 結論

 総合して判断すると、実施機関が行った部分開示決定において、担当者連絡先の氏名、市町村の字名、河川名、位置図、調査地点図、事業者の住所、氏名及び印影、調査担当機関名、担当者連絡先の所属名及び電話番号を非開示にしたことは妥当であるが、市町村名、指定事業等の規模、指定事業等の目的及び計画の概要、面積を非開示にしたことは妥当でなく開示すべきである。
 なお、○○ゴルフクラブ分に関しては、非開示部分は個人情報のみであり、実施機関の決定は妥当である。

5 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙のとおりであ・驕B


別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
2.11.28 ・諮問書受理
・実施機関(保健環境部医務環境課)に対して部分開示理由説明書の提出要求
2.12.10 ・部分開示理由説明書受理
・異議申立人に対して部分開示理由説明書(写)の送付及び意見書の提出要求
2.12.25 ・意見書及び口頭での意見陳述申出書受理
3.7.30
(第10回審査会)
・事案の概要説明
・書面審理
3.9.4
(第11回審査会)
・実施機関からの部分開示理由説明の聴取
・異議申立人からの口頭意見陳述の聴取
3.10.7
(第12回審査会)
・審議
3.10.9 ・答申

本ページに関する問い合わせ先

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