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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第22号

答申

1 審査会の結論

 「(平成6年度)産業廃棄物処理事業計画書(尾鷲市大字南浦に計画されているもの)」のうち別紙2に記載の部分について、実施機関が非開示とした決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人(以下「申立人」という。)が平成7年5月29日付けで三重県情報公開条例(昭和62年三重県条例第34号。以下「条例」という。)に基づき行った産業廃棄物処理事業計画書(尾鷲市大字南浦に計画されているもの)(以下「本件対象公文書」〔別紙1〕という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成7年6月12日付けで行った部分開示決定のうち別紙2に記載の事項を非開示とした部分の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の部分開示理由説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、別紙2に記載の部分を非開示にしたというものである。

(1) 産業廃棄物処理施設設置に係る手続きについて

 事業者が産業廃棄物処理施設を設置しようとする場合、三重県では廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)に基づく手続きに先立ち、廃掃法との適合性、関係地域住民等との合意形成を確認するため、事業者の任意の協力のもと、三重県産業廃棄物処理指導要綱(以下「要綱」という。)に基づき、産業廃棄物処理事業計画書を提出させ、その手続きが終了した後、施設の種類ごとに産業廃棄物処理施設設置許可申請書を提出させている。
 また、事業者がその施設の構造等を変更しようとする場合には、廃掃法に基づく手続きに先立ち、要綱に基づき産業廃棄物事前協議書を提出させ、その手続きが終了した後、施設の種類ごとに産業廃棄物処理施設変更許可申請書を提出させている。
 ただし、廃掃法の改正(平成4年7月)以前には、事業者が産業廃棄物処理施設を設置しようとする場合には産業廃棄物処理施設設置届出書を、また、その施設の構造等を変更しようとする場合は産業廃棄物処理施設の構造又は規模の変更届出書をそれぞれ提出させていた。

(2) 本件対象公文書について

 本件対象公文書は産業廃棄物処理事業計画書(尾鷲市大字南浦に計画されているもの)のうち別紙1の部分である。

(3) 条例第8条第1号(個人情報)の該当性について

 個人の氏名・住所・印影等は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るため、条例第8条第1号に該当する。
 これら非開示とした情報はあくまでも個人の私的な情報であり、同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しない。

(4) 条例第8条第2号(法人情報)の該当性について

 焼却プラント配置組立図、産業廃棄物の1ヵ月あたりの平均取扱量、燃焼計算書、廃棄物保管施設図等の部分は、法人の生産、技術、営業等に関する情報であって、開示することにより、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。
 また、同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しない。

(5) 条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性について

 事前協議指示事項は、要綱に基づく事前協議会において出された、関係機関の事業者に対する指示内容である。
 これは、行政内部で審議中または事業者に対する指導中の事項であり、産業廃棄物処理施設設置の許可をするまでは、開示することにより、行政側が意図した方向とは違う捉えかたをされることにより県民に誤解を与え、又は無用の混乱を招くおそれがあり、当該又は将来の同種の事務事業に係る意思形成に著しい支障を生ずるおそれがあるため、条例第8条第4号に該当する。

4 異議申立ての理由

 申立人が、異議申立書及び口頭による意見陳述で主張している異議申立ての主たる理由は、次のように要約される。

 当該産業廃棄物処理施設の建設予定地は銚子川の川沿いであり、銚子川の下流には海山町の水道水源があるため、飲料水が汚染されるおそれがある。この問題については、海山町民が非常に強い関心を持っているが、建設予定地が海山町ではないという理由で、要綱に基づく事前協議会に参加できなかった。

 今回の部分開示決定は、情報公開条例の精神を逸脱したものである。建設場所が特定できる位置図は開示しても法人の事業活動に支障が出るとは考えられないので、開示すべきである。たとえ、法人の事業活動に支障がある場合であっても、公益と比較衡量して公益が勝る場合は開示すべきである。どの廃棄物をどれだけ燃やすかという情報、廃棄物の組成及び燃焼計算書は、環境基準をクリアしているかどうかを確認するために必要であり、公益が勝るので開示すべきである。また、当該施設は雨水を含めて一切水を外へ出さない計画であるが、不安を解消するためにも構造図を開示すべきである。

