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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第19号

答申

1 審査会の結論

 「(平成3、4年度)土地売買等届出書」に記載されている事項の内、届出年月日及び行政機関の受理日の部分は開示すべきであるが、実施機関がその余の部分を非開示処分としたことは妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人(以下「申立人」という。)が平成6年9月28日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った「(平成3、4年度)土地売買等届出書」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成6年10月12日付けで行った非開示決定処分の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本件対象公文書を非開示にしたというものである。

(1) 公文書の特定について

 申立人は、届出受理日及び利用目的の開示を求めているのであり、届出書類全体の内容の開示を求めていないと主張しているが、申立人が求めている情報が正確に記載された公文書は土地売買等届出書のみであり、それを文書特定したものである。したがって、申立人の請求内容を無視したものではない。

(2) 国土利用計画法について

 国土利用計画法(以下「国土法」という。)による土地売買等届出の制度は、一定規模以上の土地取引を行う場合には、事前にその取引内容について届出を義務付けるものであるが、これは、適正な地価の形成と適正かつ合理的な土地利用の確保という政策目的の実現を図る観点から、必要な範囲内で届け出を義務付けているものであり、行政と当事者の信頼関係に基づくものである。

(3) 条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 本件届け出の当事者には個人が含まれており、開示すると特定の個人が識別されることになり条例第8条第1号本文に該当する。なお、個人に関する情報であっても、条例第8条第1号ただし書イロハに該当する場合には開示すべきとされているが、ただし書イ、ロには該当しないことは明らかであり、また、ただし書ハの公益性についての判断は、個人情報の保護を上回る公益性があるとは認められない。
 以上により、条例第8条第1号本文に該当し、ただし書にも該当しない。

(4) 条例第8条第2号(法人情報)の該当性について

 法人の事業用資産に関する情報については、開示することにより、当該法人の土地取引の相手方や過程が判明し、当該法人の事業活動が損なわれる。
 条例第8条第2号ただし書イ、ロには該当しないことは明らかであり、また、ただし書ハの公益性についての判断は、法人の情報を保護する以上の公益性があるとは認められないので、ただし書には該当しない。

(5) 条例第8条第3号(国等との協力関係情報)の該当性について

 国土法による土地売買等届出に関する事務は知事に機関委任された事務であり、基本的な運用方針については国の指揮監督を受けており、平成元年4月28日付け元国土利第160号により国土庁土地局土地利用調整課長から土地売買に関する事項は開示できない旨の明示の指示が出されており、開示すると国等との協力関係が著しく損なわれる。

4 異議申立ての理由

 申立人が、異議申立書、実施機関の非開示理由説明書に対する意見書及び口頭による意見陳述で主張している異議申立ての主たる理由は、次のように要約される。

(1) 申立人は、土地取引に際し、法定の届出がなされているか否かの確認ができる受付簿等の書類を求めたのであって、取引価格等の詳細な情報を請求してはいない。したがって、実施機関は文書の特定を土地売買等届出書ではなく、受付簿等にすべきである。

(2) 届出の有無すら公開しないと、仲介人等の周辺関係者に取引上の信頼性が低下する恐れがある。また、第三者的牽制が行われないと法の無知等による無届取引がより発生し、取引が混乱する恐れがある。

(3) 本件は、条例第8条第1号ハにより、むしろ積極的に開示すべきである。

(4) 本件開示により当該法人等の事業活動が損なわれるとする非開示理由は根拠がなく、また、違法又は著しく不当な事業活動によって生じる恐れのある支障から県民の生活を保護するためには開示すべきである。

5 審査会の判断

(1) 本件対象公文書の内容について

 本件対象公文書は、国土法第23条第1項の規定に基づき、取引当事者が当該市町村長を経由し、知事に届出をした公文書であり、市町村受理日、県受理日、譲受人住所・氏名・印影、譲渡人住所・氏名・印影、土地の所在地・地目・面積、土地に関する権利の内容、土地の予定単価・総額、土地の利用目的、備考(参考事項)等の項目が記載されている。

(2) 公文書の特定について

 申立人が開示請求した内容は、多数の土地地番に関わる交換及び売買の届出受理日及び利用目的であったが、口頭意見陳述の中では届出書の受理の有無のみを知りたいとする申立人の主張があった。開示請求内容から判断すると、実施機関が「土地売買等届出書」を公文書特定したことには合理的な理由が存在するものと判断できるが、さらに、審査会において届出書の受理の有無が判る「受付簿」についても検討することとした。

(3) 基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書の開示を求める権利を保障するとともに県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示規定を設けている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。 

(4) 本件審査の中心争点について

 実施機関は非開示処分を行った理由として、個人が識別され、また、法人等の事業活動に支障が生じ、さらに、国からの明示の指示があると主張しているが、申立人は法で義務づけられている届出の有無の確認を求めたものであって、第三者的牽制の必要性や当該情報の公益性からみると開示すべき情報であると主張している。そこで、当審査会は、本件対象公文書の非開示部分の妥当性と受付簿を特定すべきであったか否かについて判断をするものとする。

(5) 土地売買等届出書についての判断

 平成元年4月28日付け元国土利第160号により国土庁土地局土地利用調整課長からその当事者名、土地の所在及び面積、土地に関する権利の種別及び内容、予定対価の額、土地の利用目的等の届出に係る事項は一般に公開されるべき性格のものでないとする明示の指示があることから、国の通知に反して本件対象公文書を公開すると国と県との協力関係及び信頼関係が損なわれると認められるので、条例第8条第3号(国等との協力関係情報)に該当するものと判断する。
 ところで、申立人は法で義務づけられている届出の有無の確認を求めるとする主張があることから、当審査会は土地売買等届出書の届出年月日及び行政機関の受理日(以下「受理日」という。)の開示、非開示の判断を以下にする。
 受理日については、国土庁が明示の指示をしている非開示項目の範疇に含まれていない。しかし、これを一般的に開示することは、土地の取引を行いたいという届出人の意図を公開することになってしまい、例えば、契約成立及び所有権移転登記等の前にこのことが第三者に明らかになってしまうと、第三者が取引の妨害能性があり、そのために私的な経済活動が阻害されるという弊害が生ずるおそれがあるので、受理日についても、時、事情を問わず、常に全面的に開示する義務が行政機関にあると解することはできないと判断する。
 本件の場合についてみると、開示の対象となった届出書に関連する土地取引は既に終了していることが登記簿で明らかになっており、受理日を開示しても前記の弊害は生じず、また、新聞報道もなされ社会的関心も高いと考えられるので、情報公開の理念からすると、受理日についての情報は開示すべきであるが、一方、届出の有無に関連して、申立人から取引内容に関する更に詳細な説明を求められた場合には、それをすることは国土庁の明示の指示に反することとなるため、拒否してよいと判断する。
 以上のとおり、本件対象公文書の内、受理日に関わる部分は開示すべきであって、その余の分は条例第8条第3号(国等との協力関係情報)に該当し非開示相当と判断する。
 なお、条例第8条第1号及び第2号の該当性の判断については第3号に該当することが明白であるので、審査会の判断は省略する。

(6) 受付簿を対象公文書として特定することについての判断

 受付簿に記載されている項目は、当事者名、受付日等の最小限の情報であり、受付簿は多くの届出書類の中から検索を容易にするための概ねの索引簿として活用されており、また、取引当事者からその届出の受理等について照会があった場合には、実施機関は任意にそれについて回答していることが見受けられる。しかし、本件の場合は取引当事者ではなく第三者であること、受付簿には地番が記載されていないために検索が困難であること等の事情から、受付簿を対象公文書として特定することは困難であると判断する。

(7) 結論

 総合して判断すると、1のとおり判断する。

6 審査会の要望・提言

 本件の開示請求の対象となった土地取引に関しては、新聞等で国土法の届出の有無が問題となり、社会的関心の的となっている。したがって、国土法の運用に携わる実施機関としては、国土法の運用実態を明確にし、社会的批判に応えていくのが行政の責務であることから、県民が必要とする情報は可能な限り公表していくということを当審査会は要望する。


別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
7. 2. 6 ・諮問書受理
7. 2.14 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
7. 3.30 ・非開示理由説明書受理
7. 4.17 ・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書
の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
7. 5. 9 ・口頭意見陳述申出書受理
7. 9.26 ・書面審理                (第50回審査会)
7. 9.26 ・実施機関の非開示理由説明の聴取及び審議 (第50回審査会)
7.10.26 ・異議申立人の口頭意見陳述の聴取及び審議 (第51回審査会)
7.11.22 ・実施機関の非開示理由説明の再聴取及び審議(第52回審査会)
7.12.19 ・異議申立人の口頭意見陳述の再聴取及び審議(第53回審査会)
8. 1.23 ・審議                  (第54回審査会)
8. 2.20 ・審議及び答申              (第55回審査会)

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
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