 建設予定地の公図がなく、建設予定地が周辺の土地を侵害しているかどうか確認できないので、隣接地番を開示すべきである。

5 審査会の判断

(1) 本件対象公文書の内容について

 本件対象公文書は、前述の31のとおり事業者から実施機関に対して提出されたものであることが認められる。

 条例第8条第1号を理由に非開示とした情報は、計画地等の一覧表に記載されている隣接地の所在・地番及び同意書である。
 次に、条例第8条第2号を理由に非開示とした情報は、焼却プラント配置組立図、産業廃棄物の1ヵ月あたりの平均取扱量、廃棄物焼却炉仕様書のうち廃棄物の内容・組成に関する部分、燃焼計算書、排ガス処理計算書、廃棄物保管施設図である。
 最後に、条例第8条第4号を理由に非開示とした情報は、要綱に基づく事前協議会において、関係機関の事業者に対する指示事項である。

(2) 基本的な考え方について

 条例の制定目的は、県民の公文書の開示を求める権利を保障するとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、開かれた県政を一層推進するというものである。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事項を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下について判断する。

(3) 本件の中心争点について

 当審査会は、事業者の事業活動及びそこから生じている問題全般について、現実に則して実質的に審査する場ではなく、実施機関の行った別紙2に記載の部分に係る非開示決定が処分時において妥当であったか否かを審査する場である。したがって、当審査会は別紙2に記載の部分について、条例第8条第1号、第2号及び第4号の該当性の有無をそれぞれ順次判断する。

(4) 条例第8条第1号(個人情報)の該当性の有無について

 本号は、基本的人権を尊重する立場から、個人のプライバシーは最大限保護する必要があること、また、個人のプライバシーの概念は法的に未成熟でもあり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であって特定の個人が識別される情報は、原則として非開示とすることができる旨を定めたものである。
 本件のうち同意書は、個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得る情報であることは明らかである。また、建設予定地の隣接地番については、これを開示することによって隣接土地所有者が明らかになり、そのことから当該施設に対する同意者が類推されることになるので、やはり特定の個人が識別され得る情報に該当する。
 もっとも、申立人は、個人情報であっても、同号ただし書に該当して公開すべきと主張しているので、次に、同号ただし書の該当性の有無について判断する。

 同号ただし書は、「イ 法令の規定により、何人でも閲覧できるとされている情報」、「ロ 公表を目的として作成し、又は取得した情報」、「ハ 法令又は条例の規定に基づく許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報であって、公益上開示することが必要であると認められる情報」については、同号本文に該当する場合であっても開示することができると定めている。

 申立人の主張は、ただし書ハを指していると考えられるので、ただし書ハについて検討する。

 同号ただし書ハで規定する情報は、情報それ自体に公益性を有することが認められるものと解されるところであるが、計画地等の一覧表に記載されている隣接地の所在・地番及び同意書は純粋に個人の私的な情報であり、直接には人の生命、身体、健康に係る情報ではない。また、それが公にされること自体に公益性があるとは認められないことから、同号ただし書ハに該当しないことは明らかである。

 以上により、実施機関が条例第8条第1号を適用し、本件対象公文書中、個人の同意書等を非開示にしたことは妥当である。

(5) 条例第8条第2号(法人情報)の該当性の有無について

 本号は、自由経済社会においては、法人等の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができることを定めたものである。
 競争上の地位その他正当な利益が害されると認められる情報とは、例えば生産、技術、販売、営業上のノウハウに関する情報、経理、人事等の内部管理に関する情報のほか、開示することにより、法人等の社会的評価、社会活動の自由等が損なわれると認められる情報をいう。
 ところで、本件対象公文書に記載されている産業廃棄物の取扱量等は、法人等の事業活動に係る情報であることは明らかであることから、これらを開示することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるか否かについて判断する。

 実施機関が本号に該当するとして非開示にした情報は、焼却プラント配置組立図、産業廃棄物の1ヵ月あたりの平均取扱量、廃棄物焼却炉仕様書のうち廃棄物の内容・組成に関する部分、燃焼計算書、排ガス処理計算書、廃棄物保管施設図等企業経営に関するものである。(なお、申立人が開示すべきであると主張していた当該施設の建設場所が特定できる位置図は、当審査会において調査したところ、本件対象公文書には添付されていなかった。)これらの情報は、事業者が本来秘匿されるべきことを期待する事業取引内容あるいは事業内部情報であって、それらを開示すると、法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められる。もっとも、申立人はこれらの情報は開示すると法人の事業活動に支障がある情報ではあるが、公益と比較衡量すると公益が勝っているので、ただし書に該当して開示すべきと主張していることから、以下で同号ただし書の該当性について判断する。
 同号ただし書は、「イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、身体及び健康を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ロ 違法又は著しく不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある支障から県民の生活を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ハ イ又はロに掲げる情報に準ずる情報であって、公益上開示することが必要であると認められるもの」が記録されている公文書は、本号本文に該当する場合であっても開示することができると定めている。

 ところで、ただし書に該当する情報というためには、情報それ自体に人の生命、身体及び健康等を保護するため開示する必要性が認められなければならないと解される。(例えば、大気汚染に関するデ-タは健康に直結する情報であるので、ただし書に該当すると考えられる。しかし、当該施設の構造や産業廃棄物の取扱い量等の情報からは、当該施設が操業することに伴う環境汚染の有無を判断することは困難であるため、ただちにただし書に該当するとはいえない。)しかし、本件対象公文書に記載されている法人に関する情報にはその必要性が認められないことから、同号ただし書には該当しないと判断する。

 以上により、実施機関が条例第8条第2号を適用し、本件対象公文書中、焼却プラント配置組立図等を非開示にしたことは妥当である。

(6) 条例第8条第4号(意思形成過程情報)の該当性の有無について

 本号は、事務事業に係る意思形成過程における審議、検討、調査等に関する情報であって、開示することにより当該又は将来の同種の事務事業に係る意思形成に著しい支障を生じるおそれのある情報は非開示とすることを定めたものである。

 ところで、実施機関から、本号を適用して非開示とした事前協議指示事項は、当該施設の設置許可をしたことにより非開示理由が消滅し、現時点では開示できる旨の主張があったので、当審査会は本号に関する判断を省略する。

(7) 結論

 総合して判断すると、別紙2に記載の部分を実施機関が非開示としたことは妥当である。
 なお、条例第8条第4号で非開示にした部分は、非開示理由が消滅していることから、開示されることを要望する。

6 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙審査会の処理経過のとおりである。


別紙 1

(平成6年度)産業廃棄物処理事業計画書(尾鷲市大字南浦に計画されているもの)のうち下記の部分

(1) 計画地の地形の状況図及び焼却プラント配置組立図
(2) 取扱い予定の産業廃棄物の種類、廃棄物焼却炉仕様書のうち廃棄物の内容・組成に関する部分、燃焼計算書及び排ガス処理計算書の部分
(3) 中間処理施設に係る事業計画のうち大気汚染の防止に係る部分
(4) 中間処理施設に係る事業計画のうち処理後の残渣に係る部分及び業務委託契約書
(5) 廃棄物保管施設図
(6) 中間処理施設に係る事業計画のうち構造等の計画における飛散、流出、悪臭の発生防止の部分及び維持管理等の計画における飛散、流出、悪臭の発生防止の部分
(7) 廃棄物焼却炉仕様書のうち計画概要概要に係る部分
(8) 中間処理施設に係る事業計画のうち放流水に係る部分
(9) 環境調査(第一次)結果の内容のうち降雨量、最多風向、平均風速に係る部分及び雨水ピットの計算、雨水経路フロ-図
(10) 尾鷲市長の回答書
(11) 同意書
(12) 事前協議指示事項通知書及び事前協議終了通知書
(13) 計画地等の一覧表


別紙 2

非開示にした事項のうち異議申立てのあった事項

(1) 計画地等の一覧表のうち、隣接地の所在・地番
(2) 同意書
(3) 焼却プラント配置組立図
(4) 取扱い予定の産業廃棄物の種類のうち、1ヵ月あたりの平均取扱い量
(5) 廃棄物焼却炉仕様書のうち廃棄物の内容・組成に関する部分、燃焼計算書及び排ガス処理計算書の部分
(6) 廃棄物保管施設図
(7) 事前協議指示事項


別紙

審査会の処理経過

年月日 処理内容
7. 7.20 ・諮問書受理
7. 7.28 ・実施機関に対して部分開示理由説明書の提出依頼
7. 8.28 ・部分開示理由説明書受理
7. 9. 1 ・異議申立人に対して部分開示理由説明書(写)の送付、
意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
7. 9.22 ・口頭意見陳述申出書受理
8. 2.20 ・書面審理              (第55回審査会)
8. 3.15 ・実施機関からの部分開示理由説明の聴取及び異議申立人からの口頭意見陳述の聴取
・審議                (第56回審査会)
8. 5.31 ・審議                (第57回審査会)
8. 5.31 ・答申

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